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時渡りの英雄第19話:星の停止の真実・後編

/時渡りの英雄第19話:星の停止の真実・後編

時渡りの英雄
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280:本音 



「あっ、見えてきましたよ。あそこが高台へ通じる入り口です」
 壁や砦のように密集して樹木が生えそろう場所を指差して、シャロットは後ろを振り返る。
「時の回廊はあそこのダンのジョンを越えた先の……さらに上にあります」
「すぐに出発しよう」
 過去の世界に早いところ行きたいのか、それともヤミラミ達に追いつかれたくないのか、先を急ぐコリンの後ろを歩きながら、シャロットはシデンを突っついた。
「ねぇねぇ、ミツヤ。ちょっと内緒の話なんだけれど……コリンさんって実はすごくせっかちなの知ってた?
 急ぐのは分かるんだけれど、もうちょっとゆっくりしてくれた方が……私も嬉しいんだけれどなぁ」
「いや、仕方がないんじゃないかな。場合が場合だし」
 シデンは冷静に突っ込みを入れるが、シャロットは酒に酔っているかのように口が止まらない。
「いや、でもほらぁ……出来るだけ長い時間一緒に居たいし……」
 言うだけ言って、シャロットは口を押さえて顔を赤らめるが、もう遅い。
「あ、あーー……そ、そういう意味じゃないからね。私、特になんとも思っていないからね……ウフフ」
 シャロットが発した最後のウフフにいつもの切れはない。明らかに動揺したシャロットの振る舞いに、逆にシャロットがシデンに笑い返された。
 そんなガールズトークを尻目に、コリンはずんずんと先に進む。

 三人ですら、全く危なげなく今までのダンジョンを突破してきた集団である。コリンに負けるとも劣らない強さを誇るシャロットが加わり、無敵の行軍となって四人は進んだ。
 その際もコリンは、ロコンにドンメルクラッチ*1。リーフィアに前脚踏み四足歩行開脚極め。ボスゴドラに棘掴み首固めなど、ポケモンの体格差や体型を考慮したわけのわからない技をアグニへ見せ、そのたびにシデンは技の名前を呟いていた。
 そのやり取りを見ているうちにシャロットがコリンと同じく感じた違和感も確信に変わっていく。シデンは、コリンの技にことごとく見覚えがあるという自分の記憶にただただ混乱していた。

 そうしてダンジョンで歩いているうちに、ダンジョンの闇が傷の治癒を速めたことやシデンの願い事の力もあってかアグニの怪我もすっかり良くなっていて、糸を抜いて傷口も完全にふさがっている。
「ねぇ、コリン。さっき関節技を教えてくれるって言ったけれどさ、今オイラに教えてくれるかな?」
「わかった、いいだろう」
 コリンは、隣に並んでそんなことを頼んだアグニの頭に手を置いて、笑顔を投げかける。
「レントラーの遊牧民族は子供がある程度育つと、ダンジョンに連れ込んで弱った獲物で狩りの練習をさせると言うが……そういうのも悪くない」
 いうなりコリンは毒の目覚めるパワーを使い、ほどよくリーフィアを痛めつける。
 アグニは、それを練習台代りにコリンから宛がわれて、先ほどコリンが見せた前脚踏み四足開脚極めを喰らわしてやろうと、見よう見まねで構える。
 リーフィアは毒の目覚めるパワーで焼けただれた左半身が痛々しく、その怪我によって機動力も大きく下がっている。
 だとしても、関節技をきめるのは相手との技量が相当離れていたり、相当な練習を積まなければ出来ない。打撃攻撃や投げ技などを上手く交えて使う関節技にいきなり入るのは困難を極める。
 アグニの数回の失敗の後、リーフィアから宙返りから鋼の波導を尻尾に纏わせての殴打が繰り出された。しかしアグニは姿勢を低くしながら尻尾の根元、腰を狙って両掌を叩きつける。
 攻撃にも着地にも失敗して地面に落ちたリーフィアは右頬を地面にくっつけて横向きに寝転がる体勢を取っており、アグニは下になっている右前脚を踏みつけると同時に足で掴む。
 コリンも同じようなことが出来るのだが、足で物を掴むという動作で出来るポケモンは貴重で、他の数多のポケモンがただ踏みつけるだけよりも遥かに振り払うのは難しい。初心者のアグニには、このスキルが良いハンデだ。
 そこからリーフィアの左前脚を両腕で掴みとる。四足歩行型のポケモンの特徴の一つである、可動域の狭い肩を体の外側へ押し広げ、肩を外した。
「で、出来た……」
 関節を決めた感触の余韻にドギマギしながらアグニは今の感覚を反芻する。
「見事だな、アグニ。綺麗に決まったじゃないか。どうやれば敵の動きをとらえられるか、良く覚えておくんだぞ」
「う、うん……」
 満足そうな表情をしたコリンに褒められて、アグニは嬉しそうにはにかみながら頭を掻いた。

「まったくもう……コリンさんってば私を見て欲しいのに」
 シャロットがコリン達の後ろで微笑みながら肩をすくめる。僅かに嫉妬も混ざっているような口調だが、少し嬉しいとも感じているようではある。
「仕方ないよ。男の子は男の子で、異性を愛するのとは全く別次元で同性を愛するんだから。あ、でも……愛するって言ってもいやらしい意味では無いけれどね。
 なんにせよ、私は嬉しいけれどなぁ……これでアグニが自分から離れて行っちゃったら寂しいけれど、ただ単純に喜んでいるなら……ね。私の他にも気を許す人が出来るっていい事よね」
 ふふっとシデンが笑うと、シャロットもまた納得したのか同じように笑う。
「そういえば、ここから東に行くと、蓮の花が咲き誇る湿地帯があるのですよ……他にも、色んな所に沼地や湿地があって……昔は、綺麗だったそうなのですけれど……もし、過去の世界で見るようなことがあれば……楽しんで行ってくれませんか? 私の分まで……」
 どこか憂いを帯びたシャロットの表情をみて、シデンは首を傾げる。
「シャロットは過去の世界には行かないの?」
 仲間を次々と送り込んでいる様子でもないし、なぜコリンと一緒に行かないのか。記憶を失ったシデンにはわからなかった。
「行っちゃ……いけないんです」
 シデンの優しい言葉に、シャロットは鼻水を啜って言う。
「そっか、もったいないなぁ……過去の世界はいいところだよ?」
 優しいシデンは、コリンと同じく残酷なまでに悪意なくシャロットを誘う。
「いいんです……コリンさんが、救ってくれると信じてますので」
「なるほど。いつかは貴方もここで光ある世界を見られるってことか。その時まで、ここで待っているの?」
「そんなところです」
 儚く笑ってシャロットはそこで会話を切る。前方では、コリンとアグニがすっかり打ち解けながら技のご教授の真っ最中で、コリンと行動を共にしただけでアグニは見違えるほど技を吸収している。
 教える方も教えられる方も、それを見守る方も全員がなんとなく嬉しそうにダンジョンを突き進む勢いは、ダンジョンの『ヤセイ』程度では足止めにもならなかった。

