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【20】感覚遮断 Ⓥ ビクティニ!

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【20】感覚遮断 Ⓥ ビクティニ!

たつおか




 この作品には以下の要素が含まれます。


【登場ポケモン】  
ビクティニ(♀)
【ジャンル】    
感覚遮断落とし穴、機械姦
【カップリング】  
ビクティニ一点責め
【話のノリ】    
ノーマル・一部SM的表現







目次




第1話・らんだの野良ポケモン 



 野生のポケモンは野良猫に似ていると言われる。

 狩りにより自ずの手で食料の確保をする傍ら、人間社会にも適合しては彼らと絶妙の距離感保つ世渡りの上手さがそう評されるのだ。
 しかも遥かに知能も高く、また人の感情の機微にも寄り添える柔軟な思考を持つポケモンは、猫以上に知的でかつ能動的な人間社会との関わり方を確立してもいた。

 ゆえに野生ポケモンの中には、自らの意志により人間社会の仕事に従事してはそこで使用可能な金銭や、はたまた食料の類を獲得する者もいる。
 これこそはポケモン独特の『狩り』の一形態であり、その行動は学識者の好奇心を大いに刺激すると同時に、人の社会もまたそんなポケモンの労働力無しでは回らない構造を構築しているのがこの世界なのであった。

 斯様にして人間社会での立場や役割を持つ野良ポケモンではあるが、これまた『労働』に対するスタンスの違いが見られるところもまた興味深い所である。
 一概にそれは、労働を『好む者』と『好まざる者』の違いであった。

 前者は言わずもがな雇い主に対し従順で、労を惜しまずに仕事へと従事する。
 しかしながら後者はというと──いかに効率的に、かつ労無くして成果を得られるかを考えて立ち回る。……要は怠け者気質の持ち主だ。

 後者には得てして知能の高いポケモンにその傾向が強く、そういった者はとかく犯罪行為に走りやすいと言った一面もまた持ち合わせていた。
 加えてそうではなくとも、労働意欲の低い者はいかにして『楽をして稼げるか』に思考の大半を使っているあたり、その辺は人とも似通っていて面白い。

 人間の倫理をそこはかとなく理解し、犯罪に手を染めるでもない善良な怠け者のポケモンが、ならばどのような手段で対価を得るのか……この章ではそんな思考の持ち主である、『とあるビクティニ』が巻き込まれた騒動についてスポットを当ててみたい。



 彼女ビクティニは自由気ままに人生を謳歌するポケモンだ。

 誰にも・どの組織にも所属しない彼女はフーテンの野良ポケモンではあるが、怠惰で好奇心旺盛の性格故に人間社会から享受される文明や文化というものを激しく欲してはまた求めた。

 欲するのは自由であるが、そうなると当然に先立つものが必要となり、彼女もまた人間社会での狩り……『労働』に従事せざるを得なくなった。

 しかしながらそこは『好まざる者』である。
 ゆえにビクティニはいつも『いかに楽をして稼ぐか』を考えるものの、かといって彼女にはその手段(エンジン)を作り出せるほどの発想力も無ければ、知的作業に従事できる知能もまた持ち合わせてはいなかった。
 結果彼女が辿り着いたそれとは「交通量調査」や自身の「血液の売買」、そしてごく単純な「肉体労働」といった、極力体力を消耗しない方法によって日々の小遣いを稼ぐ程度のものばかりであった。

 そんな折り、ビクティニは実に効率的な仕事を見つけるに至る。
 それこそは新薬の「治験」であり、これは行きつけの血液買い取りセンターにおいて誘われたものだった。

 この労働こそは彼女の性に合った。
 もっともそうは言っても、指定された薬を飲んだ後は数時間から数日を寝て過ごすという労働とは名ばかりの内容ではあったから、怠け者のビクティニとってはこれこそが自身の天職と思えたのだ。

 そんな治験を知って以降、ビクティニは日々研究所や病院といった施設を巡回しては、そういった募集が無いかを探し回るようになる。
 その過程においてインターネットの使用方法も覚えれば、使い捨てのスマホすらも手に入れた。
 斯様にして人間社会に順応しては、彼らを出し抜いたつもりでいたビクティニではあったが……この後に彼女は、手痛いしっぺ返しを受けることとなる。


『新しい治験に参加してみないか?』

 そう誘われたのはいつもの血液を売る献血センターでのことであった。
 そしてその仕事が、相場の10倍ちかい金額であることを聞いた瞬間──彼女はほとんど神経反射と言って良いほどの早さで快諾しては、絶対にそれを他の参加者には教えるなとすがり付いた。

