大会は終了しました。このプラグインは外して下さって構いません。
ご参加ありがとうございました。
今作はオムニバス形式の短編集のような物になっています。
人によって好きなシチュエーションやポケモンに差があると思うので、嫌な話は読み飛ばしてもらっても話の前後の繋がりは基本的にございません。
もちろん、全部を通しで読んでもらえれば少しずつ話は進んでいっているのでどちらでも構わないような作りになっています。
若干のネタバレを含むため、話の初めに登場するポケモンと人を選ぶシチュエーションを反転で記入します。
好みのある方は確認してから進んでください。
全ての話がポケモン×人間♀となっています。
登場ポケモンジャローダ
シチュエーション強姦・若干の暴行
森の中にこの場に不釣り合いな白衣を身にまとった女性と、そんな彼女とは正反対に真っ黒な体毛に覆われたポケモンがいた。
「さて……まず一番最初に。なにか弁明することはあるか?」
その白衣の女性は基本的に感情の起伏が少なく、明朗に笑うことはあっても、泣いていたり、起こっていたりすることは非常に少ない女性だ。
そんな彼女が今、本気でブチギレていた。
それに対し正座させられて怒られているのはゾロアークというポケモン。
彼女の唯一のパートナーであり、恋人でもある。
そんな彼は基本的に彼女に忠実で恋人でもあるため、非常に彼女のことを大事にしていた。
何故そんな彼がこれほどまでに怒られているのか……。
「グ……グァウ……」
とそのゾロアークはバツ悪そうに答えた。
というよりも、彼自身も今の状況が自分のせいであるということを理解しているのか心底申し訳なさそうだった。
――この状況になる数時間前、このゾロアークは彼女の実験を手伝うためにポケモンを探してくるという約束の元、単独行動をとっていた。
「いいか? ゾロ。ここ最近、全く研究が進んでいない。このままでは無駄に時間とお金を浪費するだけだ。是非とも今日は見つけてくれ。頼むぞ?」
このゾロと呼ばれたゾロアークは彼女の研究の手伝いをするように釘を刺されていたのだ。
彼女の言う研究とは簡単に言えば『ポケモンと人間の間に子供はできるか』というものだ。
これだけ言うと変な話にも聞こえるが、彼女、アカリは決して冗談でこんなことを言ってはいない。
ポケモンと人間が進化し、更にお互いの関係が密になれば社会が発展するのでは? という考えの元に提唱された研究だ。
この研究は、当たり前だが他の研究員たちもそれを実験に移すというのにはためらった。
協力してくれる人間やポケモンがいないからだ。
しかし、アカリは実験を実施。結果は誰も集まらないというものになった。
そのせいでアカリは変人呼ばわりされたが、それでも彼女は自らの研究を諦めなかった。
そのために自らの足で実験に協力してくれるポケモンを探し、自らを被検体にして実験を行うことにした。
ポケモンを探しているのはそのためだが、ゾロとしてはそれが嫌だった。
ゾロとアカリはポケモンと人間ではあるが、先述したように恋人同士でもある。
そのため出来ることなら彼女がほかのポケモンと交尾しているところなど見たくない。
更に言えば、自分が連れてきた他の雄と自分の恋人が交尾をするのを耐えられる者など、寝取られて興奮するような極端なマゾヒストでなければ無理な話だ。
そのため、基本的にこの単独行動中は日頃の運動不足解消に当てている。
そしてこの日も何時ものように走り回って集合場所へと戻ってきた。
「やあ、どうだい? 今日はいいポケモンは見つかったか?」
いつものようにアカリが聞いてくるので、いつものようにゾロも首を横に振る。
そこでいつもならアカリはそうかと言い、少しだけ溜息を吐くので少し心が痛むだけで済むはずだった。
「そうか……。ところで君は本当にポケモンを探しているのか?」
不意にそう聞かれ、ギクリとする。
バレないようにするためにゾロはすぐに首を縦に降ったが、この一瞬の間とそのギクリとした表情をアカリは見逃さなかった。
「どうやら図星のようだな……? 首を縦に降っても気付いているぞ?」
ここでいつもは温厚なアカリの堪忍袋の緒が切れ、冒頭へ戻る。
「分かっているのか? 君は私の研究を手伝うためにこの旅について来ているのだぞ? ただ無駄飯を食らわせ、惰眠を貪らせ、性欲を発散させるために連れてきたわけではないのだぞ? 分かってやっているのか?」
明らかにアカリの表情は怒っている。
だが、その口から出てくる言葉はとても淡々としていてそのギャップが更に彼女の恐ろしさを際立たせていた。
昔からよく言うが、普段怒らない人間が起こると怖い、や静かに怒られる方が怖いというものだ。
そして今、彼女はその両方を満たしている。
淡々と、しかし熾烈な怒りが見て取れるその言葉にゾロはひたすら震えながら話を聞くしかなかった。
ゾロもいずれはこうやって怒られる可能性があることは理解していた。
だが、まさかここまで恐ろしい怒りの表現をするとは予想していなかった。
『全く……君は何をやっているんだ!』程度を予想していたゾロからすれば、どんな拷問よりもこの淡々と彼女の研究への熱意を裏切られたと語られる方が恐ろしい。
それだけ聞いているとそんなことは一言も口に出していないのだが、ゾロからすれば『君を捨てて一人で旅をする』と幻聴が聞こえるほどに恐ろしかった。
「全くもって君の行動が理解できない。これからは君は……」
ついにゾロが聞きたくない言葉の繋がりが聞こえ始め、覚悟して瞳を強く閉じた。
しかし、アカリの言葉はそこで途切れたまま続きが聞こえなかった。
いつまで経ってもアカリがその先を言わないのでうっすら目を開けてアカリの方を久し振りに見た。
するとそのアカリは先程までの恐ろしさは何処に行ったのか、何故かアカリはゾロの後ろの方を見ていた。
なぜそんなところを見ているのかゾロも不思議に思ったが、じーっと見つめていたアカリが
「なあ……ゾロ。なぜあそこにいるジャローダはえらくワクワクした表情でこちらを見つめているんだ?」
そうゾロに問いかけた。
そう言われ、ゾロも初めて後ろを振り返る。
流石にそんなポケモンはいないだろう。そう思っていたゾロだが、確かにアカリの言葉通り、そこにはやたらワクワクした表情を浮かべたジャローダが一匹、長い体を木に巻きつけて枝の上から二人を見ていた。
レポート04:たまごタイプ くさ
先程までの怒りはどこへやら、そのジャローダを見つけた途端にアカリは研究者スイッチが入っていた。
「そこの君! 私と交尾してみたくはないか!?」
既にこれで定着してしまった決まり文句をそのジャローダに向けて言い放つ。
こんな言葉を初対面で言われれば普通のポケモンならドン引きする。
これがポケモンをなかなか勧誘できない要因であるというのにも関わらず、当の本人は気が付いていないので救いがない。
しかし、このジャローダはそんな言葉を向けられて更に興味を惹かれたのか自分からスルスルと木から降りて二人の前に移動した。
これだけでも十分にこのジャローダがおかしいのは理解できるが更にこのジャローダはとんでもないことを口にした。
「え? なになに? 別れ話? 詳しく聞かせて~」
ゾロは基本的にアカリのことを好きだと言っている以上、自分がある程度おかしいことも理解していたし、アカリのトンデモ発言でだいたいそう言うセリフには慣れていたが、流石にこのジャローダの嬉々とした表情とその言葉にはドン引きした。
アカリには何故、このジャローダがこんなに生き生きしているのかも、何故ゾロがいきなりそんな表情をしたのも分からなかった。
「え? 何でお前そういう話でそんな嬉しそうなんだよ……」
なんとも表現し難い微妙な表情でゾロはそのジャローダにそう聞いてみた。
するとそのジャローダは不思議そうな表情を浮かべて
「え? だって他人の別れ話ってそそるじゃ~ん。さっきの交尾させてっていうのも気になるし」
そう言いのけてみせた。
その瞬間ゾロは感じ取った。
『あ、コイツやばいタイプの奴だ……』と。
このポケモンジャローダは、ロイヤルポケモンと呼ばれるほど気品溢れるポケモンだ。
事実、蛇ということもあってかその雰囲気に飲まれてか、睨まれるだけで立ち竦むポケモンが多いのも事実だ。
だが、このジャローダ同様に性格までロイヤルであるということは残念なまでにほとんどない。
その中でも特にこのジャローダは特殊だろう。
『他人の不幸がこの上なく大好き』なのだそうだ。
「君たちはさっきから何のやりとりをしているんだ? というか協力してくれるのか?」
よく分かっていないアカリはひとまず二人にそう質問を投げかけた。
するとゾロは全力で首を横に振り、ジャローダは笑顔で答えた。
二人して反応は違うためアカリはますます混乱した。
「どっちの反応が正しいんだ? というか本人がよさげな反応をしているから問題ないのではないのか?」
「絶対ダメだって!! コイツこんな顔してるけど腹ん中真っ黒だよ!?」
間髪入れずにゾロがジャローダを指差しながらそう言う。
しかし、アカリには彼の思いは通じず、ジャローダに研究内容の説明を始めた。
その時既に、口には出さなかったが『あ、コレ俺完全に詰んだ』とゾロは心の中で思っていた。
「へぇ~。てことはこの人と交尾できるの? てことは寝取り? ヤバイ! テンション上がる!」
アカリの説明を一通り聞き、ジャローダは嬉しそうにそう言った。
「ヤメロ!! 俺もできるだけそれを考えないようにしてるんだよ!!」
ジャローダの的確な状況判断にゾロが反論する。
しかし、既にジャローダのドS精神、もといゲス精神に火が付いたのか、非常に乗り気になっていた。
時間にしてはおよそ昼過ぎ、なのにも関わらずアカリとジャローダは意気投合したのか既に笑顔でテントを張る場所を探し始めていた。
正直な所、ゾロがポケモンを探したくない理由はこれだった。
自分が連れてきたポケモンとそのポケモンが仲良く歩く(?)姿を見たくなかった。
アカリは実験のこととなると周りが見えなくなる。
元々アカリのゾロに対するメンタルケアは少ないため、自分が連れてきたポケモンが実験に協力するとなれば、アカリはゾロに一言も声をかけずにそのポケモンに集中する。
頭では理解していてもまるでそれは自分の好きな人を他の誰かに取られたように感じて仕方がなかった。
というのも、必ずメンタルケアがあるのは全ての事が片付いてからだからだ。
完全にないわけではないのが救いなのだが、今し方アカリに遠くに突き放されたように感じたゾロにとってすればそれは耐えられる光景ではなかった。
ゾロから見れば和気藹々とその場を去っていく二人を追いかける足は自然と止まっていた。
まるでそこには自分の居場所はないかのように思えた。
自分の浅はかさで招いてしまった結末のように……思えてしまった。
だが、アカリは気付いていない。
尚も開けた場所を探すその足は歩みを止めることはなかった。
ついにアカリとジャローダの姿が見えなくなってしまった頃、ゾロは一人本来二人の集合場所だった木の根元で涙を流した。
彼女がもう手の届かない所へ行ってしまった気がして泣いた。
―― 一方、アカリはそんなこととも露知らず、森の中を数十分ほど歩いた後、手頃な開けた場所を見つけた。
そこでアカリは荷物を降ろし、中からいつものようにキャンピングセットを次々と取り出していく。
「ゾロ! テントを張っていてくれ!」
そういない彼にアカリはお願いをするが、当然返事は帰ってこない。
不思議に思い、ここでようやくアカリは後ろを見た。
「なんだ……? ゾロの奴、一体どこに行ったんだ? これではテントを張るのも私の仕事ではないか」
彼女としてはついて来ていないから仕事が増えた程度の感覚だった。
彼がフラフラしているのは彼女も理解していたが、こんなふうに急に消えたことは今までなかったので少し引っかかっていた。
「お~! 愛想尽かされた? やったね~♪」
それに対しこのジャローダの毒舌。
当の本人たちが聞こえていないのが唯一の救いだろう。
そしてアカリがテントを立てている間、ジャローダは嬉しそうに尻尾を振りながら待っていた。
さっとテントを立て終わると、アカリはすぐにテントには入らず、鞄を下ろして
「悪いが先に火にくべる枝を取ってくる。本来はゾロの仕事だが、彼がいないからな。暫く待っていてくれ」
そうジャローダに言った。
そしてそのまま森の方へ歩きだそうとしたが、それを何かがスッと遮った。
そこにあったのはジャローダの長い体だった。