 ◇

「目的地が見えてきましたよ」
 緩やかな傾斜をひたすら上がり続けたコリン達一行は、疲れもピークに達していたためにほっと一息をつく。
 コリンの身長四つ分ほどの崖のような窪みのに囲まれた荒れ地の空間に、ひっそりとそれは佇んでいる。時の歯車と同じ青緑色に光る神々しい扉。
 この闇の世界に在って、煌々と辺りを照らすその様は、彼らに神秘的以外の言葉で表現する方法をとれないほどだ。
「あれが……時の回廊なの? 歯車よりも……綺麗だ」
 アグニは、久しぶりに見た美しい光によって熱に浮かされたような目をしていた。過去の世界に戻れると聞けば、いまにも飛び込んでいきそうな危うさがある。
「そうだ。あれが時の回廊だ。あそこを使って俺は過去に行ったんだ。時の回廊を開けられるのはこの……セレビィ。シャロットだけなんだ。
 早速で悪いが、扉を開けてくれ」
 コリンがシャロットを見おろして語りかけ、シャロットが前に出る。一連の動作を見ながら過去の世界を心待ちにしていたアグニだが、その期待は見事にかき消された。
「まて、そこまでだ!!」
 太く、良く通る声であった。

281:絶体絶命 


「この声、まさか?」
 コリンが辺りを見回すと、虚空からうっすらと巨大な影が姿を現し、それがヨノワールを形作る。
「お前達、久しぶりだな」
 底なし沼のように重苦しい声。グレイルという偽名を名乗っていた頃の影すら見えないおぞましい声は、アグニとシデンの恐怖を否が応にも刺激する。
 みれば、周りの木々に隠れて居たヤミラミが六人躍り出てくる。
「ドゥーン……」
 コリンがありったけの敵意と憎しみをこめて、その名を呟いた。
「ドゥーン……」
 まだ、何かを認めたくないという風に、アグニが呟く。コリンの声色と違って頼りない。
「だいぶ逃げ回ったようだが……残念ながらそれももう終しまいだ」
 ドゥーンがくつくつとくぐもった笑い声を上げると、彼が連れていたヤミラミ達が物陰から躍り出て歓声を上げる。
「ふん、そう言うことかドゥーン。俺達をわざと泳がせて……シャロットまで捕えたかったってことか」
 憎しみを吐き捨てるように、コリンは断定する。
「えぇ!? じゃあオイラ達、ずっと後をつけられていたってこと?」
 アグニの言葉に、だろうな――と、唾を吐き捨てて、コリンは申し訳なさそうにため息をつく。

「こんなことになるとはな……悪いなシャロット。こんなドンパチに巻きこんで」
 ウフフ、と言う笑い声が微かに聞こえた。
「あら? 謝るなんてコリンさんらしくないですよ。それに私が捕まると思います? ウフフ……むしろ、ヨノワールをセレビィゴーレムの材料に加えられると思うと、血が滾るくらいですよ……おっと、今のは失言ですね。失言、失言……ウフフフフフ」
「そうか……」
 コリンは口元を歪めて不敵な笑みを浮かべる。またシャロットが猟奇的に戻っていることを気に留める余裕もないようだ。
「お前達、闘う準備は出来てるな?」
「うん」
「も、もちろん」
 シデンとアグニが同時に返事を返し、コリンは頷いた。
「お前ら二人でヤミラミ三人蹴散らし、俺がその間ドゥーンを食い止められさえすれば……シャロットの手でドゥーンを殺れる!! ここで決着をつけるぞ!!」
 三人が思い思いの返事をして、コリンに従う。それを見てうろたえるそぶりの一つも見せず、ドゥーンは嘲笑する。
「抵抗するのか? 無駄なことはやめろ……お前らに勝ち目はない」
「シャロットは、三十対一でお前らに勝ったそうだが?」
「そ、それは……ウィィィィ……むしろ六十人以上で挑んでも負けたし……」
 コリンが意地悪な言葉を投げかけると、ヤミラミ達は肩身を狭くしながら俯く。わかりやすい反応である。
「だからな……やってみなきゃ分からんさ。もちろん……ドゥーン、お前らが相手だからな。お前らが勝つことは否定しない……負けることだってあるだろうよ。だが、少なくとも、俺はお前に勝つつもりだ」
 ドゥーンの表情が冷たくなった。
「ここに来たのは私達だけだと思っているのか?」
 冷たい囁き。哀れむような、勝ち誇るような、嘲るような、言い聞かせるような。
 そのどれともとれる。感情にあふれた声かもしれない。そのどれともつかないから感情のない声かもしれない。
「なに……?」

「トキ様……」
 暗い、暗黒の世界にさらなる影が差された。暗くなる原因を作ったと思しき闇が形状を成したような渦は、時の回廊の奥、ひときわ高い崖の上に雄々しさと禍々しさを混然させて聳え立つ巨大な朱と紺の肉塊。
 ギャロップにも似た体形の巨躯を、所々が金属質の外郭がつつみ、体中のいたるところに禍々しい朱が彩る。
 胸には輝きを失うばかりか深紅に染まった金剛石をぶら下げ、その周りの空気は啼いているように五月蠅かった。
「あれは……何……? コリン……」
 アグニの声はどうしようもなく震えていた。足にも力は入らない。アグニは天地が引っくり返るような恐怖に一瞬意識が遠のき、腰を抜かして尻もちをつきながらその巨躯を指さし震えるだけしか出来ない。
「あれは闇のディアルガ……」
 コリンは立ち尽くしたまま握り拳をほどいて、だらりと腕をぶら下げる。完全に戦意を喪失した目で、目の前にあって決して手の届かない時の回廊をぼんやりと見た。
 それだけではない。ディアルガの周りには取り巻きなのか従僕なのか、それとも近衛兵か。ポリゴンZとキュウコンの二匹が控えている。
「あれが……あれが闇のディアルガなの? あれは何? 本当にオイラ達と同じポケモンなの?」
 地面を這ってすり寄ったアグニが、コリンの太く逞しい太ももを掴みこんで揺する。絶望に打ちひしがれながらコリンは、あぁ――と呟いた。
「私達が戦った……グラードンの幻とは……比べ物にならない。何、アレは?」
 シデンが、その威圧感に気圧されながら、後ずさりたい気分を必死に抑えている。
「どうしたコリン? さっきまでの威勢の良さはどこへ行ったのやら」
 さっきのセリフの続きのようにデゥーンの声は冷たい囁きだった。コリンは、悔しげに呻くだけで反論すらできない。
「コリンさん……」
 シャロットは声をかけ、コリンに触れてみる。コリンはシャロットを抱きしめると、啜り泣くようにしてしゃくり上げてからシャロットを開放する。その際シャロットは、コリンの背中にさりげなくヤドリギの種を張り付ける。
「もはや……ここまでだ……」
 コリンは言葉を噛み締める様にして涙を流す。
「戦うんじゃなかったの? 勝てないの?」
 少なくともまだ、立ちあがることすら満足に出来ていないアグニが言うセリフでは無いことなど、本人は気付くことも考えることもせずに、アグニがコリンにすがる。
「無理だ……ドゥーン達だけならばともかく……トキ達が相手では、とても敵わない。お前達もよく頑張ってきたが……」
 コリンの涙がアグニの顔面を濡らし、初めてアグニはコリンが泣いていることを知る。自嘲したコリンの笑い声が悲しく崖に響く。
「すまないな。ここで終わりだ」

