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【13】リオルの幼馴染

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【13】リオルの幼馴染

たつおか




 この作品には以下の要素が含まれます。


【登場ポケモン】  
リオル(♂)
【ジャンル】    
ショタ・ロリ・インピオ
【カップリング】  
少女 × リオル(♂)
【話のノリ】    
ノーマル







目次




第1話・リオルとユウキ 



 その幼いリオルは、自身をこの地域最強の存在であると自負していた。
 しかしながら、そもそもここにはリオルと意志疎通の図れるポケモンがまったくと言っていいほどいない。
 森は緑深く、河川の水も清らかなここは棲むには申し分ないが、いささか刺激には物足りなかった。

 そんな場所のポケモンといえば鳥や虫や植物といった種類の者達ばかりで、話しかけたところでどうにもその反応は芳しくなかった。
 ゆえにリオルがここで誇る『最強』とは、実質的な『独りぼっち』の意味と同義で、そしてその寂しさを誤魔化すための方便でもあったのだ。

 そんな最強リオルがユウキ・トールの姿を初めて目にした時の衝撃は計り知れない。

 ユウキは人間の子供で、歳も10歳に届くかという頃合いであった。
 ポロシャツに短パン姿のユウキと森で遭遇したリオルはその瞬間、衝撃のあまりに硬直した。
 遭遇とはいえ、森の中で虫取りをしていたユウキを一方的に発見しただけだから、先方はリオルの存在になど気付いてもいない。

 とはいえしかし、リオルにとっては大事件だ。
 ようやくにこの森で自分の覇権を揺るがすかもしれない手合いが現れたのだから。

 以降リオルはユウキの存在を森の中で探すようになった。
 ある時は河、ある時は岩場、そしてある時は樹上──と、ユウキは実に能動的だった。
 そのあまりの活発さは時に危険な行動もまた伴い、それを見守るリオルを実にハラハラさせたりもした。

 当初は森への侵入者や自分の存在を脅かすものとして危惧していたリオルであったが、そんなユウキの一挙手一投足へ注目するにつれ、やがてはその存在に夢中になっていった。

 どうにかして触れ合いたい……いつしかそんな葛藤に苦しみながらユウキを見守るリオルであったが、ある時その願いが叶えられる出来事が起きる。

 ユウキが雑木林の中にあったリオルの住処を発見したのだ。
 住処とはいえそこは、倒れて重なった丸太の隙間を苔で埋めた程度の空間ではあったが、リオルには大切な生活の拠点だ。
 これを子供の冒険ついでに犯されてはたまらない。
 今こそユウキの前に出ていって、この場所を守るべくに対峙する権利をついにリオルは得たのであった。

 草むらから、依然として洞の前で興味深げに中を覗き込むユウキを遠目に確認しながら、何度もリオルは咳払いをしては喉を整え、そして臆せず向かって行けるようにその場で何度も足踏みをした。

 それでもここから先へ踏み出していく勇気にはまだ少し足りない。
 見ればユウキの視線は洞から別の場所へと移り、既に自分の住処には興味を失いつつある。リオルの焦りも強くなる。
 このままではユウキの前に出ていく大義名分を失ってしまう。両足の震える自分に泣き出したい気持ちになる。

 そして見守る先で、完全にユウキの視軸が自分の住処から外された瞬間──リオルは幼い声を吼え猛らせながら草むらを飛び出した。

 その声に驚いてユウキがこちらを向く。そしてユウキまで数歩の距離まで近づいて……リオルは完全に動きを止めた。
 勢いに任せて飛び出して言ったはいいがその後が何も思いつかない。
 当初は自分の縄張りを荒らすユウキを一喝してやろうと思ってはいたが、いざ遠く憧れていた存在を前にしてはリオルも緊張のあまりに硬直してしまうのだった。

 一方で最初はそんなリオルの登場に警戒しては身をこわばらせたユウキも、目の前の彼の、固まったまま一向にアプローチを仕掛けてこない様子に気付いては徐々に緊張を解いていく。
 
「キミ、だれ?」

 ついには尋ねながら近づいてくるユウキに、リオルもきつく目を閉じては現実逃避を測る。
 さらに接近しては自分の匂いを嗅いだり、ぐるりとその周囲を回っては観察をしてくるユウキと対比してはどっちが野生のポケモンだか分からない。

 リオルにはもはやどう取り繕ったらいいものなのか完全に分からなくなっていた。
 このまま直立を続け、ユウキが自然に自分の目の前から消えてくれることすら祈ったその時──不意に芳しい香りが鼻先をくすぐった。

 嗅覚の刺激へ反射的に目を開けるリオルの鼻先には──サンドイッチが一つ差し出されていた。
 白いパンにレタスの緑が眩しいサンドイッチだ。
 今までに嗅いだこともないようなその香りに瞬時に食欲が刺激されては唾液腺が崩壊する。
 そんな口角からヨダレを溢れさせるリオルに対し、

「キミ、これ食べられる? いっしょに食べよう!」

 目の前のユウキは自分のサンドイッチもまた頬張ると、笑顔で訊ねて来るのだった。
 おずおずとそれを受け取り一口齧ると──今までに食べたこともないような味の情報に翻弄されては、さながら時間と記憶でも切り取られたかのようリオルの手からはサンドイッチが消えていた。
 どこに行ったかと探すも、鼻腔に満ちるマヨネーズの残り香に自分がそれを瞬く間に食べてしまったことにも気が付いた。

