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Entrainment

/Entrainment

 ※警告!!※
・本作品はR-18指定作品であり、非常に過激な表現を含みます。あらかじめご注意ください。
・以下、ネタバレにつき反転表示↓
飲精フェラチオ、クンニリングス、触手、NTRレイプ、羞恥プレイ、♂×♂、放尿



 10万ボルトの電光が、空気を裂いて俺を撃つ。
 視界がモノクロに明滅し、衝撃が骨の髄まで揺さぶってくる。
 感覚が蝕まれ、意識ごと持っていかれそうになるのを、俺は咥えた葉っぱを噛み締めて堪えた。
 落ちるわけにはいかなかった。我がトレーナーロカさんの戦力は、俺の他に水ポケモンが一頭だけしか残っていない。彼女が電気技を受けたなら、俺よりずっと痛い思いをするはずだ。そんなことになる方が、この身を打たれるよりよっぽど痛い!
 彼女は俺が守る。そのためにも、俺が勝利を掴み取ってやる!!
 闘志を込めた双腕を、電流に逆らい振り上げる。
「そこよタクマ! 掴んで!!」
 ロカさんの導きを信じて、光を貫く一歩を踏み出し、硬い鉄の感触を掌に捕らえた。
 果たしてそこにいたのは、紛れもなく電撃の主、対戦相手のレアコイル。
 連なった3つの鉄眼(コイル)から、それぞれ生えるU字の腕の内、最も右手側の腕の先端と基部とを、俺は捕らえていた。
 反射的に振り解こうとする動作に、同調する方向へと腕を押し上げる。
 勢いを加えられて後方に揺らいだところで、今度は逆にこちら側へと体重をかけて引きずり込む。
 揺さぶられてバランスを崩したレアコイルが、磁力で繋がった身体を押し合わせて、ガリガリと耳障りなノイズを上げた。
「今だ! 行けぇーーーーっ!!」
 号令にタイミングを合わせ、旋風の如く踵を返して懐に身を躍らせると、自慢できない長さの脚を背後に蹴り出し、レアコイルの崩れた体勢をわずかに支えていた重心点を、足裏で打ち払いつつ自らの腰ごと跳ね上げる。
 たちまち――
 俺より何倍も重いレアコイルの群体が、山裾を吹き荒ぶ嵐に舞う木の葉の如く軽々と宙を飛んだ。
 ひっくり返っていく景色の中、相手トレーナーの顔が垣間見えた。
 自ポケが弱点の格闘技を食らおうとする場面を目の当たりにしながらも、その頬に浮かんでいるのは余裕の笑み。
 大方、頑丈さを特性に持つレアコイルなら、例え弱点技を急所に受けようとも耐え切れると考えているのだろう。ここまでの10万ボルトで体力がレッドゾーンに達している俺など、体勢を立て直す前に追撃を加えて倒せると踏んでいるのだろう。
 お生憎様、だ。
 掴んだ腕を軸に錐揉みしながら、レアコイルは3体まとめて弧を描き、真っ逆様に落ちて脳天の急所から次々と地面に炸裂していく。グワワワァンッ!! と、激烈な振動が腕の中で暴れる。
 相手トレーナーが持つモンスターボールのインジケーターが、緑から黄、赤へと見る見る内に色を変え……一気に、暗転した。
 同時に、掴んでいた硬い質感も掻き消えた。
「何ぃぃっ!? え、あ…………」
 ボールの安全装置にレアコイルを回収されて、相手トレーナーの表情も色を変える。困惑、そして狼狽へと。
 今更計算違いに気付いたところでもう手遅れだ。向こうの手持ちはあのレアコイルが最後の一体。つまり、
「レアコイル戦闘不能! よって勝者、ロカ!!」
「やったあぁっ!!」
 審判が告げた勝利に、ロカさんが上げる勝ち鬨の声。
 俺もやり遂げた誇りを拳に込め、天に高々と突き上げてみせた。

 咬ませ狸第四回帰ってきた変態選手権参加作品
『からたち島の恋のうた・怒涛編』
~Entrainment~

 ○

 カロス地方南東部にある高原の街、キナンシティは、その中心に大型バトル施設〝バトルハウス〟を据えるポケモンバトルの中心地として世界的にも有名な場所である。
 ロカさんもまた、そのバトルハウスで奮闘するトレーナーのひとりであった。
「今回の勝利で、遂にバトルポイントが目標値に達しました! みんな、本当にご苦労様! 特にタクマ、よくあのレアコイルの攻撃を耐えて一撃で決めてくれたわね! 偉い偉い!」
 オレンジの髪をボブカットに切り揃えたロカさんが、横に流した前髪の下に満面の笑顔を浮かべて俺の頭を撫でる。
 大したことじゃないさ、とクールに決めようとしたが、癖っ毛のところをクシクシとされると頬がニヤケるのを抑えられなかった。
「それじゃあジョーイさん、この仔たちをお願いしますね」
「はい。お任せください」
 俺たちの入ったモンスターボールが、ポケモンセンターの受け付けに預けられる。
 バトルの傷の手当てではない。バトルハウスの控え室で適切な治療は施されている。ポケセン入りは検診と休憩を兼ねたロカさんの計らいだった。
「ロカさんの言う通り、今日はタッ君頑張ったね」
 隣りを運ばれる青いダイブボールから、涼風のように心をくすぐる声で呼ばれて、俺の鼓動が跳ね上がった。
 ダイブボールの中に浮かぶ、流麗な曲面のシルエット。ディッシャーで盛り付けたミントアイスみたいな蒼く丸い顔立ちを、ふわりと飾る雪のように真っ白なお髭。その髭の間から光を放つナイフ状の鋭い牙と、対象的に鋭さを感じさせないどこまでも円らな黒瑪瑙(オニキス)の瞳。
 先のバトルでロカさんの手持ちに残っていた一体にして、ロカさんの現パーティーのエース、トドグラーのコヨミさんである。
「タッ君が物凄く頑張ってくれたから、今夜は特別にサービスしてあげましょうか。フフッ」
 ダイヤモンドダストの煌めきをまとわせた微笑みでそんなことを言われて、頬を加熱させて頷く以外の何ができるというのだろうか。
「それじや、また後で、ね」
 まろやかな笑顔が、パーティションに遮られる。
 俺は熱に浮かされた眼差しで、彼女の消えた方向をじっと見詰めていた。
「ムフフ……」
 担当のプクリンおばさんが上げた意味深な含み笑いに、ハッと我に帰る。
「『今夜は特別サービス』って、夜のデートの話だろ? こりゃ検査するまでもなく健康そのものだねぇ」
「……そうだよ」
 否定しようものなら、コヨミさんに確かめに走られかねなかったので、俺は渋々頷いた。
 コヨミさん、俺の頑張りを見ていてくれたのはとっても嬉しいけど、お願いだから少しは周りの耳も気にしてください。
「何だったら、今夜のために勉強していくかい? 育て屋で使う参考資料があるんだけど」
 と、プクリンさんは光ディスクメディアのケースを取り出した。
 露骨に扇情的なポーズを取ったレパルダスの写真がジャケットを飾っていて、書かれているタイトルは〝雌豹のいたずらナイト〟……何の参考資料なのか、実に分かり易い。
「いらないよ! そんなの必要ないから!!」
 眼を白黒させて、俺は余計な気遣いを断った。
「だ、大体、この前TVのニュースでやっていたよ!? 手持ちのポケモンたちに交尾を強要して、その様子を撮影して売りさばいていた悪い人間が捕まったって! 保護された仔は、雄も雌も酷く傷付いていて、『もしあのビデオを恋ポケに見られたらって思うと、怖くて生きていけない』とか言っていたんだよ。そんな悪いビデオだったら、俺、絶対見たくもならないからね!!」
 キッパリと言い切ると、プクリンさんはケラケラと笑い出した。
「いやいや、それはポケモン協会が認めていない〝裏〟の業界の話だよ。これはちゃんと協会の決めたルールに沿って作られた〝表〟のビデオだから。役者ポケモンたちも交尾の演技をしているだけで、実際には入れちゃいないのをカメラワークでごまかしたりしているのさ」
「……そうなの?」
「そうそう。だから安心して見てお行きよ。交尾は演技でも演技は本気だから、ちゃんと勉強になるよ」
 ううむ、問題がないなら興味がないわけでもなし、将来のためにも見ておいて損は……
 と、思いかけたところで、俺の顔をニヤニヤニヤニヤ覗き込んでいる桃色の顔に気が付いた。
「いらないってば! パーティション一枚隔てた向こうにコヨミさんがいる状況で何を見せるつもりだよ恥ずかしい!?」
「一緒に見ればいいじゃないか」
「最悪だ!!」
「あのトドグラーさん、たしか鈍感だろ?*1隣りで掻いてても気にしやしないんじゃないのかい?」
「俺が一方的に気になるから! 患者をからかうのもいい加減にしてよ、もう!」
「はいはい、そんじゃ、今夜は頑張んなよ。ただし」
 大きな碧色の眼差しを不意に鋭くして、プクリンさんは言った。
「夜遊びするのはいいけれど、トレーナーさんに迷惑をかけることにはならないように。分かってるね?」
「……はい」
 携帯用の小物入れを抱き寄せて、俺は頷いた。
 まぁ、必要になることにはならないだろうけれど。

 ○

 キナンシティの北端、街の景観を一望できる小高い場所に、泉を取り囲んだささやかな公園がある。
 およそどこでもこういう場所は、人間の庇護下にあるポケモンたちが、夜な夜な人々の目を盗んで密やかな愛を交わすものと相場が決まっていた。
 今宵もまた、悪戯な夜風が運ぶ甘い囁き声を、星灯りの煌めきがロマンティックに飾り立てている。
 草葉の向こうで営まれているであろう行為を想いながら、木製ベンチのしなやかな感触に腰を預けていると、
「お待たせ」
 鈴の音のような声が響き、青白いトドグラーの姿がランプの灯りに照らし出された。
「みんなにお願いしてきたわ。待っててくれるって。予定通り、今夜はタッ君をたっぷりと楽しませてあげられるわよ」
 朗らかに微笑むコヨミさんに、とろけるほど火照った頬を向けて照れ笑いを返す。初めてじゃないのに、もう何度もコヨミさんに世話をしてもらっているのに、いつまでたっても子供じみた興奮を抑えられないことが、恥ずかしくてますますドキドキを激しくさせてしまう。
「じゃあ、始めましょうか。足を開いて、タッ君」
 艶を含んだ誘いが、ベンチに座る俺の身を解かせた。
 無防備に晒した股間に、丸く蒼い頭がそっと滑り込む。
 フサフサとした髭が、内股をくすぐったく撫で上げる。
 ツン、と奥まで突き進んだ鼻先が、そこに芽吹いたタケノコを冷たくつついた。
「あっ…………」
 思わず、喘ぎが喉笛を貫く。
 刺激を受けた俺のタケノコが、硬く膨らむのを感じた。コヨミさんの、目の前で。
「フフフ……」
 微笑みからこぼれた吐息が、股座を吹き抜ける。
 更に数回、コヨミさんは鼻先でタケノコの感触を確かめた。
「硬いなぁ……前よりももっと硬くなってる。きっと、タッ君が強くなった証よね」
「でも……小さいよ」
 照れ臭さの余り、我が身を卑下してみる。興奮から醒めて振り返ったら、ちょっとへこむかも知れない。実際、サイズにはまるで自信がない。
「でもねタッ君、強いポケモンほど、雄の子のサイズは小さいって言うわよ? 強さの分だけ安全を確保できるから、小さくても確実に交尾できるんですって。だから自信を持っていいわ。張りの方が重要ですもの」
 恥じらいもなく交尾の話題をされて、意識してしまった想いを隠しようもなくタケノコに示しつつ、俺は曖昧に頷いた。
 確かに俺のような陸上の獣系ポケモンは、肉食の大型な種族ほどそういう傾向が見られるが、水棲の獣系に限っては大型肉食ポケモンでも巨根が多い。水中に身体を適応させた分、交尾の際に腰を入れにくくなったのをサイズでカバーしているのだろうが、それにしても羨ましい限りである。
 そんなわけで、もろ水棲のトドグラーであるコヨミさんの見解が、単に事実を挙げたのか、それとも無理して言ってくれたのかは……確かめない方が精神衛生上賢明だろう。
 丹念にタケノコを弄った後、コヨミさんは根元の玉に舌を這わせてきた。
「んくっ…………!」
 氷ポケモンらしいヒヤリとした体温にねっとりと絡みつかれて、背筋をゾクリ、とした感覚が駆け上がる。
 舌のみならず、更にコヨミさんの唇が持ち上がり、タケノコの根元を下から咥え込む。硬く凍てついた氷の牙の間で、2つの玉がくるくると転がされる。
「あっ、ああぁ……っ!」
 練ったソフトクリームのように、冷たく、滑らかで……そして甘い感触が、俺の急所をこねくり回してもみしだく。
 尻の穴がギュッと縮む。タケノコが、先端を透明に濡らしてビクンビクンと跳ねる。
「コヨミさん……もう、俺…………っ!」
 限界を訴えると、コヨミさんの口がひと際大きくガパァッと開いて、今度こそタケノコを玉ごとまとめて飲み込んだ。
「ーーーーっ!!」
 声にならない雄叫びを上げて、コヨミさんの蒼い頭をまるでそここそが彼女の腰であるかのように掻き抱き、一心不乱で突撃した。ふっくらとした頬と髭が、それを受け止めた。
 沸騰した滾りがタケノコを貫いて迸り、コヨミさんの咥内深く熱を放つ。
 ゴクゴクと喉が蠕動して、噴出したものを全て飲み込んだ。
「ハァ、ハァ……あぁ、コヨミさ…………んんっ!?」
 けれど、彼女の攻めは、俺が放ち終えても止まらならった。
 萎え落ちたタケノコと玉に、なおもしゃぶりついて熾しにかかってくる。
「こ、コヨミさん!? あの、俺、もう終わって……!?」
「んむ……あのね」
 一旦口を離し、コヨミさんは雪花のような笑顔を俺の股座に散らせて言った。
「みんなには、3回まで待っててくれるようにってお願いしてあるの。だから、今夜はたっぷり、ね」
「ふえ!?」
 驚いて身体を強張らせた俺の返事を待つことなく、コヨミさんは鼻先で再び猛然と俺の玉を転がし始めた。
「ぁう、ああああ、あぁ~~~~っ!?」
 堪らず一杯に開いた口から、葉っぱが唾液の糸をタラリと引いてこぼれ落ちた。
 