282:諦観 


 コリンはその場に座り込んで顔を伏せる。
「そ、そんな……」
 頼れるコリンが諦観することで、アグニは頼れる者を無意識に探す。だが、この場に親方も先輩もいるはずがない。
 頭を押さえてガクガクと震えることが、アグニに出来る唯一の行為であった。
「降参だ、ドゥーン……好きにしろ。ひと思いに時の咆哮でも何でもやってくれ」
「コリンさん!」
 シャロットが悲痛な叫びを上げる。再びコリンに触れた。
「どうしたコリン? お前にしてはやけに諦めが早いじゃないか」
「ふふ……まぁな。確かに俺は諦めたが……しかし、まだ希望はある。なぁ、シャロット? あの時星の停止を食い止めるために過去へ行ったのは……俺だけじゃない、もう一人いる」
「オイラ達の世界に行ったのはコリン一人だけじゃなかったの!?」
 静寂な場の雰囲気を読まない、大げさな声でアグニが驚き、次の瞬間にはまた静かになる。
「そうだ、俺には……昔親代わりだった相棒がいたって言ったろう? 俺とそいつで過去に向かったのだ。ただ、時の回廊を通っている時にトラブルがあり……俺達は互いにはぐれてしまったのだ。
 だが、あいつはまだ過去の世界に居るはず。だから俺がいなくてもあいつがきっと俺の代わりに使命を果たし……星の停止を食い止めてくれるに違いない」
(まぁ、その相棒は今ここにいるミツヤ……だがな)
 コリンの残された希望を嘲るように、ドゥーンが声を押し殺して笑う。

「何がおかしい?」
「お前の他にも過去に渡った奴がいるというが……そいつの名前は何だ?」
 ドゥーンのひねくれた笑い声が、ひたすら不快だった。
「それを聞いてどうする?」
 いらだたしげに質問を質問で返す。
「質問に質問で返すのは感心しないな。私はお前の口から聞きたいだけだ」
 しっかりそのことを指摘して、ククク――と、小さく笑う。
「忘れたのか、ドゥーン? 老化が進んでいるんじゃないのか……名前は、シデン。俺の親代わりにして親友――最高のパートナーだ」
 勝ち誇ったように言いきったコリンの後ろで、シデンとアグニが驚き、前ではドゥーンが高らかに笑い声をあげている。
「なんだって……? コリン、ここに居るのがシデン……ミツヤイン=シデンだよ?」
 アグニが驚愕しながらシデンを指差した
「私が……コリンの……?」
「なんだって!?」
 さも、初耳と言った風にコリンがうろたえる。いや、実際に初耳だが、そんなことはすでに感づいている。
「お前がシデンだと? いや、違う。俺の知っているシデンはポケモンじゃない。俺が知っているシデンは……人間なんだ」
「人間……私は……人…間? それはそれとして……やっぱり、コリンの……」
 シデンは頭を押さえてうわ言のように呟く。焦点もピントもあっていない目は光だけをとらえるばかりで何も見えていない。
 耳障りなドゥーンの勝ち誇った笑い声が遠い。三者三様の反応は面白いほどに個性的で、その個性に埋もれたシャロットを見る者はいない。
「その通りだコリンよ。そこに居るのは、シデンに間違いない。そいつはもともと人間だったのだ!」
「な、何だと?」
「トキ様が我々に与えた使命……それは過去に行ったコリンとシデンを消すことだった。だから私はお前ら二人を追ってタイムスリップしたのだ。
 過去の世界に行った私は情報を集め信用を高めつつ、お前達を探していた……そして、ある時ディスカベラー……こいつらの探検隊チームに出会った。
 そして、親しくなるうちにこいつは私に……時空の叫びの能力も、本名のフルネームも、自分が元人間であったことも暴露した。
 色々あって、時空の叫びの能力とフルネームを聞いたその時私は確信したよ……このピカチュウこそ、私が追っていたシデンであることをな。ポケモンになってしまったのは、恐らくタイムスリップ中の事故か何かでそうなったのだろう。魂が器を鞍替えする例などいくらでもある」
 ククク……と笑いを漏らし、ドゥーンは続ける。その陰で、コリンも笑っていた。
(語るに落ちてるよドゥーン。過去にはまだチャームズと、MADと、フレイムがいる……奴らほどの実力ならば、きっと仕事を終えてくれるはずさ)

「とにかく、シデンが記憶を失っていたのはラッキーだったよ。私を見ても本性など皆目見当もつかないわけだからな。
 こいつらをこのまま信用させておけば、いつでも未来に連れていけるからな」
 再び、耳障りな笑い声に当たりが包まれる。
「ううっ……ドゥーンさんはやっぱり……」
 アグニの尻で燃え盛る炎から陽炎が立ち上る。涙を涸らしたアグニの顔にはやり場のない怒りが火種として燃え盛る時を待ち続けている。
「シデン達の処遇が決定した後は、コリン。貴様さえ何とかすればよかったのだ……コリンとシデンは今ここに居る。パートナーも一緒なら全員寂しくなかろう。
 お前達の儚い希望も含めて……これで、すべてが終わる」
(まだだ……まだ時間を稼げる)
 コリンは口にせずにただひたすら待つ。
「糞がぁ!!」
 そこで、後ろから放たれた獣の咆哮に、コリンとシデンは一瞬身をすくめた。
「ここまで……ここまで、誰かを殴りたいって思ったのは……」
 見れば、小便を漏らしてなお全く動じることなしに、アグニは笑っている。怒っているのか怖いのか、それとも楽しいのか。ぐちゃぐちゃになった感情を整理することもなしに、アグニが独り言を肩を震わせ、その怒髪が天を突く。

「ヨノワール……ドゥーン=ヨノワール!! お前は……オイラの敵だ!!」
 アグニは、両手から火柱をあげ、臨戦態勢をとる。
「死ぬ覚悟が出来ていないのが一人いるようだな……まぁいい」
 唇をまくり上げるようにして牙をむき、完全な威嚇の表情を取ってからアグニはドゥーンへ襲いかかる。