 見れば目の前のユウキもまた最後の一口を頬張ったところだ。
 しばしそんなユウキの食事する様子を観察した。ただサンドイッチを食べているだけだというのに、そんなユウキの姿はいつまでも見ていられるような気がした。

 やがて食事を終えるとユウキは改めてこちらへと向き直る。

「ねえ、これ知ってる? この穴ってなんだろう?」

 改めて向き直ったユウキは目の前にあるリオルの住処について訊ねる。
 煩雑な前置きなどは飛ばしていきなり友人になってしまうのは子供の利点だ。そしてリオルもまたそんなユウキのフレンドリーさに緊張を解かれては、無言でユウキの手を引いて洞へと歩み出した。

 洞の内部は大人でも優に行住できるほどの広さと空間とがあった。
 幾重にも倒木が重なった天井の隙間から、苔に透かされた陽の光が青く差し込んでは淡い光量で室内を満たしてくれている。
 その様子にまるでテーマパークを歩くかの如くに感嘆の声を上げるユウキを自分の寝床まで案内するリオル。
 
 若芽の枝葉を敷き重ねたそこに二人は座ると、そこから何時間も一緒に過ごした。
 とはいえしていたことといえば、リオルが集めた綺麗な石を見せたり、はたまたユウキの持ち物を説明してもらうなどといった他愛もないもので、最後の数時間は一方的なユウキの話を訳も分からずに聞いているというだけではあったが──リオルにとってのその時間は掛け替えのないものとなった。

 いつしか陽も沈み、辺りが夕闇に満たされ始めるとユウキは立ち上がった。
 きっと自分の家へと帰るのだろう……そのことをリオルも理解し、そして別れを惜しんだ。
 
 未練がましく森の出口まで付いていって別れる。
 その別れ際、ユウキがリオルに向かって何か言った。そうして走り去る姿を見送りながら──リオルは強い喪失感を覚えては落胆するのだった。

 重い足取りで住処へと戻り、つい先ほどまでユウキが座っていた寝床に横たわる。
 そこにほのかにユウキの匂いが感じ取れると、より一層に切なさが募りリオルはそこへと深く鼻先を押し付ける。

 頭の中はユウキで一杯だった──空腹も、楽しみにしていた星の観察も今日は一切頭に入ってこない。
 そうして去り際にユウキの残した言葉を思い出す。

『マタ アシタネ』──不器用にその発音を真似て呟いたりもしてみた。

 次はいつ会えるのだろう? もし叶うなら明日また会いたいとリオルは思う。
 そしてそんな想いを見えない何かに願っていると、いつしかリオルもまた眠りへ落ちていくのだった。



第2話・エロ本 



 翌日もユウキは遊びに来てくれた。
 しかもリオルの住処まで訪ねてきてくれたユウキに、リオルは感極まって泣いてしまったくらいだ。

 それからユウキとリオルの日々が始まった。
 毎日ユウキはリオルの元へ通ってくれた。
 初めて会った時にリオルがサンドイッチを夢中になって食べたのを覚えていて、その後も必ずレタスとマヨネーズのサンドイッチを作って持ってきてくれた。
 
 ユウキと一緒の時間はいつだって瞬く間に過ぎる。
 見知ったはずの野や山がまったく新しいものに思えるくらいユウキとの一時は楽しくそして嬉しいものだった。

 それだけに一日の終わりにユウキと別れた後には一人寝の夜が堪えた。
 この眠りにつく瞬間さえ、『ユウキが隣にいてくれたらどれだけ素晴らしいだろう?』、『ユウキと一緒に夜空の星を数えられたらどんなに楽しいだろうか』……そんなことを考えながら眠るのがリオルの日課となった。

 そんな切なくも楽しい一時を過ごしたその夏の終わり──二人は森の入り口で奇妙な物をひろった。
 中綴じの雑誌と思わしきそれは、自分達のよく知るマンガとは違いそのページのほとんどがカラーで、しかも紙の質も厚い。
 やや化粧はケバいが、それでも人目を惹く美人の載せられた表紙に興味をかき立てられて二人はその中身を確認する。

 そして開始数ページにして──二人は固まった。

 見開きで二人の目に入ってきたものは女性器に挿入されたペニスの大判であり、その後も似たような写真が続く。
 ポケモンの形をした棒へわざとらしく舌を絡めながらカメラ目線を送るモデルや、はたまた白濁液だらけになった顔で熱っぽい視線をこちらへと向けている女性……リオルはその内容が意味することは微塵としてわからなかったが、それでも謎の興奮に囚われてはそこから眼を離すことが出来なかった。

 そんな秘密の読書会を──ユウキはやおら本を閉じては中断させてしまった。
 突然のその行動と、そしてさらにはその先も見たいリオルは不満の声を上げるが一方のユウキはと言えば、その本を胸に抱いて立ち上がってしまう。
 そこから一体どうするものかと見守っていると……