「ちょっと何処に行くのさ。別に薪集めなんてしなくてもいいだろ?」
そんなことを言いながら彼女の行く手を遮り、今すぐにでもテントへと連れ込もうとした。
「悪いが大人しく待っていろ。宿が決まった時点で準備をしておかないと何があるか分からないからな」
そう言い、彼の体を跨いでそのまま森の中へ入っていこうとした。
そこで初めてジャローダの表情から笑顔が消え失せる。
そのまま何処かへ行こうとした彼女の体を彼はその長い体で絡め取った。
僅かに骨が軋む音を立てるほどにギリギリと締め上げ
「気に食わないんだよね~。僕の物になったんなら僕の言うこと聞きなよ」
アカリが苦悶の表情を見せるが、彼はお構いなしにそのまま無理矢理アカリの立てたテントの中へと消えていった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ねえ、そこのゾロアーク! どうかしたの?」
その頃、今も一人静かに泣いていたゾロは誰かに声をかけられていた。
顔を上げるとそこには一匹のミミロップが立っていた。
「別に……。お前には関係無いだろ……」
少しだけ、アカリが帰ってきていることを期待したゾロは、目の前にいたのがいつものように野生の雌ポケモンだったことに呆れた。
彼は元々トレーナーに鍛えられていたため、強さとしてみれば結構上の方だろう。
そのため野生のポケモンからすればトレーナーに育成されたポケモンはとても優秀な異性だ。
野性に放たれた後のポケモンは基本的にそこでハーレムを形成できるのが普通だった。
だが、ゾロにとってみれば好きな人はアカリ一人だ。
野生なら好きなポケモンとタマゴを作ればいいだけなのだから気にする必要はないが、ゾロはアカリと恋人になった時点で好きなのはゾロだけだと告げられていた。
そこで他のポケモンと交尾したのならアカリの思いを裏切ることになる。
それに、ゾロも相思相愛だったこともあり、アカリ一筋だったので他のポケモンのことなどどうでも良くなっていた。
そんな矢先、今回の事件。
悪いのが自分だと分かっている分、ゾロにはどうしようもできなかった。
「関係無くはないわよ。こんな天気のいい日にそんな暗い表情した人がいたら心配になるでしょ?」
そんな彼の心境を知ってか知らずか彼女はそう答えた。
顔をまた伏せていたゾロはそんな彼が予想していた言葉とは違った言葉に思わず彼女の顔を見直してしまった。
こういう時でも大体のポケモンは次に出る言葉は『交尾して欲しい』の一言だった。
だが、彼女は違った。
「貴方、多分トレーナーさんのパートナーなんでしょ? トレーナーさんの所に行かなくていいの?」
そんな質問にゾロは思わずえっ? と言ってしまった。
そのせいで彼女に勘違いを生ませてしまい、違うの? と聞き直されてしまった。
どうやらそのミミロップは今までのポケモンとは違うようだった。
思わず彼女の顔を見ながら泣き出してしまうが、それでも彼女は優しく慰めてくれた。
そういった優しい所は非常にアカリに似ていたためか、気付くとゾロは見ず知らずのそのミミロップに今までのことを謝っていた。
「ちょっと待ってちょっと待って!! 私はそのアカリって人じゃないわよ! 落ち着いて!」
彼女にしてみればいい迷惑だったかもしれないが、色々と吐き出せたおかげで、ゾロはようやく平常心を取り戻した。
そこで初めてゾロは彼女にお礼を言い、自分から名乗った。
「へぇーゾロって言うんだ。私はモモ。私も昔はトレーナーさんに育てられてたんだけど……。見込みがないからって捨てられちゃった」
そのモモと名乗ったミミロップは笑顔で自らの重たい過去を語った。
彼女は昔、とあるトレーナーに育てられていたそうだ。
その時はそのトレーナーに恩返しがしたくて必死にそのトレーナーが求める強さになれるように日々努力していた。
そしてそんなある日、まだミミロルだった彼女はトレーナーに尽くしたい一心でミミロップへと進化を遂げた。
嬉しくなって彼女はすぐにトレーナーに自分の変化を報告した。
が、既にその頃にはそのトレーナーは彼女に見切りをつけていた。
『進化して図体がデカくなった分、食事の量が増えただけ』
彼女からすればとても酷な一言だった。
やっとの思いで進化までして、トレーナーのために今まで頑張ってきたのに、彼女に言い渡されたその努力の答えはいらないというものだった。
彼女も彼と同じく、その日一日悲しんだのだという。
「だからかな……。貴方を見てたらその時の私みたいで声を掛けずにはいられなかったの。私と同じ思いをしてもらいたくなかったから」
泣けども待てどもトレーナーは迎えに来なかった。
全ては自分が弱かったせいだと結論付けたのは、彼女がミミロップに進化できるほどトレーナーのことを思っていたからだろう。
「俺は……別に……」
「捨てられたわけじゃないんでしょ? だったら早くトレーナーさんの所に帰らないと!」
いつもとは違う調子で弱々しく返事をするゾロに、モモは遮るように強く言った。
アカリとは違うのだが、どことなく似た雰囲気を醸し出すモモにアカリと重なる部分が多かったのか気が付けば彼女が微笑む度にゾロはドキリとしてしまっていた。
「帰れないよ。俺のせいでこうなったんだ。今頃アカリは何処かで他のポケモンとイチャついてるさ」
そう言うとやはりモモは反論した。
ゾロの強さに気付いているモモは彼が彼女と違い、すぐに見切られるほど弱くないのを理解していたからだ。
だが、実際の所強さとは関係なく、信用問題で彼が裏切っているのでゾロは有り得ないと彼女に言っていた。
「帰れないなんて決めつけないで行きましょう? トレーナーさんのいる場所は大体分かるんでしょ? そこまで一緒に行ってあげるから!」
とても優しくて、何処か強引な所のある彼女にゾロは気が付けばアカリをそこに重ねていた。
『アカリはもう俺の事を許してはくれないだろう……。もし、この子がいいのなら……』
彼の手を引いて歩きだそうとしていたゾロは気が付けば彼女に後ろから抱きついていた。
「ちょ!? ちょっと!! どうしたのよ! いきなり」
それまでの彼と違い、急に自分から行動したことにモモはかなり動揺したのか声は荒げたが、振りほどきはしなかった。
長い間、優しさというものに飢えていたせいなのかは知らないが、ゾロは極端に優しくしてくれる人に弱くなっていたようだ。
彼女が明かりに似ているからというわけではなく、純粋にモモというポケモンを好きになってしまっていた。
「悪い……お前の事が好きになっちまった……」
素直に自分の気持ちを彼女を抱きしめたまま彼女に告げた。
それに対する返答はなかった。
が、同時に彼を振り解こうという行為もなかった。
「てことは……OKってことでいいんだよな?」
「もう……折角私が我慢してたのに……」
ポケモンにとって相手を好きになるというのは、即子供を作りたいというのと同意だ。
モモも本能的にはゾロの子供を望んでいたが、ゾロの事を考えて黙っていた。
しかし、ゾロの方から求めてきたために、彼女の欲求も爆発した。
既に伸びきったゾロのモノは彼女の股の間から彼女の秘部を擦りつけていた。
彼女にも羞恥心があるので流石にそのままその場でとはいかなかったが、少し移動したところにある茂みに場所を移した。
「一応初めてだから優しくしてね?」
そう言いながら彼女は前屈みになった。
彼女の秘部からは既に愛液が溢れ出ていた。
「優しくするさ。優しくしてもらったんだからな」
彼はモノを宛てがい、彼女に後ろから抱きつきながらそう言った。
そのまま何度か表面を滑らせ、ズッ! と中へ一気に挿入した。
んっ! という堪えるような、しかし苦しいわけではない声が聞こえた。
中は驚くほど濡れていて今まで体感したこともないほどに滑らかな感触だった。
「うおっ! やべぇ中グッチョグチョじゃん」
ゆっくりと動かしていたのにも関わらず、擦れる度にその滑らかな秘部から水音が聞こえていた。
「や……やめてよ! 恥ずかしい!」
モモは顔を真っ赤にしながらそう言うが、ゾロは構わずに腰を動かした。
その度にグチュッと音を立てる。
そして彼が腰を少しずつ前後させるのが早くなるにつれて少しずつ圧迫される感覚が強くなった。
「もしかして堪えてる? その表情可愛いよ」
いつもは声をかけられないためか、ゾロは積極的にモモに声をかけていった。
すると、彼が声をかければかけるほど膣の締りが良くなっていく。
必死に堪えてるのか、モモの表情は今にも惚けてしまいそうな顔だったが、必死に食いしばっていた。
「止めてって! 恥かしいってば!」
そう言って必死に耐えているがゾロも彼女が言葉責めされるのが好きなのだと気が付く。
「恥ずかしがってる表情がいいんだよ。めちゃくちゃ可愛い」
腰を動かしながら彼女にそう言うと、今までとは違い一気に膣内が圧迫されたのが分かった。
その上、表情は必死には堪えているが、明らかに体が震えていた。
あまりにもその言葉が嬉しかったのか、モモはあっという間に絶頂を迎えていた。
彼女の絶頂でゾロにも大きな快感が襲うが、まだ出そうではなかった。
「我慢しなくていいよ。我慢しない方が俺も嬉しい」
そのためまだ余裕のあるゾロは彼女にそう囁いた。
そして彼女に休む間も与えず、また腰を動かし始めた。
「ダメェ! 今は駄目! 気持ち良すぎるの!」
ようやく正直に口に出したが、案の定ゾロは腰の動きを止めない。
それどころかその動きをさらに早くしていった。
その動きに合わせて彼女も嬌声を上げる。
「そろそろ俺も出すぞ!」
そう言い、一人気持ち良さそうにしているモモの腰を両手で掴み、一気にラストスパートを掛けた。
腰を打ち付ける音と卑猥な水音が響き、さらにそれをかき消すほどの彼女の嬌声が辺りに聞こえていた。
彼も話しかけるのを止めて、ひたすら腰の動きだけを早くしていく。
そしてその勢いのまま一番奥に全ての精液を放った。
二人共声にならない悲鳴のような声を上げ、そのまま少しの間身動き一つしなかった。
モノの脈動が収まったのを感じたゾロはそのまま彼女の膣内からゆっくりと引き抜いた。
二人共荒い息のままその場に座り込む。
ポケモンは繁殖能力が非常に高い。
育て屋を見れば分かると思うが、相手を見つけて交尾を行い、タマゴを産むまでの感覚が非常に短い。
そのためこれほどまでに世界中に分布したのかもしれないが、つまりそれほどの速度で受精してタマゴを産むことができる。
先程行為を終えたばかりだというのにあっという間にモモは妊婦のようにゆっくりと深く長く息を吸って吐く。
人間のように頑張れー! などと声を掛ける間もなく、あっという間に一つのタマゴを産み落とした。
「ハア……ハア……。ついに私もお母さんか……」
産み落としたタマゴを手に取り、まだかなり疲れが残っているはずなのにも関わらず、優しくタマゴを撫でた。
――それから数十分後、二人は座って話していた。
「ねえ、本当にそのアカリって人は貴方のことを嫌いになってしまったの?」
モモは変わらず大事そうにタマゴを撫でながらそう聞いた。
そう言われ、ゾロは困る。
実際、彼が怖がっていただけで直接嫌いになったとか、もう一緒に居たくないと言われたわけではなかった。
「よく分からないな……。それも聞かずにアカリは何処かに行ってしまったから……」
素直にゾロがそう答えると、モモは少しだけ笑った。
何故モモが笑ったのか分からず不思議そうな表情を浮かべていると
「お話を聞いた限りではそのアカリさんってとっても不器用なだけで、決して貴方のことに愛想を尽かしたわけではないと思うわよ? 実際貴方もそうなんでしょ?」
そう言われた。
その言葉に対する返答はもちろん! と大きな声で返答するほどのものだった。
そしてそこでようやく気が付く。
自分が勝手に落ち込んで、悪い方向ばかりを考え込んでいただけで、今までそういうことがあってもアカリは一度たりとも誰かを突き放したことのある人ではないということを……。
そう思えば自分のこの浅はかな行動が更に恨めしく思えたが。
「何悩んでるのよ! さっさと迎えに行きなさい! 私はこの子がいれば十分だから!」
また暗い表情を見せたゾロの背中を思いっきり叩き、背筋をシャンとさせた。
彼女には何度も彼の心を助けてもらった。
これほどまでに優しくて彼の心を分かってくれる人はいないだろう。
しかし、彼の心はもう揺らがなかった。
「悪いな……なんか色々勝手に手遅れになったとか思い込んで、子供まで産ませたのに……」