283:決死 


「ウィッ!!」
 ドゥーンに手を出させてなるものかとヤミラミがアグニの前に立ちふさがるが、アグニは燃える拳でヤミラミの顔面を叩き潰す。一瞬で眼球、鼻、口すら焼けただれて使い物にならなくなる高熱でヤミラミの顔面を焼き、地面に四つん這いで崩れ落ちたヤミラミの後頭部を燃える足で踏みつぶし、踏み壊し、踏み砕き、頭蓋ごと粉砕した。
「今のオイラは気が立っているんだ……死ぬ覚悟が出来ている奴から来い!!」
 アグニが勇ましく吠えながらヤミラミを踏んでいる間にもドゥーンが接近する。
「テメェもだぁっ!!」
 ドゥーンの接近をきちんと察知して、迎撃すべくアグニが咆哮を上げて振った拳は、先端から空間が歪んだと誤認させるほど濃い陽炎の軌跡が残る高温を帯びている。直視するだけで顔が熱くなるようなアグニの右拳が、一直線にドゥーンの腹へと見舞われる。
「あれは……なんだあれは? フレアドライブですらない。なんだあの技……アグニ……あいつ、いったいどういう修行して……」
 コリンが目を皿にしてアグニを見ていた。アグニは、毎日のように海岸で走り込みをしていたせいか基礎体力だけはすさまじく高く、それがこの技の使用を可能にさせている。標的となったドゥーンはアグニの腕より遥かに長い腕でアグニの肘の辺りを掴みとろうとして、その腕はアグニの灼熱の左肘で撥ね上げられた。
「ぶっ殺す!!」
 予想外に鋭いアグニの動き、高すぎる炎の温度にドゥーンは感嘆の声すら上げる暇もない。狙いを誤ることなくアグニの手刀がドゥーンの腹にある口へ叩きこまれ、アグニはそれを手がかりに跳躍。
 燃え盛る手でドゥーンの肩周りの襟のような装飾をがっちりと挟み込み、膝まで炎がカバーするブレイズキックで右の襟のような装飾に跳び膝蹴りをかます。
「死ね!!」
 膝がめり込む時に、ずぶり――と骨が折れる様な嫌な音がアグニの耳に伝わり、しかしその音をもう一度聞こうと足を戻す前に、ドゥーンの右手でアグニの左足が掴みとられた。
 しかし、掴んだ傍から手の平が焼け爛れる。溶けた皮膚がずるりと滑ってアグニの足はドゥーンの手からすり抜ける。少しでも急所への攻撃を防ごうと、アグニの体を払ったドゥーンの右腕を、嘲笑うようにアグニの炎は焼き払う。しかし、こればかりはアグニが力負けした。
 ドゥーンの襟巻きを掴んでいたアグニの右腕は滑り、ドゥーンが払った腕により地面に叩きつけられた。ドゥーンの両腕はもはや攻撃出来るような状態ではないが、それでも攻撃できるか所があればやってやると、ドゥーンは影討ちでアグニを攻撃する。
 毬が弾むように跳ね起きたアグニは、影を通して本体を攻撃する影討ちを喰らっても歯を食いしばって耐え、再度爪を立てて突撃する。そこに、闇のディアルガの近衛兵のキュウコンがアグニの足に噛みついた。
 いかなる高温の炎を以ってしても、貰い火の特性を持つキュウコンの口を焼くことは出来ず、噛みつかれた牙を振り払うことは容易ではない。転んだアグニをドゥーンが追撃し、アグニが呼吸することすら苦とするようになるまでは、一瞬だった。
 ドゥーンはダメージで動けなくなったアグニをサイコキネシスでコリン達のところに投げ渡し、ほっと息をついた。
「大丈夫ですか……ドゥーンさん?」
 アグニに噛みついたキュウコンがドゥーンを見上げ尋ねる。
「ひどい火傷を負ったが何とかな……さぁ、馬鹿の始末は済んだ」
 余裕ぶってはいるが、アグニの攻撃は非常に強いダメージを与えたようで、彼の体の火傷はひどいものだ。明らかに攻撃力も低下しているであろうが、強がりもあっぱれなものである。
「コリンどもは弱ったふりして油断を誘うつもりかも知れないがな。もしお前がそんなことを最後の望みとしていたならば……それすらも消し去られてしまえばいい。念には念だ……トキ様、改めて貴方の咆哮で全てを終わらせて下さい」
 地面に力強く叩きつけられ、呼吸すらままならないアグニは、呼吸するたびに喘息の患者のようなヒューヒューと言う奇音を発している。
 そのアグニの体をそっと抱きしめたコリンが聞いたのは、まだ諦めていないアグニの声だった。
「時渡り……だ。時渡りで奴らの目を欺いて……小さな時渡りならできるんでしょ? 過去にでも何でも戻って、あいつらが来る前に回廊に入れば……」
「ふっ……」
 コリンは、アグニの耳元で笑った。
(驚いた。まだ時渡りがどんなものかと言うのも知らない癖に。アグニ……馬鹿なのかお前は? 大体、ディアルガがいるこの状況では時渡りをしたところで簡単にそれを破られてしまう事だろう。ま、それは時渡りというものがどんなものだか知らないのだから仕方がない)
「最初からそのつもりだよ……アグニ」
 コリンは、アグニを小声でねぎらい、ディアルガから放たれようとしている時の咆哮を見た。

 ディアルガとの距離は遠いが、時の咆哮はチャージから発射まで非常に短い。それに加えて攻撃範囲は広く、破壊力は破壊光線に勝るとも劣らない威力。それがディアルガの口から放たれる威力だなんて想像したくもない。
(時の咆哮は強力な技だから、生半可なことじゃ防げないのはわかっている。それでも……シャロットの瞑想によって練りに練った草の奔流と、シャロットに触れられた時、俺に取り付けられた二つのヤドリギの種で生命力を削られた、俺の深緑状態における草の奔流があれば……
 作戦は、一方的に伝えただけだけれど、シャロットは理解してくれたようだ。ただ……『時の咆哮を誘う。リーフストームで迎え撃つ』とだけしか言っていない作戦を伝えるために俺が抱きついていた時、俺の背中にヤドリギの種を張り付けて、深緑の特性を強制発動させて強化するのはどうなんだシャロット?
 まぁ、いい……多分声は聞こえてすらいなかっただろうけれど、耳打ちしていなかったミツヤも口の動きだけで、理解してくれたようだ。おそらく具体的な指示は分かっていないだろうけれど)
 ディアルガの口から咆哮が放たれる。時の方向には拡散型と集中型の二種類があって、拡散型でさえ全身が耳になった状態で、至近距離でドゴームの声を聞くような攻撃だという。
 なら、今のように前方集中型ならば、耳元でバクオングの声を聞くようなものだろうか? それほどの圧力が前方から迫ってくるのを感じ、コリンは叫ぶ。
「リーフストーム!!」
 コリンとシャロットが技名を叫び、タイミングを合わせる。シデンは、皆の前に光の壁を張り、時の咆哮の余波をも防ぐ準備をしていた。シデンの中に人間だった頃の記憶が戻っている訳ではないが、シャロットのサポートのために時間を稼ぐ癖を体が覚えていた。
 だから、作戦を半分以上理解してくれたのだろう。

 前に出ていた三人は申し訳程度に傷を負ったが、それだけだ。そのまま硬直したディアルガを直視するくらいの余裕が出来た。
(なんだ、これなら時間稼ぎのアグニは必要なかったかもな……でも、上出来だぞ、アグニ。少し見直した)
 コリンはアグニへほほ笑んだ。
「シャロット、時渡りだ!!」
 まさか、万全を期してトキに最強の必殺技を放たせたことが裏目に出るとは思っていなかったのだろう。時の咆哮を全力で押し返したことで、時の咆哮は弾き飛ばされ、相殺された。
 ドゥーン達はあっけにとられながらシャロットの方へ距離を詰めたが、それはもう遅い。コリン達の姿が消えたと思えば、次の瞬間にははるか後方。時の回廊の目と鼻の先に四人がいた。
(ミツヤがシデンだなんて途中から分かっていた。ただ、あらゆる状況を想定して時間稼ぎのネタを増やしておきたかっただけだ……それに、もし死んでもチャームズ達から目を逸らしてもらうためのフリでもあったが……
 だがまさか、時間稼ぎがあそこまでうまくいくとは予想外だったけれどな……ドゥーンめ、油断したな)
「さぁ、時の回廊は……過去は目の前だ、アグニ」
 薄れゆく意識の中で、アグニは自分を抱きしめるコリンの声を聞き、変温ポケモンの冷たい腕の中でなぜか暖かくなるのを感じた。
「今、跳びこめば間に合うわ。さぁ、時の回廊に、早く!!」
 シャロットが急かすと、アグニが意識を失う前に最後の力を振りしぼって尋ねる。
「シャ、シャロットは……?」
「私なら大丈夫! 絶対に捕まらないっていったでしょ? 私はみんなを生かすのは無理だけれど……私一人だけ生き残る手段なら持っているから大丈夫。必ず、星の停止を……歴史を変えてね」
「ありがとう、シャロット……」
 安心したのか、そう言って気が抜けたアグニは気を失ってコリンの腕の中で尻の炎を消した。
 三人は、過去の世界へと時を超える。