 そもそもが斯様に破格の報酬であることの意味を尋ねたり考えるべきではあるのだろうが、この時のビクティニにはもう、もらった報酬でどう遊び倒すかしか頭にはない。
 もっともそんな彼女の性格はスカウトした側からしても都合がよく、かくしてビクティニは一切の説明を受けることもなく、それを依頼してきた男にホイホイとついていってしまうのだった。

 かくしてこれから自分が受ける仕事の内容すらも知らずにとある建物の前に案内されるビクティニ。
 港湾エリアと都市地域の境目にあるそこのビルは、この現代においてもモルタル塗りっぱなしの壁面に古びたデザインのサッシ窓が数個はめ込まれただけという時代遅れのデザインと、そしてそれゆえに醸されるアングラな気配を漂わせるビルディングであった。

 しかしながらそんなことなど一向に気にならないのがこのビクティニだ。
 そもそもが幾星霜と古びた遺跡の中で暮らしていた彼女にとっては、この程度の年季のビルなど最新鋭のタワーマンションに等しい感覚だ。
 また見た目のうさん臭さとは裏腹に、今回の治験が行われる階層フロアは明るい色調の壁紙に昼白色のLED照明という、清潔で簡素な雰囲気に仕上げられていた。

 そのハイソな病院然とした眺めにビクティニの期待もまたいやが上にも高まる。
 もはやそんな彼女を繋ぎ止める為の鎖も暴力も必要は無かった。
 ただ誘われるまま、施設の研究員めいた白衣の男の後をついていくビクティニ。

 やがてはとある一室に案内され、そこにて彼女はようやくに今回の治験について疑問を持つに至る。


 ビクティニを含む一同の目の前には──落とし穴然とした新円の孔が一つ、床に穿たれていたからであった。



第2話・チョロいお仕事 



 傷ひとつ見当たらないなだらかな床の上に切り取られた正確無比の新円──その内輪にはピンクのカバーらしきものが嵌め込まれており、一目でこれは体を埋める装置なのだとビクティニも理解した。

『それじゃ、今日の治験内容を説明しますね』

 周囲を回り込みながら物珍し気にその穴を覗き込むビクティニの背後から、ここまで案内してきた職員は丁寧に説明を開始する。
 大方の予想通りビクティニには今日この穴の中へ下半身を差し込んでもらい、きっかり24時間を過ごしてもらうという依頼だった。
 その間に穴の内部では彼女の下半身に開発中の麻酔を投与し、それがポケモンの体に及ぼす影響を観察するというのが、今回の仕事の内容である。

 ──がしかし、そんな職員の説明などは既にビクティニの耳には遠い。
 穴の周囲にはこれからの24時間を快適に過ごしてもらうためのゲーム機や各種コンテンツを収めたタブレット、そして多種多様のお菓子に飲み物の類が用意されていたのだが、既に彼女の意識はすっかりそちらへと向いてしまっている。

 とはいえしかし依頼側としてもビクティニに余計な恐怖や疑念を抱かれずに済むのは都合がいい。
 さっそくに彼女には穴へ入ってもらうと、職員一同は手際よくその準備を進めた。

 内輪に仕込まれたカバーの下には低反発クッション材と思しき材料が詰められていて、そこにビクティニが体を通すと周囲のカバーは適度に彼女を締め付けては、その体が脇から下へ落ちないように固定をした。
 締め付けの塩梅もまったく苦にはならなければ、カバー素材も肌触りが良くてそのジャストフィット感はむしろ心地良くすら思えたほどだ。

 そこまでをセットし職員が退室した後は、別室からのマイクによってビクティニに語り掛けが行われる。

『始めますがよろしいですか? ──実験中は自由に過ごしてください。用意したゲーム機で遊んでもらってて構いませんし、持参のスマホの使用も許可します。飲食に関しても好きなタイミングで好きなものを要求してください。用意できる限りのものは用意しますので……』

 その説明の中で一点、『トイレはどうするのか?』という疑問だけが湧いたが、それについてもそのままの状態で垂れ流してしまって構わないという説明がされた。
 これだけが唯一の不満点ではあるが、まあこれも『仕事』である──この程度の不自由は享受せねばと、何様かのつもりで納得するビクティニ。

 やがて脊椎麻酔による薬物の投与が告げられたが、その頃にはビクティニもすっかり目の前のゲーム機にDLされたタイトルを物色するのに夢中で、そんな処置がされたこと自体気づいてはいない様子であった。

 かくして彼女の治験……否、『実験』は開始される。

 職員達が待機する別室はビクティニがいる部屋から半地下に潜った構造となっており、円筒形のガラス管を周囲360度どこからでも観察できる仕組みとなっていた。
 その中央にすっかり脱力しては宙に吊らされた、胸元から下となる彼女の下半身はさながらに歪な果実のような眺めである。

