ポケモン小説wiki
黄昏の遠吠え

/黄昏の遠吠え

 変態と獣姦魔の間作『からたち島の恋のうた・暁光編』
 ★★黄昏の遠吠え★★

 ・序章・戦時下の仔犬たち
 ・[[万歳の声を背中に向けて>黄昏の遠吠え・右#7NJZ7GW]]
 ・戦うべき相手と守るべきもの
 ・夏の夜の花火のように
 ・君、死にたもうことなかれ
 ・戦場へ続く道
 ・すべてはお国のために
 ・ここにありたいだけなのに
 ・フワンテの舞う谷に
 ・月色の涙
 ・終章・あやまちを二度と繰り返さぬために


左右合わせたノベルチェッカー結果 

【原稿用紙(20×20行)】 253.4(枚)
【総文字数】 81661(字)
【行数】 1884(行)
【台詞:地の文】 34:65(%)|28385:53276(字)
【漢字:かな:カナ:他】 32:56:6:4(%)|26595:46031:5052:3983(字)


大会後の主な変更点 

 ・ラストシーン後に、物語のまとめとなる玉恵のモノローグを追加。
 ・作中の時代には、まだ物質転送の技術がなかった(そのため、田舎からでは皮や肉を大量輸送しにくかった)ことに関する註釈を追加。
 ・署長から真相を告げられた際のコーキチのモノローグに『こんなこと、正しいわけがないのに……』を追加。
 ・署長の攻撃を玉恵が躱した時、お下げが解ける描写を追加。
  ・なお、上記の追加描写は、元々描く予定だったのを、締切に追われて諦めたり、書き忘れたりしていたもの。
 ・アブソルの残した言葉に対するハチゾーの返答が、後にコーキチが回想したものと微妙にニュアンスが異なっていたため後者に合わせて前者を修正。(俺たちが暮らすこの国→坊ちゃんが暮らすこの国)
 ・終章で、竿売りトラックに向かって吠えていた犬ポケモンをイワンコにちゃっかり変更。投稿時には新登場の犬ポケがいることだけ判明していたので、名称が判明し次第差し替えるつもりではいたが、公式の情報で『夕暮れどきに遠吠えをするようになったら、進化が近い証拠』とあったのを見て勝利を確信した。(←何にだよw)


あとがき 


 ※ご注意
 ・ネタバレが多数あります。先に本文からお読みください。 

戦争と動物たち 


 これまでにも、地方を食い物にする企業批判の話や、闇雲な自己犠牲賛美を戒める話*1など、風刺的な作品を度々描いてきましたが、今回は露骨に『反戦』路線で重く過激に仕上げました。暗いものを描き出すと際限なく暗くする傾向のある狸吉です。
 下敷きとなったのは、昭和19年~20年頃、太平洋戦争当時の日本で実際に行われた、〝犬猫の献納・供出運動〟と称する、公機関によるペットの大量虐殺です。
 僕がこの話を知ったのは、小さい頃取っていた児童向け新聞に掲載された読み物ででした。
 なにぶん昔見た記憶ですので、タイトルも正確な内容ももう覚えてはいないのですが、やはり愛犬を軍犬にすると言われて華々しく送り出した主人公の少年が、大人たちの話から本当は愛犬は毛皮にされてしまうのだと知り、勇敢にも助け出そうと役所に侵入したのですが、そこで見たのは大量に積み上げられた犬たちの亡骸。愕然となった少年の耳に、愛犬の鳴き声が届きます。駆け寄ってみれば、木に繋がれた愛犬と、それに向かって太い木の棒を振り上げる男の姿。止めようとするも大人たちに捕らえられ、少年の目の前で男は棒を振り下ろし、
 ――愛犬はひと声を上げて倒れ、もう動くことはありませんでした。
 その後少年がどうなったかは思い出せませんが、愛犬の理不尽で残酷な死の描写は今でも僕の心に深く焼き付いています。
 その頃知った戦時中の動物物語としては、他にも昭和18年頃、動物園の象やライオンたちを檻から逃げ出さないようにと殺した〝戦時猛獣処分〟関係の話も強く印象に残っています。全国的には『かわいそうなぞう』などが有名でしょうが、僕は愛知の人なのでもっぱら『象列車』でした。厳しい戦争の中、東山動物園が象を2頭生き残らせたのがどれほど大変なことだったか、他の動物園で象たちを皆殺しにせざるを得なかった例も含めて教えられたのです。
 人間の都合で起こした戦争で、ペットや動物園の動物たちが犠牲になるなんて酷過ぎる。
 動物たちを犠牲にするぐらいなら、どんな大義名分があっても戦争なんてするべきじゃない。
 子供じみた意見だと思ってくださって結構です。何しろ実際子供の頃に思ったことですので。……ここまでは。
 ずっと後になって、何故自分は戦争に嫌悪感を持つのかと自問自答を試みたとき、思い出されたのがこれらの物語でした。
 どうして犬たちが毛皮にされなければいけなかったのか、本当に象たちは餓死させられなければいけなかったのか、大人になった今なら、納得できる答えも見い出せるのではないか……そう考えまして、あちこち資料を漁ってみたのです。

