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絆〜遠い日の約束 三日目 夜

/絆〜遠い日の約束 三日目 夜

作者:COM


「ただいまー!」
とキッシュが元気に扉を開けて家に入っていった。
「はいはい、お帰り。」
と軽くあしらいながら、外に干しておいたシーツを取り込んだ。
あの後、ポフィンを焼き、広場に行く準備をしている時に、コッポたちが一旦家に帰ったのを確認して干していた。
「よかった、日が落ちてたから湿気てないか心配だったよ。」
「ねえレイ。今日は何を作ってくれるの?」
とまるでそれが当たり前かのように質問してきた。
「家事全般は俺の仕事か…まあいいや、結構好きだし。そうだな…せっかくだからちょっと豪華にしてみようかな?」
そう言うとキッシュは子供のようにはしゃいだ。
「やったー!!それじゃ早く作ってよ!わたし早く食べたい!」
と目をキラキラ輝かせながら言った。
「そうか、早く食べたいのか、じゃあシーツは任せたぞ。」
そう言ってレイはキッシュにベッドシーツを渡した。
「え~!何よそれ!」
と少し不満そうに言い返すが、
「早く食べたい、なんて言ったほうが悪いんだ。それじゃ、すぐ作るからベッドを整えておいてくれ。」
そう言ってキッチンに向かった。
『そういえば…キッシュと出会ってから…もう、三日も経つのか…』
料理を作る手は止めずに、ふと思い返していた。
初めて出会ったときは、完全にキッシュを我が物にし、忌まわしい自分に振り回されそうになっていた。
二日目は、彼女の不思議なオーラのせいか、少しずつレイの化けの皮が剥がされ、優しいレイが見え隠れするようになった。
三日目は、彼の特技を披露し、キチンと広場のみんなにも謝り、ついに本当に目指していたレイが現れた…
しかし…
「レ~イ~!シーツ敷き終わったよ~!まだ出来てないの~?」
「馬鹿か!どうやったらそんな短時間で料理を作れるんだよ!」
「あらかじめここに作ったものを用意しておきました。的な感じで…」
「どうやって準備するんだよ…」
そんな会話をしながら…レイは思った。
『いつまでも…こうしていたい…でも、彼女には本当に思う人がいる……キッシュがどう思おうと、俺はキッシュの幸せのためなら…』
「キッシュ!ちょっとこっち来て手伝ってくれ!」
「え~?なになに?味見?」
そんなことを言いながら早足でやってきた。
「味見はダメ。食べてみてのお楽しみ。」
「え~~…じゃあ何よ…」
そこまで言いかけたキッシュに…レイは不意に抱きついた。
「え!?ちょ、ちょっとどうしたのよ!急に!」
キッシュが焦って何も出来ないでいると、レイはそのまますぐに離れ、
「なんでもない!ちょっとからかいたかっただけだ!」
と笑顔で言った。
「なによも~~う!!こうなったら味見してやる~~!!」
「おい!やめろって!それまだ下味しか…」
「辛っ!!何よコレ!!辛過ぎて食べられないわよぉ~…」
そう言って完全に涙目になるキッシュ。
「あぁ~あぁもう、分かった分かった、すぐに準備するから、もう大人しく待っててくれよ?」
そう言いながらキッシュの頭を撫でてやったら、小さく頷きソファーに戻っていった。
『俺が…守ってやらないとな…』
そう、最後に思い、そのまま無心で料理を作り始めた。
そして…
「よし!キッシュお待たせ!俺のスペシャルフルコースだ!」
そう言ってテーブルに並べた料理はどれも目移りするほど美味しそうなものばかりだ。
「すごーい…もう、ここまでいくと流石に一人暮らしのオスじゃ片付けられないわよ…」
と、ただただ感嘆の息を漏らしていた。
「さ、お待ちかねのディナータイムだ。」
「いっただきまーすっ!」
そう言って食べ始めたが、あっという間に食べ終わってしまった。
「ごちそうさま!やっぱりレイが作る料理は美味しすぎて止まらないわ。」
「そういってもらえるとありがたいよ。ごちそうさま。」
そう言って、さっさと食器を片付けた。
その後、
「ふわぁ~っ…お腹いっぱいになったら眠くなっちゃった。」
と大きな欠伸をしながらキッシュがレイに向かって言った。
「そうか、それじゃキッシュがベッドを使っていいからな。お休み。」
