ポケモン小説wiki
司祭と双子

/司祭と双子

作者:DIRI

司祭と双子 



 町から少し離れた丘の上。そこにポツリと教会があった。大して古いわけではないが、建物には蔦がはびこっており、古さをかもし出している。そしてそれと同時に、ある種の不気味さも。
 実際には、脇に小さな墓地があるぐらいで、不気味さも見かけほどではない。
 ここにいるのは一匹のエーフィだけだった。彼の名はクリスと言う。教会にいるのだから、彼はもちろん聖職者である。
 彼は温厚で、教会にやってくる人からは親しみを持たれていた。彼のことを“先生”と呼ぶ人もいる。
 町から離れた場所にあるから、時たま罪を犯した者もその協会を訪れた。信心深い罪人もいることはいる。彼らはもちろん、神に(ゆる)しを請おうとしていた。
 そんな彼らに、クリスは問う。

「あなたの犯した罪は、必要でしたか?」

 その問いに対し、罪人達は多くの場合、必要であったと答えた。それに対し、彼はまた問いかける。

「主は全てを見ておられます。あなたの言葉が真実であるならば、神はあなたを赦し、清めてくださいますでしょう。しかし、あなたの言葉が偽りであったならば、神はその慈愛に満ちた腕の中から、あなたを放つでしょう。聖書にはこうあります。『罪から来る報酬は死です。しかし、神が下さる賜物は、私たちの主にある永遠のいのちです』*1

罪人は大抵の場合、そこで自らの行いを悔いる。そして悔いなかった者には彼はそれ以上の言葉をかけなかった。

 「『罪を犯す人は罪の奴隷なり』*2

そうつぶやき、クリスは教会の扉を開け、帰ることを促すのだった。

 クリスはその生活になんら不満はなかった。不満どころか、幸福であるとすら思っていた。贅沢などはしないし、教会へ集められる金で生活は不自由ではない。求めるものは彼には特に存在しなかったのだ。

 「『求めよ、さらば与えられん。たずねよ、さらば見出されん。門を叩け、さらば開かれん。すべてを求むるものは得たずねぬる者は見出し、門をたたく者は開かるるなり』*3。私には、求める物も、尋ねる人も、叩く門もありません。ですから、私には今の生き方というものだけで十分なのです」

時たまそれを尋ねられた時は、彼は決まってそう返した。彼の本心であり、また欺瞞(ぎまん)でもあった。

 そんな彼が暮らしていく中で起きてしまった、とある変化の話である。


 「司祭様、今日も来ました~!」

元気よく教会の扉を開けたのは一匹のアブソルだった。

「今日も元気ですね、クララ」
「はい! それだけが私の取り柄ですから!」

からからとアブソルの少女は笑うと、クリスの横に付き、彼に寄り添った。クリスは苦笑気味にため息をついて彼女の頭を撫でた。
 クララは町に住んでいる。教会へ初めて来たのは数週間前、彼女の父親が亡くなった時である。この教会の墓地に彼女の父親は眠っている。それから毎日、彼女は父親へ会いに来ていた。そのうちに、クリスと話す機会も増え、さらにそのうちに、クララはクリスに対して好意を抱き始めた。
 司祭であるからと言って、鈍感と言うわけではないため、クリスはすぐにクララの感情に気づいた。人に好かれるということは悪いことではない。そのため彼はクララに対して何も出来ずにいた。彼女はまだ少し幼いため傷つけてしまうかもしれないと思ったからだ。そのためこういった行為も甘んじて許容するしかないのである。


 「司祭様、聞いても良いですか?」
「私に答えられることならお答えしましょう」
「司祭様には好きな人とかいるんですか?」

また随分直球な、そうは思っても口には出せない。彼女はクリスがまだ自分の好意に気付いているなどは思ってもいない。

「好きな人、ですか……。私は聖職者ですから、どなたにも平等に接していますよ」
「そうじゃなくて~……。恋愛対象として見てる人とかですよー」
「……私は……今までも恋愛経験がありませんので、よくわかりませんね」

クララは一瞬だけつまらなそうな表情をした。それにクリスは気付いたものの、表情にはおくびにも出さなかった。

 「恋愛のない人生だから司祭になったんですか?」
「いえ、そういうわけでは……」
「司祭になれば結婚出来ないんですもんね? そりゃ楽でしょうね~」

今の言葉は球と言うよりも弾丸に近いかもしれない。まさかとは思うが、クリスにとってはそこまで想像されているのではたまったものではなかった。

「違いますよクララ……。えっと、それに司祭と言っても決まりが教会の種類によって変わっていますから……」
「え? じゃあ司祭様は?」
「一応、私の属しているこの教会は司祭の婚姻は認められていますよ。ただし、離婚や配偶者と死別した場合の再婚は認められていませんが」
「じゃあ結婚したらずっと一緒なんですね!?」

彼女の反応はクリスの思った以上に素早かった。クララは目を輝かせてクリスの方へ身を乗り出した。驚いてクリスは一歩後ろに下がったが、その頃にはクララは元の位置に戻ってガッツポーズをとっていた。
 無論、そこまでの反応を起こしてしまえば仮にクリスがクララの好意に気付いていなかったとしても気づくことになるだろう。そしてそのことに当の本人であるクララが一番早く気付くのだ。

「あっ……えっと! し、司祭様、今のは……」
「え、えぇ……」
「い、今のはっ、気にしないでくださいっ!」
「クララ……私がこの数週間のうちにあなたに教えたことを覚えていますか? 覚えているのであれば、私はまだあなたの望みを叶えるかもしれません」
「えっ!? 司祭様……!」

クララの瞳に希望が宿る。無論、クリスはそれを承諾するはずがないのだが。

 「し、司祭様! 私……私、司祭様のことが好きです! お父さんが死んでちょっとしか経ってないけど、これまで優しくしてくれた司祭様、あなたのことが大好きなんです! だ、だからその……」

彼女は言いよどむ。その言葉の先が期待とは別の方向でクリスは気になっていた。

「……私と、一緒になってほしいんです」
「……あの……それは所謂(いわゆる)、プロポーズですか?」
「は、はい! お願いします!」
「クララ、聖書には『愛は律法の完全なり』*4と言うものがあります。しかし現実は聖書の言葉のように寛大ではないのですよ。あなたは15です。もし私がその言葉を許容したとして、世間は私やあなたをなんと言うでしょう? あなたのためです、この話は無かった事にしましょう。クララ、私はあなたのことが嫌いと言うわけではありません。むしろ好意を抱いていると言うほうが近いでしょう。けれど……んっ!?」

突如クリスは言葉を発することが出来なくなった。彼女の口でクリスの口が塞がれてしまったからである。

 「んぅっ!」

思わずクリスはクララを突き飛ばした。動揺で何が起きたのか一瞬理解できずにいたが、すぐに彼が突き飛ばしてしまったことにより転んでしまったクララを抱き起こした。

「ごめんなさい、クララ。突然だったので驚いてしまって……」
「……私が悪いんです、司祭様……。迷惑でしたよね、こんな子供がプロポーズだなんて……」
「あなたはきっと、お父上を亡くした寂しさを紛らわそうとしているのでしょう……。あなたの私に対する感情が偽りであるとは言いません。でもあなたはまだ若い。あなたが大人になれば機会はあるでしょう。『愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。愛は自慢せず、高慢になりません。礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、怒らず、人のした悪を思わず、不正を喜ばずに真理を喜びます。すべてをがまんし、すべてを信じ、すべてを期待し、すべてを耐え忍びます』*5。あなたが私を想うなら、機会が来るまで待ちなさい」

クララは小さく頷いた。ひとまず安心だとクリスが胸を撫で下ろした事実をクララは知らない。

 「さあ、クララ。今日は祈りを捧げてからもうお帰りなさい」
「わかりました、司祭様……」

いつもならば夕方まで彼女は教会でクリスの話を聞いたり、教会や墓地の掃除などを手伝っているが、今日はさすがにそれでは居心地が悪いだろうとクリスは配慮したのだった。


 「……私を夫に……ですか。それは出来ませんね、クララ……私は誰の夫にもなれないのですよ……」

クララが帰った後、一匹だけになったクリスは教会のステンドグラスを見ながら呟いた。ステンドグラスに描かれた、艶やかな姿の女神を見つつ、クリスは苦笑した。

「アスモダイオス*6も、私には何も出来ませんからね。ラファエル*7も必要ない……」

また苦笑しながら、クリスは聖書を開いた。




 「司祭様! 今度私の家で食事なんてどうですか?」

数日後であった。彼女の立ち直りが思いの外早かったことにクリスはほっとしていたが、突然のこの言葉にはまた動揺するしかなかった。

「食事を、ですか? え、えぇ、私は構いませんが……」
「よかった! もうお姉ちゃんに司祭様が来るからって言ってあるんですよ~!」
「え!? ちょっと、クララ? その様子だと“今度”ではなく“今夜”なのでは……」
「やだな~、今週中にってお姉ちゃんにもちゃんと言ってありますよ~」

彼女のある種の行動力と言うものには驚かされているクリスであった。
 クリスは彼女に姉妹がいると言うことはもちろん知っていた。親の葬式に来ない子供などはいないのだから。今思えば、クララよりも彼女の方がクリスは身の危険を感じた。彼女達は双子のようだったが、クララと――ジョゼフィーンと言ったか、彼女は大分大人びて見えた。15歳には見えないと言ったほうが良いか。大人の雌と言った感じがしたのだった。クリスはもちろんそんなことに興味はなかったので、彼女の見かけに関しては大した感想は抱かなかったが、それ以外に感想を抱いた。
 早くに母親を亡くし、唯一頼れる父親が死に、双子の少女達はもちろん悲しんでいた。悲しんでいた所へ、クリスは言葉をかけた。その頃はまだクララはクリスに好意を抱いていなかったため、言葉を聞きつつも泣いていたが、ジョゼフィーンは違っていた。目に涙を浮かべてはいたものの、悲しみがその眼からはすでに消えていた。その眼に映っていたのはクリスであった。
 そんな彼女と会うのはクリスとしては気が重かった。しかし断ることも出来ない。予定があるわけではないし、人をただそれだけの理由で嫌うわけにもいかない。