 ――その結果が、ご覧の有様ですよ。

 子供の時に残酷だと思った話なんて、本当に子供向けの生温い話でしかありませんでした。本文にも書いた通り、『軍犬にするため』と言われて愛犬を差し出したら、本当は殺されて毛皮にされていた、なんていうのはまだましな方で、多くは最初から毛皮として差し出すことを強要され、従わなければ非国民としてリンチを受ける状況だったのです。目の前で愛犬、愛猫を撲殺された人も数多くいたそうです。
 そしてそんな風にペットたちを殺しておきながら、輸送や品質の問題で利用できなかった死体は山中に廃棄していた、なんて話も聞きました。結局、皮や肉の需要は口実でしかなく、殺すこと自体が目的だったのです。長引く戦争と劣勢の不安感からくる抑圧の捌け口を、犬や愛犬家たちに求めただけのこと。ぶっちゃけ単なるイジメですよ。そんなことのために、大勢のペットが飼い主の手から奪われ、殺されなければならなかったのです。
 動物園の猛獣処分も、やはり殺すこと自体が目的だったようです。『かわいそうなぞう』で有名な上野のトンキーや花子は、仙台に疎開させるという話が上がっていたにも関わらず、都の命令で餓死に追い込まれたそうですから。*2動物たちを殺して慰霊祭を開くことで、国家総動員を国民に知らしめる目的があったようですが……。
 いずれにしても、根元は同じこと。『戦争の役に立たない動物には価値がない』。この偏狭で乱暴な理屈が、動物たちの命を無惨にも踏みにじった元凶です。公共の福祉(みんなのしあわせ)に基づく人権が憲法で保証されていなかった時代、公益及び公の秩序(おかみのつごう)ばかりが優先された結果の、分かりやすい例と言えましょう。こんな愚劣で理不尽なことでも軍備のためなら正当化されてしまうことこそ、戦争の最大の問題点ではないでしょうか。
 そんなわけで、幼い頃知った物語に今の知識を加え、ポケモンものとして犬側視点から描いてみたのが本作となります。僕が受けた衝撃の数々を、少しでも伝えられたらと思いまして。
 割と強引にポケモン化しましたので、たぶん色々と矛盾が生じています。チャットでも指摘を受けた、『ポケモンなら皮にするより、本当に特攻隊員にでもさせた方が駄ポケでも戦力になるのでは……?』などもそのひとつですが、この件に関して言えば、軍か徴兵関係者が重度の個体値廃人で、低個体値のポケモンは意地でも軍で使いたくないという偏見めいたこだわりを持っていたのではないかと考えれば理解しやすいと思います。最良の個体値以外を認めない主義の人なら、身近にいくらでもいるでしょうからね。
 ……あ、そうそう。
『それはそれこそお前がな!!』
『他人を例に挙げるまでもなかろう?』
 これらの台詞は、自分のことを棚に上げて他人事みたいに話す人へのツッコみとして非常に汎用性が高いと思われますので、覚えておくといいでしょうw