そう、レイが言うと
「え?レイはどこで寝るの?ってこれ前も質問したっけ…」
「あぁ、俺はここで大丈夫だよ。」
そう言いながらソファーをポンポンと叩いた。
「え~!折角なんだから一緒に寝ようよ。」
と唐突に、レイに言った。
「え!?いや…俺は…別にここでいいから…」
少し、焦り気味に言う。
「ダーメ!一緒に寝るの!」
そう言って体を使ってドンドンと例を寝室のほうへ押しやってしまった。
「いやっ!ちょ、まっ!タンマ!タンマ!!」
そんな声も気にせず、あっという間に寝室に押し込み、そのままベッドへ押し込んだ。
「ホントにこのベッドで一緒に寝る気か!?シングルベッドなんだぞ!これ!」
「ならなおさらいいじゃない!身を寄せ合って寝れば、より距離が縮まるって!」
そう言ってベッドにレイを無理やり押し込み、そのままキッシュも転がりあがった。
「ね?そんなに悪いものじゃないでしょ?」
と言ってレイの方を見たキッシュだったが、レイは完全にキッシュに背を向ける形で横になっている。
「なんで背中を向けるのよ!!」
さすがにキッシュも大声を上げた。
「いや…だって……ハズカシイカラ…」
どんどんレイの声が小さくなっていく。
「折角好きな人と一緒に寝るって言うのに!こっちを向きなさいっ!!」
そう言いながら無理やり体を反転させようとするが、レイも必死に抵抗している。
「いい!このままでいい!死ぬぞ!今そっち向いたら確実に死ぬぞ!」
とわけの分からないことを言いながら必死に耐えている。
「じゃあわたしのために死になさい~!!」
そう言って反転させた。
「ほらっ!全然大丈夫でしょ?…ってなんで目を塞ぐのよ!!」
ひっくり返したレイは前足で完全に何も見ないようにしている。
「開けなさいぃ~~!何?それとも私が嫌いなの?」
そう聞くと
「そんなわけないだろ!!」
そう言いながらすぐに前足を下ろしたので、ほぼゼロ距離でキッシュと顔を合わせることになった。
「…………スゴク……カワイイヨ………キッシュ…」
「え?なんて言ってるの?全く聞こえないんだけど…」
「………可愛いよ…キッシュ…」
と今にも消え去りそうな声で、顔を真っ赤にしながら言った。
「ウフフ!嬉しい!」
嘘の無い素敵な笑顔でお礼を言った。
「それじゃ…おやすみ…」
そう言って、そのまま眠ろうとしたレイに
「えー!…もうちょっと言うことあるでしょ!」
と不満そうに言う。
「無いよ、伝えたいことは明日伝える。お休み。」
少し、この状況に慣れたのか落ち着きを取り戻して言った。
「もう!何よ!可愛いなんていつも言ってるくせに!」
そう言って不貞腐れて眠ろうとしたキッシュにレイが不意を着いて
「それじゃ、おやすみのキスぐらいするよ。」
そう言い、軽くキスをした。
短くも長い、キスの時間…レイがその不思議な時間に終止符を打とうとしたその時、
『キッシュの唇…暖かくて…柔らかくて…素敵だ…何物にも喩えっ…!?』
今度は不意にキッシュの舌がレイの口の中に滑り込んできた。
『キ、キッシュ!?なにを…んっ…!」
最初はためらったが、いつの間にか自分の中に滑り込んだキッシュを受け入れ、そのまま自分の舌を絡ませた。
最初は自分の口の中だったが、いつの間にかキッシュの中にも滑り込み、絡み合い、融けて混ざり合うようにお互いを確かめた。
だんだんと激しくなり始め、何も聞こえない静寂の中に、少しずつクチュ、クチュと言う音が混ざり始めた。
絡み合う二人の舌は、まさに舞踏会で踊る男女のように、時に激しく、時に繊細に、お互いを信頼し、確かめ、全てが一つになりそうなほど混ざり合って融けていた。
どれほどそうしていたか分からないほどの時間が流れ、いつの間にかお互いの鼻息が荒くなっていた。
呼吸が苦しいせいなのか、体温が上がってきたせいなのか、それでも止めようとは二人とも思わなかった。
まだ少し、もう少し、ほんの一瞬でも長く、互いを感じあいたかった。
が、さすがにいつまでも息が続くはずもなく、ほぼ同時にゆっくりと、しかし離れる舌を惜しみながら息をするために一度離れた。
「ハァ…ハァ…ハァ……急にびっくりしたよ。」
「ハァ…ハァ…ハァ……ウフフ…やっぱりあなた、ディープキスって知らなかったのね。」