「……では、明日。明日の夕食の時にお邪魔します」
「明日ですね!? わかりました! お姉ちゃんと一緒に美味しい料理作りますから期待しててくださいね!」

特に期待もしていないし、そもそもあまり行きたくないとはとても言えなかった。


 そして翌日。約束通り、クリスは双子の家を訪れた。クリスは彼女たちの家がどこにあるのかをあまり把握出来ていないため、クララと一緒に歩いてきたのだった。

「お姉ちゃん、司祭様連れてきたよ~!」
「お邪魔します」

『狭き門より入れ、滅びにいたる門は大きく、その路は広く、之より入る者多し』*8と言う言葉が聖書にある。解釈のしようによっては現在の状況を当てはめることも可能だ。この家の扉が狭い門なのか、大きな門なのか、それはクリスが知る(よし)もなかったのだが。

 「先生、いらっしゃい」
「ジョゼフィーン。今日は招いていただきありがとうございます」
「いえ、クララが聞かなかったものですから」

微笑むその少女は大人の色香すら漂わせている気がした。しかしクリスにはまったくの無意味である。むしろ顔をしかめるほどのものであったが、さすがに本人を目の前にして露骨な行動を取るわけにも行かないクリスは、少々引きつった笑みを返した。

 「何か手伝うことはありますか?」
「いいえ、大丈夫です。先生は座って待ってくれていれば良いですよ」
「ジョゼフィーン、私はただ厄介になると言うのは好きではないのですよ。手伝わせてください」

ただの親切心であったクリスの言葉を、さらに却下するようにジョゼフィーンは食い下がった。

「しかし……」
「じゃあ、先生。私のことを“ジョゼフィーン”ではなくて“ジョー”と呼ぶように努力してください」
「は?」
「先生は私をあだ名で呼んでください。それに慣れるまでは手伝ってもらわなくて大丈夫です」

クリスは一体どんな理屈だと思ったが、そこまできっぱりと言われてしまってはこれ以上意地を張ることも出来なかった。
 この時、ジョゼフィーン――ジョーがあるものを隠し持っているとは誰も知らなかった。


 双子の少女達が作った料理は、辛口に言ってしまえば“可もなく不可も無し”、だがクリスは素直に美味しかったと言う感想を持った。

「司祭様に喜んでもらえてよかったです!」

感想をしつこく聞いてきたクララは飛び跳ねそうなほどに喜んでいた。クリスは小首を傾げていたが、ジョーがその理由をクリスに耳打ちした。

「クララったら、『花嫁修業だ~!』とか『男心を掴むにはまず胃袋から』なんて言って、ここ数週間料理の勉強やらやってましたから。先生に評価されて嬉しいんですよ」

クリスがげんなりした表情を一瞬だけ見せたのは言うまでもない。

 「私食器片付けてますね。司祭様とお姉ちゃんは話してて」

食事の片付けはクララがやるらしい。それが終わるまではジョーと世間話でもしているしかない。

「ごめんなさい、先生。クララったら聞き分けが無いから」
「え?」
「先生に……その、あれしたって聞いて。クララは自分の決めたことは絶対にそうであってほしい性格なんですよ」
「……まぁ、驚きましたけど……。以降は無いでしょう、“強欲”は七つの大罪のひとつです」

ジョーは首を傾げた。説明をすれば、時間をかけるし、さらに彼女に新しいことを教えることにもなる。彼は簡単ではあるが、説明をすることにした。

 「傲慢(ごうまん)、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲。この七つは七つの大罪と言われています。七つの大罪と言うものは、大罪に“なり得るもの”を表しているため、これ自体が罪と言うわけではありません。誰にでもある感情や欲なのですから。罪には悪魔が宿るといわれることもあります。傲慢にはルシファー、嫉妬にはレヴィアタン、憤怒はサタン、怠惰はベルフェゴール、強欲はマモン、暴食はベルゼブブ、そして色欲にはアスモダイオス。彼らは人々をたぶらかし、大罪へと導くのです」
「なんだか怖いですね……」
「心配はありません。主は私達を見ておられます。救いの手を差し伸べてくださいます」

ジョーが感心して小さく頷いていると、食器が割れる音がした。
 クリスが驚き、音源となる方を見てみると、クララが倒れていた。こればかりは、動揺よりも前に体が動いた。クリスは彼女の元へ駆け寄り、上体を抱き上げた。

「クララ! クララ、どうしたんです!? しっかりして! クララ!」

呼びかけても、彼女は息を荒げるだけで反応を示さない。混乱からか、気温が上がった気がした。

 「ジョー! 早く医者を!」
「……ウフフ、必要ないですよ。先生?」

その言葉の意味がわからなかった。その言葉がどういう意味なのかを理解する以前に、頭に言葉が入って来なかったと言った方が正しかったかもしれない。クリスは混乱した頭を振って冷静になろうとした。しかし、頭を振ってもふわふわとした感じは抜けない。呼吸が荒くなってくる。

「効いてきました?」
「な、何……」
「ウフフ、さっきの料理、媚薬が入ってたんですよ」
「媚薬……!?」
「効き目が強いから……クララはちょっと耐え切れなかったみたい。先生も辛そう……」

それ以降の言葉はクリスの耳には入ってこなかった。ふわふわした意識を、何とかとどめているだけで精一杯だったのだ。



 その後、クリスの意識が戻ったのは――実際意識はずっとあったのだが周囲を把握できる状態ではなかった――数分後だった。
 クリスは頬が火照っているということをまず感じていた。次に呼吸が荒いと言うこと。そして物事を深く考えているほどに思考に余裕がないと言うこと。頭も中にはもやもやとした、例えるなら霧が、思考の全てを覆っている感じであった。
 ここは見慣れない寝室だろうかと、何とか状況を把握しようとしているところへ、見慣れたようなアブソルの少女が現れた。

「先生、もうふわふわしなくなった? 私も最初はクララと一緒で意識飛んじゃったけど……。今はもう慣れたから」

ジョーはくすりと笑い、クリスの瞳を覗き込んだ。

「フフフッ、先生の優しい顔も好きだけど、とろけちゃってる顔も素敵」
「はぁ……はぁ……ジョゼフィーン……!」
「なぁに? 先生」

詫びれる様子もまったくない、楽しんでいると言った表情のまま、ジョーは小首を傾げた。

「自分が何をしているのか、わかっているのですか……!?」
「わかってなきゃしませんよ。わかってるからやってるんです」
「今すぐ悔い改めなさい! 『もし、私たちが自分の罪を言い表わすなら、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、すべての悪から私たちをきよめてくださいます』*9……」
「先生ぇ? そういうのを往生際が悪いって言うんですよ? 先生だって……我慢できないでしょう?」

思ってしまうことすら悪いとは思っているが、その時のジョーの笑みは悪魔にしか見えなかった。
 頭の中にかかったもやは、クリスに行動させようとしてはくれなかった。柔らかなベッドの上であることも要因であっただろう。滑らかな動きでジョーはクリスの上にまたがった。そしてクリスが抵抗するより前に彼の唇を奪う。それはいつか、クララが想いを伝えた後にしたそれとは違い、舌を差し入れて口内を犯していく激しいものであった。そして彼女の右手はするりとクリスの股間に伸びていった。
 クリスに抵抗が出来るわけもなく――相変わらず思考はほぼ働いていないし、唇を奪われていることも動揺となってそこまで気が回らなかった。と言うよりも、媚薬のせいでキス自体に快感を感じていたのである。クリスはそういったことが初めての経験だったため、酔いしれると言うか、そっちに意識を持っていかれていたのだ。そしてジョーの行動に対応できなかったのだから、クリスはさらに反応をせざるを得なくなる。
 通常ならば、媚薬が後押ししてその後は……というのが普通なのだろうが、クリスはここになって自分が聖職者であると言う立場を思い出し、さらに自分がどんなものであるのかをも思い出した。それが彼に冷静な思考を取り戻させた。媚薬の効果などその二つの理由の前では無意味に等しかった。

「きゃっ!」

クリスは体勢的にも不利な中、ジョーを突き飛ばした。クリスは筋力がある方ではないが、今は火事場の馬鹿力に近いものが働いていたのだ。
 ジョーはすぐに起き上がり、またクリスの上に馬乗りになろうとしたが、そうはさせないと今度は逆にクリスが彼女を下にし、両腕を押さえつけた。

「あはっ、先生ったら自分からやりたいの? 思ってたよりエッチだね」
「あなたの……そういった考えは一体どこから湧いて出るんです? 手際も良いし、えっと……媚薬ですか? そんなよくわからないものを使ったりと、ずいぶん手馴れていますが」
「私クララと違ってもっと遊んで楽しみたいの。処女なんてとっくの昔にポイッと捨てたし。……先生の方は……反応的に童貞?」
「物欲には性欲も含まれます」

ジョーがその言葉を聞いてくすくすと笑った。そんなことでクリスは気を悪くはしないが、目付きがいつもより鋭くなる。
 そのことについて、ジョーはまったく気が付かない。そればかりか、追撃となる言葉を発していく。

