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西欧式ダンスパーティ

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西欧式ダンスパーティ 


【Ⅰ】 

「うおおぉぉぉ~~~~~ん、セツ先生ー、ジェット先生ー、助けてくれー……」
「なんですか、一体!?」
 その日、塾の入り口をくぐった俺らは、室長が机に突っ伏してむせび泣いているという、不気味な光景に遭遇した。出勤してきた俺・セツと、たまたま一緒に出勤してきた同僚の講師・ジェットは、さめざめと涙する塾長に思わずびびる。
「聞いてくれないか、二人とも。この私の、絶体絶命の大ピンチを」
「ま、まあ、いいですけど……」
「話したら泣き止んでくださいね。塾長がそんな情けない姿を見せるわけにもいかないでしょう」
 若干引きながら答える俺と、罵倒してるんだかフォローしてるんだかよく分からない反応を見せたジェットの前で、塾長は昨日、何があったかを話し始める。
「実は、社内で『異文化を知るのは大切だ』と、西洋式のダンスパーティ飲み会が開かれることになったんだよ」
「その時点で意味不明ですが、参加するんです?」
「ああ。俺、四駅隣の教室で室長をやっているアイリン先生が好きなんだが」
「アイリン先生?」
「……ああ、以前代講に行ったときにお会いした、あの綺麗な先生ですね」
 俺はその名を知らなかったが、ジェットは知っていたらしい。ため息をついて、話を続ける。
「塾長が『俺の良いところをアピールしまくっておいてくれ』とおっしゃっていたので何事かと思いましたが、そういうことだったんですね」
「う……ま、まあ、それはいいんだ!」
「はあ」
 ジェットの身も蓋もない返事を強引に流し、塾長は続ける。
「それで、参加表明を出して、アイリン先生を誘ったんだけど、彼氏と一緒に行くとかでフラれちまってよう」
「あー、それで泣いてたんですね」
「そうじゃないんだ。俺、実はダンスパーティに憧れていて、なんとしても行きたかったんだ。そこで、俺と同じくダンスパーティに行きたい女性を誘おうと、会議で一緒になった事務のエレナさんを誘ったんだが……」
「はい」
「予定があるので、ごめんなさいと断られてしまったんだあぁぁ……」
「……あー、二連発断られたんですか、そりゃあきついですね……」
「そうじゃないんだ。その後、八駅先の教室で働いているメーノ先生に声をかけてみたんだが……」
「めちゃめちゃ行動的じゃないですか!? しかもメーノ先生、一度教材の運搬でお越しいただいたことありましたけど、俺らと同じ大学生ですよね!?」
 たしかあの時、運搬してくれた教材は、たまたま手が空いていた俺が片付けようとしたら、「折角来たんですし」とメーノ先生が手伝ってくれたんだっけ。てか、大学生を社会人が誘うって一体どーなのよ。そんなに行きたいのか、ダンスパーティ。いろいろ突っ込みどころがあるが、ダンスなどできない俺にとっては、サッパリ未知の領域である。一瞬、なんで女性ばっかりなんだと思ったが、よく考えれば西欧で行われるダンスパーティも、大体男女のペアで参加するものだ。
「そしたら、考えさせてって言われてしまい……」
「三連敗、というわけですね」
 それはそれは……と言いかけた俺に、ジェットがバッサリ。
「男を磨く必要性がありますね」
「ジェットお前失礼だぞ!? お前だって彼女いないだろうが!!」
「俺は昔いたことあるぞ。彼女いない歴=年齢のセツと一緒にすんな」
「この野郎……」
 ぶん殴ろうかと思ったが、今はそれより塾長が先だ。
「まあ、大丈夫ですよ。そうやって声をかけていけば、そのうち行ってくれる寛大な方が現れますって」
「お前もフォローになってないぞ」
「え」
 慰める俺に、ジェットの冷静な突っ込みが入る。が、塾長はそんな俺らに頓着せず、ポケットからスマホを取り出してきた。
「そしたら、昨日の夜に、Mineでメッセージがやってきてよう」
「あ、はい。ええっと……三通ほど?」
「ちょっと、見てみてくれえ」
「いいんですか、スマホ拝見して?」
「うっ、うっ、うっ……」
 よく分からず泣いているが、どうやら見てもいいらしい。ジェットと二人でスマホを覗く。

 メッセージ:一通目。
『エレナだけど、予定が流れてしまったの。ダンスパーティ、一緒に行かない?』

 メッセージ:二通目。
『メーノです。まだ未熟ですが、お誘いをお受けしたいと思います』

 メッセージ:三通目。
『アイリンよ。ダンスパーティの誘い、受けるわ。ちゃんとエスコートしなさいよね』

「…………」
「…………」
 ダブルブッキングならぬ、トリプルブッキング。正直、塾長が泣いていなければ、俺はクビを覚悟して塾長を踏んづけていたことだろう。ジェットも同感なのか、頬がぴくぴくと引きつっている。塾長は顔を上げ、俺らに涙と鼻水とよだれを流しながら聞いてきた。
「どうしよう、三人ともOKって、一体どうすればいいんだよお!」
「知りませんよ、自業自得でしょうが!!」
「いっそのこと、三人同時にエスコートすれば? はい、ティッシュ」
「ジェットお前も無茶言うな!!」
 もういろいろ突っ込みどころが多すぎて、何から突っ込んでいいのか分からない。塾長はジェットから受け取ったティッシュで顔を拭いて鼻をかむと、俺らに見事なジャンピング土下座をかましてきた。
「こんなことがアイリン先生に知られては、俺は社会的地位を失ってしまう! お願いだ、セツ先生、ジェット先生! どうか今回の話は、お前たちにダンスパーティのことを話したら、お前たちが女性との交流のしたさに参加表明を出して、俺に相手を探してくれって依頼した体にしてくれええええ!!」
「……マジですか……」
「勿論ただとは言わない! ワイロ一万円と、巨大ステーキの御馳走でどうだ! 頼む、首を縦に振ってくれえ!!」
「…………」
 なんか、相手探しを塾長に依頼した体にするって、俺とジェットの社会的地位が終わりそうな気もしますけど。相手の女性からどんな目で見られるんだよ。
 とはいえ、ワイロ一万円と巨大ステーキは魅力である。あと、さすがにこんな涙している塾長を放っておくわけにはいかないし……
「……分かりましたよ、俺は受けます。ただし、ダンスは出来ないので期待はしないでください。ジェット、お前は?」
「俺も受けましょう。俺も経験がないので、ダンスの練習場所と、あとはコーチもしてくださいよ」
「ありがとう、ありがとう……!!」
 俺らの手を取る塾長に、苦笑せざるを得なかった。

【Ⅱ】 

「……ってことがあったわけよ」
 数時間後、授業直前。生徒にプリントを配りながら、俺は先ほどあった話を雑談がてら話していた。生徒が「うわぁ」とか「ありえなーい」とか「すげー」とか言っている中、俺は苦笑して言葉を続ける。
「ま、塾長から巨大ステーキをごちそうになることでジェットともども釣られちまったんだけどな」
「せんせー」
「なんだ?」
 と、座っていた男子生徒・ゼットが笑いながら手を挙げた。とりあえず指名してみると、ゼットは笑いながら聞いてくる。
「先生、ダンスなんてできるんですかー?」
「できるわけねーだろ、大恥かくだけに決まってらい」
 もうヤケじゃ。そう続ける俺だったが、ゼットの横に座っていた女子生徒・エナが続けてきた。
「確かに、先生ダンスとかできなさそうだもんねー」
「やかましいわ、悪かったな!」
「そんなんじゃ永遠にモテませんよー」
「大きなお世話だ!!」
「わははははははは」
「わはははじゃねーーーーーー!!」
 ったく、どいつもこいつも! 俺の味方はいねーのかよ!!
「っぱあぁぁ~……」
 でっかいあくびをした俺の相棒・グレイシアのクレアが、妙にムカつくこの頃だった。



