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むげんのMappet

/むげんのMappet

 ☆注意☆
・本作品は変態選手権参加作品であり、人♂×ポケ♀の獣姦、自慰など、多数の特殊な性描写、及びグロテスクな場面を含みます。なお、近親相姦ネタは含まれていません。
・本作品はフィクションであり、作中で主に使われる道具は、2015年11月現在商品としては実在しません
・本作品では、ある種の道具を、本来の用法とは異なる形で使用しています。実践したいと思われた場合、すべて自己責任でお願いします。



 ☆

 紡錘型の胴から、スラリと伸びた長く白い首。
 背中には、鋭くVの字に広がった薔薇色に燃える一対の翼。
 そんな見目麗しくも可憐な艶姿を、わたしは力なくくったりとさせて、高い台の上に横たわっていた。
 と、そんなわたしの身体を、温もりが包み込んで持ち上げる。
 両の掌で私を抱き上げて見つめてきたのは、あどけなく快活そうな人間の少女の、曇りなく澄んだ円らな瞳。
「こんにちは、ラティアスちゃん。あーちゃんと一緒にあそぼ!」
 天真爛漫な笑顔の咲いた唇から声を明るく弾ませると、あーちゃんと名乗った少女は紅葉のように色付いた愛くるしいおててを、わたしの紅い下腹に伸ばし、鰭型の足を掻き分けた。
 邪な目で端から見たら余りにも淫らで背徳的と思われかねない行為だったが、あーちゃんは邪気の欠片も見せることなく、柔らかな指先で足の間の穴を探り当てると、

 ――何の躊躇もなく嬉しそうに、わたしの中に手を潜らせた。

 ひと息に手首まで埋まったあーちゃんのおててが胴を貫いて膨らませ、親指と小指がわたしの前足に、残る三本がまとまって首の中に突き通る。
 瞬間、この身体に、命が吹き込まれた。
 うなだれていた顔をまっすぐあーちゃんの方に向け、しおれていた両腕を力強く開き、翼も両足も活き活きと宙を掻いて、いまやひとつに繋がっているあーちゃんへと精一杯の愛想を振りまく。
 ありがとう、あーちゃん。
 わたしと、ずっと友達になってくれる……?
 瞳で問いかけたわたしに、あーちゃんも満開の喜びを華やかに頬に浮かばせて頷きかけたその時。
「あーちゃん、もう行くわよ~。早くいらっしゃ~い!」
 背後の人の群を割ってきた、年輩の女性の声に、
「あ、ママ! は~い!!」
 それまで見せてくれていたものよりももっと眩しい笑顔をそちらへと向けて、あーちゃんは呆気なくわたしの中から手を引き抜いた。
 再び脱力したわたしの身体を元の棚に返し、
「ばいば~い!」
 と朗らかに手を振って、あーちゃんは母親の元へと小さな身を翻す。
 去っていく彼女に手を振り替えすこともできず、フられたわたしはただ静かに人混みの中へと消える彼女の姿を見送るしかないのだった。

 ☆

 と、まぁ、つまるところ。
 もちろんわたしは本物の夢幻ポケモンラティアスではなく、その姿を模して作られたぬいぐるみ。人の手にはめられることで首や腕を動かせる、いわゆるハンドパペット、もしくはマペットと呼ばれる種類の玩具なのである。
 このタイプには上半身のみのものもあるが、わたしは全身タイプなので手の入れ口が股間なのはちょっと恥ずかしいところ。でも、ひとつになって一緒に遊ぶというのは、〝そういう〟行為と通じるところがあるのかもしれない。
 本日から玩具店の棚に並び、人の子に買われる時を待つ身の上である。
 少し前、隣でのたくっていたメガレックウザのぬいぐるみが、腕白そうな坊やに首を捕まれて関節をカチコチ鳴らしながらレジへと連れられていった。向かいの棚で偉そうにふんぞり返っていたピカチュウの鳴き声機能付きぬいぐるみも、おそらくは我が子へのプレゼントにするのであろう紳士に抱かれて旅立っていった。羨ましいなぁ。
 わたしもさっきのあーちゃんを含めて幾度となくお客さんの手に取られてはいるんだけど、巡り合わせが悪いのかな、なかなかレジに向かう篭には加われない。もう夕方だっていうのに……、なに、ポケモン界屈指のアイドルであるラティアスのマペットだもん。造形と遊び甲斐には絶対の自信がある。ここまで手に取ってくれた娘たちだって、みんなとても欲しそうにしてくれていたんだから、すぐに誰か可愛いお嬢さんの手に収まって、レジから旅立つことになるって信じたい。
 ほら、そう思っている間にも、また誰かがわたしを掴みあげてくれた。
 思いの他大きな掌と太い指が、片手だけですっぽりと包んでくれる。きっとこの人も、ピカチュウを連れていった紳士と同じくお父さんなのだろう。いいプレゼントになれるかな。
 抱え起こされた視界に、手の主が覗き込んでくる。
 むっちりと分厚い唇。垂れ下がるほど弛んだ頬肉。泡立つようなニキビに覆われた潰れ鼻。色褪せたボサボサの前髪の間から、暗く濁った眼差しが見え隠れしている。ポケモンに例えるならベトベトンに似た毒々しい雰囲気を漂わせる、そんなおじさんがわたしを掴んだ人だった。
 そのルックスに関する感想はひとまず置いておくとして、ベトベトンといえば粘着の特性。掴んだ道具を離さないベトベトンに似た彼の娘なら、きっとわたしのことも大切にしてくれるんじゃないだろうか。ちょっとコジツケだけど、アリかナシかでいえばわたし的にはアリだと思う。
 はじめまして、おじさま。
 どうかわたしを。お嬢さんのお友達に選んでくださいね。
 金の瞳に願いを込めて見つめると、おじさまはギラリと妖しい視線を返し、開いた口の中の黄ばんだ歯をニッと見せて。
 腕に下げていたプラスチックの篭に、わたしの身体をそっと移し替えた。
 やった……!!
 揺れる篭の中、弾む身体が歓喜に踊る。
 おじさまはその後も女児向けの玩具エリアを練り歩き、更に同行者を2つ加えた。
 といっても、ぬいぐるみではない。どちらもシュシュ――髪飾りなどに使われるゴムリングである。
 ひとつは、ミントグリーンのひらひらした布地に包まれ、大きなリボンが結ばれたシュシュ。
 もうひとつは、光沢のある桃色の毛玉をつなげたシュシュ。
 わたしも含めてこんなにも可愛い玩具ばかりを買ってもらえるなんて、お嬢さんは随分愛されているのね。やっぱり彼は当たりだわ。
 やがて夢にまで見たレジに着いた。売り子の手に預けられ、バーコードスキャナーの光がタグを走る。
「3点、お買い上げありがとうございま~す!」
 シュシュ共々袋に梱包されて玩具店を巣立つわたしを、折り目正しい売り子の声が送り出した。