 やがては職員達も研究所の上層部から送られてきた指示書に従って、斯様なビクティニの下半身へと実験を開始していく。
 ヒドイデから抽出されたこの新薬は、部分的な触感及び神経系の知覚を全て消し去ってしまうという画期的なものであった。
 この試薬の驚くべき点は、投与された個所と本人の意識とが完全に隔離されるところにあり、今のビクティニはしっかりとした意識を保ちつつも、これからは下半身に何をされようとも一切知覚をできない状態にあった。

 その確認の為、筒身が真っ赤に焼かれた針金がアーム操作によって近づけられ、やがては彼女の爪先へと僅かに触れた。
 本来ならば熱傷に伴い、その鋭い痛みに反射的な反応を示すところではあるが──一方で上半身のビクティニはというと、用意された菓子を貪りながらメタモンを使ったバラエティチャンネルに爆笑している有り様である。
 
 思惑通りに薬の効果が聞いていることを確認した職員達は、いよいよ以て実験へと本腰を入れていく。

 鉤爪の装着された実験アーム二本を操作し、それぞれ彼女の腰と右足を掴むやそこから万力の如き力を込めてそれを上下に引き伸ばした。
 鈍い重低音が響きアームが離れると、ぶら下がるビクティニの右足は左足よりもさらに半分以上は長く伸びる。──今の操作でこの右足を股関節から脱臼させたのだ。
 さらには左足に対しても同じ処置を行うと、アームで摘まみ上げる彼女の両足は前後左右へと通常ならありえない方向へと展開としてその一時、見守る職員達の失笑を誘う。

 斯様にしてバンザイさながらに両足を吊り上げられるビクティニ。
 さらに前準備として、無防備なその肛門から大量の浣腸が注入されると──即効性のそれは途端に作用しては大量の糞便を排泄させた。
 薬による強制的なものゆえ、この小さな体のどこにこれだけの物が詰まっていたのかと思うほどの大量が、出詰まりを解消された水道管よろしくに排泄される。

 その様子に流石にビクティニも違和感を覚えているのではと、別モニタ上の彼女の様子を観察するが──そこには今自分の下半身にて起きている事態などはまったくとして感じていないビクティニが、昼食のオムライスを凄まじい勢いで食している様子が写されていた。

 この麻酔の効果は、内臓の異変に関する知覚さえも本体の脳から分離してしまうことにもあったが、その思惑もまたしっかりと果されていたようである。
 
 その後も熱や冷気、酸やアルカリといった薬物による熱傷、さらには単純な殴打や針による刺突といった、皮膚表面に対するあらゆる触角と痛覚を試す実験が行われたが、そのどれに対してもビクティニが反応することは無かった。
 それどころか、食を満たされてすっかりリラックスした様子の彼女はその場で大いびきをかいて昼寝しだすという有り様だ。

 かくして実験はいよいよ以て佳境へと入っていく。
 
 次なるは内面からの刺激に対し被験者がどう反応を示すのかを見るべく、ぶら下がったビクティニの体へと数本のアームが迫った。
 その先端には挿入を目的とする役割上から男性器を思わせる形状の器具や、はたまた先細りした筒身にいくつもの瘤を連ならせた器具等、多種多様な道具の類がアタッチメントされている。


 やがては鉤爪型のアームが彼女の腰元を背後からワシ掴んで固定するや、両足を吊り上げられて開帳されたビクティニの肛門へとペニス型の器具のひとつが宛がわれる。
 そうして一切の躊躇も無く次の瞬間には──無遠慮にそれは、その根元まで直腸内へと挿入されてしまうのだった。



第3話・ツケ 



 ローションによる潤滑があるとはいえ、トイレットペーパーの芯ほどはあろうかという径のディルドを根元まで挿入されてもなお……上半身のビクティニには何の反応も表れなかった。

 知覚の一切を消し去ってしまうという効果も然ることながら、そもそもがこの新薬のおかげで筋肉を始めとする一切の緊張が弛緩させられていると言った効果も大きいのだろう。
 
 とはいえ人間用の、しかも20センチを超えるサイズのディルドは実にビクティニの体長の半分を占める大きさであり、それが丸々収められているとあってはそれは、もはや直腸に留まらず大小の腸すらも越えて胃にすら到達しているのではないかと思われた。

 ゆえに幾ばくかの変化でも現れていないものかとモニターを確認した職員は、そこに必死の形相を浮かべているビクティニを見つけては騒然とする。

『やはり新薬は万能ではなかったか』──と思ったのも束の間、ビクティニがゲーム機の液晶に齧りついては躍起になってモニターをタップしていることからそれは、自身の下半身に行われている凶状への反応ではなく、ゲームの向こうにおいてCPUに翻弄されている事への苛立ちを表したものであった。