284:自分一人だけが生き残る手段 


(あぁ、あの時と同じ。触れられる距離に居ながら一切触れることはかなわないのですね……私がそう選んだとはいえ、辛いなぁ……)
 シャロットを見つめたまま、時の回廊へと落ちるようにして飛び込んで行った三人を見て、シャロットは瞼の裏が熱くなるのを感じる。
 物語は、彼女の手を離れようとしていた。
「さようなら」
(なんだ、コリンさん。貴方達……まるで親子みたいに仲がいいじゃない。あのアグニを見るコリンさんの目……嫉妬しちゃいますわ)
「私達の勝ちですね……」
 ドゥーン達に囲まれたまま力なくシャロットは言った。
 ディアルガがこの場にいる以上、シャロットがやるべきことは決まっている。

(コリンさんについていけば、あるいは楽しく生きられたのにね。私ってホント馬鹿。でも、いいんだ……過去の世界で目的を忘れて、コリンさんと幸せな生活を過ごしながら、星の停止を迎えるようなことになるのは……きっととっても幸せな生活なんでしょうけれど、それはダメ。
 コリンの夢を邪魔するくらいなら、ここで死んでやる。結局、私は最後までコリンに好かれもしなければ嫌われもしないで死んでしまうのね。いっそのこと、嫌われてしまえば生に執着する意味なんて完全に潰えたのに……生きててよかったなんて思われずに済むのに。
 でも、コリンさんはいい人だから嫌いになってはくれなかった。まったく、最後までいい人なんだから……誰かに生きていてほしいなんて思われたら、死にたくなくなるのに……だから、貴方に嫌われて、死にたかったのに。それすらも許してくれない……でも、貴方が好きですよ……コリンさん。私が、父さん以外に唯一体を許した貴方が……大好きです)
「今日は、死ぬにはいい日ね」
(これはとあるネイティオの部族の言葉だったっけか……これ。何だか上手く的を射ているわね。
 そう、コリンさんがいなくなってもう二度と会う事もないのなら、死ぬにはいい日だ……流石にまたコリンさんがこの世界に来る事は無いでしょうしね。
 私の生きる希望は今度こそすべて断たれた。願わくばトキ、……この抜け殻となった、死に損ないの私を壊してほしいですわ。
 それは、前回コリンさんを見送った時から思い続けて叶わなかったことだから……ここで全部終わらせられれば、それはとっても嬉しいなって)
「お初にお目にかかります」
 上を見上げてシャロットが恭しく挨拶をする。
「貴方が屠鬼(トキ)=伐折羅(ばさら)=ディアルガね……父親からずっと名前だけ聞かされていた私の敵……ずっと会いたかった。貴方への憎しみにまみれ、恋焦がれていた……」
(あぁ、敵わない恋心を抱えた死に損ないの私は、ここでようやく死ねるのね。みんな殺せるのね……修羅の道を歩いてきた私だけれど……あぁ、なんて、幸せ)
「さぁ、ついてきて、王子様。舞踏会の準備は整っていますわ」
 シャロットは気が触れたかのように恍惚とした表情で振舞う。闇のディアルガこと、トキが攻撃をしたところで、シャロットは再び小さな時渡り。時渡りは先ほどと同じくすぐにトキによって破られたが、包囲網を突破した状態で彼女は一目散に逃げる。
「グルアァァァァァ……」


 もはや単純な思考しか残されていないのであろう、シャロットはトキにわざと追いつけるくらいの速さでダンジョンの台風の目へとナビゲート。
「お、お待ちくださいトキ様!! 危険です」
「トキ様!! シャロットの恐ろしさは重々お伝えしたでしょうに」
 と言うドゥーンとキュウコンの声もまるで無視して、トキはシャロットをひたすら追う。シャロットはダンジョンの中心部、台風の目を抜けてダンジョンの外へ逃げ、自身の要塞と化した森まで案内した。
 追いかけっこの最中、シャロットは仕掛けた罠を次々に起動させる。後ろからの追撃は的確に避けながら、自作の設置式クロスボウを起動させては、返しのついた矢じりを数十本トキの体に突きさし、ディアルガをまるでサンドパンかサボネアに変える。
 そんな傷をモノともせずにトキが傷が抉れることを覚悟でシャロットを追う。しかし、シャロットが操る武器は当然弓矢のみならず、時間を止めてしまった熱した油の時間を復活させては、トキにぶっかけた挙句、炎タイプの目覚めるパワーで着火、炎上させる。
 それによって出来た傷や火傷を、彼は胸に輝く巨大なダイヤモンドの禍々しい赤い光を消費して、自身の時を戻しては怪我を治癒させている。しかし、治しても治してもシャロットの激しい攻撃で怪我は増えるばかりだ。
 シャロットが作ったクロスボウの数は数えるのも馬鹿らしい数。そして、衝撃を与えると爆発する爆裂の種を目算で数千個はくだらない数で雨あられと降らせては、内臓まで爆ぜるような大量の爆発。探検隊が使う際は一個ずつ、目くらましや牽制に使う程度だが、数千の単位でぶつけられればその威力は果てしない。
 喰らえばいかなる巨体でも数秒命を保っていられるかという重傷を負ってなお、トキは時間を戻し傷を癒してシャロットを追う。
「自然の法則を乱して……そうまでして、貴方は私を倒したいの?」
ただでさえドゥーンでは追いつけない速度で、罠だらけのこの森を部下が追い付けない速度でひた走る。
「いいわ。もっと、踊ってあげる」

 シャロットは、わざと追い詰められたような形をとったところで、黒の森に保管しておいた巨大な草の彫像に触れる。巨大な草の彫像は、シャロットに触れられた瞬間に時間が流れる状態に戻り、深緑をした草の色を取り戻す。
 ダンジョンで入手したわずかな草をより集めて作ったそれの中には、瀕死のまま心身、そして魂までも衰弱して時を止めた数十の人柱(ひとばしら)。本来はシャロット自身の生命力を利用して起動するセレビィゴーレムと呼ばれる戦闘用の草の鎧だが、その人柱に全てのエネルギーをまかなわせることで、シャロットは自身の生命力を消費せずにセレビィゴーレムを動かし続けるのである。外道な戦法かもしれないが、それが彼女にとって最も確実にディアルガを殺すための策。
 そして、十数体用意したセレビィゴーレムの中には、それぞれ調達してきた『ヤセイ』のヌケニンと、エネコロロと、トレースの特性を持つなにがしかのポケモン。
 用意するのは楽ではなかったが、時計の針を信じるならばゆうに数ヶ月にあたる時間の猶予があれば、それほど苦しいことでもない。お得意の悪巧みを積んでから生命力を奪うギガドレインで、休みを極限まで減らして戦い続ける彼女ならばなおさらである。
 そうして集めた人柱のうち、まずはエネコロロのノーマルスキンをスキルスワップ。シャロットは振り返ればそこにいるディアルガに向かって、さらにそのノーマルスキンをスワップした。