 ○

 寄せては返す快楽の波に身を任せていた最中。
「トドグラーさ~ん」
 木陰の向こうから、潜めた声がコヨミさんを呼ぶのが聞こえた。
「お楽しみのところすまねえが、そろそろこっちも頼むよ。もう坊主は3回はイったろ?」
 ちゅぽり、と萎え切ったタケノコから口を離したコヨミさんは、もういい? と視線で俺に尋ねてくる。とっくに3発目は出し尽くしていた。
「うん、俺はもう十分だよ。行ってあげて」
 頷いて促すと、コヨミさんの顔が大きく持ち上がる。
 俺は眼を閉じて、頬を刺す心地よい感触を受け入れた。
 眼を開けると、既に俺から離れて声が待つ木陰へと歩み寄っていくコヨミさんの背中が見えた。
 木の枝を揺らして現れたのは、この辺りで顔役を務めているグランブル。
 牙を剥いた顔を俺の方へ向けてニヤリと笑みを浮かべたので、手を振って愛想を返すと、グランブルはコヨミさんの前にドッカリと胡座をかいて座り込む。
 その開いた股座に、瘤の付いた逞しい逸物が赤々と屹立していた。 

 コヨミさんは、俺の大好きな先輩で、いいコトをたくさんしてくれるけれど、残念ながら俺の恋ポケというわけではない。
 深夜この公園に通う多くの雄ポケたちに、分け隔てなくその唇を捧げる、みんなの恋ポケだ。
 だから、先刻まで抱いていた丸い頭が、グランブルがかく胡座の中に沈むのを見ても、グランブルの厳つい顔がたちまちトロットロに緩んでいくのを見ても……嫉妬とか、特に感じない。むしろ後輩として特別に可愛がられて、今夜なんか真っ先に3発も飲んでもらってることを誇りたいぐらいだ。おかげですっかり賢者モードに入っていることもあって、今は格別に穏やかな心で彼女の雄玉回しを眺めていられる。
「ふぅ~、良かったぜ。いつもありがとよトドグラーさん。さて、と。次はこいつを世話しちゃくれねぇかい」
 グランブルが木陰に手招きすると、闇の中にほのかな灯りが列を成して浮かび上がった。
 おずおずと歩み出たのは、かなり大柄なシルエット。胴は紡錘形で、半透明の表皮の奥から妖しい燐光が爛々と輝きを放っている。胴の上端が広がって2本の大きな触腕を形成しており、その付け根に短めの触手と嘴の生えた顔を持つ、それは異形のポケモンだった。
「このカラマネロ、つい最近この公園で夜遊びを始めたらしくてさ、見かけに寄らずまだ全然初心なんだ。ちょっくら揉んでやっておくれよ」
 グランブルに背中を押されて、カラマネロは照れ臭そうに触手をまとめて下げる。
「ど、とうも、いかにもグランブルさんの言う通り、俺、経験ないから……お、お願い……かぁぁっ、恥ずかしいです。えへへ…………」
「フフ、こちらこそよろしくね。それで、どこを揉んであげればいいのかしら?」
「は、はいっ! ここです。ここが俺の…………」
 顔のすぐ下、触腕の付け根となる襟とでもいうべき場所を開いて、カラマネロは懐をコヨミさんに見せた。
「あらまぁ可愛らしい」
 覗き込むなり、雄に対してそれはいいのかと思える言葉を弾ませて、コヨミさんはそこへと口付ける。
「あ……んはぁっ…………!」
 カラマネロは触腕を彼女の丸い頭に巻き付け、うっとりと眼を閉じて胴の発光体を明滅させた。
「あぁ……いい感じ…………んくぅっ!」
 ブルブルと触腕が戦慄いた瞬間、コヨミさんの瞳がパチクリと瞬く。ゆっくりと顔を離した彼女の牙の間に咥えられて、ちゅるり、と何か白いチューブ状の物がカラマネロの懐から抜き出された。
「む……、これはなぁに?」
「ハァ、ハァ……あ、それ、精莢(せいきょう)って奴です。中に入っているの、俺の子種でして。はい…………」
「へぇ、これが…………」
 コヨミさんも初めて見るらしく、興味深そうにしげしげと弄んでいる。カラマネロに取っては懐を舐められていた時よりも恥ずかしいことなのか、顔を真っ赤に染めて俯いていた。
「あ、あの、そんなの捨ててくれていいから……」
「ううん、頂くわ」
 心から楽しそうに笑う唇で精莢の先端を咥えた彼女は、チューブの腹を両の前鰭で挟み付けてギュッと絞った。
 ちゅん、と一瞬で透明なチューブを残し、中身がコヨミさんの口内に飛び込む。まるでそれ自体が1匹の生き物であるかのように頬の中で暴れ、喉の内側を躍らせて、ゴクンと落ちてようやく鎮まった。
「ほふ……元気のいいお子さんだこと」
「あぁ……俺のを飲んで頂けるなんて、嬉しい! 感激ですぅ…………」
 すっかり茹で上がった頬を触腕で隠し、嬉しそうに身体をくねらせるカラマネロ。水辺タマゴグループの生態はよく解らないが、コヨミさんのような雌に奉仕を受ける雄の悦びには種族を問わない共感を感じられた。
「そんじゃ、次は俺っちの番だな」
 満足そうな顔を何度も下げて退いたカラマネロに変わってのっそりと進み出たのは、身体中に毒々しい疣をぶら下げたガマゲロゲ。
 タマゴグループが違う俺から見れば触れるどころか近付くことすら躊躇われる外観だが、コヨミさんは嫌な顔ひとつせず、一番触りにくそうな場所に平然と口を付ける。
 元々崩れているガマゲロゲの表情が、ますますぐにゃりと緩んだ、その時だった。
「も……もう待ってらんねぇ! ヤらせてくれっ!!」
 鼻息も荒く闇を蹴散らして飛び出たのは、大きな瞳をギラつかせた巨大なカイリューだった。
「な、何でぇ!? 今は俺っちの番だぞ、割り込まないでくれよ!?」
「邪魔する気はねぇよ! こっちは空いてんだからいいだろうが!!」
 ガマゲロゲの抗議に唾を飛ばして応え、カイリューはコヨミさんの背後に回り込んで、足鰭へと黄金色に光る爪を伸ばした。
「お、おいっ!?」
 突然の暴挙に、俺は慌てて跳ね起きた。
「やめろ! 彼女はフェラチオ専門だぞ!?」
「っせえな、このスキモノがんなケチ臭いこと言う雌か!? へへ、心配すんな、出す時は外にしてやるよ!!」
 身勝手なことを口走りつつ、カイリューは掴んだ足鰭をこじ開けようとする。だが、
「む……だぁめ」
 瞬間、巧みにうねった蒼い身体が、カイリューの不埒な手を振り解いていた。
 ぎょっと目を剥き、ますますいきり立って迫ろうとするカイリュー。しかしコヨミさんはすかさず顔を上げて振り向くと、
「おあずけ、ね」
 あくまでも柔和な微笑みを湛えたまま、黒瑪瑙(オニキス)の眼差しを弾かせて、端から見ても眼が眩むぐらい刺激的なウインクを、カイリューの剥いた目玉に突き刺した。
「は……ぉあぉぉ…………っ」
 途端、カイリューはへたり込んで地面に突っ伏す。
 骨の髄までメロメロを沁み透され、くの字に折り曲げた背筋を狂おしげに戦慄せたまま動けなくなったカイリューを尻目に、コヨミさんは何事もなかったかのような笑顔を再びガマゲロゲの股座に沈めた。
 さすがはコヨミさん。毎夜何頭もの雄の玉を手玉に取っているだけあって、あしらい方も堂に入ったものだ。
 とりあえず、こんなところで潰れられてちゃ目障りなので、カイリューを広場の隅まで運ぼうと手をかける。と、白く透き通った触手が黄金色の胴に巻き付いた。
「重いだろう。手伝おうじゃないか」
 親しげな声の主は、先刻のカラマネロだった。フニャフニャと骨のなさそうな見た目とは裏腹な剛力で、デップリとしたカイリューの身体が易々と持ち上がる。
 露わになったカイリューの顔は、白い側を向けた眼と荒く息を吐く口とを虚ろに開き、涙と涎をだらしなく垂れ流していた。恐らく意識もまともに保ててはいまい。
「どうするんだい、このイカれカイリュー。叩きのめして公園の外に放り出す? それとも、さっき帰ったグランブルさんのところに連れていって処分を任せるかい?」
「いや」
 個人的感情としては激しく飲みたいカラマネロの提案を、しかし俺は退けた。
「隅っこの木にでももたれさせておけばいいよ。順番がきたらコヨミさんが舐めにくるから」
「あんなことをした相手でもかい?」
「うん。誰のものにもならない代わりに、誰にだって施しをしてくれる。そういう雌なんだよ彼女は……。まったく、こいつも馬鹿な奴さ。待ち切れないなら自分で適度に発散しておけばいいものを。欲張って手を出したばっかりに、これからしてもらえても全部記憶の外じゃないか。もったいない」
 やれやれ、とばかりに肩を竦めて見せる。実際、大して時間はかからなかった。残った雄たちを全員手際よく片付けて、コヨミさんがこちらにニコニコとやってくる。
「お待たせ~、カイリューさんの番だよ」
「本当だ。懐が深いなぁ」
 感心して声を漏らしたカラマネロに、俺は笑みで同意した。
「行こう。後はコヨミさんに任せておけばいい」
 カラマネロと並んで遠巻きに見守る中、コヨミさんはぐったりと横たわるカイリューの腹に脇から這い登る。既に先走りどころか白濁液まで滲ませてそそり立っているモノに鼻先を寄せて、赤黒く充血した竿筋をそっとひと舐めした。
「んぐあ、あぁ…………っ!」
 たったそれだけで、カイリューは悶絶したまま、尻尾を波打たせて放出した。
 ドクッドクッと脈を打って撒き散らされた白濁液を、コヨミさんは一滴も残さず舐めとり、竿に残った分も絞り出して飲み干していく。
「……もったいないって、君は言っていたけど」
 その様子を見ながら、カラマネロは俺に囁いた。
「アレはアレでさぁ、意識朦朧のままイカされるっていうのも、それなりに結構快感なんじゃないか?」
「気持ちいいかも知れないけどさ」
 カラマネロの言葉を認めつつも、俺は頭を振った。
 夢精の記憶を思い起こせば、確かに気持ち良くはあるのだろう。だけど。
「だけどあんなの、全然幸せじゃないよ」
 夢精や自慰ならいざ知らず、愛し合う相手がいる行為なら、お互いに幸せになれるのでなければやっぱりもったいないと思うし、何より相手に失礼だ。
「そうかい。快感があっても幸福がなきゃ駄目、か。なかなかの至言じゃないか、うん。その点俺は良かったよ。ちゃんと幸せにしてもらえたからね。……いい雌じゃないか、彼女」
「だろ! 俺の自慢の先輩なんだ!」
 破顔して、俺はカラマネロに頷いた。
 俺自身が幸せだったかどうかなんて、言葉で示すまでもない。
 言うまでもなく、誰に言われるまでもなく、そして疑いの余地もなく、今夜ここにいる雄で一番幸せなのはこの俺だ、と。
 心の底から、俺はそう思っていた。

 ○

 それから数日が経った昼下がりのこと。
 同じ公園に、俺はひとりきりで遊びにきていた。
 たまたまこの日はバトルの予定もなく、自由時間が与えられていた。昼の公園には、仮設されたテーブルにどこかのトレーナーがサービスでポフレを置いてくれているのだ。
 幸いにして席は空いていた。赤と黒の縞模様に飾られたパンクなテーブルに着き、ロカさんの髪みたいなオレンジ色のカラムクッションの上に立ち、テーブルの上に山積みにされたポフレから、スパイシーな香りのする黒いのに手を伸ばして、
「隣、いいかな?」
 聞き覚えのある声に、振り返った。
「あれ、君は……!?」
「やぁ、その節はどうも。タッ君……だっけ?」
 あの夜会ったカラマネロだった。長い触腕でどこかから運んできた捻れスプーン型のクッションを、了解も得ずに隣りに下ろしてちゃっかりと身体を委ね、さっさとポフレを啄み始める。その馴れ馴れし過ぎる態度が、少し気に障った。
「タクマ、だよ。この前知り合っただけなんだから、名前で呼ぶこともないと思うけど?」
 余所の地方では知らないが、この辺では余程親しくならない限り種族名で呼び合うのが通例である。
「まぁまぁ、いいじゃないか。この場所で同じ雌に子種を飲んでもらった仲なんだしさ。俺の事も名前で呼んでいいよ。アイK……ゲホッ!?」
 ポフレが咽せたらしい。不自然にフラットな発音で言いかけた名前を、カラマネロはアクセントを正して名乗った。
「アイクっていうんだ。よろしく」
 アイク、ね……。進化前のマーイーカ(Maaiika)から、真ん中だけ取ってアイク(aiik)ってところだろうか。
「で、あの夜のイカしたトドグラーさんはコヨミさんっていうんだよね。彼女は元気?」
「うん。今日はトレーナーのロカさんに連れられてオンナノコ同士のショッピング中。彼女、ロカさんの一番のお気に入りだからね」
 コヨミさんの話題を振られて饒舌になってしまったのは、彼女のことに関しては俺が一番よく知っているんだぞ、という見栄からであることは否定できない。
「コヨミさんの名前、最終進化系のトドゼルガの全国図鑑No.から付けられたんだぜ。いつか進化する日を見越してね」
「成る程~、そりゃあいかにも期待されてるって感じじゃないか……543番だっけ?」
「365番! 1年の日数だから(コヨミ)なの!!」
「あ~、あはは、そっちだったかい。成る程成る程」
 ちなみに、関係ないけどNo.543はフシデである。念のため。
「いやぁ、君、本当にコヨミさんのことなら知らないことはない感じだねぇ」
「へへっ、まぁね」
 感心されて気を良くし、俺はもう一度スパイシーポフレに手を伸ばす。