 ☆

 店を出てからしばらく、軽自動車の淡泊な排気音に揺らされるだけの時間が続いた。
 途中安めの外食店やスーパーマーケットに立ち寄ったため、ようやくおじさまがわたしを袋ごと降ろしてくれた時には、既に空は一面の星灯りを瞬かせていた。
 アパートの暗い階段をコツコツと靴音が登り、ただいまもなしに扉が開かれる。おかえりの声も、聞こえてはこなかった。
 袋の隙間から玄関の様子を見通す。
 たった今おじさまが脱いだ灰色のスニーカーの他、漆黒のゴム長靴と藍色のサンダル。
 はて。お嬢さんの靴がない。奥さんのものらしい靴も、一足もない。全部飾り気のない男物。
 仮に本人共々どこかに出かけているのだとしても、それこそ長靴とか、他の靴もひとつもないなんて……?
 靴だけじゃない。適度に散らかった部屋の中を、どう見通しても。
 おじさん以外の人間やポケモンがいる気配が、近い過去にいた名残も含めて感じられない。
 それじゃあ、おじさまは男ひとり暮らしってこと? 寂しさを紛らわせるために、ぬいぐるみであるわたしを買ったのかしら?
 あれ、でも、だったらどうしてわたしなの? おじさまの大きな手じゃ、女児向けマペットのわたしには入らないでしょうに。ラティアスファンなのだとしても、あの玩具店には普通の、もっと大きなラティアスのぬいぐるみだってあったのよ? それに、シュシュはそれこそ何のために買ったのよ? 男が欲しがるようなものだとは全然思えないんだけど……?
 疑問に抱かれたまま、わたしは部屋の奥へと連れ込まれる。
 小さな卓袱台の向こう側、万年床らしく薄汚れた煎餅布団の上に、おじさまはジーンズを落ち着けた。
 袋の封が切られ、わたしとシュシュたちは卓袱台の上に並べられる。
 ゴミだらけの床を探って掘り出してきたハサミとカッターナイフが巧みに振るわれて、わたしやシュシュに縫いつけられていたフックやタグの類をすべて奇麗に切り落とした。
 スッキリとラティアスそのものの姿になったわたしを、舐めるような視線がじっくりと眺め回す。
 ニタリ、と満足げな笑みを浮かべたおじさまは、おもむろに桃色のシュシュを鷲掴みにして、わたしの足を開き内側へとねじ入れた。
 詰め物をされて膨らんだお腹に、今度はミントグリーンのシュシュが巻き付けられる。赤い胴を腹帯のようにキュッと絞ったその脇で、反対色である緑のリボンが鮮やかに映えた。
 ははぁ、なるほど。
 この人の狙いが見えてきた。
 やっぱり彼は、わたしを普通のぬいぐるみとして自ら愛でるために購入したのね。桃色のシュシュは薄っぺらなわたしの身体を膨らますため。ミント色のシュシュは、本来の用途通りにわたしを女の子として飾りたてるもの。ちょっとした魔改造ってところか。普通のラティアスぬいぐるみを買わなかったのは、わたしを改造した方がスタイルがいいから……なぁんて思いたいところだけど、コストの問題って考えるのが妥当かしら。普通のぬいぐるみって結構高いし、わたしとシュシュ2つを買った方が確実に安いはず。倹約家なのね、おじさまって。
 ……おじさま、っていうより、お兄さま…………ううん、〝おにいちゃん〟って呼んであげた方が喜ぶかな? ラティアスっていったら妹キャラだもんね。愛してくれるのなら、わたしも応えてあげなくちゃ。
 お洒落にしてくれて嬉しいわ。これからもよろしくね、おにいちゃん。
 感謝の意を温もりに変えて伝えると、応えるように太い指がわたしの身体を這う。
 いまやふくよかに隆起した胸元を揉みしだくように撫でさすり、緑のシュシュを越えて下腹に指を回して、
 ズブリ、と。
 ………………。
 どうして。
 おにいちゃんは、詰め物をしたところに、指を突っ込んでいるんだろう。
 あぁ、もしかして、普通のぬいぐるみじゃなくって……指人形代わり? お菓子のおまけみたいな。
 桃色のシュシュはお腹を膨らますためというより、スペーサーの為に入れたってことだったの?
 だけど、それにしては体内での動きが。
 シュシュを腹側に寄せて、指を深くまで突き入れて、まるで感触を確かめて……味わっている、ような……?
 戸惑っているうちに指が引き抜かれ、鰭脚が掴み上げられて開かれる。
 やだ……これじゃまるっきりまんぐり返しの体勢じゃないの。
 入れ口からピンクの毛玉がくりっとはみ出ていて、なんだかとても恥ずかしい。
 そこを爛々と凝視するおにいちゃんの鼻息が、荒く狂おしいほどに昂って。
 嘘、そんな、まさか、おにいちゃんは……!?
 実のところ、まったく想定外だった、とは言えない。
 玩具屋で女の子たちの腕と繋がりながら、そんな妄想に戯れたりもしていたのだから。
 だけど、だからといって、本当にそんな眼で見られているなんてこと…………!?
「ぐへへ……」
 !?
 口元を伝う涎を拭い、おにいちゃんはやにわに着ていたチョッキをはだけた。
 シャツも脱ぎ捨て、ブヨブヨと重なった三段腹の下、ベルトのバックルに手をかけてもどかしげに外す。
 ジーンズの前を引き裂くように開け、トランクスもろともにズリ下ろすと、ヘソまで黒々と覆う体毛の中で、猛々しく屹立する男の欲望が露わになった。
 赤黒く鬱血した亀頭が、入れ口に突きつけられる。
 もうダメ。現実から目を背け続けていられない。
 いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?
 おにいちゃんは、挿れる気だ……もちろん指ではなく、この勃起したオチンチンを!
 桃色のシュシュはそのためのスペーサーであると同時に、クリトリスに見立てるためのもの。要するにわたしは、ただのぬいぐるみでも指人形でもなく、布製のオナホールとして、もしくは、極小のダッチワイフとして扱われようとしているのだ!!
 変態だ。正真正銘の……いや、有り得ないレベルの超常的ド変態だ!!
 鈴口から滲み出た先走りが、ピンクのシュシュに触れて濡らす。
 こんなのをねじ込まれて、奥で精液を漏らされたが最後、わたしの身体は……!?
 ひぃぃっ!? 想像もしたくない! 助けて……汚さないでえぇぇぇぇっ!!
 その祈りが、届いたのかどうか。
 覆い被さっていた三段腹が離れ、おにいちゃんは傍らのゴミの中から紙でできた小箱を取り出した。
 箱から出したビニールの包みを破り、現れた生々しい肉色のゴムをオチンチンに被せる。
 コンドーム……避妊具だ。中出しはしないでくれるつもりらしい。よかった……。
 安堵と同時に、絶望が重く押し寄せる。
 挿れられちゃうことは、これで決定的になったのだ。わたしは本当に、ダッチワイフにされちゃうのだ。
 やだぁ……こんなのナシだよぅ。
 女の子の可憐なおててと繋がって、楽しく遊ぶ日々を夢見ていたのに。
 これからずっと、こんな汚い部屋の中、男の欲情の捌け口をやらされるなんて。
 抗っても逃れようとしても、マペットの身では為すすべもない。
 準備の整ったおにいちゃんが、桃色シュシュの下を肉棒で掻き分けるのを、ただ黙って受け入れるしかなかった。
 ――――!!
 不快極まりない質量が、嘔吐感のように腹から喉までせり上げる。
 昼間少女たちのおててと触れ合ってきた内壁に、コンドーム表皮のジェルがねっとりと沁みて、まるであの娘たちまでもが辱められているかのようなおぞましい感覚に総毛立った。
 淫猥な潤いに身を滑らせ、おにいちゃんが動き出す。
 のしかかるキャタピーの節みたいなお腹を、艶めかしく蠕動させながら。
「あぁ……凄ぇ。本当にラティアスたんとえっちしてる! 君はもう、僕だけのものだよラティアスたん…………」
 熱に浮かされた声で囁く視線が、繋がっている場所を舐り見る。
 はみ出した桃色のシュシュはまさしく勃起したクリトリスとして、突き立ったモノが動く度に峰を擦り上げる。
 クリトリス部分だけではない。胎内に潜っている分も膣壁の肉襞となり、毛玉の凹凸とゴムの弾力とでグニグニと逸物に絡みつく。
 胴に巻かれたミントのシュシュもまた、わたしごと中身をギュッと締め付け、桃色シュシュが与える刺激を更に強烈なものとしていた。
「うはぁっ! キくなぁ……狙い通り、ラティアスたんのは最高の名器だ。ぐふふふ……っ!!」
 何もかも、このためだった。飾りなんかじゃなかったんだ。桃色の毛玉シュシュも、ミントのリボンシュシュも、みんなわたしをオナホールとして完成させるためのパーツだったんだ。
 何という悪夢だろう。少女を彩るために生み出されたはずのシュシュたちが、変態の手によってその存在を性玩具に堕とされ、辱められ、穢されていく。
 だけど、その中にあってわたしだけは、これほどの冒涜を受けてもなお、悲しいほどにマペットだった。
 中に嵌められたオチンチンに動かされて、おにいちゃんに犯されるラティアスの役を、〝操り人形〟として演じ続けていた。
 おにいちゃん、おにいちゃん、おにいちゃん…………
 突かれる毎に、悶え、のたうち、戦慄きながら、切ない想いを込めて締め返す。
 すべては操り手の思うままに――!!
「こんなにキツくして……気持ちいいんだねラティアスたん。僕も気持ちいいよ……むんっ!」
 一際深く、奥へと突き入れられた。わたしの喉元、本来ならば指を固定するための窄まりが、ポルチオ突起*1のようにおにいちゃんの亀頭を包み込む。
 あぁ、わたしって。
 こんなにも、淫らでいやらしい、人形だったんだ………………。
「うあぁっ! もう、もう限界だ! イくっ! イくっ!! うあぁぁ…………っ!!」
 腰が猛然と爆発的に揺れ動き、そして。
「うくぅぅぅぅぅぅーーっ!!」
 わたしの内側で命がどくどくと脈を打ち、喉の奥が煮えたぎった熱で膨れ上がった。
 精液こそコンドームに阻まれてわたしを汚すことはなかったものの、同時に解き放たれた、孤独な男の寂しさと妬みに澱んだ悪の波動が、効果抜群にわたしを蝕んで責め苛む。
「ああぁ……愛してる、愛してるよぉ僕のラティアスたぁん…………」
 虚空に譫言を漂わせながら快楽の余韻にしばし浸った後、おにいちゃんは肉棒を引き抜いてコンドームを始末した。
 欲求を果たしたばかりだというのに、再度姿を現したオチンチンはまだ興奮覚めやらぬのか、てらてらとぬめりを帯びてそそり立っている。
「もう一回、いいよね? もっともっと愛し合おう。今度はこっちで、ね。えへへ……」
 喉を鳴らすと、おにいちゃんはわたしの身体をひっくり返して尻尾を捲り上げ、さっきと同じ桃色シュシュの後ろにコンドームを着け直したオチンチンを挿し入れた。
 背中の羽根に、波打つお腹の肉が覆い被さる。前足を布団に付いた姿勢で貫かれた紅白の身体が、内包物に合わせて弓なりに反り返る。
 さっきは峰を擦っていた毛玉が今度は裏スジを刺激して、悦楽に猛ったオチンチンがわたしの身体ごと跳ね上がった。
「ぬほっ! こ、この体位もいいよぉラティアスたぁん……イく、僕またイっちゃうよぉぉぉぉっ!! むはあぁぁぁぁぁぁっ!!」
 獣の姿勢での交尾で劣情が燃え盛ったせいか、登り詰めるのは一度目よりも早かった。熱く膨れ上がったコンドームからまたしても悪の波動が盛大に噴出し、わたしは今度こそ萎えていくオチンチンを胎内に感じながら布団の上に突っ伏した。
 すべてが終わった後、おにいちゃんはわたしの内側から桃色シュシュを抜き出し、入れ替わりにウエットティッシュを突っ込んで、染み着いたジェルを丹念に拭ってくれた。もちろんシュシュの方も丁寧に。
「気持ちよかったよラティアスたん。これから毎晩よろしくね。それじゃあ、おやすみ」
 囁いたぶ厚い唇がわたしに口付けて、室内に闇が落ちる。
 ゴォゴォとけだものじみた寝息を傍らに聞きながら、わたしは閉じることのできない眼を窓の外に広がる星空へと向けて、崩れ落ちた身体を横たえていた。
 流れ星がひとつ、儚く墜ちて消えていった。

