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熱帯夜の姉

/熱帯夜の姉

駄文執筆者 文書き初心者
※獣姦、牝→牡への強姦描写があります。苦手な方はご注意下さい。
熱と冷の姉妹のAnother Story的な位置づけです。こちらを読まなくても十分に内容が把握出来ますが、読んでない方には少し分かりにくい表現があります。


「うぅ暑い……。グレイシアがいるからひんやりして冷たいけど……」
「あんたが汗臭いのは勘弁だからね。本当ならこうやってさせないんだから」
 加減なんか知らずにさんさんと照り付ける夏の太陽。陽光によって鉄板焼きの様に温められたコンクリート。季節風により、梅雨でもないのにじめじめした空気。
 そんな悪環境の中、僕はいまグレイシアを冷却シート代わりに抱えて歩いている。こんな暑さを凌ぐにはやはり彼女から伝わる冷たさが必要不可欠だ。普段は僕が撫でようとするだけでも必死に拒むくせに、夏場に限り彼女はこうやって抱かせてくれる。それにはとても感謝してる。
 こんな現場をもう片方に見られたら厄介な事になり兼ねないとは思うが。別に罰は当たらないだろう、多分。それに冬場は逆だったし。
 やっと自宅が見えてきた。何処にでも建っていそうな、薄汚いアパートだけど。親からの仕送りで賄っている僕の経済力じゃあれが限度であるけど、アパートなのにも関わらずポケモンと一緒に生活しても良いのは大きかった。現に、此処に来てからはボールへ入れた回数は指で数える程度だ。
 家が見えてきたのと、さっさと水風呂に浸かって火照た身体を冷やしたいという願望から、自然と足取りが速くなる。そんな風に家路を急いでいると、
「もう少しゆっくり歩いてよ。あたしの身体が揺れるじゃない」
 グレイシアから指摘されて、僕は歩く速度を緩める。グレイシアは色々と五月蠅いから厄介だ。しかしグレイシアのお陰で、この暑さには困ってないから頭が上がらない。
 本当、鈍いわね、とグレイシアには溜息を吐きながら言われたが、毒舌なのはいつもの事だから放っておいた。その後何か呟いていたけど、とても小さい声だったのでよく聞き取れなかった。あたしの気持ちをちゃんと分かって欲しいな、と呟いたのかも知れない。それでも珍しく毒が入った言葉じゃなかったから、注文通りにグレイシアを揺らさぬよう慎重に歩く。
 僕はゆっくりと足を運ぶ。それ故に家は目と鼻の先だと言うのに、なかなか着きそうにも無いように感じた。抱えているグレイシアから伝わる冷気からほんの少しだけ熱気が混じっていた気がした。

