writer is 双牙連刃
今回はまさかのライト主人公より降板回です。あの子がメインでございます。
ライトより動かし慣れてないので執筆が遅延&クオリティ低下を起こしている可能性がございますが…それでもお楽しみ頂ければ幸いです。
では、↓からスタートです。
「ほら、もう朝よ?」
ん……誰かが呼んでる。朝になったんだ。ベッドに居るとあったかくて出たくなくなっちゃう。
「ほーら、早く起きなさい、リィ」
「はーい、お早うフロストさん」
「はい、お早う」
目を開けると、一緒に寝てたフロストさんが笑ってた。なにかおかしな事しちゃったかな?
ここはフロストさんの部屋。周りがみんな水色とか青だから、見てるだけで涼しくなれるってフロストさんが言ってたかな。
ライトが来る前からお世話になってるけど、一緒に寝るようになったのは後からかな。それまでは部屋の隅で寝てたし。
これは、ライトがリビングで寝てるのと同じ理由。使えるお部屋が無いから、フロストさんが一緒の部屋にしてくれた。
そのままフロストさんと一緒にリビングへ行こう。そろそろ朝ご飯だ。
階段は一段ずつ危なくないように降りなきゃ。最初、転がり落ちそうになったのをレオさんに助けてもらってから、同じようにならないように気をつけてるんだよね。
それで、皆とご飯食べるところ、リビングってライトは言ってたっけ……そこに入るためにドアの取っ手に跳びつく。上手くやらないとここも痛いんだよ……。
「ふふ、扉開けるのも上手くなったわね」
「うん。出来ないと家の中移動出来ないもん」
「そうねぇ。でも、リィも進化すればそんなに苦労しないで開けられるようになるから、それまでの我慢ね」
進化……そっか、ライトやフロストさんみたいな姿になる、んだったっけ? なんか想像出来ないなぁ。
よし、後でライトに聞いてみよう。色んな事を覚えて、強くなりたいから。
リビングには、もう皆が居た。待ってくれてたのかな?
「おっ! リィ、お早う!」
「ふぇ、お、お早うございます……」
駄目だ、これは皆が居てもまだなっちゃう。人間さんに挨拶されちゃうと、体が震えて後ずさっちゃうよ。
「ハヤト? いい加減学習なさい? まだリィの人間恐怖症は抜け切ってないんだから、静かに挨拶するんでしょ?」
「い、いや、そろそろリィが来て二週間くらい経つし大丈夫かなと思っただけでさ、悪気があった訳じゃないんで冷気を収めて頂く訳にはいきませんでしょうかフロスト様!?」
「……まぁいいわ。でも、あんまり続いたら朝から氷柱になる事を覚悟なさいな?」
うわぁ、フロストさんが睨んだら、今度は人間さんが震えてる。やっぱりフロストさんも強いんだなぁ。
あ、それを見てたらライトに呼ばれた。そうだった、朝ご飯食べなきゃ。
「よっ、お早うさん」
「うん、お早うライト」
いつもご飯を食べるのはライトの隣で。別に他のところでもいいんだけど、気付いたらいつもライトの隣に行っちゃう。
まずはご飯食べちゃおっと。それから、今日は何をしようかな?
ご飯を食べ終わると、人間さんが今日学校ってところに連れて行く皆を選ぶ。今日は誰なのかなぁ?
「さーてと、今日は……フロストとソウで行くか」
「炎に氷にノーマルか、まぁ、割とどんな奴にも対応出来るかね?」
「ま、ご指名なら行こうかしらね」
「フロストさん、行ってらっしゃい」
……? 人間さんがこっち見てる。な、なんだろ? あんまり見られたら怖いんだけどな。
「おい、さっさと行かないと遅刻するんじゃないのか?」
「くぅっ、泣いてなんかいない! いないったらいないからな!」
「うっさいから早く行けよ」
あ、泣きながら行っちゃった。うーん、なんで見つめられたんだろ?
「ったく、幾ら自分が見送られないからってリィを妬むなっての」
「? どういう事?」
「あぁ、リィがさっきフロストに行ってらっしゃいって言ったろ? それを自分も言われたかったんだろうさね」
そうだったんだ……ん~、今度から言ったほうがいいのかな? 人間さんを怖くないって思うためにも、今度言ってみようかな。
ご飯が済むと、皆色々な事を始めるからバラバラになっちゃう。何処にも行かないのはライトくらいかな?