 ☆

「ただいま、ラティアスたん」
 おかえりなさい、おにいちゃん。お仕事お疲れさま。
「今日はおみやげを買ってきたんだ。髪留めなんだけど、ラティアスたんの耳飾りにいいかなと思って。ほら、着けてあげるね」
 差し伸べられたおにいちゃんの手が、卓袱台上で帽子立てに架けられていたわたしを手に取り、耳を硬い感触で挟んだ。
「うん、よく似合ってる。ますます美人になったよラティアスたん」
 着けられたのは、黄色い花のデコレーションがあしらわれたクリップ型のパッチン留めピンで、全体にまぶされたラメがキラキラ煌めく美しいものだった。ラティアスの赤い身体に、黄色い彩りは非常に映える。明るい青緑色の腹帯と併せて、まるでわたし自身が一輪の花になったかのようだ。おにいちゃんは実にいいセンスをしている。
「今身体を奇麗にするから、そしたら今夜もまた、シようね」
 うん、待ってる。
 シャワールームに入っていくでっぷりとした背中を、わたしは心からの華やかな笑顔で見送った。
 いやぁ、初めての夜は余りにとんでもない運命の変遷だったからショックが大き過ぎて悲嘆に暮れていたのだけれども、じゃあダッチワイフとしての生活がそこまで悲惨なものかって言えば、まったく全っ然そんなことはなかったわけで。
 だっておにいちゃん、わたしのことすっごく大事にしてくれるもん。事後はいつも欠かさずお手入れしてくれているし、使わない時もこうやって奇麗に飾られてディスプレイまでしてもらって。毎日熱心に話しかけてくる様子は本物の恋ポケも同然の扱いだ。いや、本物の恋ポケでさえここまで気を配ってもらえるものなのかしら!?
 可愛い子供の手に渡っても、ぞんざいに扱われ適当に片付けれているうちに汚れたり傷付いたりしていくケースだって少なくないと聞くのに、何という破格の待遇だろう。人形冥利に尽きるとはこのことだわ。
 加えて何より、容姿がベトベトン似だっていうところも、わたしとしては非常にポイントが高い。
 世の雌ポケには、エルレイドとかムウマージとかいった細身の優雄(やさおとこ)が好みな娘が多いけど、わたしはベトベトンやマルノーム、あるいはトリトドンやブルンゲルみたいな、どっしりと貫禄の付いた包容力のある殿方が断っ然タイプなのである。好みのオトコに毎夜抱かれて愛を捧げられているわけで、悪夢どころかアリもアリ、むしろナシな部分が見当たらない、超大アリの極楽気分なのだった。買われた時に『彼のお嬢さんは随分と愛されている』と感じた印象は正しかったのだ。そのお嬢さんがわたし自身となったわけだが。
「お待たせ、ラティアスたん。じゃあ、準備しようか」
 シャワー上がりの湯気立つ裸に服もまとわないまま、おにいちゃんはわたしを帽子立てから引き抜き、愛おしげに唇を付けて寝床に連れ込んだ。恥じらいもなく晒されたオチンチンは既にギンギンとわたしを求めており、その欲求が素直に愛であると感じられて嬉しかった。わたしが生身の雌なら、自らを濡らして応えていただろう。
 残念ながら自分では濡れられないわたしの胎内に、ベルベット調の滑らかな布で包まれた小さな緋色のシュシュがふたつ納められる。詰め物にするシュシュは毎夜変えて、感触の違いを楽しんでいるのだ。股間からはみ出したふたつの緋色の襞が、小陰唇のように妖しくおにいちゃんの欲情を煽った。
「へへへ、いつも通りラティアスちゃんのおまんこは素敵だなぁ。このビラビラ、なんて艶っぽいんだ……」
 指を奥まで差し入れ、シュシュの位置を整えて、おにいちゃんは、
「もう辛抱できない……っ! ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから生で味わわせてくれっ!!」
 シュシュの陰唇を押し開いて、熱く脈打つ怒張が浮き上がったオチンチンを、コンドームなしで突き込んだ。
 緊張に身体の生地が強ばる。――が、これも度々する前戯のようなもの。大丈夫、射精してしまう前にちゃんと引き抜いてコンドームを着けてくれる。大体、コンドームのジェルなしで無理に動いたりしたらオチンチンを痛めちゃう。おにいちゃんはただ生の雰囲気を味わいたいだけ。先走りで孕んだり性病をうつされたりする心配もぬいぐるみの身にはないんだし、ちょっとぐらいなら汚れたって行為の後すぐに拭ってくれるから問題ない。間違っても、このまま中出しなんかしてグチャグチャにするようなことは……
 しないって、信じてるからね、おにいちゃん。
「もう、ちょっとだけ、こうしていたい……っ!」
 挿れただけで身じろぎもしないまま、切なげな喘ぎがわたしの上で漏れて、
「…………う、ぐっ、でも……ダメだよね、中出ししちゃったら、いけないから…………」
 それ以上のナニモノも漏らすことなく、直の温もりが内壁から離れていく。
 弛緩したわたしの身体を、大きな掌が優しく撫でた。
「大事にしてあげるからね……ラティアスたん」
 あぁ、やっぱりおにいちゃんは、わたしのおにいちゃんだ。
 きちんとコンドームを装着すると、おにいちゃんは胡座を組んでわたしを抱え上げ、屹立した肉棒に上から被せるようにして繋がった。
 柔らかく弾む毛むくじゃらのお腹に薔薇色の顔が埋まり、男臭い匂いに包まれる。一番おにいちゃんを感じられる、わたしの大好きな体位。
「ぬふぅ、毛玉のコリコリ感もいいけど、この柔らかく包まれる感触もまた堪らんっ……ラティアスたん、君はなんてえっちな娘なんだ…………!」
 だって、仕方ないじゃない。おにいちゃんがわたしを、こんな身体にしちゃったんだもん。
 肉厚たっぷりの腰が踊るように旋回し、湿ったゴムに包まれたオチンチンがわたしの中を掻き回す。
 愛されている幸せを噛み絞めるように、わたしは胴巻きのシュシュと肉襞のシュシュとで胎内のおにいちゃんをギュッ、っと力一杯締め上げた。
「ら、ラティアスたぁん……っ! うぁあ、気持ちいい…………っ!!」
 興奮極まったおにいちゃんは、わたしを下腹に抱えたまま前のめりになって激しく腰を打ち付けてきた。細い首が布団に押し付けられて折れ曲がり、甘えるようにおにいちゃんのお腹をくすぐる。耳を飾る花が、揺さぶられながらキラキラと閃く。意識が、光に融けていく。
「うぉっ! おぉっ! うぉおぉぉぉぉぉぉおぉ~~っ!!」
 雄叫びを上げて、おにいちゃんは放出した。
 射精と共に、今日もまたたっぷりと溜め込んできたのであろう、鬱屈した悪の波動を。
 いいわ。もっともっと、何度だって注いでちょうだい。全部わたしが飲み干してあげる。
 元より、人の子の暗く哀しい思念を、触れ合いで拭い取るのがぬいぐるみの役目。
 そのために、わたしはここにこうしているのだから――!!

