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テオナナカトル(2):蜜と乳の匂いがする香油

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蜜と乳の匂いがする香油 


「もし」
 店を再開してから数日後の夜。先ほど、季節外れの雑草を埋めるために店の路地裏に掘った穴はまだまだ入りそうなので、ロイは食材の残渣をその穴に追加しようとしていた。そんな時、ロイは蜜と乳の匂いがするサーナイトに話しかけられた。
「誰だ……?」
「アッシはユミルでやんすよ」
 一言だけ言って口を閉ざした男性をよくよく見れば、僅かに間の抜けたメタモン顔をしているサーナイト姿の男性はそう言った。種族柄、ロイは夜目が利くつもりだが、メタモンである事が目を凝らさないとわからない程度なら考えればかなりの変身能力といったところだろう。

「ん……あぁ、テオナナカトルのメタモンか。確か名前はユミル=サンダーソンだっけか? こんばんは。今日はサーナイトの姿かぁ」
「こんばんはでやんす。店が落ち着くまでは待っていたけれど、店の営業も再開したみたいなんでリーダーからの伝言をいくつか……伝えに来たでやんす」
「伝言……?」
「アッシは、リーダーの命令でロイはんを監視していたでやんす。……フリージアは、弱きを助け悪をくじく事を喜びとしている仲介屋さんでやんすから……まぁ、表向きは神龍信仰の司祭さんでやんすがね。私利私欲のための依頼は受けない主義なんすよ。だから、貴方が酒場を乗っ取ると言った時……リーダーは悩みやした」
「あぁ、確かにキノコ食わされたときに言ってしまったな。『読み書きが出来るのは俺だけだから、店の経営を乗っ取る事が出来るのは俺だけ』って言うあれか。あれは、薬のせいで理性が薄れていたとはいえ失言だったよ」
「あんさんはイーブイ。貴族だから没落する前は領地の一つや二つ持っていて、支配欲でアッシたちに依頼をしたのかとも思ったでやんすが、全然そんなことなかったでやんす……正直、見直したでやんすよ」
「いや、支配欲というか、自分の領地がほしかったって言うのは間違いないよ。酒場では商人から風の噂も聞けてね……俺が昔暮らしていた土地はひどいことになっているらしい。親父も母さんも弟も妹も、生きてりゃどっかで嘆いているだろうよ。
 あそこが父さんの領地のままであったら――。そんな思いがあったのかもしれない」
 言っていると、ユミルはサーナイトの姿のままロイの隣に座った。
「支配とは混沌なのか それとも平和なのか? この質問に答えることは誰にも出来ないでやんしょうが、あんさんに支配や統治をされるなら……それは平和なのかもしれないって思いやす。いや、アッシはあんさんを監視してそう思えたんでやんす。
 もし、あんさんが私利私欲のために店を乗っ取ることを画策していたのならば、仕事は気乗りしなかったでやんすがね」
「ありがとう。そりゃ、『親父は支配されることに幸福を覚えさせろ。それが支配者の義務だ』って言っていたからさ。親父のように立派になるにはこれくらい通過儀礼さ。でも、監視って言うのは具体的にどうやって?」
 ユミルはサーナイトの姿をムクホークに変える。
「千里先も見通す視力の持ち主、ムクホーク」
 言い終わり、次はレントラーへと姿を変えた。
「壁の先を見通すレントラー。耳のいいマリルリ。波導を感知するルカリオ……」
 それぞれの姿に変身したところで、ユミルは疲れたのかサーナイトに戻る。
「本当はもっとたくさんあるんでやんすが、最もよく使う姿はこんなところでやんす。変身するのも疲れるから全部見せることはしないっすけれど……サーナイトになって感情を覗いた時のあんさんたちは本当に楽しそうでやんしたねぇ。それが貴方を始末しなかった決め手でやんす。
 領地は店一軒と、むちゃくちゃ狭いけれど……これが領主としての第一歩でやんすね。がんばるでやんす。
 まず、これがリーダーからの伝言その一でやんした」
「その二は?」
「こっちが本題。アッシらを酒場で雇ってくれないでやんすかねぇ? さしあたり、歌姫とリーダーあたりをお願いしたいんでやんすが」
「へ? あんたら金一杯あるはずじゃ……お店にスタッフ増やすと給料の取り分が減るんだがな……」
「暇なんでやんすよ。リーダーが動くべき仕事は一週間に一度来ればいいほうでやんすから、リーダーは普段踊り子をして回りながら依頼人を探しているでやんす。歌姫さんは名前の通り旅人や地元民相手に歌を歌いつつ、たまにやる薬の人体実験の仕事が主でやんすから、ジャネットさんの気まぐれでしかきちんとした仕事がないでやんす。
 ジャネットの表の仕事は産婆さんなのでそれなりに仕事はあるでやんすし、アッシは日雇い配達の仕事もあるでやんすし、たまに監視の仕事があるからいいでやんすが……リーダーと歌姫さんに決まった所で仕事が出来るようにして欲しいんでやんすよ」
「しかしなぁ。俺の酒場はそこまで儲かっているわけではないんだが。それに、裕福な者を雇っても職にありつけない人たちが困る……」
「うん、そうでやんすね。だから、お金は要りやせん……」
「給料が要らない?」
「えぇ。貴方の酒場は地元の人も利用するんでやんしょ? 悩みを抱えた地元の方から、アッシらが仕事をもらうでやんすよ。愚痴を流す場として酒場はもってこいでやんす。街の掲示板ではどうにも出来ない愚痴を聞いて、テオナナカトルがそれを解決してお金をもらう。ほら、給料をもらわなくっても意義のあることでやんしょ?
 希望する職種は客寄せの踊り子と歌い手……あんさんの酒場にはそういった職種は居ないようだし、それならほかの従業員と仕事が競合しないから給料は取り合いにならないでやんしょ? ナナさんはとても踊りがうまいから役に立つはずでやんす」
「俺にテオナナカトルを服用させてから質のいい幻覚剤を作り出した時みたく、また何かたくらんでない?」
 苦笑し、肩をすくめてロイは尋ねる。