あれ、でも今日はリーフさんも居る。いつもはお出掛けしたり、レンさんのお手伝いに行っちゃうからあまり話したこと無いなぁ。お話、してみようかな。
「リーフさん、何してるの?」
「ひょぉ!? って、リィちゃんでしたか。考え事してたんで驚いちゃいましたよ~」
「あぅ、ごめんなさい」
「いいんですよぉ、リィちゃんとお話する為には、どんな事をお話すればいいか考えてましたから♪」
ありゃ、そうだったんだ。へぇ~、同じ事考えてたんだね。
ベイリーフのリーフさん。いつも凄く元気で、フロストさんの話だと、気分がすぐに分かる単純な性格……って言ってたけどどういう意味かは知らない。
時々、というかリーフさんが一匹で居る時に見つけても、大体天井のほう向いてぼ~っとしてるからお話出来ないんだよね。そっか、いつも考え事してたんだ。
「はぁ~よかったぁ、いつも話しかけようとしてたんですけど、何話せばいいか分からなくて話しかけられなかったんですよ~」
「ふーん、それはもしかして、俺にもか?」
「ふにょ!? え、えっと、こんにちは!?」
「いや、普通に話してくれればいいんだからな?」
「あぅ、急だったから咄嗟に返せたのがあれだったんです~。そうなんですよぉ、ライトさんにも色々お話したいなぁって思ってたんですけど、何を話そうか決められなかったんです~」
「なるほどねぇ。まぁ、そんなに深く考えないで話くらいしようぜ」
「だってだって、第一印象って大事じゃないですか。変な事言って変な関係になったら嫌だったんですよぉ。せっかく一緒に暮らすようになったんですから~」
だいいちいんしょう? うーん、なんだろそれ?
「ねぇライト、第一印象ってなに?」
「ん? そうさねぇ……相手を見た時に最初に自分が思うこと、かね?」
「そうですね。カッコいいとか、強そうとか、見た目の事だったりするのが分かりやすいですかね」
「へぇ~、そうなんだ」
って事は、さっきリーフさんが言った第一印象は、初めて喋った時に感じた事ってことだよね。なるほどな~。
……どう思われたんだろ、最初にこの家に来た時。怖くって誰とも喋らなかったし、変に思われたのかな?
「ねぇ、リーフさんはどう思ったの?」
「え? ……あぁ、リィちゃんのことですか?」
「うん。なんにも話さなかったし、変だと……思った?」
「そうですねぇ……ハヤトさんから少しだけ話は聞いてたから、お友達になって、元気にしてあげられたらいいなってずっと思ってましたよ」
「そう、なの?」
「はい! だから話しかけるのも色々考えちゃってたんですよ。今度からは、いーっぱいお喋りしましょうね♪」
「うん!」
リーフさん、難しい事考えてるポケモンさんだと思ってたけど、全然違ったみたい。……あ、そっか、これが第一印象って奴なんだ。
こっちがそう思ってるだけで、話してみたりすると全然違ったりする。んー、第一印象ってややこしいね。
「……気になってたんだけどよ、リィ、お前さ、自分の事なんて呼んでる?」
「? どういう事?」
「例えば、俺は今言ったみたいに『俺』って自分の事を言ってるだろ? なんかリィの喋りには、それが抜けてるんだよ」
「そういえば……さっきのリィちゃんの言ってるのってそういう事ですね」
「んー……よく分かんない」
自分の呼び方、そんなの考えた事無いよ。よくよく思うと、皆色々言ってた気がする。
ライトが『俺』か。そっか、なんとなく聞いてたけど、それってそういう意味だったんだ。
「一人称が無いと色々不便だろ? 話にも、相手に自分の事を言ってるって分からせるのに必ず必要だしな」
「いちにんしょう?」
「自分の呼び方の事をそう言うんですよ」
うーん、まだまだ知らないことがいっぱいあるんだなぁ。そっか、自分の呼び方かぁ。
「じゃあ、俺って言えばいいのかな?」
「うーん、リィちゃんは牝ですから、俺っていうのは変じゃないかな?」
「そうなの?」
「確かにちょいと違和感あるかもな。……っていうかリィって牝だったのか!?」
「あれ、ライトさん気付いてなかったんですか?」
「まったく気付かなかった……」
俺は牝が使うと変なの? っていうか牝だったんだ……あ、確かに気にすると自分の言い方無いと変な感じかも。
んと、他にはどんな言い方あるんだろ? リーフさんは牝だから、聞いてみるのが一番かな。
「リーフさんは、自分の事なんて言ってるの?」
「えーっと、そうやって聞かれると答えにくいですね。私は『私』ですよ」
「私、かぁ」
思い出すと、確かレンさんもそうだった気がする。牝は皆そうなのかな?