 その反応を前に実験職員も毒気を抜かれて肩透かしを食らうもしかし、『ならば気付かせてやろう』などと言う、本来の学術的な探求心とはまた別の感情もまた燃え上がらせる結果となった。

 その為の一手として、次なるアーム操作を職員はする。 
 途端、ビクティニの中に収められたディルドは高速回転を始めては彼女の直腸(なか)において暴れ出した。

 元より長さのあるディルドゆえ、根元からの回転が加わるとその先端は大きな振り幅を作りだしては存分にビクティニの内部をかき乱す。

 その勢いたるや、先端の陰影が下腹を、突き上げては皮膚の一枚下に大蛇を抱え込んでいるものかと思わせるほどである。

 そこへさらに上下に抜き差しする運動もまた加えると、いよいよ以てビクティニの小さな体は無秩序に、それこそは台風の日の風鈴よろしくに揺さぶられるのであった。

 ついにはその衝撃に振り切られる形でディルドが外れてしまうと、後には貝の呼吸管よろしくに長く引きずり出された直腸が、大量の腸液を滴らせてはそこにて振り子運動を続けるばかり。

 それを押し戻してやるよう再びディルドが挿入されると、次なるは別の一本もまた迫り、そちらは無遠慮に膣へと挿入された。
 規格外のディルド2本で膣と肛門を埋められたビクティニの局部はもはや、ディルドの質量に押し出されることで会陰や尻の溝が消失し、一個の歪な風船のような有り様をそこへ作り出すに至っている。

 そしてそのディルドが同時、前後に突き崩すピストン運動を激しく展開させると──肛門から挿入されたディルドは下腹の皮膚を突き上げては陰影を浮き上がらせ、一方で膣から挿入されたそれは背面となる腰元の皮膚を突き上げてはそこにペニスの形を浮き上がらせた。

 斯様にして胎内において交差する前後同時ピストンに加え、更なるアームの一本が新たにビクティニへと迫る。
 その先端には先の二本に比べれば遥かに痩身となる、コブの連なる棒状の器具がとりつけられていた。

 そしてそれはコンピューター制御による正確無比さによって修羅場と化しているビクティニの局部へと迫るや次の瞬間──狙いすました標的を彼女の尿道へと定め、これまた20センチはくだらないその筒身を、そこへと挿入させてしまうのだった。

 その後は先の2本に劣らぬ勢いを以てピストンを開始する尿道ディルド──場所が場所であるだけに、挿入の往復に反応しては幾度となく失禁の飛沫を周囲に撒き散らせる。

 この段階において膣・肛門・尿道の3点集中攻撃を受ける形のビクティニではあるが、それら惨状の感覚が一切遮断されている上半身の彼女はと言えば、それは平和というか呑気なものであった。
 すでに実験開始から12時間近くが経過していることから、暇つぶしにすら飽きた様子のビクティニは頬杖などついてはボーっと室内の天井を眺めている。

 そんな彼女の様子をモニターから見守っていた職員達は、この試薬の麻酔の効果を実感しながらもしかし、ならばどうにかビクティニに下半身から下の感覚を伝えられないかと、もはや子供染みたイタズラ心に思考の大半を奪われていた。
 更なる操作によって新たなアームが展開されると、その先端に注射器が装着されたアームがビクティニ迫る。
 シリンジの中見は無色透明の液体である。
 そしてその針先をビクティニの乳首へと狙い定め──無情にもそこへと穿刺した。

 そこから注射器の中身がゆっくりとビクティニの胸元へと注入されていく……シリンジに満たされていたものは生理食塩水であった。
 外部より直に乳腺へとそれの注入が行われることで、たちどころにビクティニの右乳房は肥大を始める。

 その後も注入は繰り返し無尽蔵に行われ、やがては1リットル近い食塩水が注入された後には──その子供然とした体躯には遥かに似つかわしくない巨乳がビクティニの胸元には形成されていた。
 そんな偽りの巨乳を鉤爪のアームで荒々しくワシ掴めば、圧に押されて浮き上がった乳首もまた肥大化をしては、注入の行われた乳口から大量の液体を吹き上がらせた。

 斯様な搾乳の後には腫れた唇の如くに内部からめくり上がった乳口を晒す乳首の中へもまた、別のディルドが挿入されては膣や肛門同様のピストンが始まる。
 もはや今のビクティニに行われている一連の行為は既に『実験』の域を越え、さながらに肉体改造手術を思わせる様相を呈している。