「やっぱりそれは、コヨミさんのことが好きだからじゃないかな」

 取り損なった黒いポフレが、テーブルの上に転がった。
 もし口に入れていたら、盛大に吹き出していたかも知れない。危なかった。
 カラムクッションに腰を下ろして、深く深呼吸。至って落ち着き払った表情を作って、俺は返事を返す。
「もっちろんだよ。大好きに決まってるさ、憧れの先輩なんだから。お姉さんみたいに……」
「それだけ挙動不審を目一杯かましたんじゃ全然誤魔化せていないから。どう見てもそういう意味以上に好きなんじゃないか」
 そのまま突っ伏して、テーブルの角に頭をぶつけた。
「何で、分かっちゃうんだよ……?」
「俺、エスパーだぜ? 耐性のない格闘タイプが考えていることなんか筒抜けでお見通し……待て待て冗談だよ。本気にすることないじゃないか」
 身構えて尻込みした俺を、アイクは苦笑いして呼び止めた。まったく、洒落にならない冗談はやめて欲しい。
「本当は、以下の状況から総合的に判断しただけさ」
 頭の触手を順に立てながら、アイクは説明を始めた。
「コヨミさんに咥えてもらっている時の君の表情、コヨミさんが他の雄を咥えている時に君が送っていた視線、カイリューが狼藉を働こうとした時に君が取った行動、俺とコヨミさんの話題をしていた時の君の様子……あと、グランブルさん以下数名が君に対して見せていた遠慮がちな態度も、ね。多分、みんなとっくに気付いていたんじゃないかなぁ」
「すみません勘弁してください……」
 盛大に頭を抱えて呻く。これじゃまだしもエスパー能力の仕業だった方がマシだった。しかし言われて見れば、思い当たる節が有り過ぎる。
「……だからって、何だっていうんだよ?」
 顔を上げて頭を振り、俺は気を取り直した。
「どうなるものでもないだろう? コヨミさんの唇は、みんなのものだ。それを俺が勝手に独り占めにしようとしたら、一番困るのはコヨミさんなんだからな。俺、どんなにコヨミさんが好きでも、好きだからこそ、コヨミさんとの関係を壊すようなことしたくないよ。今でも十分特別に可愛がってもらっているんだしさ」
 今度こそ澄まし顔で、俺は言い切った。正直な気持ちだったからだ。
「だけどね、タクマ」
 俯いた俺の背後から、アイクが囁く。
「カイリューの台詞じゃないけれど……後ろは、空いているんじゃないか」
 その言葉は。
 否応なしに、俺の心臓を揺さぶった。
「唇はみんなのものでも、そこは別じゃないか? 独り占めを宣言したって、みんなを裏切ることにも、コヨミさんを困らせることにもならないんじゃないか?」
「……無理だよ!」
 激しく首を振って、俺は甘い誘惑を振り払った。
 考えなかったわけじゃない。
 考えなかった日なんて、ない。だけど……。
「同じトレーナーの仲間たちにも、コヨミさんに告白した雄は何頭もいるんだ。でも、みんな舐めてもらうだけの関係に終わってる。誰も彼女の足鰭を開かせることはできなかったんだ! まして、身の丈もタケノコもチビスケな俺なんか、コヨミさんが相手をしてくれるはずがないよ!! 」
「君なら、足鰭を解かせられるんじゃないかと思うけどな」
 肩に触腕がかけられ、首の向きが固定される。
「身体の大小なんか、一体何だって言うんだ? 君どころかコヨミさんや俺よりも遥かに大きいカイリューに臆することなく抗議した、その侠気こそ雌が惹かれるところなんじゃないか?」
 黄金の光を帯びたアイクの視線が、真一文字に俺と向かい合う。
 ふと、まるで自分がアイクと背を並べているかのような錯覚を感じた。
 あぁ、それでもまだ、コヨミさんに手が届くものでは…………

「コヨミさんも、君に脈があるんじゃないかと俺は思う」

 10万ボルトよりも激しい、それは衝撃だった。
「まさか、そんな……」
「いくら可愛がっている後輩へのご褒美だからって、特別に想っていないなら3発も連続で飲むかと思うかい? 彼女の唇しか知らないなら、雌の心理とかは解り難いんじゃないかとは思うけど……」
「余計なお世話だよ! っていうか、アイクだって俺のこと言えないだろ!? コヨミさんの前で童貞丸出しに緊張していたくせに……」
「俺のことはどうでもいいんじゃないか? 君とコヨミさんの関係について話をしているんじゃないか。話題を逸らして誤魔化すのはいかがなものかと思うけど?」
 逃げ場を失って、俺の心が立ち竦む。
 荒れ狂う鼓動が、期待なのか恐れなのか判らなかった。
 混乱の極みに達した俺の肩を、アイクの触腕がポン、と叩く。
「ひょっとして彼女もまだ、本番の経験はないんじゃないかな? なまじフェラチオが上手いからってね」
「うん……俺の知る限りだけど」
「だったら、処女ってことじゃないか。きっと恥ずかしくて、自分からは誘えないんじゃないかな。君の方から誘ってくれるのを待っているって思わないか?」
「そう……かな?」
「もちろん、そうだとも!!」
 不規則だった鼓動が、急速に期待の、希望の形を描いていく。
 コヨミさんをこの手に抱く、俺の姿という形を。
 もう、それをただの夢にしておくことは、俺にはできなかった。
「よし、だったら俺も心を決めた! 帰ったらすぐにロカさんに相談して、コヨミさんと一緒に育て屋に連れていってもらえるように……」

「……本当に、それでいいかなぁ?」

「えっ…………?」
 励ましが導いた希望に、導いた当のアイク自身から疑問符が打たれる。
「育て屋行きを思い立ったのはいいよ。でも、ご主人様の都合に合わせていたら、いつ育て屋に行かれるかなんて分からないだろう? 悠長に待っている間に、コヨミさんの心が変わってしまったら元も子もないじゃないか」
「い、いや! コヨミさんは、そんな簡単に移り気するような雌じゃ……」
 描いた希望に縋るように言い返したが、アイクは厳しく現実を伝えた。
「間違ってはいけないよ、タクマ。君とコヨミさんとの間に、何がしかの約束が言い交わされているわけじゃない。確実に君に向かって傾いているとはいえ、まだ彼女の心は定まっていないんだ。だから一刻も早く、できれば今夜にでもコヨミさんを連れ出して、決定的な関係を結んでしまうのがいいかと思う」
「こっ……!?」
 再び希望を振り解かれたところに急速な行動を求められて、俺の心が千々に乱れる。
「今夜って、急にそんなことを言われても、俺にだって心の準備が…………!?」
「ええい、かったるいことは以下省略!」
 ガッチリと肩を押さえたアイクが、顔を俺の前に突き付けてきた。
「いいか、良く考えろ! ただでさえ俺たちポケモンの恋愛っていうのは、近し過ぎる相手とは成就し難く、余所の相手との方が成立し易い傾向がある! なのに、数知れない雄の子種を飲んでいるコヨミさんみたいな雌が、後輩である君に心を向けているなんて、それこそ奇跡みたいなチャンスじゃないか!?」
「……!?」
 高く登り詰めた思いが、足場を失って大きく揺らぐ。
「時間が経つ毎に、彼女は新しい雄と出会いを重ねて、その玉を転がしていく。俺もそうだったようにね。いつかは君以上に彼女の心を溶かす雄が、彼女の前に玉を曝すことになるかも知れない。そうなってからじゃもう手遅れじゃないか! いい加減覚悟を決めないと、食い倦ねている間にアイスクリームは溶け落ちるぞ!? 運命は待ってくれないからな!!」
 描きかけた希望の像が、溶け崩れて落ちていく。
 俺の夢が、闇に、墜ちる…………!?
「嫌、だ……!」
 喘ぎを咆哮に変えて、俺は闇の中へと手を伸ばした。
「俺、俺に向けられる以上の愛をコヨミさんが誰かに向けるなんて、絶対に嫌だ! 彼女の処女だけは、他の誰にも渡したくない……渡さない!!」
「……だったら」
 手を取ったのは、白い触腕の先。
「ここは、俺に任せてくれないかい?」
「アイク……?」
 見上げたその場所で。
 黄金色の双眸が、俺を捕らえて微笑んでいた。
「実はさ、この町を少し外れたところに、俺だけが知っている取って置きの秘密スポットがあるんだよ。特別に場所を教えてあげるから、夜中にコヨミさんを連れてふたりっきりで過ごすといい。彼女もあそこならきっと気に入ってくれる。上機嫌になったところを見計らって告白して、後はもう勢いに任せて行けるところまで行っちゃえよ。上手く行くと思うよ」
「待てよ、町の外にふたりだけで出るのか? キナンの郊外なんて、トレーナーも滅多に入らない難所ばかりだろう? いくらコヨミさんが手練れでも、万が一野生ポケモンの群れとでも遭遇したら……」
「道は確かに多少険しいけど、川づたいに遡って進めば目的地までそう苦労はないから大丈夫だよ。野生ポケモンには、これを持っていくといい」
 秘密道具~、とばかりにアイクが差し出したのは、神秘的な紋様が複雑に絡み合う1枚の紙片。
「清めのお札!? わざわざ用意してくれたのか!?」
「ん、まぁね。俺エスパーだから、割とこういうことに気が回るんだ。所有ポケモンの力量を周囲に知らしめるこのお札があれば、君やコヨミさんならこの辺の野生ポケモンはまず近付いてこないから。誰にも邪魔されずに、コトを済ませられるよ」
 手渡されたそのお札は、俺にはまるで、俺とコヨミさんを希望の未来へ運ぶ切符のように感じられた。
「アイク、ありがとう。でも、どうしてここまで、俺たちのためにしてくれるんだ?」
 眠らせたまま終わるはずだった想いを起こし、導いてくれたことに感謝しつつも真意を問うと、彼は照れ臭そうな笑顔で答えた。
「俺はただ、あの夜いい感じにイカせてくれた彼女に、幸せになって欲しいだけさ。それができるのが君だけだと思うからこそ、全てを君に託すんじゃないか」
 そしてアイクはおもむろに身を起こし、最後に、
「しっかり頑張ってね」
 と、俺の背中を触腕で叩いて言い残し、公園から去って行った。
 嵐のようなひと時が過ぎて、ただ独り呆然としていると、ふとお腹の寂しさに気付く。
 そういえば、話に夢中で、結局ポフレを食べていない。
 空を仰いだままテーブルに手を伸ばし、さっき転がした黒いポフレを掴んで齧り付いた。
 ……スパイシーではなく、ビターポフレだった。ほろ苦いオトナの味わいが、口の中で溶けて消えた。

 ○

 見上げる高さまで切り立った岩壁が、黒々と行く手を遮っている。
「コヨミさん、さすがにここは登れないでしょ。俺が支えてあげるから――」
 声をかけて振り向いた瞬間、蒼い旋風が脇を吹き抜けた。
 眼を瞬かせたその時には、もう背後にコヨミさんの姿はなく、
「タッ君、何をしているの? 早く登っておいでよ」
 と、ワープでもしたとしか思えないような高さから、彼女の声が降り注いでいた。
 不覚にもあんぐりと口を開けて立ち尽くしてしまったが、すぐに葉っぱを咥え直し、岩肌に爪を立てて登り始める。

『あの晩のカラマネロさんがお礼にって、人間には知られちゃいけない秘密の場所を教えてくれたんだ。早速今夜にでもふたりで遊びに行こうよ』
 事実をほぼそのまま、動機だけをぼかし気味に伝えた俺の誘いを、コヨミさんは特に訝しむことなくあっさりと快諾した。
『まぁ、秘密の場所なんて面白そうねぇ。他のみんなも誘って行きましょう』
 と言い出された時は多少焦ったが、
『カラマネロさんが折角教えてくれた大切な場所を、大勢でいきなり押しかけて踏み荒らしたりしてしまったら悪いよ。だから、まずはふたりだけで、ね』
 と、何とか言い繕って切り抜けた。
 目印の川はすぐ見付かった。流れから考えると、キナンシティの公園やバトルハウスにある池に水を運んでいる源流らしい。
 経路は細く険しいもののしっかりと刻まれており、アイクが言った通りそれほど苦労せず進むことができた。清めのお札が効いているのか、藪から野生ポケモンが現れる気配もない。概ね、道行きは順調だった。……たったひとつの計算違いを除いて。
 いやまぁ、その計算違いのお陰で順調に進めているわけなのだが。つまりその計算違いというのは、本来俺がコヨミさんを目的地までエスコートする段取りだったのに、彼女が逞し過ぎて俺の出る幕がまるでないということなのだった。
 どっしりとした胴体に、鰭の付いた短い四肢。およそ陸上では鈍重な印象を受けがちなトドグラーだが、実はその巨躯を支える筋肉から弾き出される瞬発力で、姿からは想像も付かない踏破力や登坂力を発揮する。*2
『野生の仔は、波に削られた岩礁によじ登って日向ぼっこするのよ』
 などと得意気に語られては、舌を巻くしかなかった。
 それでも普通は、基本的に瞬発力だけだから休み休みでないと動けないそうだが、ロカさんに鍛えられているコヨミさんは、山道をぐんぐんと進んで行ってしまう。やっぱりコヨミさんは凄いなぁ、という他はない。最早エスコートどころか、完全に先を行かれている有り様である。
 それでもまぁ、星空の下、ふたりっきりの冒険行は、ただそれだけで心が弾むものだった。
 ふと、ゴゥッ……という何か唸るような音色が、夜風を震わせた。
 コヨミさんの顔が、音の方へと跳ね上がる。微かに見えた横顔に、歓喜の色が花を咲かせていた。
 途端に、彼女の肢体が躍動する。天を駆けるギャラドスのように。全身を波打たせて岩道を飛ぶ、それは疾走だった。
「ま、待ってよ!?」
 置いて行かれないように、俺も駆け足で追いかける。楽しげに駆け行くコヨミさんと、後を追う俺。もしかしてこれは、世に言う〝キャッキャウフフ〟という奴ではないだろうか。だとしたらこれはこれで、い、いや、これこそ最高の状況と言うべきか!?
 彼女の消えた岩壁を越えると、掻き分けられたばかりの大きな茂み。轟音は、その向こうから響いていた。心地よく鼻を差す、濃密な水の香りも。
 アイクがコヨミさんのために〝何〟を紹介してくれたのか、もう確かめるまでもなかった。水棲のポケモンである彼女が大喜びで飛んでいくわけだ。
 コヨミさんが付けた轍を踏んで、茂みのアーチを潜る。
 向こう側に、丸く青白い背中があった。
 キラキラと瞳を輝かせている彼女の隣に立ち、一緒に〝それ〟を見上げる。
 もちろん、〝それ〟は滝だった。
 鬱蒼と茂る密林のベールに隠されて、清らかに流れ落ちる透き通ったひと筋の帯。
 木々の合間から差し込む星灯りが飛沫に反射して、幻想的と言うしかない光景を作り上げている。
 カロス地方で滝と言えば、レンリの滝やポケモン村の大滝などが有名だが、それらと比べても、神秘性という点では引けを取っていないかも知れない。〝秘境〟――そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
 やがて、堪え切れなくなったのだろう。キャアッ! という喜声を上げて、コヨミさんは滝壺に駆け寄り、身を躍らせた。
 ドッパァーーンッ!! と豪快に、水飛沫の花が花弁を開く。
 幾重にも花弁を咲かせて、蒼い影が舞い踊る。
 あぁ、やっぱり水ポケモンは、水の中にあってこそ美しい。
 飛沫の羽衣を纏い、水流と戯れるコヨミさんの姿は、まさしく水の精霊そのもの。
 そんな彼女が投げて寄越した飛沫の束が、俺の顔にキスをする。
 お誘いであることは明白だった。快く俺は水際に寄って、両手に掬った水を彼女に返す。
 滝の流れが醸し出す芳醇なエネルギーに酔いしれながら、俺たちは童心に帰ったような水遊びを楽しんでいた。