「さぁ、どうでやんしょ?」
 と、ユミルは厭らしい顔をして見せたかと思えば、
「……という冗談はさておいて。たくらんでいるでやんすよ」
「俺にも利益のある話なら聞くが、利益が無い話なら断らせてもらうぞ」
 ロイは困り顔で肩をすくめる。
「えぇ、もちろんのこと利益はあるでやんすよ。ま、まずは給料無しで客寄せを雇えることが分かりやすい利益でやんすかねぇ。もう一つは……というよりは、アッシらがあんさんの酒場で働きたい理由から。いや、それよりも先にアッシらテオナナカトルがあんな風に隠れて裏稼業をやっている理由から話すでやんすね」
「長くなりそうだな……」
「いや、短く済ますでやんすから、とにかく聞いてほしいでやんす」
「分かった……早めに済ませてくれよ」
 ユミルの眼差しは真剣な眼差しで、聞いてあげなければ帰ってくれそうもない。仕方ないか、とロイはお座りの体勢を取る。
「ありがとうございやす、とりあえずでやんすね……アッシらがこそこそ信仰を伝える羽目になったのは神龍信仰の教会がアッシら異教徒を弾圧、排斥したせいでやんす。しかし、この頃は教会の権力が安定していたがために魔女狩りのような事は行われていやせんから、まだアッシらの活動はしやすかったでやんす。が……」
「多くの世俗騎士が没落させられた先の神権革命によって、教会は政治の実権を握ったが……内部ではごたごたしているらしいな」
「えぇ、そうでやんす。このまま放っておけば、教会は派閥争いによって分裂。それに合わせて教会が恐怖政治……とはちょっと違うんでやんすが、実質それに近い政策として魔女狩りを行うことが予想されやす。
 それを防ぐために……アッシらがこの地域の教会を統括するサイリル大司教その派閥の権威を地の底まで落とす。そのために、このお店を利用したいでやんす」
「なんだって……?」