 事実、ようやくに全てのディルドが抜き去られ、体液と鮮血にまみれたビクティニの肉体は……長く引きずり出された直腸と膣口から舌のように吐き出された子宮口にくわえ、尿道は歪に口径を広げたまま戻る気配すらも無い。
 下半身から上の肉体に至っても、食塩水注入による肥大化と強制的な搾乳をされた後の乳房は、伸ばされた乳房の皮膚が垂れ萎んではと、干し柿さながらの見た目を職員一同の前に晒していた。

 そんな状態にまでされているというのに当のビクティニにはといえば……──何やら退屈そうな無表情で自身のスマホに文字を打っていた。どうやらメッセージアプリを使って知り合いとDMのやり取りをしているらしい。

 ポケモンでありながら文明の利器を使いこなすビクティニには、たしかに他のポケモン以上の……捉えようによっては人類並の知能が備わってはいるのだろう。
 しかしながら、それだけの知能がありながらもこんな訳の分からない実験に対し、目先の金銭に釣られて後先も考えずに参加してしまう軽率さには、見守る職員達でさえもが『所詮は動物(ポケモン)なのだな』と内心で嘲笑を禁じ得なかった。



 かくして──途中には私的好奇心に駆られた行動も見られたが、当初予定していた実験のプログラムは恙無く終了された。
 あとは出来得る限り彼女の治療とケアに尽くそうと、再びのアームの操作を行おうとしたその時であった。

 別室モニターのビクティニが小さな悲鳴を上げた。

 その声は瞬間的に身を痙攣させる短いもので、モニター内のビクティニは穴から下に起きたであろう自分の体の──さらに限定するならば、『爪先に生じた』ひりつくような痛みに酷く気を取られている様子だった。

 その動きに、一人の職員はインスピレイションを得る。
 数時間前にビクティニへ行われた接触の履歴をたぐるやそこに、『右足の爪先へ熱傷を負わせた』経緯を発見した。
 それを確認するや職員は、新たにビクティニの現状を録画するよう指示をする。

 そうしてリポートに記された30分後──突如としてビクティニは再びに悲鳴を上げた。
 今度は長く声の尾を引く苦しみにもがく声だった。
 そして限界まで高くその声を発声させ、やがては一息、咳き込むよう吼えるとビクティニは深く頭をうなだらせては荒い呼吸で喘ぎ続ける。──リポートには爪先の熱傷実験から30分後には、左の股関節を強制的に脱臼させた履歴が残されていた。
 この段に至り、職員一同は全ての真相を悟るに至る。

 かの新薬は、完全無欠の麻酔薬などではなかった──その作用中に受けた衝撃や痛みを、時間差で被験者へと伝える効果であったのだ。

 なおもモニターの中からはビクティニの新たな叫び声が響きだしていた。
 それこそは、残る左足を脱臼させられた時の痛みを反映させたものだ。
 

 これより彼女は12時間を掛けて、これまでの地獄を全て味わうこととなるのだった。



第4話・タナトス 



 筋繊維と腱や筋の千切れる音が脳内に響き渡る。
 まさしくに身を引きちぎられる感覚の後に訪れた右股関節への衝撃──その痛みが嵐の如くに過ぎ去り、我が身に何が起きたのかすら理解できず痛みの余韻に喘ぎ続けるビクティニへと、同じ衝撃と痛みとが今度は左足へも行われた。

 言うまでも無くこの穴の下において行われている凶行に彼女も必死にそこからの脱出を図ろうとするが……如何せん体を締めつけている内輪の拘束は緩むことなく、やがては左股関節にも同じような痛みが走ると、再びビクティニは声の限りに叫んだ。

 半ば半狂乱に頭を振り乱しながら室内を見渡すと、そこにこの施設の職員を探す。
 声の限りに叫んでは助けを求めるも、白を基調とした簡素な室内にはビクティニの叫び声が残響するばかりで、一向に助けの手が差し伸べられる気配は無かった。

 この時においてようやくビクティニは自分の無防備さを悔いた。
 いつ何事においても、有事の際には逃げ出せばいいとたかをくくっていたビクティニは、目先の欲に駆られるがあまり自ら拘束される行動を取り、さらにはそれに疑いすらもしなかった。

 その結果がこれであるのだから、自分の馬鹿さ加減を嘆かずにはいられないのだが……そんな感傷も、現状からもたらされる恐怖と痛みを前にしては考えている余裕すらも無い。
 もはや脱出は不可能であることを悟り、次なるはどのような痛みが加えられるものか戦々恐々と待ち受けていると──次にビクティニを苛み始めたのは、腹腔への激しい圧迫感だった。