「きをつけーっ」
「れーっ」
「ありがとうございましたーっ!」
 そんな生徒たちも、いざ授業となると真面目に聞いてくれる。今日の授業の内容は地理。農業も終盤に入り、そろそろ個々の単元も終わりだ。授業を終え、荷物をまとめた俺の前に、数名の生徒がやってくる。ゼット・トロメア・エナにリル。男子二人女子二人か。トロメアが持ってきたのは社会ではなく国語だったが、普通に対応可能なのでどうとでもなる。
 全員の質問を片付けると、俺は教室を後にする。質問のない生徒は普通に帰ってしまうので、残っている生徒は数名だ。と、教室を出た先に、一人の女子生徒が立っていた。
「セツ先生」
「スノウか。どうした?」
 生徒の名前は、スノウ。わけあって、この前の確認考査に向けて二人で戦い、その途中事件に巻き込まれて、全員で力を合わせて撃ち破った。その後の確認考査本番では見事好成績を収め、俺の中でも教師冥利に尽きる体験をさせてくれた生徒だった。
 スノウは笑顔を浮かべると、俺の前までやってくる。
「先生、ダンスパーティ、出るんですか?」
「ああ。まあ、経験なんてないんだけどな」
 肩をすくめる俺だったが、スノウは笑顔のまま、俺にこんなことを切り出した。
「じゃあ、先生。本番までに、練習していきますか?」
「え?」
「私の叔母、ダンススクールの先生なんです。社交ダンスぐらい、教えられますよ」
「マジで!? そりゃありがたい!」
 ダンスがあるのは来週だ。とりあえずその時までに、ある程度形になればいい。短期集中コース的なのがあったら申し込みたいのだが……そう聞いた俺に、スノウは「へへー」といたずらっぽく笑って告げた。
「残念ながら、もう人員はいっぱいなんですよー」
「なんだよー」
 じゃあ声なんかかけんなよ。がっくり来た俺だったが、スノウの話には続きがあった。
「いえいえ。その叔母に私、社交ダンスはかなり仕込まれたんですよ」
「へ?」
「だから、ダンスは私も教えられます。先生、よかったら私と練習しませんか?」
「…………」
 マジか。しかし、確か生徒に業務時間外での関わりを持ってはいけないのではなかったろうか。とはいえ、背に腹は代えられないし……
「分かった、スノウ。よかったら俺に、社交ダンスを教えてくれ」
「はい、分かりました!」
 笑顔で頷くスノウに、どうかバレませんようにと心で願う俺だった。



 そして、翌日。大学が終わった帰り、俺はいつもの通りクレアを連れて、スノウの家を訪れていた。数日ぶりに訪れたスノウの家だが、よく見ると案外でかい。
「意外と金持ちなのかね?」
「っぱあ」
 家を見上げながら、俺は呟く。隣に立っていたクレアも、家を見上げて一鳴きした。とりあえずお土産品はバウムクーヘンを持ってきたが、大丈夫だろうか? 諸々チョイスを間違えていなければいいのだが。
 チャイムを鳴らし、しばらく待つ。と、中から「はーい」という声がして、ブースターを連れた女の子がドアを開けた。隣にはお母様もいらっしゃり、俺は丁寧に頭を下げる。
「こんにちは。本日はスノウさんに社交ダンスを教えていただけるとのことで、お邪魔しに来てしまいました」
「まあ、スノウが?」
「先生、塾長先生やジェット先生たちと一緒に、社交ダンスに出るんだって。でもダンスを知らないから、私が教えることにしたの」
「あら、それなら叔母さんに頼めばいいのに」
「うー、いいの!」
 お母様の言葉を、なぜかスノウは叩き落とした。いや、叔母さんに見てもらえるなら、俺だってそれに越したことはないのだが……
「叔母さんのダンススクール、もう満席だと伺いまして」
「え? そんなことないわよ、頼めば普通にお席を用意してくれると思うけど――」
「わあぁぁ、待って待って!!」
 首をかしげたお母様に、スノウが思い切り割って入る。わたわたと両手を広げると、焦るかのように続けていく。
「私残席分からなかったし、もし満席だったら大変だって思って先生は案内しなかったの! そ、それに、私だってダンスは教えられるから!! 叔母さんが出なくても大丈夫だよ!!」
「あら、そう? まあ、貴方と先生がいいなら、それでいいけど……」
「…………どゆこと?」
「…………っぱあ」
 スノウとお母様のやり取りに、俺はクレアと顔を見合わせるのだった。



 二時間後。
「ワン・ツー、ワン・ツー。ええ、そうそう、そんな感じですよ、先生」
「お、おう」
 スノウからダンスを教わること二時間強、付け焼き刃ではあったが、俺は何とか基本のステップを踊ることに成功していた。社会科を教えるのは得意だが、こういったものはどうも苦手だ。俺のクレアもスノウのブースター・フレスからポケモン用の踊りを教わっており、こちらは俺よりは呑み込みが早くモノにできている模様。
「すまんな、なかなか上達しなくて」
「いえいえ、最初はそんなものですよ。先生も初めて来た生徒にはそう言ってるじゃないですか」
「よくご存じで」
 俺が着任する前から、スノウは塾に通っていた。それから俺が講師として働く姿を、スノウは見てきたのだろう。改めて、自分が先生であり、見られる存在であることを実感する。
「先生」
「なんだ?」
「よかったら、今日はここまでにしましょう。一日でやりすぎても、体も大変ですし」
 スポーツドリンクを差し出してくれるスノウに、俺は分かったと承諾しながら受け取った。でも、スノウはいいのか? 聞き返す俺に、スノウは笑った。
「はい、大丈夫です。あと……」
「うん?」
「これ終わったら、ポケモンバトル教えてください」
「…………」
 ちゃっかり要求していくスノウに、俺は苦笑するしかなかった。