 そこから先は、結局長い話であった。聞いているのも疲れるような壮大な計画であったが、『なるほど確かに利益がある』と、ロイも納得できる計画だ。だからと言って、人命が関わる上に危険な話でもあるのだ。簡単に首を縦に振れるものではない。
「……考えさせてくれ」
「えぇ、構わないでやんすよ。とりあえず、今日のところはこのお話だけしに来ただけでやんすから。いい返事を期待するでやんす」
 サーナイトの姿をしたユミルは、腰を折り曲げてお辞儀をする。「あぁ、そうだユミル。言いそびれていたけれど、あんたらのリーダーに良い仕事だったって伝えてくれないかな。これからは、フシギソウの子も……リーバーも平穏無事に暮らせるよ」
「どういたしまして。アッシたちも貴方の汗……と、精液を有効に使わせてもらうでやんす」
 『精液』は恥じらいながら小声で。最後にユミルはムクホークに変身し、その翼をはためかせて夜の闇に消えていった。
「さて、早く仕事に戻らないと……」
 ユミルが闇に消えて言ったところでロイは踵を返す。思えば結構時間を食ってしまった。お客さんを待たせるわけにもいかないから、考えるのは後にしよう――と、酒場に戻れば、悪夢のような光景が。


「『その時流した勇士の血は溶岩となり、死体は山となりアスト山は作られた……勇猛に戦った戦士の眠るこの土地には、時に噴火し戦いへの渇望で血を滾らせているという。そう、勇士グラードンはまだ死んではいないのだ。火山の中、カイオーガに奪われた陸を取り戻すためにいまだ虎視眈々と狙っているのだ』」
 歌っている。歌姫と名乗るハピナスが……テオナナカトルの歌姫が、客の真ん中で神龍信仰の神話を歌っていた。歌姫の名にはじない超高音域から低音域まで幅広い七色の声を出して、普段のぼそぼそとした小声からは想像できない大声で。そんなに長い時間を空けたわけでもないのに、どうやらすでに人気を得ているようである。
 それを見ながら、リーバーは「ポカーン」と口に出して言っている。
「あの、リーバー。これどういう状況?」
「あ、兄ちゃん。あそこで腕組みしてるゾロアークのお姉さんがちょっと静かにしてって言って、その後あのハピナスが歌い始めたの……そしたらみんな聞き入っちゃって……後で、あのゾロアークのお姉さんが踊ってくれるってさ」
「そう、か。行動が早いことで……」
 盛り上がっているので、ここでやめたら客足が遠のいてしまいそうだ。仕方なく続けざるを得ない状況に追い込まれたロイは二人を追い返すわけにもいかず、営業を続けるほかなかった。

 ◇

 酒場には踊りを踊るスペースを確保したことなどなかったので、ナナは椅子と机をいくつか片付けての踊り子デビューとなった。その踊りは見事なもので、膝まで届く髪を優雅に振り回し、時に鋭く爪を振るい、周りを破壊しない程度に威力を抑えた悪の波導を振り回しながら踊る。胸元で揺れる首飾りも美しい光を振りまいている。
 そればかりではない。彼女のイリュージョンの特性は、カラカラの骨やカモネギのネギ等、持ち物にまで反映される。それを利用して、時にはフラッグ*1を持ち、光る帯が舞う光景はまるで神龍(レックウザ)が空を泳いでいるような。バトンを持って金属棒を鮮やかに回転させ、室内の照明の光を反射し煌めく様は、ジラーチが夜空で遊んでいるような。
 そんな小道具を使ってやたらと多彩な踊りを見せるのだ。
 彼女が踊る姿を初めて目にした者は例外なく思わず驚嘆のため息が漏れた。見た目のよさ(イリュージョンの特性で作ったものだと、ユミルは言っていたが)もあいまって、酒場に居る男たちは賞賛の拍手を惜しみなく送るほどに。
「よ、二人とも最高だね!! ミス、イェンガルドだ!! 俺、ジョーって言うんだ。歌姫ちゃんもナナちゃんもどっちでもいいから付き合ってくれない?」
 オーダイルのジョーはグラス片手に上機嫌でナナと歌姫を難破する。
「バーカ、ジョー。お前は少しは年、考えろ!! せめて今の年の半分に若返ってからナンパしろってんだ!!」
 そこをハリテヤマのトニーが突っ込むと、爆笑が巻き起こった。ただでさえ酒で皆気分が高揚しているのもあるが、やはりナナと歌姫のおかげで必要以上に上機嫌になっていることは間違いないであろう。