 ○

「なんて素敵なところなのかしら……」
 人心地付いたのだろう。コヨミさんが素直な感想を述べた。
「そうだね。アイク……あのカラマネロさんが、この場所を隠していた気持ちも分かるよ。みんなで押しかけたら、この神秘性が台無しだ」
 そんな大切な場所を、俺たちのために教えてくれた。アイクは本当にいい奴だったんだ。
「ふぅ……そろそろ帰りましょうか。いつまでも遊んでいたいけれど、遊び過ぎて朝帰りになっちゃったらロカさんが心配するわ」
「…………」
 水際に登ってきたコヨミさんに、俺は無言で手を差し伸べる。
 この夜、初めてのエスコート。彼女も遊び疲れていたせいか、素直に俺の腕に身を預けた。
 そんな彼女の蒼い身体を。
 俺は、引き寄せて、抱き竦めた。
「え……」
「コヨミさんっ……!」
 全ては、この瞬間のために。
 決めていた台詞を、俺は。
「俺……コヨミさんのことが、大好きです! どうか、俺だけの雌に、なってください…………!!」

 ○

 言ってしまった。
 後はもう、当たって砕けろ。
 分かってる。どうせこれまで彼女に告白してきた先輩たちと同じ運命。振り解かれて、笑って告白を流されて、お情けで玉を転がされて毒気を抜かれてはいお終い。そうなるに決まっているんだ。いい夢だった。夢から覚めたなら、さっさとこれまで通りの関係に戻ればいい。それだけのことだ……
 ……本当にそうか?
 自分にもう望みがないことを理解した後で、いつかコヨミさんが他の雄との本当の恋に目覚めてしまう日に怯えながら、これまで通りにタケノコを舐めてもらい続けることなんて、俺にできるのか!?
 かつて告白して玉砕した先輩たちも、ほとんどはもうコヨミさんとの関係を続けていない。他の恋ポケを探したり、雌への興味を失ったり。その気持ちが、今、やっと解った……!
 後悔しても、もう遅い。覆水は、盆に返らない。
 さよなら、俺の初恋…………
 ……!?
 コヨミさんの、前鰭が。
 俺の背中に、回されている。
 抱き返されて、いる……!? 抱き合っているのか、俺たちは…………!?
「ふしぎ……」
 譫言のように。
 コヨミさんが、俺に囁く。
「こんなこと、初めて……身体が、こんなに熱くなるなんて……!」
 鼓動の音が、聞こえる。
 これは、俺の鼓動か。コヨミさんの鼓動か。
「いいよ。タッ君」
 そう……か。
 これは、ふたりの鼓動だ。
 俺たちの鼓動が同調して、ひとつに溶け合っているんだ……!!
「私の、まだ誰にも上げてないところ、全部タッ君だけに上げるね…………」
 これが夢だというのなら。
 どうかもう、覚めないでくれ。
 眼の縁を彩る黒よりも広く見開かれた俺の瞳を写していた、黒瑪瑙(オニキス)の瞳が閉じられる。
 俺も眼を瞑り、咥えていた葉っぱを離して、彼女のふくよかな唇に、自分の唇を差し出した。
 玉とタケノコで、幾度となく、もういいと言うほど感触を味わっている唇。たくさんの雄の子種を、夥しく飲み続けてきた唇。
 汚いなんて、思えなかった。口を付けるのを躊躇ったのは、そこが神聖な場所だったからだ。
 それでも俺は顔を寄せて、ふたりの息吹を重ね合わせた。
 かつてない昂りが、唇を介して伝わってきた。
 俺は唇をずらして、顎から首筋、そして脇へとキスの位置を下げていく。
 堅く濡れた表の体毛を掻き分けると、柔らかな下地が彼女の真心のように優しく指と舌とに絡み付く。
 彼女の肢体を岸辺に仰向けに寝かせて、胸からお腹へと愛撫を進める。
 ツンと勃った小さな強張りを、そこに見付けた。
 咥えて舌を這わせると、切ない喘ぎが滝音の中に弾けた。
 更に愛撫の手をその下へ。遂に彼女の足鰭に辿り着いた。
 けれど、足鰭は堅く閉ざされていて、指先をこじ入れようとしても受け入れてくれない。
「コヨミさん……?」
「だめ…………」
 掠れるような拒絶。そんな、ここまできて。
 否。これは、そうではなく――
「タッ君が、開けて。お願い…………」
 ――コヨミさんは、言っていた。
『まだ誰にも上げてないところを、全部タッ君だけに上げる』……と。
『だったら、処女ってことじゃないか。きっと恥ずかしくて、自分からは誘えないんじゃないかな。君の方から誘ってくれるのを待っているって思わないか?』
 あぁ。
 アイクの言葉は、ひとつ残らず正しかった――!!
 唾を飲み込んで、両手で彼女の足鰭を掴む。
 力は、それほど要らなかった。
 ようやく露わになった神秘のクレバス。濡れて光っているのは、滝壺を泳いでいたせいか、それとも……?
 吸い込まれるようにクレバスに顔を落として、深く深く口付ける。
 異臭が鼻を苛んだが、あえて力一杯吸い込んだ。だって、コヨミさんはいつもこれよりもっと臭くて汚い俺たちのモノに口を付けてくれていたんだから。俺もコヨミさんの、すべてを受け入れる。
 舌先で探ったクレバスの内側は、奥までしっとりと湿っていて、口内よりもずっと暖かかった。まるでかまくらの中にいるみたいに。
 このかまくらに、俺のタケノコを納めたい……!!
 足鰭の間から顔を上げて、コヨミさんの顔を伺う。
 蒼い毛皮の下を薄紅に染めた顔が、小さく頷いた。
 もう、すぐにでもむしゃぶりついて思いを遂げたい衝動をグッと堪えて、持参していた小物入れに指を突っ込み、清めのお札を避けて奥に潜ませていた避妊具を取り出す。
『夜遊びをするのなら、トレーナーさんに迷惑をかけないように』
 と、ポケセンのプクリンおばさんから言い含められていた物だ。
 生で繋がるのは、ロカさんに許されてふたりで育て屋に入った時でいい。俺たちは、互いに幸せになりたいだけなのだから。
 水ポケモンに潜るため、猛るタケノコが薄衣の水着を纏う。後はもう、飛び込むだけだ。
 コヨミさんも待ち切れないのだろう。溶けた雫が滴り落ちた。
 その場所に狙いを定め、彼女へと身を乗り出して、俺は――――

