第三回仮面小説大会非エロ部門参加作品
※警告します。
・鬱な展開が多い作品です。例えばポケモンの残酷な死、理不尽な暴力的虐待、吐き気を催す邪悪などがあります。精神安定に自信のない方は落ち着いているときに読んでください。万一この作品を読んだことで何らかの精神的障害を負ったとしても当方は責任を持てません。
・本作品は第三回仮面小説大会非エロ部門に投稿された作品の続編ですが、上記のような過激な描写に加え強姦などの官能場面を新たに含んでおります。
・本作品はフィクションです。実在する人物、団体、事件等とは一切関係ありません。専門知識の必要な部分の多くに架空の法則を使っていることをご理解ください。また、主人公を含めた各キャラクターの発言や行動はそれぞれの立場に基づいたものであり、作者個人の主義主張とは必ずしも一致しません。
・渓谷のフラストレーション・上へはこちら
・渓谷のフラストレーション・下へはこちら
☆
★
☆
くくく……
くくくく……
深い、深い闇のそこから、嘲るような笑い声が響く。
くう~くっくっく……
くくぅ~くっくっく……
何度聞いてもおぞましく耳に触る、あのズルズキンの下卑た笑い声は。
俺自身の喉笛を振るわせて、この世に吐き出されていた。
★
あの日、崩落した瓦礫の狭間で、俺は強運にも潰されることなく生き延びていた。
止め処なく、止め処なく、殺した相手と同じ声で哄笑を上げながら。
あぁ、分かったよ。
よく分かったとも。
サワヤタウンの連中は、弱かった。
だから、滅びるしかなかったんだ。
そして俺も、弱かったからみんなを守ることが出来なかったんだ。
こんな、どこもかしこもクソクソクソクソクソだらけの汚らしい世の中じゃ、俺自身がどんなクソよりも臭く汚く気色悪い最低最悪のクソの中のクソにまでこの身を堕としてしまわなければ、何も守れねぇんだ。誰も救えねぇんだ!!
だからさぁ、お前ら。
俺がみんなを救うための、生け贄になってくれよ。なぁ?
★
「い……嫌ぁ……」
踏み付けた爪の向こうで、青ざめた声が震えている。
周囲を見渡せば、切り刻まれて血に染まった白い毛皮の山、山、山。
全部、俺が殺した。
野生のザングースの群れに飛び込んで、抵抗の隙も与えずに漆黒の太刀を暴風のように荒れ狂わせて片っ端から斬って捨てた。ジジババから昨日卵から孵ったようなガキまで手当たり次第に躊躇も容赦もなく八つ裂きにしてやった。
今俺の前脚の下で惨めに震えている若い雌が、このザングースの群れの最後の生き残りだ。
「助けて……殺さないで……殺さないでぇ……っ!」
まだあどけなさを香らせる声で決死に哀願する愛らしい顔に、剥き出しにした牙を見せつけて俺は囁いた。
「いいぜぇ。お前だけは殺さないでおいてやってもなぁ。くくくくっ! その代わり……」
娘の丸っこい身体を仰向けに転がし、強張った後脚と尻尾を強引にこじ開ける。
雪色の産毛にくるまれたクレヴァスが、薄紅色の断面を覗かせていた。
指で押し開くと、尿の臭いと雌の香りの向こうに儚げなベールが揺れている。未使用か。くくっ!