コーキチと玉恵 [#4NZSN3R] 


 ペットの供出や猛獣処分について調べながら、何度も思ったものです。
 こんな命を粗末にする法令、元禄時代なら絶対に通らなかっただろうに、と。
 生類憐れみの令は、言い出しっぺの奴ら*3を決して許してはおかなかったでしょうから。
 ……さて、お気付きでしょうか?
 コーキチのコーは横綱の綱。キチはもちろん狸吉の吉。
 つまり漢字に直すと、綱吉
 生類憐れみの令の制定者である、徳川家五代将軍〝犬公方〟綱吉(つなよし)の名前を読み替えて、〝コーキチ〟。これが主人公名の由来だったのです。綱吉に怒りの声を上げて欲しかったのでした。
 グランブル将軍云々もこのネタ。また玉恵さんも、生類憐れみの令の発案に関わったとされる、綱吉の生母桂昌院の通称〝玉〟からつけた名前で、終章で子供たちにポケモンを大切にするよう呼びかけているのも生類憐れみの令を意識した台詞だったのです。
 ペット供出令や猛獣処分令とは逆のベクトルに行き過ぎた悪法と見られがちな生類憐れみの令ですが、実際には人間も含めての〝生類〟であり、当時横行していた捨て子や姥捨てを禁じるのが本来の趣旨だったそうです。戦国時代から続いていた暴力的な風潮を一掃して、数々の改革を断行した名君だったとか。そんな話を聞くと、僕たちは本当に綱吉に誇れる未来に生きているのかなって、時々不安を感じてしまうのです。

 ★★★★

 コーキチの名前の由来となった人物は、実はもうひとりいます。
 戦前は忠犬ハチ公の、戦後は南極犬タロとジロの物語を世に広めた、日本犬保存会初代会長、斉藤弘吉(ひろきち)さんがその人です。元禄と昭和それぞれを代表する〝愛犬家〟が、どちらも〝こうきち〟と読み替えられるなんて不思議な符号だと思いましたので。
 友人の彫刻家、安藤照さんを制作者に、渋谷駅にハチ公の銅像を建てさせたのも斉藤さんの活動によるものでした。しかし、戦争が勃発して金属物資が枯渇したため、ハチ公像もまた供出の対象になってしまいます。斉藤さんたちの抗議も虚しく昭和19年にハチ公像は撤去され、翌20年8月14日に鋳潰されてしまいました。ポツダム宣言受諾の前日という日付がもの悲しさを誘いますが、たとえ終戦まで粘っても物資不足が解消されたはずもなく、どの道潰される運命だったのでしょう。また、制作者の安藤さんも空襲で亡くなってしまいました。現在渋谷駅にあるハチ公像は、安藤さんの息子さんが作った2代目です。
 ……さて、お気付きでしょうか?

ハチゾーと照 


 つまり、ハチゾーのモチーフは、この初代ハチだったのですw
 度々出ていた『待つ』という言葉もハチ公をイメージしてのもの。『大きな町の真ん中に銅像を建てる』という夢も、忠誠心を示して鋼タイプを得るルカリオという種族もそのまんま。『命を捧げた忠誠を、無下にも打ち壊し、跡形もなく鋳潰してしまった』という表現も、初代ハチ公像の最期からのものです。
 ただ、鋳潰されたハチ公像は機関車の部品に姿を変えて復興のために働いたのであり、決して本作のハチゾーのように粗末な扱いを受けたわけではないことは明記しておきます。