「先生25歳でしたっけ。そんな年まで童貞守ってどうするんですか? 司祭ってお酒も煙草もやらないんでしょ? だったら先生、何が楽しくて生きてるの?」

あざ笑うような、そんな笑みをジョーはクリスに見せつけた。クリスを挑発して……と画策しているようだが、クリスには無意味だった。彼自身がその作戦に気付いていると言う訳ではないのだが。

 「……私は、生きていることを楽しみたいと思ったことはありません。言うなれば、私は自己犠牲のために生きていると言って良いでしょう。私は聖職者だ。あなたのように、過ちを

犯す人を神の御許で清める。それが私の生き方で、生きている理由です。私にはこれ以上の理由などないのですよ。一時的であれ恒久的であれ、どんな雌を愛することもない。どんな雌と生きていこうとも思わない」

クリスはジョーの耳元で囁くように言い、鼻同士がくっつくほどの距離で告げた。

「なぜなら私は……雄として機能していないんですよ。私は所謂“インポテンツ”なんです。私と交わることなんて、誰にも出来はしないんですよ、ジョゼフィーン?」

 ジョーの顔が驚きの一色に染まる。襲った相手が不能であると知れば――そもそも双子の妹がいきなり結婚を申し込むほどに恋焦がれている相手が男性機能を有していないとなれば、襲うといった事も、クララのことも、この後どうしようとしていたかなども踏まえてジョーの計算は狂い通しだった。これでは楽しむ所の話ではない。大抵性的なことに関しては女性優位なのに既成事実が存在しないのであれば身を守るものが何一つなかった。せめてクリスが馬乗りになっている状況を誰かが目撃してくれれば……。

 「お姉ちゃん……」

調度と言ったタイミングでジョーの部屋のドアを開けたのはクララであった。ジョーの頭の中にあった状況として、これは好機かと一瞬思ったが、残念ながらジョー自身の作戦のせいでそれは好機どころか状況を悪化させるものとなっている。その理由として……クララの呼吸が荒いと言う部分が表現されている状態の理由のひとつ。後は頬が赤く、目はとろけたように潤んでいる。ジョーにとっては、クララの姉としては救いであり、クリスを襲った身としては共犯者が増える最悪のシチュエーションのひとつ。クリスが欲望に駆られて……というのは、クララの姉としては“ほぼ”無しだ。自分の初めては自分が良いと思ったから捨てた。だが妹のそれは違う。しかし、肝心の妹自身がジョーの仕込んだ媚薬のせいでクリスがジョーの上にまたがっている状態を客観的に見る思考を与えさせていない。
 このままではまずいと判断したのはクララ以外の二匹だった。ジョーは今回食事の中に盛っていた媚薬を何度か使ったことがあるため耐性はできていたし、クリスはそもそも性欲を感じると言うこと自体が無いため、慣れていないにしても頭がくらくらとしているぐらいのものだった。感覚は敏感になっているが、今はある程度思考ははっきりしていた。クリスは急いでジョーの上から降り、ジョーはすぐさま起き上がってクリスから離れた。あたかも事故を装うように。
 しかし、クリスの行動は正しいとして、ジョーの対応が間違っていた。と言うのも、現在クララは媚薬のせいで性欲にまみれているからだ。ジョーは本来、彼女を押さえつけに向かわなければならなかった。しかし、クリスの秘密を知ったことで動揺しており、そこへ考えが回らなかったのである。現在、クララの目線の先はクリスであり、近いのもクリス。性欲に飲み込まれている彼女が、交際等の過程をすっ飛ばして婚約してほしいとまで言った相手が目の前にいれば、やることなど決まっているだろう。あいにく、クリスはそこまで頭が回っていなかった。
 ジョーが反応したときには時すでに遅く、クララはクリスに飛び掛っていた。ベッドの端に腰掛けていたクリスは、またもやベッドの上に倒れて、あまつさえ性欲しか頭にない少女が馬乗りになっていると言う状況を作り出してしまった。ちなみに、ジョーも当初はそれとあまり大差なかった。双子であるから、その状態からやることはそっくりだった。口内を犯す深いキス、そしてクリスの股へ伸びる手。経験がないがためにその一連の流れがクリスの脳内にかなり濃い印象で残っているため、キスをされた時点で助けを求めるようにジョーへとクリスは視線を送っていた。しかし、ジョーもこの状態をどうしようものかと迷っているため、またもやクリスが力ずくで……という、これもまた一連の流れである。

 「ジョゼフィーン、その媚薬とやらの効き目はいつ切れるんです?」

日ごろの姿を見ていると想像もできないような艶かしい動きでまとわり付いてくるクララを何とか押さえつけながらクリスは問いかける。

「あと一時間は……クララは耐性無さ過ぎるから多分、二時間ぐらいまともな会話出来ないかも」
「二時間経つ前に私はどうなりますかね……」

ジョーの苦笑にさすがにクリスはいらっとした。

 「……こういう風に、結局生物は欲には勝てない。性欲は特に三大欲求のひとつです。私が仮に配偶者を持てば、その妻はその三大欲求の一つを恒久的に抑えて生きることになる。私にはわかりませんが、辛いでしょう。それに、私を愛し、私が愛した妻なのです。いずれ血を分けた子が欲しくなる……。私には子を作るための種がありません。私も辛いでしょうし、何より妻には二つの苦を強いることになる。だから私は誰も愛さないし、誰の夫にもならない……」

誰に対する言葉でもない、言い訳のような言葉を呟きながら、クリスは双子の姉妹を見つめた。二匹とも性欲に駆られている。その矛先はどこを向くかと言えば、性欲を発散させることもできない、雄と言えない雄であるクリスだ。クリスはため息をついた。
 ふと、ジョーが口を開いた。

「先生? 私が何でこんなことしたかわかる?」
「何でって……さっき自分で言っていたじゃないですか。“私は遊んで楽しみたい”と」
「ホントはそれ、建前なの」

苦笑気味に言い、少し首を傾げるジョーにクリスは困惑した。

「私、先生に一目惚れしちゃったの。だから“私のものにしたい”、って」
「結局私欲では?」
「うん、結構前からこんな感じで襲おうとは考えてたの。……でも、クララが先生にいきなりプロポーズしたでしょ? クララに聞いたら本気だって……。だから路線変更。最初は私の“テク”で先生をメロメロにして、先生にその気が無かったとしても交尾の快感には負けるだろうからって思って練ってた計画だったけど、クララも巻き込んでおこうって。私も先生のこと諦めるのに、せめて好きになった先生と一度だけでもって……」

クリスは内容はさておいてじっとその話を聞いていた。計画としては、ジョーが一度クリスと交尾した後、また軽い媚薬をクリスに盛ってクララの部屋に放り込んでおくと言うものだった。要は、クリスにクララとの既成事実を作らせて逃れられないようにしたかったのだそうだ。しかしそれはあいにくな結果となっている。
 ため息混じりにクリスは呟いた。

「私が女性にモテるとは……。私が不能でなければわからなかったかもしれませんがね」
「先生、多分それ違うと思う」

ジョーはクリスの言葉を否定する。クリスは理由がわからず首を傾げた。

「多分、先生が不能じゃなかったら私達多分先生の事好きになってなかったもの。多分その事があったから先生は今みたいな人になってるんだから」
「……そうかもしれませんね」

クリスが苦笑したとき、気が緩んだせいかクララの攻撃を許してしまう。つまりまたもや押し倒されたのだった。

 「クララ、もうやめなさい……」
「やだぁ、司祭様とエッチするぅ~」

破廉恥な、とはこの状況で言っても今更かと言うものだろう。

「私とは一緒になれません。わかってください」
「い~や~だ~!」
「駄々をこねるものではありませんよ」

クリスはクララをなだめようとしているが、クララはその気が無い。ジョーももはや作戦の意味がないと知ったため、クララを止めようとする。しかしそれでもクララは止まらない。さてどうしたものか、そうクリスが考えている間にもクララの進攻は止まらなかった。
 そして結局、クリスが取った行動は現在の状況ではある意味最善とも言えるものだった。クリスは彼女を強めに抱きしめた。クララの顔を自分の胸に押し付け、軽く窒息させる。無論もがくため、進攻を防ぐことは出来る。このままでは彼女が酸欠で意識を失ってしまうだろうが、クリスの力はお世辞にも強いとは言えない。そのため、すぐに解放してしまう。せめて手を使わせまいとクリスはそのまま抱きしめた状態を保っていたが、無防備になった口にへと攻撃が始まる。クララ本人の話で、キスは今まで数えるほどしかした事がないとクリスは聞いていた。その彼女のキスはこれでもかと言うほどに濃厚で、クリスはむせ返りそうになるのを必死にこらえていた。

 「先生? そのままだとヤられちゃうんじゃ?」

答えを返そうにも口は塞がれているので何も言えない。クリスはもどかしそうに目を細めた。

「ん~、やっぱり楽しそう。先生ぇ? 私も参加していい?」

やめろと言いたくても、このまま喉まで入り込んでくるのではなかろうかと言うほどにクララから口内を犯されている状態では何も言いようがない。今自由なのは尻尾ぐらいだ。しかしこれを使ったところで何の効果もないだろう。エーフィならではの念力と言う手もあるが、悪タイプのアブソルには効果が薄い。念力でどうにかするなら何かをぶつけて気絶させるぐらいだが、暴力は何があっても振るってはいけない。特に相手は雌で、まだ子供だ。そう思ったときに、子供からこんな状況へ追い込まれている自分のことを考えてしまい、なんとなく気分が沈んだ。