「これでもう、貴方はノーマルタイプの技しか使えない……これで、長くダンスを楽しめるわね」
 と、シャロットが宣言したところで、ディアルガは龍の波導を放つ。小型のポケモンならば軽く跡形もなくなるであろう威力だが、幾重にも草を編み重ねられた草の鎧はそんなことでは屈しない。表面が削れたくらいで、内部にいるシャロットは全くの無傷。
 そして、さらにシャロットはキルリアのトレースの特性をスワップする。そのトレースの特性をスワップしたうえで、誰かの特性をトレースするわけであるが、そのトレースする対象はもちろんヌケニン。
 キルリアもエネコロロもヤドリギの種で瀕死の重体に追い込まれているが、ヌケニンだけはただ縛り付けているだけ。彼の特殊が生態がかかわっているためヤドリギの種を使うと一瞬で死んでしまうし、どうせ生命力を吸い取ってもスズメの涙にもならないのだ。
 だが、こうして不思議な守りをトレースした以上は用済み。シャロットはシャドーボールでヌケニンにとどめを刺すと、シャロットを肉片にしようと強力な一撃をチャージするディアルガを振り返る。奴が放とうとしているのは時の咆哮だ。
 しかし――
「無駄よ」
 震えている上に、変に上ずった声でシャロットは言う。その言葉など意にも介さずにトキは時の咆哮を放つが、果たしてそれは本当に無駄であった。周りの木々はなぎ倒され、折れた幹を無残にさらしているが、肝心のシャロットは無傷もいいところ。
「うふふ……無傷だ。周りの木々が消滅するくらい強い威力なのに、無傷だ。私だけ無傷だ……怪我するのは貴方だけ……でも、寂しい思いはさせない。私も心に深い傷を負っているから、お揃いだから……」
 狂ったように笑いながら、シャロットはまず挑発代わりにセレビィゴーレムで襲い掛かる。
「寂しくないでしょう? だから、私と一緒に、死にたくなるまで死んで……トキ」
 ディアルガの身の丈を越える禍々しい翼の生えた草の彫像は、大木の如き巨大な腕で以ってトキの顔を叩き伏せる。

285:等活地獄 


 メキメキと、骨が折れる嫌な音。それと同時に、取り付けるのは狙いの的。
 草タイプのポケモンをヤドリギの種で吸いつくしたり、鋼タイプのポケモンを毒に侵すことも出来るその道具を殴打と同時に敵の背中に取り付ける。顔が振り子のように揺れたディアルガが態勢を整えないうちにシャロットは大量の毒ポケモンから集めた毒を袋詰めにしたものをディアルガにぶちまけ、ここぞとばかりに毒に侵す。
「悲しくって……死を望むような絶望の中で……」
 殴られた際に歯を根こそぎ折り取られ、血を吐き捨てて向かってきたトキに対し、シャロットはヤドリギの種を張り付ける。
「そんな絶望の中でも、まだ生きていた私を理解してください。貴方も、痛みを感じて……私の死にたい気持ちを理解して」
 それが終わればセレビィゴーレムを用いて殴る、殴る、さらに殴る。まるで子供の喧嘩のように無様で不格好で無骨な戦いだが、やられるトキはたまったものではない。一撃ごとに頭を揺らされ、見える景色は無数の線ばかり。
「コリンさんには理解してほしくなかったこの私を理解して……うふふふっ……ふ・ふ・ふふふ……」
 そうして殴られている間、本来ならば何度ディアルガは死んでいたであろう。彼は、胸に輝く巨大なダイヤモンドの赤い光を消費して、トキは自身の時間を戻しては怪我を治癒させている。
「貴方は、歴史の改変を防ごうとした立派な人だけれど……」
 シャロットは回復を始めるトキに対し、回復封じを発動させる。しかし、期待を大きく裏切ってその効果は全くない。恐らくは、ディアルガが傷を癒しているのではなく、傷を負っていない状態まで時間を戻しているから、回復封じではその効力を封じることが出来ないのであろう。
「たとえ立派な人であろうと、その過程で色々苦しんだんでしょう? そして今も苦しんでいるんでしょう? 私にはわかるの……」
 シャロットは適当に出まかせをばら撒きながら、とにかくトキを殺しにかかる。何度も致命傷の怪我を負わせる。しかし、回復する。しかし、治しても治しても再び、みたび、致命傷を与える。
 まるで終わることの無い等活地獄のような仕打ち受けて、なおもトキの目は死んでいない。胸の紅い輝きもまだまだ余裕がある。そうこうして遊んでいるうちにたどり着いたキュウコンとポリゴンZの従僕のうち、ポリゴンZが拘り眼鏡を着用して放った破壊光線はシャロットを素通り。キュウコンの大文字はセレビィゴーレムの表層を燃やしはしたが、内部まで熱が届くこともなく、二人とも虫のように叩き潰され息絶える。
「あぁ……殺しちゃった。また殺しちゃった……辛くて悲しい」
 シャロットはどうにもわざとらしい言葉を吐き出し、くつくつとくぐもった笑いを漏らした。
「星の調査団を殺す命令を下す時、きっとあなたも悲しかったんだよね……私も、貴方の部下を殺す時に辛かったの……
 その辛さ、貴方はもっと理解してくれるの? だから私と踊ってくれるの? もっともっと、殺される辛さを味わってくれるの……? あぁ、さすが、私が……恋した人」
 やがて、回復してはぶん殴るという行為を続けていくうちに激しい運動の代償でセレビィゴーレムの中にある人柱が全てミイラのようになって干からびていた。
「貴方がそんなに私に応えてくれるならば……私も、私も……狂うまで踊りましょう。無間地獄の中で、阿鼻叫喚の歌を歌いましょう」
 まだセレビィゴーレムの内部にある人柱は十数秒は持ちそうな気配だが、ドゥーンはその巨体ゆえか弓矢の罠にかかったらしく、痛々しく突き刺さった矢傷を抱えながらもようやく追いついてくる。相手をするのも面倒だからとシャロットはセレビィ―ゴーレムを捨てて森の奥へと逃げ込んだ。
「私も、貴方の部下を殺す時、ずっと辛かったから……貴方も、理解できるでしょう? もっと、語り合いたいならついてきて……こっちに、苦痛を用意してあるから」
 シャロットが手招きをする。ドゥーンが遠くから走って来るが、空を駆けるセレビィと巨体ゆえの大きな歩幅を持つディアルガの歩みに鈍重なヨノワールがついてこれるはずもなく。
「トキ様!! 無理です……シャロットはこの森の外でないと倒せません……くっそ」
 やっと追いついたと思ったところで、彼は引き離され、悪態をつくことしか出来なかった。