「リオルん家で見よう!」

 鼻息も荒く、真っ赤にした面持ちで力強くユウキは言うのだった。
 なるほど、そこならばゆっくりと観ることが出来る。願っても無いとリオルもまた頷く。
 最近ではユウキの気持ちというか、リオルは人間の言葉が理解できるようになっていた。
 もっともそれを習っている相手が子供のユウキであるから語彙のレパートリーもたいしたものではないが、それでも日常生活で意思疎通を行うには十分な学習をリオルは得ていた。

 駆け足で森の中を行きながら、二人はリオルのねぐらへと飛び込む。
 そうして若葉のベッドの上に二人で並ぶと、そこから熱心に拾ったエロ本を熟読し始めた。

 そこに描かれていたものはめくるめく官能の世界だ。
 数本のペニスと共にザーメンだらけの笑顔を向ける女性のショットや、騎乗位に繋がりつつもアナルに極太のディルドーもまた挿入しては苦し気に顔を歪めるモデル──それらの露骨なほど下品さを前に出した内容からも、この本はそういった書籍の中でもさらにマニアックな部類に入るものなのだと想像できた。

 そんな本でも最後まで読み終えると、また最初のページに戻っては再び読み直す……その繰り返しを二人は夢中になっては幾度となく繰り返した。
 その数度目の読書の途中、

「ねえ? リオルもこうなってるの?」

 ふいに顔を上げて見つめてきたユウキはそんなことを聞いてきた。
 その質問の意図が分からずに首をひねるリオルに、ユウキは今まで以上に体を寄せる。
 そして伸ばされた手の平は、リオルの股間を覆うようにそこへ置かれた。

 予想だにしていなかったユウキの行動に、リオルは両肩を跳ね上がらせて大げさ過ぎるくらいの反応で応える。……それ以前に、その未知の感覚はまるで自分の体ではないかのようなそれであった。
 何をされたのかも分からず股間を見下ろすと、そこには依然としてユウキの手が蠢いていた。

「リオルって男の子? チンチン出せる? この本みたいなことしよ♪」

 いつもの、遊びに興じる様子のユウキではあるが、その目に浮かぶ好奇の色は明らかに興奮を湛えたものだった。
 自分とユウキのどっちのものとも知れない心音が、互いの皮膚越しに体を打ち合っていた。

 性器をピンポイントでまさぐられるその感触についには座っていらてなくなり、リオルは寝床の上に寝そべってしまう。
 両腕を掲げては仰向けに寝そべるリオルの上に重なってきては、ユウキもまたその股間をまさぐる手の動きをさらに激しくしていく。
  
 逆手に被せた手の平を幾度となく上下にスライドさせていると、やがてユウキの手の平に小さな膨らみが感じられた。
 手を離しそこを見下ろせば、さながら下着ごしに膨らむ男性器よろしくにリオルの股間がこぶ状に膨張していた。
 そんなこぶの頂点には小さな穴が穿たれていて、さらにその奥底には真っ赤な突起が小さく頭を覗かせている。

「なにこれ? お菓子みたいー」

 それを見つけ、ユウキは好奇心のままにそこを指で突き穿つ。
 その無邪気で容赦のない責めにリオルは首を仰け反らせては身悶えた。
 けっして痛みなどは無かった。むしろそれは快感ではあるのだか、いかんせん今日初めて味わうその感覚はまだリオルにはノイズ以外の何物でもない。
 
 もっともそんなことはユウキの都合ではない。
 そんなリオルの反応が面白いのか、ユウキの指先はさらのその責めに熾烈さを増していく。
 ふくらみから頭を覗かせた突起の下にはさらに空間があることが察せられた。その中がどうなっているのか知りたくて、突起とポケットの隙間にどうにか指を差し込んではその内部を確認しようとした次の瞬間──

「きゃあッ? な、なに?」

 突如としてふくらみの中に埋もれていた突起が伸びだしては、その全体を外部へとさらけ出した。
 まるで傷の断面を思わせるような血肉の通った真っ赤な筒身……先細りの先端から溢れ出してきた透明の粘液がその背に伝っては、その剥き出された赤身をさらに鮮明に煌めかせていた。

「へぇ~……これがリオルのチンチンなんだあ……」

 その様に釘付けのユウキと、一方で自分の体の変化に混乱しきりなリオル。
 今日まで生きてきて、ペニスがこんな状態になったのなんて初めてのことだった。
 あの突起が生殖器であることは毎度の排尿で理解はしていたが、それでもその中身がこうまで露出してしまうことなどは無かった。

 はたしてこれは元通りになるものなのだろうか? ……そんな恐怖に駆られては青褪めるリオルをよそに、ユウキはと言えば対照的に大輪の笑顔を咲かせた。
 そして、

「じゃあさ、この本と同じことしてみようよ? じゃあ最初はぁ……これね!」

 そうして傍らにあったエロ本もまた展開させると、ユウキは開いたページをリオルへと示す。
 辛うじて首を起こしてそこを見たリオルの目に入ったものは──勃起した男性器へと口に咥え込んだ女性モデルの顔のアップ。
 そして次の瞬間──感じたこともない衝撃がペニスに走り、激しく肛門が収縮した。

 突然のそれに驚いて自分の体を見下ろせば……──

「えへへ~♪」

 自分のペニスを根元まで加えてしまったユウキが、イタズラっぽく微笑んではピースサインをこちらへと向けているのだった。



第3話・リオルの初精 



 ユウキの行為はポケモンであるリオルにしても不可解なもの……の、はずであった。
 排尿の為の器官を口に咥え、あまつさえ口中で舌を絡めては吸い上げる行為の異様性にもしかし、それを見守るリオルは同時、得も言えぬ快感や充足感もまたそこに覚えていた。