ハッコー 


 戦争当時、日本で正式に採用されていた軍用犬種は、シェパード、エアデールテリア、ドーベルマンの3種。
 最初から軍ポケを3頭出す予定でしたので、一種類ずつ当てはめることにしました。ウインディのハッコーはシェパード枠です。
 名前の由来はハチ公です。……と言っても、前述の忠犬ではありません。っていうか犬ですらありませんw 陸軍歩兵第236連隊第1大隊第8中隊で飼育されていた、〝軍豹〟ハチ公がハッコーのモチーフです。
 大変人懐っこく、隊のマスコットとして兵隊たちから可愛がられていたそうですが、仔豹から大きくなるにつれて力を持て余すようになり、昭和17年に上野動物園へと寄贈。その際に名前を〝八紘(はっこう)〟と変えられました。
 八紘とは中国の古い言葉で〝四方八方〟転じて〝全世界〟を意味しますが、〝紘〟には実際に〝綱〟という意味もあるそうです。モチーフの名前つながりで、ハチゾーの名前はハッコーから貰ったというネタは最初から考えていましたが、コーキチとも繋がると知って両方のご主人がミーハーな名付け方をしたことにできましたw
 さて、危険な戦場から街の動物園へと送られてめでたしめでたし……とならなかったのは前述した通りです。わずか1年後、八紘は猛獣処分令の犠牲になりました。毒殺された、という話と、毒餌を食べなかったため槍で心臓を刺し殺された、という話があるのですが、八紘と同日に毒殺されたとされるライオンと熊がいずれも、『毒餌を食べてすぐ吐き出したものの、毒が回ってもがき苦しんだため、心臓を槍で刺して介錯した』とのことでしたので、話を総合すると八紘もそんな風に死んだのでしょう。その後剥製にされたハチ公は、戦地で仲の良かった兵隊さんの地元に引き取られ、現在は高知県の図書館に展示されているそうです。
 ポケモン作品で動物園の描写をするのが難しかったため、(『波乗りNight☆Stage』では水族館を扱っていますが、メイン舞台でないと説明が余計に必要になるので。)決死隊のようにアレンジしています。実際の軍犬でも、昭和初期に戦死した犬たちを称えて盛大な慰霊祭が行われたことがあったそうです。これは任務を全うした犬たちに人間同様の感謝を表したものなので、たとえその目的が戦意高揚だろうと問題には思いません。上野動物園の慰霊祭は、守るべき命を人間の勝手で殺しておきながら、その元凶である戦争のために利用したことが問題なのですから。
 また、特攻飛行隊にも『八紘隊』は存在したそうです。
 この八紘隊を出撃させた司令官は、多くの兵士に特攻出撃を強要しておきながら、戦況が危うくなると部下が戦っている隙に指揮を放り出して逃げ出した、最悪の卑怯者です。*4
 署長はハッコーについて『人間でないのなら安い捨て駒だった』とか言っていますが、実際には人間であっても兵隊の扱いなんてこんなものです。アサミドリの死について語っている時に玉恵が批判している将校たちというのは、こういう人たちを指していたのでした。