「気にしない! 野生ポケモンならタマゴ産んだらバイバイが普通でしょ!? それに、貴方を見てるとなんだか人間を見てるみたいなのよ。ポケモンらしくないっていうのかな? 貴方はずっと一人の人だけ愛してたらいいの!」
これほどないまでにモモは彼を激励した。
ようやく全ての迷いが吹っ切れたのか、ゾロはスッと立ち上がり、アカリたちが消えていった方へ走り出した。
「ありがとうモモ! お前の事、好きだって言ったのは嘘じゃない。だからお前のことも絶対に忘れないから!」
そう言って小さく敬礼し、あっという間に姿が見えなくなるほどの速さで走っていった。
それを見て大きく手を振った後、モモは小さく溜息を吐き
「あ~ぁ……いい人逃しちゃった……かもね」
そう呟いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「止めろ! 私は貴様の性欲を満たすためにお前を誘ったわけではない!」
一方、テントに連れ込まれたアカリは全力でジャローダの強行に反論していた。
しかし、体の大きさは言うまでもなくジャローダの方が大きい。
入口をジャローダが閉めることができないとしても、その巨体で入口を塞がれてしまえばそれはほぼ閉められたのと同じだ。
依然としてアカリは態度を乱さないが、アカリにはそんなジャローダを組み伏せるような筋力は持ち合わせていない。
首元の房のような場所からスルスルと蔓を伸ばし、アカリの胸元に引っ掛ける。
そのまま力でアカリの服を引き破ろうとした。
だが、アカリがそれを拒んだ。
「何をしている! 替えの服はないんだ! 破こうとするな!」
蔓を手で払い除け、次にジャローダに何かされる前にアカリはすぐに服を脱いだ。
そうでもしなければ恐らくアカリの服どころか、骨までズタボロにされていただろう。
それほどまでに先程とは打って変わり、非常に高圧的な態度を決して崩さなかった。
しかしそれはアカリも同じだ。
その恐ろしい眼力で睨まれてもアカリは決して憶さなかった。
元々、この旅を始めるにあたって彼女は様々なポケモンの知識とポケモンに関する心理学を学んでいた。
そうでもしなければこのジャローダのようなポケモンに出会った時の対処ができないだろうという彼女なりの対抗策だった。
ジャローダは相手が怯めば好きなように弄び始める。
もし、そうなれば彼女の言葉には決して耳を貸さなくなるだろうという打算の元だったが、このジャローダには逆効果だったようだ。
『自分の思い通りにならない人間』ということで彼の怒りに火を付けてしまった。
支配欲が強いのか、相手を屈服させないと気が済まないのかは知らないが、長い尾の先端から彼女を締め上げ、ゆっくりと体を持ち上げた。
そしてそのままジャローダの鼻とアカリの顔が触れそうな位置まで持ってくると、更に凄みを利かせた睨みで彼女を竦ませようとした。
だが、アカリは決して屈しない。
寧ろなんでもその瞳だけで屈服させてきたジャローダを睨み返すほどだった。
そんな睨み合いを続けていると不意にジャローダが口角を緩めた。
すると、アカリを強く締め上げていた尻尾にも僅かに身動きができるぐらいには余裕が出来た。
そしてそんな表情のアカリの頬をその長い舌で舐めた。
いきなりそんな事をしてきたジャローダの行動はアカリには予想外だったようだ。
しかし、ジャローダとしては『今までの人生で自分に屈しなかった者は初めて』という今までとは違うそのアカリという対象に興味を惹かれたのだ。
そのため、ジャローダとしてはなんとしてもそのアカリという初めて出会う『面白い玩具』を屈服させみたくなった。
今まで力で全てのポケモンが屈服していたが、アカリは決して力では屈服しないだろうと感じた。
そこで他の方法を考えるが、最初に思いついたのは性的に屈服させる事だった。
このテントにジャローダを連れ込もうとしていた最初の理由は研究の手伝いだ。
だが、彼女も女だ。性的欲求が一切無い人間など存在しない。
しかし、このアカリという女性は見るからに自分で性欲処理を普段からしないような人間だ。
ならば過剰に性的な刺激を上げれば簡単に落ちるだろうという考えだった。
その考えからジャローダの顔は醜く歪んだ。
蛇は元々精力が凄まじく、24時間かけて交尾をするほどだ。
しかしポケモンの場合は元々繁殖力が高く、どこにでもいるものが殆どなのでそれだけの精力を全て使い切るようなタイミングが訪れることはまずなかった。
ジャローダも同じく、ただタマゴを作るだけならその蛇としての精力を使い切ることはない。
だが、こういう状況なら話は別だ。
『本来の精力を最大限発揮して屈服させる』
そう考えただけで自然とジャローダは興奮し、スリットからは彼のモノが出てきていた。
そしてすぐに彼は行動に移した。
アカリの下半身の締め付けを緩くし、自らのモノを宛がった。
蛇には生殖器に当たるもが二本生えている。
しかし、体格としてはジャローダの方が圧倒的に大きい。
そんな彼のモノをそこまで性行為に慣れていないアカリが二本とも受け止めることなど出来る訳が無い。
流石にそれは彼も理解したのか、無理矢理二本とも捻じ込めば屈服させる前にアカリが耐え切れないだろう。
しかし、ジャローダはそれでもアカリのまだ受け入れる準備の出来ていない膣に一本目を無理矢理捻じ込んだ。
「ぐっ!? あぁっ!! 痛い!!」
体格があっているならまだしも、更にアカリよりも大きなジャローダがまだ濡れてすらいない膣に確実に収まりきることのないモノを捻じ込めば激痛しか走らない。
今まででアカリは初めて痛みで顔を歪め、その痛みを訴えた。
それでもお構いなしにジャローダは腰をくねらせ、さらにその腕と同じ太さはありそうなモノを捻じ込ませる。
その度にアカリは苦しそうな表情を見せるが、そんな表情を見せる度にジャローダは歪んだ笑顔をアカリに見せ付ける。
『今まさに、アカリの体を好きなように出来るのは自分だけなのだ』とでも言わんばかりに無理矢理捻じ込んでは、少し引き抜き、引き抜いた分よりもさらに捻じ込んでいく。
そしてついに彼のモノの一本が完全に根元まで入りきった。
アカリの体も流石にその痛みに耐えるために愛液を分泌しだし、少しずつ痛みも和らぎ始めた。
しかし、それでも大きすぎるモノによって無理矢理押し広げられた膣への痛みは変わらない。
それどころか、滑りの良くなりだした膣内をジャローダも感じ取り、さらに動きを早く大きくしていった。
少しずつ腰の動きも大きくなり、それに呼応するようにジャローダがアカリに対してわざと吐きかけるの吐息も少しずつ荒いものになっていた。
大きく口を開けて舌でアカリの顔を舐めるジャローダは、裂けそうなまでにその口角を上げて笑いながら腰をくねらせ、スパートをかけていた。
だがそれでもアカリは依然としてその態度は乱さなかった。
それが気に食わなかったのか、ジャローダはその締め付けを少しきつくし、動かしていた腰をモノを一番奥まで捻じ込んでから止めて、一気に精液を中へ放った。
当然体格差のありすぎるジャローダの精液は全て中に納まりきらず、ブビュッ!と音を立てて勢いよく溢れ出した。
それと同時にまだ入れていない二本目のモノからも勢いよく精液が飛び出し、狙っていたのかアカリの胸に掛かった。
それをにやけ面でジャローダは眺めるが、アカリは決して屈しない。
ずっとそんな顔を見せていたジャローダもついに決して思い通りにならないアカリに怒りが爆発した。
ズルリとアカリの膣からモノを引き抜くとまだ中に残っていた収まりきらない精液が一緒に溢れ出た。
そして今度はアカリの体を動かし、膣口に一本目を入れ、そのままモノとアカリを無理矢理押し付けて日本目も先端を中へ滑り込ませた。
「や、やめろ! そんなの入るわけないだろ!」
アカリが久し振りに口を開き、そう言ったが、既にジャローダの顔からは笑みは消えていた。
そして精液と愛液が混ざり合い、さらに滑りの良くなった膣にその日本のモノを無理矢理沈めていく。
少しずつ入るはずのないモノに押し広げられていく膣にアカリがさらに苦悶に顔を歪めるが、彼は決して挿入をやめない。
二本のモノの先端が完全に中に入ったのを確認するとジャローダは今までで一番醜く歪んだ笑顔を見せ、腰をうねらせて一気に押し込……。
「おい糞蛇! 今すぐその汚いモノ引っ込めるかかえんほうしゃぶちかまされたいか決めな!!」
間一髪の所で、僅かに息を切らしたゾロがテントに駆け込み、そうジャローダに言い放った。
ジャローダは決してその威圧的な態度を崩さずにゾロの方を見たが、彼の顔を見た瞬間、初めて怯えた顔をした。
そこにいたゾロアークはジャローダが生きてきた人生の中で一度も見たことが無い、恐ろしい怒りの表情を浮かべ、口からは既に炎が溢れ出していた。
草タイプである彼はゾロの火炎放射など喰らえばひとたまりも無い。
そんな彼の怒りの炎を目にしてジャローダは、人生で初めての恐怖を感じ、一目散にその場から逃げ出していった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「全く……君は私が何のために連れてきたのかを全く理解していないようだな」
何もかも綺麗に片付けた後、ゾロはまたアカリに怒られていた。
今回も自分のせいでアカリに命の危険まで訪れたため、ゾロは今度こそ覚悟していた。
『君の顔などもう見たくない』そう言われる事まで覚悟して、ゾロはこの場に戻ってきた。
しかし……
「これから君は私と一緒に行動することだ。ただフラフラとするようなら君が通訳になってくれた方がまだ効率が良い」
アカリが言った言葉はそんなもので、あまりにも彼の想像していた言葉と違いすぎて驚いた。
思わずアカリの顔を見上げると、そこにはアカリのいつものような微笑みがあった。
「とはいえ……私も君に色々と言葉が足りなかったようだな。いつも言っているが、君が私を嫌いにならない限り、私は君の事を愛しているし、君より大事な人はいない。これからは私も気を付けるよ」
あまりにも嬉しすぎるその言葉にゾロは自然と涙が溢れ、気が付けばアカリに抱き付いていた。
「止めろ馬鹿! 抱きつく前に急いで薪を探さんともう日が落ちそうなんだぞ!? 夕食が抜きになってもいいのか!?」
そんな夕暮れの森の中に、仲睦まじい一人と一匹の声が木霊していた。
登場ポケモンランクルス
シチュエーション弱洗脳・逆レイプ
「久し振りに町に来たな……」
そんなことを呟く、一人の白衣をまとった女性が、森から出てきて、少し眩しそうに天を仰いでいた。
「ガウ」
その横にはそんな彼女と相対的に真っ黒い体毛で覆われたゾロアークが立っていた。
そのゾロアークは彼女に同意するかのように、小さくそう鳴いた後、頷いた。
彼女の名はアカリ。
見た目で分かる通り、科学者……ではなく、ポケモンに関する研究者、所謂生物学者だ。
彼女の横にいるゾロアークの名はゾロ。
元々は彼女の実験を手伝っていた助手兼被検体だったが、今では彼女の旅の供であり、彼女の恋人だ。
ポケモンと人間が恋人というのは傍から見れば不思議な光景だが、本人たちがそれで幸せそうなのだから文句を言う必要は無いだろう。
そして彼女たちは今言ったように、とある旅の途中である。
これまで彼女たちは長いこと森の中を彷徨い続け、今日久し振りに町に出てきた。
彷徨っていたといっても、決して迷っていたわけではなく、とある目的のために森の中を歩き回っていた。
それは彼女が掲げる『ポケモンと人間の進化』という高い理想のために、自らを被検体とし、実験に協力してくれる変わり者のポケモンを探していたのだった。
彼女が自らの歪んだ性癖を発散したいというためではなく、素直に人間での協力者がいなかったというのが原因だ。
これまでおよそ一ヶ月もの間、彼女の上半身と同じ大きさはあるのではないかと思われるほど大きな鞄を背負い、歩き回っていたのだが、ついに食料を含む消耗品が切れたため、久し振りに町に補充しにやってきていた。
そのためかは知らないが、鞄も気持ち小さくなっているような気がした。
今まではアカリがその鞄を常に持ち歩いていたが、本人きっての希望で今はゾロがその鞄を持ち歩いている。
鞄を背負って歩くゾロアークというのもなかなか不思議な光景だが、森に白衣を着た女性がいるというのもなかなか不思議な光景だろう。
そして今からショッピングを行うのだが、ここで一つ問題があった。