 上目遣いにこちらの様子を窺いながらぎこちなく口元を上下させるユウキの動きに対し、次第にリオルの興奮も昂っていく。
 腰は自然と咥え込む口の動きに合わせて突き上げるようになり、ほどなくして室内には粘膜同士を吸いつかせる軽快な水音が響き始めていた。

 ペニスに感じる陰茎の境界がぼやけては強調されるを繰り返される感覚──ユウキの口の中で溶けて無くなってしまったかのような感覚に見舞われていると、突如意識とは別に肛門が収縮し、その瞬間ペニスには血流が巡っては痛いほどの感覚をリオルに思い出させる。

 そんな緩急に富んだ感覚に晒されていると、やがては強い排尿感もまたリオルは覚えた。
 このままではユウキの口の中に粗相をしてしまうと、行為の中止を訴えようとしたその瞬間──あっけなくリオルは果ててしまう。
 感覚がワンテンポ遅れているかのような制御不能の肉体は、もはや自分の体では無いようだ。

 ユウキの口内に失禁するなどという最悪の事態に陥りつつも、とはいえリオルにはどうすることもできない。……もっとも仰向けのリオルの上にユウキが被さっている状況とあっては、どのみちそこを脱することは不可能であった訳だが。

 しかも尿道に感じる感覚もまた、いつもの排尿のそれとは大きく違っていた。
 尿が激しく流れるような水流ではなく、まるで固形物をひり出しているかのよう尿道に感じる異物感──しかしそれは今までに経験したこともないような快感もまた伴う。
 止めどなく溢れる洟やヨダレなど意に介さず、涙に潤んだ目を剥いてはその快感に忘我するリオル……肛門が収縮し、ペニスの中のそれを送り出すたびに体内を走り抜ける電流は、幼いリオルの脳を無残に焼いては新たな快感をこの幼いポケモンに覚えさせていくのだった。

 そんな焼けるような射精が終わり、ようやく我に返るとリオルはユウキの存在を思い出す。
 慌てて体を起こしては腰元を見遣ると──そこには依然としてリオルの股間に顔を埋めたままのユウキがあった。
 瞳を閉じてはリオルのペニスを咥えたままの表情はしかし、リオルとは対照的に穏やかだった。なおも頬を窄めてはリオルのペニスから残りの精液を吸いだしている様が見てとれる。

 やがてそんなユウキはゆっくりと頭を起こしていく。
 幼い唇の中に埋まっていて赤い陰茎が徐々に露となり、やがて完全にユウキの口から解放されると、ペニスは依然として直室したまま反動で前後に振れた。

 そうしてようやくにリオルとユウキは目を合わせる。
 おそらくはリオルの精液をため込んでは頬を膨らませるユウキを前に、戸惑いから眉をひそめてしまうリオルとは対照的にユウキはにんまりと笑う。
 リオルの上に乗り上げていた体も起こし、改めて座り直すとユウキは両掌を上にしたその中へと……口の中の精液を吐き出して見せた。

 しかしながら口を開けただけでは吐き出せず、ユウキは唇を窄めると唾液と一緒にその口の中のものを押し出していく。
 液体というよりはゼリー状の精液それが、ユウキの艶やかな唇の中からひり出されてくる眺めは官能的ですらあった。

 そうして大半は吐き出しても、口中の粘膜にこびり付いた少量の精液だけはどうしてもひり出すことが叶わない。
 それに対し、ユウキもしばし考えた後……うがいのように頬の膨張を繰り返しては唾液と共に撹拌し、そうして口中の精液を液状化させるとそれ大きく飲み下してしまうのだった。

「へへ~……飲んじゃった♡」

 そうして大きく舌を吐き出して見せては得意げに笑うユウキ。
 一方でリオルはと言えば、そんな自分の精液を飲み下してくれたユウキに再び蒸しかえるような欲情の昂りを覚えてしまう。

「これ……本の中の白いのと一緒だね」

 そんなリオルを傍らに、ユウキは手の平に吐き出した精液を弄んでみせる。
 片側の手中に集めたリオルの精液は真珠のように艶やかで、指先で挟み込むとそのまま摘まみ上げられるほどにゼラチン質でもあった。

 一見したならば洋菓子のようにも見えるそこへ鼻先を寄せてその香りを嗅ぐリオルであったが──途端に鼻を突いた異臭に眉間へとしわを寄せた。
 お世辞にもこれを良い香りとは思えなかった。
 リオルが嗅いだ精液の第一印象は、本当にこれが自分の体から出されたものかと疑うほどに青臭く、悪く言えば薬品的なイメージすらをも思わせた。

 しかしながらユウキはと言えば、

「臭い? でもボクはこの匂い好きだよ♪ スーっとして良い匂い‥…」

 摘まみ上げたそれを自分の鼻先に持っていくと、幾度となくその香りの吸い込んでは深くため息をつく。
 やがては何を思ったのか──ユウキはそれを口の中へと咥え込んでしまうのだった。
 驚くリオルをよそにユウキはそれを咀嚼しては吟味する。そして再びに飲み込んでしまうと、