背筋をドス黒い欲求が駆け抜け、下腹の凶器が剥き出しになるのを感じた。
「お前は俺が刻み付ける災いの恐怖を、永遠に負い続けるがいい……くぅ~くっくっく!」
「い……嫌あぁぁぁぁっ!?」
何をされようとしているか理解したのだろう。娘は急激に脚をばたつかせ、俺の顔を蹴り飛ばして身を捻り逃げ出そうとする。
だが俺はその脚を捕らえて這いつくばらせると、背後からのしかかって組み伏せ、漆黒の太刀を一閃させた。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」
千切れかけた白い右耳から迸った紅が、元々赤い左の頬よりも更に紅く紅く彼女の右頬を染めていく。
「別にぶち殺してからヤったって構わねぇんだぜぇ俺としちゃぁ! 死にたくねぇんだろう? だったら自分から尻尾を上げておねだりして見せたらどうだよ。なぁ?」
揺さぶりをかけて屈服を促すが、恐怖に硬直した身体はガタガタと震えるばかり。
「……やっぱ死にたいみてぇだな?」
血塗れの刃を首筋に突きつけてそう脅しつけると、ひぃ、という鳴き声とともに俺の腹の下をもぞりと尻尾が撫で上げた。
「そうだ。それでいい……くくっ、それにしても、いくら助かりたい一心とはいえ自分からこんな淫らな格好を晒すとは、処女の割りに大した阿婆擦れだよお前は。くぅ~くっくっく!」
「やめ……ろ……」
血を吐くような声が、死体の山の中から漏れる。
ふん、まだ息のある奴がいやがったか。
振り返ってみれば倒れ伏した全身ズタボロの雄が一匹、手首から先のない前脚をこちらに向けて喘いでいた。
「やめろ……やめてくれ……彼女を、放してくれ……お、願い…………」
血と泥と涙にまみれた惨めったらしいその哀願を聞いて、娘の瞳が見る見る潤血の涙に溢れかえる。
察するところ、想い合う仲か。
不意にこみ上げた哀れみに怖じ気づき、雄の言うままに娘を解放したい衝動に駆られそうになる。
そんな惰弱な俺の喉笛を、
「くかかかかかか!」
ズルズキンの哄笑が、内側から喰い破った。
精々そこでじっくりと見物してやがれ!
お前が大切に想っていたものが、取り返しの付けようもないほどに穢され、壊されていく、その有様をな!
諦めろ。お前にはもう、何一つ守れやしないんだよ……!!
「くか~かかかかかかかかっ!」
高笑いを上げながら、俺は彼女のクレヴァスに凶器をあてがい、腰を突き入れた。
恋ポケに捧げたかったであろう純血のベールを、一太刀で引き裂いて。
「いやああああああああああぁっ!!」
「うわああああああああああぁっ!!」
揃って上がった悲痛な絶叫を浴びながら、俺は喜悦の赴くままに彼女の秘奥を抉り続けた。
くかかかか。
くかかかかかかかか。
くか~かかかかかかかかかかかかかかかかっ!!
★
恥ずかしながら、俺にとってもそれが初めての経験だった。
感慨に想うほどのことでもないが。
散々嬲り尽くした後、俺はザングースの娘をその場に置き捨てて立ち去った。
最後に振り返った時、彼女は俺の吐き出した災いを股間から垂れ流しながら、悶死した恋ポケの亡骸に縋り付いて泣きじゃくっていた。
その後彼女がどうなったのかは知らない。
生き延びたなら、あるいはどこかで俺のガキを産んでいるのかも知れない。
もしそうなら、どんなおぞましい恐怖の果てに自分が生み出されたのか、その子にしっかりと教えてやるがいい。
それこそが、俺の望むところだから。
★
☆
★
「ったく、馬鹿な雌だ……クソったれ!」
血の海の中に倒れ動かなくなったマッスグマを見下ろし、俺は吐き捨てた。
「もう少しの間言いなりになってさえいれば、お前だけは殺さずにおいてやるつもりだったってのによ……」
★
あれから、食い散らかすような殺戮と凌辱の日々が続いた。
見目のいい雌ならば無駄な抵抗をされない限りいたぶってもてあそび尽くした上で放り出し、それ以外は全て皆殺しにしてきた。やがて犯された雌たちから俺の悪名が広まったのだろう。俺が来るという噂を流しただけでそこにいるポケモンたちが一斉に逃げ出すようになっていった。