ゾロはアカリのパートナーだが、アカリは正確にはゾロのトレーナーではない。
アカリは研究に没頭しすぎたせいなのか、そもそもそちらのスキルが一切ないせいなのかは知らないが、モンスターボールをまっすぐ投げることすら出来ない。
そのためモンスターボールでポケモンを捕まえることを諦め、アカリが被検体、ゾロが交渉役という二人三脚で現地妻ならぬ現地夫を探しながら旅していた。
ここ最近の収穫は悪く、消耗品も尽きたので気分転換にとアカリが提案した。
そのためアカリに付いて回っているし、ちゃんと言うことも聞くが、ゾロは正確に判断するならば野生のポケモンである。
そのため街中でもモンスターボールに戻すことが出来ない。
お店には様々な商品が置かれている上に、トレーナーの言うことをちゃんと聞かないやんちゃなポケモンの少なくはないので、基本的にショップ等でのポケモンの出入りは禁止されている。
そうでもしなければ商品がしょっちゅう齧られたりなどしているだろう。
そのためこのままではアカリとゾロは別行動になってしまうが、町の付近に野生のゾロアークがチョンと立っていたら、トレーナーは間違いなく捕まえたがるだろう。
かといって森の中では元々他のトレーナーに育てられていて、それなりに優秀なゾロは野生の雌ポケモンからしたら格好の的だ。
そのため、このままでは打つ手なしなのだが、それを解決してくれるのは彼がゾロアークであるということだった。
久し振りにゾロは幻影の力を溜め、その力を使って自らの見た目を何処にでもいそうな好青年へと姿を化かした。
「おお、上出来だな。それならポケモンだとバレないだろうが、間違っても喋るなよ?」
アカリにそう言われ、少し上機嫌になるが、アカリの言った通り、見た目が変わっただけで中身はポケモンのままなので喋れば一瞬でバレてしまう。
『そういえば久し振りにポケモンらしいことしたな』とゾロは心の中で思ったが、それを口に出すと自分がゾロアークであることを否定してしまっているような気がしたので、そっと心の中に仕舞った。
とりあえず準備も出来たので、アカリとゾロは傍から見ても恋人同士だと分かるような見た目になり、町へと降りていった。
久し振りにやってきた町はとても新鮮で、木々の代わりに立ち並ぶビルの山々がとても大きく見えた。
ゾロとアカリのいた研究所は広大な敷地が必要だったので、少し郊外に建っていたため、これほど大きな町に来たことはゾロにとってはとても久し振りのことだった。
アカリはよく学会の発表や、調査に行ったりすることで町にも行くし、これ以上の大都市にもよく行く。
逆に生態調査などで山奥などにもよく行くので、実を言うとアカリが旅によく慣れている理由はこれだった。
研究者である人間は意外と遠出は苦手なことが多いのだが、歩き回るアカリにとってみればちょっとその期間が長くなっただけだ。
久し振りの大都市にゾロは少し興奮気味だったが、今は自分は人間化けているということを思い出して、キョロキョロと辺りを見渡そうとするのを少しだけ堪えた。
そのまますぐ近くの大型のショップへと入っていった。
中にはかなりの数のお客さんとズラッと並ぶ商品に、それを初めて見るゾロは少し圧倒されたが、すぐにアカリから渡された必要な物を記したメモを片手に、もう片方には買い物籠を提げて商品を探すためにキョリョキョロと周りと紙を見ながらお客さんの人ごみの中に消えていった。
それから約一時間後、ゾロは必要なメモに書かれた商品を全て揃え、すぐに会計を済ませてとりあえず店を出た。
あまり沢山の人間がいる空間に普段から慣れていないせいか、店の中にずっといるのがかなりきつかったため、店の目の前にあったベンチで座って待っていた。
しかし、それから数十分待ってもアカリは一向に店から出てこようとはしなかった。
『もしかして、店の中でまだ待ってるかも?』と思ったゾロはまた店の中に戻っていった。
すると、そこには満面の笑みを浮かべたアカリの姿があった。
なぜそれほどまでに嬉しそうなのか不思議に思ったゾロだったが、本来、籠一つで済むはずの彼女の手には二つもの買い物籠がぶら下がっていた。
「おお! 見ろ! ゾロ! 特売で安く大量に手に入ったぞ!」
目をキラキラと輝かせる、彼女が初めて見せた女性らしい行動はそれだった。
思わず声を出しそうになったが、なんとか耐え、一先ずアカリを連れて店を出た。
彼女は嬉しそうに特売で安くなっていた商品の名前を次々とあげていくが、彼女は気が付いていない。
『それだけの荷物を入れられる鞄は存在しない』と……。
レポート05:たまごタイプ ふていけい
「すまない……。本来はこんなつもりではなかったんだ……」
両手に一杯の荷物と、パンパンになった鞄を二人で分けて持ったまま、また森へと戻ってきていた。
アカリにしては珍しく、安い物を旅の途中で買い込んでしまうという失態を晒して、かなり落ち込んでいた。
とはいえ、アカリの買い物は間違いではなく、かなり安くなっていた物を沢山買っていたので良い買い物ではあった。
これが旅先でなければ……。
「もういいよ……珍しいアカリの顔が見れたし……」
あまりにも重い荷物を背負って歩き続けたので二人ともかなり疲れていた。
しかし、アカリがそんな暗い顔をしているのも珍しかったのでゾロは自分なりに茶化しつつも許していたが、言葉の分からないアカリはただ深い溜め息を吐いただけだった。
それほど時間も経たないぐらいの距離でいい感じに開けた場所があったため、まだ日は高かったが、今日は速めにここで休むことにした。
すぐにテントを組み立て、小枝を集めて、いつものように昼食の準備を始めた。
今回は買い込み過ぎたということもあり、いつもに比べてかなり豪華な昼食となった。
マトマの実とミクルの実を使った特製カレー。
ネコブの実から取った出汁をベースにリンドの実とモコシの実を刻んで入れたスープ。
それと安く売られていた市販物のオレンゼリーなる物。
それらを二人で楽しそうに食べていた。
「ポワァ……」
そんな匂いに釣られてか、木の陰からそんな二人の様子をそんな不思議な鳴き声を出すポケモンがじっと見ていた。
しかし、結構距離が離れているためか、二人は気付かずに美味しそうに食事を楽しんでいた。
「ゾロ、スープのおかわり……を……」
そう言っておかわりをゾロにお願いしようとしていたアカリは思わず言葉が止まる。
ゾロもそのお椀を受け取ろうとしたが、アカリが変な場所を見ているので不思議に思い、振り返っていた。
「私が疲れているだけなのかもしれないが……スープの鍋が浮いているように見えるのは気のせいだろうか?」
思わず彼女がゾロに確認を取ったとおり、スープが入っている鍋が独りでに浮かび上がり、ゆっくりと何処かへ移動していた。
フヨフヨとまるで意思を持っているかのようにスープの鍋は飛んでいき、すぐ近くの木のところまで飛んでいった後、そこで動きを止めた。
「なるほど、この子が原因か」
当たり前だが、何処かへ飛んでいく鍋を追いかけていたアカリとゾロはその不思議な飛行鍋現象の正体をその木の根元に見つけた。
そこにいたのは緑色のスライム状の不思議なポケモン、ランクルスだった。
ランクルス的には急に声をかけられ驚いたのか、先程まで宙に浮いていた鍋が急に力を失い地面に落ちた。
と、同時にその衝撃で鍋の中身が飛び散り、辺りに飛散した。
「ガウッ!? ギャウ!!」
「ゴポポ!!」
少し離れていたアカリは無事だったが、丁度鍋の目の前にいたゾロとランクルスは見事にその鍋から飛び散った熱々のスープを浴びることになり、熱さで転げまわっていた。
――それから数分後、アカリはそのランクルスのためにもう一度料理を作り直していた。
どうやらそのランクルスはまだ何も食べていなかったらしく、とてもお腹が空いていたそうだ。
そのためアカリたちが食べていた美味しそうな匂いに釣られて、なんとか食べ物を手に入れようと考えていた。
ランクルスは非常に優れた念動力を扱うことが出来る。
そのため、ランクルスはその念能力を使って鍋を引き寄せていた。
それが怪奇! 空飛ぶスープ鍋! の正体である。
材料は多過ぎるほどあるのでこのランクルスの分をさらに作っても問題は一切なかった。
「どうだ? 美味いか? 私の作ったスープは」
「コポワ!」
温かいスープをゆっくりと飲み、一緒にアカリたちが食べていた物も与える。
ランクルスはそれを本当に美味しそうに次々と食べていった。
全部食べ終わった後、一人と二匹は暫くゆっくりしていた。
ゾロがそのランクルスに聞いた所、野生で生きているらしいのだが、彼もまた旅をしているそうだ。
なんでも一箇所にじっとしているのはあまり性に合わないらしく、色んな場所を転々として生きているそうだ。
そんなため、今回この辺りに来たばかりで食べ物も見つからなかったので途方に暮れていた所、アカリたちに遭遇したそうだ。
と、そこまでニコニコと聞いていたアカリが不意にいつもは見せないような笑顔を見せる。
「なるほど……そこでものは相談だが……君、荷物持ちをしてくれないか?」
それに対し、ランクルスは少しだけ不思議そうな顔をした。
アカリはそのランクルスに自分たちも旅をしていることを話した。
そして、彼女が何故旅をしているのかという目的も一緒に話した。
するとランクルスは少しだけ悩んだようで、それを見たアカリは悩んでいる彼に
「いいだろう? 食事を出してあげたんだ。なんなら荷物が一人で持てる量になるまでは同行して、その間食事をもらい続けても構わないぞ?」
と不敵な笑みを浮かべて言った。
『ああ……だから、こんなにニコニコしながら料理作ってたのか……』とゾロは心の中で思ったが、口に出すと今回は横にいるランクルスにばれてしまうので黙っていた。
確かに出された食事は先に食べてしまっていたのでランクルスは少しだけえ~……とでも言いたげな顔をしていたが、
「別にいいよ~。特に目的もなく旅してたし、ご飯美味しかったし」
そこまで深く考えていないのか、ランクルスはすぐに笑顔でそう返事をした。
アカリはランクルスの言葉が分からないのでゾロの方を見る。
「OKと言っているのか?」
と、ゾロに彼がなんと言っているのかの通訳をさせた。
ゾロは首を縦に振って答えるが、心の中では『コレ自分が代弁する必要あるのか?』と思っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
それから更に数日……。
この森の中をさらに彷徨っていたが、一向に彼女たちに協力してくれるポケモンは現れないまま、時間だけが過ぎていっていた。
しかし、現在旅の仲間は三人。食料などを消費する速度だけはいつもよりも速い。
そのためアカリはかなり焦っていた。
「あーっ! もういい! クルス! 今日一日探して見つからなかったら、君に実験に協力してもらう!」
そうアカリがクルスと名付けたランクルスに対して言い放った。
そこでクルスとゾロは同じ事を思っていた。
『逆に何故、今まで行為に至ろうとしなかったのか……』と。
それを聞きたかったのだが、アカリはゾロが声をかけるよりも早く歩き出してしまったため、声をかけるタイミングを逃してしまった。
ゾロとクルスは二人で少しの間、顔を見合わせて首を傾げた後、ゾロは鞄を、クルスはそれでもまだ沢山ある袋を念力で浮かせて急いで後を追った。
追いついた時にゾロは声をかけようとしたが、アカリのなぜか鬼気迫る表情に圧倒されて声をかけるタイミングを失ってしまった。
「ねーゾロ。僕も最初聞いた時はうーんって思ったけど、結構一緒にいたから悪い人ではないんだなーって分かって、途中ぐらいからはその研究を手伝ってもいいかな~って思ってたんだけど……。」
とクルスはゾロに今の心境を話した。
ゾロも少しだけ首を傾げ
「だろうなーとは俺も思ってたし、お前がいいなら問題ないはずなんだけどな……。何故かいつもは積極的なアカリが今回は自分から誘ってこなかったんだよなー……」
と語った。
確かに、二人が疑問に思っている通り、いつもならアカリは最初の食事の時点で荷物持ちではなく、交尾に誘っていただろう。
しかし、何故かアカリは今回に限り、クルスに対して出したお願いも、非常に思い詰めたもののようだった。
だが、それを聞こうにもアカリはゾロたちの声に聞く耳すら持っていないようで、後ろからどんな風に声をかけても反応が一切なかった。
そしてようやく野生のポケモンに出会った。
「そこの君! 私と交尾しないか!?」
「だからその誘い方やめろって!!」