「なんだろう……すっごい変な味なんだけど美味しい。リオルのオシッコって不思議だね♡」

 驚愕しきりのリオルを見やりながらユウキは微笑む。
 そんなユウキの笑顔に瞬間、リオルは背中が震えた。
 ユウキの笑顔はいつも見ているはずなのに、今見るそれは全く別人のもののように思えたからだ。
 そんなリオルの表情にも気付いたのか、ユウキは見せつけるようにして手の平に残っていた残りの精液もまたすすり上げる。

 わざと音を大きくして下品に吸い込んでしまうと、これまた大きく頬を動かくして咀嚼して、やがては喉を大きく隆起させた。
 そして再び空になった口中を見せつけるや──

「ごちそーさま、リオル♪ リオルのオシッコ、すごく美味しかった♡」

 ユウキはまたしてもあの……リオルを不安にさせる笑顔で笑ってみせるのだった……。



第4話・脳を焼く快感 



「じゃあ……今度はボクだね?」

 言って立ち上がりながらにユウキは短パンを下ろす。
 見守るリオルの前で片足を上げてそれを抜き取ると綿の下着一枚となったユウキの股間が露になり、リオルの視線はそこへと注がれた。

 そうしてユウキの股間を一点に凝視するリオル。
 熱視線の訳はユウキのあられもない姿に興奮しているからではない。
 その顔に浮かんでいる表情はどこまでも怪訝かつ不可思議の面相であり、むしろ己の内に生じた『疑問』を確認すべくに注がれているものであった。

 やがてはそんな下着すらもユウキは脱いで跨ぐ。
 そしてそこに露になったものを目の前にし──リオルは驚愕の真実を知るのであった。

「──え? チンチン? 無いよ、だってボク女の子なのに」

 改めて知らされるその事実に愕然とするリオル。
 今まで同性だとばかり思い込んでいたユウキ性別、はその実『♀』であったのだった。

「もー、そんなことよりボクにもしてよー。ほらぁー♪」

 そんなリオルを前にユウキは尻をついて寝そべると、リオルの前に足を開く。
 リオルもまたその声に我へ返ると、後は促されるままに身を沈めユウキの無垢な股間へと鼻先を寄せた。

 子供ゆえにまだ体毛の一本として生えていない膣と恥丘の眺めは、さながら卵の表面でも見ているような眺めだ。
 その股間に走ったクレバスがそのまま尻の割れ目まで繋がっている眺めに、リオルもそこをどう扱ったらいいものか思案に暮れる。

 とりあえずクレバスの両端に親指を添えて、そして左右にそこを開くと──途端に膣から立ち上がった芳香に噎せてはリオルも咳き込む。
 同時に視界にはチカチカと星が走り、途端に心拍数が上がるのを感じた。

 目の前に展開されるユウキの幼い膣は愛液にまみれ、押し開かれた膣の合間には幾重にも粘液の糸を引いていた。 
 そこから醸される濃厚なメスの香りは、子供のものとはいえリオルの中の『雄』を狂わせるには十分なフェロモンを漂わせていた。

 そこからは我を忘れ、ユウキの膣へとリオルはむしゃぶりつく。……この感覚は初めて彼女の手からもらったサンドイッチを食べた時と似ていた。

「あんッ、いたいー♡」

 まだ間口の狭い膣口を侵入させた舌で押し広げるとユウキが小さな悲鳴を上げた。──がしかし、もはやリオルにも自身のコントロールが利かない。
 ユウキの膣の中で縦横無尽に舌を泳がせては、この膣から滲み続けている全てのフェロモンの元を舐め取ろうと躍起になった。

 同時にリオルのペニスにもまた血が巡っては痛いくらいの勃起を促す。そんなペニスをリオルもまた無意識に握りしめては激しくしごき始めていた。
 場にはそんなリオルのペニスから奏でられる粘着音と、ユウキの愛液を舌で撹拌する水音とが満ちる。

 その中で……

「お、おッ、お♡ おぉッ……♡」

 ユウキの声が徐々に熱を帯びたものへと変わりつつあった。
 頭を投げ出し、瞼の上に前腕を被せた姿勢で幼い体に刻まれ始めた快感を享受しつつあるユウキ。
 それをさらに求める体は無意識に指先をクリトリスの上に置いては、包皮越しにそこを捏ねては更なる快感の一助とする。

 しばしして、そんなユウキの声が途端に甲高いものへと変わった。

「あ、あぁ……ヘン、変だよぉ! リオルぅ、落っこちちゃいそう……!」

 性的絶頂を予期したユウキはそんな言葉でリオルへと伝える。同時に何かにしがみつくように、股座に鼻先を埋めたリオルの耳をハンドルよろしくに握りしめ、

「んあぁッ! ダメェ! リオルぅ、きもちいいよぉーッッ!」

 そして遂には絶頂へと導かれ、一際強くリオルの頭を自分の膣口へ押し当てた瞬間──

「んぎゅぅぅ……んぅッッ♡♡」

 大きく頭を仰け反らせ、子供特有の甲高い声をそれでも低く滲ませながら──ユウキは絶頂した。
 同時に膣から噴き出した愛液がリオルの鼻腔から侵入しては、その高濃度のフェロモンで完全にリオルを窒息させる。