そう言って少し妖艶な笑みを浮かべた。
「ディープキスって?」
不思議そうな顔をし、キッシュに尋ねるレイ。
「ディープキスってのは好きな人と、お互いを確かめ合える今みたいな素敵なキスよ。」
と説明した。
「どう?嫌だったかしら?」
「いいや、すごく良かったよ。」
と少し含み笑いをして答えた。
「それじゃ、おやすみ…」
そう言ってもう一度寝ようとしたレイに
「そうだ!レイ、初めてディープキスしたのに拒まなかったお礼をしたいから目を瞑って。」
と切り出した。
「もう、目は閉じてるよ。何がもらえても俺はキッシュからもらえるものなら嬉しいよ。」
と、目を瞑ったまま答えた。
『何かな…?アクセサリーとかなら…大事にしなくちゃ…な!?!?』
そんなことを考えながら、じっと目を瞑っていたレイに突如、想像もしていなかったことが起きた。
「キッシュ!?な、ななな何を!!」
すぐさま目を開け、驚きながら喋るレイ。
「これが、お・れ・い♪」
そういうキッシュの前足はきっちりとレイの大きくなったモノを掴んでいた。
「い、いや!お礼って!?ダメだって!汚いから!」
と必死に止めてもらうように訴えかける。
「嘘つき、どう見ても一度も使ったことないのに汚いの?」
と、質問してくる。
「いや、確かにヤッたことないけど…そういう問題じゃなくて!!」
「そう…それでも汚いって思うのね…じゃあ、綺麗にしてあげなくちゃ…ね?」
そう言ってゆっくりとレイのモノに顔を近づけていく。
「いい!!やるな!!やめ、ちょっ!!」
そんな必死の説得も聞かず、そのままモノを上下に動かしだした。
「でも、まずは気持ちよくして、それからきちんと綺麗にしないとね。」
だんだんとその動きは早くなり、快感の波が頂点に達しそうになったその時、その手を止めた。
「ハァハァハァ…ありがとう…もう十分だよ…」
そうは言ったが、既に限界が近いのに止められたため欲望は今にも暴走しそうになっていた。
「それじゃあ折角気持ちよくした意味が無いじゃないの。今からきれいに舐めてあげるから。」
そう言って今度こそ躊躇無くレイのモノを舐め始めた。
舌を器用に使い、先端から根元まできれいに舐めあげていく。
『も、もう…限界だ…こんなことされて…抑えられるかっ!!』
しかし、レイは一瞬でキッシュの上に馬乗りになり、彼女の秘部にいきりたち、赤く充血した彼のものの先端をあてがった。
「レ、レイ……」
そこまで言うと、キッシュはじっと何かに耐えていた。
そんなキッシュに応じるように少しずつ彼女の秘部に自分のモノを沈ませ始めた。
「アッ…!ンッ…!」
と少し、また少しゆっくりと入ってくるレイに呼応するように、小さく甘い息を漏らしていた。
だんだんと奥へ入って行き、純潔の証である壁に先端が触れた。
中の暖かさと柔らかさで既に爆発しそうになっているモノがさらに理性を失わさせるが、
『何をしてるんだ…!俺はっ!!』
そう思い、一瞬で理性が帰ってきた。
少し小刻みに震えながらも、拒むことなく、むしろ期待しているかのようにキッシュはレイの顔をうかがっていた。
そこでレイは思いとどまり、ゆっくりと自分のモノを引き抜いた。
「挿れないの…?わたしは……イイよ……」
そう言って、キッシュがすでにレイを受け入れてもいいと思っていることを伝えるが、
「駄目だ…それだけは……約束だから…」
そう言ってそのままキッシュの横に仰向けに寝転んだ。
「もう…寝よう…明日も忙しくなりそうだし…」
そう言って目を瞑ろうとしたレイのモノをキッシュは不意に咥えた。
「バッッ!!キッシュ!もうやめ……ッッッ!!」
「ふぁはひはひや(わたしは嫌)。」
とレイのモノを少しずつ吸い上げながら喋った。
チュッ、チュッっと彼女の口よりも大きいソレを卑猥な音を立てながら、優しくより快感を得られるようにねちっこく吸い上げた。
「も……もう……限界…ッッ!!」
そう言い切る前に、キッシュの口の中に精子を全てぶちまけた。
「んっ!!」
あまりにもいきなりに大量の精液が流れ込んできたため、少し苦しそうな表情を見せたが、懸命にその精液をこぼすまいとゴクッ、ゴクッと音が聞こえるほどの速度で飲み始めた。
とはいえ、あまりにも多すぎるその量に間に合わず、少しずつ口の横からプチュップチュッと音を立てて漏れ出した。