待てよ? フロストさんは『あたし』って言ってたな……ちょっと違うけど、あとわじゃ聞こえ方は大分違うね。
私は……んー、なんか変な感じがする。あたしは……これもイマイチな気がするなぁ。
「何か、他には無いの?」
「あら、私はイマイチか?」
「なんか違う気がする。フロストさんが言ってたあたしも考えたけど、それも違うような感じ」
「そういうのあるんですか? 私は気が付いたらそう言ってましたけど」
「フィーリングって奴じゃないか? 大体他の奴が話してるのを聞いてるうちに、どれかを自分で使ってるっていうもんだし」
「そうなると、リィちゃんの言い易いのを探さないといけないですね」
あら、ライトとリーフさんが色々話し合っちゃってる。もう仲良しだね。
あれ、リビングのドアが開いた。レンさんはキッチンに居るし、他に誰か居たっけ?
水色と白い毛の、私と同じくらいの大きさのポケモン……駄目だ、やっぱり私だと変な感じがする。
パチリスのプラスさん。時々遊ぼうって誘われて遊んでるけど、実は何やってるか分からない時が結構あるんだよね。
「退屈だよー! あ、リーフとリィだー! ねぇ、遊ぼうよー」
「俺の事はスルーかよ」
「……この家の電気タイプは僕だもん!」
「……僕?」
「ん? リィちゃん?」
今の使い方だと、僕って言うのがプラスさんの自分の呼び方だよね? 僕、か。
僕の名前はリィ……うん、なんか良いかも。
「ねぇ、今の僕っていうのも、自分の呼び方だよね?」
「おぉ、そういえばそうだな。お、もしかして?」
「うん……僕それがいいかも」
「わぁ! 使い方もばっちりです!」
「え? なにー? なんの話?」
えっと、簡単に今まで話してた事を言えばいいんだよね。良いのを教えてもらったんだから、ちゃんと話さなきゃ。
「えー? 僕って牡の子が使うんだよー? リィは牝の子だよね?」
「ちっさい時にそんなん関係無いだろ。リィがそれでいいならいいんじゃねぇか?」
「……僕っ子というのは特殊な需要があるタイプです。居ても何の問題も無い筈ですよ」
「うぉぉ、ど、どうしたリーフ? なんか目が輝いてたぞ?」
「はっ! な、なんでもないですよー」
「いいみたいだから、これからは僕って言ってみる。これで変じゃないよね」
プラスさんは唸ってるけど、ライトとリーフさんは頷いてくれた。うん、よかった。
自分の呼び方か……誰とも話そうとしなかったから、今の今まで気付かなかったんだね。駄目だなぁ、僕。
うん、やっぱり私とか俺って言うよりしっくりする。
「ありがとプラスさん、お陰で自分の呼び方決まったよ」
「んー僕何にもしてないけどなー。それと、プラスさんのさん要らないよー、プラスって呼んでー」
「え、そうなの?」
「そうですね……もうここの家の一員なんですから、さん付けだとちょっとよそよそしい気もしますね」
「んー、そんならついでに話し方なんかもおまけで勉強付けてやるか。どうだ、リィ」
「うん! 僕、聞いてみたい!」
ていねいごっていうのを知らない相手には使ったほうが良いって、いつかの人間さんが言ってたような気がして使ってたんだけど、何か間違ったのかな?
よし、こうなったらライト達に色々聞こう。それで、良い喋り方出来るようになっていっぱいお話出来る様になろう。
「えと、リーフさんとかレンさんの事はお姉ちゃん。でいいのかな?」
「いいですよ! その方が親しみ易そうです!」
「お姉ちゃんって長いよー。もっと短いのでいいんじゃないー?」
「お前みたいに呼び捨てじゃ失礼だろうがよ。お姉ちゃんを短くして……姉ぇとかでいいんじゃねぇか?」
とすると、リーフ姉ぇって感じか。お姉ちゃんより言いやすいかも。
うーん、あの後色々な話聞いたよ。さんって付けるのは悪くないけど、一緒に暮らしてる相手に使うのはちょっと違うみたい。
でもって名前だけで呼ぶのは呼び捨てって言って、凄く親しい相手に使わないと失礼なんだって。……最初からライトの事呼び捨てにしちゃってた事も話したけど、今更だから変えなくていいんだって。僕も変える気無かったけど。
それで、プラスさ……君からは呼び捨てでいいって言われたけど、いきなりそれじゃ駄目だと思ってリーフ姉ぇに聞いたら、君を付けてみたらって言われたんでそうしてみようと思う。……さんってずっと付けてたからちょっとずつ慣れないとね。
「うーん、リィちゃんってとっても頭が良いんですねー。私の進化前なんて、今みたいにいっぺんに色々教えられても覚えきれなかったですよー」
「確かにリィは見聞きした事をあまり忘れないみたいだな。才能かねぇ?」