 感電さながらにしばし硬直させていた体もしかし、やがては液体が落ちるかのよう一息に脱力すると……ようやく深いため息をついてはユウキも沈静化した。
 こんな感覚は初めてであった。
 その性的興奮に怖気てしまったリオルとは違い、ユウキはむしろこの感覚を肯定的に迎えていた。
 今もまた更なる刺激を欲し、脳内には次なる快感を迎える為の手段を想い広げたその時──依然として開放していた股座の先にリオルが立ち上がってくるのが見えた。

「リオル?」

 声を掛けるも反応は薄い。
 見れば瞳孔も広がっていて、こちらを真っすぐに向いている視線もどこかユウキからはピントがずれている印象だった。

 この時のリオルは完全に我を見失っていた。
 ユウキの体液によって、まだ肉体の熟成を迎える前にも関わらず強制的に発情を促されては、完全にその肉体と脳とがオーバーヒートを起こしてしまっている状態だった。

 その証拠に痛いくらいに勃起しては屹立しているペニスを前にしてユウキも生唾を飲み込む。
 そして同時に『とあること』もまたユウキは思い出していた。

 それはつい先ごろまでリオルと見ていたグラビアのワンシーン──膣の中にペニスを迎え入れていたモデルのカットを思い出しては、その発想にユウキも生唾を飲み込む。
 そして──

「……ねぇ、リオルぅ? そのチンチンさ、ボクのここに入れてみようよ?」

 言いながら恥丘のクレバスへ人差し指と中指を添えると、ユウキは自身の手で膣の間口を左右に引き開いた。
 充血した肉の断面に、愛液が鈍い光を反射して煌めく様は暗がりで見つめる宝石(ルビー)そのものだ。
 それに引き寄せられるよう、とうに意識など失ってしまったリオルは本能に促されるまま、自身のペニスをユウキのそこへと宛がう。
 
「うわぁ……どんな感じするんだろう……♡」

 先細りのペニスの先端がするりと膣口の中へと侵入していく。
 そしてペニスと膣の粘膜とが互いに触れ合った瞬間、粘膜にまとわりつくその快感を一度に得ようとリオルは──

「え……──ぎゃう」

 一思いに根元まで、血塗られたナイフの如きペニスをユウキの膣内へとぶち込んでしまうのだった。



第5話・キスとキス 



 もはやユウキを案じる余裕などは微塵もない。正常位に乗り上げるリオルはペニスにまとわりつく快感をより得ようとばかり、狂ったように腰を打ち付けた。

 強制的な排尿を促されているようなむず痒さがペニス全体を覆っては幾度となく肛門を収縮させる。
 未知の快感に我を忘れていることも然ることながら、もはや年齢に見合わない繁殖の本能を強制的にこじ開けられてしまったことの暴走こそが今のリオルを動かす動力であった。

 ゆえに始まりこそは興味を持って行われていた行為も、今となってはそこに本人の意思など無い。
 その証拠にユウキの幼い膣を激しいピストンで突きえぐるリオルの顔もまた、苦しみをこらえるかのよう洟と涙とで歪んでいた。 
 もはや意識とは別に動き続けるに至ってはもう、快感よりも酸欠や肉体的疲労といった苦しみの度合いの方が強いくらいだ。
 ただこの行為が早く終わることを頭の中でリオルは懇願し、そして助けを叫び続けるしかなかった。

 そんな折ふと、何かが頬に触れた。
 見れば下に組み敷いていたユウキが両手を自分の顔に添えている。
 おそらくは泣き歪んでいる自分の表情を解そうと撫でてくれていることが察せられた。
 そして不思議とその幼い手が眉間やマズルに寄った皺の溝をなぞって伸ばしてくれると、リオルは意識を覆う靄が晴れる気がした。

 もっと触れてもらいたい……依然として狂暴なピストンは敢行しつつ、リオルはユウキへと顔を寄せる。
 そしてユウキもまたそれを待っていたかのよう両腕を伸ばすや、そのままリオルの首を絡めとっては強く抱き寄せてくれるのだった。

 直後、ユウキの唇がリオルの口をふさぐ。
 さながら噛みつくようにキスをしては、口中に舌を侵入させてきて存分にその中で泳がせる。
 リオルもまたそんなユウキの小さい舌へ自分の舌もまた絡ませると、途端に鼻孔にはユウキの匂いが広がった。

 その瞬間、言いようのない多幸感に包まれてはリオルも鼻息荒くため息をつく。
 荒ぶっていた体は徐々に沈静化していき、無惨にユウキの膣を突きえぐっていた腰の動きもいつしか止まっていた。
 幾度となくキスをして互いの顔を舐め合うなどしてると、ふとリオルは自分が正気に戻っていることを自覚する。
 それに気付くや、まるで落下の悪夢から目覚めた時のように急激に身を起こした。

 見下ろすその先では──依然と繋がったままのユウキの膣が、その恥丘の周辺まで真っ赤に肉を腫らせている様が確認出来た。
 加えてこの間に幾度射精を果たしたものか、ユウキの尻の下には精液が液溜まりとして池を作っている。