「――はい、そこまで」

 突然だった。
 足鰭を抱いていた両腕が、恐ろしい力で捻り上げられ。
 挿入寸前だった身体は、無情にもコヨミさんから引き離された。
「な、何だ!? 何が起こって…………!?」
 驚愕に眼を瞬かせようとして、それができないことに気が付いた。瞼が、閉じられない。
 両腕も、何に掴まれているわけでもないのに、左右に真っ直ぐ伸びた姿勢で見えない力に固められて指一本動かせない。足先を地面から離されて、中空に磔にされているのだ。
「……タッ君? どうしたの? 早く…………あら」
 焦らされたコヨミさんが頭を上げた時、その顔に影が射した。
 うねうねと蠢く、巨大な影が。
 パチクリと見開いた眼でその影を見つめて、コヨミさんは恥ずかしげに語りかけた。
「やだ……いつからいらしたの? カラマネロさん」
「!?」
 固定された視界の隅から、半透明の長い触腕と、嘴の生えた顔が入り込んでくる。
「アイク……なのか!? どうして出てきたんだよ、これから、だったのに…………?」
 恐る恐る尋ねる。ここで現れたんじゃ、お膳立てをしてくれた意味がないのでは……!?
 アイクの応えは、まず冷ややかな笑みだった。
 昼間に見せていた親しげな微笑みは、そこには欠片も見えなかった。
「だから言っているじゃないか。そこまで、なんだよ。タクマ」
 黒い喜悦に満ちた声が、アイクの嘴から放たれる。
「ここからは、俺様が主演俳優なのさ!!」
 しゅるりと、触腕が走った。
 仰向けに横たわったままの、コヨミさんに向かって。
「……!? きゃあぁぁぁぁあぁっ!?」
 大蛇にも似た2本の触腕が、コヨミさんの身体に絡み付く。
 首筋を、脇を、下腹の乳首を、さっき俺が口付けし愛撫した場所を、ヌラヌラと艶めかしい触腕が侵食していく。
「やめろ! 何をやっているんだ!? コヨミさんに触るな!!」
「かかかか、タクマ、なかなか上出来じゃないか」
 コヨミさんを弄びながら、アイクは気色の悪い哄笑を上げた。
「道中彼女に先行されっぱなしだった時は、駄目だこりゃって呆れて見てたけど、告白のタイミングも、その後の前戯も、坊やにしては大したもんだ。素質あるよ、君。お陰で……」
 鎌首をもたげた、アイクの触腕が。
 コヨミさんの足鰭の間に、俺がタケノコを納めるはずだったクレバスに、突き刺さった。
「いやああああああああっ!?」
 処女を引き裂かれて絶叫を上げる彼女に構うことなく、のたくる触腕がかまくらを蹂躙する。
「うあああ……っ」
 怒りと絶望にまみれて呻く俺に、アイクはかまくらから引き抜いた先端を見せ付けた。
「ほ~ら、もう身も心もトロットロ! 何もかも計画通りだよ。いやぁ、本当にイカした成果を上げてくれたねぇ!!」
「ふっ……ふざけるなあぁぁぁぁっ!!」
 咆哮が、喉笛を貫いて迸った。
「何でこんなことを!? 全部見ていたって、一体どういうことなんだよ!? 俺を拘束しているのもお前の仕業なのか!? 説明しろ! アイクーーッ!!」
「やれやれ、アイク、ですかぁ?」
 まったく知らない者の声が。
 突然、背後から割り込んできた。
「ほとんどコードネームそのままじゃないですか。もう少し捻った偽名は考えられなかったのですか? ……アイクチ」
 靴音を鳴らして現れたのは、全身黒ずくめの人間だった。
 身の丈はアイク……否、今の話からすると本来の名前は『匕首(アイクチ)』か……? と同程度。厚手の黒パーカーを着てフードを目深に被っており、顔も正確な体格もよく分からない。
 その右肩には、黒い鳥ポケモンが止まっている。ヤミカラスらしいが、何か筒状の機械のような物を頭の右横に括り付けていた。
「いやぁ~、呼ばれ慣れた名前に近いのにしておいた方が、うっかり挙動不審になるのを防げるんじゃないかと愚考しまして」
「……つまり、うっかりコードネームを名乗りかけて慌てて誤魔化した結果だということですね」
「てへ。お見通しで。……あぁ、悪い悪い。ちゃんと紹介しないとイカんね」
 と、アイク改めアイクチは、俺の方を向き黒パーカーを触腕で差し示した。
「この黒い人は俺様のご主人で、映画を作っている監督さんなんだ。肩に乗っているのが撮り役をやっているヤミカラスのスティレット。そして俺様、カラマネロのアイクチが今回の主演男優なのさ。そして……」
 コヨミさんの顔を覗き込んで、アイクチは囁く。
「主演女優はあなただよ。トドグラーのコヨミさん」
「わたし……女優…………?」
「いかにも」
 かまくらを汚されたショックで声を震わせているコヨミさんの上で、アイクチは言った。
「イカがわしい映画の、ね」
「ひっ……!?」
 明かされた淫蕩な目的に、コヨミさんの表情が氷ポケモンでありながらも凍り付く。
 俺も怖気立つ思いで、困惑の叫びを上げた。
「馬鹿な……嘘だ! ロカさんがそんな撮影、許可するわけがない……!?」
 ポケモンセンターのプクリンおばさんが言っていたように、ああした映像は撮影するにも売買するにも、ポケモン協会からの厳しい認可が必要なはず。まして所属トレーナーに無断で出演させられるなんて認められるわけがない。もし、そんなことがあり得るとしたら、それは――――!?
「何でそう、血の巡りが悪いかなぁ、タクマ」
 嘲りを込めた視線を、アイクチは放つ。
「合法な映画で、こんな手の込んだことをするわけないじゃないか。裏だよ裏。ア・ン・グ・ラ!」
「なっ…………!?」
 ポケセンで、プクリンさんと話したTVのニュースの内容が、現実となって俺たちの前に現れたのだと、ようやく俺は理解させられた。
 通常、トレーナーのポケモン同士で、直接子供ができてしまうような行為の撮影は、一切認められない。
 だからプクリンさんが見せたような一般の作品では、交接中の局部を映さないようにして、交わっている演技をしているのだ。許可を得て野生ポケモンの行為を撮影したものもあるらしいが、やはりアングルによっては販売が認可されない。
 すべては役者であるポケモンたちの身体と心を守るための制約……だが、そんな配慮を平気で踏みにじる奴らが、この世には存在する。
 それが無許可の撮影、取り引きを行う(アンダーグラウンド)業者だ。
 奴らは役者ポケモンの権利など、何ひとつ考慮しない。過激な映像を撮るためなら、どんな酷いことでも行う。
 ポケセンで俺が例に挙げた、嫌がるポケモンに交尾を強要し、生での中出しを撮影などという残酷な行為も、裏なら当たり前。
 そしてそれ以上に非道いケースとして、拉致してきたポケモンを強姦して撮影する、という例すらもあるとTVでは言っていた。
 まさにその裏の中でも最悪な奴らに、俺とコヨミさんは捕らえられてしまったのだ。
 なぜ……どうして俺たちがこんなことに!?
「本来、ポケモン学的観点においては、性別は能力の優劣と直結しているものなんですよ、タクマ君」
 突然、監督が陶然とした声を張り上げて、方向性の読めない演説を語り始めた。
「雄の性機能は強者に天が与えた権利であり、弱者たる雌は強い雄に種を付けられて子孫を産めばいいだけの存在……それが当たり前の摂理なのです。しかし、世の中にはこの摂理に逆らい、不相応な能力を誇示するけしからん雌が多くいる。そう……そこにいるトドグラーもその1頭だ!」
 アイクチの触腕に捕らえられて震えるコヨミさんを、黒手袋をはめた手で指差して監督は決め付けた。
「だからボクらは、彼女たちの誤った有り様を是正し、本来の立ち位置を知らしめるための映画を作っているのです。貴方もポケモンの雄ならば、どうかご理解……」
「さっさと寝言から覚めてコヨミさんを解放して出ていけ馬鹿野郎! っていうかジュンサーさんに病院を紹介してもらえーーっ!!」
 聞くに堪えなくなって、俺は監督の演説を遮った。
 ジョーイさんの間違いではない。明らかに逮捕の上で精神科が妥当だ。
「性別と能力が直結しているって、とっくの昔に否定された学説じゃないか!?*3 そんな時代錯誤な理屈での下劣行為を、どう理解しろっていうんだ!!」
「貴方のご協力で証明された結果によって、ですよ」
「……!? 協力、だって…………!?」
 ますます解らないことを言われて戸惑っていると、監督はフードの奥に妖しく眼光を浮かべて言葉を続けた。
「トドグラーのコヨミ……ここ最近のバトルハウスで活躍の著しい彼女は、ボクらの主張において是正しなければならないポケモンでした。しかし、問題である高い力量に加え、特性が鈍感とあってはボクら自慢の男優たちによる篭絡も通じません。下手に手を出して彼女の強さに花を添えては逆効果ですので、これまで是正を諦めてきたのです」
「だからっ! 勝てなくて是正を諦めるんなら、主張自体を諦め……!?」
 罵ろうとした俺を、遮ったのは。
「イヤぁっ!」
 アイクチにクレバスを弄られて悲鳴を上げた、コヨミさんの姿だった。
 そう……だ、その強いコヨミさんが、なぜアイクチを振り解けずにここまで狼藉を受け続けているんだ!?
 湧き上がった疑問に、監督がニヤリとした声で答えを示す。
「そんな折、貴方のバトルハウスでの戦いを拝見したのです。頑丈なレアコイルを山嵐の一撃で撃破した能力――貴方の特性は、型破りですね?」
「……!?」
 息を飲むのを止められなかった。まさか、コヨミさんが反撃できないのは。俺がしてしまった〝協力〟っていうのは……!?
「特性による防壁を貫通できる貴方なら、鈍感なポケモンでも篭絡できる……そう考えたボクは、アイクチに貴方へと近付いてもらい、彼女にけしかけてメロメロにさせるように計らった、というわけです」
 不意に、監督は笑い始めた。
 悪戯が成功した子供のように。
「いやはや、ありがとう! ご協力のお陰で、今やこの雌は何の力も発揮できない、ただ雄を受け入れるだけの存在に堕ち果てました! 後は、この無力さこそが雌の本質であることを証明するだけです。彼女が許した雄以外の相手に陵辱の限りを尽くされる、その有り様を記録することでね! ボクらの計画、ご理解頂けましたか? あはははははは!!」
「う……あ…………」
 理解させられた悪夢の状況に震え上がる中、アイクチが追い討ちとばかりに声を加えた。
「解り易い解説をしてもいいかい? 監督の説明は回りくどいからね。要するに、君の役目はコヨミさんを発情させるための〝当て馬〟だったわけさ。あ、いや、君の場合〝当て熊〟と言った方がいいかい? か~っかっか、お勤めご苦労さん!」
 俺を罠にはめ、コヨミさんを辱めている張本人に嘲笑われて。
 狂わんばかりの怒りが、一気に噴出した。
「貴様ぁぁっ! 全部嘘かよ!? コヨミさんに見せていた初心な仕草も、俺への親しげな態度も、何もかも演技だったっていうのかよぉっ!?」
「いかにも。ポケデミー賞ものだったんじゃないかい? かかかか……ちなみに、あの頭の悪いカイリューも俺様が煽ったのさ。君に近付くきっかけを作るためにね。あれは傑作だったよ。俺様の番が終わった後、順番待ちしているあいつとすれ違いざまに『あのトドグラーさん、フェラチオの間ずっと足鰭をモゾモゾさせてたなぁ。きっとシたいんだろうな』って呟いてやったら、眼の色変えて飛び出して行っちゃった。あぁ、唆されようじゃ君も大差ないから笑えないか。かっかっか!」
「なんでだよ、なぜこんな酷いことを!? お前、まさか監督の戯言を本気で、」
「信じているわけないじゃないか」
「おい……!?」
 馬鹿か君は、と言わんばかりのアイクチが、いけしゃあしゃあと言い放った。
「映画を見て主張を聴くのは変態だけ。反証は枚挙に暇なし。いかにも、あんなのイカれた戯言以下さ。だけどそんなこと一切関係ないから。俺様はただ……」
 胴体をコヨミさんの足鰭の間に割り込ませながら、アイクチは高笑いを響かせた。
「雌を犯せる口実があればいい! かかか、それだけなんだよ!!」
 だ、駄目だ。こいつら、話の通じる相手じゃない……!?
 戦慄に言葉を失った俺の見ている前で、アイクチはクレバスを引き寄せつつ、自らの襟元に触腕をかけて、グイッとはだけた。
「……!? 嫌ぁっ! やめて、やめてぇ…………」
 恐怖と嫌悪に満ちた声が、儚く響く。
 アイクチの襟の奥は、あの夜コヨミさんが口付けた場所だった。つまりそこにあるのは、アイクチの――!?
 込み上げてくる嘔吐感を噛み潰した時、ひらり、と黒い影が音もなく視界を横切った。
 監督の肩にいたヤミカラス、スティレットだ。羽音を立てずに羽ばたいてアイクチの隣に舞い降りる。頭に固定された、高感度ビデオカメラのレンズが妖しく光った。
「くっ……そうか、こいつのカメラで、俺たちを道中からずっと監視していやがったんだな!?」
「その通り。邪魔にはならなかったでしょう? 撮り役だけあって、隠密性が優秀でね」
 得意気に頷き、監督はアイクチとスティレットに指示を下した。
「さぁ、いよいよ水揚げ*4です。ボクらの正しさを思い知らせてあげなさい!!」
 号令を受けたアイクチが、嬉々として胸元をクレバスに押し付けにかかる。
「やめてよおぉっ!? そこはタッ君のなの、タッ君だけのなのぉっ! 触らないでぇぇっ!!」
「はいはい、かわいいタッ君もちゃんとそこで見てますよコヨミさん。両の眼をしっかりと見開いて、ね。か~っかっかっか!!」
 いじらしい哀願に何の情けもかけず、アイクチは懐の自身でクレバスを押し開いた。
「ぁああああああああああっ!!」
 グチャリ、と淫猥な音が泡立ち、泣き叫ぶコヨミさんの足鰭が虚しく宙を掻く。
「かぁ~っ、やっぱり処女はいい感触だねぇ……なぁコヨミさん、初めて後ろで味わう雄はいかがかい? かかか……」
 嘴を悦楽に歪めて、アイクチは俺のために開かれたかまくらを傍若無人に踏み荒らす。その惨たらしい光景が、閉じることの叶わない俺の両眼に容赦なく突き付けられる。
「ダメぇぇっ! 見ないでっ! タッ君、お願い! 見ていちゃイヤァぁぁっ!!」
 悲痛な絶叫に訴えられて、はっと俺は恐ろしい事実に気付かされた。
『見ないで――――』
 コヨミさんのその訴えは、羞恥だけが理由ではない。本当に俺は、見ていてはいけないのだ。
 なぜなら俺がコヨミさんにかけてしまったメロメロ状態は、俺が彼女の側にいる限り持続するからだ。メロメロから回復しさえすれば、こんな奴らコヨミさんの敵じゃない。だからこそ奴らは俺を側で磔にし、彼女が意識せざるを得なくなるように瞼まで固定したのだ。俺自身を彼女を縛る枷にするために――!!
「ちくしょう! 放せ! 放せ! 放せぇぇぇっ!!」
 もがいて足をばたつかせても、地面に届いてさえいないのては為すすべもない。念力で瞼が閉じられない上、肩をガッチリと固定されて視線の向きを変えることも満足にはできない。『見ないで』という、コヨミさんの願いを聞いて上げることも俺には叶わない――!!
「あう、う、うっ、ううっ……」
 メロメロに解けてしまった肢体を触腕が舐めるように這い回り、クレバスを貫く懐刀の蠢きと共にコヨミさんを攻め立てる。その度、彼女の牙の間から、噛み殺した呻きが断続的にこぼれ出る。
「うう……いや、いやぁ……ぁあんっ!」
 悲しいかな、濡らされた雌の肉体は抗いようもなくアイクチを受け入れ、言葉とは裏腹に、彼女の想いとも裏腹に、喘ぎが官能の艶を帯びて蕩けていく。
 早く、早く何とかしないと――!!
「助けて……! 誰か来てくれ、助けてくれえぇっ!!」
 もう俺とコヨミさんだけではどうしようもない。唯一封じられていない声を張り上げて、誰かに助けを求めるしか道は残されていない。
 ニュースで聞いた話では、裏の犠牲になったポケモンたちが解放されるのは、摘発によって保護された例ぐらいしかなく、多くは証拠を残さないように……くそっ! 一刻も早く助けを呼んで、コヨミさんを解放しなくては……っ!!
「お願いだぁっ! 誰か、誰か助けて! 誰かあぁぁぁ……っ!!」
「どうしました? 声が掠れていますよ? もっと大声を上げて頂かないと。……誰も来やしませんけどね」
 監督の声が、俺の背筋を逆撫でする。
「何……だと!?」
「貴方に持たせた清めのお札に加え、周囲にゴールドスプレーを大量に散布していますので、この辺りにはもう野生ポケモン1匹いませんよ。元よりトレーナーがくるような場所でも時間でもありませんし。それでも助けを求めたいのなら、もっと遠くまで叫びなさいな。これだけ厚く茂った木々と滝の轟音を貫けるだけの大声でないと、どこにも届きませんけどね! あはははは!!」
 絶望が、心に垂れ込める。
 道なんか、どこにも残されていなかった。
 楽園のように思っていた秘境は、俺たちを捕らえるための牢獄だったのだ。
「 この……ゲス野郎! よくも騙したな! 『誰にも邪魔されずに、コトを済ませられる』って、こんなコトのためだったのか!? くそぉっ! 俺の恋心に付け込みやがって……っ!!」
「……俺様がゲスでクソなゲソ野郎なのは、否定する余地がないからいいけどさ」
 コヨミさんの腹の上で毒々しく笑いながら、アイクチは言った。
「でも、付け込まれたのは君の自業自得じゃないか?」
「何を……!?」
「だって俺様が君たち自身について指摘したことは、概ね事実だったじゃないか」
「うっ…………」
「君がこの座にいたかったら、さ」
 とアイクチは、クレバスの上端を嘴でつつく。苦悶の悲鳴が上がる中、アイクチの言葉が更に続けられる。
「自分のご主人とコヨミさんを信じて、君自身を磨いていれば良かっただけの話だったんだよ? 俺様の差し出した甘い餌に食い付いたのは、君自身にコヨミさんの心を繋ぎ留め続ける自信がなかったからじゃないか。彼女がこんな目に遭わされているのは、ぜぇ~んぶ君が悪い。か~っかっかっか!!」
 足掻く力を失った両足が、ダラリとぶら下がる。
 言い返せる言葉なんか、何もなかった。
 俺のせいなんだ。
 俺が、コヨミさんを独り占めしようとしたばかりに。
 俺の特性が、型破りだったばかりに。
 俺なんかが、コヨミさんの側にいたばかりに。
 俺のせいで。俺のせいで!!
「かかか……君の責任、もうひとつ追加していいかな……」
「……!?」
「いやぁ、惨めそうな君の顔を見ているのが、もう気持ち良くて気持ち良くて……」
 愉悦に満ちた表情で、アイクチは胸元をコヨミさんにグイグイと激しく押し付け、そして。
「うぅっ……かかか、いい感じでイカせてもらったよ…………」
「き、さまぁ……っ!?」
「かか、慌てるなよ。俺様の生態は知っているはずじゃないか?」
 意味深な笑みを浮かべて、アイクチがコヨミさんから身を離す。
 ちゅるり。懐から吐き出された白いチューブが、コヨミさんのクレバスに突き刺さっていた……精莢。
 その精莢の腹に、アイクチの触腕がグルリと巻き付く。
「ひいいい…………っ!?」
 引きつった悲鳴を上げて、コヨミさんはイヤイヤと首を振った。
 そうなのだ。まだ中出しはされていない。だが、アイクチが精莢を搾った瞬間、中の子種が吐き出されてかまくらを致命的に穢し尽くす。彼女は前に喉でアイクチの子種の感触を味わっている。『元気のいいお子さん』と評したそれが、かまくらの中で暴れたらどうなるのか……恐怖に染まった表情が、すべてを物語っていた。
「さぁて……どうして欲しいかな?」
 嫌らしい問いが、俺に向けられる。
 俺に選択肢はないのに。
 1つしかないのではなく、1つもないのに……!?
「抜いてくれ……っ!」
 それでも、懇願するしかなかった。
「抜けばいいかい? 分かったよ。このまま搾って、中身を抜き出す、と……」
「違うぅっ! もうやめてくれ! これ以上コヨミさんを傷付けないでくれぇっ!! お願いだ、何でもする、何でもするから……」
 こんな惨めな哀願が、ただ奴らの加虐心を煽るだけだと解っていても、俺にはもう、何もできなかった。
「そうだねぇ……そこまで頼まれたら仕方がないか。いいよ。やめてあげ…………」
 昼間のような優しい顔で、アイクチが俺に微笑みかける。
 あぁ、やっぱり、
「……ない! かかかかかか!!」
 希望なんて、なかったのだ。
 グチャアッ! 触腕の中で精莢が搾られ、一瞬で白から透明に変わる。
「ひぎゃああああああああああっ!?」
 滝を逆流させるような悲鳴を上げて、コヨミさんの巨体がのた打ち回った。空になった精莢がクレバスから抜け落ちて、そのすぐ前、彼女の下腹部の中で何かがうねうねと蠢いている。
「ぁひぃっ! あひいぃっ! あああぁぁぁぁっ!!」
 悶え泣きながら岸辺を転がって、コヨミさんは滝壺の中へ身を落とそうとした。だが、
「おっと、逃がさないからね」
 すぐにまた、アイクチの触腕に捕らえられてしまう。
「今更水の中に入っても中のものは流れ落ちはしないけれど、メロメロ状態から覚められたら厄介だ。それに、撮影も続いているんでね。かかか……」
 身悶えする彼女の脇にスティレットか降り立ち、暴れる下腹を貪るように接写する。
「いやあぁぁっ! んぁああああっ!!」
 身体の内と外からの陵辱に蝕まれて、コヨミさんの悲鳴が絶望に溺れていく。
「コヨミさん! コヨミさん! うあぁぁ、コヨミさぁ~ん!!」
 俺は声の限りに、彼女の名前を呼んだ 彼女が傷付けられる度、同調した痛みに我が身を抉られる思いだった。
「あぁ、タッ君……ごめんね、許して…………」
 ……!?
 喘ぐコヨミさんの声が、確かにそう聞こえた。
 なぜ、なぜ彼女が謝るんだ!?
 謝らなければならないのは、俺の方なのに。
「タッ君に上げたかったのに……タッ君だけに上げるって、決めていたのに……! あぁ、私、もう、だめぇ…………っ!!」
 声が、甘く溶ける。
 コヨミさんの身体が、弓なりに反り返る。
「あは、ぁ…………っ!!」
 断末魔の嬌声が上がり。
 ぷしゅっ……
 クレバスを割いて、飛沫が噴出した。
 ガクガクと足鰭が痙攣し、脱力して崩れ落ちる。
 下腹の蠕動は、もう止まっていた。
「かかかかっ! コヨミさん、俺様のでイっちゃったよ!!」
「精莢から飛び出た精子の塊が、膣内で雌の体液に浸されて溶けたんですね。是正が完了したことが分かり易いよう、開いて撮りなさい」
「了解! かかかかっ!!」
 監督の指示通りに、触腕がクレバスをくぱぁ、と開く。
 溢れる透明な体液の中、ねっとりと垂れた白濁の雫が、彼女の処女がもう穢され尽くしてしまったことをどうしようもなく証明していた。 
 その地獄絵図を、カメラはただ無感動に撮り続けていた。
 開かされたままの俺の眼と、同じように。
「なぁスティレット、お前も擦り付けていかないか? 俺様が撮ってやるからよ」
「……遠慮する。自分の仕事以外に手を出す気はない。それに、お前がカメラを持ってもまともには扱えないだろう」
「か~っ、いつもそんな風に融通が効かないから、毎回撮り役ばっかり回されるんじゃないか。カメラなら監督に撮ってもらえばいいからヤっていけよ」
「どの道お前の直後に腰を下ろす趣味はない! ヤるならアジトに運んで膣洗浄を施してからだ」
「あぁそうかい、かっ、潔癖性め!」
 そんな雄たちの勝手な言い合いと、滝の音に混じって、
「ぅく……っ」
 小さな音が、切なくこぼれた。
「うぐ……く…………ひく……っ」
 それが、コヨミさんの啜り泣く声だと気付いた時。
 壊れていた俺の心が、凄まじい怒りに燃え上がった。
「ゆる、せない……何が、何が是正だっていうんだ……! そんなトチ狂った屁理屈のために、あんなに優しいコヨミさんに酷いことをして! その上……アジトに運ぶだと!? これ以上何をする気なんだ!? 許さないぞ! 絶対に許すものか!!」
「……それは、つまり」
 振り返りもせず、アイクチが応えた。
「『俺がヤるはずだったことを、先にヤるなんて許せない。俺にもヤらせないと許さない……』そう言いたいんじゃないか?」
「違う!」
 怒りすら貶める暴言に、ますます俺は憤りを強めた。
「勝手にお前らと同類にするな! 俺はただ、コヨミさんと幸せになりたかっただけだったのに!!」
「同類じゃ、ない? かかか……」
 また背中を向けたまま、アイクチは哄笑した。
「その割には、さぁ。恋ポケが目の前で他の雄にヤられたっていうのに、股間のご立派なもんがビンビンじゃないか?」
「う……」
 指摘されても、首を満足に動かせず、眼で確認することはできなかったが――
 夜風が避妊具に包まれたままのタケノコを揺らして、それが事実であることを知らせた。
「ち、違う、これは寸前でお前たちに邪魔されたから……」
「だとしても、幸せになることが君の欲望なら、彼女が不幸な目に遭わされたのを見たら萎えそうなものじゃないか? それがこうして、避妊具が外れもしないほどずっと突っ張ったままになっているのは、自分も同じように彼女を犯してぶちまけたいと考えていた証拠じゃないか?」
「違う! 違う! 俺はコヨミさんを犯したいなんて思っていない!! 俺は――」
 おもむろに、アイクチが振り返った。
「違わない。快楽を求めているだけさ、君も」
「…………!?」
 絶句して、俺はアイクチの顔を凝視した。
 今、台詞が綴られて終わるまでの間、アイクチの嘴はずっと閉ざされたままだったのだ。
「……さっきからさ」
 眉をひそめて、アイクチはようやく嘴を開いた。
「何を独りで喚いているんだよ? 恋ポケを目の前で犯されて、頭がおかしくなったんじゃないか?」
 行き先を見失ってフラついたところに、その問いは更に激しい揺さぶりを俺にかけた。
「な……ひとり、だって……!? 馬鹿な、じゃあ、今俺に話しかけてきた声は…………!?」
「幻聴でも聴いたんじゃないか? それとも……ああ、なんだ、そうか」
 嘴の端が、凶悪に吊り上がった。
「君、自分の本音と話をしたんじゃないか」
「…………っ!?」
 バランスを失った心に食らわされた、それは痛烈な蹴手繰りだった。
「それで、君の本音はなんて言ったのかい? あぁ、『俺はコヨミさんを犯したいなんて思っていない』とか反論していたねぇ。ということは……」
 ニヤニヤとした視線が、下に降ろされる。
「〝これ〟が君の本音ってことじゃないか。だったらもう、意地を張ってないで素直になればいい。かかかっ!」
 ちがう。
 叫ぼうとした言葉は、口の中で壊れた。
 違うと思っているのが、本当に俺なのかどうか、もう俺には判らなかった。
 俺の心は、宙を飛んでいた――――
「監督、タクマが仲間に入りたいみたいで~す。入れてやっていいかな?」
「いいでしょう。雌の正しい扱いを教えてあげなさい。スティレット、撮影を頼みますよ」
「…………」
「お許しが出たよ。良かったね。さぁ、そうと決まったら、こんな無粋な物はさっさと外そうじゃないか!」
 触腕がタケノコに巻き付き、避妊具が乱暴に剥がし取られる。最早抵抗する気力も湧いてこなかった。
「今度こそ、ちゃんとコヨミさんと添い遂げさせてあげるよ。しかも生でね。君の子種も注いであげれば、コヨミさんだって嬉しいんじゃないかな。みんなで幸せになろうじゃないか、兄弟。かっかっか!!」
 固められた肩が引っ張られて、汚されたコヨミさんの身体が近付いてくる。ダランと力の抜けた腰を触腕で支えられ、タケノコをクレバスに宛がわれて、人形のように俺はコヨミさんと番わされた。
「憧れのコヨミさんの中はいかがかな? 気持ちいいかい? かぁ~かっかっか!!」
「……悪趣味が過ぎるぞ、アイクチ」
「余計なことは言うなよスティレット。仲間が増えるんだ、いいじゃないか!」
 傍らで交わされている会話が、やけに遠い。
 タケノコを包んだかまくらの温もりだけが、俺の脳を支配していた。
 ぐっしょりと濡れている中に感じる、ベタつくような感触は、アイクチの精莢が吐き出した子種だろうか。汚らしい。
 それでも、腰に回されたアイクチの触腕で抽送を強制されると、猛ったタケノコを擦られる快感に血が沸き立った。
 だけど、どれだけ気持ち良かろうと、こんな交尾には〝幸せ〟なんてない……。
 ぼやけた視界の向こうに、コヨミさんの青白い顔が浮かぶ。
 空を虚ろに仰いだ眼から滂沱の涙を流したその顔は、あの夜のカイリューと同じ表情だった。――多分、俺も同じ顔をしているのだろう。
 こんなはずじゃなかったのに。
 コヨミさんと、誰よりも幸せな交尾をしたかったのに。できるはずだったのに。
 こんなの、まるで生傷の抉り合いじゃないか。
 こんなのは嫌だ。
 嫌なのに。
 こんな快感なんて、欲しくないのに――!!
 嫌な、嫌な黒い快感が、身体の奥でどんどん湧き上がる。
 やがて止め処なく溢れ返った黒は、幸福を求めていた白い心を、無残にも打ち砕いて押し流した。
 流れ落ちた白の残骸は、身体の外へと吐き捨てられて、コヨミさんの中へと散っていった。