「ごめんなさい。今は恋人募集していないんです」
 問いってナナは笑い、そして客に向かって――
「けれど、お店の人の許可が取れたら明日からも来ます。毎日だって来ますから、このお店の店主にお願いしてくださいね」
 というとんでもない台詞を口にした。まだロイは何も言っていないというのに、客は大騒ぎ。ロイはナナを雇う事を断れない雰囲気になってしまって、ついついナナたちがここで働くことをを許可してしまった。あの時許可しなかったら、客から袋叩きとまでは行かなくとも、客に良い印象を与えられはしなかっただろう。
 結局、ロイはなし崩し的に二人を雇うことになってしまった。ユミルの巧妙な罠である。

***

『魂に響く美声の歌姫と美しい踊り子ナナは数日もたたぬ間に噂になり、超満員とまではいかないまでも連日酒場は賑わいを見せた。特に、異国の地では豊穣を願うための踊りであるタップダンスとよばれる不思議なダンスは他では見られないものであると人気を博している。
 それが悪い事だと言うつもりは俺には無いのだが、実際のところ不穏な気配は漂っている。客の愚痴を聞いている二人に耳を傾ければ、時折自分と同じようにあの安いアパートの部屋に誘ったりしているのが聞き取れる。
 たまに妻が妊娠しないとか子供が病気とか、そんな何気ない依頼でも受けている事が分かる。そして、『明日また来てください』と言って、その客が次に訪れたときにわずかなお金と引き換えに薬を渡しているのだ。
 それを考えると、何だかほほえましい気分になる。俺は元々『異教徒は悪魔と契約している』などという迷信は信じていなかったし、教会嫌いが高じて反比例するように異端者に対して寛容になっているせいもあるのだろうが、ナナ達はとても悪い奴には見えない。
 全く、教会の言う言葉は本当に信用できないな
 特に歌姫は、年を重ねたフリアおばさんの肩をもんであげるなど、ハピナスらしい献身的な面がみられるし……やっぱり、根はいい奴なのかな?

 実際の所『異教徒は悪魔である』と言う迷信は、神龍信仰の腐敗が進み様々な宗派が対立した時期に出た教会のホラ話だ。それまで病気や怪我を治したり占いや夫婦仲を取り持つ力などを持つとされた魔女が、世界に暗黒をもたらす黒魔女*2というイメージを付けられただけの話。
 そんな時代に黒白神信仰に根ざした治療法を行うのは危険すぎたのだろう。王家が没落し教会が権力を握った今は、他にやることが多すぎて魔女狩り・魔女裁判共にかなり下火になっているものの、教会内の派閥争いが始めれば再燃するか分からない。

 で、あれば表社会に姿を現すには危険すぎる。だからこそ、表社会ではそれらしい職をもって溶け込み、裏ではあの時のようにいろんな仕事を受けているのだろう。
 そんな苦境にあって、社会の裏で信仰も教義も薬学の知識も絶やさずにここまで伝えてきたテオナナカトルのナナやその先代(あるいはそのようなもの)たちは称賛に値する功績の持ち主だ。その功績のためには汚いことや酷い事もやってのけたかもしれないが、時代が時代なら良い医者になっていただろうに。権力の保持のためにひねりつぶされる弱者の存在と言うのは悲しいものだ』