 肛門に対して重く冷たい流動感が生じる感触に、それが直腸に対する浣腸であるのだと察するに至る。
 大量の薬液注入によって内臓が圧迫される感触は先の脱臼の衝撃とはまた毛色の違うものではあるが、内面へと直に加えられるそれにはまた、耐え難い苦しみと痛みとがあった。

 そしてようやくに注入が止んだかと思えば、今度は腹腔内に収められた薬の効果による腹痛に苛まれる。
 便意というよりはむしろ、腹の中に生じた岩や鉛の塊が内臓を圧迫しているに等しい苦しみにビクティニは、場違いにも昔話の中に出てくる腹に石を詰めこまれる狼と今の自分とを重ね合わせていた。

 そしてもはや、自身の意志とは無関係にそれの排泄もなされる。
 それこそ先に想像した腹の中の石が、肛門を突き破っては尻から流れ落ちる感触には排泄の爽快感などは微塵も無い。 
 それが激しく流動してひり出されている最中もまた、ビクティニは消化器と肛門に覚える痛みに眉を顰め続けていた。

 永遠とも思えるその排泄をしばし経験し、既に疲労困憊といった体で俯せる彼女ではあるが……その後も多種多様な責め苦はビクティニを苛み続けた。
 熱と冷気とを交互に繰り返しているであろう皮膚表面への熱傷を始まりに、おそらくは薬品と思しき何かもまたそこへと浴びせられると、先の傷と合わさったその痛みに、もはやビクティニは人の子供のように声を上げては泣き出していた。

 怒りや懇願や悲しみといった様々な感情が入り混じった彼女のその錯乱具合からも、いかに今の状況がビクティニにとって不条理で、かつ苦痛であるのかが窺い知れる。

 そんな責めも、ある時を境にその手を潜める。
 ここまでに数時間を掛けて一連の責め苦を耐え抜いてきたビクティニには、この合間の休息が僅かながらの命の洗濯であると同時にしかし、むしろこの『次を待つ時間』こそが最大の苦痛であるようにも感じられた。

 願わくばこれにてこの地獄が終わってくれることを祈るもしかし……そのささやかな願いは、おおよそ最悪の形で裏切られることとなる。

 その瞬間は突然に──そして始まるや即、最大限の痛みを以てビクティニを貫いた。

 突如として肛門に焼けるような痛みが走ると同時、一息に腸を直進に矯正しては胃を打ち上げる衝撃に、その一瞬ビクティニは表情を呆けさせる。
 しかし一拍子遅れて内臓への痛みが爆発するや──ビクティニは叫びよりも先に胃の中の内容物を眼前の床へとぶちまけてしまうのだった。

 消化途中であったオムライスの残骸が赤と黄色の汚いグラデーションとなって目の前に広がると同時、斯様な吐瀉物は何度も逆流してはケチャップの風味を含んだ不快な臭気をビクティニの鼻腔から溢れ出し続ける。

 それでもしかし、なおも腹腔内で竜巻の如くに暴れまわる何事かの衝撃に、ビクティニは天を喘いでは吐瀉物を吐き散らしながら声にならない声を上げた。
 腋の下を締めつけて拘束するカバーをその表面が破けて剥がれるほどに握りしめ、直腸を螺旋に掻き回し続けるその衝撃を声で表現するかのよう、強弱の抑揚をつけては叫び続けた。

 やがてはその衝撃ゆえに肛門からその異物が弾き出されると、途端に頭をうなだれては糸の切れた人形よろしくに脱力するビクティニ。
 しかしながらこれが終わりではないことを、この時のビクティニは薄々に感づいていた。
 むしろ今自分が思い描いている展開が起こらないことを彼女は願ったわけではあるが、皮肉にもその想像は最悪の形で己の未来を予知せしめることとなった。

 ほぼ同時に再び肛門と、そして膣とにこれまた特大の硬い異物が挿入されたのである。

 肛門への痛みも然ることながら、特に膣へと侵入してきたそれは一息で深部まで達するや、その先端で無遠慮に子宮口を打ち潰しては更なる悲鳴をビクティニに上げさせる。
 そしてその痛みの余韻も過ぎ去らぬうちに、再び胎内の異物達は激しく彼女の内部で暴れ出すのであった。

 先の大きな旋回こそは為されなかったものの、それでも激しく前後しては内部を突き上げてくる双方の衝撃はそれは激しいものと言えた。
 前方の膣と後方の肛門からそれぞれ進行方向を交差させる様にその異物が突き入れられると、双方はビクティニの胎内において互いの先端を打ち付けつけては子宮と直腸の区別も無く脆い内臓の内壁を存分に傷つける。
 