 ●

「進化おめでとうございます、タクマ君」
 闇の向こうから声を受けて、俺は重くなった身体を起こした。
 視点が高い。
 完全に立ち上がると、足元に横たわった雌の身体が、やけに縮んで見える。
「うひゃあ、ビックリしたじゃないか! いきなりムクムクと大きくなっちゃってさ!!」
 耳障りな声に振り向く。あれ、誰もいない。
 視線を下に向けると、胸ぐらいの高さから、嘴の付いた顔が俺を見上げていた。
「よっぽどいい経験を積んだってことじゃないかな。まぁ、あれだけハードに鍛えられれば仕方ないか。これからはよろしくな、兄弟。かかか……」
 高く上げられた触腕が、馴れ馴れしく肩を叩いた。
 不愉快だった。
「…………せぇよ」
「か?」
 体格の膨張以上に太さを増した真っ黒な腕で、生白い触腕を掴み取る。
 今更だが。
 肩も、腕も、瞼も、自由が戻っていた……!
「イカ臭ぇっつってんだよ!!」
 溢れる衝動のままに罵声を浴びせかけて、掴んだ触腕を引っ張り上げる。
「か……っ!?」
 腕に妖しい力が絡み付き、再び俺を拘束しようと締め上げて……そして、弾けて散った。
「き、効かない!? 念力が効かないじゃないか!? 馬鹿な、これじゃまるで悪タイぷぎゃああっ!?」
 旋回し、腰をぶつけて相手の身体を浮かせたところに、渾身の後ろ蹴りを食らわせて打ち上げる。
 今や2mを優に越える身長の更に上まで舞い上がったゲソ野郎の襟首を空中で捕らえ、加速を付けて足元の岩盤目掛け頭から一直線に――――叩き落とした。
「イギャアァァァァァァッ!?」
 従来の、相手の動きを利用して払い崩し、相手の重量を急所に乗せて投げ落とす柔の山嵐とはまったく違う。力任せに蹴り上げて、逆さになった相手を力ずくで引っ張り落とす剛の技。山嵐を伝授してくれた親父が見たら、『こんなん山嵐じゃねぇ』と嘆きの声を上げるであろうことは想像に難くない。
「ガハッ! ア…………ッ」
 それほどの一撃を炸裂させても落とし切れなかったのは、頭部に触手を持つカラマネロの体躯故か。だが、すかさず俺は奴の潰れた顔に跨がると、喘いで開いた嘴の中に、勃たせたタケノコを根元までねじ入れた。
「ボ!? ブゴ、ハ、や、やめ……ゴフゥッ!!」
 咬み返されないほど深々と押し込むと、手足に触手が巻き付いて抵抗されるのにも構わず、両腕で根本をひっ掴んで強引に腰を突き動かす。2撃、3撃。
「ゴブッ!? ゴボッ!? バゴハァッ!!」
 快絶な奔流が堰を切る。奴の剥いた目玉が、放たれたものが溢れ返ったかの如く同じ色に濁った。
 と、その刹那、掴んでいた質量が喪失する。モンスターボールの安全装置が、スルメのように伸びたゲソ野郎を引き込んだのだ。
 間に合わなかった一滴がピュッとこぼれて、膝の間をだらしなく汚す。
 放出の余韻が身を震わす中、ふと口元にもの寂しさを感じた。
 手近な草を茎ごと手折って口に咥えると、ようやく少しは頭の中がスッキリと晴れてきた。
 超能力に耐性の付いた今、解ったことがある。
 何のことはない。ゲソ野郎……アイクチは、あの時テレパシーで俺に語りかけていたのだ。嘴が動いていなかったのは、それだけのことだった。
 あれが俺自身の本音だなんて、真っ赤な嘘。俺を貶すために……堕すために奴が吐いた、ただのイカサマ。なるほど、スティレットの言った通り、悪趣味にもほどがある……。
「タッ君…………!?」
 微かな呼び声に振り返る。
 いつの間にか、倒れていた雌……コヨミさんが身を起こしていた。
「コヨ……!?」
 駆け寄ろうとして、ハッと気が付いた。
「タッ君……!? どこ……どこに行ったの…………!?」
 彼女は、丸い頭をキョロキョロとあらぬ方向に巡らせながら俺の名を呼び続けていた。
 まさか、惨い目に遭わされたショックで、視覚に障害が…………!?
 いや。
 黒瑪瑙(オニキス)の瞳が真っ直ぐに俺を捕らえ、警戒の色を鋭く結ぶ。
 あぁ、なんだ。
 見えていないんじゃなくて、判らないんだ。
 はは。
 苦笑いを噛み締めながら、俺はコヨミさんに向かって足を踏み出した。