いい傾向だ。全て予定通りだった。
逃げ出す奴らにも色々いて、家族を守るために最後まで残って時間を稼ごうとした命知らずもいれば、足手まといになるガキを置き去りにしてスタコラ逃げ出すような輩もいた。そうして残されたガキは最初のうちは始末して腹の足しにしていたが、親が捨てたような子を殺したところで悪名が高まるわけでもない。いつからか使えそうなガキに限っては連れて行って育てることにしていた。手下にしてやった方が効率がいいからそうしたのであって、決して寂しかったからでもなければ絆されたからでもない。断じてない。
気に食わなくなって殺して喰った奴や、むしろ美味そうになったから殺して喰った奴、へまをして死なせちまった奴やついてこれなくなって逃げ出した奴などもいたが、そんな中で生き残った2匹が俺の優秀な手駒として育ってくれた。
その頃俺は戦術を変えた。これまでの野生のポケモンを探し出して強襲するやり方から、嘘の情報を流して何も知らない旅のポケモンを誘い込み騙し討ちにするやり方に。
そして今宵の獲物となったのが、このマッスグマと彼女の夫ですぐ向こうに首だけになって転がっているウインディの2匹……いや、隠れていたのを見つけだし殺して放り捨てたジグザグマのガキも含めた3匹連れだった。
森の奥深くに誘い込んで3匹がかりで襲いかかり、妻子を逃がして立ち塞がったウインディをまず斬殺。その後近くに隠れ潜んでいた妻を捕まえて、夫の生首の前で俺たちの災いを身体中に染み込ませてやった。
その最中俺が奴らのガキを草むらから引きずり出し、手下たちに
〝突進ポケモン〟の異名に相応しい真っ直ぐな突撃を不意打ちの刃で切り倒すのは容易く、手加減を施すにはその突撃は苛烈すぎた。たったの一太刀で彼女は屍へと変わり果てた。
本当に馬鹿な雌だ。かなわないことぐらい分かっていただろうに。なんだって自分だけでも生き残ろうと思わなかったんだ? これで一家3匹全滅じゃねぇか。
ガキなんざお前が生き残りさえすればそのうち俺のが産めただろうによ。お前を守ることも出来なかったウインディなんかの胤がそんなに大切だったっていうのかよ!? 奴の首に見られながら俺たちに犯されてヒィヒィヨがっちまう程度にしか愛していなかったくせに。お前みたいなスベタは、このまま奴と一緒にいたところでどうせその内隠れて他の雄をガバガバ咥え込んだ挙げ句旦那にバレて愛想を尽かされていたに違いねぇのによ!!
ふん、そんなに好きだってんならずっと一緒にいさせてやるさ。もっとも俺たちの腹の中でだけどな。クソになっていつまでも好きなだけベタベタくっついていればいい……
……!?
ふと辺りを見渡し、俺は異変に気が付いた。
「おい、ガキはどこに消えやがった!?」
「へ……ありゃ!? 確かにそこに……?」
そうだ。手下の1匹であるグラエナが鼻先で指し示したその場所に確かに放り出したはずのジグザグマの亡骸が、影も形もなく消え失せている。
馬鹿な……まさか仕留め損ねていたっていうのか!? 母親の死に様に気を取られている間に起き上がってどこかに逃げやがったとでも!?
ありえねぇ。いくら苛立ちに心を奪われていたからといって、足下で動く奴がいて気付かないほど耄碌した覚えはねぇぞ!?
もしそんな隙があったとすれば、母親の苛烈な突撃に相対した瞬間だけ。あんな僅かな間に、チビガキの脚で、森の中とはいえこんな開けた広場のド真ん中から、一体どこにどうやって隠れ失せたっていうんだ……!?
……馬鹿馬鹿しい。何を考えてんだ俺は。あのガキは確かにくたばってたんだ。もっと現実的に考えろ。
死体が自分の脚で消えたわけはないのだから、誰かが持っていったのは間違いねぇんだ。そうだよ。どこかに隠れていたこそ泥があの瞬間に横合いから掠め盗っていきやがったに違いねぇ。
どこだ? 一体どっちに逃げやがった盗っと野郎!?