「おーい、今日はダンスやったしスノウにポケモンバトルも教えたんだから、ほどほどにしとけよー」
 帰ってきて手を洗い、小休止していた俺は、横からひょいと立ち上がったクレアとミミッキュのセイル、ヌマクローのジェフリーの姿を見て一声かけた。セイルとは先日温泉旅館に行ったときに出会い、友達になって俺と一緒に来てくれることになったのだが、そのセイルがかなり強く、ゲット前後に野良バトルを挑んだらその強さにクレア・ジェフリーの二匹がかりでやっと倒したという状況だったのだ。そして何の因果か、直後にそのセイルでさえも――というか同僚のジェットと塾長のレン先生と三人がかりで挑んだレイドバトルでも全滅しかけるような超強力な敵に出会い、俺たちはまだまだ自分たちの強さが及んでいないと実感していた。
 よって、それからは俺のポケモンたち、というか俺自身もトレーニングに精を出すようになり、割と最近は充実した生活を送っていた。大学の授業にバイトにバトルのトレーニングに、最近はなかなか忙しい。怠け者の俺には珍しいことだ。
 幸いなことにというべきか、サークル活動やら部活やらは特にやっていないので、全くもって自由時間が消えてしまうということはない。ほどほどに休みながら、俺たちはトレーニングを続けていた。
「っ、ぱあぁっ!!」
「うおっ!」
 と、小休止を終えてアパートの前に出て行った俺は、目の前を掠め取んだ黒い塊に思わずビビる。あれは、クレアが練習中のシャドーボールか。ずいぶんうまくなったもんだ――って、そうじゃない。なんでお前らは目の前の廊下で練習してるんだ。一般住民にでも当たったらどうしてくれる。
「はい、移動するぞー。二度とお前らアパートの前で練習しないようにー」
「ミミッキューッ!」
 ひょいと左手でセイルのぼろ切れをつまみ上げ、右手でクレアを問答無用でモンスターボールに戻してやる。「っぱあぁぁあぁ」とかいう悲鳴が聞こえるが無視。ジェフリーは……なんか隅っこで瞑想している。なんのトレーニングなんだ、あれは。まあ、ふざけているわけではなさそうだし、あれは迷惑にはならないだろうし、とりあえず放っておくとしよう。
 階段を降り、アパートの前にある広場のような場所でもう一度クレアを出してやる。勝手にボールに戻されたことにぱあぱあ文句を言ってくるクレアだったが、ジト目を向けてやると大人しくなった。
「……OK?」
「……ぱー」
 OKらしい。賢いクレアのことだ、なんで俺にジト目を向けられているのかは分かったようだ。「伏せ」のポーズを取るクレアに「分かればよろしい」と言い残し、トレーニング開始。
「ほいっ」
「キュッ」
「ほいっ」
「キュッ」
 もっと素早く動けるようになりたい、というセイルの希望に答え、俺はセイルと反復横跳び。どうやら彼は、攻撃力と素早さに特化して鍛錬したいようだ。防御というガラではないのかもしれない。ちなみに俺は、体力測定においては一番自信があるのが反復横跳びで、小学生のころから常にクラス内でもトップを争う回数だった。逆にめちゃくちゃ苦手なのが長座体前屈で、座るだけで激痛が走るレベルなのだが、まあ、それはともかくとして。
 クレアは俺が用意した的を壁に立てかけ、そこに向かってシャドーボールをぶっ放す。前回の戦いが相当効いたのか、クレアはエスパータイプの弱点を突けるゴースト技を練習中。ゴースト技はシャドーボールで、セイルのシャドークローと、以前一度だけ共闘したことのある生徒(当時はただのお隣さん)のリルが連れていた、エーフィのシャドーボールをヒントにしていた。
「――あ、セツ先生」
「お?」
 と、噂をすればなんとやら、リルが父親と一緒に帰ってきた。ぺこりと会釈する父親に、俺もぺこりと会釈する。リルさん一家は、一軒家を買うためにお金を貯めるべく、家賃を抑えるために狭いのを承知で六畳一間のこのアパートに住んでいる。もともと言い出したのは母親らしいが、その母親はいつしか言い出したことを忘れて『六畳一間にしか住めない甲斐性なし』という見方に変わってしまい、浮気と不倫に走ってしまった。しかも二人の男と同時に不倫しやがったらしく、アレには俺も驚いた。
 その後、すったもんだあってなぜか俺まで巻き込まれ、その後父親が不倫相手と母親を呼んで弁護士と共に不倫を暴露。その時はその場にいなかったのでどういうやり取りがあったのかは分からないが、不倫相手の片方が父親とバトルする事態になり、なんと不倫相手の方が勝ってしまった。どのみち不倫が発覚した時点で慰謝料と制裁は免れないのだが、バトルに勝ったからかさんざん罵倒する不倫相手&リル母にリルが激高、リル母がやり返してバトルに発展しかけ、今度は不倫相手のもう片方がカッコつけてリルに勝負を挑んで実質二対一となった状況で俺が加勢し、不倫相手のもう片方&リル母vs俺&リルという謎のバトルが勃発して、今度は逆にぶっ潰してやったのだ。向こうがカッコつけて勝負を挑んできた理由は、愛する女(といっても不倫相手。しかもリル母)がリルに怒鳴られたのが許せなかったかららしいのだが、それで中学生相手に大の大人がカッコつけて勝負挑むとかバカじゃねーのか。いや、バカだから不倫なんかやったのか。
 とまあ、半分くらい自分から首を突っ込んだ気もしなくもないが、その騒動終了後、片親になってしまってリルが一人になる時間が余計長くなってしまったものだから、勉学もかねてリル父はなぜかリルを俺の仕事先の塾に入会させてしまうという行動に出た。おかげさまで、生徒に住所がバレるという事態が発生したのだが……まあ、俺が自分から生徒に住所をばらしたわけではないのでセーフとしよう。学校の先生も教えている人いるみたいだし、大丈夫……だといいが。
 そんなリルは、俺らの姿を認めると、小首をかしげて聞いてきた。
「特訓中ですか?」
「ああ。今日はほどほどにするけど、特訓中だよ」
「そうですか。先生たちは、いったいどんなトレーニングを?」
「どんなって……人間と同じだよ。基礎体力作りに、あとは野良バトルをやったりな。クレアは技の特訓中なんだけど……あ、そうだ」
 リルの質問に答えていた俺だったが、ふとあることを思い出す。
「リル、もし時間があれば、フィルにお願いしたいことがあるんだけど、いいかな? ちょうどクレアが、シャドーボールの練習中なんだ」
「え、そうなんですか?」
「ああ、訳あってな。頼まれてくれないか?」
 両手をぱんっ、と合わせてお願いすると、リルは二秒の間をおいて「いいですよ」と笑顔で答えてくれた。
「でも、一つだけ条件が」
「え?」
「終わったら、ポケモンバトル教えてください」
「…………」
 スノウといいリルといい、お前らは俺を戦闘屋かなんかだと思ってんのか。いや、確かにバトルは大好きだけどよ。
 内心突っ込みながら承諾してしまった俺が、リルに対して「生徒と時間外で関わりを持つ」という、スノウと同じことをやってしまったことに気付くのは、しばらく経ってからだった。
 ど、どうかバレませんように……