 まだまだ森には罠が満載だ。クロスボウの罠で敵の余力を地道に削るのは基本中の基本。加えて、巨大な岩や大木の杭を上空からサイコキネシスで落とす途中で硬直させたものもあり、止まった時間を元に戻すと、時間を停止したその時の勢いそのままで落ちてゆく。
 時間をかけて用意した巨大な質量と目にもとまらぬ速さを兼ね合わせた杭は、下を走っていたトキの脊髄を枯れた葦のように容易く折った。
 そのままトキが巨体を倒したところで、シャロットは日本晴れ。森の木々の根元に隠しておいた油壺を発掘して、その油を全て振りかけるとともに、ディアルガを焼き尽くす。今度は脊髄を損傷して動くことすらできない状況で、日本晴れ状態と言う炎に有利な状況での放火である。
「さぁ、饒骨髄虫処(にょうこつずいちゅうしょ)に喘ぎなさい」
 燃え上がった油は日本晴れの力を受けて激しく燃え上がり、景色が陽炎で歪む。いかに傷を癒すことのできるディアルガであろうとこれには参ったようでなかなか立ち上がることが出来なかった。
 ふと見れば胸のダイヤモンドも赤い輝きをだいぶを失っており、今や赤い光も弱々しい。それでも、敵はあきらめない。トキは立ち上がり、シャロットを追う。
 ディアルガの再生能力は便利なもので、胸の輝き以外のすべてが万全の状態に戻っている。それはつまり、疲れることなく走ることが出来、それが加勢しようと必死で追いかけるドゥーンが決して追いつくことも出来ない速度になり、弊害を生んでいる。
 追いかけるたびに、部下はトラバサミや落とし穴などの罠を警戒せねばならないのだから大変なもので、それらを気にしないドゥーンでさえも、繊維下体を切り裂かれそうになったり、矢傷を受けたりと散々である。

 そうしてシャロットが逃げ去った先に用意していた二体目のセレビィゴーレムで、シャロットは再びトキを滅多打ちにする。こうまでして、勝ち目はほぼないとわかっていても向ってくるのは、やはりディアルガが完全に心を闇に呑まれてしまった影響なのかもしれない。
 トキの中にあるのは『歴史の改変を防ぐこと』のみ。トキには打算も恐怖も何もなく、ただ危険因子である目の前のセレビィを殺すだけしか頭にない。シャロットはそれを理解して、狙いの的で毒を通じるようにしてから猛毒を被せ、数多(あまた)の罠で圧倒する。
 それでも勝てないのは予想外だが、時の胸には確実にダメージが蓄積している。だから勝てるという確信があった。
「長いこと、お話しましたが……そろそろ一緒に死にましょうよ……貴方も、歴史を変えてはいけないなんて重荷から解放されて」
 枯れた声でも、虚勢を口に出してみたらシャロットは胸に渦巻くわだかまりが取れていくのを感じる。
「この死に損ないを殺してちょうだいよ……私は貴方を殺すから」
 恍惚の笑みを浮かべて宣言すると、シャロットは草の鎧の拳にあたる部分を杭のように尖らせ、トキの開いた口を穿つ。そのまま引き抜くこともなく、頭を地面に叩きつける。何度も、何度も、何度も。そして草の鎧は血を養分に成長しながら体内に枝葉や根っこを突き刺し、食道を、気管を、肺を、胃袋を、ズタズタに引き裂いて他の臓物までハチの巣にしてやろうとばかりに文字通り突き進む。
「さぁ、殺して!」
 弱点の(と言っても普通は誰でも弱点だが)心臓まで貫けば、時を操る力も無くなるだろうと、そのまま心臓まで棘を抉りこませるべく、シャロットは力を込める。
「殺してみなさいよ……私を殺しなさいよ……なんでそれくらい出来ないの?」
 その間にも、トキの胸のダイヤは光を失い、ついにヒビが入る。シャロットの顔が勝利を確信して歪む。

286:執念 


 ドゥーンは自身の体を影にすることで、壁すらも通り抜け自由に移動することが可能である。それは思い切り体力を消費するのみならず、結界などが張られた場所では体力どころか命そのものも危ないために多用も出来ない。シャロットがセレビィゴーレム内に結界を張っていないかとひやひやしながら、矢を強引に抜き取ったドゥーンは影となる。
 そうすることで、背後から忍び寄ってセレビィ―ゴーレムの内部にまで侵入した。当然、その分かなりの力を消費したのだが、彼は猛撃の種と呼ばれる道具を用い、一種のドーピングをして疲れを感じずにここまで来た。
 普通ならばもう体が動かなくなっているところだが、ドゥーンは最後の力を振り絞ってシャロットの頭蓋を鷲掴みにし、規格外の握力で以って握りつぶしながらのナックルアロー。
 弓引く動作を伴った隙だらけなパンチだが、頭を鷲掴みにされて逃げられ無い上に、不思議な守りを打ち破る霊の波導を伴ったシャドーパンチ。
「きゃっ……」
 後頭部にそれをまともに受けたシャロットの被害は甚大だ。頭が割れるような激痛に目を白黒させながら、シャロットは背後のドゥーンに向かって草の奔流(リーフストーム)を放つ。
「ぐあぅっ!!」
 リーフストームを至近距離で喰らい、ドゥーンが呻く。顔面だけは何とか庇ったものの、腕はズタズタに切り刻まれて血が爆ぜるようにセレビィゴーレムの前に飛んでいる。
「邪魔するんじゃ――」
 悪巧みによって強化されたその草の奔流(リーフストーム)で、彼女は何とかドゥーンの握力から逃れた。
「――ねぇ!!」
 シャロットがそうして叫ぶなり、顔面を腕でカバーしてなんとか耐え凌いだドゥーンを睨みつける。
「お前に殺されても意味がないの……貴方はただの傀儡(かいらい)じゃない」
 シャロットはセレビィゴーレムを乗り捨てるとともに、草の鎧に内部の人柱ごとドゥーンを押しつぶさせる。
「自分の意思も持たずに、トキ様に従って居れば満足なんでしょ? なら、私が……貴方の大好きなトキ様に、死を懇願させるから……その時、私は誰よりも真っ先に……トキを殺す忠臣となるの。貴方以上の忠臣になってやる……ふふ……ふ・ふ・ふ……」
 陶酔したように口から洩れる言葉に乗せられたシャロットの攻撃で草の彫像の空間が狭まってゆき、ドゥーンの皮膚を磨り潰す。
 ぐしゃりという嫌な音と共に噛みつかれ、ヤスリかおろし金のように磨り潰されたドゥーンは、セレビィを模した形をしたセレビィゴーレムの口にあたる部分から、体格の良い手だけを出して地面に落ちて行った。
「トキ。貴方は歴史を守ろうとした立派なお方……ただの傀儡であるドゥーンとは違う……」
 言いながら、シャロットは時の咆哮を喰らいながらセレビィ―ゴーレムの頭部を切り離し、まだヤドリギで吸いとれる養分を残した首なしのセレビィゴーレムを纏う準備。