「ただいまぁ……」
 やっと家に帰って来れた。今日は別段と暑かったから、帰り道が長く感じた。
 直射日光は避けられるけど、それでも家の中は暑い。外出する時にクーラーを消した所為でもあるが、原因の大部分は目の前にいる彼女、ブースターのせいだろう。
「……」
 ブースターは無言且つ嫉妬に燃えた目差しで僕を見つめてくる。
 ああ、なんだろう。矢でも刺さったかの様に心が痛む。恐怖にも似た感覚が心に襲いかかる。暑い筈なのに背中からは言葉とは矛盾した冷や汗が流れる。その前にこんな状況を体験するのは冬のあの時以来だ。
「……むぅ」
 そうやってブースターは僕に何か言いたげだったが、何も口にはせずにふてくされてとぼとぼと部屋の方へと移動する。
 相変わらず、ブースターは参る。双子の妹、グレイシアとは大違いだ。性格とかがまるっきり。グレイシアと比べて、はっきり物を言わないから気を遣わないといけない。でもグレイシアみたいに心に突き刺さるよう発言されても困る。
 これ以上ブースターの機嫌を損ねない様にしないと。
 そう感じて、直ぐにグレイシアを解放してやろうと、拘束を緩めた矢先にグレイシアは勝手に僕の腕からひょいと飛び降りた。素っ気無い態度だけど、グレイシアにとっては至って普通の行動である。
「有難う、グレイシアのお陰で冷たかったよ」
 僕はそう御礼を言いながら、しゃがんでグレイシアを優しく撫でようと手を伸ばす。すると、グレイシアは珍しくその手を受け入れて、僕に撫でさせてくれた。グレイシアの体毛はひんやり冷たくて、つるつるとしているから触り心地がとても良い。まるで氷の様であった。
 グレイシアは頬をほんのり赤く染めて照れながらも返答した。
「べつにっ、あたしは丁度寒かっただけだし、あんたなんか暖房代わりにしかならないんだからっ」
 ふんっ、と言わんばかりに撫でている僕の手を振り切って部屋へと戻っていく。
 相変わらず素直じゃないよなあ……って、グレイシアは種族の特徴上、体毛を凍らせられるから、寒く感じるなんて事は有り得ないのでは?
 頭に素朴な疑問を浮かびつつも、僕は玄関で靴を脱いで、姉妹に続いて部屋へと向かった。
 入室するなり、目に飛び込んできた光景は姉妹がこそこそと内緒話をしながら互いの身を寄せ合っている。更には僕に背を向けている時点で、内緒話に混ぜてはくれないだろう。
 乙女達の会話を盗み聞きしてやろうと聴覚に神経を尖らせる。同時にこっそりと近付き、気配を殺す。
 ――お姉ちゃん貸し一つだからね。 
 有難う、グレイシア。良い妹を持ててお姉ちゃん嬉しいよ。
 べっ、べつにあくまでも貸しなんだからっ、ちゃんと返して貰うからね。
 はいはい。グレイシアも――――。
 ……全くもって、会話の意味が分からない。完璧に僕は疎外されているようだ。そういえば、前にもこんな時があったような、無かったような。
 これ以上、聞き耳を立てても意味は無いし、そろそろ昼食の頃合だから御飯の準備をしよう。そう思い、僕はその場を離れて冷蔵庫に向かうのであった。

 その日は、これの他に取り分け変わった事柄は無かった。いつものように御飯を食べて、いつものようにお風呂に入って、いつものように皆で川の字になって寝たんだ。何もかもが日常と同じだった筈、なのに。