 まったく……笑っちまうぜ、アイクチよ。
 俺が、お前と同じように、コヨミさんを犯したいと考えていた……だと?
 笑わせんな。笑わせんなよ。
 お前なんかと、同じであるものか。

「痛い! や、やめてぇっ!?」
 コヨミさんに、足を向けて。
 足鰭の付け根を、踏みつける。
 山嵐の軸足として大地を掴む長く柔軟な足の指を、彼女の足鰭の間に割り込ませてグリグリと踏みにじると、苦悶の悲鳴が滝壺にさざ波を立てた。
 踏んだ場所を抑え付けたまま、俺は抜いた直後で萎え気味のタケノコを掴んで彼女の顔に向ける。
 嫌悪に満ちた非難が、彼女の牙の間から放たれた。
「乱暴はやめて! 何よ、したいの!? 口でいいならいくらでも気持ち良くしてあげるから……」
「やかましい! 勘違いしてんじゃねぇ!!」
 俺は怒鳴った。
 ドス黒い感情を、腹の底から掻き立たせて。

 あぁ、そうとも……同じで済むものかよ、アイクチ!!
 お前なんかより、もっと過激に、もっと陰惨に!
 いつもいつも、他の雄がイチモツから漏らした排泄物に溢れ返った、ボットン便所並みに悪臭を放つ汚らしい唇で俺の玉を弄んでおいて、身体だけは許していないから清楚な乙女ですよと厚かましくもうそぶいていたこのスベタババァを、俺は、俺こそが、尊厳の残滓に至るまでメチャクチャに辱めてやりたいとずっとずっと思い続けていたんだからな!!

「お前みたいな……お前みたいな肉便器には、小便ぶっかける方が妥当なんだよ!!」
 唇を裂いて吐き出した罵声のままに、俺は下腹に力を込めて放出した。
 汚臭を放つ廃液が、青白い顔を目掛けてアーチを描き飛んでいく。
 彼女はもう、悲鳴を上げさえしなかった。
 無言のまま、前鰭をひらりと一閃させた。
 水棲獣ポケモン特有の油脂に固められた体毛は、廃液を一切浸透させることなく弾き飛ばす。
 宙に煌めいた飛沫に彼女が放った水の波導が込められ、黄金色に輝くベールとなって俺に帰ってきた。
 この一連の動きを、俺は葉っぱ越しに読み取っていた。
 元よりコヨミさんが使う技も癖も、俺が分からないことなんて、ない。
 すかさず尿を切り、あらかじめ掌に構成していた岩の刃――ストーンエッジを振り下ろして、黄金水のベールを断ち割る。断面が星灯りを受けて虹色に揺らめく様は、その視覚効果だけを見たらコンテストに出してもいい線行けそうに思える美しさがあった。……実際にやろうものなら悪臭で顰蹙を買うことになるだろうが。
 ベールの揺らめきが消えた向こうに、コヨミさんの姿はなかった。踏み付けていた足など、容易く振り払われていた。
 滝壺の中に、蒼い頭が浮かんでいる。いまだその双眸を周囲に配り、もう決して見付かることのない姿を彼女は探し続けていた。
「逃がすか、ゴラアァァッ!!」
 声を張り上げ、片足で滝壺に水音を踏み鳴らす。
 ビクッと震えた影が、広がった波紋の中に消えて。
 そして、もう2度と現れることはなかった。

 ●

 滝壺に入れていた足を、引き揚げる。
 なんだか、酷く疲れていた。
 当たり前か。寝ているはずの時間に、遠出して遊んで愛し合って、陵辱されて戦って……そりゃもうそろそろ、休まなきゃ、な。
 小便にまみれたストーンエッジを、解体しようとして。
「……素晴らしい!!」
 ……再び、握り直した。
 まだ、だ。
「まだいやがったのか、手前ぇら……!?」
 振り向いた場所に立っていたのは、黒フードの監督と、その肩でカメラを光らせるヤミカラスのスティレット。
 アイクチがモンスターボールに回収された以上、それを持っているはずの監督も近くにいるのだろう、とは思っていたが、まるで気配を感じ取れなかった。今どこかから現れた気配すらも。どうやらずっと気配を殺して側にいたらしい。そういえば、目覚める直前に聞こえた『進化おめでとうございます』という声は監督のものだった気がする。
「素晴らしい……まったく素晴らしいです! ……肉便器!! 雌ポケモンたちを表すのに、これほど相応しい表現がありましょうか!?」
 ……そこかよ!?
「すべての雌ポケモンは、すべからく肉便器の扱いを受けるべき不浄なる存在なのです! この言霊がボクに示されたのは、世界に真理を知らしめよという神の御意志に違いありません! あはははははは!!」
 マジで何なんだよ、こいつ。
 アイクチが俺に嬲り倒されていた間、指示も出さずに黙って傍観していたヘタレトレーナーの分際で、世界だの神だのと、誇大妄想も甚だしい自己陶酔にベットリと浸りやがって。
 こんな奴の、こんなイカレ野郎のために、どうしてコヨミさんが辱められ、俺の心が滅茶苦茶に踏みにじられなければならなかったんだ!?
 もう、いい。
 俺は、やるべきことを果たすだけだ。
「……満足かよ?」
 静かに、俺は訊いた。
 溢れそうな怒気を、心に引き絞るために。
「満足ですかって? いえいえ、大満足ですよタクマ君! ありがとう! ボクの映画が極みへと至る道標を、貴方は指し示してくれました!!」
「そりゃどういたしまして。良かったな。……ついでだ。送ってやる」
「……はい?」
 フードの中で首を傾げた監督を、葉っぱ越しに睨み付けて、俺は。
「撮影の続きは、成層圏の極みで撮りやがれ! このRECウザ野郎!!」
 解き放った感情をストーンエッジに込めて、横薙ぎに振り抜いた。
 睨み付けた監督の、肩に止まるスティレットを狙って――!!
 だが。
 完全に狙いを捕らえた、と思った刹那、突如として標的の姿が掻き消えた。
「……っ!?」
 避けられた!? スティレットではなく、監督の方に!? 馬鹿な、避ける素振りなんて見えなかったのに!?
 一体どこへ――と、追いかける暇は、俺には与えられなかった。
「ぐあっ!?」
 虚しく宙を振り切った腕が、背中の方へとねじ曲げられる。
 ガツッ! と転がったストーンエッジが、黄色い飛沫を撒き散らして砕け散った。
 跪き、組み伏せられて、背後で腕を捕らえているのが監督本人だと知って、俺は慄然とした。
 一瞬で腕の死角から背後に回り込まれていたのだと、後追いで理解するのが精一杯だった。何て身のこなしだ!? それに何より……恐るべき膂力! 俺の体格は今、並みの人間を遥かに越えるサイズに進化しているというのに、それを一方的に抑え込むなんて、せいぜいカラマネロ程度の身長しかない黒パーカーの中身にどうしてこれだけの怪力が……!?
「何より素晴らしいのは、貴方自身ですよ、タクマ君」
 禍々しさすら感じさせる声が、俺を怖気立たせた。
「この巨体、この剛腕、そしてアイクチを穢し倒した残虐性! ふふふ、よくぞここまで見事に進化してくださいました。ボクの望んだ通りに……否、望んだ以上に!!」
「な……〝望んだ〟!? どういう意味だ!?」
「貴方の種族はね、他の悪ポケモンが発した邪気と同調することで、この猛々しい姿へと進化するのです。いかがでしたか? このために用意した最悪の邪気……貴方の恋する雌の胎内に放たれた、アイクチの欲望の結晶は!?」
 今夜の陵辱の記憶が、俺の脳裏を駆け抜ける。
 すべては用意され、仕組まれていたのだ。 
「ま、さか……貴様が狙っていたのは、最初からコヨミさんではなく……俺の方!? 俺を進化させるために、この罠を仕掛けたのか!? だ、だが、何のため、だ!? 俺を進化させて、一体何を……!?」
「もちろん」
 片手一本で俺を押さえ込んだまま、もう片方の手を俺の首にかけて、監督は言った。

「男優になって頂きます」

 拒否すれば、殺す。
 首に添えられた指先が、そう伝えてきた。
『なってください』でも『なれ』ですらもない。確定事項。
 何もかもこいつの掌の内かよ――!?
「忌まわしき雌ポケモンたちを切り刻み、肉便器に堕とす〝刃〟として貴方を使います。悪い話ではありません。アイクチを穢すのは心地良かったでしょう。その欲望を雌たちに奮うご自身を想像なさい。ふふふ……」
 悔しいかな、その誘いに正直な反応を見せるタケノコを感じる。
 獣欲に任せて相手を蹂躙したことは、直前の悪夢を拭い去れるほどに快感だった。
 これすらも監督の計算の内。陵辱の悦びを俺に擦り込むために、アイクチを、自分のポケモンを〝咬ませ犬〟として、俺が陵辱するに任せたのだろう。……あ、あいつの場合は〝咬ませイカ〟か。
 狂気と狡猾が融合した悪魔。これ以上こんな奴の思い通りにさせたら……!! だが、下手な抵抗をすれば、次の瞬間にでも首に添えられた奴の指が確実に俺の命を奪うことになる。
 どうすれば。
 どうしたら、いい。
 ……………………。
「取り引きが、したい……!」
 重い唇を、俺は開いた。
「貴方に、ボクが与える以上の見返りを求める権利があるとでも……」
「殺したいなら勝手にやりやがれ! だが、殺したら俺は手に入らねぇぞ!!」
 俺のすべてを、奪われるぐらいなら。
 せめて、値を付けて売ってやる……!!
「……で、何がお望みで?」
 まだ腕を締める力も、首に突き付けられた殺気も緩まない。
 伸るか反るかは、奴次第。俺はただ、守りたいものを守るだけだ……!!
「……今夜撮った映像、すべての破棄。それと、キナンシティからの……い、いや! カロス地方からの撤退だ! この2つだけ飲んでくれるなら、世界中どこにでも連れて行くがいい! 貴様の望むままに、雌を犯してやる!!」
 今にして思えば。
 コヨミさんが犯されている時、俺が舌を噛み切って死んでいれば、彼女はメロメロから解放され、助かっていたのだ。
 命を賭けられなかった俺の覚悟のなさが、コヨミさんを傷付けた。
 ならば今度こそ命を賭ける。せめて彼女の未来だけでも守り通す。
 例えそのために、彼女以外のすべての雌を穢すことになるとしても……!!
 フッと腕が解放されて、身体がズドン! と投げ出される。
 次の瞬間、バキィッ!! と響いた鈍い音に顔を上げると、金属とプラスチックの欠片がパラパラと落ちてきた。
「明日にでも、ミアレ空港から出航しましょう」
 掌の中に残ったメモリーチップらしいものをペキッとへし折って、監督は事もなげに言った。
「今後ともよろしく。刃を砕く刃――〝ソードブレイカー〟」
「だとさ」
 頭の横が軽くなった様子のスティレットが、やれやれ、とばかりに呟いた。

 ●

「お願いします! どうか探してください!!」
 キナンシティの玄関、超高速鉄道TMVの発着場、キナンステーション。
 列車から降りてきた客たちに、オレンジボブの少女が必死な声をかけている。
「どうしましたお嬢さん、何か困りごとでも?」
 上品な物腰で彼女に尋ねてきたのは、これからTMVに乗る列にいた、小柄な白髪の老紳士だった。
「はい、あ、私、この町のバトルハウスで活動している、トレーナーのロカっていいます。実は……私のポケモンが夕べ夜遊びに出かけたまま、いなくなっちゃったんです!!」
「何と、それは心配ですね……それで、いなくなった仔というのは?」
「タクマっていう名前の……ヤンチャムの、雄の仔です」
「ヤンチャム……あぁ、もしかして」
 何かに気付いた紳士の様子に顔を上げた少女だったが、紳士の答えは彼女の望むものではなかった。
「お嬢さん……ロカさん、でしたね? 確か何日か前に、ヤンチャムをレアコイルと戦わせているところを観戦させてもらっています。では、あの仔なのですか?」
「はい……」
「やはりそうでしたか。あの仔が……いえ、残念ですが、ボクもそれ以上のことは…………いなくなったのは、タクマ君だけですか?」
「はい。一緒に夜遊びをしに行った仔が、酷く傷付いて戻ってきて、タクマがいなくなったって……それ以外、何も言ってくれないんです。その仔は今ポケモンセンターで治療を受けていますが、本当に何があったのか……」
 涙ぐむ少女に、紳士も皺だらけの表情を曇らせる。
「探してあげたいのはやまやまですが、ボクもキナンを発つ身です。約束もありますので……すみません」
「いえ……お引き留めしてすみませんでした」
「ボクも知り合いに声をかけておきます。希望を捨てないで、ロカさん。きっとタクマ君は無事に帰ってきますよ」
「はい。ありがとうございます!」
 か細い手を挙げて少女に別れを告げ、紳士は列車の人になる。
 わずかでも愛ポケの事を知っている人の協力に勇気付けられた様子で、少女はまた呼びかけを続けていった。