アカリがいつものように敬遠されるような誘い文句を言い、それに対しゾロが突っ込みを入れる。
茂みから現れたポケモンはコラッタだった。
残念なほどにそのコラッタは目を輝かせ、明らかに興奮していたが、既にコラッタと同じタイプのたまごタイプは試していたのでアカリの興味は一気に失せた。
アカリは既にスタスタと歩き去っていたが、もちろんそんなことを言われたコラッタは期待している。
「悪いな……コラッタ。さっきのは冗談みたいなものだから聞かなかったことにしてくれ」
と、ついてこようとしていたコラッタに対して、ゾロは一応声をかけてついてこないように促した。
当たり前だが、コラッタは愕然としていた。
これまでにも何匹かのポケモンとの実験を行い、既に何種類かは検証が終わっているため、今回のコラッタのようなパターンも有り得るということを恐らく、アカリは考えていないのだろう。
というよりも、今まででこれほどまでに協力的なポケモンはいなかったのにも拘らず、その彼は既に不要というあんまりな展開になってしまった。
だが、それで出てくるような変態がすぐに諦めるわけもなく、ついてこようとしていた。
勿論、アカリはゾロの恋人であるため、そんな変態がついてくることを許しはしない。
「言っとくがこれ以上ついてくるならぶっ飛ばすぞ?」
凄みを利かせてそう言うと、コラッタは立ち止まり、若干名残惜しそうに、その場を去っていった。
それを見てゾロは深く溜め息を吐いた。
『なんとかしてアカリのあの台詞を止めさせないとな……』
と心の中で思ったが、アカリにはゾロのその切実な思いは伝わらない。
恋人であるゾロからすればこの先もあんなことを続けていれば、いつかはゾロのいない時に襲われてしまうかもしれない。
そうさせないためには彼女にはもう少しモラルのある勧誘文句を言ってもらわないと、このままではいつでも心配して周りに気を配らないといけなくなるのでゾロの気が持たない。
だが、結局その日はアカリはほとんど歩みを止めずに歩き回り、ついにいつも捜索を止めるおよそ昼頃になってしまった。
それでもアカリは歩く。
いつもどれほどの速度で歩いているのかは知らないが、競歩でもしているのかと疑うほどにツカツカと歩いていく。
「アカリ! もういい加減にここでいいだろ!」
そうやってつかつかと歩いていく内に、いつものようにテントの立てやすそうな広い場所が見つかった。
ゾロの思いが届いたのか、アカリはついに歩くのをやめた。
アカリはゾロたちに背中を見せたまま大きくやれやれと言わんばかりのジェスチャーと深い溜め息を吐き、彼らの方に向き直した。
「分かった……。今日はもう諦めよう。というか私が諦めよう」
と、かなり落ち込んだ感じでそう言った。
理由はよく分からなかったが、ゾロが聞きたそうにしてもアカリは決して答えなかった。
聞きたそうなゾロだけを躱し、テントを張るのをゾロに、薪拾いをクルスに頼み、アカリはいつものように調理を始めた。
しかし、調理をするアカリのペースはあからさまに遅く、何度も小さく溜め息を吐いていた。
調理を終え、クルスが枝を持ってくるといつもはすぐに鍋を火にかけていたが、今日はまだ調理が済んでいなかった。
「アカリ……。明らかにテンションが低いよな……。今までもこれくらいの期間、見つからなかったことだってあったのに」
「そうなの? 僕は来てからのあの人しか知らないから何とも言えないけど、僕はあの表情見慣れてたよ?」
ゆっくりと調理をするアカリの横で二人はそんな会話をしていた。
そこでクルスがそう言った時、ゾロは思わず聞き直した。
「見慣れてる? あんな感じの微妙な表情を?」
ゾロが言った通り、アカリはなんとも表現しにくい酸っぱいのか苦いのかよく分からないような表情をしていた。
クルスは頷くが、それで尚更不思議になる。
ゾロはアカリといる時、そんな表情を見たことはなく、分かりやすいはっきりした性格からか、喜怒哀楽のみで表現できる表情しか見せたことがない。
しかし、クルスにはそんななんともいえない表情をしているという。
付け加えると、クルスが自分から近寄るとそんな表情を見せるそうだ。
「もしかして……僕、嫌われてる?」
「それはないと思うぞ。アカリはなんだかんだ言って嫌なら嫌だとはっきり言う方だから」
アカリとはそれなりに長い付き合いのゾロは、アカリが思ったことを溜め込まずにそのまま口に出すタイプだと知っている。
そのため、クルスのことが彼が言うように嫌いならば、今までクルスを荷物持ちとして旅に同伴させたりもしないだろう。
だからこそ、そんな中途半端な対応をしているアカリが不思議だったのだ。
そんなことをうんうん言いながら考えても、当の本人が教える気配がないので分かるはずもなく、気が付けばいつの間にか料理も完成していた。
そして食事も終え、片付けも終わった頃。
「よし、今からだ。ゾロ、適当に時間を潰してくれ。今すぐ終わらせる」
急にそう言いだし、ゾロの背中を押して何処かへ追いやり、逆にクルスをテントに手招き入れてた。
今日のアカリはいつもとあまりにも様子や態度が違いすぎて、ゾロとしてはかなり気になる所が多く、モヤモヤとしていたが、彼女がああ言った上に、この数日一緒に連れ添っていたためクルスがやばい奴ではないと理解していたので、渋々腹ごなしの散歩に出かけた。
――テントに入っていったアカリは非常に憂鬱だった。
「ポワッ」
そんな可愛らしい鳴き声を出しながら、クルスはゆっくりと入ってきた。
それを見てアカリは思わず小さく溜め息を吐く。
基本的に彼女は悩み事をしていてもすぐに自力で解決しようとするため、基本的に憂鬱な気分になるようなことはない。
ならそんな彼女が何故、憂鬱になっているのかというと……今、入ってきたこのクルスが実は原因だった。
彼が入ってきたのを確認してから、アカリは深呼吸をして
「クルス……私は君のことはとても良い奴だと思っている。だから先に謝っておく。私は君みたいなポケモンがどうしても好きになれないんだ」
そう言った。
それをクルスはポカンとした感じで聞いていた。
アカリが憂鬱だった理由はクルスと交尾をしなければならないということではなく『不定形生物とも交尾をしなければならない』ということだった。
そうは言っても全ての種類のポケモンを試すと言ったのはアカリだ。
アカリだって女性なのだから、選ぶ権利はある。
だが、自分から言った手前、これだけは嫌だ。などというわけにはいかなかった。
なので必死にポケモン図鑑で彼女なりにマシな不定形のポケモンを探した。
そして見つかったポケモンの中で彼女が一番の理想としていたのは、エルレイドだった。
彼女としてはこのポケモンのカテゴリーが不定形だったことは唯一の救いだった。
が、現実はそう甘くはない。
結局彼女が一番最初に出会った不定形のタマゴグループのポケモンはランクルスだった。
彼女が出会った時点でこのランクルスを荷物持ちにしたのは、『可能ならそのままサヨナラしたかった』という思いも含まれていたからだ。
しかし、荷物が多かったから持って(?)もらいたかったのも事実。
なので食事でその対価を払っていたが、このままでは旅のお供がもう一人増え、更に彼がいつまでも長居すればゾロが確実に怪しむと分かっていたからだった。
探せど探せどエルレイドは現れず、確実に怪しまれているのをアカリも気が付き、ついに諦めた。
もっと正確に言うならば、アカリは基本的にどんなポケモンでも大好きだ。
それを専門的に研究しようと思ったほどには好きなのだから、クルスもポケモンとしてみればとても好きだ。
ランクルスの体を構成する緑色のゼリー状の体は非常に柔らかく、触り心地は素晴らしい。
それに強力な念能力を持っているので科学者は意外とこのポケモンを好んでパートナーにしている。
アカリも同じく、ランクルスは大好きだ。だが、『自分と交尾するポケモン』となると話は別だ。
アカリにも好き嫌いはある。
ましてや、自分が交尾するポケモンなど彼女に選ぶ権利があるだろう。
だが、『できる限り早く旅を終わらせて帰る』と彼女が宣言した以上、複数の種類があるポケモンの中からその一種類だけを探し歩けば時間がかかる。
ゾロに早めに終わらせると自分から言ってしまった以上、彼女が選り好みしてはゾロに申し訳がない。
そう思い、現在に至る。
「だから決して君のことは嫌いではない。寧ろ今までよくこんな私に振り回されて黙って付いてきれくれたと思う。だからせめて、ゾロには内緒にしていてくれ」
アカリはそう言い、クルスの手をしっかりと握ってお願いした。
するとクルスは苦笑しながらコポとだけ言い、その力強く握るアカリの手をそっと握り返した。
するとアカリは少しだけ笑い、すぐに服を脱いだ。
そして裸になるといつものように布団に仰向けに寝て
「さあ! 覚悟は出来た! 好きなようにしろ!」
と高らかに宣言した。
それを見てクルスは少し苦笑する。
彼の全長は1メートルである。
この時点でかなり人間よりも小さいが、更に彼のゼリー状ではない所謂本体部分はアカリの腕の中に収まってしまうほど小さい。
そんな彼が何もかも相手に任せて天を仰いでいるアカリをどうこうすることなどできない。
寧ろ、アカリに色々してもらわないとどうしようもない。
だが、それを伝える手段はない。
どうするか少しクルスは悩んだ。
そして少し前に落ちていた変な道具からこんな時に便利な技をたまたま習得していたのを思い出す。
閃いた彼はゆっくりとアカリに近づき、アカリの頭に手を当てて静かに集中し、ゆっくりと特殊な念力を送った。
そっと手を離すとアカリはゆっくりと立ち上がり、自分からランクルスへ近寄った。
「私が君をリードしてあげないといけないな……」
そう言い、ゆっくりと彼の本体に向かって手を伸ばした。
ゼリー状の体をススッと腕が通り、クルスの本体を掴む。
そしてゆっくりと引き抜く。
『良かった……! 上手くいった!』
久し振りに本体だけが外に出た時、クルスはそう思った。
彼が先程、アカリに行ったのは『じこあんじ』という技だ。
本来は自らを思い込ませて、まるでそうなっているかのようにする技だが、今回クルスは応用し、彼女に逆に自分の意思を伝え、自分がそうしなければならないと思い込ませた。
そうすることによっていつもは完全に受けの状態で待っているアカリを作業的ではあるが、自分から行動するようにすることができた。
そのままアカリはクルスのおよそ股間の辺りを優しくさする。
すると、少しずつ刺激が与えられ始めたのかクルスは少しだけ顔を赤らめて恥ずかしそうにしながら、ゆっくりと小さなモノを伸ばし始めた。
それでもアカリは少しずつ刺激を与え続け、クルスのモノが完全に勃起するまで続けた。
クルスが顔を赤らめてモノを最大まで勃起させた。
長さはおよそ親指ほどの彼同様可愛らしいモノだ。
体格から考えれば普通のサイズだが、やはりアカリには小さすぎる。
そのため、クルスからどうこうするのはやはり無理があるため、アカリはクルスを上にして自らの秘部にクルスのモノの先端を入れた。
つもりだったのだが、そのままあっという間に根元まで達してしまった。
クルスとしてはかなりの刺激がモノ全体を覆っているような感覚だが、アカリには何かが入っている気がしなくもないという程度だった。
アカリは少しだけクルスの体を上からギュッと押すが、やはりそれ以上は入らない。
仕方ないのでそのままクルスの体を上下に動かす。
するとクルスは嬌声に近い鳴き声を上げる。
かなり気持ちが良いのだろう。
そのままアカリはほぼ無心でクルスの体を上下させていると、一際大きな鳴き声が聞こえたと思ったら、既に何かが流れてきているような感覚があった。
しかしアカリは気付かずに続ける。
「ポワゥ!?」
それに驚いたのかクルスはすぐにサイコキネシスでアカリの動きを止め、自らも急いでゼリー状の体に念力で戻り、アカリにかけた自己暗示を解いた。
するとアカリは目が覚めたかのように起き上がり、
「ん? ん~……。よく寝てた……ような気がするが……恐らくその様子だと終わったみたいだな」
と背伸びをしながら言った。
既にそこにはいつもの調子のアカリの様子があった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その後、戻ってきたゼロはアカリたちと夕食にすることにした。
「とりあえずこれで検証は出来たな! 今回はどうやら失敗みたいだが、アプローチの方法はいくらでもある!」