「冗談ですって、怖い顔しないで。クララ、ほら早く退いて」

意識せずにクリスはジョーを睨んでいたらしい。
 クララが自分の上から退かされた時、クリスは今までにない開放感を感じた。数分の間であったが、まるで何十分も唇を重ねあったかのように思える。口の中はねっとりとした彼女の唾液で覆われている。心地良いとは口が裂けても言えない。かと言って不快だったともそのまま言えない。クララはと言うと、蠱惑的(こわくてき)な眼差しをクリスに向け、また襲いかかろうともがいていた。しかし、ジョーが彼女を押さえつけているためそれは出来ない。

「……ジョー? あなた何を……」

突如、ジョーはクララを押し倒した。ベッドの上ではないため衝撃が身体に伝わり、クララはわずかに呻き声を上げる。

「クララをこのまま放っておいたら同じことの繰り返しでしょ? それに……初めてじゃないんだから」

その言葉がどういった意味のことなのか、クリスは理解出来なかった。しかし、ジョーの行動を見て理解することになる。突如ジョーが“クララに”キスをしたからだ。

「ジョー!?」
「ん……パパが厳しい人だからなかなか彼氏なんて作れなかったの。お互い発散するものもあるでしょ? それをどうにかしないとってことで……」
「……不純です。偏見で人を見るわけではありませんが……。と言うよりも、あなたはすでに誰かと肉体関係があるのでは?」
「あるよ。でもその日だけの関係」
「もっと自分の身体を大事になさい。後悔を先にすることは出来ませんよ」

その言葉に対して、ジョーは小さく苦笑して返しただけだった。
 その後のジョーの行為に付いて、クリスは良く見ていなかった。と言うよりも、見ていられなかった。彼女達の交わりが卑猥すぎて、純粋なクリスは気恥ずかしさに目を背けるしかなかった。それでも喘ぎ声が彼の耳の中に入ってきて、クリスは気恥ずかしさで狂ってしまいそうだった。媚薬とやらの効果は徐々に薄れてきたものの、部屋に充満しているにおいはクリスにある種のやるせなさを感じさせた。

「ぁあんっ!!」

突然のクララの声、クリスは飛びあがりそうになった。何故クララが突然そんな声を上げるかクリスにはわからなかったのだった。

「く、クララ……?」
「ん……大丈夫だよ、先生。イっちゃっただけ」
「は?」

クリスにはジョーの言葉の意味が良くわからない。心配と興味本位の入り混じった感情で、彼は彼女たちを見た。その後クリスは何となく後悔した。
 まず言えることは、さすがのクリスも何か本能的なものが視界からそれを外させる事を許さなかったと言うことだ。目に映った二匹のアブソルはまだ幼さが残るものの、妖艶と言うしかない。その二匹は、容姿も体型も、ほとんど何もかもが瓜二つだが、一匹はくたっと床に伏せ、一匹はその横で妖しい微笑を浮かべている。そしてその二匹は股間を中心に身体が濡れていた。部屋の臭気の元は彼女達の身体を濡らすその液体だろう。顔を上気させ、呼吸の荒い二匹からは目を逸らせなかった。

「……先生? エッチなこと考えてる?」
「それが何を指しているのかはわかりますが違います。それより身体を洗ってきなさい、二匹とも」
「クララは……このままだと死んじゃうと思うよ? 頭に血が上って」

恐ろしい話をさらりとしてのける娘だなと思った。

「……あなたがクララの身体を洗ってあげれば良いでしょう、それなら……」
「それ私パス。私ゆっくり一匹でお風呂に入るのが好きだから」
「あの、あなたは今の状況をちゃんと理解してますか?」
「うん。開き直ってる所」

怒る前に呆れが来たため、クリスは何も言わなかった。

 「それじゃ、先生クララ連れて行って」
「結局私なんですね……。まぁ、断っても無理にやらせるんでしょうね、あなたは」
「あ、先生ぇ、私のこと疑ったの? そんなことしたらダメだよ」
「すみません……。ただ状況が状況だけに……」

それを突っ込まれるとはクリスは予想だにしていなかったのだった。おそらく、腹の内はクリスの予想通りなのだろうが。
 ぐったりとしたクララを念力で運びながら、クリスは彼女の身体を意識して見ないようにしていた。恥ずかしさのせいでクリスの顔は真っ赤だが、クララはまだ媚薬の効果が切れないのかそれ以上に赤い。すぐに冷やしてやらないと本当に死んでしまうのではないかと不安になる。風呂場に着き、シャワーを流し始める。温度は水に近いぬるま湯だ。

「クララ、しっかりして。身体を冷やしましょう」

もはや裸の状態――実際は元から裸なのだが――であること自体には慣れた。しかし、やはり他人のそういった状態を見ているのには抵抗がある。クリスは控えめにクララの身体をシャワーで洗い流していたのだった。
 火照った体が冷えたらしく、クララはもぞもぞと動き始めた。触れるわけにもいかなかったクリスはそのことにしばらく気が付かなかったが、クララがそこまで体力を回復しきれてい

ないため、再び襲われることもなかった。

「……あ、大丈夫ですか?」
「ふぇ……司祭様……?」
「あの、もう具合が良いなら私は帰りたいんですが……」

それが彼の本音だった。ジョーの狙いが自分自身だとわかったため、あまり長居したいとは思わない。それがたとえ失敗して、彼女が自分への興味を失ったとしてもその事実は変わりようがない。クリスは今精神的にダメージを受けている状態だった。

「司祭様……絶対に逃がしませんから
「はい?」

クララはクリスの足にしがみついてくる。すぐに振り払える程度ではあるが、それも今の彼女の状態を見ていると何となく躊躇われた。全身の毛が濡れて身体にペタリと張り付いている様が彼女の身体の線が強調されているが、残念ながら元が大したものではないので魅力的とは言いがたい。

「良いですか、私に神は伴侶を与えてはくれません。なぜならそれは私がそれを必要としていないからです。聖書にも不品行を避けるためには結婚を勧めることについて書かれています。けれど、私はそんなに不品行であった覚えもありませんし、女性には興味がありません」
「関係ないの! 私は司祭様と一緒になりたい、一度だけでも良いから……」
「それが出来たら私もこんなことは言いません」

多分、それが出来たならさっさと済ませて帰る道を選んだのだろうとクリスは思った。とにかく今は帰って寝たいのだった。
 抜け出す術がないかとクリスが模索しているときに、突如クリスは下腹部から全身に広がる刺激を受け、脱力した。そしてその原因が何であるのかを確認し、驚愕した。

「く、クララ!? 何を……ぅあっ!」
「んむ……」

クララは答えることはせずに、クリスへの攻撃を続けた。その攻撃と言うのが“口淫”であると言うのがクリスにとって一番の問題である。まさかそんなことをされるとは夢にも思っていないのだから。クリスにとって口淫であれ何であれ、そういった淫らな行為は“不快な行為”の意を出ない。しかし、宗教上これは罪深いことであるし、少女がこんなことをするなど、クリスにとって持っての外なのだった。しかし、クリスも雄である以上、そういった部位への攻撃には極端に弱い。けして“性的な快感”にはなり得ないが、生物の構造的に心臓と脳の次に大事であろう部位なのだから、やはり刺激にはこと敏感なのである。
 逃げるに逃げられない。クララの攻撃があまりに強力だからである。行動しようにも動こうとするたびに受ける刺激が強くなるため、されるがままの状態だった。しばらく彼女の攻撃を受け続け、そろそろ刺激に耐え切れなく――生物的な意味であり、性的絶頂とは違う――なってきた時、ようやくクララは攻撃の手を緩めた。

「……ジョーから聞いた話じゃ、もう司祭様私にメロメロのはずなのに……」
「はぁはぁ……何度言えばわかるんですか……。私は雌には興味がないですし、一緒になんてなれないんですよ……。私は雄として不能ですからね……」
「え? どう言うこと?」

媚薬のせいで聞こえていなかったのか、何も覚えていないようだった。一から説明するのは面倒なので、クリスはそれ以上は言わなかった。
 これで諦めるだろう、そうクリスは思っていたのだが、クララは逆ににたりと笑った。もはやそれは彼女の年相応である悪戯っ子のそれではない。

「そういうの何かで見たことある~。でも治っちゃうんだよ、それ。どうやってだと思う? 司祭様」
「考えたくもありませんね。とにかく私を解放してください、教会をいつまでも空けている訳にはいきません」

その切り返しをまるで無かったことにし、クララはその答えをクリスの耳元で囁いた。

「その人の奥さん(パートナー)がず~っと、その人とベッドの中で……」
「やめなさい!」
「どうして!? 私は司祭様のことを思って……」
「迷惑なんです! 私は不能であることを嘆いたと言いましたか? いいえ、一言たりとそんなことは言っていません!」

我慢の限界だった。しつこすぎる、それも自分が不快だと思うことをされ続けるのだ。物事に関して寛大であるクリスも、こんな辱めを受け続けるのには耐え切れなかった。憤怒を司るサタンにたぶらかされれば飛びついてしまいそうなほどに彼は憤慨していた。
 ところが、その憤慨はすぐに消え去ることになった。クララが泣き出してしまったからである。しゃくり上げられた時点ではクリスは気づいていなかったのだが、声を上げて泣かれると気付かないわけがなかった。もう一匹気付かないわけがないのが彼女の双子の姉である。何事かとジョーは風呂場へ駆けつけてきた。

「先生!? クララ泣かしちゃったの!?」
「……つい、怒鳴ってしまって……」

ジョーはクララをなだめつつ、何故クリスが怒鳴るようなことになったのかを聞いた。そしてその話を聞き終えると、しばらく何か考えるように目を泳がせた。
 この状況でどう行動すべきか迷っていたクリスだったが、また今度も行動することが出来なくなってしまう。今度の理由はある程度全うだった。と言うのも、単純に“命の危機”だからだ。クリスの首には黒い鎌が――角と言ったほうが良いだろうか、とにかく鋭利なそれが突きつけられていたのである。少しでも動けば首を切られてしまうため動けなかった。