「さいのう?」
「生まれた時から持ってる、それぞれの得意な事って感じだな。リィの場合は賢さってとこか」
色んな事を覚えられるって凄い事なのかな? 僕より皆のほうが色々知ってるし、そっちのほうが凄いと思うんだけどな。
そういえば、進化って僕もするんだっけ。ライトに聞こうと思ってたのすっかり忘れてた。ついでだし今聞いちゃおう。
「ねぇライト、僕ってどんな進化が出来るの? ライトも、僕が進化した姿の一つなんだよね?」
「おっと進化に興味を持ったか。あぁ、俺のサンダースって種族も、イーブイから進化した種族の一つだぜ」
「他にはー、ブースターとシャワーズと、フロスト姉ちゃんのグレイシアと」
「悪タイプのブラッキー、それとエスパータイプのエーフィ、最後に、草タイプのリーフィアですね」
という事は、全部で七つもあるんだ。へぇ~。
「イーブイはポケモンの中でもかなり特殊だよな。こんなに進化先があるポケモン、他には居ないぜ」
「あーあ、僕も進化出来たらよかったのになー」
「え、プラス君は進化しないの?」
「うん。パチリスは進化しないポケモンー。でも、強くはなれるもん」
「俺を見ながら言うなって。誰もお前さんに取って代わるつもりはねぇよ」
そっか、進化出来ないポケモンも居るんだ。ポケモンにも色々なんだなぁ。
「まぁ、まだリィはその時が来てないようだし、今はゆっくり進化先がどんなポケモンなのか覚えていけばいいさね」
「そうですね。今はリィちゃん、たくさん覚えることがあったみたいですし、少しお休みしたほうがいいですね」
「んー、僕は全然疲れてないからいいんだけどな」
「ま、なんでも焦ってやる事は良い事ねぇよ。まだまだリィは色んな事を覚え始めたばかりなんだし、知ろうとするのを止めなければ自然と入ってくるだろ」
知ってる事が増えれば、もっと色んなお話も出来るから楽しいと思うんだけど、ライトがそう言うんならそうなんだよね。焦っても良い事は無い……なるほどなー。
でも、もっと色んな事が知りたい。ポケモンの事も、皆の事も、……人間の事も。今までの僕は、ただ逃げてただけだから。
逃げないためにも強くなりたいし、たくさんの事を知りたい。もっと、皆と仲良くなりたいから。
「ねぇ、お話終わったー?」
「……うん。今はもうお休み。でも、また色々教えてくれるよね?」
「はは、俺が教えれることならな」
「もちろんですよー! リィちゃんといっぱいお話するって約束しましたもんね♪」
「うん! 今度は、フロストさ……ううん、フロスト姉ぇとかにも色々教えてもらいたいな」
「終わったんだよね! なら遊ぼうよー。ライトも一緒でいいからさー」
「この野郎……あくまで俺はついでかよ」
あはは、プラス君はずっと遊びたがってたもんね。僕も、なんだか体動かしたいなぁ。
……でも、やっぱり何が楽しいか分からないんだよね。プラス君の遊びって。
今も、庭の草をリーフ姉ぇに伸ばしてもらって巻きつく遊びなるものを提案してる。ライトもリーフ姉ぇも苦笑いしてるよ。
普通に鬼ごっことかしようよって言ったらあっさりそっちにするって言うし、……まぁいいや。
「よーし! 鬼決めようよー!」
「ま、俺がぼちぼちやってやるかね」
「それじゃ、ライトが鬼役だね」
「私あんまり走るの早くないから手加減してくださいねー」
ライトが本気で走ったら、絶対に逃げられないよね。もちろん手加減はしてくれるでしょ。
……今はまだ、全然ライトの強さに追いつけないけど、もしも追いつけたら……僕も誰かを助けられるのかな。あの時の、ライトみたいに。
「ほれリィ。近くに居ると捕まえちまうぞ?」
「……ライトにだったら、別にいいかな」
「それじゃ鬼ごっこにならんだろ。ほれ、行った行った」
追いつけた時、僕は……伝えられるかな。守ってくれてありがとうって。今度は……僕がライトを守りたいって。それが、ライトと出会って、怖いって気持ちより強く思えた、僕の目標。
焦っても良い事は無い、だけど、僕は頑張る。ライトみたいに強く、誰かを守れるようになりたいから!
後書きと言う名の言い訳タイム
と言うわけで、初のリィ回をお送りいたしました。リメイク前は第二の主人公と言いつつ、こういった回が無かったので、新からは時々リィ回を挟んでいきたいと思ってる所存です。
それでは、コメントエリアはこちらから。 前話へはこちら おまけはこちら 次話へはこちら
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