とアカリは嬉しそうに語っていた。
いつもとあまりにも様子が違うのでゼロはまだ調子が狂ったままだが、アカリは気にせずといった感じだった。
そこでクルスは少しだけ思い悩み
「う~ん……本当はこの人に口止めされたけど、これは多分言ったほうがよさそうかな?」
と独り言を口にした。
そしてクルスはスープを一口飲んで一息入れた後、
「ゾロ、アカリさんが悩んでた事なんだけど、絶対に変なリアクションせずに聞いてね? そうしないと僕が言ったってバレちゃうから」
そう、ゾロに言った。
少しだけゾロは不思議そうな顔をし、うんと頷いた。
「アカリさんはね、僕みたいなよく分かんない形をしたようなポケモンと交尾するのが嫌で、それでできるだけ普通の形態のポケモンを探してたんだって。で、それだとゾロに迷惑が掛かるからだって」
と、アカリが何故クルスに対して微妙な表情をしていたかの理由を話した。
ゾロは思わず驚きそうになった。
「それだけ? 別にアカリの旅なんだからアカリの好きにすればいいのに……。つまり、俺に気を遣ってたのか」
とりあえず驚きをなんとか抑え、頭できちんと理解してからゾロはアカリのその表情に納得したことをクルスに話した。
思っていたよりも深刻な話ではなかったのでゾロはその後もクルスと楽しく話していた。
が、心中では『以前、俺がやらかしてるからもし、文句が言いたくても言えないなんてことは口が裂けても言えないな……』と思って少しだけ冷や汗をかいていた。
そこでクルスはアカリの方を少し見て
「そういえば、今回はダメだったみたいだけど、もしもアカリさんが研究してる研究が上手くいったら、僕たちの言葉もアカリさんに届くのかもね」
とゾロに言った。
そこでゾロもようやくこの旅の凄さに気が付いた。
『そうか……。もしもアカリのこの研究がもっと進んだら……。俺も自分の口から好きだって伝えられるのか……』
心の中でそう呟いたゾロは、とても夢のあるその研究の果てにある、楽しげなアカリとゾロを想像し、自然と笑っていた。
その後もそんな話や、関係のないようなただの笑い話、これまでのことやこれからのことを話して、日も暮れていった。
そこでゾロが不意に口にした。
「でもいいよなークルスは。あのアカリにリードしてもらったんだろ? いっつもジーッと寝てるだけだからなんか違うんだよなー。愛し合ってるって感じがしないっていうか……」
と、自分の惚気話を語りながら、自分は経験していないアカリのリードを心底羨ましがっていた。
するとクルスは少し不思議そうな顔をし
「え? ならもう一度、アカリさんがいいならアカリさんがリードしてくれるようにしようか?」
と言った。
ここで今まで溜まりに溜まっていた驚きが爆発したのか、凄まじい勢いでクルスの顔を見て、ガウッ!? とポケモンの言葉が分かる状況でも普通に鳴き声を発していた。
――その後、既に寝ようとしていたアカリを捕まえて、ゾロは凄まじい勢いで土下座をした。
「お願いします! 一回でいいからクルスの自己暗示を俺のために使われてくださいぃぃ!」
頭が地面にめり込んでしまいそうなほど、頭を下げてアカリにお願いしていた。
もちろんだが、アカリにはゾロがなんと言っているのか理解できない。
そのためゾロがいきなりアカリに向かって前のめりに倒れているようにしか見えなかった。
「お、落ち着け! どうした!? なにがあった!?」
そのまま微動だにしないゾロにアカリの方が驚き、とりあえず何とかしてゾロを起こそうとしていたが、動く気配がなかった。
その後、一旦落ち着きを取り戻したゾロはなんとか自分の意思を伝えようと身振り手振りでクルスの自己暗示を受けて欲しいと嘆願していた。
なんとかゾロの必死の思いをなんとかアカリは受け取れたのか、一挙一動に大きく頷きながら
「はい、はい、なるほど。つまり、いつもと違う行為がしたいから、クルスの協力を得てくれ、と」
と、大まかではあるが理解した。
少しだけ頷いた後、アカリは快く承諾した。
「分かった。クルスに協力してもらおう。ただ、一応恥ずかしいからクルスは終わるまで少しこの場所を離れていてくれ」
と、アカリはクルスにお願いした。
クルスも二人の関係はゾロから重々聞かされていたので快く頷いた。
三人でテントに入り、クルスはとりあえず、アカリの頭を覆うように両手を合わせ、目を閉じて念じた。
クルスとアカリが僅かに青白く光り、その光がスーッと消えていった。
「よし! これで終わり! 多分、1,2時間経てば元に戻るとは思うけど、もしものことを考えて2時間後ぐらいには戻ってくるよ~。じゃ~ちょっと散歩してきまーす」
クルスは念のためゾロにそう伝え、すぐにテントを出て行った。
ゾロは全力の感謝を去っていくクルスの背後にジェスチャーだけで伝え、すぐにアカリの方を向き直した。
するとまさに眠り姫が目を開けるかのようにゆっくりと目を開いていった。
ワクワクしながらゾロはアカリが目を開けるのをじっと待っていた。
「なんだ? 何をそんな期待した目で見ている?」
完全に目を開くと、ゾロが期待していたのとは違い、意外といつもの調子のアカリがそこにいた。
それにゾロは少しだけワクワクが半減した。
『あれ? もしかして失敗した?』
と、ゾロが少し不安になりだした時、アカリは不意にゾロの唇を奪ってきた。
あまりにも急だったため、少し慌てたが、状況を理解してゾロはいつも以上に興奮した。
そのまま舌を絡めあわせていると、ゾロの股間に優しく触る手が伸びてきていた。
思わずゾロは少しだけ後ずさりしてしまう。
「どうした? 私と楽しみたいんだろう? それならそこでジッとしていてくれ」
思っていたよりもグイグイ来るアカリにいつものゾロからは想像できないほどに、女々しくなっていた。
じっとしていろと言われたのに、あまりにも普通に興奮で伸びてきたゾロのモノをアカリは優しく撫でてくるので、思わずビクッと体を震わせて腰を引いてしまう。
唇もアカリが積極的に重ねてくるため、ゾロが何も出来ないでいた。
そしてついに暗示アカリの方が我慢できなくなったのか、ゾロを捕まえて、ゆっくりと布団に寝かせた。
『えぇ……!? アカリってこんなに……積極的に……なれるんだ。やばい、いつもよりドキドキする!』
ゾロは内心、混乱と期待とで布団に寝かされても拾ってきた猫のようにじっとしていた。
そしてそんなゾロの上にアカリが逃げられないように跨がる。
いつもなら絶対に見ることのできないシチュエーションにゾロは、その心臓の高鳴りを加速させ、モノも凄まじい勢いで準備万端となった。
するとアカリは不意にゾロのモノを掴み、少しだけ前屈みになった。
ゾロはモノを掴まれた瞬間、小さな声でヒャン! とゾロらしくもない声を上げてしまう。
すると、アカリはそれを知ってか知らずか、スッと状態をずらし、彼女の秘部へモノの先端を飲み込んだ。
「んっ……! どうだ? 先端がもう入ってしまったぞ?」
既にアカリの膣は受け入れる準備が出来ているようで、そのままゾロの反応を窺うよりも先にゆっくりと腰を落としていった。
そしてそのままアカリは体重を使って一番根元までズッポリとゾロのモノを飲み込んでしまった。
「はぁ~……!! 入ってる! 入ってるよ! やばい! 気持ち良すぎる!」
ゾロはあまりにも豹変したアカリのペースに完全に飲まれ、まるで雌のように甘い息を漏らしながらそんなことを口走っていた。
そんなゾロを見て、アカリは少しだけニヤッとし、腰を前後に動かした。
アカリの一番深い所まで入った状態で、モノ全体がグニグニと柔らかくも力強く包まれているような感覚に襲われた。
しばらく前後に体を揺らしたかと思うと、今度はすぐに上下に動かした。
複雑で、非常に気持ちの良い刺激が与えられ、さらにこのいつもと違うシチュエーションのためか、既にゾロは限界が来ていた。
「ゴ、ゴメン! アカリ! もう無理! 出る!」
泣くようにゾロは嬌声を上げ、彼女の中に早々と精液を放った。
すると、アカリは一度動きを止めた。
「んっ……。なんだ、もう出したのか? 私はまだまだ気持ち良くすらなっていないというのに……。君だけ達するのは卑怯だ。私が達するまで続けるぞ」
そう言い放つと、アカリはまだ脈打っている状態のゾロのモノをまた前後に揺らした。
すると、ゾロが今まで聞いたことないような悲鳴のようなものを上げる。
「ひゃあ……!? 待って! 無理! まだ出してる! 今動かされたら気持ち良すぎておかしくなる!」
しかし、アカリはそんなゾロの悲鳴を無視して腰を動かし続けた。
既に絶頂に達し、今も精液を送り続けるゾロのモノにはあまりにも大きすぎる快感に、ゾロは思わず逃げ出したくなったが、快感から来る脱力感で身動きがとれなかった。
アカリはそれを分かってか、また腰を上下に動かす。
少しずつ動きを早くしながらパンッパンッ! と音を鳴らし、ゆっくりと溢れてくる精液と愛液の混合液でブチュッと卑猥な音を立ててアカリもその快感を味わっていた。
ゾロは必死に逃げようとするが、腰から下がほぼ全て明かりに支配されているため、ただ手をバタバタと動かしてただその快楽地獄を耐えるしかなかった。
そしてついにアカリが上下の動きと前後の動きを合わせたコンボ技を繰り出し、ゾロは既に絶頂からの二度目の絶頂を迎えて、先程よりも力のない精液を中へ放った。
「も……もうやめてぇ……! 気持ち良過ぎるぅ……!!」
ゾロは力なくまだ腰を巧みに動かし続けるアカリに手を伸ばすが、結局気持ちが良すぎて止める前にゾロの腕の動きが止まった。
その後もアカリはどんどん腰の動きを巧みにし、速めていった。
アカリからもだんだんと甘い息が漏れ出し、必死に快感を求めて腰を動かし続けた。
その間、ゾロは休む間もなく快感の波に襲われ続けて、ビクビクと震えながら終わるのを待つしかなかった。
その後もアカリは自分のペースで腰を振り続け、ゾロが息もできないほどの快感で半分放心状態になったときに、アカリもようやく絶頂を迎えた。
繋がったままアカリはゾロの上で荒い呼吸を続けていた。
『ま……まさかアカリがここまで……淫乱だったなんて……でも、結構、嬉しかった……かな?』
ゾロの上で脱力するアカリを見て、身体中に全く力の入らないままそんなことを考えていた。
するとアカリは息が整い始めると
「とりあえず一回目だな……。勿論、まだまだ愉しむぞ?」
そう言い放った。
それを聞いて夢心地のゾロは思わず戦慄した。
このままでは現時点で既に限界を超えているゾロは、これ以上は無理だと頭で理解していたからだ。
『やばい! でも、流石にもう2時間ぐらい経ったんじゃ……』
そう思いアカリが脱ぎ捨てた服に置いてある腕時計をチラリと確認した。
そこでゾロは絶望した。
ゾロたちがここに入った時にアカリから聞いた時間からまだ1時間しか経っていなかった。
『あ……死んだ……』
心の中でそう思ったゾロの上で、彼に絶望を与えるためか、ゆっくりとアカリが腰を動かし始めた。
――それから1時間後、クルスは散歩から帰ってきた。
「ただいま~。楽しめたかい?」
そう言い、テントの中に入ると、そこにはクルスが想像していなかった光景が広がっていた。
ぐったりと力なく横たわる瀕死のゾロと、その上でまだ腰を振っているアカリの姿があった。
『あ、これ今すぐ止めないとまずいパターンだ』
とクルスは直感的に感じた。
今も必死に動いているアカリの頭を急いで覆い、すぐにまた念動力を流す。
また青白い光がうっすらと光り、その光りが消えるとクルスはすぐに離れた。
そこでアカリはゆっくりと目を開ける。
「!! もしかして……。私がこれをやったのか?」
アカリの下で既にピクリともしないゾロに驚き、アカリは顔が引きつっていた。
すぐにアカリはゾロの上から退き、ゾロの体を揺らした。
「生きてます……一応……」
ゾロがそう言うと、反応があったことにアカリはホッとしたのか、すぐにゾロに謝った。
正確にはゾロのせいなのだが、アカリの反応がいつも通りになったのを見てゾロは安心し、そのまま事切れるように眠りに就いた。
その後、荷物がもう少し減るまでの間、クルスが旅に同行していたが、ゾロはアカリに自己暗示をかけることを二度と頼まなかった。
登場ポケモンオーダイル
とある森の中に、目立つ白衣を着た女性と、真っ黒体毛で覆われたポケモンがいた。
「いかん……水が切れた。今日はとりあえず、ポケモン捜索よりも先に水場の捜索だ」