「――熱帯夜は大好き?」
 突拍子もなく聞こえてきた一言で、僕は眠りから完全に覚醒した。
 何処からともなく飛んできた声には聞き覚えがあった。だって毎日耳にしてるから、声の主が分からないと反って、自分が可笑しいくらいだ。
 ブースター。僕のポケモンでもあり、グレイシアの姉でもある彼女。その彼女が、僕の胸に前脚を乗せて僕の身体を覆っている。そしてもう一度口を開く。
「熱帯夜は大好き?」
 じっと僕を見つめたまま、瞬き一つすらしないブースター。それに釣られて僕もブースターの瞳を捉えていた。
 いや暑いのは苦手だな、そう口ずさもうとした瞬間、異変に気付く。
 ――声が出ない。
 自分でも訳が分からなかった。言葉にしようと思ったら、ブースターが僕の口を塞いでいた。それも前脚でなく、口である。つまり僕達はキスをしていた。
 重ねるだけのキスなら今時、子供でもする。が、それでは無くて舌まで扱う情熱的なキス。炎タイプのブースターには相応しいであろうキス。ディープキス若しくはフレンチキスの呼称でお馴染みの物。
 熱を持ったブースターの舌が僕の舌へと絡む。僕は猫舌では無いのだが、それでも熱いと感じてしまう。その内軽い火傷でもしてしまうのではないかと考えてしまう。
 でもブースターから伝わる温もりは決して嫌じゃない。とても温かくて、心までぽかぽかと温かくなる感じがした。
 気が付けば、僕もブースターに舌を絡ませている。少し前までは、されるがままであった。けど今では、ブースターの熱さを求めている。彼女が言う熱帯夜を望んでいる。
 口と口とが離れれば、卑猥にも唾液が糸を引いて、僕達を繋ぎ止める。
 だけど、力無く唾液は垂れてしまう。やはり重力には打ち勝つ事は出来ない。それも自然の流れだ。
 儚くも切れた唾液の糸。それが糸でなく、ただの液体にへと形状が変わるまで見送ると、ブースターは僕の下腹部辺りに移動していた。獲物でも捕まえたかに、僕のモノを両方の前脚でしっかりと押さえつける。
 って、何だろう。この違和感。
 咄嗟に覚えた変な感覚。どうして粗末な僕のモノがむき出しになっているのか、どうして寝間着やら下着やら身に着けたのに裸となっているのか。そしてなにより、
 ――グレイシアは?
 視線をブースターから横へ傾ければ、本来いるであろう彼女が隣にはいなかった。今まで其処にいた気配すら無い。思考がグレイシアで占めていく途端に、
「グレイシアの事なんて、考えないで。いまはボクだけ見てよ……」
 聞き覚えのある台詞で、僕の意識はブースターへと再び偏っていく。こんなにも寝苦しい夜にしているのは紛れも無くこのブースターだ。そして間違い無く、僕の身体をこんなにも熱くさせているのは彼女だ。
「御主人をボクの虜にしちゃえばいいのね」
 誰に言う訳でも無く、ブースターは自分に言い聞かせるかの如く、口にした。その時の彼女は表情は、大抵の牡ならそうなるであろう妖艶な笑みを浮かべていた。そういう僕も普段ならブースターに恋愛感情なんて抱かない筈なのに、あまりの豹変ぶりにどぎまぎしていた。
 僕が呆気に取られている際に、ブースターがはむっ、と声を漏らしながら僕のモノを口内に納める。そして熱い舌を僕のモノへと巻き付いてくる。
 うわあ……。
 僕は声を上げて反応せざるを得なかった。ブースターに、僕のモノを弄られて感じてしまう。自分のポケモン相手なのにも関わらず。
 ブースターの攻撃は止まらない。モノの先端、裏筋の所次いで根元までモノの隅々を舌で舐めてくる。モノの袋までぐりぐりと前脚を押しつけて、僕に快感を与えてくる。対する僕は、ブースターの攻撃に抜け出せず、善がる事しか出来ない。
 一体何処でこんな卑しい技を身に着けたのか。僕はブースターをこんな淫らに育てた記憶なんて無い。
 今更考えても、現にブースターはそれをしているから、こんな風になってしまったのだろう。いくらトレーナーじゃなくても、ポケモンをきちんと世話出来ないとは未熟者過ぎる。
「……ひもちいぃ?」
 モノを咥えているから呂律が回らないブースター。恐らくは気持ち良いとでも言ったのだろう。
 でも頼むから、上目遣いに媚びるような口調で言うのは止めて欲しい。女性関係に縁が無い自分にとっては効果抜群なのだから。
 そして、快楽に囚われた僕は首をこくりと縦に振って気持ち良いよと伝えてしまうのであった。
 すると、ブースターは僕のモノを解放した。先程までは温かな口内にあったので、外気に晒されると冷たさがモノから伝達してくる。
 正直、この熱帯夜の所為で冷気なんて忘れかけていた。――あの彼女までも。
「じゃあもっと気持ち良く、もっと熱くさせてあげるね」
 忘却に拍車をかけるブースターからの甘い囁き。聞き入れてはいけない、脳裏ではそう理解してるも、身体は言う事を利かない。
 徐々に僕の身体を覆っていくブースター。そしてぴくりとも動かない自分の四肢。正に、来る者拒まずと言ったところだ。
 ブースターの前脚が僕の胸へと置かれた。ブースターの秘部に僕のモノが宛行われた。もう止めるなんて事は出来ない。
 ブースターに僕は見下ろされ、僕はブースターを見上げる。そこには本来あるべき人間とポケモンの主従関係は存在しなかった。
 ブースターの瞳には自分が映っているのであろう。しかしその奥には何を隠しているのか。
 嫉妬? 享楽? 怒り? 悲哀?
 どれを取るに越しても当てはまらない。否、それらが当てはまるなんて有り得ないのだと思う。無機質な宝石みたいに、ただ魅せているだけ。
「――じゃあ始めよっか」
 にこりと僕に取り繕った笑顔を魅せて、ブースターは腰をすとんと下ろした。
 その刹那、モノからは凄まじいくらいの熱が伝わる。モノがアイスキャンディーなら即刻溶けて無くなってしまいそうなくらい。いっそ溶けて消えた方が楽になれるかも知れない火がつくような熱さ。
「はあっ……ぁあっ……」
 ブースターは喘ぎ声を出して常に動き続ける。僕に快感を、燃えるような熱さを与える為に。絶えず膣できゅうきゅうと蠢く様に締め付けて。
 はあっ、はあ。
 それに対して僕も息を切らしながらも、それらを身を持って受け入れていく。熱い吐息を漏らし、火照ている身体を冷やそうと洪水みたいに汗水を垂らしながら。
 こっちは熱さの影響を直に受けているのに、ブースターは汗一滴すらかかない。炎タイプだから平気なのだろうけど、言い換えればブースターにとってこの営みは何にでもないのかも知れない。
 反対に僕は熱くて熱くて堪らなかった。それでも、熱さで狂ったのかブースターと身体を重ねるのを止めない。この熱を断ち切ろうとはしない。
 陽炎が立っているかに、僕の視界に入るブースターの輪郭がゆらゆらと定まらない。それでも彼女は燃える太陽の下よりこの暗闇の方が似合い過ぎていた――。
 幾度となく僕のモノを刺激された為に、僕もブースターに熱いものを与える刻が迫ってきた。今夜はこの熱源をぶちまけなければ寝れる気はしない。
「いぃ……いっちゃあ……」
 後ろ脚をぶるぶると震わせながらも、ブースターは上下に跳ねる運動を止めない、即ちぐちゅぐちゅっと猥褻な和音を響かせてながらもピストン運動は続いている。布団のシーツは滴る僕の汗やらブースターの愛液やらで濡れている。そして今は新たな染みを作ろうとしている。
 ブースターが大きい動作で腰を下ろした途端に、その時だけモーションが遅く見えた。ゆっくりとゆっくりとブースターの秘部が僕のモノを飲み込んだ瞬間に、
「ぁああああっっ……」
 ブースターの嬌声が耳だけでなく頭にまで響いた。それとほぼ同時に、僕も音にすらならない叫びをしていた。
「うぁっ……御主人の熱いものが沢山っ……」
 ブースターの中にどろどろとしていて熱をたっぷりと持った精液を発散して、僕の身体は満足だった。お陰で身体全体の熱が引いていく感覚がする。
 終いには僕の視界は段々と黒ずんでいく。お陰でブースターの姿を益々捉えられない。
 情事を終えた矢先に酷い眠気が襲われる。夢の世界へと溶け込むのか、それともこのまま熱中症で倒れてしまうのか。