しばらく続いた射精の間、一度も口を離さずに精液を飲み続け、そしてほとんど飲んでしまった。
「ぷはっっ!!…フゥフゥフゥ…こんなに溜まってるってことは本当に何にもしてないのね…」
そう言うと、そのまま溢れたり、今も少しずつ出ている残りの精液をきれいに舐め取り始めた。
「ハゥ!!もういいよ…!それに…言っただろ…?そんなことはしないって…」
全てきれいに舐め取ると
「だって、さっきシーツを敷くときに部屋をくまなく探したのに、本当に何一つ玩具が出てこなかったんだもの。」
そう言いながら最後にレイのモノにキスをし
「だから、コレはわたしの仕事♪」
そう言って仰向けに転がった。
「おやすみ!言ってくれたらいつでもしてあげるから。」
そう言って目を閉じた。
快感の余韻と、溜まっていたものを全て出した疲れで、少しの間動けなかったが、やっと動けるようになり。
「それじゃ…これは俺からのお礼だ…」
そう言いながらキッシュの秘部を舌で軽く舐めた。
「ヒャンッッ!!何するのよ!!」
しかし、レイもそんな言葉も意に介せず、そのまま覆いかぶさるように秘部の中へと舌を入れた。
柔らかく、熱いほどに湿ったキッシュの膣は、さっきレイがモノの先端を挿れたときに濡れていると気付いた。
「アッッ!!ンッッ!!ダメェェ!!」
レイの舌はキッシュの中で激しく暴れまわり、キッシュに喩えようもないほどの快感を与えていた。
「止めないよ、キッシュが頑張って俺を気持ちよくしてくれたんだ…今度はキッシュが気持ちよくなる番さ…」
そこまで言うともう一度、覆いかぶさるように彼女の中を舐め回した。
少しずつ彼女の声が大きくなり、甘い声がだんだんとレイを、もっと苛めたいという気持ちに誘わせる。
どんどんと舌の動きを早くし、小さくて可愛いクリトリスを吸ってあげたり、奥のほうまで舌を伸ばしていくほどに、キッシュの中は熱く潤い、さらにとろけるほどに柔らかくなっていく。
「ダ、ダメェッ!!…嫌だって…ッ!言ってるでしょ!?」
「その割には抵抗してない気がするんだが?」
と、ニヤニヤ笑いながら聞き返す。
勿論、本当に嫌なわけではないため沈黙してしまう。
「意地悪…」
小さくキッシュがそう呟いたのを聞くと、もう一度秘部を舐めることに没頭した。
だんだんキッシュの息使いが荒くなり、絶頂が近いことをレイに教えていた。
「アッ…もう…ダメェェ!!…」
キッシュのその台詞を聞くと同時に、その行為を即座に止めた。
「ハァンッッ…!!なんで…そこで…止めるのよ…」
と涙目でレイに訴えかけると、少し意地悪そうな顔で
「さっきの仕返し♪限界ギリギリで止められるって意外ときついもんだろ?」
と微笑みながらキッシュに言った。
「なによ…ホントに意地悪ね…」
「冗談。ちゃんとイかせてあげるよ。」
そう言い、最後の仕上げにキッシュの秘部を命一杯舐めながら吸い上げた。
「アフウァン…!!アァァーー!!!」
最後に大きな声で最高の快感を味わったことをレイに伝え、例の顔に目掛けて勢いよく愛液を吹き出した。
レイはそれをきちんと舐め取り、最後にお腹をさすって
「うん、やっぱり可愛い…」
そう言ってキッシュに軽くキスをした。
「ハァ…ハァ…ウン…ありがと…レイ…気持ちよかった…」
「でも、さすがにお互い汚れたな。川に行って体を洗おう。」
そう言ってゆっくりキッシュを起こし、一緒に川へ向かった。
夜の川辺は昼間とは一味違い、川の水に映りこんだ星々が、まるで天の川をそこに具現化したかのようにキラキラと流れに揺らめいて輝いていた。
「綺麗ねー…」
「キッシュの方が綺麗だよ。」
そうレイが答えると
「あら、嬉しい♪でもわたしは普通に感想が聞きたかったのに…」
と少し残念そうな顔をした。
「夜の景色はいろんなものが美しすぎて…俺はあんまり好きじゃないかな?」
「あら、なによその天邪鬼な回答は。」
とクスクス笑いながら言った。
そこでレイが突然何かを思い出した表情で
「あ!そういや最近、果樹園の木の実に水やってなかった!」
と言った。
「近いんだし、ついでに行く?」
とキッシュが聞くと、少し迷った表情をしたものの、行くと言った。
果樹園に到着し、早速水をやり始めた。