「そんな立派なお方だから、私をこんな風にした……」
 そうして、ドゥーンをやり過ごしたかと思えば、今度は心臓が握りつぶされるような妙な感覚。
「私は死にたくなったの。貴方が、私達の邪魔するから……だから貴方も、私と同じになって? あなたが死を望んだときに、私はその望みをかなえる中心となるから……だから……」
 トキの攻撃はかわす必要がないからと、ラスターカノンを涼しい顔でやり過ごしつつ、ドゥーンの方を見る。
 どうやら、ドゥーンが発動した技は『呪い』。戦闘を続ける限りダメージを与え続ける執念の塊のような技だ。呪いの効果は戦いを続ける限り生命力をそぎ落とす技。神が暴れ回ったときのために古のゴーストが生み出した技である。この心臓の動きを沈めない限りは呪いの力で問答無用で殺される技であり。戦闘をやめなければ殺される。ドゥーンが執念で放った『呪い』という技は、そういう技だ。
「邪魔しないでって言ったのに……」
 もう一度リーフストームでとどめを刺そうと思ったが、すでにドゥーンは呪いの代償として意識を手放している。
「もういいでしょ……? 苦しいの。貴方も苦しいでしょ、トキ? それともまだ死に足りないの……?」
 すでに胸のダイヤモンド以外はいたって普通の元気な状態まで、トキは回復している。しかし、ひび割れたダイヤモンドはもう限界が近い。
「そう……ならば、私の胸の張り裂けそうなこの想い……貴方の胸にも刻んであげる」
 どうせ不思議な守りの効果があるのだからと、シャロットは心をおちつかせて悪巧み。
「貴方が死にたいと思うまで、私は貴方を殺す……さあ、無間闇処(むけんあんしょ)に堕ちましょう」
 次いで、龍の息吹のために開かれたディアルガの口のなかに入り込み、体内にここぞとばかりにヤドリギの種を植えこむ。さらにシャロットはあまりの息苦しさに吐き出そうとするディアルガの体内からギガドレインで攻撃を加える。
 龍の鱗に加えて鋼の表皮といった堅牢さに定評のあるディアルガだが、表皮とは違って体内の粘膜など脆いもの。

 ギガドレインは事前に積み切った悪巧みも相まって非情なまでに非常に高い威力を叩きだす。さらに、一切の攻撃の届かない体内にいるとあっては、相性の関係なんてあってないようなもの。シャロットはせっかくのドゥーンの呪いも何の意味をなさないくらいにここぞとばかりに攻撃して生命力を取り戻し、ディアルガの体はもはやシャロットを癒す道具と成り下がる。
「貴方の苦悶の声で私の苦しみを癒して。夫婦のように、悲しみを分かち合って……」
 このまま殺せると踏んだシャロットは、ほとんど呼吸のできない体内で懸命に息を止めギガドレインに励む。皮を剝かれた柘榴のように抉られた肉を晒されたディアルガの体内は食道から滝のように血液があふれかえり、肺にまでその血が入り込んでは咳込むのを抑えきれない。しかして、シャロットは体内の比較的浅いところで気道までも塞いでおり、非常に息苦しいこと他ならない。
 呼吸も出来ず、胃にも血が溜り、体内はシャロットと言う異物のせいで激痛と不快感の阿鼻叫喚。ついに強烈な嗚咽を漏らした。
 せり上がったディアルガの胃からは、逆流した血混じりの胃液と消化しかけの食糧。咀嚼され、どろどろに溶かされ吐瀉物にまみれながらシャロットは吐き出された。
 毒づいたシャロットが目に映した胸のダイヤは、すでにいつ崩壊してもおかしくないほどのひび割れが。
「そして、歴史を変えることが許されない苦しみから解放されましょう?」
 あと少しで殺せるのだと小躍りしてシャロットは日本晴れからの炎タイプの目覚めるパワー。
「そしてその喜びを、夫婦のように共に味わいましょうよ……」
 殺害を目前にしてしかし、そこにようやくたどり着いたヤミラミがシャロットへ鬼火を放つ。
 突然に全身を覆い尽くした低温の炎に体を焼かれ、シャロットは痛みを歯を食いしばってこらえながらヤミラミを睨む。睨まれたヤミラミは矢も盾もたまらず逃げ出してみるが、そうは問屋が卸さない。
「邪魔すんじゃねぇ……って言っているだろうが……」

 怒りに満ちた双眸で睨みつけるシャロットの憤怒がソーラービームとなってヤミラミを炭になるまで焼き尽くして消滅させる。他のヤミラミも続々と到着していたが、一撃で味方の影すらなくなるのを見て、すでに戦意を失った。あとは怪我を治したトキを遠巻きに見守るばかりである。
「もう大丈夫よ……トキ。きっと、邪魔は入らないから」
 ヤミラミが襲ってこないと判断したシャロットは、そろそろトキにとどめを刺してやろうと、とびっきりの目覚めるパワーをプレゼントしてやろうと力を溜めこむが、そこに何度目かもわからないトキの龍の波導。こんなもの避ける必要もないと、空中に浮かんだまま力を溜めていたシャロットだが――
「きゃっ!!」
 吹きとばされて、情けない声を上げる。
 今は不思議な守りが働いている最中だというのになぜノーマルスキン状態のトキの攻撃を喰らうというのか? 何が起こったかわけのわからないままに、シャロットは痛む体を起き上がらせるが、そこにここぞとばかりにヤミラミ達の影討ちが三つ飛んできた。次々と届く強烈な痛み。
 先ほど吐き出された際に大量の胃液を浴び、不思議な守りの特性が無効化されたことを自覚した時にはもう遅い。トキの胸の飾りから放たれるラスターカノンが彼女に照準を定めると、まばゆい白光が煌めいて、目が眩んだ景色の中でシャロットはもう周囲の状況が何もわからない。
「ダメだよ。私だけ楽になるなんて。貴方も楽になりましょう……?」
 まだヤドリギの種により生命力は届いていたが、それによる回復を軽く握りつぶすようなトキの強い殺意。シャロットは破れかぶれに未来予知の一撃を繰り出し、一瞬遅れてシャロットはラスターカノンをさらにもう一発喰らい、朦朧とした意識はついに暗転した。

















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コメント 

お名前:
  • >2013-11-03 (日) 02:46:36
    大体はお察しの通りなのです。ダークライの件がなかったら、アグニを成長させるためにも消えたままにするのが神としての役割だったかと思います。
    シデンを復活させたのも、おそらくは苦渋の決断だったのでしょう。ソーダは……私ももうすこし救ってあげたい気持ちですw

    テオナナカトルは、その通りコリンたちの世界の未来ですね。すでにコリンたちの戦いは神話になっているようです
    ――リング 2013-11-22 (金) 00:37:02
  • ふむふむ、こうして読むともし原作のストーリーにダークライの話が無かったら、リングさんバージョンはシデンが復活しないまま終わってたのかなって思いますね。

    ソーダがちょっと可哀想でした。

    テオナナカトルって多分、コリンたちの世界の未来の話ですよね?
    ―― 2013-11-03 (日) 02:46:36
  • >狼さん
    どうも、お読みいただきありがとうございました。
    『共に歩む未来』のお話では、もう一つの結末というか、私としてはこちらのほうがよかったという結末を書いて見ました。
    ディアルガのセリフから察するに、本当の未来はシデンが生き返らない方であったという推測が自分の中でありましたので……。
    こんな長い話ですが、読んでいただきありがとうございました
    ――リング 2013-06-26 (水) 09:49:35
  • 時渡りの英雄読ませていただきました。私は探検隊(時)をプレイしたのでだいたいのことはわかるのですが時渡りの英雄ではゲームとは違ったおもしろさがありゲームではいまいちでていないところまで実際そんなストーリーがありそうな気がしたり(当たり前か)してとてもおもしろかったです。
    『ともに歩む未来』では[シデン]が蘇らないのかと思ったら[アグニ]の夢というおち、少しほっとしたり…。
    これからも頑張ってください。
    ―― ? 2013-06-17 (月) 21:31:32
  • 時渡りの英雄これから読んでいきたいと思っています。
    時渡りの英雄は10日ぐらいかかると思われます。
    読むのが楽しみです
    ―― ? 2013-05-25 (土) 02:02:01

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*1 キャメルクラッチの事

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Last-modified: 2012-01-27 (金) 00:00:00
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