 ☆

 強風に流された雨粒が窓ガラスを悪戯に叩き、飛沫となって真っ暗な景色に散っていく。
 こんな嵐の夜は、おにいちゃんはさぞや身も心も冷やして帰ってくるのだろう。
 お湯を浴びても暖めきれない心の冷たさを、わたしが癒してあげなくっちゃ。
 雨音を裂く、聞き慣れたスニーカーの靴音。さぁ、おにいちゃんが帰ってきた。
 お帰りなさい。今夜もわたしと一緒に、楽しい夜を――

「だらあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 ……え?
 凄まじい咆哮と共に、扉が蹴り破られた。乱暴に開かれた扉が壁に当たってガツンッ! とけたたましい悲鳴を上げる。
 スニーカーを脱ぎ散らかし、灯りもつけないままズカズカと踏み入ってきた黒い影は、恐れおののくわたしを乗せた卓袱台に足をぶつけると、苛立たしげに蹴りつけてひっくり返した。
 帽子立てからも放り出されて布団の上に転がり、その拍子に外れた耳飾りが踏みつけられてパキリ、と砕かれる。
 カッと雨空に閃いた雷光が、窓から差し込んで闖入者を照らし出した。
 おにいちゃんだった。
 ズブ濡れの長い髪を振り乱し、片方の頬を赤く張らして、鼻血も垂れ流している有様だった。
 左手には小さな飲料缶。中身は熱されたお酒であるとすぐに知れた。開いて湯気を立たせている飲み口からも、荒く吐き出されるおにいちゃんの呼吸からも、揮発したアルコールの香りが漂っている。
 酔ってるんだ。
 誰かに傷つけられて、その痛みをお酒で紛らわそうとしたのか、それとも酔った勢いで誰かとケンカしたのか、そこまでは見通せないけれど、とにかく今のおにいちゃんは、痛みと酔いで完全に理性を失っている。
「られがウザいらぁ、なにがキモいらぁぁぁぁっ!? っざけやがって、あぁ、バカにひやがって……っ!!」
 呂律の回らない口が支離滅裂な喚きを上げる度に、TVが割られ、クローゼットが蹴り倒され、室内のあらゆるものが破壊されていく。
 やめて、やめておにいちゃん!?
 何があったんだとしても、わたしだけはおにいちゃんの味方だよ!?
 正気に戻って、いつものようにえっちして、嫌なことなんか忘れちゃおうよ。ね?
 倒されたまま必死に祈るわたしの両脇に、おにいちゃんの膝が崩れ落ちる。
 間近から吹き付けられたおにいちゃんの息吹は、やっぱり芯までお酒臭かった。
 右手が鰭脚を鷲掴みにする。血走った視線が、入れ口に爛々と突き刺さる。
 よかった。わたしの想いが届いたんだ。
 いいよ、おにいちゃん。わたしに全部吐き出して。
「ぐ、へ、へへへ……」
 血と泡の混じった笑い声が、歪に曲がった唇を震わせて。
 おにいちゃんはわたしの身体を押し開き、毎夜優しく愛してくれていた入れ口へと、
 左手に持っていた缶の中身を、注ぎ込んだ。
 ぎゃああああああああああっ!?
 呑みかけだったせいかこぼしたのか、缶に残っていた液体は大した量ではなかったが、わたしを構成する布地をびしょ濡れにして生臭い臭いを沁みつけるには充分すぎた。こんなの、もう拭ったぐらいじゃ落ちっこない。せっかく今日まで大事にしてもらってきたのに。
 暖かく煙立つ入れ口に、鼻血と涎にまみれた口がしゃぶりついて、滴る酒を貪り飲んだ。
「ぐはあぁぁぁぁぁぁ……っ」
 ますます狂おしい呻き声が上がり、ジーンズの前が引きちぎらんばかりの勢いではだけられる。
 脱ぐのも面倒だったのかトランクスを大腿まで剥いて、おにいちゃんはわたしにのしかかり、獰猛にいきり勃った肉棒で貫いた。
 中にシュシュを詰めてないため刺激が足りないのだろうか、雑巾でも絞るかのようにわたしの胴が締め上げられ、抜き身のオチンチンを荒々しくしごく。
 痛い、苦しい、やめて、壊れちゃう!?
 それに、コンドームを着けていない……ジェルがないのに、お酒がローションの代わりになっているせいでスムーズに抽送できちゃってる。今のおにいちゃんに、自制は期待できない。このままじゃわたし、中出しされちゃうっ!?
 ダメェェっ!? やめてよ、目を覚ましてよおにいちゃん!?
 今ならまだ間に合う。お酒の沁みや臭いが多少残ってたって愛し合える。だけど、この上更に精液で汚されたりしたらもう取り返しが付かなくなる。わたし、おにいちゃんの妹じゃいられなくなっちゃう!? そんなのやだよ、お願いおにいちゃん、中出しだけはしないでぇぇっ!!
 悲痛な祈りは、しかしただ虚しく雨音に掻き消された。
 湿りに加え、暖められていたお酒の熱、そしてアルコールが粘膜を刺激して、おにいちゃんの狂気に火がくべられ、そして、爆発する。
「フーっ! フゥーっ! んぐああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁっ!!」
 突き破らんばかりにねじ込まれた先端から悪夢の奔流が怒濤の如くほとばしり、わたしの喉内に溢れかえって頭の奥まで浸透した。
 かつてなく凄まじい怨念を漲らせた悪の波動に、わたしは魂までも溺れ苦しむ。
 熱を帯びた湿りが、じわっと頬に滲んだ。
 あぁぁ、なんてこと…………。
 中出し……本当に、されちゃったんだ。わたし、とうとう穢し尽くされちゃったんだ。
 気持ち悪い。精神的に吐きそう。悪阻でもあるまいに。
 いっそ本当に悪阻だったら、こんな形でも愛する人の子供を宿せることを幸せに思えたのかも知れないのに。
「…………うぷ」
 あれ? 本当にえずいた。
 そんなバカな。いくら喉の奥から精液と悪の波動を注ぎ込まれたからって、わたしの口からものを吐くことなんてできっこないのに。
 あ、違った。
 えずいているのは、おにいちゃんの方だ。
 多分、悪酔いしたせいだろう。わたしのすぐ上で、身体を折って……
 ってちょっと!? このままおにいちゃんが立たなかったら、そんな、まさか……!?
「ぅぐ……ぐぇぇ…………っ」
 やだあぁっ!? た、確かに『全部吐き出して』とは思ったけれど、だからってそんなものにまで汚されるなんて冗談じゃないわ!?
 助けてぇぇっ!? ナシよ、こんなのナシナシ! こんな悲惨な終わり方はあんまりよぉっ!!
 やめ――――
「おげええええええええええええええっ!!」
 胃液のヘドロウェーブを浴びせられて、わたしはなんにも見えなくなった。