カイソー 


 エアデールテリア枠、ムーランドのカイソーさんは、競走馬から軍馬になったサラブレッドのカイソウがモチーフです。素直にギャロップにしても良かったかな、とも思っていましたが、後にサン&ムーンでムーランドに乗れるという情報を聞いて勝利を確信しました。(←だから何にだよw)
 カイソウは、昭和19年の東京能力検定競争優勝馬です。……なんて書くとまるでパッとしないように見えてしまいますが、実はこのレース、平時でいうところの『東京優駿・日本ダービー』。歴然たる第13代日本ダービー馬だったのです。
 半年後の長距離特殊競争、即ち菊花賞でも、カイソウは一位で入選し二冠を達成。……したはずだったのですが、レースから一ヶ月後、カイソウの菊花賞勝ち星は剥奪されてしまいました。
 菊花賞の行われる京都競馬場は、3~4コーナー間が外回りと内回りに分かれていまして、この年はたまたま例年とは違うコースを走ることになっていました。ところが、このコース変更が騎手を含めた関係者に周知徹底されておらず、全馬が従来通りの間違ったコースを走ってしまい、採決員も含めて誰も気付かないまま一ヶ月も発ってから事態が判明して全馬失格、競争不成立の処置が下されたのです。
 つまり、みんな揃って行くべき道を間違えた、というわけでした。
 戦時中ということで観客も関係者以外なく、馬券も売られていなかったのは不幸中の幸いと言えましょう。平時だったら暴動騒ぎになっているところです。コースミスのせいで余計な距離を走らされた挙げ句タイトルをフイにされたカイソウはとことんカワイソウですが……。
 カイソウの迷走は、これだけにとどまりませんでした。純粋なサラブレッドでなかったために種牡馬になれず、軍馬として徴用されたカイソウは、本土空襲が激しくなったゴタゴタの中で行方不明になってしまったのです。名古屋師団に配属されて、名古屋大空襲で死亡したという説が有力ですが……奇跡的に生き延びて、誰にも知られず静かな余生を送ったのではないか、と祈りたい競馬ファンは少なくないことでしょう。
 まぁ、だからといって方向音痴に方向音痴扱いされる覚えはない、と怒られそうですがw 丁度カイソーの出征式を描いたのがけもケットの前日だったので、迷いながら脳内でカイソーに怒鳴られっぱなしでした。『お前だろうが方向音痴はっ!?』ってw

アサミドリ 


 脚注で解説した通り、軍ポケモン3頭の中でアサミドリさんだけは実在した軍犬〝朝緑〟がモチーフです。作中のポケモンでもモチーフが生身の犬だったのは彼女だけですw
 お色気担当のお姉さんヘルガーを出したかったので、ドーベルマン軍犬の雌から和風の名前で響きのいい娘を選びました。
 昭和6年生まれで、昭和9年に満州へ出征。昭和11年に一度凱旋帰国、帰郷(ちなみに名古屋市熱田区の出身だったとか。)の後、翌昭和12年8月、上海における中国との戦闘が本格化したため再び出征。それからひと月後の9月、伝令任務中に機銃を浴びて戦死しました。
 この『出征後に一度帰国し、その後再出征した』という経歴を、本作ではコーキチたちに間違った根拠を与えてしまうミスリード要素として採用しました。作中の時代より本当は少し昔の犬だという事実も、古い常識を説明させやすくて都合が良かったのです。『他意はない』と脚注で語っておきながら、ちゃっかり使えるところは使っていますw
 ちなみに、本物の朝緑が活動していた頃には、捕獲された野良犬が能力を認められて軍犬になることもあったというのは本当の話のようです。しかし、ペット供出運動が始まると、本来供出の対象外である軍用犬種すらも皮にされる有様で、捕まった犬たちにはまず未来はなかったものと考えられます。

ハナコ [#3F56Zxs] 


 ワンリキーのハナコちゃんのモチーフは、前述の『かわいそうなぞう』に登場する、上野動物園で戦時中に飼育されていた象、花子です。
 どうしてゴマゾウなどでなくワンリキーなのかといいますと、実は花子はタイから寄贈された象だったのですが、花子というのはもちろん上野に来てからつけられた名前で、タイ時代の本名は〝ワンリー〟だったのです。
 ……すみません。単なるダジャレでしたw
 今回犬の献納がモチーフと言うことで犬ポケモンを中心に出していましたので、〝ワン〟リキーというダジャレでもありますがw チャットでこの件に触れたとき『半分はダジャレですw』と言い訳しましたが、残りの半分もダジャレだったのですw これだけシリアスな場面だというのに、ついついネタを仕込んでしまうのですwww

その他、名もなきポケモンたち 

アブソル [#49FxQqc] 