 それの事実に戦慄した。
 そして不幸にも冷静になると、脳裏には今しがたまで自分がユウキに何をしていたのかの記憶もまた鮮明によみがえってくるのだった。

 それが申し訳ないのと、そしてユウキを傷つけてしまった事実にリオルの瞳からは大粒の涙が真珠のように零れ落ちる。
 そんなリオルに対して、

「……どうしたの? 痛いの?」

 依然として組み敷いていたユウキが疲れた様子ながらもそんな声を掛けてくる。
 またもその声に我へ返ると、改めてリオルはユウキの頬を舐めた。
 慈しむよう、そして謝るように幾度も舌を這わせると、ユウキもまたリオルが先の蛮行を詫びているのだと察する。

「あはは、うふふ……大丈夫だってー♪ 今は気持ちいいよ?」

 そんなリオルを真似てユウキもまた笑いながらに舐め返した。
 ユウキのそんな気持ちになおさら理性を失ってしまった自分を恥じていると、やがてはペニスの怒張も融けてようやくに二人の結合もまた解かれる。

 押し付けていた腰を離すと、さらにユウキの膣からは大量の精液が雪崩れ出してきた。
 それを見下ろしながら、

「あはは、すごーい。見て見て~♪」

 ユウキは息を止めて腹腔に力を込めるや、膣は放屁さながらに胎内の精液を吹き散らす。
 それを前にして、リオルはそこに鼻先を近づけるとユウキの膣へと舌を這わせた。

 もはや自身の精液が付いていることなどはおかまいなしにそこを舐め、そして胎内のものを吸いだしては自分なりにユウキを労わろうと後戯を施す。

「あ……それ、好きぃ……♡」

 そんなリオルの行為はユウキもまた心地よかったらしく、しばしの間その身を預けてはユウキも事後の余韻に浸るのであった。

 やがてはユウキの膣が完全清められるのを見計らい、

「リオルぅ、こっち来て。キスしよ♡」

 ユウキはリオルを呼ぶや再びキスを求める。
 それを受け、戸惑いつつも口元を腕で拭おうとするリオルを──

「拭いちゃダメ! リオルのオシッコ付けたまま来て」

 ユウキは慌てたように制する。
 やがてはおずおずと近づいてくるリオルをユウキもまた抱き寄せると、先ほどとは逆に今度はユウキがリオルの顔に舌を這わせた。
 口の周りや鼻先についていた精液を舐めぬぐい、さらには再びキスを交わしては互いの舌を絡ませ合うと、ユウキは今しがたリオルが舐め集めてきた精液を味あっては堪能する。

「リオルのオシッコ以外にも味がするねー。これってボクのオシッコの味かな?」

 自身の愛液もまた多分に含んだそれを吟味するや、ユウキはそう言って笑った。
 それを受けて、リオルは静かに目を閉じてはそのキスに身を委ねる。

 この瞬間が永遠に続けばいい──リオルはふとそんなことを思った。
 このささやかな住居と森とユウキ……そんな自分の好きな物だけが満ちた今のこの世界を、幼いなりにリオルは強く愛しく思うのだった。




エピローグ 



 その後もユウキとの交流は続いた。
 子供ゆえの天真爛漫さか、あんなことがあった翌日であってもユウキはこれまでと変わらない友情を示してくれた。

 そのことにリオルは感謝した……事実リオル自身があの経験を経て、僅かながらも今後の付き合いに躊躇を覚えたほどである。人たるユウキならば尚更に深く考えてしまうのではないかという懸念がリオルにはあった。

 それゆえに、以降も変わらぬ付き合いを維持できたのは嬉しいことではあった……が、そこにはあの行為前には無かった付き合い方の変化もあった。

 こともあろうかユウキが交尾にのめり込んだ……。
 それは単に膣へのペニス挿入だけに限らず、何処で得てくるものやらあらゆる婬猥な知識を反映させた遊びにも興じるようになった。

 住処でのそれは元より、森の中や河原、果ては他者の往来だって在り得る森の入り口でさえそれを敢行し、数度かはユウキの家に招かれてそこの彼女の寝室にて求められたことすらもある。

 さらには年月が過ぎ、成長に合わせて格段に情報の収集能力が高まっては金銭的な余裕も生まれると、何処から購入して来るのかそういう行為を盛り上げるためのオモチャすらもユウキは持ち込むようになった。
 そんなユウキの求めに、時にはリオルも辟易としてしまうこともあったが、それでも二人は楽しく青春時代を謳歌した。

 そしてユウキが12歳になったその日──リオルの家に遊びに来た彼女はあることを告げる。

「ボクさあ、ポケモントレーナーになってみようと思うんだ」

 リオルから飲み物の入ったマグカップを受け取るとユウキはそう言った。
 その言葉にリオルはしばし固まる。……その時が来てしまったかとも思った。

 ユウキと付き合ううちにリオルの生活様式にも変化が現れていた。
 どうしても住処で彼女と過ごす時間が長くなることから、その中には他所で調達してきたりあるいは自分で作った家具や調度が取り備えられている。
 各種の食器や調理道具はもとより、簡易ながらベッドも材木を組み合わせて作っては、人がここで過ごすのに不自由がないように設えられていた。
 
 加えていつ頃からか「波動」の力もまた制御できるようになってからは、それを上手く利用した火起こしによって、リオルは遊びに来たユウキに飲み物を振舞えるほどにまでにまで生活水準も進化させていた。