テオナナカトルの構成員、ロイの手記より。神権歴2年、1月4日
 ◇

 なんだかんだ言って、ナナと歌姫のおかげで客の入りも良くなり、毎日が充実してきた事をロイは心の中で感謝していた。テオナナカトルの様子はと言えば、相も変わらずの大人気である。山が雪に閉ざされているせいで旅人も少ない冬の時期とはいえ、アルナ半島北端の港町ケルアントとイェンガルドを行き来する物流商たちにも好評で、常連さんと一見さんで差別化するのには苦労したものである。
 テオナナカトル本来の活動の方も好調らしい。最近、宝石商から依頼があったとかで、テオナナカトルのメンバーは薬の材料集めに躍起になっているらしい。いったいどのような依頼があったのかロイには知るべくも無いが、なんとなく気にはかけている。

 そんなある日のこと。
「リーバー。明日の朝も勉強しような」
 店の後片付けの最中、蔓を器用に操りきびきびと働くリーバーにいつも通り話しかける。いつもならば、『うん、ありがとう』なり何なり喜ぶ言葉が入ってくるのだけれど、今日は何やら事情が違う様子。
「ごめん、兄ちゃん……」
「ん、どうした?」
「あのね、ナナさんと歌姫さんの家に遊びに来ないかって誘われているの。なんでも僕、もうすぐフシギバナに進化できるみたいでその前に何かやってみたい事があるんだって。で、明日の朝はナナさんの家で過ごすから……今日は泊まっていけってさ。ユミルさんも来るんだって」
「へぇ……」
「『へぇ』って、ちょっと何さその顔」
 不安がないわけでもなかったが、まぁナナ達ならば夜道を歩いても問題ないだろうし、たまには勉強を休むのもよかろう。ロイはリーバーと勉強するのは嫌いではなかったが、年中無休の酒場の仕事に加え勉強というのはやはりつらいものがあるので、休みたい欲求はあった。
「いや、ちょっと気になる事があってね。でもいいや……明日くらい勉強は休憩にしてもいいだろう。何やるかは知らないけれど、夜道の独り歩きは危険だから気を付けて行けよ」
「大丈夫。ナナさん強いでしょ? 送ってもらう予定なんだ」
 ナナの戦闘能力は確かに高い。国家のために戦う事を信条としていた貴族として情けない事に、集団を相手にするときの強さはロイ以上の強さだったりもする。ロイとて一対一ならばナナに後れをとる事は無いだろうが、持久戦を得意とするロイは集団を相手にするのにはとことん向いていないのだ。
 こだわりスカーフを巻いて、良く研ぎ澄まされた爪で敵の急所を一閃するナナの腕前は、ロイには持ちえない戦闘能力の一つである。それを利用した戦闘では、酔って喧嘩を始めた客達の騒ぎを一瞬で止めたほどだ。ロイの主力技である毒々ではそうまで器用にはいかない。
(リーバーの勉強が十分になったら、俺も特訓する必要があるかもしれないな。体だけ鍛えても戦闘の勘はどんどん失われていく)
「あ~、うんそうね」
 ナナの戦闘能力を悔しく思いながら苦笑し、ロイは生返事をリーバーに返す。
「もう、どうしたの? あ、もしかしてナナさんの家に誘われたことで嫉妬している?」
「違うよ。大体、言ったろう? 俺は奴らが酒場で働く前からちょっとした知り合いだったって。俺が嫉妬したのは、ナナの喧嘩の強さだよ……いつかまた特訓しなきゃって思ってる。とりあえずはまぁ、あれだ。楽しんでこいよ」
「うん、いつもありがとう兄ちゃん」