【Ⅲ】 

 というわけで、ダンスパーティ・当日。
 ゴールデンウィーク初日の夜で、みんなのテンションも上がるとき。
「うわあ、みんな綺麗だね!」
「「「どういうこと!?」」」
 にこにこ笑う塾長は、当然ながらアイリン先生・エレナさん・メーノ先生の三人に詰め寄られていた。そりゃそうだ。静かな中にも返答次第では刺されるんじゃないかというほどの空気が漂う中、ジェットがエレナさんの前に飛び出した。俺もメーノさんの前に飛び出し、二人そろって頭を下げる。
「エレナさん、申し訳ありません! 以前、教室のホームページを見たとき、エレナさんの写真とスタッフ紹介を拝見し、とても素敵な方だと思ってしまいました! 本来は自分が誘うのが筋と思いますが、見ず知らずの私が誘っても気味が悪いかと思いまして、塾長に依頼してしまったんです!!」
「メーノ先生、すみません! 教室に教材を運搬してくださり、一緒に片付けてくれた時から、気になっていました! ジェットの言う通り、自分で誘うのが筋と思いますが、連絡先も存じ上げず、塾長に依頼してしまいました!!」
「…………」
 俺がメーノ先生に、ジェットがエレナさんに頭を下げるということは、前もって打ち合わせている。今の状況を客観的に見れば「自分で誘えないので人に代わりに誘ってもらった情けない男」という状態だ。正直マイナスから始まるわけで、その評価は少しでも元に戻してからダンスパーティを始めたい。
 ちなみに、なぜ俺がメーノ先生でジェットがエレナさんなのかというと、「エレナさんとメーノ先生って、どんな方なんですか?」と聞いたジェットが、塾長に写真を見せてもらった。俺も見せてもらったのだが、エレナさんが結構な美人さんで、ジェットはいきなり塾長に「俺、この方と入っていいですか」と聞きやがったのだ。そういえばジェットの奴、年上のお姉さんが大好きだったな。黒髪ロングヘアー、優しげな女性と来れば、ジェットが動くのもまあ分かる。ちなみに俺は同じ年か自分の年齢マイナス一歳がストライクゾーンなので、むしろメーノ先生と行ける辺りは好都合だった。
 エレナさんとメーノ先生、それにアイリン先生は、三人で顔を見合わせる。最初に口元を崩したのは、エレナさんだった。
「仕方ないわね。ジェットさんだったかしら? 私もダンスパーティに興味はあったし、お誘い自体は嬉しいわ。行きましょうか」
「よっ、よろしくお願いします!!」
 さすが、大人の余裕という奴か。続いて、メーノ先生が笑顔を作る。
「セツ先生、貴方が誘ってくれたんですね。私一人で、社会人の方々の中に入るのは、正直どうしようと思っていた部分もありました。でも、貴方やジェットさんのような、大学生の方がいらっしゃるなら、安心です」
「ありがとうございます!!」
 九十度に近い角度で頭を下げた俺たちは、後から思えばなかなか格好悪かった。



「どうして塾長さんが誘ってきたのかと思っていましたが、貴方からのお誘いだったんですね」
「あはははは……」
 メーノ先生の言葉に、俺は曖昧に笑うしかない。その横では、美人さんに伸びかかった鼻の下を全力で抑えるジェットと、頑張ってエスコートしようとする塾長の姿。塾長は早々に「はしゃがないでよ、ダサいから」という突っ込みを入れられ、「はい」と小さくなっている。
 なお、このダンスパーティはポケモンを一匹連れて行っていいようで、俺は相棒であるグレイシアのクレア、ジェットはエースバーンのクロッサーを連れている。今日はダンスパーティということで、俺はタキシード姿、クレアも今日は赤い布を頭巾のように頭に巻き、小さな鞄を下げたスタイル。ジェットのエースバーン・クロッサーも、今日はポケモン用のタキシードを着用している。ちなみにこれの代金も当然ながら塾長持ち。
 一応、ダンスは練習してきたが……最初は様子見がてら、立ち止まって周囲を伺ってしまうのは仕方がないことだろう。見てみると、最初のダンス時間であり、何組もの男女が躍っている。お、ジェットだ。頑張ってエレナさんをエスコートしている……
 が。
「ワン・ツー、ワン・ツー。そう、もうちょっと腰を使ってね」
「はいっ、ええと、こうですか?」
「そうそう、上手いわね」
「ありがとうございます……!」
 ……なんか、逆にエスコートされているような気がしないでもない。お、塾長だ。好きなアイリン先生と踊れているらしい。
 が。
「痛っ! ちょっと、足踏まないでよ!!」
「ごっ、ごめんなさい!!」
 ……なんか、こっちもいろいろ大変そうだ。
「メーノ先生、俺たちも踊りましょうか」
「ええ」
 ……実際は、俺たちのレベルが低いだけかもしれないが。案外、何とかなりそうな気がしてきた。
 そういえば、会場には何か柑橘系の香りがしているけど、誰かの香水か何かかな? それとも、会場としての演出かな?
 ま、いっか。



 幸いなことに、メーノ先生もあまりダンスはできなかった。ぎこちないながらも踊っている俺らだが、最低限塾長から練習場所とコーチはしてもらえたことと(あんまり役に立たなかったので、専門のコーチを呼んでもらった。もちろん、俺らは巻き込まれただけなので費用は全額塾長持ちだ)、スノウに頼んで特訓を積んだこともあってか、なんとか相手の足を踏まないで行け……あぶねっ、危うく踏みそうになった!
 何度か心臓が凍りかけたが、どうにか一曲目を終え切った。俺は小さく息をついて、メーノ先生に提案する。
「ふう、少し休憩しませんか? 何か食べたいものとかあれば、お持ちしますよ?」
「ありがとうございます。水を貰ってもいいですか?」
「はい」
 俺はホールの中心部からメーノ先生を連れだして、水を取りに向かう。
 ――と。
「ちょっと! 今更何しに来たのよ!」
 ホールの中心部から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。なんだなんだと振り返ると、そこには地面に尻もちをついた塾長と、アイリン先生の手を取る男性。見る限り、アイリン先生は嫌がっているようだが……
「おいおい、どうしてレン先生と踊ってるんだ? 当てつけか?」
「……ふんっ、新しい彼女はどうしたのよ?」
「とっくに別れたよ」
 おいおい、こんなところで痴話喧嘩か? しかし、ここは塾長がカッコよく対応すれば、株が上がるかもしれないな。心の中でエールを送る俺の前で、塾長は立ち上がって言い返す。男性はけっと鼻で笑うと、一生そこで這いつくばってろとアイリン先生の手を取った。が、アイリン先生はその男性を振り払うと、余計なお世話よと怒鳴りつけた。塾長の腕を取るアイリン先生に、男性はつまらなさそうに去っていく。
「……ふう、とりあえず大丈夫だったか」
 ひとまず落ち着いたっぽいので、俺は二人分の水と肉・野菜を何種類か取って、メーノ先生の所へ戻る。
「メーノ先生、こちら、お水です。あとは肉と野菜をいくつか取ってきましたので、好きなものをお取りください。不要なものは俺が食べますので」
「ありがとうございます」
 あ、しまった。魚も取ってくればよかった。内心後悔する俺に、メーノ先生は野菜と肉を二つずつ取って――
「きゃっ!」
 と、誰かがメーノ先生の肩にぶつかった。男が持っていたジュースが零れ、メーノ先生のドレスにかかってしまう。男は黙ってその横をすり抜け――
「――おい、ちょっと待てよ! せめてメーノ先生に謝れ!」
「っぱあ、ぱあ!」
「ああん? 何か言ったか?」
 怒鳴りつける俺に、男は不愉快そうに振り返る。なんだそれ!? ぶつかったのを気付いていないわけでもないだろうに、非常識な奴だ。クレアも人間とポケモンで違うとはいえ、同じ女性に対する無礼に、ぱあぱあ叫んで抗議する。
「ぶつかっただろうが、謝れよ!!」
「けっ、ガキが。邪魔なところに立ってるからだよ!」
「なんだと……!!」
 反撃に自分の持っている水でもぶっかけてやろうかと思ったが、それも女性をエスコートしている身からすると大人げない。メーノ先生も「いいですよ、大丈夫です」と言ってきたので、俺はやむなく矛を収めた。正直めちゃくちゃムカついているが、先のジュースの染みがメーノ先生の服に残ってしまっている。まずはそれをなんとかしなければならないだろう。
「待っててください、すぐ戻ります。クレア、メーノ先生を頼む」
「っぱあ」
「え……」
 俺は厨房に飛び込み、事情を説明して台所用洗剤と布を貸してもらう。メーノ先生のところに飛んで戻り、先の洗剤と水を含ませた布で、染みの周りから押すように叩いた。
「本当はこれを脱いで、染みの裏側から押したほうがいいんですが……」
「ぬ、脱ぐ!?」
「いやいやいやいや、あの、本格的な処置の場合ですから!!」
「ぱー……」
 やべえ、失敗した! これじゃあ、一歩間違えたら変質者だ!! が、相手も相手で「で、ですよね」と笑ってくれる。あぶねえあぶねえ。
「お手洗いにでも行ってきて、落として来ればいかがですか?」
「いえ、大丈夫です。大分汚れも落ちたと思いますので、終わったらクリーニングに出してきます」
「すみません、俺の不注意で……」
「いえいえ、セツ先生のせいではありませんよ」
 笑ってくれるメーノ先生に、俺は少しホッとする。「でも、折角ですし、少しやってみますね。失礼してもよろしいですか?」と、メーノ先生は布を受け取り、会場を後にしていった。お手洗いにでも向かうのだろう。俺はさっき怒ったせいか、少しばかり腹が減った。メーノ先生が戻るまでの間、食事を食いまくることにしよう。
 ……うむ、さっきの件がまだ頭に来ているので、かなり食えるような気がする。
 よっしゃあ、いただきまーす!