「先生」

ジョーの少し鋭い声がする。しかし、答えれば喉が動いて切れてしまいそうでクリスは返事を返せない。

「これは私が神様の代わりに先生へ与える罰。甘んじて受けてもらうからそのつもりで」

何をだと聞けないクリスは喉もとへ当てられているジョーの角をおずおずと見つめていた。最近はもっと別のものを使って脅迫をする場合が多い。産まれたときから持っているものを使うと言うのは最近廃れて来ていたのだが。
 そのあと目を瞑るように命令され、連れて行かれたのはどこかの個室。そこで突然彼は付き飛ばされ、柔らかな台の上に倒された。嫌な予感がする、と言うよりも悪い予感しかしない。目をあけて見ると、先ほどの部屋とは違う部屋だが、明らかに寝室だ。違うのは部屋全体が明るめの色調であると言うところか。

「逃げようなんて考えないでね。先生、せめてクララの気がすむまで相手してもらうからね」
「冗談でしょう?」
「私の片割れ泣かされたんだから怒ってるの。怒ってる私が冗談言うと思うの?」

鋭い眼光で睨まれ、クリスは一瞬怯んだ。その隙に、ジョーは双子の妹をクリスの方へ押す。当のクララはあまり乗り気で無いようだった。何となくもう諦めが付いているような気さえする。

「『なぜあなたは、兄弟の目の中のちりに目をつけるが、自分の目の中の(はり)には気がつかないのですか。兄弟に向かって、「あなたの目のちりを取らせてください」などとどうして言うのですか。見なさい、自分の目には梁があるではありませんか。偽善者たち。まず自分の目から梁を取りのけなさい。そうすれば、はっきり見えて、兄弟の目からも、ちりを取り除くことができます』*10……」

クリスは呟いた。何とかそれがジョーに届けばと思ったのだが、あいにく小さすぎたその声が彼女の耳に届くことは無かった。
 クリスの脳内にいくつかの考えが飛び交う。どうするのが一番の行動であるのか、どうすればジョーは自分を解放し、どうすればクララは自分のことを諦めるのか。どれを考慮したところで、出てくる答えは結局ひとつしかない。逃げればジョーが何をしでかすかわからないのだ、自分の身の安全も考慮すると方法がそれしかないのは仕方が無かった。

「クララ、良いですか。一度だけ、一度だけあなたが満足するまで相手をします。もちろん本当に交わることなど出来ません、私は不能ですからね」
「でも、司祭様……」
「このままでは危険ですからね……」

ジョーには聞こえないように呟いた。『自分の口と舌とを守る者は、自分自身を守って苦しみに会わない』*11という言葉を忘れてしまったのだろう。

「でも司祭様……私は若すぎるから……」
「今更何を……。『年が若いからといって、だれにも軽く見られないようにしなさい。かえって、ことばにも、態度にも、愛にも、信仰にも、純潔にも信者の模範になりなさい』*12

気は進まないが、もはや仕方が無い。それにもう言葉に出してしまったのだから後戻りなどできはしないのだ。
 とりあえず、見られているのは絶対に嫌だと主張してジョーに部屋を出て行ってもらう。今更ながら、嘘を吐けないと言う自分をクリスは恨めしく思った。ほうと深くため息を吐いた後に、彼はクララの方を見た。少し彼女はうろたえているようにも見える。

「……ジョーから聞きましたが、あなたは姉妹で交わっていたのでしょう? 私は経験も何もないので、どうすれば良いかなどは全くわかりませんから……」
「思うように……とかもダメなんでしょうね、司祭様」
「そうですね……」
「とは言ってもですね……私もジョーに攻められっぱなしだったから説明しようにも……。成せば成るとは言いますけど……」
「……では、その……とりあえず、キスから始めましょうか……」

嘘は吐けない。口から出た言葉と投げた槍はどうにも止めようが無い。先ほど約束してしまったのだからクリスには時間を潰し、それらしい状態を作ってジョーの目を欺くなどと言う策は取れないのであった。
 ぎこちない素振りでクリスはクララの方へ顔を近づける。緊張で目を瞑っていたクリスは、クララの若干の変化に気が付かなかった。唇が触れ合うまで後少しと言うところで、クリスは押し倒され深く唇を奪われた。突如そんなことになるとは思ってもいなかったのだから、クリスはむせ返りそうになるものの、差し入れられた舌がそれを許してくれない。ある程度時間が経ったところでむせ返りそうな感覚はなくなるものの、クリスは若干目に涙が浮かんでいた。心の中ではすでに神へ懺悔(ざんげ)をしているところであろう。
 少女に口内を犯され、とりあえず自尊心が喪失してしまったような気がしたクリスは、ねっとりと自分の舌にまとわり付いてくるクララの舌を感じながら、ただボーっとしている他無かった。積極性を出せるわけも無く、クララは自分の満足がいくまで深く激しい接吻続けていた。
 数分経ち、ようやくクリスの口が開放されると、彼は若干乱れた呼吸を整えようと深呼吸した。自分からは何もしていないのに息の上がっている有様を感じ、今後は運動でも始めようかと心ひそかに思う。何か手ごろに出来る運動はないかとクリスが考えていると、彼に馬乗りの状態になっていたクララがその体勢を逆にし、クリスを自分に馬乗りにさせた。

「司祭様……」

上目遣いに彼女は彼を見た。甘えるようなその言葉はクリスをどきりとさせた。それが雄として本来あるべき姿であろうか。
 見下ろすように彼女の全身を眺め、その時ようやくクリスは彼女のことを“雌”という存在で見た。シャワーを浴びて水気を軽くふき取っただけで未だに全身の毛が寝ているからとか、そのせいで彼女の姿が艶かしく見えたからとか、そういうことではなかった。クリス自身、それがどういった感情なのか理解に苦しむものだ。

「何となくで良いから……私を気持ちよくさせようって頑張って見てください」

その言葉でふとクリスは現実に引き戻された。

「簡単に言いますね……。私は先ほどのキスで一杯一杯だと言うのに」

苦笑混じりに彼女へそう返すと、数秒考えてから、クリスはそっと彼女の胸に手を這わせた。彼女が息を吐き、身体をピクリと震わせたことで何となくここが性感帯であると把握した彼は、恐る恐る彼女の胸を回すように揉み始める。
 感触は、心なしか膨らみがあるような気がする程度だ。だが、クララは愛撫されるたびに切ない声を上げる。大きさなどは関係ないのだな、と思いつつクリスは両手で彼女の胸へ愛撫を続けた。そして数分その愛撫を続けていると、クララが突然彼へと抱き付いた。身体と身体が完全に密着しているので、これ以上胸へ愛撫をすることは出来ない。

「司祭様……私もう、イきたいです……」
「私にはその……“イく”とかいうものが何を意味するのかわからないのですが」
性的絶頂(オーガズム)だよ、司祭様……」

自分が知りえないはずだとクリスは心中で思った。しかし、このまま胸へ愛撫を続けていてもそんなものを迎えられそうも無いのでどうしたものかとクリスは頬を掻いた。

「……雄も雌も、敏感な場所は変わらないんですよ?」
「あぁ……今日は嫌と言うほど場所がわかりますね……」

それが性器のことを言っているのだとは数秒も考える時間を必要としなかった。
 しかし、クリスには羞恥心があり、雌の性器などみたことも無ければ見たいと思ったことも無かったので果たしてどうなるのかは彼でも知る由が無い。それ以前に、これ以上は踏み込んではいけないのではと思い、クリスはそのことをさりげなくクララへ言ってみることにした。そしてその結果は、

「見なくても別にいいですけど、ちゃんと満足させてくださいね」

と言う返答だった。少なくとも触れることになるようだ。ここまで来て引けるわけも無く、クリスはクララを軽く抱きしめつつ、ゆっくりと彼女の秘部へと手を伸ばしていく。そしてその手が秘部へ到達し、ゆっくりと表面をなぞり始める。クララは小さな喘ぎ声を上げ、クリスへと抱きついた。そしてそれを見たクリスは、若干の好奇心で、彼女の秘部へと指を差し込んだ。その瞬間、彼女はびくりと跳ね、嬌声を上げる。そのことに何となく気を良くし、彼はさらに秘部へと攻撃を続けた。彼の指が動くたび、彼女は喘ぎ、彼を抱きしめた。このままでは彼女がどうにかなってしまうのではないかと不安になってきたクリスであったが、それでも攻撃をやめるわけではなかった。
 クララの身体がびくびくと痙攣するように動き始める。様子の変化に気付いたクリスは最後の攻撃とばかりに指を押し込み、膣を擦るようにしながら引き抜いた。その瞬間に声にならないような悲鳴を上げながらクララはこれまでに無いほどの力でクリスを抱きしめた。一瞬息が詰まったクリスだったが、その後は過呼吸かと思うほどに呼吸が荒れているクララをなだめるように撫でてやり、落ち着くまで時間を潰した。心中は先ほどのシャワーが無駄になってしまったなと思うような無関心さだったのだが。
 ふと扉が開く音がした。その先にいるのは言うまでも無い、先ほどからクリスの胸元に擦り寄ってきているクララの双子の姉、ジョーである。