 ●

 座席に腰を下ろした、老紳士の懐で。
「無事に帰れたとさ。良かったな、ソードブレイカー」
 隣りのボールから語りかけてきたスティレットに、俺はただ沈黙だけを返した。
 あの後、俺は怪しげな機械にかけられてボールの契約を書き換えられ、監督のボールに納められた。もう俺は〝タクマ〟ではないのだ。
 それにしても、時代錯誤な思考や言い回しからある程度年配だろうとは思っていたが、まさかここまでヨボヨボの爺さんが黒パーカーの中身だとは。物腰が違い過ぎて、コヨミさんがホームにいても彼が監督だとは見抜けなかっただろう。組み伏せられた俺など、この爺さんの細身のどこにあんな怪力があるのかいまだに信じられない。こいつ、本当に何者なんだ!?
「ミアレシティに着いたら、飛行機が出るまでの間に一本収録します」
 淡々と宣言された言葉に、俺は眉をひそめる。
「おい、約束が……」
「ご心配なく。新たに女優を蒐集はしませんよ。昨晩の貴方とアイクチの絡みが予想以上に絵になったので、その分を取り直すだけです。アイクチには今後も女優の代役として活躍してもらうことになるでしょう」
 うへぇ、と思いかけたが、すぐに考え直した。あらゆる意味で考えても、スルメを咬ませイカにして済むならその方が世のため雌のためだ。
「はふぅ……それは嬉しいかもぉ…………」
 ……こいつも何か目覚めちまったらしいしな。双方合意で結構結構。
 このままホモ映画だけ撮ってもらえりゃ平和なんだが、監督の教義上そうもいくまい。次の根城に着き次第、雌狩りの非道に手を染めることになるのだろう。
 空気の軋む音がして、自動扉が俺とロカさんを隔てた。
 もう、戻れない。……戻るつもりもない。
 監督に捕らわれるまでもなく、こんなドス黒い進化をした瞬間から、帰らない覚悟だった。だからコヨミさんだけを追い立てて逃がしたんだ。
 ごめんなさい、コヨミさん。
 腹の底を掻き立て、唇を裂いてまで、無理矢理貴方を嫌わなければ、追い立てることなんてできなかった――!!
 流れ去るホームの景色の中、ロカさんはオレンジの髪を振り乱して、俺の捜索を呼びかけ続けていた。
 だけど彼女が探しているヤンチャムのタクマは、もうこの世のどこにもいない。
 今の俺は、このTMVと同じように定められた悪の道(レール)を牽かれ行くしかない、ゴロンダのソードブレイカーなのだから。

 ~完~


ノベルチェッカー結果(プラグイン込み) 

【作品名】 Entrainment
【原稿用紙(20×20行)】 124.6(枚)
【総文字数】 39022(字)
【行数】 1057(行)
【台詞:地の文】 37:62(%)|14753:24269(字)
【漢字:かな:カナ:他】 31:53:8:6(%)|12349:20878:3364:2431(字)


大会後の主な変更点 

・コヨミによる逸物蘊蓄の後の地の文『交尾とか言われて』
 その前にプクリンと交尾の話をしているのに『とか』は不自然なので変更。(順番バラバラに書いた弊害)

・アイクチの台詞にイカ増量w

・コヨミが崖を登った場面に、タクマの葉っぱの描写を追加。

・告白後、以前にコヨミに告白した先輩たちのその後についての説明が、アイクに言ったものと若干の食い違いがあったため曖昧に修正。

・アイクチの『懐の中身』を、『懐の自身』に変更。つまりアイクチの性器比喩は『懐刀(アイクチ)』w

・アイクチによるコヨミさんレイプシーン描写追加。

・ロカと監督の会話シーンで、ロカの自己紹介を追加。名乗りもしないで、老紳士がタクマを見付けた時どこに連絡して貰うつもりだったんだ?

・ラスト1行、『進み行く』を『牽かれ行く』に変更。ラストシーンにTMVを出したことが、タイトルの『En〝train〟ment』と列車のtrainをかけたネタになっていたことに投稿後に気付いたためw
アリアドス「またかい!? 本当にアンタこの作品の作者なんだろうね!?」


あとがき 

 大会時は1日間に合わず、せっかく頂いた1票も減らしてしまい、同点にすらなれずに大変ご迷惑をおかけしました。どうにか大会皆勤賞を維持した狸吉です。
 今回メインとしたネタは『ゴロンダの進化』。格闘タイプに悪タイプが加わるこの進化を『闇堕ち』に、悪タイプが仲間にいる状態でレベルアップという進化方法を『悪タイプとの強制穴兄弟』にそれぞれ超解釈しました。
 タイトルは恒例通りポケモン技から。ゴロンダも覚える技『仲間作り』の英語版名です。

タクマ(ソードブレイカー) 

 進化ネタを隠すために種族名は終盤まで伏せていましたが、序盤からヒントを出しまくっているので特定は簡単でしょう。山嵐使いでレアコイルより遥かに軽いという時点で、もうヤンチャムしかいませんし。*5
 アイクチほど露骨ではありませんが、『視界がモノクロに明滅』『眼を白黒させて』『黒い快感が白い心を押し流す』なと、パンダ柄を意識した表現を盛り込んでいます。
 今回の性器比喩『タケノコ』もパンダの好物が笹だからです。笹も竹の仲間なので、芽はタケノコなのです。チシマザサのタケノコは細く柔らかで食べ易いです。サイズがすべてではないってことですねw
 名前の由来はパンダ→大熊猫→大熊(タクマ)。付けられたコードネーム「ソードブレイカー」は、峰に櫛状の溝が付いた短剣で、この溝に相手の剣を絡めてへし折る武器です。
 狸吉作品では1、2を争う悲惨な進化を遂げてしまったタクマくん*6ですが、実は初期案ではもっと壮絶な結末になる予定でした。

・アイクチを倒した後コヨミを襲ったのは、目覚めた悪の力に飲まれての暴走。罵声は正真正銘、タクマの鬱積していた本音だった。*7
・クレバスを足で踏みにじられ、小便を顔に浴びせられてコヨミは悶絶。タクマは監督にねじ伏せられ、2頭とも連れ去られる。
・その後コヨミはアジトで男優たちに輪姦され、陰部の裂傷により死亡。死の様子まで撮影され、裏に流されて永遠の辱めを受けることに。
・罪の意識でタクマは心を閉ざし、流されるままに雌を犯し続ける。何も知らないロカは、帰らぬふたりをいつまでも探していた……

 という、救いのすの字もない全面敗北エンドが用意されていたのです。タクマが内心でコヨミを貶める場面まで、完全にその方向で描いていました。
 それが突然回避となったのは、いくらなんでも可哀想になったから……ではなく、コヨミさんが強かったからです。つまり、タクマのメロメロに縛られていなければ自力で脱出できる、という強さを描かないと、タクマが当て熊にされたことが辻褄が合わなくなることに(そこまで書いてようやく)気付いたからでした。
 終盤まで書いてのラスト変更で、全体の見直しに奔走する羽目になりました*8が、変更した結末に自分としては満足しています。身を捨ててコヨミの未来を守ったタクマは、『守りのための刀』であるソードブレイカーそのものになりましたから。

アイクチ(アイク) 

 ゴロンダ進化のために必要な悪ポケとして、悪タイプ追加の影響をもろに受けるエスパー持ちを選びました。『イカがわしい映画』とか『ゲスでクソなゲソ野郎』とか『咬ませイカ=スルメ』とか、そこまで考えて選出したわけでもなかったんですがw
 『精莢』もイカの生態からのネタですが、触腕で射精を制御できるのをいいことにタクマを嬲るのに活用するなど、本当に噛めば噛むほど美味しい奴です。
 カラマネロらしく、台詞が「いか」だらけ。一体作中で何回「いか」と言っているのか、暇な人は数えてみてください。『耐性のな〝いか〟く闘タイプ』や『いっさ〝いか〟んけいな〝いか〟ら』など、数え落としのないように。
 タクマを唆した時の台詞「アイスクリームは溶け落ちる」「運命は待ってくれない」は、ゾロアークの映画の曲『アイスクリーム・シンドローム』からの引用です。
 コードネームである匕首は、懐に携帯できるように鍔をなくした短剣です。文字通り懐に逸物を隠していたわけです。

コヨミ 

 ゴロンダとカラマネロ共に交配可能な陸上&水中1タマゴグループの中から、型破りが有効な特性と言うことでヒロインに採用。トドゼルガではなくトドグラーなのは、タクマとの釣り合いを考えたため。プロローグの対戦相手がレアコイルなのも同じ理由で、ポケモン大好きクラブの『ピカチュウ大会チュウ』みたいな最終進化抜きの特殊ルールでバトルしている設定です。
 ほとんど小説では扱われないマイナーな種族ですが、割と可愛い顔をしているトドグラー。『鼻の上に玉を乗せて回す』図鑑説明を超解釈してフェラチオ好きっ娘にしてしまいましたw 実は、僕の小説で飲精を扱うのは本作が初めてです。
 滝に向かう道中、見かけによらない健脚について蘊蓄がありますが更に補足。実は同じ鰭脚類でも、アザラシは水中に特化した下半身をしていますので歩行は普通に苦手です。ポケモンの場合、タマザラシはアザラシ系、トドゼルガはアシカ系の骨格なので、中間のトドグラーがどちらなのかはデザインから見ても迷うところです。しかし、前述の図鑑説明『鼻の上に玉を乗せて回す』は、アシカのようにしっかりとした足腰がないとできません。なのでトドグラーもアシカ並みに歩けると判断しました。

監督&スティレット 

 いいえ。監督は僕ではありませんw
 順調に進めば、今後も『怒涛編』各話で暗躍し、『豊穣編』にもその爪痕が語られる予定の、狸吉オリジナル〝悪の組織〟の首領です。構想はかなり以前から練っていましたが、満を持しての始動となりました。本作はゴロンダが悪に『同調(Entrainment)』する話であると同時に、監督が『仲間作り(Entrainment)』する話でもあったのです。
 男尊女卑の理屈をグダグダと羅列していますが、ネタ晴らししますが実はこいつ、昔ある勝負に負けて酷い目に遭ったことを、自分が使っていたポケモンが雌だったせいにしたくてこんなことをしでかしている、あり得ないレベルの卑怯者です。
 ちなみにその時の対戦相手も雌だったのですが、相手の方は第2世代の仕様でも普通に雌の攻撃個体値F*9があり得たポケモンだったので、そのことも自説を裏付ける証拠+ますます雌嫌いとなる要因になっている模様。
 まさに「ざっけんなっちゅ~の!!」と罵声が聞こえてきそうな話ですが、謎の腕っぷしに加えてろくでもない知恵までついているため手に負えません。困った人です。
 ぶっちゃけ、紫影螺さんの元所有者です。
 スティレットは、本作を書き出す前から組織の主要キャラとして考えていた仔です。カメラマンと偵察要員が欲しかったので、撮り役として採用しました。鳥だけに。
 出番は控えめでしたが、外道揃いの男優たちの中では割とまともな仔だと解って頂ければと。
 コードネームの由来は、刺突専門の細身の短剣。ツッコみ役の苦労性さんなのです。(クロウ)ですから。

その他舞台設定 

 バトル施設と公園がある町、ということで舞台はキナンシティに。ミアレシティだと城壁があるため冒険し難く、バトルシャトーだと育て屋に行かせない理由を付け難かったので。
 深夜トレーナーが寝ている隙にポケモンたちが夜遊びをしている、という設定は、過去作『くろいまなざし』でも使いましたが、元ネタはOVA『ピカチュウのふゆやすみ2000』の展開からです。あいつら、僕らが見ていない間に何をやっているか分かったもんじゃありませんw
 昼間の公園でポケモンたちがポフレを囲んで会談しているというのは、ポケパルレの通常画面をイメージしています。第六回仮面小説大会2作品と合わせて、XYの下画面完全制覇となりましたw


投票時に頂いたコメントへのレス 

>>2014/11/15(土) 09:09さん
>>本家のゲームに沿って理解しやすい舞台設定。そのポケモンのイメージにはまって、かつ個性的なキャラクター。設定に準じてパズルのように組み上げられた濃厚な物語。なるほど、これこそがpkmn二次創作の真骨頂なのだ、と納得させられる作品でした。
 ご指摘の通り、僕の執筆はパズルを組み立てる感覚です。あとがきでも書きましたが思いも寄らない形に組み上がることもしばしばで、作者自らいつもワクワクとして書いています。(物語に振り回されているとも言えますがw)

>>キーは何といってもカラマネロでしょう。彼が物語を「ひっくりかえす」だろうことは想像して読んでいましたが、まさかこうも2転3転ころがされるとは。
 お見事なコメントですw
 何しろ悪タイプの上に天邪鬼。トリックスターになるために存在しているようなポケモンでしたから、相応しくドSの限りを尽くして貰いましたwww

>>振り回されるタクマの感覚・感情がそのまま伝わってきて、それこそアングラ映画を見ているような、ゾクゾクする感動。官能小説でここまで作り込まれた物語を読んだのは久しぶりな気がします。文字通り心から楽しめました。
 タクマの心理描写を徹底して重視した余り、辛過ぎるコヨミへのレイプシーンから目を背けがちになってしまった、と自己採点しています。
 もちろんタクマは目を背けられないので、大会後、彼の苦悩を織り交ぜたレイプシーンを書き足しました。よりお楽しみ頂けたら幸いです。貴重な1票と心のこもったコメント、本当にありがとうございました!!


コメント帳 

デグロー「その型破り、オイラに仲間作りしてくれぇぇぇぇっ!!」 
・ソードブレイカー「体格差までは型破りできないと思うぞ……?」

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*1 隠れ特性。
*2 アシカ科の生態より。セイウチ、トドなども同様。ちなみに残念ながら、ゲームではロッククライムは覚えない。
*3 第2世代では、性別は攻撃個体値の大小で決まっていた。現在はこの仕様はない。
*4 処女喪失の隠語。
*5 ナゲキ、カイロス、ドーブルらもレアコイルより軽いが、『何倍も』の差はない。ゴロンダはレアコイルより重い。
*6 争う相手は『初恋は煌めく泡』のピスラか、『青大将とパンツ泥棒』のバルキーか……?
*7 嫉妬を感じていないと強がったり、口付けを躊躇ったりしていたのは伏線の名残。
*8 〆切に遅れた言い訳★
*9 第2世代までの最高個体値。F=15。

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Last-modified: 2014-11-21 (金) 07:17:14
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