「お待たせしました。こちら、お返しいたします」
「いえいえ、大丈夫でしたか?」
 食事をとりながら待つこと十分、メーノ先生が帰ってきた。服の染みはかなり取れており、パッと見では分からない。現在はインターバルなのか、何か偉い人が壇上に立って話している。社内の話かな? 俺にはよくわからないので、とりあえず食べることに専念する。
 食べたりメーノ先生と雑談したりしながら過ごし、ダンスの第二部。少し長めに時間が取られている。ここからはパートナーだけでなく、いろんな人と踊っていいらしい。とはいえ、社会人たちのパーティで、少しだけ紛れている大学生は結構浮いているわけで。苦笑する俺に、ジェットがやってきて話しかけた。
「よう、楽しんでるか?」
「楽しむの半分、緊張半分ってところかな。ジェットは?」
「ああ、大分エレナさんにダンスを教えてもらったよ。折角だし、他の黒髪美人にも声をかけてこようかな」
「前向きだな、お前……」
「バース……」
「グレイ?」
 前向きに出発するジェットと、その後ろから半分苦笑いしながらついていくクロッサー。俺も行こうかと思うが、洗練された社会人女性に声をかける度胸はない。メーノ先生も同様のようで、結局俺たちは隅っこで食事をとるしかなかった。
 ……と、メーノ先生の前に、一人の男性が声をかける。
「お、踊っていただけませんか」
「あ、はい、喜んで!」
 おお、かなり若い男性だ。新卒の方なのかな? たしかに、それなら年齢の差もあまりないな。俺も近くの新卒っぽい女の子に声をかけてみるとしよう。



「…………」
「レイ、レイ」
 数分後。
 二連敗して撃沈した俺は、見事アタックに成功して女性と踊るジェットを見ながら、もそもそと食事をとっていた。クレアがなにやら慰めてくれるが(台の上に乗って右前足で頭をぽんぽんしてくれる)、さすがに三人目に声をかける度胸はない。ちくしょう、社会は厳しいぜ。
 苦い顔でオレンジジュースを飲む俺に、メーノ先生が帰ってきた。お帰りなさいませ、と手を上げると、メーノ先生も「ただいまです」と返事する。しばらく雑談していた俺らだったが、ふと、中央のホールが騒がしいのに気が付いた。
 なんだなんだと見てみると……
「うわ、アイリン先生、またさっきの男に絡まれてやがる……」
 塾長はアイリン先生の隣にいるが、男はそんなことお構いなしだ。実際にアイリン先生は美人だし、男が絡みに行くのも分かる。が、今回は一味違った。塾長が「嫌がってるじゃないかよ!」と、男の手を払いのけたのだ。
「いい加減にしろ! お前なんだろう、元彼は! 何があったのか知らないけど、嫌がる女性を無理矢理引き抜こうとするなんて最低だぞ!!」
 男の手を払いのけた塾長は、アイリン先生を抱き寄せる。おおっ、言うじゃないか! 内心賞賛する俺の横に、メーノ先生とジェット、それにエレナさんもやってくる。真剣な目で塾長を見つめるジェットは、俺と同じ気持ちだろう。
 塾長、頑張れ……そう思う俺に、さっきの男は笑って返す。
「いいのか、目上の人にそんな口利いて?」
「関係ない! 俺はそれでも、立場の差に屈して女性が酷い目に遭うのを見過ごせない!!」
 断言した塾長に、元彼は「明日から、どうなるか分かってるんだろうな……」と吐き捨てる。やばい、このままじゃ、塾長が明日から何かしらの圧を受けるかもしれない。そう思った俺と、拳を握りしめた塾長の前に……