 そうして、掃除が終わったリーバーは後意気揚々とナナについて行く。殺されたりする心配はないだろうが、ナナだけでもそこはかとなく危ないというのに、加えてユミルが居る以上(居なくても)何かよからぬ目的があるだろうなぁ――とは薄々感づいている。何せ、テオナナカトルは役割分担がきちんとなされていて、ジャネットは薬の調合が仕事で、他の三人と違って客寄せはほとんどしない。歌姫は人体実験の被験者及び客寄せ。ユミルは偵察、配達及び薬の材料の調達。ナナは薬の材料の調達と客との交渉。
 必要があれば身に降りかかる火の粉の除去も彼女がメインで担当していて、ロイがうらやましがる戦闘能力の秘訣もそこにある。
 つまるところ、薬の材料の調達係が二人も居る場所へリーバーは誘い出されたことになる。

リーバー(あいつ)……何か変な事されるんだろうなぁ……」
 何が行われるのか激しく気になったが、だからと言ってナナ達を監視するのも野暮であるし、危険がないのであればまぁいいだろう。休みの欲求には勝てないロイは、その日大人しく酒場の二階にある住居にて眠ることにした。
 この住居の借主シドは特に身寄りのないままに死んでしまったので、家はそのままロイが管理することになっている。無論のこと、家賃は今までシドが払っていた通り家主へと渡しているが、リーバーと一緒に住めるだけの広さと家具があるというのはお得なものである。
 それまで寝起きしていた地下室では寒さが外よりも凌げる程度であったが、今はベッドで眠る事が出来る。リーバーが隣にいないのは久しぶりで、最初は少しばかり寂しかったが、今ではもう新しい寝床に慣れていてロイはすぐに眠りについた。

 ◇

 ナナの住処は、住宅街のアパートの一室にある。ロイが訪れた事のあるジャネットのアパートに比べると、管理が行き届いていると言えるアパートではあるが、所々老朽化が進み建てつけが悪い場所もそこかしこに見受けられる。
 そんなアパートにあるナナの部屋は、小ざっぱりとした木製の調度品が多数置かれた部屋である。ジャネットの部屋とは違って薬の材料の匂いはしないけれど、爪磨き用の布やオイル。髪の手入れに使うのであろう櫛や手鏡。メブキジカの角で出来たペーパーナイフ。その他色々な物がそこらへんの机に転がっていたりとだらしなさが垣間見える。
「ごめんね~、散らかっていて」
「ナナってば、相変わらずだらしないでやんすねぇ」
「もう、相変わらずとか言ったら、いつもこうしているみたいで誤解されちゃうじゃない」
「いつもこうでやんしょ」
 うねうねとしながら形を一定にしないユミルが、お手上げポーズのつもりなのか、触手のように体に一部を伸ばして見せた。
「はは、ロイさんはいっつも綺麗にしていなきゃ落ち着かないから、何だかこういう部屋は久しぶりだなぁ……美人な人はきっちりしているイメージがあったけれど違うんだね」
「こいつぅ! それ、美人って褒めているのか、だらしないってけなしているのかはっきりしろぉ」
 ナナの部屋を見た感想を思いのままに口にするリーバーにカチンと来たのか、ナナはリーバーの首を腕でくるんでこめかみを拳でグリグリする。
「わわ、勘弁してよナナさん」
 口では嫌そうにしているリーバーだが、顔は笑っている。まだ、ナナや歌姫が酒場で働き始めて一ヶ月と経っていないのだが、大分打ち解けている様子。
「はいはい。それじゃこの辺で勘弁してあげますよ、っと。さて、それじゃあ今日リーバー君を呼んだ理由を説明するわね」
「はい、何でしょう?」
 酒場で働いている時そのままの口調で、リーバーが答える。
「貴方がフシギバナに進化すると、他人の闘争心を押さえる香りを背中の花から出す事が出来るの」
「うんうん」
「進化する直前になると、進化に備えてその香りがする蜜をため込む袋が体の中で発達してね……フシギバナになるとその香りが一気に外へ放出されるわ。でも、進化する直前と、進化した直後は本当に濃い香りなんだけれど……進化してからは一日も持たずに香りが4分の1以下になってしまうのよ」
「へぇ~……そうなんですか」
「でね、その香り成分なんだけれど……今のうちに採集しておけばとてもいい薬になるのよね」
「薬……に、なるんですか?」
「絶対痛くさせないから、採集させてくれないかしら? お礼もするし、美味しい料理も出してあげる」
「え~……いいけれど、具体的にどういう風に?」
 何やら訳の分からない展開にリーバーは付いていけない様子。ロイのようにある程度の学がないと理解するのはつらいのだろう。そもそも、薬がどんなものから作られているのかすらリーバーは分かっていないのだから。
「まずはね、貴方の背中に付いている蕾を緩ませる作業から始めるの。これは私がメインでやらせてもらうわ」
「そこから先、緩んだ蕾の中にアゲハントのような長い口のポケモンが突っ込んで吸い出すでやんす。これは、アッシがアゲハントに変身してやるでやんす。ちょっと気持ち悪いかもでやんすが……それ以外はあんさんに痛い事も嫌なこともさせないつもりでやんす」
「う~ん……」
 ユミルの言葉に怖気づいたのか、リーバーは考え込んでしまった。
「仕方無いわね」
 悩むリーバーを見て、ナナは微笑みながら溜め息をつき、肩をすくめる。
「作り置きしておいた食事と、すぐに料理できる食材があるから、温めて食べましょう。話はそれから。とびっきり美味しいんだから」
「ナナの料理は最高でやんすよ~。リーバー君も運が良いでやんすね」
「え、食べさせてくれるの? やったぁ!!」
 客の食べ残しや売れ残った料理はまかない料理代わりに従業員全員で処理するとはいえ、最近はナナと歌姫のおかげで客がひっきりなしに来るため、売れ残りの量も極端に少なくなっている。そのせいでまかない料理を殆ど食べられない日も多く、最近は仕事が終わってから何も食べていない時は、腹が減る前に寝てしまうのがリーバーの定番となっていた。しかしながら、今日のように起きていると当然腹が減る。
 そのせいなのだろう、ナナが食事の話を切りだした時のリーバーの嬉しそうな顔。リーバーの顔を見て釣られて気分が良くなったのだろう、ナナは笑顔を綻ばせる
「そうよ。友達が薬に使うコショウを少しだけれど譲ってくれたのよ。他にも香辛料がたくさんあるから、出来たて料理に挽きたて香辛料を掛けて食べましょう」
 ナナはそんなことを良いながら嬉々として台所へと向かって行った。