広場の周囲の木々に風以外で動く気配はない。辺りの地面にも穴を掘った形跡はない。更に詳しく探そうと感覚を研ぎ澄ませた俺の鼻先を、突然冷たい雫が叩いた。
「!? 雨か…………」
ぽつり、ぽつり、ぽつぽつ、徐々に強まっていく雨粒を浴びて、高ぶっていた心が急速に冷めていく。
「ちっ……まぁいい、戻るぞ」
「えー、でもあの、ジグザグマの肉は……」
未練たらしく辺りを探そうとするグラエナを、俺は首を振ってたしなめた。
「確かにガキの軟らかい肉は惜しいが、状況から見て誰かに盗まれたとしか思えねぇ。恐らくもうとっくに喰われちまってるこったろうよ。んなもんに拘っているうちに、隠してあるウインディの肉まで誰かに盗み食いされたら俺たちゃ揃って大間抜けだぞ?」
「はぁ……分かりやした。ジグザグマは諦めやんす。ところで、アブソルの親分。お願いがあるんでやんすけど」
「なんだ? 言ってみろ」
「俺、まだ今回気ぃヤってないんで。*1そいつでもう少し遊ばせちゃくれやせんか?」
好色な期待に満ちた鼻面でグラエナが示したのは、血だまりに横たわるマッスグマだった。
あぁ、そういや俺は最初に済ませたし、もう1匹の手下であるニューラも俺がジグザグマを嬲っていた時に尻穴をヤり終えていたようだったが、こいつだけはまだ出すもんを出していなかったか。
しかし死体でも平気でヤりたがるとは、我が手下ながらつくづくいい趣味してやがる。俺も捕らえた雌を脅す時に「殺してからヤったっていいんだぞ!?」とか言っていうことを聞かせたりはしていたが、いざマジで屍姦してみたら反応がなくてつまらんわ冷たくて気持ちが悪いわ色々と臭い汁が漏れてくるわですっかり萎えちまって以来2度とヤる気なんか起きねぇもんだがな。
「……ま、いいさ。好きにしやがれ」
「へ、へい! ありがとございやんす!」
「俺はニューラを連れて先に戻ってウインディを食い始めとくから、ヤりがてらマッスグマに口をつけても構わんぞ」
と言い残して俺は、マッスグマが抵抗した際に頭を打って気絶したままのニューラを咥え上げ、森の奥へと向けて歩き出した。
悪ぃマッスグマ。前言撤回だ。お前ら一家、クソになっても泣き別れだわ。惨めなこったなぁ……くくっ!
「それじゃ、遠慮なく。ぐへへ……」
とグラエナは血と雨にまみれたマッスグマの骸を咥えると、先刻まで彼女を嬲っていた場所に、即ちウインディの首の前へと引きずっていった。おいおいあくまで旦那に見せつけようってのかよ。とことんろくでもねぇなお前。ま、俺が言えた話じゃないけどな。くくくっ!
なぁウインディさんよ。てめぇの女房が目の前で輪姦されて息子共々殺されただけじゃ飽き足らず、今度は屍まで穢されて貪り喰われようとしてるんだぜ? 悔しかったらそろそろその牙を振るってみろよ。怒りの炎を上げてみろよ!
無様だな。
お前にはもう、何一つ守れねぇよ。
ふと思い付いた俺はニューラをその場に置いて振り返り、マッスグマに覆い被さっていたグラエナに呼びかけた。
「おい、マッスグマは好きなだけ食っても構わんが、ウインディの首級はそのままそこに置いておけよ!」
「へぇ、何ででやんす?」
首を傾げたグラエナの問いに、俺はニヤリと笑って答えた。
「本来ならマッスグマに俺という災いの恐怖を世にふれ回らせる予定だったが、くたばっちまったからな。代わりに旦那のその馬鹿でかい首級をこの見晴らしのいい広場に晒して、見つけた奴にこのアブソル様の実力を大いに警告してもらうのよ! くか~かっかっか!!」
勢いを増した雨の中、俺は哄笑した。
遠雷が、遙かに轟き渡った。
★
これからも俺はもっと殺し、もっと犯し、もっと壊し続けてやる。
今はまだ野生のポケモンを残虐に狩り潰すだけだが、いずれ俺たちの悪名を聞きつけた命知らずの人間がやって来るだろう。そいつが俺をゲット出来るだけの実力のある奴ならば、今度はそいつを足がかりに人間社会にまで俺の災いを振りまいてやる!