「決闘だー!」
「――えっ?」

……どこからか、声が聞こえてきた。周囲を見渡し、声の発生源を探すまでもなく、その声は四方八方から響いてくる。

「決闘だ!」
「そうだ、決闘だ!」
「決闘だ!」
「決闘だ! 決闘だ!!」
 なんだ、それ――眉を顰めた俺だったが、同時に、なんとなく分かっていた。社会科の講師として、時に裏の話までする俺は、ダンスというものがどういうものかも調べていた。
 欧米のダンスは、上流階級の社交場となると同時、夜の相手を品定めする意味もある。おしゃべりの話術で知性を、相手を誘うところでスマートさを。そしてダンスで相手の呼吸のリズム、スタミナ、筋力などを、あらかじめ確かめることができる。相手の腰を支えたり、抱き合うような体勢をしたり、ダンスという行為自体が、軽い前戯の効果もあった。
 それはともかく、だからこそダンスパーティは、時に弱い男を弾き出す場となる。男は男同士、女は女同士、どちらが優れているかを確かめる場でもあるのだ。そして、強者弱者を決める場は、ダンスと共に、社交場でのポケモンバトル。負けた方は荷物をまとめ、出て行かなければならないのだ。
 おそらく、会場にしていた柑橘系の香りは、性欲を増すものか、闘争心を増すものかのどちらかか。あるいはその両方だろう。さすがに社会人の飲み会だから、あるとしても後者で、しかも効果は弱いとは思うが……
「……だからか」
「え?」
「いえ、なんでもありません」
 先ほどの男にぶつかられた時、苛立ちがなかなか収まらなかった。それはきっと、この香水のせいかもしれない。自分がかなり血の気の多い人間で、好戦的であるのは分かっている。が、いつもより苛立ちが収まるのが遅いのは、女性が絡んだことと、そしてこの香りの効果もあるのだろう。
 そしてきっと、俺より血の気の多い人間は、同時に決闘の開始を望む。あるいは、自分が決闘の場に絡んでいく……
「決闘だ! 決闘だ!」
 決闘コールが起こり、俺たちの塾長はアイリン先生を抱き寄せる。先の男は、ポケモンが入ったモンスターボールを出すと、決闘申し込みの合図をした。あとは、塾長が応じるかどうかだが……
「……分かりました、応じます。ですが、私が勝ったら、二度とアイリン先生に絡まないでください」
「上等だ。俺が勝ったら、お前もアイリン先生に絡むんじゃないぞ」
 ……塾長も、応じた。
 そうか、だから、食事を挟んでのダンスの第二部は長いんだ。こういったバトルが絡むことも噛んでいるから。
 睨み合う塾長と男の周囲に、透明な壁のようなものが天井から降りてくる。なるほど、あれの内側がフィールドになるのか。触発されたもう一組が、バトルを始める。やはり、バトルをする人は男性が中心か。若干自分もバトルしたいと思わなくもないが、負けたら放り出されるし、メーノ先生を置いていくわけにもいかないだろう。それに、わざわざバトルしたい相手なんて……
「おや、大学生のジェット君。学生はいいねえ、社会人と違って気楽で。ママにダンスは教わってきたかい?」
「ジョージ先生……」
「エバース……!」
「どうしたんだ?」
 後ろから聞こえてきた声に、ジェットが弾かれたように振り返った。睨みを利かせるジェットと、同じく睨みつけるエースバーンのクロッサー。目の前には、ストライプのタキシードに身を包んだ、細マッチョな男がいる。ジェットは男――ジョージ先生というらしい――を睨みつけながら、低い声で返してきた。
「この人、俺のダンスが下手だったせいで、そんな男と組むなんて馬鹿だねえって、エレナさんのことも罵倒したんだよ……!」
「なんだって?」
「事実だろう? それなら、練習してくればよかったはずだ。全く、これだから遊びで来る大学生は嫌なんだよ」
「……ジョージ先生。俺はいいですけど、エレナさんのことを罵倒したのは撤回してもらっていいですか」
「撤回? 冗談じゃないね。どうしてもというなら、室長と同じように、戦って決めるか?」
「……いいでしょう。俺が勝ったら、エレナさんに謝罪してもらいますからね」
「はっはっは。なら、俺が勝ったら、君には土下座してもらおうか。大人の時間を奪うのだからね」
 余裕綽々の笑みを浮かべるジョージ先生に、ジェットは歯を食いしばる。隣にいたエレナさんは、不安げな目でジェットを止めようとした。
「ジェット君、無理しないで。私は大丈夫だから……」
「俺が大丈夫じゃないんです。行くぞ、クロッサー」
「エバース!!」
 拳を握り締めるジェットと、タキシードの上着を脱ぎ捨てて、戦闘体勢に入るクロッサー。その姿に、一部の女子社員から「ねえ、あのエースバーン、格好良くない?」との声がする。だが、ジェットの耳には入っていないようで、決闘コールが響く中、ジェットとジョージ先生の戦いの火ぶたが、切って落とされようとした。と、その直前、ジョージの隣に一人の男がやってくる。
「なんだジョージ、大学生と遊んでやるのか?」
「遊ぶとか言うなよ、一応真剣勝負なんだから」
「たしかにそうだな。負けたら笑ってやるぜ」
「冗談じゃねえ」
「…………!!」
 こいつら、格下だと思いやがって! 一回ジェットの助けに入ってタッグバトルに持ち込んでやろうかと思ったが、それこそ俺は全く関係ないわけで、しゃしゃり出たってしょうがない。それに、俺は俺でメーノ先生のパートナーなので、下手に出ていって負けようものなら、メーノ先生にも迷惑が……
「……って、ああっ!」
「グレイ!!」
「ん?」
 と、ジョージの隣にやってきた男に、俺はあまりにも覚えがあった。同時にクレアも、見覚えのある姿に激しく鳴き声で怒りをぶつける。
「あんたはさっきの、メーノ先生にぶつかりやがった失礼な男!」
「なんだ? メーノ先生?」
「レイ、グレイ!!」
「……セツ、何かあったのか?」
「知り合いか、フロル?」
 その姿に、ジェットとジョージが同時に俺たちに聞いてくる。俺は「ああ」と頷くが、相手の男は「さあ」と肩をすくめた。
「こんな大学生、知り合いに居ねえよ」
「なんですって……! さっきぶつかったこと、忘れたんですか?」
「……ああ、あれかあ。小さすぎて分からなかったぜ」
 ぽん、と手を打つ男に、怒りが爆発するのが分かる。メーノ先生は「大丈夫ですよ」と言ってくれたが、大学生の彼女にとっては一張羅のクリーニング代は馬鹿にならない。それは俺が同じ大学生だからこそ分かることで……
「ジェット、手を貸すぜ。俺もこいつに謝らせたいと思ってたんだ」
「だってよ。おい、やるか?」
 ジェットの隣に歩き出た俺の前に、ジョージが笑いながらフロルに問う。対するフロルも笑いながら「いいぜ、遊んでやるよ」と答えてきた。
「おい、セツといったな。俺が勝ったら、賞金を払って消えるんだぞ」
「分かりました。俺が勝ったら、メーノ先生に誠心誠意謝って、クリーニング代を払ってください」
 彼女のことを考えるなら、俺は黙り、全てを終わりにしてしまうのがいいのかもしれない。蒸し返さぬまま、終わらせるのがいいのかもしれない。だがどうしても、このまま済ませてしまいたくはなかった。
「ごめんなさい、メーノ先生。俺が負けたら、馬鹿なことをしたと笑ってください」
「…………」
 メーノ先生は、なんとも言えない表情のまま、俺の姿を見守っている。「決闘! 決闘!」のコールはさらに大きくなり、俺とジェットは、ジョージ・フロルの大人二人と睨み合い、周囲に透明な壁が落ちる。この部分がフィールドか。クレアが鞄を俺へと投げ渡し、出撃の命令を待っている。俺もクレアに頷きを返すと、審判役を引き受けてくれた女性職員の指示を待った。