 時間帯は深夜。すでにこの集合住宅の住民はこの部屋を除いて全員が寝静まっているが、この部屋は大いに賑わっていた。ナナが暖めなおした兎肉を煮込んだシチューに、その場で複数のスパイスを混ぜ込む。
 粉末が真っ白なシチューの表面に浮かび上がると、熱によって発生する上昇気流で食欲をそそらせる香りが舞い上がった。
「うわぁ……こんな香り始めて」
 時に、同じ重さの貴金属で等価交換*3とさえ言われるほどの高級品と認識されていた調味料を小さじ一杯加えたのだ。これだけで何の変哲もないシチューが酒場には気軽に出せないほどの高級料理に変わった。スパイスに慣れないリーバーの賞賛も頷ける。
「私たちは鼻がいいから、香りをつける料理は得意なの。はい、もう一品」
 そして、そのもう一品は塩コショウとナツメグを効かせたシンプルな肉の串焼き料理。厚切りにされた草食獣の肉は、顎が筋肉痛を起こしそうなくらいに硬く締まり、いかにも美味しそうだ。
 肉のうま味を引き立てるスパイスの風味は、ただでさえ腹が減っていた三人の食欲を一気に掻き立てた。ロイから(有料で)譲ってもらったラム酒も添えられたそれは、祝い事と見まがうばかりの高級料理さながらだ。
 リーバーはそれらを夢中でかぶりつくのだが、その料理には幾つか精力剤として使われているものが混在している。ニンニクや蛇の肝といった民間でもよく用いられているものは当然として。これはテオナナカトルならではとも言うべきか、和え物として添えられた本来は食べられないが、毒抜きによって食用に耐えうるキノコや根菜なども存在している。