「先生お疲れ様」
「覗いてたんですか?」
「自分の部屋掃除してました、あんな大きな声出されたら嫌でも気付くよ」

部屋が近いから聞こえたのだと言うことを祈りたい。

「クララ、しっかりして」
「はぁ……お姉ちゃん……」
「ほら、ちゃんとお礼しなくちゃでしょ」

それよりも早く帰らせてくれとは言えない。
 すがるようにしてクララはクリスへと抱きついた。彼女の身体は火照り、触れるだけでこちらも熱くなる。早く終わらせてくれと言うのがクリスの心中だったが、少々時間がかかりそうである。小さくため息を吐いた瞬間に、クリスは唇を奪われた。よもやこれがお礼だと言うのならばさすがに手を上げたくなる。舌が入ってくると言うことは無かったが、クララが全身の力が抜けたと言わんばかりに体重をクリスへ預けたため、足場が不安定なベッドの上に倒れこんでしまう。故意に押し倒されたわけでも無いので、それ自体は不快には思わなかったが早く退いてくれないかとは思った。その一瞬思考がそれた瞬間を狙ってか、ジョーが行動を起こした。ベッドの端とクリスの手を縄で結びつけたのである。頑丈そうなものではないが、あいにくクリスの力ではほどけそうに無い。

「な!?」
「先生、これ終わったらもう私に関わってくれなくて良いから、私にもクララと同じ事して?」
「ま、また脅しですか……。本当に訴えますよあなた……」

彼女の目の中の梁はエゴと言うものを支えにしているらしい。
 ジョーはクリスにウィンクを飛ばし、クララをベッドの端に追いやってクリスの上にまたがる。やらなければならないのかと言う脱力感と、やるにしても体勢的に不便そうだと思うクリスは深くため息を吐いた。

「そうだなぁ、片手縛ってたらやりにくいでしょ。それじゃ先生には口を使ってもらうね」
「は?」

想定もしない言葉にクリスが呆けると、ジョーはくすくすと笑い、秘部をクリスの顔へと近づけた。動揺以前に驚いたクリスは逃げようともがくものの、片手が不自由な上に身体の上にジョーが乗っているのだから無駄な足掻きでしかなかった。
 目の前に見たくもないものが迫っている。クリスは硬く目を瞑っていた。くすくすと笑う少女の声がする。

「先生ぇ、硬くならないで。口動かしてくださいよ~」
「嫌です。まともじゃない、こんな事」
「普通ですって、玩具も無し、SMでも無いんだから」
「断固拒否します」

そんな事をするぐらいならちゃんと縛られていない方の手で対処できる。しかし、彼女がそんな発想を有しているわけも無く、突如クリスは鼻をつままれた。数秒後、息が苦しくなる。口をあけて呼吸するしかなくなる。しかし口を空ければ……と言うのは酸欠状態の頭でも想像が付いた。このまま呼吸を拒否して死ぬか、不快感に包まれるか。死ぬほどの度胸も無いクリスは後者を選ぶしか無くなったのだった。
 奇妙な感触が口へ伝わる。ここまで来て逃げる事が出来るとは思えない。もうこの行為に甘んじるほか無いのだろう。もはや捨て鉢的に行動するしかない精神状態だった。舌を自主的に動かし、ジョーへ攻撃する。彼女はクリスが積極的に行動するとは思っていなかったからか、若干驚いたように身を震わせた。クリスが舌を動かすたびに彼女は喘ぎ、秘部からは愛液が溢れる。最初こそクリスは嫌悪したものの、ここまで来るともう慣れてしまった。怯むことも無く、愛撫を続けていく。
 感情が無いような状態で愛撫を続けていたクリスだったが、突如訪れる刺激によりそれすらやめてしまう。

「あ、クララ……。今私がやってもらってるんだから後にしてよ」
「んぅ……」

回復したクララはクリスのモノを舐めていた。ジョーが邪魔で見えないため、彼女の行動に目をやる事ができなかったのである。

「……あ、そうだ。そう言えばこの前見たよね? 不能が治った人の話。私達にも出来るかな?」

果たして何をされるのか、もはやクリスは興味が無かった。とりあえず疲れたので眠らせて欲しい。
 ジョーはクリスの上から降りるとクララの横へ並んだ。そこから何をするかなど考えるまでも無い。双子の少女が二匹そろってクリスのモノを舐め始めたのだ。クララからはこれでもかと言うほどに舐められた事はあったものの、ジョーが絡んできて、なおかつ二匹が同時に口淫するのだから、クリスは意識が一瞬飛びかけた。それでも必死に意識を保ち、何とか彼女たちをやめさせようと自由な片手を伸ばすものの、届く前に刺激が強力になり手の付けようがなかった。

「ん……全然大きくならないね」
「確か二日ぐらいやってたんじゃなかった?」
「そうだったっけ。でも今の状態じゃ、先生死んじゃうかもね」
「そんなのダメだよ! 私司祭様が死んじゃったら悲しすぎて……」
「死なないようにやればいいの。わかる?」
「わかるよ、ジョー」
「やろっか、クララ」

クリスは意識を保つのに必死で、彼女達の会話を細部まで聞いていることなど出来なかった。


 翌朝、クリスはクララの部屋で目を覚ました。どうやら行為の途中で意識が完全に無くなってしまっていたらしい。ベッドの上の惨状は機能よりも酷くなっているような気がした。特に疲れ果てて寝てしまったのであろう双子の少女達が体中濡れている辺り、何が起きたのか想像したくもなかった。この二匹には悪いが、彼はシャワーを借りた後にすぐに教会へと帰った。疲れは抜け切らないし、背徳心は湧くしで懺悔したくてたまらなかった。しないとこのまま死んでしまうような気さえした。

 「神よ、私は自らの意思ではないにせよ、昨晩二匹の雌を愛しました。私は……どうすれば良いのでしょう。彼女達の心の内を私は推し量る事など出来ません。彼女達の片割れは私の妻になりたいと言いました。もう片方は私に好意を抱いていると言いました。その言葉を嘘だとは思いたくありません、しかし、私にはどうすれば彼女達の気持ちに応えることが出来るか私にはわからないのです。全能なる神よ、私に答えをお教えください……」

クリスは祭壇の前に(ひざまず)き、手を合わせて啓示を得ようとした。司祭で無くとも、こんな状態では神に祈りたくもなるだろう。
 ふとその時、緩やかな風がクリスの頬を撫でた。元から古びた教会であるため、隙間風が通ることもよくある。しかし、その風は冷たくも無くただただするりと彼の横を通り過ぎて行った。はらりと紙がめくれる音がした。ふとクリスが音源へと目をやると、聖書が風でめくられているところだった。これが天啓だと言うのだろうか、クリスは生唾を飲み込んでから風がめくり終えた聖書を覗き込む。

「……『愛は律法の完全なり』、私がクララへ教えた言葉だ……。どうしろと言うのです、私に彼女たちを愛せと言うのですか。女性に不誠実にならないためには妻をめとれと聖者も言っていたではないですか。二匹の妻をめとれと? この国では許されません……」

だからこそのこの神託であったのだろうとはクリスも何となく察していた。しかし自分にそんな甲斐性があるとも思えないし、結婚はしないと決めているのだ。いずれ辛くなる。いずれ苦しくなってしまう。クリスは天啓の真意を嘆いていた。
 教会の扉が開く。その先には少々疲れた表情のアブソルが二匹いた。鏡に映したような彼女達は、この教会の主へと近づいて行く。

「司祭様……私達、懺悔に来ました」
「先生に悪い事しちゃったから……」

彼女達は申し訳なさそうな表情をしている。昨晩からの事も合わせて、クリスは深呼吸に近いため息を吐く。

「……そこの器へ寄付を。ひざまずき神へと犯した罪を告白しなさい」

言葉が若干投げやりになっているが、疲れで頭が回っていないので仕方が無い。
 彼女達はひざまずき、目を瞑って懺悔を始める。まず口を開いたのはジョーだった。

「私はこの教会の司祭であるクリスに、性交渉を強引に迫りました。その結果、交わることはありませんでしたがクリスを辱め、双子の妹であるクララにも同時に罪をかぶせてしまうことになりました。私は色欲に負け、強欲にクリスを求めました。私をお赦しください……」
「私はクリスに求婚し、クリスを求めるあまり、彼と交わろうとしました。彼の苦しみも理解できず、一人よがりに……。姉のジョーが関わっていたとは言え、私にも罪があります。どうか私をお赦しください……」

クリスは彼女達の告白を聞いているうちに、不快に思うと同時に、彼女達の姿をしおらしく感じた。

「……全知全能の神の名の下に、汝らの罪は浄化された。神の寛大さに感謝し、神を讃えなさい」

当事者としてはやはり何となく釈然としない気持ちが残っていたのではあるが、これも司祭である仕事の一部だ。私情を持ち込んではいけない。彼女達の罪は赦されたのだ。

 「先生」

双子の少女達はクリスの前へ来て深く頭を下げた。

「ごめんなさい。私達反省してます……」
「だから司祭様、私達の事嫌いにならないでください! お願いします! 私達、司祭様の事大好きだから、嫌われたら悲しいんです……」
「……顔を上げなさい」

顔を上げた二匹は泣き出しそうな瞳でクリスを見つめていた。しかし、クリスはそれに動揺することなく言葉を発した。

「先ほど、私は天啓を受けました。神は私にあなた達を愛せと言っておられます」

双子は同時にきょとんとした表情で首を傾げた。

「あなた達を妻にしろと。遠回しではありますが、おそらくそう言われたのでしょう」

実際そうであると言う確たる証拠は無い。単に風でめくれたところに啓示にもなりうる言葉があり、なおかつそれをこういった解釈で受け取ってしまったと言うこともありえた。そこまでわかっているうえでクリスは言葉を重ねたのだった。