【Ⅳ】 

「両者、ポケモンをどうぞっ!」
「クレア、頼む!」
「行け、クロッサー!」
「グレイ!」
「バース!」
 審判役の女性職員の指示に答え、俺とジェットはそれぞれグレイシアのクレアとエースバーンのクロッサーを出撃させる。それを見たジョージはライボルト、フロルはメタグロスを繰り出した。
「決闘、開始!!」
「クロッサー、メタグロスにかえんボール!」
「メタグロス、グレイシアにコメットパンチだ!」
「クレア、メタグロスにれいとうビーム!」
「ライボルト、エースバーンに10まんボルト!」
 決闘開始の合図と同時、四者四様の指示が飛ぶ。クロッサーが小石を燃やした炎のボールをリフティングで作ると同時、メタグロスがクレアに突進していく。クロッサーのかえんボールがメタグロスに襲い掛かるが、メタグロスは突進の勢いを弱めることで対処した。動きの止まったメタグロスにれいとうビームが炸裂するが、同時にライボルトの10まんボルトがクロッサーに直撃する。
「速攻で終わらすぞライボルト! エースバーンにワイルドボルトだ!」
「クロッサー、迎え撃つぞ! 懐に飛び込んでローキック!」
周囲に電撃を纏って突撃するライボルトに、クロッサーは低く構えて迎撃の耐性を取る。続いてメタグロスがクレアにコメットパンチを放とうとするが、俺はクレアを横っ飛びに跳ばすことで回避させ、広範囲を攻撃できるふぶきを放たせる。この攻撃そのものはメタグロスにもライボルトにも外れてしまうが、どうやらライボルトは跳躍してクロッサーをローキックごと飛び越え、背後から攻撃する算段を取っていたらしい。ふぶきに気を取られた一瞬の隙が仇となり、飛び上がるタイミングを逃してしまう。その隙を突いたクロッサーがライボルトの懐に飛び込んで、素早い下段蹴りを叩き込んだ。足に痛撃を与えたところで、ジェットの続く指示が飛ぶ。
「斜め上にとびはねる!」
「逃がすなライボルト! スピードスター!」
「クレア、ふぶきをスピードスターに撃ち込んで撃墜するんだ!!」
「メタグロス、グレイシアにしねんのずつき!」
 上空に逃げたクロッサーに、ライボルトのスピードスターが追いすがる。それをふぶきで撃墜したクレアめがけて、メタグロスが一気に距離を詰めてきた。しかし、念力を込めた頭突きがクレアの横っ腹に炸裂する直前、上空から飛び降りてきたクロッサーが、重力加速度の助けも得た強烈な一撃を真上からメタグロスに食らわせる。ダメージそのものは大したことはないが、頭上からほぼ垂直に撃ち落とされ、逃げ場を無くした衝撃がメタグロスの体に痺れを生んだ。眼前まで迫ってきた挙句、エースバーンが降ってきて勢いよく体勢の変わったメタグロスの体にクレアは一瞬身をすくませるが、後方にバク転して距離を取った。その鮮やかな体捌きに「おお!」という声が横から上がる。バク転から着地したクレアと、メタグロスから一回転して着地したクロッサーに、俺たちは同時に指示を出した。
「一気に決めるぞ! クレア、メタグロスに、シャドーボール!!」
「クロッサー、メタグロスにかえんボールだ!!」
「グレイ、アァーッ!!」
「ッ、バース!!」
 クレアの口元から、シャドーボールが放たれる。ここ数日、セイル、リル、フィルたちと特訓して完成させた、対エスパータイプ用の必殺技だ。クレアの解き放った黒い影の塊と、エースバーン必殺のかえんボールがメタグロスに襲い掛かる。先に決まったのはかえんボール。鋭い炎のシュートがメタグロスの鋼の体に直撃し、一瞬遅れてクレアのシャドーボールがメタグロスの体で爆裂する。五百キロ以上はある鋼の体が勢いよく吹っ飛び、パーティ会場の床に撃墜された。
 ……が。
「今だ、行け、ライボルト! グレイシアめがけて、オーバーヒート!!」
「っ! かわせ、クレ――」
「ラアアァァァイ、ボーーーーーッ!!」
「レィァァーーッ!!」
「クレア!!」
 攻撃直後の隙を突かれ、クレアはライボルトが放ったオーバーヒートに飲み込まれる。悲鳴を上げるクレアの姿に、俺も思わず声を上げた。だが、灼熱の炎が体中を焼く苦痛に耐えながら、クレアはその綺麗な瞳でライボルトを睨みつける。対するメタグロスは二匹がかりで痛撃を貰って戦闘不能に落とされてしまい、フロルが「ちくしょう!」と地団駄を踏んだ。その情けない姿に、ジョージが舌打ちして怒鳴り声を上げる。
「ちっ、遊んでやるなんて油断してるからだろうがっ!」
「う、うるせえ! お前だって、ローキックを食らって脚の動きを殺されたくせにっ!」
「なら、動かなければいいだけだろうが! ライボルト、先に手負いのグレイシアから落とすぞ! 10まんボルトだ!!」
「クレア、まだ行けるか!? れいとうビームで10まんボルトを撃ち落としてくれ!!」
「レイ、アーッ!」
 クレアは体中に火炎による大ダメージを負ってしまい、長い間の戦闘続行はかなり厳しい。だが、一発でも動ければ十分だ。焼け焦げた体を叱咤して、クレアが10まんボルトを迎え撃つ。10まんボルトとれいとうビームが激突し、一瞬の拮抗の後に爆音を立てて相殺された。
「ジェット!」
「おう! いまだクロッサー、ライボルトめがけて、かえんボール!!」
「エバース……!」
 こん、こん。軽く一度だけリフティングをし、点火した炎のボールを右足で蹴り上げて左足で捏ね、再度蹴り上げた球と共に自らも空中に跳躍する。その間に十分に成長したかえんボールを、鋭いシュートで解き放った。
 10まんボルトはれいとうビームで撃ち落とされ、脚は先のローキックで痛めつけられ。迎撃も回避も難しい中、転がるようにしてなんとかかえんボールをかわしたライボルトだったが……
「もう一回、行けぇーっ!!」
「エース、バース!!」
 二度目のかえんボールは避けきれず、直撃を受けて吹っ飛ばされる。壁に叩きつけられ、ずり落ちたライボルトは、目を回して地面に倒れ込み……
「ライボルト、戦闘不能! よって勝者、ジェット・セツ!!」
「やったぞ、クロッサー!」
「エバース!」
「よっしゃあ! サンキュー、クレア! よく頑張った!!」
「っぱあ……、っぱあ!!」
 決着を告げるコールに、ジェットはクロッサーとハイタッチを交わし、俺はクレアと共にガッツポーズを決めるのだった。