そうさ。この世のどんな災いよりも恐れられる最恐にして最凶の、まさしく災恐にして災凶の災いに、俺自身がなってやるのさ。近付いただけで誰もが恐れ逃げ出すような嫌われ者にな。
そして本当の天災を予知した時、俺がその現場に行くことでそこの住民たちが俺を恐れて逃げ出してくれたら。彼らに他のいかなる事情をも越えて逃亡を選択させるだけの絶対的な脅威になることが俺に出来たなら。
そうしたら、みんなを救えるだろ?
聞く耳を持とうともしない奴らや持ちたくても持てない奴ら相手に無駄な時間を費やして警告を訴えるより、よっぽど手っ取り早くて効率的ってもんだぜ。くく~くっくっく!
差し当たってここの森はそのための予行演習みたいなもんだ。
ここの裏手にそびえる山は、一面に致死性の猛毒を含んだ草や茸が生い茂る毒の山。耐性を持たないポケモンが知らずに迷い込んで犠牲になる件が後を絶たない。
だから俺が救うんだ。呼び寄せた獲物を直前のこの森で派手に襲撃し、俺への恐怖を広めさせて誰もここに近付けさせなくすることで。
痛めつけた奴に毒の山の真実を教えて放してやればその情報も広まっていく。長期的に見ればより多くの命を救えるはずだ。犠牲にする奴らにゃ悪いが、精々美味しく供養させてもらうさ。
何一つ守れないお前らの代わりに、俺が世界を守ってやるよ。
そのためになら、世界を滅ぼすことだって喜んでやってやるさ!!
くかかかかっ!
くかかかかかかかかっ!
くか~かかかかかかかかかかかかかかかかっ!!
★
☆
★
心折れてしまったあの優しいアブソルが、いつか安らぎの地に還り着けるように。
ところで。
愛を失ったポケモンが、報われない想いを力に変える。そんな切ないポケモン技をご存知だろうか。
ある国*2では、その技の名をこう呼んでいるそうだ。
『
★
ホドモエ鉱山の若社長ヤーコン氏の尽力と、被害にあった人々の決死の訴えが実を結び、悪徳企業の陰謀が暴かれてラスター工法が建設業界から駆逐され、その製法がネジ山の奥深くに封印されるのは、もう少し後の話になる。
意見欄で微エロの是非について確認した大会初心者w作『からたち島の恋のうた・暁光編*3』
~渓谷の
ノベルチェッカー結果
・上下のみ
【合計枚数】 263.8枚(20字×20行)
【総文字数】 78126文字
【行数】 5276行
【台詞:地の文】 42:58(%)|33033:44978(字)
【漢字:かな:カナ:他】 23:59:5:18(%)|18240:45734:4040:13807(字)
・終章含む
【合計枚数】 287.6枚(20字×20行)
【総文字数】 84873文字
【行数】 5751行
【台詞:地の文】 40:60(%)|34160:50568(字)
【漢字:かな:カナ:他】 23:59:5:17(%)|19823:49764:4406:14826(字)
――こういうことだったのです。
「とりあえず、あのクソ長い仮面名へのツッコミは勘弁しておいてやるぜ。この万年初心者め!」
★
四の五の言うより前に、まずは大会時からの主な修正点を。
・×ホドモエシティの市長→○ホドモエ鉱山の社長
ネジ山の権利云々で察した方がいるかも知れませんが、トミ・アクツ社の連中が話題にしていたのはヤーコン氏です。
肩書きをソウリュウシティのシャガ市長と思いっ切り混同してましたorz
・×ラスター鉱石→○ラスター合金
2話では合金だったのに4話ではなぜか鉱石に。最初の表記に統一しました。
・×メガドレイン工法→○
こちらも3話と4話で呼称ミス。3話を書いたとき最初メガドレイン工法だったのを
・×周辺の岩石を寄り合わせて→○周辺の岩石を挟むように寄せ集めて
渓流の水が塞き止められていた原因を説明する場面で、まるでラスター合金が周囲の岩石をくっつけたかのような説明をしていましたが、ラスター合金の特性は「同じ合金同士がくっつき合う」もの。周囲の石を無差別にくっつけるわけじゃありません。なので複数の破片が周囲の石を挟む形でくっついたという説明に変更。
・×母ちゃん→○お袋さん
アブソルがソアタやチネちゃんのお母さんを呼ぶときは『お袋さん』で統一していましたが、最初の一回だけ『母ちゃん』と呼んでいました。彼は自分の母親のことはそう呼ぶので間違えたのでしょう。
小説のキャラだって生き物ですので、発言がすべて正しいとは限りません。土石流の時間が迫る中アブソルくんがラスター合金の名前や災いの原因の説明を間違えたのも焦りからでしょうし、トミ・アクツ社の連中は酔っ払っていましたので色々言い間違えても仕方がありません。ね?