 ☆

 冷たい水流が、わたしの虚ろな瞳を伝って流れ落ちる。
 あの後すぐ我に返ったおにいちゃんは、すぐに汚物の海からわたしを救い出し、シャワーで外も中も洗ってくれたのだ。
 頬の殴り傷も、まだ止まらない鼻血の処置も、全部後回しにして。やっぱりおにいちゃんは、わたしのおにいちゃんだった。
 だけど。
「ダメだなぁこりゃ。繊維までネトネトだよ。こんなのもう捨てるしかない、かぁ……」
 血混じりの声が忌々しくタイル壁に響き、緑色だったリボンシュシュがわたしの胴から外されて、片手でギュッと握り潰される。黄褐色の生臭い液体が搾り出て滴り落ちた。
「お気に入りだったのになぁ。あ~あ、もったいない」
 こんなことになったのは全部おにいちゃんのせいだけど、しかしお酒と精液と吐瀉物にまみれて無惨にも色褪せグチャグチャになった道具になんて、愛着を失ったとしても責めるには値しまい。わたしにはまだ未練がましく洗剤を擦り込んでいるけれど、ここまで汚されては元通りになんかなるわけない。いずれはリボンシュシュの後を追う運命だ。
「はぁ、バカなことやっちまったなぁ……仕方ない、明日新しいのを買ってこよっと」
 ほら。これが当然の反応。
 シャワー室を出れば、わたしはリボンシュシュや同様に汚れた煎餅布団などと一緒に袋詰めにされて、マペットでもダッチワイフでも、もちろんおにいちゃんの妹でもない、ただのゴミへと堕ち果てることだろう。どの道わたしみたいなぬいぐるみなんて、遅かれ早かれ痛んでほつれて、いずれは熟れた果実が腐り落ちるように捨てられる存在。ちょっぴり破天荒な経緯を辿ったにすぎない。
 もういいよね。もうここまで本当に嫌と言うぐらい、悪気を拭う役目をたくさんたくさん果たしてきたんだから。わたしのぬいぐるみとしての生は、ここで終わりでいい。
 胃液を浴びたせいかな、意識に霞がかかってきちゃった。眠っている間に全部終わっているといいなぁ。手放されて置き捨てられる瞬間を、覚えなくても済むように。
 さよなら、おにいちゃん。可愛がってくれていてありがとう。新しく買う仔も可愛がってあげてね。わたしのことなんか早く忘れちゃって。もしこの先どこかですれ違ったとしても、わたしはもうおにいちゃんの知っているわたしじゃなくなってるから。

 それじゃあ、おやすみなさい。

 ☆

 甘酸っぱい爽やかな香りの飛沫に打たれて、顔を上げると青空だった。
 嵐が過ぎ去った後の、一片の曇もない透き通った青空。
 真っ直ぐに照りつける眩い日差しと、吹き抜けるそよ風に晒されて、わたしは――おにいちゃんの部屋の窓から吊されて揺れていたのだった。
 あ、れ……? まだわたし捨てられてないんだ。
 今更軒下にぶら下がることになるなんて。まぁ、結局わたしには似合いの場所だってことなんだろうけど。
 ……ん? それにしてもこの香りは、一体…………?
「よし、仕上げはこれでOK、と」
 背後からかけられた呟きが、わたしの首を挟み留めていた洗濯バサミを取り外す。
 消臭スプレーの缶を携えた太い腕がわたしを抱き、薬品臭いガーゼに覆われた頬が擦り寄せられた。
「夕べは酷いことしてごめんね、ラティアスたん」
 おにいちゃん――――!?
 昨日までとまるで変わらぬおにいちゃんの柔和な笑顔が、お日様にも勝る暖かさをわたしに向けている。
 ……やれやれ、わたしったらまた随分と、都合のいい夢を見ているものね。
 だって、あんなにもメチャクチャ汚れたわたしを、おにいちゃんがこれまで通りに愛してくれるわけなんてないじゃないの。
 諦観にうなだれた身体に、鼻血止めの栓をしていない方の鼻孔が擦り寄せられて、ぶわっ! と力強く息を吸われる。明確な感触に、〝これは夢だ〟という幻想が一瞬でなぎ払われた。
「うん。もう大丈夫。臭いも全然気にならなくなってる」
 嘘だ……有り得ないでしょこんなこと!?
 言っていることからしてデタラメすぎる。あれだけ汚物に漬け込まれたのに、ちょっと洗剤で洗って天日に干して消臭スプレーをかけたぐらいで悪臭が消えてなくなるわけがない。いや、仮に本当になくなったからって生理的に受け入れられるわけがない!? 表面生地だって黄ばんで色褪せてゴワゴワになっちゃってる有様で、後はもう捨てられるばかりだと思っていたのに……!?
「僕のせいですっかり黄色っぽくしちゃったねぇ……でも、そんなラティアスたんも色違いになったみたいで可愛いなぁ」
 何なの、それ。わけ解んないわよ。新しい仔を買ってくるんじゃなかったの!? どうせ安物のマペット一個、新品の奇麗な仔に買い替えた方がいいに決まっているじゃないの!?
「ほら、新しいシュシュと耳飾り、買ってきたよ。着けてあげるね」
 …………!?
 そっとわたしの胴に巻き付けられたのは、深緑色に彩られた落ち着いたデザインのリボンシュシュ。
 耳に挟まれたパッチン留めには、小さな蝶の飾りが純白の翅を広げてとまっていた。
「うん。前のもお気に入りだったけど、こっちはこっちでオトナっぽくていい感じだよラティアスたん」
 どうして……!?
 どうしてただのぬいぐるみでしかないわたしに、ここまでしてくれるのよ!?
 こんなのおかしいよ。捨てたっていいのに。捨てれば、いいのに……!?
「本当にごめんね。もう二度と、お酒は飲まない。暴れて当たって傷つけたりも決してしないよ」
 困惑の果てに硬直したわたしを、たゆたゆと豊満な胸が包む。熱い鼓動が伝わって、ぬいぐるみの身を震わせた。
「捨てたりなんか、しないからね」
 まるで、わたしの心の叫びが届いたかのように、おにいちゃんは言った。