【Ⅴ】 

 フィールドの壁が、天井へと上がって消えていく。ライボルトを戻したジョージは、舌打ちしてボールをベルトに戻した。その前で、ジェットはクロッサーと共にジョージの前に歩いて行く。
「さあ、約束です。ちゃんとエレナさんに謝ってください」
「エバース」
「くっ……っ、申し訳ございませんでしたぁっ!!」
「……はい。分かりました」
 歯を食いしばるジョージだったが、決闘前の約束を破ることはさすがにできない。一瞬悔しそうにしたものの、腰を勢いよく九十度近くに折ってエレナさんに謝罪する。エレナさんはジョージの謝罪を受けると、口元に微笑を浮かべて返した。
 これで、ジョージとジェット、エレナさんの方は解決か。それよりも、俺は俺のことをしよう。
「フロルさん。貴方も俺と約束しましたからね。メーノ先生にドレスを汚したこと、謝ってください」
「調子に乗るな、一対一で戦えば、メタグロスとグレイシアの相性から――」
「――それ、周り見ても同じこと言えます?」
「……ぐっ……」
 見渡したフロルは、周囲の目に怯んだ様子を見せた。勝者の姿と、敗者の姿も見たいという、一種残酷な周囲の眼差し。見苦しく言い訳をしようとする姿は、見苦しくて見たくないという人もいれば、無様ゆえにもっと見たいという人だっているだろう。
 しかし、それは敗者当人であるフロルからすれば、周囲の笑い者になるだけだった。グレイシアとメタグロスで戦えば、たしかにグレイシアの方が相性は悪い。だが、今回の決闘は二対二のタッグバトルで両者合意して行った。それに負けた以上、これ以上言うことはできないのだ。
「ま、俺とクレアは、一対一でやったとしても、貴方には勝ちに行ったでしょうけど」
「お前……!」
「油断したのか一対一じゃなかったのか知りませんけど。潔さはジョージ先生の方が上だったってわけですかね。これ以上笑い者になる前に、ちゃんと筋を通したほうがよいのでは?」
「ぐ……! メーノ先生、すみませんでした……!」
「あ、その、大丈夫ですよ……?」
悔しがりながらも頭を下げたフロルに、メーノ先生は少しわたわたしたような感じだ。勝った際の俺の要求は「誠心誠意謝ること」だったので「は? すみませんでした? 謝り方ってもんがあんだろ、誠心誠意の謝罪ってそれ?」とかなんとか言ってやろうかとも思ったが、俺は大学生で相手は社会人。同じ場には塾長もいるので、やりすぎたせいでまかり間違って塾長の評価を下げたくはない。それよりも、目下重要なのは――
「――あと、クリーニング代もお願いしますよ」
「……ああ、分かったよ」
 装飾の少ないタイプのパーティドレスなので、三千円ほど頂戴した。メーノ先生に全額渡し、辞退しようとする先生に、俺は「いえいえ」と笑って押し付ける。
「こういうものは、素直に受け取っとくもんですよ」
「え、あ……では、いただきますね」
「はい。ありがとうございます」
「っぱあ」
メーノ先生を見上げ、一鳴きするクレア。メーノ先生は笑顔を浮かべ「クレアちゃんもありがとう」と返してくれる。そんな俺たちに、ジェットとクロッサーが近づいてきた。
「やったな、セツ。お前と組むんなら、負ける気しねえわ」
「相手次第だと思うけどな。ギガイアスとかクレベースとか持ってこられたらさすがにきついわ」
「すなおこしのギガイアスなら最悪だな」
「違いねえわ」
「……おっ。ジェット、あれ見ろよ」
 笑うジェットに、俺はホールの一角を指さした。それは、俺たちの塾長と、アイリン先生の元彼が決闘した場。勝者のコールが叫ばれ、仕切り版が上がっていく。
「塾長も勝ったみたいだな」
「ああ。……お、アイリン先生を抱き寄せてる。塾長もやるときはやるんだな」
「らしいな」
 顔を見合わせて、俺とジェットは塾長の方に目線を向ける。塾長も俺らを見ると、小さく右手を上げて答えてくれた。俺はクレアに鞄を返すと、首からそっと下げてやる。クロッサーはタキシードの上着を取ったが、そこに何名かの女子社員がやってきた。
「キャー! すごいねクロッサー君、格好良かったよ!」
「エバ?」
「あたしたちと同じくらいの身長なんだね! 握手してー!」
「エババ?」
 二足歩行・百四十センチと、人間とほぼ変わらない体格で、鮮やかにバトルを勝ち抜いたクロッサーの姿は、女子社員のハートを打ち抜いたらしい。インテレオン好きの女性がいるとは聞いていたが、こういう姿を見るとエースバーンも相当格好いいのだろう。女子社員に囲まれたクロッサーを見ながら、ジェットは片手で頭を抱える。
「てか、バトルの指示を出した俺も取り囲んでくれてもよくね?」
「いいだろお前は、ポケモンが注目されているだけでもよ。俺らなんか見られてすらないぜ」
「っぱー……」
「ははははは……」
 苦笑い。見ると、負けた方々はすごすごと移動し、意気消沈しながらダンスホールを後にする。注目がこっち――というか、ほぼクロッサーだが――に集まった隙に、逃げ出してしまおうという魂胆らしい。
 あれ? 俺たちを見ている方々に、エレナさんとメーノ先生が睨みを利かせているような……
 いや、さすがに気のせいか。
 気を取り直すと、ジェットも「まあ、いいか」と苦笑を漏らす。隣にやってきたエレナさんの手を取ると、クロッサーの方に片手を挙げ――
「じゃ、クロッサー。モテモテで大変だろうが、頑張れよ~」
「エバーース!?」
 ダンスパーティの会場に、クロッサーの悲鳴が木霊した。





Fin

後書き 

 お久しぶりでございます。夏氷でございます。
 セツとクレアの物語、五幕目でございます。
 今回のテーマは特になく、たらたらと書き始めていたら気が付いたら書きあがっていました。前々回・前回と強敵にぶつかっていたので、クレアたちに修行をさせることにしました。まだ修業期間は一週間、さらに大学生活やアルバイト、ダンスの特訓もあるので、あまり強くなっていませんが……シャドーボールを仕込んだのが一番大きいかな。
 なんだかんだで五作書き上がったので、そろそろもっと長い長編書いてもいいかな、と思っております。
そして相変わらず「セツ」と「クレア」は、ソードシールドのフリー対戦によく潜っておりますので、もしマッチングすることがあったら、対戦相手としても味方としても、楽しく戦っていきましょう! バトルの申し込み鋭意受付中でございます。
 何かございましたら、なんなりとお寄せくださいませ。いただいているコメントが、執筆の励みになっております。
 それでは、今回もお目汚し、失礼いたしました。

 ……あ、じゃくてんほけん使うの忘れた。


【バトルデータ】

セツのグレイシア
名前・クレア Lv.48 性格・ひかえめ
技・れいとうビーム/ふぶき/シャドーボール/みずのはどう
HP・132(15) 攻撃・59(8) 防御・125(31) 特攻・174(31) 特防・109(28) 素早さ・82(31)
努力値・HP45、特攻120、素早さ5

≪ライボルト・メタグロスとの戦闘時に食らった技≫
○ライボルトのオーバーヒート ダメージ・110~130 83.3%~98.5%



ジェットのエースバーン
名前・クロッサー Lv.46 性格・ようき
技・かえんボール/ローキック/ずつき/フェイント
HP・147(31) 攻撃・124(21) 防御・80(14) 特攻・62(10) 特防・86(28) 素早さ・150(31)
努力値・HP32、攻撃30、素早さ72

≪ライボルト・メタグロスとの戦闘時に食らった技≫
○ライボルトの10まんボルト ダメージ・72~85 49.0%~57.8%



ジョージのライボルト
名前・ライボルト Lv.47 性格・きまぐれ
技・10まんボルト/ワイルドボルト/オーバーヒート/スピードスター
HP・130(16) 攻撃・85(20) 防御・75(31) 特攻・133(25) 特防・75(31) 素早さ・116(26)
努力値・HP2、攻撃6、防御1、特攻155、特防1、素早さ5

≪クレア・クロッサーとの戦闘時に食らった技≫
○通常時
○クロッサーのローキック ダメージ・39~46 30.0%~46.0%

○決着時
○クロッサーのかえんボール ダメージ・106~126 81.5%~96.9%



フロルのメタグロス
名前・メタグロス Lv.51 性格・やんちゃ
技・コメットパンチ/しねんのずつき/アームハンマー/でんじふゆう
HP・165(31) 攻撃・177(22) 防御・150(25) 特攻・117(26) 特防・104(30) 素早さ・78(5)
努力値・HP54、攻撃60、特攻20、特防36

≪クレア・クロッサーとの戦闘時に食らった技≫
○通常時
○クレアのれいとうビーム ダメージ・42~51 25.5%~30.9%
○クロッサーのとびはねる ダメージ・12~15 7.3%~9.1%

○決着時
○クロッサーのかえんボール ダメージ・102~122 61.8%~73.9%
○クレアのシャドーボール ダメージ・98~116 59.4%~70.3%


なんでもお気軽にお寄せください! 

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  • 執筆お疲れさまです!
    今回もクレアちゃんがかわいくて、バトル中はかっこよかったです! -- りりぃ ?
  • コメントありがとうございます!
    主人公の相棒ポケモンなので、かわいさも強さも存分に描きたいと思っています。
    個人的に好きなのは伝説系だったらラティアス(といっても準伝ですが……)、普通のポケモンだったらグレイシアですが、一応一般人のコイツに伝説ポケモンを手持ちにするのは無理だろうということで、グレイシアとなりました(ソード・シールドの発売時にグレイシアは異例なほど初期で仲間にでき、ラティアスは配信も持っていくこともできなかったのもあるかと思います)。
    第三幕・第四幕の出来事もあるので、クレアは多分、まだ強くなると思います。そんな戦いもカッコよく描けるといいなーと、非才ながら頑張っております(笑)
    今後ともよろしくお願いいたします! -- 夏氷
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Last-modified: 2024-04-07 (日) 21:53:39
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