「だからなんで俺たちのせいになってるんだよ!? 全部お前の失敗じゃねぇか!」
……いやほら、これも初心者に成りすますための。
「そんな言い訳が通用するとでも思ってんのか!!」
その他主な変更点。
・アブソルがギアルに脚を挟まれたときのキリキザンの台詞が『備えあれば憂いなし』と自分が失敗しかけたと認めるようなことを言っていましたが、彼女の性格からすれば嘘でも初めからギアルの隠れている道にアブソルを誘導したと言いそうなのでそのように変更。
・ニヒトが天災のせいにしようとした場面で『我々も被害者』という認識を追加。もちろんアブソルに一蹴されますが。
・『天災だから悪くない』と言い訳するニヒトに対しアブソルは大会中には地震についてしか追及しませんでしたが、土石流に関してもそのずっと前にズルズキンに対し『異変が見えてんのなら原因も調べやがれ!!』とモノローグで返していますのでその件も追加。
・『愛したかったのに。ただそれだけだったのに』というアブソルのモノローグは『宙ーそらー』の歌詞をヒントにしたものですが、他にも『宙ーそらー』の歌詞を元にしたモノローグをいくつか追加。敢えて明記しませんので探してみてください。
★
……さて、解説ですが。
とりあえず終章の衝撃展開を見て何事が起こったのか分からないと言う人は、終章後半の場面を別方向から書いたこちらの作品をお読みください。
えぇ。まさかの同一個体です。
つまり上記のページや『ピッピ人形』のコメント欄で予告していた『裏エピソード』とは他でもない本作の事だったのです。
『ピッピ人形』のコメント欄では、『ポイズンテールの裏エピソードを発表するより先に、この作品のあとがきとコメントへのレスを書く』と言いましたが、Wikiが落ちたことと掲示板を盛り上げる目的もあって、結果的に本作が『ポイズンテールの約束』の裏エピソードであることを公開する方が先になってしまいました。
「よく言うぜ。元々それは〝発表〟するより〝書く〟方が先だって意味しかなかった癖に!」
★
ことの起こりは3年前。イーブイスタジオ(現ドーブルパーク)のポケモンの官能小説Ⅸスレに『ポイズンテール』第02話を投稿したとき、読者の方から頂いた感想がきっかけでした。
・>>なぜ三匹が襲ってきたのか気になるところですが……続きに期待しています。
このコメントを頂いた時点で僕は、襲撃者たちのことを単なる野生のならず者としか考えていませんでした。けれど確かにただ野生というだけにしては彼らがあの一家にした行為は非道過ぎます。それにこの時点で用意していた第03話でマッスグマを斬殺した直後に見せたアブソルの表情、ウインディの首級をその場に残していった事。これらの状況から考えて、彼らにはその実力を誇示しなければならない何らかの事情があったのではないか? と考えるようになりました。
思えば彼らのリーダー格アブソルといえば、本来は災害を伝えようとしてその原因と誤解され追われるという悲しいポケモンとされています。そのせいで救いたかった誰かを救えなかったアブソルは、無力感の反動から『強さを示さなければ誰も言うことを聞いてくれない』と思い込んでこんな凶行に及んでいるのではないか、と。
そこまで考えたところで、『ポイズンテール』第03話の投稿の際に僕は先のコメントにこう返信したのです。
・ただの野生にしては夫の亡骸を見せ付けながら妻を輪姦するなど凶悪すぎる理由についてはまた別の物語で語られる予定になっています。
その別の物語こそが、3年の時を経て発表に至った本作と言うことになりました。
ただ、その時点ではまだ過去に何があったのかまでは具体的には考え付いていなかったのですが。
★
今年の春、僕は年甲斐もなく激しく公憤していました。何の事件に対してかは具体的には書きません。お察しください。