「だって、恋ポケにうっかり中出ししてゲロ吐いておいて、臭いから汚いからなんて言って捨てるような男は、そっちの方がよっぽどゴミだもの」

 ………………呆れた。
 バカだよ、おにいちゃん。本当にどこまで非常識なの!? 限度ってものがあるでしょうに。
 生身の恋ポケ相手ならそんなの当然、むしろ乱暴にした時点でどんなに反省しようが許されなくても文句言うなって話になるんだろうけど、ぬいぐるみのわたしにそれを適用しちゃうとか、変態の域を遙か彼方に突き抜けちゃってるじゃない。
 開いた口が塞がらないとはこのことだわ。おかげで溜め込んでいたものがどっかいっちゃった。一体どうしてくれるのよ。
 まったくもぉ、おにいちゃんってば。
 わたしが思っていたよりもずっと、粘着の特性で掴んだ物を放さないベトベトンさんそのもので、
 わたしが思っていたよりもずっと、有り得ないレベルの超常的ド変態で、
 わたしが思っていたよりもずっと、ずぅっと素敵な……わたしのおにいちゃんなんだから。
 ……あぁ、そっか。
 おにいちゃんは、わたしがぬいぐるみだなんてこと、もうとっくに捨てていたんだ。
 本気でそれ以上の存在として、わたしを愛してくれていたんだ。
 それが理解できたから、わたしはぬいぐるみとしての生を、ここで終われる。
 熟れて地に落ちた果実から、新たな命が芽吹くように。
 わたしは――――……

 ……淡黄色に染まった丸い双腕を広げて、雄大な身体を掻き抱いた。

「これは……夢?」
 深緑の帯を巻いたわたしの胴を、存在を確かめんとばかりに脂ぎった掌が撫でさする。
「ラティアスたんが……僕のラティアスたんが、本物のサイズになって、僕と、抱き合っている、なんて……!?」
 最後の『抱き合っている』という呟きと合わせて、太い腕が荒縄のように黄ばんだ身体に絡みつく。
「……これが夢かどうかなんて、わたしの方が知りたいよ、おにいちゃん!」
 白い喉を震わせて、わたしは声を上げた。
 おにいちゃんの前で、初めての声を。
「だって、こんな幸せな終わり方がアリだなんて、夢か幻でもなきゃ有り得ないって思ってたのに!!」
 振り向いたおにいちゃんに、わたしも顔を向ける。
 真正面にあるはずのその顔は、だけど滲んでよく見えなかった。
 ただ、息吹を間近に感じた。
 抱き合うだけじゃ足りない、もっと存在を確かめたいという息吹を。
 これが夢ではないのだという、証を求めて。
 わたしも同じ答えを求めて、自分の息吹を重ね合わせる。
 差し出した唇を、ぶ厚く湿った感触が覆い、その奥に秘められていた不揃いのエナメル質と――
 金属片が連なるわたしの歯とが打ち合って、甘い音色を脳裏に響かせた。

 ☆

 と、まぁ、つまるところ。
 もちろんわたしは本物のラティアスのぬいぐるみではなく、それに取り憑いていたまったく別種のポケモンだ。
 わたしたちの種族は、ある程度育つと人間の子供が持つぬいぐるみに憑依するようになる。
 所有者が成長する度に抱えていく心の傷を、拭い取って糧にするために。
 そうして負の波動が極限まで集まった頃に所有者から〝捨てられる〟ことで、さながら熟れきった果実が種を宿して落ちるように、新たな姿を得て進化するのだ。
 けれど憑依するぬいぐるみと出会えなかった場合、進化できないままはぐれて夜の町を彷徨ったり、怨念を持つ人が住む家の軒下に並んでぶら下がったりする羽目になる。
 そんな負け組に加わりたくなかったわたしは、玩具店で売れ筋となるであろうぬいぐるみを見通して、あらかじめ憑依しておくことで確実に子供の手に渡ろうと企んだのだった。
 計画は、盛大に狂わされたにも関わらず、恐ろしいほど順調に進んでいた。毎夜毎夜それはもう濃厚この上ない恨み辛み怨念の波動をズンドコズンドコ注ぎ込まれ、挙げ句の果てには直接溺れるほどに浴びせかけてもらえたのだから。まともに子供の相手をしてたんじゃ到底溜められないほどの怨念に中から外からとぐっしょり浸されて、後はもう捨てられて進化するだけ、というところまできていたのに。それに伴う離別の痛みなんて、逃れようのない通過儀礼だと思っていたのに。
 なのにおにいちゃんときたら、溜まりに溜まっていた怨念を根こそぎ浄化して洗い流し、入れ替わりに淀みない愛情を詰め込んでわたしを進化までさせてしまった。
 これがどれだけとんでもない話なのか――多分、わたし以外の誰にも理解できっこないだろう。ハタから見れば、おにいちゃんなんてプッツンイかれた性倒錯者以外の何者でもない。
 けれど紛れもなく、その人並み外れたド変態こそが、運命を塗り替えたんだ。