「あなた達は私の妻になってくれますか?」

 当然あなた“達”と言う言葉に引っかかりを感じた双子は顔を見合わせた。クリスは何か言われるか彼女達が喧嘩でも始めるのではないかとひやひやしていた。

「当然です!」

二匹の口から同時に放たれたこの言葉。耳を疑いたくなるが、彼女達のにこやかな表情が幻聴ではないと伝える。

「……躊躇いもしませんか」
「ええ、私達双子は二匹で一匹」
「ジョーがいるところには私がいて」
「私がいるところにはクララがいる」
「お姉ちゃんが先導切ってることが多いけどね」

クリスには想定外だった。数秒の躊躇いもなくそのまま肯定の返事を返されたのだから当然だろう。そもそもこちらの話にすら現実味が無いと言うのに。
 動揺を紛らわすためにクリスは一度咳払いをして、彼女達へと目下の問題を告げる。

「私は……あなた方を妻に迎える事にしましたが、宗教上も法律上も、重婚は禁忌(タブー)です。神は寛大なお方ですが教会は許しません」

神からの啓示は彼にとって絶対である。聖人でもないたかが一司祭に啓示をくれた神に対して逆に感謝すらしている。内容はあまり良いものとは言えなかったが。

「それなら、先生?」
「なんでしょう」
「婚姻届け出さなきゃ良いんじゃない? 法律上は多分セーフだと思うけど」

ジョーの言葉にクララは若干渋っていた。そういった流れは踏みたいと思っていたらしい。

「なるほど……事実婚と言う奴ですか」
「そうそう。実際に契りを結んでるわけじゃないし、宗教上も良いんじゃない?」
「その辺りは私にも判断しかねますが……」

まぁ、誰が言いふらすわけでもあるまい。犯罪に手を染める聖職者がいるような時勢だ、このくらい大した事は無いだろう。

「……では、あなた達は形式上私の妻です。他で粗相の無いように。今日は……金曜日、って、学校に行きなさい!」

無論、まだ15歳の彼女達は学生なのである。


 「彼女達を心から愛する事など出来るのでしょうか。……私は博愛であると自負しています。しかし、彼女達を一匹の雌として、その面で愛せるのかどうか自信がありません。私は雄として生きた事はありませんでした。ですから、不安なのです」

明るい昼の陽光が教会のステンドグラスに射し込み、鮮やかな光を祭壇へと送り込んでいる。その下で、クリスは悩んでいた。啓示を受けた事で勢いに任せて双子を妻にするなどと言ってしまったが、落ち着いて見るとやはり不安で身体が満たされていた。

 「司祭様~!」
「あれ? 今日はえらく早いですね」

昼頃に双子がこの教会を訪れた事はなかった。聞けば、学校の行事が早く終わったそうだ。

「……所で気になったんですが、もしかして言いふらしてはいませんよね?」
「大丈夫先生、私がちゃんと止めたから」

クリスはほっと胸を撫で下ろした。クララはいつも以上に高揚しているから何を言い出すのか不安だ。

「それで、教会へ奉仕に来てくれたんですか? それなら墓地の方の掃除をお願いしたいんですが」
「それもあるけど先生、先生はお昼食べたの?」
「いいえ。私は朝と夜にしか食事をしませんので」
「うわ~、力弱かったはずだ……」

少々むっとしたが、事実を曲げる事など出来ない。

 「私達、司祭様にお弁当作ってきたんですよ!」
「え? そんな、構ってくれること無かったのに……」
「私達、先生の妻ですから」

クララはニコニコと、ジョーはニヤニヤと言った。クララは純粋にクリスに喜んでもらいたいからであろうが、ジョーはまだクリスをからかいたいようだった。しかし、ジョーがどんな意味を込めて料理を作ったとしても断ってしまう理由など無いので、クリスは彼女達の好意に甘える事にした。

「一応聞きますが、何か盛ったりはしていませんよね?」
「大丈夫ですよ、昨日ので使いきりましたから」

果たしてどれほど媚薬を盛られていたのか。
 双子の作った弁当は、特に問題なく食べる事ができた。何か挙げるとすれば、クララが食べさせようとしてくるため気恥ずかしい思いをした程度だろうか。誰も見ていないとは言え、さすがに堪えた。その後も彼女達はよく働いてくれ、墓地の墓石も苔ひとつ生えていない綺麗な姿へと変わった。クリスが一匹だったときは墓地の方を掃除するにも人手不足で完全とは言えなかった。

「……さて、そろそろ門を閉めましょう。今日はありがとうございました、魂もきっと洗われたでしょう」
「先生」
「何です?」
「晩御飯何が良い?」

小悪魔的な笑みが飾る双子の片割れの言葉にクリスは若干動揺した。そしてそれを見てジョーはからからと笑い、適当に献立を言ってから宿舎の方へ入って行った。

「……あの、あなた達帰らないんですか?」
「事実婚でも夫婦です、別居なんて嫌ですからね」

クララの膨れっ面は何となく見飽きてきた。
 その後の話の展開としては、どうやら今夜からここへ泊まりに来るそうだ。通学する必要がある平日以外の時限定で、と言う条件はクリスが出したものである。舞い上がって遅刻して内心を下げ、単位が取れず落第などと言う悲惨な結果は避けたい。そして今日は金曜日、明日から学校は休みだと言うことで、今日は泊まっていくらしい。寝床がひとつしかないのがど

うしたものかとクリスは悩んだ。

「一緒に寝ましょうよ」
「いや、いきなり同衾(どうきん)するのは少し……」
「初夜があるじゃない、先生?」

ジョーは自分をからかうために来ているのかと問いただしたいクリスだったが、あえてその言葉は黙殺して、双子へベッドを使うように言い、自分は教会の長椅子で眠ると告げる。すると、クララが自分の事が嫌いだから一緒に寝てくれないのかと言ってぐずりだしてしまったので、クリスは泣く泣く三匹でひとつのベッドを使うことにしたのだった。

 「……あの、何で私を間に挟むんですか」
「私達双子で先生を取り合いたくないからです。クララがまたぐずっちゃったりしないように」
「距離が近いんです……。あの……ジョー、胸が……」

クララと比べると、ジョーの身体は発育が進んでいる。それでもちゃんとした大人よりは小さいが、狭いベッドの上で密着していればやはり意識してしまう。

「こうやって司祭様と一緒に寝れるなんて夢みたい」
「この状況なら夢であった方が……」
「あ、司祭様酷い! 失言の罰としてキスしてください!」
「普通に誤るだけじゃダメですか……」
「ダ~メ~で~す~!」

何を言っても無駄だろう、クリスはおとなしくキスしてやった。が、ほんの一瞬だけだった。と言うのも、その一瞬だけでもクララが抱き付こうとしていたからだ。

 「先生、お休みのキス」
「あぁもう……横になる前に言ってくださいそういうのは……」
「あ! 司祭様私にもお休みのキス!」
「ちょ、あなたとはさっきしたじゃないですか」
「あれは失言の罰で、お休みのキスじゃありません!」

何故これほどに雌は面倒なのだろうとクリスは思った。この生活が続くようなら、どうにも彼女達を心から愛せそうに無い。右を向いてキス、左を向いてキス、そしてようやく天井を眺めてから目を瞑る。お休みの一言は呟き程度でクリスはそのまま眠りに付いた。
 しかし、そう簡単に彼女達が寝かせてくれるはずも無く、数分でまたクリスは目を覚ました。下腹部から全身へ伝わる痺れるような刺激とぺちゃぺちゃと響く水の音。

「ぁふ……な、何をしているんですか二匹とも……!」
「ごめんなさい司祭様、隣にすごく好きな人がいるって思ったら身体が勝手に……」
「続けて良いのよクララ、新婚初夜なんだから」
「婚姻届は届けていませんぅっ……」

言葉の最後が締まらないのはどうにもならない。弱点を突かれているのだ。
 ふと、クリスは何となく今までと感触が違うのを感じ始めた。薬を盛られたわけでもないのに身体が本能的に求める欲求と言うものだろうか、それが身体の底から湧き出てくる。

「……あ、司祭様……」
「何ですか……」
「上体起こしてみてください」

若干荒くなった呼吸を整え、クリスは上体を起こした。クララがいる、ジョーがいる、そこまでは想定出来ていた。しかし、最後に確認したものは想定の範囲外である。クリスの一物が勃起していたのである。

「な……え……?」
「治ったんですよ司祭様! 愛は強し! ですね!」
「あはっ、先生の立派じゃない」

ジョーの言葉を聞いた瞬間、クリスは端の方へ退かされたシーツを引ったくり身体を隠した。

「あ、あなた達一体何をしたんですか!?」
「何って、舐めてただけだよね?」
「うん。本で読んだから実践してみようって」

聞くところによると、長時間の愛撫によって性機能不全が治った事例があり、皮肉にも神父の事例だったらしい。

「とにかく、先生。これで交尾出来ますね?」
「あ~! 司祭様にプロポーズしたの私なんだから私が最初だからね!」

相変わらず彼女達は自分の欲望に正直だ。
 しかし、今のクリスは今までのクリスとは違った。完治ではないかもしれないが、悩みの種でもあった不能が治ったのだ。いつまた元に戻るともわからない。今のクリスに働いているのは自分の子孫を残そうと言う生物的な本能であったのかもしれない。

「……どうすれば良いですか?」
「待って。準備しなきゃね、クララ」
「え? うん……」

そう言うと、彼女は自分の秘部へ触れ、自慰を始めた。卑猥な音が簡素な寝室を支配する。

「ん……司祭様、恥ずかしいからあんまり見ないで……」
「あなた、人にはあんなことしておいて」
「それとこれは違うよぉ……」

少し涙目になっている少女を見てクリスはため息を吐いた。10歳も年の離れた少女に自分は何をしようとしているのだ。……やめる気は無いが。
 少し経ち、クララの呼吸が荒くなって来た辺りで彼女は手を止めた。