起こるであろう災害に警告を発し続けていた人たちが、実際その通りに災害が起こって大変な被害が発生したにも関わらず「災害が起きて喜んでいる」などと罵られ、更に被害が拡大しないよう声を上げても「不安を煽って風評を広めている」と批判され、酷い場合は暴力的な弾圧までされる有り様。そんな彼らが、僕には一般に言われるアブソルの姿と被って見えて仕方がなかったのです。
丁度そんな折、今回の仮面小説大会の開催の報がありました。頭の中が公憤で詰まっていた僕は、いっそこの苛立ちを小説にする事で晴らそうと思い付いたのです。災いを伝えようとして追われるアブソルの悲劇を、現代社会を風刺する形でアレンジして。
報われないアブソルたちの悔しさを伝えるため、結末は『目の前の敵は倒せても誰も救えず、本当の黒幕にも手はまったく届かない』というアンハッピーエンドにすることと、大会後の追加エピソードで『ポイズンテールの約束』と繋げることはすぐ決まりました。
災いの原因となる技術を架空のものにしたのは、現実の技術を使うと本筋と関係ないところで揚げ足を取られて全否定される恐れがあったため。そもそも訴えたかったのは技術自体の善悪ではなく、その技術を推進している人の論理の善悪でしたから。
やれ「技術の推進に反対している奴はその恩恵を得るな」とか、
「天災で起こった事故は管理者には責任はない」とか、
「大きな事故が起こってから反対を騒ぐ奴は目立ちたがっているだけ。反対するなら事故が起こる前からしろ」とか、*4
「反対するなら対案を出せ。対案もない癖に勝手なことを言うな」とか。
そんな屁理屈の数々に突っ込むことさえ出来れば、技術そのものは架空のものでもよかった。否、ポケモンのタイプ相性を利用した架空の技術こそ、説明しやすくポケモン小説らしい理想の技術だったわけです。
タイトルは終章の最後で述べた通りの理由で『フラストレーション』を軸に、警告をするアブソルのフラストレーションとその警告に応えられない渓谷の村のフラストレーションというふたつの意味を持たせて『
結末も設定も決まったし、参考になるネタも揃っているし、ひと月もあれば書き上げられるだろう。締め切りまで約2ヶ月。エロ部門に書く予定の僕のROMのオノンドたちの話をその後に書く時間は十分にある……と思っていたのですが。
なぜか書けども書けども終わらず、やっと完成した時には〆切直前。試しにノベルチェッカーにかけてみて唖然呆然。なんと78000字オーバー! かつてその長さに驚愕したにはいちさんの『愛の妙薬』の約74000字を知らない間に越えていました。なんぞこれ。
「どんだけフラストレーション溜め込んでたんだよあんた……」
その後皆さんに大迷惑をおかけしつつも『血脈の赤い糸』を書き上げたのはそちらに書いた通り。重ねがさね本当にすみませんでした。
☆
キャラ解説
・アブソル
コンセプトは〝たとえ作者が僕だとバレたとしても、あの『ポイズンテールの約束』に登場した陰虐外道アブソルの過去の姿だとは絶対気付かれないほどのいい奴〟。ゆえに特性は〝正義の心〟。
ただし挑発使いのため口は悪い。口癖は「くそ」「クソったれ」。
基本
訴え続けることの無力さに絶望したアブソルは、
一方ラストの一文では、地道な訴えを重ね続けた人たちが解決への道を貫き通しています。
ホドモエジムのトレーナーによると、ヤーコンさんは昔一度どん底まで落ち込んだことがあるそうです。きっとこの時も利権企業の妨害工作で様々な辛い目にあったことでしょう。それでも決して挫けることなく、各地方の被害者たちと手を取り合ってラスター工法を撤廃へと追いやったのです。
アブソルだって本当は、そんな形でみんなを守る自分であり続けたかったはず,いつか彼が正義の心を取り戻す場面を描けるよう、僕も頑張りたいと思います。