その白衣をまとう女性はゾロアークの背負う鞄から取り出したペットボトルにすでに水が半分ほどしか入っていないのを確認してそう言った。
「そうだな」
彼女の言葉を聞いてそのゾロアークは小さく返事をした。
彼女の名はアカリ。今、彼女はとある理由から世界中を旅しながらポケモンを探していた。
が、彼女は決してトレーナーではないため、そのポケモンを捕獲することが目的ではない。
では何故、ポケモンをさがしているのか。
その理由は、世界中にいるポケモンの中から、一種類ずつのたまごタイプのポケモンと交尾をするために旅をしていた。
そして彼女の横にいるゾロアークの名はゾロ。彼は彼女のパートナーであり、恋人でもある。
これだけ言えば彼女はただの変態でしかないが、彼女がこんなことをしているのにはきちんと理由がある。
彼女は見た目の通り、研究者だ。
そしてこの旅は彼女の提唱したとある研究の実験の旅でもあった。
彼女の研究とは簡単に言うと『人とポケモンの進化』である。
もしも、人かポケモン、又はその両方が今以上の進化を遂げることが出来れば、コミュニケーションを行えるようになり、更に今の社会が発展するだろう。
そんな夢のある研究のために、彼女は自分の体を使って実験を行っていた。
そして今はそんな旅の途中だ。
元々ゾロはそんな彼女の助手でもあったので、この旅にも同行し、ボディーガード兼、力仕事役兼、交渉人として色々と残念なアカリの補助を行っていた。
そしてここ最近は暑い日が続き、予想していたよりも水を使ってしまったため、水が足りなくなっていた。
森に流れる川なら水は十分飲用に適しているので、水のためだけに町へ戻らずに、川を探すことにした。
まだ朝早く、日が高くなり暑くなる前に水を確保するために、本来ならいつもこの時間にポケモンを探すのだが、それよりも先に水を優先した。
旅は確かに速く終わった方がいいが、決して急いで終わらせなければならない理由はないので、今は水の方が早急に必要だった。
それからおよそ1時間ほど歩いただろうか。
「案外探すと見つからないものだな……タウンマップだけではなく、山の地図も持ってきておくべきだったな」
と、アカリは今更になって当たり前の物を持ってきていないことを宣言した。
変な所が抜けているアカリにゾロは少しだけがっかりするが、持ってきていない物は仕方がないので頑張って探すことにした。
それからさらに1,2時間経っただろうか、ようやく、運良く川を見つけることが出来た。
「ようやく見つかった……。よし、ペットボトルに詰めるのも大事だが、折角ならここで少し涼をとっていこう」
アカリはゾロにそう言い、彼にも鞄を下ろさせ、ゆっくりと川側で休憩することにした。
いつもならすぐにでも目的を達成したら移動しそうなのがアカリだが、暑さはどんな人でもやる気をなくさせるのか、アカリも今日はゆっくりしようと言い出したほどだった。
そんな和気藹々と川辺で涼む一人と一匹を川の中から眺める一匹のポケモンがいた。
『わぁー……綺麗な人だな。強そうなポケモンも連れてるし、さぞかしポケモントレーナーとしても優秀なんだろうなー。あんな人になら捕まってもいいかな……?』
そんな二人の様子を見て、色々と想像して顔を綻ばせていた。
そのポケモンの名はオーダイル。
おおあごポケモンと呼ばれ、巨体のワニのような容姿を持つポケモンだ。
見た目の通り凶暴性の高いポケモンなのだが……
『俺もあんな人たちと一緒に旅したりとかナデナデしてもらったりとかしたいなー。ポケモンバトルとか、負けたらあの人なら優しく慰めてくれそうだなー』
などと考えており、やはり全ての固体が同じ性格になるはずもなく、このオーダイルはかなり夢見がちな優しい心の持ち主のようだ。
期待で色々な想像をしながら眺めているうちに、オーダイルは気が付けば吸い寄せられるようにアカリたちに近寄っていた。
ばれないように少しずつ近づいていくが、内心は彼に気付き、捕まえてもらいたいと思っていた。
「おーいアカリ! 水とりあえず必要な分、汲み終わったぞ」
とゾロはアカリにとりあえず終わった事を伝える。
呼ばれたのに気付き、アカリもゾロの方へ歩いていった。
そしてその時、アカリとオーダイルの目が合った。
その瞬間、オーダイルは期待に目を輝かせて待っていた。
すると、アカリはハッとした表情を見せ
「そこの君! 私と交尾しないか!?」
と言い放った。
「え……えぇー!?」
彼の中で予想していたアカリの像が崩れ、思わずオーダイルは叫んでしまった。
レポート06:たまごタイプ すいちゅう1
思い描いていた人物像とはあまりにもかけ離れていたアカリに少しショックを受けたオーダイルだったが、アカリのあまりにも期待した目と、ゾロの必死の説得で彼は何とか思い留まってくれた。
アカリはいつものように自分の今行っている研究と、その実験の旅の説明をオーダイルにし、今彼女が行っていることがどれほど意義があるのか熱弁していた。
それまで少し嫌そうな顔をしていたが、オーダイルはその話を聞いて、とても夢のある研究内容にいつの間にか目をキラキラと輝かせていた。
「凄い!! ってことはその研究が上手くいったら俺も本当はこんな人なんだ! って伝えられるんだ!」
そのオーダイルは嬉しそうにそう言った。
それを見てゾロは少し笑い
「まあ、オーダイルは普通凶暴だからな。ポケモンからしたら話せば分かるが、トレーナーからはすぐには分からないしな」
と語った。
そのオーダイルも抱えていた小さなジレンマが、種族全体の『大体こんなポケモン』という決め付けによる、固体の性格を判断しないポケモントレーナーが多いということだった。
彼もその見た目のせいで、出来ることなら可愛がってもらいたかったが、そういう優しそうなトレーナーは彼を見ると大体身の危険を察知して逃げてしまう。
そのせいで彼はあまり自分からトレーナーに話しかけなくなり、遠くか眺めてはその人と一緒になれたらという想像に花を咲かせるようになっていた。
「どうだ? 協力してくれるか?」
かなり好感触だったためアカリも期待の目を光らせて彼の返答を待っていた。
そこでオーダイルはきょとんとする。
「協力……って、もしかして俺がこの人と……交尾するってこと?」
オーダイルは少しだけ焦った表情でゾロに聞く。
ゾロはもちろんと頷いて見せた。
途端にオーダイルは顔をブンブンと横に振る。
先程までが好感触だったためにアカリは心底ショックを受けた顔をしていた。
「無理無理無理無理! 俺とこの人の体格差どれだけあると思ってるのさ! そんなことしたらこの人が死んじゃうよ!」
と、オーダイルは必死に訴えた。
確かに2メートル以上の大きさの彼と、ゾロとほとんど同じか少し小さいぐらいのアカリが交尾をすればただではすまないだろう。
そこでゾロが提案する。
「別にお前は話が分かるし、研究に興味あるんだろ? ならお前が手加減してやればいいんだよ」
と、ゾロに言われ、オーダイルはかなり悩んでいた。
簡単に言ってくれるが、実際本能の方が強いポケモンたちが、いざそういう交尾という本能全開の場で手加減が出来るのかオーダイルは不安で仕方がなかった。
そこでずっとうんうん唸っていたが、アカリがついに痺れを切らしたのか大きな声で
「悩むぐらいなら協力してくれていいじゃないか! 私がこれだけお願いしているというのに白状だろう!」
そう言い放った。
確かにアカリが自分から誘っているので半分は自己責任だ。
というよりも、当初の『相手に無理強いはしない』というアカリの意志は何処へ行ったのか、ここ最近は焦りのせいもありかなり強引に協力を求めていた。
すると、オーダイルはアカリに強く迫られたせいもあってか、渋々首を縦に振った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アカリとしては今日はポケモンを探せないだろうと諦めていたので、ここでオーダイルが首を縦に振ってくれたのはとてもありがたかった。
「グアァウ……」
それに対してオーダイルはそんな声を出していた。
アカリからすればそんな声だが、実際のところは『大丈夫なのかなー?』と言っている。
こんな風に実際、人間から見ればこのオーダイルが優しい性格なのだということは分かりにくい。
しかし、アカリが何故このオーダイルと交尾しようとしたかにはきちんと理由があった。
まずはオーダイルを含む多くのたまごタイプがすいちゅう1と分類されているポケモンは水辺か、海中に生息している生き物だからだ。
そして、海中に住む生き物は基本的に生殖器官を持たない者が多い。
海水があるため、産卵されたタマゴに直接精子をかけることが可能なため、魚のようなポケモンではアカリが考えている検証実験が行えないということだ。
次に、オーダイルはたまごタイプをもう一種類持っている。
かいじゅうタイプにも含まれるため、もし、他にたまごタイプがすいちゅう1かかいじゅうが見つかった場合、オーダイルをそのどちらかにして新たに見つけた方を新たにそこに実験結果として加えることが可能なため、実験の検証が楽になるからだ。
そして最後にもう一つ理由としては、ゾロがこのオーダイルと交尾をすることを止めなかったため、恐らく安全なのだろうとアカリも安心したからだ。
これだけ体格差があったとしても、体と似合わないほど優しい心を持っていることを考えれば、あまり無茶はしないだろうという打算の元だった。
結局、その日はあまりその川から動かずに、すぐ側の開けた場所にテントを立てた。
その後、アカリはすぐにオーダイルを誘ったが、オーダイルは全力で拒否した。
「ゾロ、そのオーダイルの心の準備が出来たらテントに連れてきてくれ。それまで私は今までの資料をまとめる」
そう言い、アカリだけ先にテントの中へ入っていった。
まだ時間も昼頃で、流石に色々と早すぎたのでアカリも折角出来た暇な時間を有効活用していた。
そしてテントの外にゾロとオーダイルだけが残された。
「グァウ?」
「グルァ」
残された二人はなにやら会話をしだした。
その後も何度かやり取りをし、しばらくするとゾロだけ何処かへと走り去っていった。
結局、その場に残されたオーダイルは少し難しい顔をして悩んだ後、アカリのテントの前まで移動してそこに座り込んだ。
――このオーダイルはその昔、トレーナーに育てられてたことがあった。
その時のオーダイルはまだワニノコで、それは年相応なやんちゃなポケモンだった。
彼を育てていたトレーナーは、性格にはトレーナーではなく、同じく小さな少女だった。
少女は昔からどうしてもポケモンを育ててみたかった。
しかし、まだ幼いという理由で、両親にポケモンを育てることを認められていなかった。
そんなある日、この少女は川原に居た、まだ生まれたてだったこのワニノコを見つけた。
少女はそんなワニノコを見てその愛嬌のある表情に惹かれて気付けば何十分も頭を撫でていたほどだった。
しかし、時間も夕暮れ。そろそろ帰らなければならない時間となり、そのワニノコを放置して家に帰ろうとした。
だが、ワニノコはその場を去ろうとする少女の後ろをヨチヨチと付いて来た。
「家では飼えないから無理だよ!」
と言い、そのワニノコの背中を押して元居た場所に戻そうとするが、いつまでもそのワニノコは少女についていった。
それもそのはずだ。このワニノコはここで生まれたのではなく、別のトレーナーに捨てられていたから、帰る場所などなかった。
しかし、そんなことも知らないワニノコからすれば、その優しくしてくれた少女が彼の中では親のようなものだったかだ。
結局、ワニノコは家までついてきてしまった。
少女は絶対に親に怒られると思っていたが、『もういい年だから、生き物の命を預かる大切さを知るべきだ』と思ってもみなかったことを言われた。
その日からワニノコは少女に大事に育てられた。
ポケモンバトルはあまりせず、女の子とおままごとをしたり、お花を集めたりなど、いかにも女の子らしい遊びをしていた。
そして少女もある程度成長し、既に少女ではなく、青年と呼べる女性になっていた。
その頃には既に女の子も進化していたアリゲイツに構ってやれる時間が少なくなっていた。
寂しい気持ちはあったが、アリゲイツも女の子のことを理解していたので、決して態度には出さなかった。
そんな穏やかな日々を過ごした事と、恐らく彼の元々の性格もあってか、アリゲイツは家で穏やかに少女の帰りを待つような優しい子になっていた。