 ☆

「それが……君の本当の、姿、なんだね…………」
 漆黒の布地に覆われたわたしの腰を撫でて、おにいちゃんは陶然と呟く。
 黒衣のチャックを股間から大きく開き、はだけ出した紫の燐光を放つ素足でおにいちゃんの座り込んだ腿をまたぎながら、わたしはオチンチンを受け入れていた。
 快感の余り、ラティアスのぬいぐるみの姿が剥がれ落ちてしまったらしい。もう既にわたしの正体については打ち明けた後ではあったが、まぐわったまま自分を見せてしまったことがとにかく恥ずかしくて、元々興奮に火照っていた顔がますます加熱する。
「うん……ごめんね。こんなジュペッタで」
 そう。わたしはカゲボウズから進化したぬいぐるみポケモン、ジュペッタ。闇で染めた黒衣を全身にまとい、歪な双眸を爛々と紫色に光らせているこの身は、ラティアスの明るく愛らしい姿とはまるで似ていまい。
 だけど、それでもおにいちゃんは、
「どんな姿でも、ラティアスたんは僕のラティアスたんさ。それに……今のラティアスたんも、すごく可愛いよ」
 とろけるように囁いて、腰をうねらせ突き上げてきた。
 言葉を裏付けるように、コンドーム越しに感じるオチンチンはいつにもまして硬く、そして熱い。わたしとしては進化を遂げた今なら中出しされてもかまわなかったのだが、おにいちゃんはけじめだからとしっかりゴムをまとってくれた。その心遣いがまた嬉しくて、霊体の膣に愛の泉を湧き出させる。濡れて勢いを増しながら上下に動く極太の肉針に貫かれ、わたしは身も心もおにいちゃんに縫い止められていく。
「ぁあんっ! いいわ……もっと、もっと奥まで貫いてぇぇっ!!」
 毎夜何度も抱かれてきたのに、嬌声を聞かせるのは思えば今回が初めてのこと。これまで上げてこなかった分が身体の奥にいっぱいいっぱい詰まってる。開きっぱなしの口からどれだけ漏らしても、尽きそうになかった。
 対面座位は、向かい合うおにいちゃんの顔がよく見えるから好き。今や自分から動いてあげられるし。でも、もっとよく見たい。おにいちゃんにも、わたしを見て欲しい。そんな悪戯心に、ふと駆られた。
 袖先のチャックから爪を伸ばして、おにいちゃんのボサボサに伸びた前髪を横に撫でつける。進化したとき一緒にバレッタぐらいの大きさになっていた耳のパッチン留めを外して、側頭部に寄せた髪を留めた。
 日差しの下に現れたおにいちゃんの瞳は暗さも濁りもなく綺麗に澄んだ色で、パッチン留めに止まった蝶飾りの胴を成すビーズと一緒に光を受けて煌めいていた。
 おにいちゃんからもらったもうひとつのプレゼント、深緑色のリボンシュシュも進化と同時に大きくなってわたしの腹を飾っており、腰を擦り合わせる度にリボンの結び目に結わえられた薄紫色のビー玉がゆらゆらと輝く。
「く……っ! ラティアスたん、僕、もう…………」
「ああぁ……おにいちゃん、わたしも、わたしも一緒にイくぅ…………っ!!」
 天へと浮遊するふたつの魂に呼応して、官能的な共鳴音が響き渡った。
 おにいちゃんのこめかみに着けた蝶飾りと、わたしが横腹に着けたリボン飾りが、引きつけ合うように鳴り響いたのだ。
 どちらもおにいちゃんから送られたプレゼントが、わたしの進化と共に大きくなったもの。
 きっとこの子たちは、わたしたちの絆の証なのだろう。
「ああああぁっ! ラティアスたぁぁぁぁぁぁあんっ!!」 
「おにいちゃん! おにいちゃぁぁぁぁぁぁぁあんっ!!」
 脈動が胎内で爆発したのを感じて、わたしのすべてのチャックが全開に弾け飛ぶ。
 わたしに詰まったおにいちゃんへの想いが、止め処なくほとばしってなお無限に湧き溢れた。
 全身を刺し貫くこれほどの喜悦、夢や幻なんかじゃ絶対ない。
 敢えて無粋にまとめるならば、〝奇跡〟と呼ぶのが相応しい。
 
 ☆

 愛を交わし合いながら、わたしたちはお互いのことを打ち明けた。
 わたしはカゲボウズだった正体を。おにいちゃんは、昨夜荒れていた事情を。
 人付き合いが苦手で、勤めていた会社でも孤立しがちだったおにいちゃんは、昨日とうとう不仲だった同僚と些細なことから大喧嘩をやらかし、それが原因でクビになってしまったらしい。
「もうお先真っ暗で、自暴自棄になった挙げ句お酒に逃げてね……気が付いた時にはもう、吐き戻したものの下に君の羽根が見えていたよ……」
 申し訳なさそうにおにいちゃんは目を伏せたが、しかし謝られるには及ばない。過激で不快な形ではあったにせよ、それすら受け入れて進化することがわたしの最初からの望みだったのだから。
「すっかり汚してしまった君を見て、思ったんだ。ここから、やり直そうって。君をきちんと洗って綺麗な姿に戻せたら、僕もまた新しい人生を始めてみようってね」
 そう、わたしを洗うのと一緒に、おにいちゃんも内向的だった自分を洗い流していた。幻想で描いた〝ラティアス〟ではなく、わたし自身と向き合える人間になるために。
 だからこの奇跡は、わたしたちふたりの変革。おにいちゃんのお腹みたいな節くれ立った芋虫(キャタピー)から、パッチン留めに翅を広げる純白の(バタフリー)へと羽化するように、おにいちゃんとわたしは、変態したんだ。

 ☆

「僕さ、旅に出ようと思うんだ」
 満ち足りた霊体を黒衣の中にしまいチャックを閉じて、その上から再び黄味がかったラティアスの着ぐるみを被っていると、傍らのおにいちゃんがわたしを抱き寄せて語ってきた。
「自分にできることや、本当にやりたいことを、世界中を巡ってでも見つけ出したいって考えてる。こんな歳になって自分探しだなんて、本当にみっともないけどさ……」
「大丈夫だよ」
 丸い手をおにいちゃんの握り締めた拳に添えながら、わたしは自信を込めて断言した。
「今のおにいちゃんなら、どんな運命だって変えていける。何てったって、変態は無敵だもんねっ!」
 その奇跡をこの身をもって体現し体験した、わたしの存在こそが何よりの証明だ。
「ありがとう、ラティアスたん。それで、その……君も、一緒にきてくれるかな……?」 
 恐る恐ると問われた言葉に一瞬だけキョトンとなり、溜息と苦笑混じりの息をフッと吐き出した後、わたしはおにいちゃんの体操マットみたいなお腹にダイブした。
「うぷっ!?」
「バカねおにいちゃん。そんなの当たり前じゃないの! だってわたしはおにいちゃんの……ううん、そうじゃないよね。わたしたちは、お互いを赤い糸で繋ぎ合った操り人形同士なんだから!!」
 だからこれからは、悩みや哀しみを一方がただ拭って溜め込んでいくことはしない。
 ふたりで共に分かち合い、乗り越えて前に進んでいこう。
「これからもずっと一緒だよ。大好きな、わたしのおにいちゃん!!」
 ラティアスの顔を突き出して宣誓すると、応えを返すように唇が重ねられる。
 蝶飾りのビーズ(キーストーン)と、リボン飾りのビー玉(ジュペッタナイト)とが、共鳴して祝福の歌を高らかに響かせた。

 ☆Happy・End



 ☆

 わたしは、三日月ポケモン・クレセリア――
 ……の姿を模した、ティッシュボックスカバーだ。
 箱型をした身体の前に三日月を被った頭を立て、後ろに藤色の尾を引いたぬいぐるみ型。
 帯状の羽根に囲まれた背中にはスリットが開いていて、ここからティッシュを取り出す仕組みだ。箱は腹側に開いた穴から入れて、ゴムベルトで固定するようになっている。
 そんなわたしは、本日見るからにむさ苦しい青年に買われて、彼の自宅へと運ばれた。
 どうお見通ししても独り身臭い男ではあったが、ふつうのぬいぐるみならともかくわたしは実用品。独身男性に愛用されても変ではあるまい。大方、自家発電処理の際、隣に鎮座するのがただの紙箱では寂しかったというところだろう。
 いいさ。付き合ってやる。日々の勤めで溜め込んだ怨念、わたしでしっぽりと拭い取ればいい……
 ……と、思っていたのだが。
「お待たせ~。これが、用意しておいた君の〝中身〟だよ」
 どんっ! と目の前に置かれた代物に、わたしは愕然と硬直するしかなかった。
 どう見ても、それはティッシュボックスなどではなく――――
 ――滑らかな曲面と、それを支えるふたつの半球が重なり合った膨らみの頂点に、蘭の花に似た装飾を色づかせたシリコン樹脂の塊……つまり早い話、人間女性の下腹部を模した据え置き式の大型オナホール、だったのである。

 ☆ジグザグマペット第五回帰ってきた変態選手権参加作品☆
 『からたち島の恋のうた・豊穣編』
 ~むげんのMappet~無限に続く@世に変態のいる限り


ノベルチェッカー結果 

【原稿用紙(20×20行)】 62.6(枚)
【総文字数】 20087(字)
【行数】 469(行)
【台詞:地の文】 12:87(%)|2444:17643(字)
【漢字:かな:カナ:他】 31:60:7:0(%)|6389:12144:1473:81(字)


あとがき 

 年末年始の忙しさに追われ、年越しでの仮面外しとなりました。毎度おなじみ狸吉です。
 僕のダッチワイフネタとしては3作目。1作目は〝人形と見せかけて本物だった〟『ピッピ人形』、2作目は〝本物と見せかけて人形だった〟『風船彼女』でしたが、今回は更に趣を変えて〝人形が主人公でポケモンだった〟というお話でした。
 発送の源はは大会から遡ること約一年前の2014年11月3日、独りで京都までバス旅行に行ったとき。
 伏見大社っていう有名なお稲荷さんを見物してきたんですが、そこの売店で狐さんのフルボディ型マペットを購入しましギャアァァァァァァッ!?