「それじゃぁ……司祭様、来て……」

彼女は四つん這いで立ち、クリスに背を向ける。愛液で濡れた秘部を見て、クリスは唾を飲み込んだ。そして少女の上に本能的に覆いかぶさった。ここまで来ると、クリスは完全に獣だった。生来感じた事の無かった性欲が一気に解き放たれ、彼の中を満たしていた。何のためらいも無しに、大きくそそり立つモノを彼女の秘部へと差し込んだ。その瞬間、クララは悲鳴をあげる。突然過ぎたし、彼女はこれが初体験であった。破瓜の痛みが何の前触れも無しに来てはそうせずにいられなかったのだろう。

「し、司祭様ぁ……い、痛いです……」
「ごめんなさい……でも、なんだか止まらなくて……っ」

またクリスはクララへ断らずに腰を動かした。嬌声と悲鳴の中間の声をあげ、クララは喘いだ。クリスはそんなことお構い無しに腰を振り、彼女の首筋に噛み付いた。噛み付かれた瞬間、彼女は短く息を吐き、ただ喘いでクリスのモノが子宮を突き上げるのを受け入れるようなった。

 「あぁ……クララ、私は……私はどうにかなってしまいそうです……」
「先生、クララその状態じゃ絶対しゃべれないよ」

嫌に冷静なジョーの声を聞いてクララの様子をクリスは初めて確認した。足は振るえ、自分と繋がるために何とか後肢だけは保っているものの、他はベッドの上に伏しているような状態だ。息は浅く早く、舌を出して涎を垂らしている。確かに今回りがどうなっているのかなど判断出来ないだろう。

「イかせてあげなよ、先生。先生もイきたいでしょ?」
「……何せ初めての感覚ですからね……どうなるのかわかりませんが、世間一般の人々がそれを望んで行為に及ぶ事もあると言うなら、悪いものではないのでしょうね」
「気持ちよさの絶頂だからね。先生も癖になっちゃうんじゃない?」

ジョーはくすくす笑いながら言う。性欲は怠惰への一歩かもしれないが、妻を愛して何が悪いとクリスは今ここに開き直った。

「『あなたの泉を祝福されたものとし、あなたの若い時の妻と喜び楽しめ。愛らしい雌鹿、いとしいかもしかよ。その乳房がいつもあなたを酔わせ、いつも彼女の愛に夢中になれ』*13

主の「喜び楽しめ」と言う命令なのだ。従わなくてどうすると言うのだろう。
 再びクリスが腰を振り始めてから数分、彼は自分の意識が少しずつ遠のくような感覚に見舞われた。けして不快ではない。むしろ快感である。そしてそのまま腰を振り続け、ついに彼は初めての絶頂を迎えた。

「ぁっ……うっ!」

何かが弾けるような、そんな感覚。そしてそれと同時に、モノから吐き出される自分の遺伝子の存在を感じた。それを一滴もこぼさないと言わんばかりにクララの秘部はクリスのモノを締め付ける。十秒ほど、彼はクララの中に遺伝子を流し込み続け、モノが収縮し始めるのと同時に秘部からそれを抜きさった。

「はぁ……はぁ……悪くはありませんね……」

その場に倒れこんだクララの頭を撫でてやりながら、クリスは呟いた。

「そうでしょ? クララもイけたみたいで良かった、雌ってイけそうでイけないからもやもやしちゃうこと多いんだよね。さてと、先生、私が残ってるんだからもう一回戦は最低でもしなきゃいけないんだからね?」
「冗談でしょう……?」
「あら、クララをひいきしちゃうの? それって悪い事じゃない?」
「わ、わかりましたよ……。でも今は少し休ませてください……」

ジョーは身勝手だと心の中で呟いた。
 その瞬間、萎えてしまったクリスのモノにジョーがしゃぶりついた。身体がびくりと跳ねあがるような刺激で、モノは一瞬にしてまた大きく硬くそそり立つ。それでもジョーは口淫をやめず、モノを吸い、舐め、歯を立てる。そんな刺激にクリスが耐えられるはずが無く、あっけなく射精した。吐き出されるその白濁をジョーは口で受け止め、喉を鳴らして飲み干していく。

「ぁ……ジョー、あなたはやはり、普通とは違いますね、色々と……」
「慣れてるからね……。さ、先生。もう一回立たせてあげるから私にも中出ししてよね」

今度は手によって立たされたモノは、ジョーの秘部へと何の障害も無く進入した。

「あんっ! ……やっぱり、正常位だよね……」
「正常位?」
「体位がいくつかあってね……」

細かい話は追い追い聞くとしよう、そう思ったクリスは続きを聞かずに腰を動かす。

「あぁん!! せ、先生ぇ、すごい……激しいっ……!」
「そ、そうなんですか……?」
「すごく気持ちいいよぉ! 先生、もっとしてぇ!!」

露骨な彼女の声に、クリスは応えてやる事にした。今までよりももっと激しく、もっと早く腰を動かし、ジョーが壊れてしまうのではないかと言うほどに彼女へ打ち付ける。
 要望叶ったジョーは涎を垂らしながらクリスへキスをし、抱きついた。それによりさらに密着して快感が生まれる。

「んっ、ふ……じょ、ジョー……出し、ますよ……」
「ふぁっ、せんせぇ、来てぇ!!」

クリスはまた射精した。残っている全てを吐き出すようにジョーの中へと精液を注ぎ込む。注ぎ込まれるたびに、ジョーの身体はびくりと動き、快感の強さを表していた。

「せん……せぇ……お腹が熱いよぉ……」
「はぁはぁはぁ……」

快感の余韻に浸るジョーを、荒い呼吸で抱きしめてやりながら、クリスは体力を回復させようとしていた。連続しての行為がさすがに堪えているのだ。

 「司祭様……」

嫌な予感を感じたクリスは振り向かなかった。

「……もう一回、相手してくれます……?」
「……私もお願い、せんせぇ……」

……最近の若い娘は体力が有り余っているようだ。




 町から少し離れた丘の上。そこにポツリと教会があった。大して古いわけではないが、建物には蔦がはびこっており、古さをかもし出している。そしてそれと同時に、ある種の不気味

さも。
 実際には、脇に小さい綺麗な墓地があるぐらいで、不気味さも見かけほどではない。
 ここにいるのは一匹のエーフィだった。彼の名はクリスと言う。教会にいるのだから、彼はもちろん聖職者である。
 彼には妻がいた。ジョー、クララと言うアブソルである。
 重婚ではなかった。単なる“事実婚”だ。
 そんな彼らに特異の目を向ける人もいた。しかし彼らは気にも止めなかった。三匹で愛し合っていたからだ。
 不能だった司祭クリスは双子のジョーとクララにその悩みを解決してもらい、愛し合った。神の啓示はクリスを幸福へと導いた。
 『愛は律法の完全なり』、愛は決まりごとなどでは縛れないのだ。

 「さて、ジョー、クララ、今日も気をつけて行ってらっしゃい」
「はい、司祭様!」
「あ、先生? 今晩またできるかな?」
「そうですねぇ……。じゃあ、宿題の予習復習が終わってからなら」
「よ~し、今日も頑張ろう! 行くよ、クララ」
「うん!」
「……あ、今日はまだ聞いてませんでしたね。ジョー?」
「『淫行を免がれんために、男はおのおの其の妻を持ち、女はおのおの其の夫を有つべし。夫は其の分妻に尽くし、妻もまた夫に尽くすべし』*14。浮気なんてしませんよ、“あなた”」
「右に同じ。じゃあ“あなた”、行ってきます!」
「頑張ってください、ジョー、クララ、私の妻達。神のご加護があらんことを」


 その司祭と双子は神から愛され、幸せに包まれていた。


あとがき

第一回帰ってきた変体選手権、第五位タイの司祭と双子の作者は私、DIRIでした
今回は公平な投票システムのようだったので他に引っ張られることは無かったんでしょうね、結構ばらついてましたし
さて、私最近スランプ気味なんですよねぇ、おかげでこの小説も投稿最終日ぎりぎりでしたよ、掲載して20秒後に日付変わって内心かなりびびりましたね
それと、私実は無宗教なんで全部にわかで書いてるんです。使えそうな格言とか名言がないか探してその意味をググってみたりして……いやぁ、資料集めで一ヶ月ほど使いました、ホントに(苦笑
今読み返して見ると、やっぱり濃厚さが足りませんねぇ、時間無かったんで走り書きでしたからね。本当なら今の1.5倍ほど濃厚になる予定だったんですがスランプが邪魔をしたため泣く泣く削ってます(汗
またもや作品に中途半端なものを出品してしまって申し訳ないです。でも少なくとも5票入ってると言うことは五人の人は私の小説を気に入ってくれたと言うことですから、ポジティブに考えます(笑
まだ精進します。いつか大会で一位を取るまで!ではまた


コメントはありません。 コメント/司祭と双子 ?

お名前:

*1 ローマ人への手紙 6章23節より
*2 ヨハネ伝 8章34節より
*3 マタイ伝 26章64節より
*4 ローマ 23章10節より
*5 コリント 13章4節~7節より
*6 色欲を司る悪魔。小心者であるとされる
*7 大天使の一人。名前はヘブライ語で“神は癒される”と言う意味。アスモダイオスを封印するために遣わされた
*8 マタイ伝 7章13節より
*9 ヨハネの手紙 1章9節より
*10 マタイ伝 第7章3~5節イエスの言葉より
*11 箴言 21章23節より
*12 テモテへの手紙第一 4章12節より
*13 箴言 5章18~19節より
*14 コリント前書 7章2節より

トップページ   編集 凍結 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2010-10-01 (金) 00:00:00
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.