それを分かっていた女の子も暇があればアリゲイツの頭を撫でてやり、優しく接していた。
それから更に月日が経ち、女の子は既に淑女になっていた。
仕事をするようになってからはその女性もあまり実家には戻れなくなっていた。
両親も既にかなりの高齢。
まだ若いアリゲイツの相手を出来るほど元気は残っていなかった。
かといってまだ、一人暮らしをしていたその女性にはアリゲイツを家で育てる余裕はない。
みんなが何とかこの子を大事にしてあげたいと悩んでいた時、それを感じ取ったのか、アリゲイツは自分から家を出ようとした。
『それ以上家に居ればみんなが困る』直感的にそう感じたアリゲイツは、両親の気が他に向いているうちに、こそっと家を出て行こうとした。
「行ってしまうのかい?」
その言葉にアリゲイツは非常に驚いた。
ばれていないと思ったが、両親は既に出て行くとそう心に決めていたアリゲイツのことを見抜いていた。
アリゲイツは小さく頷き、女性の両親に見守られながら、家を出て行った。
そして、少女とであった森まで戻ってきたのだ。
それからは野生での生活。
激しい生存競争や縄張り争いに巻き込まれ、少しずつ逞しくなりながら、アリゲイツはオーダイルに進化していた。
それからまた更に数年後。
「見つけた!」
ようやく生活に余裕が出てきたその女性は出て行ってしまったオーダイルを探しにきていた。
野生で逞しくなったオーダイルは既に女性よりも大きくなり、体にもかなり傷跡が残っていた。
そんなオーダイルを見つけ、駆け寄ってその女性は泣きながら抱きついた。
「ごめんなさい! 私が連れてきたのに……私が勝手に居なくなって……」
泣きながら女性は謝った。
だが、今度はオーダイルが優しく女性の頭を撫でた。
言葉は通じなくても心は通じる。
『大丈夫だよ……俺は怒ってないよ』
撫でながらオーダイルは少女にそう言っているように少女には聞こえた。
事実、その時オーダイルはそう言っていた。
もうひとしきり泣いた後、女性は手を振りながらその場を去っていった。
もう、彼の住む場所はそこなのだと彼女も感じたから……。
「じゃあね! ハナちゃん! 元気でね!」
最後にそう、彼の名前を呼んで、別れを告げた。
こうして顔に大きな十字傷、体に無数の傷を持ち、厳つい顔とオーダイルの中でも一回り大きな体格を持つ、とても心優しいハナちゃんは今日、アカリたちに出会うまでひっそりと生きてきた。
ゾロが何処かへ行ったのは、この話がにわかには信じられず、周りに居るポケモンにそのうわさを聞きにいくためだった。
だが、実際にハナはこの辺りの川では最強のポケモンだった。
『最強のポケモンなのにその名前がハナって……。どうなのよ……』
と、思わず突っ込みたくなってしまったが、その言葉を飲み込み、急いでアカリたちの所へ戻った。
その間、ハナはうとうととしながらアカリかゾロが声をかけるのを待っていた。
「なんだ……ゾロの奴はあれだけ言ったのに、君を放って何処かへ行ったのか……仕方ない。ほらオーダイル! 私の方も終わったから準備してくれ」
テントから出てきたアカリは、すでに今までのレポートをまとめ終わっていたため、外の様子を伺いに来ていた。
そこでテントのそばで寝ているハナとどこにも見当たらないゾロの様子からアカリは独り言を混ぜながら、ハナの方にも声を掛けた。
ウトウトしていたハナはそれでようやく目が覚める。
大きく伸びをしてから、スッと起き上がり、改めてアカリの方を見直した。
するとアカリは少しだけ微笑み、すぐにハナの手を取ってテントへ招き入れた。
アカリとハナが入ると流石にテントは狭く、ほとんど身の動かしようがなかった。
しかし、アカリはいつものようにサッと服を脱ぎ捨て、生まれたままの姿になる。
「さて……では協力をお願いしよう。基本的には君の好きなようにしていいが、限度は考えてくれよ?」
アカリはいつものように決まり文句を言い、それとは別にハナに対する注意事項をさらに付け加えて説明した後、一応そのまま立っていた。
しかし、ハナもアカリがそのままでは困る。
ハナはアカリには欲情していないため、興奮する材料がない。
アカリの裸も彼からすれば、見ているこっちが目を覆いたくなるような恥ずかしい姿でしかない。
どうしようか悩んでいるハナを見かねたのか、そこでアカリから動いた。
スッとしゃがみ、ハナの股間の辺りをさすってみる。
ハナとしては体を触られて少しくすぐったいような感覚がしただけだった。
それでもアカリは入念に彼の下半身を撫でる。
そしてアカリはとある場所に狙いを定めた。
「グァウ!?」
途端にハナはそんな声を上げる。
何故なら、アカリはハナの総排泄口と呼ばれるワニ独特の穴にスッと指をなぞらせたからだ。
ワニのモノはその総排泄口と呼ばれる所謂スリットに収納されている。
そのためそこを刺激されれば嫌でも興奮するわけだ。
少しずつなぞる指に力を加え、そしてついにスリットの内側へ指を滑り込ませた。
するとハナは矯正にも聞こえなくないようなグゥという太い鳴き声を出した。
そのまま何度か内側を滑らせ、上下に擦り続けると、飛び出すように一気にハナの巨大なモノがズルリと現れた。
先端から根元まで太く長いモノは少しヒクヒクと動いていた。
「よし、出てきたな。なら、私の体を支えてくれ、くれぐれも加減には気を付けてくれよ?」
そう言い、アカリはハナに抱きつく。
少しだけハナは慌てたが、すぐに落ち着き、鋭い爪でアカリの肌を傷つけてしまわないように気を付けながら、ゆっくりとアカリの体を持ち上げた。
そしてゆっくりとモノの先端とアカリの秘部が触れるように下ろしていく。
先端が触れたのを感じるとアカリを支える腕を一方の手だけにし、もう片方の腕でアカリの腰の後ろ辺りに手を当てた。
そのままゆっくりと外れてしまわないように力を微調整しながら挿入していく。
先端の時点でアカリの何もしていない状態の膣口よりも大きいのが分かる。
そこへ押し当て、割れ目を多少無理矢理押し広げながら入れていく。
「んっ! ……大丈夫だ、続けてくれ」
少しだけ顔を歪めたが、アカリはそう言い、続けるように促した。
ハナは内心、もう止めたかったが、今ここで止める方が彼女の事を傷付けると思い、細心の注意を払いながらゆっくりと押し広げながら入れていった。
アカリの膣内はとても熱く、ハナからすればまるで焼けているような感覚にも似た衝撃を受けた。
それでもゆっくりと、ゆっくりと入れていく。
先端がようやく膣口を通り抜け、少しだけ余裕が生まれた。
こうなれば少しだけなら動かしても問題がないだろうとハナは思い、ゆっくりとアカリの体を押していった。
すると案外、すんなりと残りも入っていく。
しかし、およそモノの3分の1が入ったぐらいで、動きが止まった。
それ以上は流石にアカリの体に負担が掛かりそうだったので、そこで止め、後はそこよりも上側だけで抜けないように気を付けながら上下に動かした。
少しずつ二人の荒い息が聞こえ始め、卑猥な水音も僅かに聞こえ始めた。
入っている部分が少ないためか、二人共快感が少ないようで、いつもよりかなりペースが遅かった。
そのため、ハナは少しだけ動きを早め、先程よりも少しだけアカリの腰を落とす。
ジュプッと少しだけ激しい水音が響き、もう少しだけ奥まで入る。
十分に馴染んだためか、アカリも先ほどよりは苦しくないようだった。
そうやって少しずつピストン運動を早めながらストロークの距離を伸ばしていった。
およそハナのモノの半分ほどがついに入るようになり、それだけ入れば十分な快感が二人に与えられるようになっていた。
興奮も既にかなり高まっていたので、ハナはラストスパートを掛けて腰の動きをもっと早めた。
するとアカリが珍しく嬌声を上げていた。
そのまま腰をしっかりと押さえ、アカリの中にモノを半分まで入れて、ハナはアカリの中に精液を放った。
「グゥ……ウゥ!」
半分までしか入っていなくても中へ出される精液の量に差はない。
そのため、途中からビュルビュル! と音を立てて精液と愛液が混ざり合ったものが溢れ出た。
そのまま放出が終わるまでそのままの体勢でじっと動かず、放出が終わると同時にハナは素早くアカリの膣からモノを抜いた。
ボタボタッ! と溢れ出た残りの精液が下へ落ち、そのハナの精力の凄さを物語った。
そのままゆっくりとアカリを降ろして、ハナも精神を落ち着かせるためにテントを出て行った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「だから言ったでしょ? 一応、この辺りでは有名だって」
戻ってきたゾロは聞いた話をそのままハナに話した。
にわかに信じられなかったが、本人も認めているようにこの辺りでは最強で、『既に多くのハーレムを形成している』ということも話した。
「だからこんな性格なのにやたら逞しかったり、一人称が俺だったりしてるのか……」
思っていたよりも肉食系だったハナにゾロは心底感服していた。
アカリのこともリードしてきっちりとヤることをヤって、ゾロの帰りを待っていたハナとアカリにゾロはかなり驚いたようだった。
そんな談笑をする二人の間にアカリが割っていって
「悔しいが、オーダイルのテクニックは素晴らしかったぞ。思わず声が漏れてしまった。君も恋人としてもう少し私のツボを押さえて欲しいものだ」
そう言い放った。
そこでゾロは石のように固まった。
その横でハナは笑う。
「お願いだから! 頑張るから! こんなスケコマシより巧くなるから俺だけ愛してくれぇ!」
思わずゾロはそんな情けない泣き言を言いながらアカリに縋り付いた。
そんな様子を見てハナは耐え切れずに大爆笑していた。
そんな楽しい話をしながら過ごしていれば、あっという間に時間は過ぎてしまう。
三人は夕食を済ませるとすぐに眠りに就いた。
――翌日、三人での朝食を終え、ハナに別れを告げた。
「じゃあねー! アカリの研究が終わったら是非俺にも教えてねー!」
「おう! じゃあまたいつか会おうな!」
ハナとゾロはそんな別れの言葉を交わし、大きく手を振ってその場を去っていった。
そのまま暫く歩いた所で
「なあゾロ。君たちは先程、どんな話をしたんだ?」
と質問してきた。
するとゾロは少しだけ考えた後、小さく笑い、口の前で人差し指を一本だけ立ててみせた。
まさにシーッというジェスチャーで返事をして嬉しそうに笑ってみせた。
「成程、私にも内緒か……」
と、呟いて、アカリも少しだけ微笑んで見せた。
そこでアカリは改めて自分の研究を思い返してみる。
何故、ポケモンのことをもっと知りたいと思ったのか、ポケモンと人がもっと近い存在だったらいいと思ったのか……。
それらを自分の中でもう一度整理して、改めてアカリはゾロを見る。
ポケモンは本当に人と同じかそれ以上に感情が豊かで、純粋な生き物だ。
そして多種多様な進化を遂げて、その数は既に今の知識で分かっているだけで600以上もの数になる。
まだまだ謎の多いポケモンには様々な可能性が秘められている。
そして、それだけもの種類がいるポケモンはたとえ遠く離れた種のポケモン同士であったとしてもそのコミュニケーションを行うことができる。
目の前にいる、彼女が唯一心を許した最愛のポケモンとアカリは、恐らく心は繋がっているだろう。
だが、その前には意思を言葉のままに伝えられないという大きな壁があった。
アカリがこの研究に本腰を入れた理由は物凄く普通の理由かもしれない。
だが、『好きな人に、好きだと言って、好きな人に好きだと言われたい』そんな純粋な思いが、世界を未来を変えられたらどれだけ素敵なことだろう。
だからこそアカリはなんとしてもこの夢を叶えたかった。
いつの日か、ぶっきらぼうなアカリに文句一つ言わず付いて来てくれるこの可愛くもイジらしい、愛しい存在に『有難う』と『ごめんなさい』とちゃんと正面から向かい合って言いたかった。
だが、それを言うのはまだ早い。
アカリはもう一度だけ子供のようにはしゃぐゾロを見て小さく微笑み、その言葉をそっと心の中に閉じ込めた。
「この辺りのポケモンは粗方終わっただろう。今度は山の方へ行こう。そろそろ別のたまごタイプも探さんといつまで経ってもこの旅が終わらなくなるからな」
そう言い、前を歩くゾロを追い抜くようにツカツカと歩いた。
あまりにも急に歩き出したので驚くが、ゾロも急いで後を追っていった。
最も近くにいるのに、最もその言葉が伝えられない、不器用な一匹と二匹は残りのポケモンを求めて今日も歩いてゆく。