 今回もカサンドラ姫*5の役回りなアブソルは、『渓谷のフラストレーション』で同様の目に遭わされたアブソルと差別化するため、ラフな性格だった彼に対し知的なキャラにしてみました。こちらの方が時系列的には前という設定なので、もしかしたら先祖だったりするのかも!?。
 コーキチたちと遭遇した場面の、『気付いたらすぐ側にいた』というのは、けもケット5入場待機列での呂蒙さんとの鉢合わせをイメージしていたりしますw

エネコ 


 基本、駄犬駆逐論を元ネタにしただけに、本作では犬ポケの出演にこだわっています。
 リーフィアを撲殺したのも、ブイズの中では顔立ちがチワワっぽかったからです。
 しかし当然、ペットの供出では猫たちも犠牲になっていたわけで、その様子も描くために猫代表としてエネコにも出て貰いました。奔放な猫を縄で繋ぐのは難しかったのでしょうか、袋詰めにされて撲殺されることが多かったようです。

警察のポケモンたち 


 犬の殺処分は、木に括り付けて棒で撲殺するのが一般的だったようなので、再現のために蔦持ち草ポケと長モノ持ちを集めました。
 当初長モノ持ちとしてはローブシンしか考えていませんでしたが、描いているうちにガラガラの太い骨も長モノだと気付いて追加しました。なお、カモネギのネギで殴るのはいくら何でも絵的に無理しかなかったので諦めましたw
 で、何の気なしにコーキチの前で太い骨を振り上げたガラガラを想像してみたら『具現化された死そのもの』ですよw これまでガラガラ系といえばいじりキャラ扱いしてきたので、処刑人役がここまでハマるとは描いてみるまで気付きませんでしたw

老トリミアン 


 コーキチに現状を伝え、〝●国ポケとしての死に方〟を示し、その無惨さを知らしめることになった老トリミアン。
 従順であることの虚しさを強調するために、最期の台詞は「●国万歳!!」としたのですが、実はもうひとつ、最後までどちらにするか迷った台詞の候補がありました。

「おさらばにございまする……」

 国のためと格好をつけて土壇場に立っても、最期の最後には最愛の飼い主さんただひとりを想って、忍び泣きながら死んでいく。こちらの方がより自然な形であったとも思います。万歳を叫びながら、心ではそう叫んでいたのかもしれません。

竿売り車 


 あの車は公安警察の覆面巡回車で、戦争反対者を反政府主義者として狙っています。玉恵さん超逃げて。
 ……というのは、この場においては冗談ですw そういう黒い噂があるのは本当ですが。
 竿売り車を過去、現在共に出した本当の理由は、僕の亡き愛犬(オチャ丸くんのモデルです)が、あの売り文句に併せてよく遠吠えしていたからなのですw 僕にとって、犬の遠吠えといえばあの台詞だったのでした。


投票時に頂いたコメントへのレス 


>>2016/06/13(月) 04:30さん
>>悲しい話しでしたが、これもいいなと思いました。
 ありがとうございます。ご投票いただいたおかげで、過去から預かっていたバトンを未来に託せたように思います。

>>お疲れ様でした。
 ただでさえ長文の上に仕事も忙しくなり、期限が危うくなって終章を削っての投稿でした。どうにか物語をお伝えできて良かったです!

>>2016/06/15(水) 00:07さん
>>我が身を犠牲にしてでも玉恵を守りきった、コーキチの姿をみて涙がとまらなかった。
 実は初期案では、屠場から逃げ出して玉恵と合流したコーキチは、警官たちから玉恵を守るために自決。その後霊体となってコグレ山の真実を知り、ハチゾーの霊と共に涙に暮れる……という更に陰鬱な話になる予定もありました。
 でもやっぱり、自決は違うだろうって思いまして、死ぬ結末になるとしても、玉恵と共に真相と向き合い、精一杯抗い抜いてから散らせてあげたくて頑張って貰いました。感動していただけたようで何よりです。投票ありがとうございました!

>>2016/06/19(日) 12:36さん
>>読み手を選ぶ内容だとは思いますが、シリアスな死闘の連続が良かったので。
 ただのポケモンを使った戦争批判ものにはしたくありませんでしたので、ドラマやアクションの盛り上げには特に気を使いました。評価いただきありがとうございます!