「なんだかんだいって手伝ってもらって悪いな。」
と懸命に木の根元に水をやっているキッシュに声をかける。
「ううん。わたしが言い出したんだし、それに…水をかけるとなんだか植物たちが嬉しそうに見えるから、意外と楽しんでるのよ?」
「そうか…キッシュは優しいな…」
そんな仲睦まじい会話をしている二人の前に暗闇から突如、ポケモンが現れた。
それに気付き、キッシュを庇うように前に立ち、戦闘体勢を取るが、
「ハァハァハァ……待て!今は戦う気は無い!あんたらに話を聞いて欲しい!」
そう言って出てきたのは、何時ぞやの三人組だった。
「なんだ、お前らか…次会ったら殺すつったよな?」
「だったら殺す前に一つだけ聞いてくれ!」
と、すぐさま返答してきたことと、完全に様子がおかしいことに気付き
「どうした、なにかあったのか?」
と真面目に聞き直した。
「あんたの彼女さん。アブソルだよな?」
とキッシュの方を見てレパルダスが言った。
「そうだが…それがどうかしたのか?」
そう聞き直すと、
「あんたら、急いでこの森を出た方がいいかもしれないぜ…」
とグラエナが返答した。
「……どういうことだ?」
「俺達のリーダーが、トレーナー付のポケモンに瀕死にされて連れ去られたんだ…」
ヘルガーがそう言うと、
「その話と俺達が逃げなきゃいけないことの繋がりが見えないんだが…」
レイがそう言うと
「まあ待て、話はここからだ。」
とグラエナが返答し、そのまま続けて
「俺達のリーダー、グリムさんも…アブソルだ…そして、やつらは口をそろえてアブソルを探し出せ、と言っていたんだ。」
「何故、わざわざ俺達にその情報を?」
「確かに気に食わないところもあるが、あんたらは強い。負けたからには筋は通す。ただそれだけだ。それに…」
「それに?」
「そのトレーナーどもは、みんな同じ様な服装だったし、それに…実際に見たわけではないが、そのさらに奥の…闇の中から得体の知れない気配が感じられたんだ…」
「それで逃げろと…」
「あんたが強いのは分かってるが、それとは次元の違う何かを感じたんだ。」
そう、震えながら言ったグラエナの肩に前足を置き
「忠告ありがとう。だが、俺は逃げる気は無い。何が来ても必ずキッシュを守りきる自信がある。それに…あんたらの兄貴分の仇もな…」
そう言うと
「そうか…それなら頼りにしてるぜ…俺達の仕事はここまでだ…」
そう言って、三人揃って闇の中へ消えて行こうとしたところを
「待ちな…」
と呼び止め、振り返ったところで
「死ぬなよ。」
そう、ただ一言を彼等に伝えた。
無言で頷き、そのまま三人は闇の中へと消えていった。
「なんか…男の友情ってかっこいー…」
そんなキッシュの一言でレイの顔に明るさが戻った。
「わざわざいいとこを台無しにするなよ…」
と、呆れながら言ったものの、再度、険しい表情で彼等が消えていったほうを見つめていた。
「守って見せるさ…キッシュも…キッシュがレイを待つ…この森も…」
最後に誰も居ない暗闇に向かって、小さくそう呟いた。
「さあ、帰ろう。用も済んだし早く寝よう。」
「本当に…大丈夫…よね…」
キッシュが心配そうに声をかけてきた。
「心配すんな!大丈夫に決まってるだろ!」
そう言うと、キッシュも元気を取り戻し、家へと帰っていった。
一方、その頃森の外れでは…
「誰がこんな役立たずのアブソルを連れて来いと言った!!」
と男が怒鳴り散らしている。
「も、申し訳ありません!!アブソルが居たのでそれで間違いないと…」
と、連れてきた隊員が必死に弁解している。
「貴様のような役立たずは、我がロケット団には不要だ…死ね!」
「申し訳ありません!!どうか…もう一度だけチャンスを…うわっ!ぎゃあぁぁぁ!!………」
命乞いをしたその隊員を情け容赦なく、小さな何かが木っ端微塵に吹き飛ばした…
それを見ていたアブソルのグリムは、
『なんだ…?あ、あれは…ポケモン…なのか…?』
そう思うほどの衝撃を受けた…
「流石は実験体の強さと言ったところか…ついでだ、あのアブソルも始末しろ。」
そう命令すると、その《何か》は真っ直ぐにグリムの方へ歩いてきた。
『へっ…!悪いがただ殺されるのを黙って待つかよ!!』
そう思い、グリムは全力で逃げ出した。