・ニヒト
〝アブソルがどんな汚い罵詈雑言をぶつけても、こいつに対してならと読者に納得してもらえるような悪党〟を目指し、いわゆる〝御用学者〟たちをモデルにひたすら卑劣で下劣で愚劣なキャラに仕上げました。やり過ぎて「あれぐらいじゃまだ足りない」と逆の意味で納得されていないかも知れませんが。
死に至るまでアブソルに害をなし続けた上、死んでも真の悪である会社上層部にスケープゴートにされるだけ。存在それ自体が災いとは、彼に対してこそ捧げられるべき言葉でしょう。
・カマラ&マーシー
カマラさんは〝サワヤタウンの原罪をアブソルの前で具現化する事によって、アブソルの正義の心にとどめを刺す役〟
マーシーさんは〝抵抗叶わず打ちのめされる無力な姿をアブソルに客観的に見せ付ける彼の分身〟
そんな弱さを見せるための役だからこそ、普段の彼らは強く優しい母父を思わせる人物として描きました。
・ソアタとその親父さん&チネちゃん
〝大人の勝手によって踏みにじられる子供たち〟
こんな作品に可愛い子供が登場した時点で不幸だったとしか……(涙)
チネちゃんが踊らされたおまじないや、ソアタのお父さんが無理矢理理不尽な謝罪をさせられたこと、その後ソアタの両親が世間から隔離されたことなどはそれぞれ別々の元になった逸話があったのですが、もう最近の情勢でも同様の事例がゴロゴロしてるっていう……つくづく鬱になる昨今です。
・見廻りのおっちゃん
割と出番が多かったのに、名前も付けられていない謎のキャラw
っていうかぶっちゃけると、モブを便利使いしていたら勝手に出番が増えちゃったんですwww
きっとアブソルとは名前を呼ぶまでもなく気軽に付き合える仲だったのでしょう。
・その他ポケモンたち
今回僕の作品としては珍しく主人公を除けば人間キャラが中心の物語になりますので、もっとポケモンを出してバトルとかもさせようかと思いました。
で、アブソルを苦戦させるために、悪技4分の1の悪ボケたちに格闘技を持たせて出してみたんですが。
「このサディストめ……くそ、あんな奴らどこかで馬鹿力を修得させてもらってりゃ楽勝だったのに!」
ホウエン地方に教えてくれる人がいればよかったんですがね。
とにかくこいつらがやりたい放題暴れる暴れる。悪ポケモンってつくづく美味しいですw
ズルズキンを採用したことは、『ポイズンテール』のアブソルの笑い声の元にしたのを某曹長ネタに偽装出来たので一石二鳥でしたwww
キリキザンとドクケイルを雌にしたのは、少しは色気も出した方が喜ばれるかなと思ったからです。
「終章のザングはともかく、あんな婆さんたちで色気の追加になるかっつーの!」
工夫団とサワヤタウンのポケモンに関してはホウエン地方にいるポケモンから選ぶ予定だったので、最初ローブシンの役はカイロスのはずでした。それがローブシンになったのは、「建築の会社にドッコラー系がいない方がおかしい」と投稿直前に気付いて差し替えたからだったり。
「ンなことやってっから遅くなったんだろーが!」
☆
・大会で投票して頂いた方々へのレス
・アブソル「世界の破壊を防ぐため!」
・グラエナ「世界の平和を守るため!」
・アブソル「愛と真実の悪を貫く!」
・グラエナ「ラブリーチャーミーな敵役!」
・アブソル「アブソル!」
・グラエナ「グラエナ!」
・ニューラ「ニューラでげす。ケケッ」
・アブソル「銀河を駆けr……」
・グラエナ「あの親分、チーム名なんて決まっていやしたっけ?」
・アブソル「締まんねえぇぇぇぇぇぇっ!!」
・ニューラ「ニャーんてニャ♪」
・狸吉「そういうことはトリックルームでやりなさいよ君たち……」
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