 そうして互いが擦れ違うと膣の異物は背から脱さんと腰元の皮膚を突き上げ、そして肛門からのそれは腹部を突き上げては、その内側に織り込まれていたヘソの内部を外へ押し出しては。妊婦さながらの様相へとビクティニの腹部を変形せしめる。

 存分に腹腔内を掻き回されては、もはや何がどれに由来する痛みや苦しみであるのかも分からず、ただ無限に続く苦しみにビクティニは翻弄され続けるばかり……。
 しかしながらそれゆえに意識が遠のく感触を覚えては、このまま気絶してしまうことを彼女は期待した。……もはやこの段に至ってはいっそ、早く殺してくれとも思ったほどだ。

 しかしながら常に彼女の予想を上回ってくるのが一連の地獄である。
 そんな朦朧としていた意識を一度に覚醒へと導いたのは──突如として尿道に生じた焼けつくような痛みであった。

 再び、ビクティニは悲鳴を上げる。
 尿道そこに覚えるその痛みは今までに感じたどの苦痛よりもシャープで、一刺しでそれが尿道へと施されたものであると分かるほどの衝撃を彼女に与えていた。

 おそらくは針金と思しき細身の何かが長く激しく出し入れされている痛みに意識が呼び起こされると、途端にマヒしていた膣や肛門の痛みもまたそれぞれに感じ取れるようになっては、再びその苦しみに下唇を噛みしめて耐える。

 そしてこの日、最大となる衝撃が彼女を襲った。

 最初は胸部へと……正確には乳首へと刺突された小さな痛みであった。
 とはいえ、さんざんに局部を苛まれている最中とあっては、ビクティニもその触覚にすら気付けずにいた。
 徐々に変化を繰り返すその異変を察知したのは、胸部に想像もつかない圧迫感と重みを感じ始めた頃であった。

 最初は乳首へ電極を当てられているのかと疑うほどに、そこが一点集中をして痺れる感覚に見舞われた。
 次いで乳房の皮膚表面が無理矢理に肥大化しては四方へ引き伸ばされる膨張感に異変を感じた頃にようやく……この乳房の中へ、外部から何か別の液体が充填されていることにビクティニは気付くのであった。

 この時彼女の頭をよぎった妄想は、このまま注入を続けられ、やがては風船よろしくにはじけ飛ぶ自分の姿であった。

 無理なその膨張に皮膚と筋肉の境目が剥離して、胸部のクーパー靱帯が残らずに切断されると──限界以上にその液体を溜め込んだビクティニの乳房は、水風船のヨーヨーさながらに先端を丸まらせては重力に惹かれて垂れ落ちる。

 その重みと今なお進行形で皮膚と筋肉が連鎖的に胸部から首元へと剥離し続ける感触に、ビクティニはこの日最大の恐怖を覚えていた。
 その瞬間彼女の脳裏をよぎった妄想は、この乳房が完全に重力に負けて落ちた時……自分の肉体の全ても、この胸元から千切れて分離してしまうのではないかという恐怖だった。
 
 しばしして乳房への注入が止む。
 今も液体を大量に宿したまま不安定に垂れる乳房は、なおも続く局部への責め苦からの振動に晒されては、右に左にと揺らいでいるのが感じられた。
 これ以上の刺激を与えてはならないと、苦痛の嵐の中において必死にその揺れを相殺すべくに身をよじっては、振動を吸収しようと無駄な抵抗をした。

 しかしそんな彼女の努力をあざ笑うかの如く……無情の魔の手は、文字通りにビクティニをワシ掴む。
 それこそは背後より新たに迫っていた鉤爪の掌であった。
 3本指のそれが無遠慮に膨張の限界を迎えていた乳房を掴み取るや、そこから万力の如くに力を込めながら、ゆっくりとビクティニの乳房を圧迫していった。

 もはや一切の抵抗を封じられたビクティニはただ、小刻みに頭を振っては恐怖に表情を歪ませながら弱々しく停止の懇願などしてみせる。
 しなしながら、この程度で止めてくれるような手合いらもっと早くに解放されていたことは彼女にも分かっているのだ。

 やがて鉤爪の掌一杯に乳房が充満し、その鋭い爪の先が肉に食い込むとそこから伝わってくる新たな痛みに対し、ついにこの日最大級の恐怖を感じたビクティニは──自分でも意外となる言葉を発した。

 この時ビクティニは、必死の体で母親を呼んだ。

 もはや自身ですら記憶の曖昧な存在の母を探し、その存在しようはずも無い存在へと声の限りに助けを求めては泣きじゃくった。

 それでもしかし無情には鉤爪は圧縮を続けると、その圧に押し出された乳首は異様な形に圧縮されては指々の間から零れ落ちる。
 そうして3本指の掌の中、その乳房の柔肉が二等分に指の間から膨張してはみ出し、ついに緊張の限界を迎えたその瞬間──ビクティニは、自身の乳房が完全に破裂した解放感を知覚した。