 同時に……リオルはその過程で様々なこともまた知る。
 自分達が『ポケモン』という種であり、ユウキ達『ヒト』とは生物としての有り様が決定的に違うことも。
 聡明なリオルはそれを知ることで、同時にこれがいつか来るユウキとの別れもまた示しているのだと悟った。

 それでもこの頃のリオルはもう、そうした不安に潰されてしまうことはなかった。
 ならばその時までは最高の思い出を彼女に作ってやろうと決意もしたのである。

 それから数年──ついに今日、その時を迎えてしまったのである。

 ベッドの上で素肌にシーツを纏った彼女はマグカップのココアを息を吹きかけながらすすった。
 既に数度の情交を済ませた後の話である。
 その隣にリオルも腰かけるが、ユウキの座高は既にリオルの頭一つ分は大きい。
 自分は依然として出会った頃のままのリオルであるから、それに気付くとユウキの成長を実感しては感慨深くもなる。

 そんなリオルの感傷など気付かぬ様子でユウキは話をつづけた。

「今まで興味なかったんだけど、このあいだテレビ見てたら伝説ポケモンの番組やっててさ。それ見たら一気に引き込まれちゃったっていうか……」

 語りながらユウキは一度としてリオルを振り向かなかった。
 その態度は理解できる。
 別れを告げる瞬間なんて気まずいものだろう。それでもきちんとそれを告げに来てくれたユウキをリオルは嬉しく思う。

 そんな中、突如としてユウキがこちらを向いた。
 顔を向ける程度のものではなく、体ごと向き直ってはまっすぐにリオルを見つめてくる。
 その勢いに羽織っていたシーツが落ち、再び彼女の肌が露となる。

 正面から真っすぐ見つめてくるユウキをリオルは純粋に美しいと思った。
 もはやリオルが思い出と感傷の中に閉じ込めていた幼きユウキはそこにはいない。
 目の前には、自身の意志をまっすぐに告げてくる大人の彼女が居た。

 またしてもそんな感傷に浸っていたから、そこから告げられるユウキの言葉を危うくリオルは聞き漏らしかけた。
 ユウキはまっすぐにリオルを見つめながら言った。

「リオル……一緒に来て! ここを出て、二人で世界を回ろう」

 手を取り、真剣なまなざしでそう告げてくるユウキとは対照的にリオルはあっけにとられた。
 ともに旅立つ──この発想は無かった。

 永くこの森に居続けたせいか、自分だけはいつまでもこの森にいるものだと信じ込んでいた。
 そして彼女も今、そこからリオルを解き放とうとしている。

「ボク一人でなんか嫌だ……最高の瞬間は、いつだってリオルと一緒に迎えたいんだ」

 次々と語り掛けられてくるユウキの熱い思いに触れ、ふとリオルは初めてユウキと出会った時のことを思い出す。
 勇気を出してあの一歩を踏み出した時の光景が、今のユウキと重なった。
 そして誰よりも強く求められているのだとリオルもまた理解した瞬間──彼にもまた変化が現れる。

 突如として体が発光した。
 それに驚く間もなくリオルの小さな体は光に飲まれ、その中で輪郭を失う。
 そして拡散していたエネルギーが凝縮を始め、その光の輪郭を再び別のポケモンの姿に形成させた次の瞬間、さながら超新星を思わせる勢いで光と虹の粉をその場に弾けさせた。

 依然としてリオルの手を握りしてめいたままのユウキはその光の爆発に眼を閉じて衝撃に耐える。
 そうして全てが収まり、恐る恐るに瞳を開けたその先にあったものは……──

「ッ……リオ、ル?」

 リオルから進化したルカリオの姿であった。
 しなやかに伸びた強靭な手足と頑強な胸元の角──座高もいつしかユウキよりも頭一つ大きくなっていた。
 ユウキから共に森を出よう・共に在ろうと告げられたあの時、神様は次なるステージを彼女と歩むための新たな体と強さをルカリオに与えてくれたのだった。

 そんな自分の変化に戸惑うルカリオを──

「その進化、OKの返事ってことだよねッ♡」

 ユウキは正面から抱きしめた。
 強く抱きしめてくる彼女との体格差に、改めてルカリオは自分の進化を実感する。

 正直この瞬間、やれやれとも思った。
 どうやらユウキとの付き合いはまだ続くらしい。
 それでもしかし、今のルカリオには気力がみなぎっている。
 ユウキと一緒ならばどこにでもいけそうな……それこそ、彼女の言う伝説にだって本当に手が届くような気がした。

 そんなあらためての『よろしく』を伝えるようにルカリオもまたユウキを抱き返した。
 この時まさに、二人の旅は幕を開けたのであった──。









【 リオルの幼馴染・完 】























「それにしても……カッコ良くなったねぇ、ルカリオ?」

 抱きしめながら、ユウキの湿った声が耳元でささやかれる。
 同時にルカリオは両肩を跳ね上がらせた。
 いつの間にやらユウキの右手が股間をまさぐっていたからである。

「こっちの方はどれくらい進化したのかな~♡」

 そして次の瞬間には体を預けられては押し倒されるルカリオ。
 進化してすぐのこの現状に……ルカリオは自分の行く末を案じずにはいられなかった。



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Last-modified: 2024-02-04 (日) 06:40:55
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