 どちらにせよ僕の意識はぶつりと途切れるのであった。



「――おはよう、御主人」
 瞼を開けたら、先ず最初に視界を埋めたのはブースターの爽やかな笑みだった。
「うわあああぁっ!」
 余りにも唐突過ぎて僕は驚いてしまう。その叫び声を聞いたグレイシアは、
「朝から何叫んでるの……。ふはぁ……」
 眠たそうに欠伸をしながら起きるのであった。
「そんなに驚かなくてもいいのになあ……。だっていつもの事だよ?」
 ブースターは首を傾げながら僕に言ってくる。
 ――そう言われてみれば。
 確かにそうだった。几帳面に早起きするブースターは毎日僕を起こす。そして僕が朝御飯を作り終えた頃に、僕はグレイシアを起こす。別段変わった事は無い、平穏な日常だ。それなのに何故か。
「御免、こっちが悪かったね。……変な夢でも見たからかな」
「まあ、あんたらしいよね。夢なんかで驚くなんて」
「……じゃあ御主人がどんな夢を見たか教えてよ」
「それは――――」
 言い掛けた途端に、僕は言葉が詰まった。
 自分は何の夢を見たのだろうと疑問が浮き上がった。
 起きた直前まで夢の内容を覚えていた気はするのだが、ブースターに起こされてから内容の断片すら残っていない。驚くくらいだがら余程な夢を見たのに。
 必死に夢を思い出そうと試みるのだが一向に記憶が湧いてはこなかった。
 って、何だろう。この背中から伝わる変な感覚。

 手を背中にやって確認すると、普段ならあまりかかない寝汗が、寝間着やら布団のシーツを湿らせるくらいに滲み出ていた。


原稿用紙(20×20) 18.95 枚
総文字数 6201 文字
行数 132 行
台詞:地の文 516文字:5685文字


後書き
駄文を読んでいただき、誠に有難う御座いました。
今回は姉がメインでした。熱と冷の姉妹では余りにもブースターの扱いが中途半端でしたので、この駄文でグレイシアと釣り合う様にと。
駄文を書いた本当の意図は某スレの某レスを見たからだったり。


感想、コメントご自由にどうぞ


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Last-modified: 2010-10-23 (土) 00:00:00
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