 実際は乳房内の液体が乳首より噴出しただけではあるのだが、もはや此処に至るまでの12時間以上を苦痛と恐怖とによって責め苛まれ続けたビクティニの精神はこの時──自身の身の崩壊を妄想すると同時に完全に崩れ去ったのであった。

 そのまま事切れてしまったかのよう頭をうなだれると、遂に彼女は微動だにしなくなる。

 それでも糸のようにか細い自我が消滅を知覚した瞬間──


 このまま死ねることを、彼女は今までに経験したどんな願い事よりも強く、見えない何かに祈るのだった。



エピローグ 



 打ち捨てられるようビクティニは公園のベンチへと置き去りにされた。

 うつ伏せにベンチの上へ突っ伏したまましばし痙攣よろしくに打ち震え続けるビクティニ。
 体には一応の治療はされていたが、脱臼や各部で拡張されてしまった肉体が一瞬で完治しようはずも無く、それら傷跡は今も鈍い痛みを体中に響かせている。
 そんな痛みと疲労に苛まれてはしばし動くことの出来ないビクティニは、先に立つことの無かった後悔と共に、改めて自分の軽率さを顧みては猛省した。

 世の中に楽をして稼げる狩り(仕事)などは無い──有るのだとすればそれは詐欺か、あるいは相当にリスクを伴う内容だ。……まさに今回のように。
 そのことは理解していたつもりではあったが、所詮は『つもり』でしかない認識のビクティニは結局、目先の欲に駆られて都合よくそれを解釈してしまった。

 その結果がこれであるのだから笑い話にもならない訳ではあるのだが、そこは生来のポジティブ思考である。今までしがみ付く様に握りしめていた右手の茶封筒へと彼女は視線を落とした。

 依然としてガチガチに凝り固まった体に鞭を打って身を起こすと、職員が去り際に手渡してくれたそれの中見をビクティニは確認する。
 封筒の間口を菱に開き、片目を凝らしてその中を覗いていた彼女ではあったが──次の瞬間には、痛みを堪えていたはずのその顔は見る間に笑顔へと晴れ渡っていった。
 ……その顔も天真爛漫なそれではなく、片側の口角を吊り上げては下瞼を上ずらせる、どこまでも狡猾で浅ましい笑みではあったが。

 封筒の中には約束通りの報酬が入っていた。
 それどころか改めて数えてみると枚数が二枚ほど多い。
 おそらくは今回負ったケガに対する特別手当と後の治療費を加算したものであろうが、その僅かな増額にまさにビクティニは瞬間、全ての体の痛みを忘れてはガッツポーズを一人取る。

 多少の色が付いていたとしても、今後この傷がもたらすリスクや完治までの治療手間を考えると、この額程度では到底補えるものでは無いのだが、それでも目先の増額という事実しか見えていないビクティニは、これに関しても『自分はツイている』などと思う有り様だった。

 それどころか喉元過ぎれば熱さ忘れるの如くに、今日の治験もまた『耐えられたのならば大したことは無かった』などと考えだしている始末である。
 事実、渡された報酬額に満足感を覚えたビクティニの意識は既に今日の教訓を忘れ、これからこの金でどんな豪遊をしてやろうかという、遊びの算段へと傾いているのだった。

 しばしして大きく伸びをすると、ビクティニは軽やかにベンチを降りた。
 着地の際に股関節が大分痛んだが、そのうちこれも治るだろうと能天気に考えては歩き出す。

 しばらくはコレで遊んで暮らせる。その後はまた割のいい狩りを探そう。……そう考えているビクティニには、すでについ先ほどまでの軽はずみを悔いていた自分などはいない。

 とりあえず肉が食べたくなって、スマホでステーキの高級店などを検索してみる。
 食後はスパ銭など行ってリフレッシュなどしたら、今日は少々割高のホテルなんて泊まってやろうと算段を付けると一人浮き足立つビクティニ……。


 そこにはすっかり元通りの、自堕落で軽率なポケモンが一匹いるばかりだった。








【 感覚遮断 Ⓥ ビクティニ!・完 】
































 ──後日、報酬の高さに釣られて乗り込んだマグロ漁船においてビクティニは、嵐逆巻く漁場の中ゲンシカイオーガと巨大ホエルオーの縄張り争いに巻き込まれては悲惨な目に遭う訳ではあるが……それはまた別のお話に。










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Last-modified: 2024-03-24 (日) 04:59:11
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