>>コーキチが最後まで進化しないまま終わってしまったのは以外だったですけど、あの激動の時代の中、コーキチも玉恵もとても良くやったと思います。
 進化させてあげられなかったのは可哀想でしたが、小さく非力なブルーの身で奮闘する姿を描きたかったのです。
 玉恵さんの戦いは、これからも続いていくのでしょう。どうかポケモンを愛する彼女の想いが、多くの人たちに届きますように。
 ……考えてみれば、現実に準えると僕の両親(両方とも故人)より年上になるんですよね玉恵さんって。ほんと強いなぁw

>>2016/06/19(日) 23:23さん
>>口減らしも時代によっては必要だった一面もありますが、こういう凄惨なやり方になっていたこともありそうですね。十数億もの人口を抱えるような国では、今現在のことになってないかという思いに駆られます。
 このあとがきに記した通り、ペットの大量虐殺は悲しいかなこの国で起きた事実です。そして本編の追加モノローグを見ればお察しでしょうが、今や現実的に洒落にならない時代。どうか理不尽な犠牲が繰り返されぬようにと、心の底から願っています。ともあれ、ご投票ありがとうございました!

 改めまして、皆さんに応援いただいたおかげで、判定&同点*6ではありますが、Wiki大会6度目、仮面小説大会非官能部門としては第二回以来の優勝となりました。本当にありがとうございます!! 願わくば、次はもっと幸せな作品を届けられるように頑張りたいと思います!!


コメント帳 


・コーキチ「今回犬ポケモンが多く出演したけど、ロコン系やゾロア系は出てないんだよね。フォッコ系は官能の方で出てたけど」
・狸吉「狐を出したら(ジグザグマ)も出せって確実に言われるし、そうなったらどういうオチが付くか容易に想像つくでしょ!?」
・青大将@尻尾にエスカリボルグ装備「出さえしなければ安全だと思い込む、その甘さが命取りよ! オ~ッホッホッホ!!」
・狸吉「ギャアアアアアアアアアア~~っ!?」

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  •  作者です。
     チャットでも言いましたが、大会中は時間に追われてまとめのモノローグが間に合わず、未完成状態での投稿でした。
     元ネタばらしを中心とするあとがきを現在執筆中ですが、先に完成した本文を投稿します。
     なお、追加したモノローグは人によっては不快感を覚えるかもしれない内容であり、また『ポケモンでここまでやる必要があるのか!?』と思われるかもしれません。しかし、僕としては玉恵の立場からすれば、このような思想、行動に至るのは当然の帰結だと考えてこうなりました。
     警察署の金網を乗り越え、ウツボットの巨体を突き飛ばし、フワンテを足場に空へと駆け上がるスーパーヒロイン玉恵さんが、幼児が投げつけた積み木を受け止められないはずがないのと同じぐらい、当然の話だと言うことです。……こめかみにぶつけて血でも流せば悲壮感出るかなって思ったのに、このお嬢様ときたらまったく(苦笑) -- 狸吉
お名前:


*1 『吐き出す心』は某漫画に対する批判精神で描いたものだが、そもそも某漫画のコンセプトが『主人公が自分で血と汗を流す』という見当外れな自己犠牲賛美であるため。
*2 『かわいそうなぞう』では、仙台で檻を破ったら向こうに迷惑がかかるから、と動物園側が自発的に諦めたように説明されていた。
*3 ペットの供出に関しては、北レイ吉という右翼の代議士が言い出しっぺだったらしい。
*4 富永恭次中将。
*5 ギリシャ神話のトロイの王女。未来視の能力を持つが、それを誰にも信じて貰えないという呪いをかけられている。
*6 同点優勝は、短編小説大会の第二回と第九回に続きなんと3回目。

トップページ   編集 凍結 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2016-07-10 (日) 02:42:27
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.