ある程度距離も開き、逃げ切ったと確信したその時、一筋の閃光が突き抜け、グリムの体を真っ二つにした。
「あ、兄貴!!」
丁度それと同タイミングで三人もそこに到着した。
「お前ら…来てたのか…馬鹿野郎…共…」
最後の力を振り絞り、三人に声をかけた。
「いい…か?…今すぐ…逃げろ…お前達で…どうにかなる…ような…相手じゃない…」
ヒュー、ヒューと風の抜けるような息をし、最後に
「頼む……死…んで…くれる…なよ……」
そう言い、息を引き取った。
「すみません…グリムさん…」
グラエナがそう言い、
「それと…レイさん…」
ヘルガーがそう続け、
「俺達…馬鹿なんですよ…」
レパルダスがそう言った。
その後、全員《何か》が来るであろうほうを見つめ、
「絶対にてめえだけは許さねぇ!!」
そう言いながら、闇の中へ…駆けていった…
―――ここは……どこだ…?……
ふと見上げると満天の星空。
いつもどこかで見ていた気がするような…そんな景色だった。
夢…じゃなさそうだな……確か、夢ならこれは前足じゃなくて手だ…
と、視界に入り込んだ自分の右前足を見て思った。
でも…左が…動かないな…どっちなんだ?……
そう思っていた時、ふと視界に何かが飛び込んできた。
「嫌だっ!!レイが死ぬなんて…嫌!!」
必死に叫ぶ声の主は…キッシュだった。
おいおい…何を言い出すのかと思ったら…俺がお前を置いて死ぬわけ無いだろ?
「本当?本当に…?死なないって…約束してくれるの…?」
当たり前だ、お前が待ってる人間がいるんだ。いや…ポケモンだったかな?そいつが来るまでキッシュを守るのは…俺の仕事だ…
そう言い起き上がって、自分の体を見た時に…絶句した…
いや…嘘…だろ…?そんなはず……何でだよ…!!
レイの体は、丁度左肩から右足の付け根に向かって真っ直ぐ切れており、そこより下の体が…向こうに転がっていた。
力無く地面に倒れこみ、
悪い…キッシュ…約束…流石にこれじゃあ…守れないわ…
そう言った。
「嫌よ!お願い!!死なないで!!目を開けて!!」
クソッ…状態が分かったら…気が遠くなってきた…
「お願い!目を覚まして!!レイ!!……レイ!!」
ゴメン…キッシュ…守れなかった…
「レイーーーー!!!」



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お名前:
  • コメントありがとうございます。
    稚拙な文ですが、楽しんでいただけたのなら嬉しい限りです。 -- COM 2023-05-12 (金) 14:23:03
  • >>名無しさん
    返信遅れました
    何度も読んで頂けて幸いです。
    ――COM 2013-05-28 (火) 23:14:58
  • 10回読みました。凄く面白かったです!
    ―― 2013-05-25 (土) 13:16:04
  • >>ピカチュウ大好き人間さん
    わざわざこんな作品まで目を通していただけるとは…
    実はこれが私の処女作なんです。
    なんで構文がめちゃくちゃなんですよ…お恥ずかしい話。
    ――COM 2013-04-10 (水) 19:54:20
  • 質問で~す!
    これの何処が黒歴史何ですか?
    ――ピカチュウ大好き人間 2013-04-09 (火) 21:15:14
  • 感動しました。
    ――せいさん ? 2012-04-22 (日) 14:55:18
  • コメントページを作成しました。
    ――COM ? 2011-12-06 (火) 23:52:35
  • 私はこれを読みながら、誰かの考えを読んでいるような気がした。 驚くべきことに、私は謎めいたものではあるが、毎秒読むのが大好きだった。 まるであなたの人生の詩を読んでいるような気分でした。 --

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Last-modified: 2011-11-09 (水) 00:00:00
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