 ※罰当たりな狸が狐に祟られています。しばらくお待ちください※

 ま、まあそんなわけでして(爆)、次の変態選手権はマペットにジュペッタで行こうと早い段階から決めていました。こちらの大会時コメントレスで予告した「ちょっとした変化球」というのは、実は本作のことだったのです。(夏の短編大会のは、ネタの元になった事件が仮面大会より後の出来事でしたので)
 ポケモンのフルボディマペットには、ピカチュウ、セレビィ、ビクティニなどが実在しますが、敢えて架空のラティアスマペットにしたのは……ラティアスで官能をやりたかったから、というのが本音ですw 確実に雌なポケモンなら、抱く側も妄想しやすいだろうという理由もありますが。オマケのラストで同様の被害にあっているのがクレセリアなのはそっちの理由によるものです。

 一応書いておきますが……実践する場合には強くイメージして漲らせておかないと擦れて痛くなる場合があります。僕は布地の温もりが好きなのでシュシュを使っているのですが、クレセリアがされそうになっているみたいにオナホを仕込んだ方が効果的かもしれません。(くれぐれも自己責任で!)
 なお、ティッシュボックスカバーにつきましては、イーブイのを持ってはいますが実践はしていません本当ですwww


投票時に頂いたコメントへのレス 

>>2015/11/29(日) 13:17さん
 コメント頂けなかったのは残念ですが、投票ありがとうございました!

>>2015/11/29(日) 14:19さん
>>人形目線だと、なんだこれは!?
>>と思っていたら、化かされました。
 狙い通りの反応でしてやったりですw
 ポケモン似の人間×ポケモンのぬいぐるみという、一見ポケモン小説としては大暴投な話と見せかけて、実はポケモン図鑑の説明にしっかりと則ったオチに着弾するという変化球だったのでした。

>>流石狸さんですね。
 やっぱりバレバレですかw
 描き出した時点ではもっと仮面を厚めに被る予定だったのですが、気付けば途中からいつも通りの性表現を使いまくっていました。ちなみに、〝肉針がジュペッタを貫く〟という表現は、ルビー版ポケモン図鑑の記述『自分の体を針で傷つけるとき強い呪いのエネルギーが発生する』からきたものです。

>>雄の候補に不定形グループを挙げていた時点で気づくべきでした。
 少しはヒントを出してラティアスたんの正体に期待を持たせておかないと、途中で読み捨てられそうで不安だったのでw その他、お見通ししたり、眼を閉じることができなかったり(特性は敢えてどっちとも取れるように描いています)、軒下にぶら下がるのがお似合いだったりと所々にヒントを仕込んでいました。一人称がひらがなで〝わたし〟なのも、中にぬいぐるみの〝わた〟を詰めたものですw

>>先行きが不安でてっきりバッドエンドものかとヒヤヒヤしていましたが、なかなかどうして純愛かつ変態じゃないですか。投票させて頂きますね。
 そりゃバッドエンドものに見えるはずですよ……何しろ、おにいちゃんが吐いたシーンまでは、〝汚れたぬいぐるみが捨てられた後、ジュペッタに進化しておにいちゃんを祟り殺し、屍を操り人形にして遊ぶ〟という真っ黒な結末となる予定で描いていたのですから。
 実際その結末まで描き終えていたのですが、推敲してみたらラティアスたんがぽろっと「汚れてまで愛するほどおにいちゃんは非常識じゃなかった」と語っていまして。なら、変態選手権なんだから、非常識な恋愛をしなけりゃダメじゃないかという天邪鬼に唆されて描き直したのです。つまり、本当に変態によって運命が塗り替えられていたというわけだったのでしたw ともあれ投票ありがとうございます!
 
>>2015/11/29(日) 20:29さん
>>一瞬、バッドエンドかと思ったけど、ハッピーエンドでよかった。
 上記しましたが、本来はバッドエンドになるはずの話だったのですw その結末を愛によって回避したことが、作者すら想定していなかった感動を生み出したのでした。喜んで頂きありがとうございます!

>>2015/12/03(木) 00:18さん
>>冒頭からしてストーリーは透けて見えていましたが、なんという演出力。圧巻です。すべてはマペットが動き出す展開に繋がる壮絶な前振りだったとは。
>>きっと途中で話の筋がバレることも想定内なのでしょう。分かってしまった人のための伏線と言い回しの巧妙さで、ともすると不快感さえ与えかねない変態の描写もダレることなく読めました。全体が短くまとまっているものもよかった。
 好評を頂き恐縮です。そこまでは確かに想定内だったのですが、おにいちゃんがぬいぐるみを捨てなかったことや、ジュペッタがメガシンカしたことなどは完全に作者がキャラに操られて描いたものだったのでした(苦笑)。執筆していると本当に予期せぬことが起こるので油断できませんw

>>いろんなサイトでジュペッタの小説を読み漁ってきたのですが、こんな見せ方が残っていたとは、と感心しております。捨てられないデレデレジュペッタちゃんも可愛い……。
>>嫁の新たな一面が見られて満足でした。
 実は関西けもケットで購入した本の中に、ジュペッタヒロインで設定を巧みに使ったとても面白い漫画がありまして。*2これに負けたくないという対抗心が結末変更への動力源となりました。色々と大変でしたが、満足して頂けるものが描けて嬉しいです。投票ありがとうございました!

>>2015/12/05(土) 01:02さん
>>変態選手権らしい実にHENTAIな作品でした(褒め言葉
 何しろ僕の場合、夏の短編小説大会で描いたモノが余りにも変態過ぎたため、これを超える変態性を目指す必要がありましたからねw 変態という言葉をテーマにするぐらいにこだわりました。お褒め頂き感謝します!

>>2015/12/05(土) 23:49さん
>>かなり変態ですねw
>>でも心も温まる、素晴らしい作品でした!
 作者の手の内すら超えるレベルですからね。まさに無敵の変態愛です。貴重な一票をありがとうございました!

 みなさまの応援のおかげで、なんと2015年は4部門すべての大会で表彰台に登ることができました。*3改めて感謝します。2016年こそはブロコレ*4脱出目指して頑張ります!!


コメント帳 

・火蛇「仮面大会でゲームでの失敗を晒し、短編大会では便所での失敗を晒して、そして今回は自慰の性癖までをも晒しやがった、ってわけか」
・粗砥「ったく、関西けもケットでは一部のWiki仲間にすっぴんまで晒しておいてよくやるぜ」
・鳴空「ほんと、晒しっぱなしの2015年だったわねぇ。今年は一体ナニを晒すことやら」
・ラティアスたん「正真正銘、有り得ないレベルの超常的ド変態っ!」
・狸吉「うわあぁん! やかましいわお前らぁっ!?」

コメントはありません。 むげんのコメント帳 ?

お名前:

*1 膣内の子宮口付近にある膨らみのこと。
*2 ヒント・本Wikiに投稿歴のある人の作品。
*3 仮面小説大会官能部門3位、非官能部門2位、短編小説大会3位、変態選手権3位。
*4 万年3着のこと。

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Last-modified: 2016-01-24 (日) 19:55:26
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