「そんなにもリーバー君はロイを尊敬しているの?」
「そりゃそうだよ……前の店主には色々迷惑掛けられていたけれど、それを助けてくれたのも兄さんだし。本当に女でない事を恨んじゃうくらいロイは格好良いんだから」
「そう……もう悪夢は見ないのね?」
「うん、ってなんで僕が悪夢見ていたこと知っているのさナナは?」
 尋ねられて、ナナは妖艶な表情でリーバーを見る。
「なんとなく、よ」
「なんとなくでわかるモノなの?」
「うん、分かるわよ。ところで、女の子とは恋愛してみたいとか思ってる?」
「そりゃ、まぁね……っていうか、初体験が男なんで、早く消毒したいって思う」
「やだ、ストレート!!」
 と、ナナはおどけて笑い、リーバーの額にデコピンを喰らわせた。
「いやぁ、本当にロイ君がいなかったらリーバー君はもう自分に自信が持てなくなっていたかもしれないわね。けれど、ロイは君を支えてくれた……自分も辛いはずなのに。貴方は幸福ね、ロイに出会えて……」
「あはは……やめてよ。このままじゃ僕ロイに惚れちゃいそうじゃない」
「うん、それくらいなら大丈夫かしらね……」
「なんのお話?」
「薬の材料の採集のお話よ。貴方の事も考えないといけなかったけれどその必要もないみたい」
「な、なんか怖いんだけれど……」
「さぁ、どうでしょうね?」
 ナナは優しく微笑んでリーバーの鼻先を指でつついた。

 そして、リーバーが皿を空っぽにすると、ナナは食器を片づけ始める。
「おなか一杯食べちゃうと、それはそれで眠れないからね。今日の夜は少しだけ。残りは朝に食べましょう」
 ナナの言葉どおり、シチューの量も串焼きの量も控えめではあった。腹八分目までいかず五分目ほど問いったところだろう。この後すぐに眠るのだから、それでも十分といえばそうなのだけれど、もうちょっと食べたかったなぁ――と思っていたのはリーバーで、目的が目的なためか他二人にとってはこのくらいがちょうどいい。
「さて、ところでどうかしら? お薬の材料の採集に協力してくれるかしら?」
「ちょっと断りにくい状況作っちゃって申し訳ないでやんすがね……」
 リーバーはラム酒によって少々ほろ酔い気分。満腹感とも合わさって警戒心が鈍くなってしまったためなのか、ナナとユミルの頼みごとには、
「うん、いいよ」
 と答えてしまった。
「そう、ありがとう」
 言いながらナナはリーバーの頭を撫でる。
「それじゃあ寝室に向かいましょ。ベッド二つしかないから狭いけれど、あなたはいつもロイと一緒に寝ていたんだし、構わないわよね?」
「あ、うん……でも、いいの? 確かにロイとは一緒に眠っているけれど……その、ナナは女の子だし」
「いいのよ、貴方が襲ってきたところで私には勝てないでしょ? それに貴方が私に欲情して襲いかかるなんて無いと信じているわ」
「またナナはそんなことを言って……相手はまだ子供でやんすよ」
 母親以外の女性と一緒に眠った経験がなかったリーバーは、一緒に寝ることにドキッとしていた。男に強引に犯されたときはとても怖くて痛くて苦痛だったけれど、女性との性交は対照的に憧れである。
 この冬の季節、草タイプの自分が一人で眠ると寒くて眠れないけれど、これでは熱くなって眠れないかもしれない。
「そ、そうだよね……ロイから毒々を教わったくらいの僕じゃあ襲うのは無理だよね」
 もちろん、そんな女性との添い寝に高ぶる本心を口に出すのは恥ずかしいのでリーバーは適当に誤魔化した。
「あら、女の子と一緒に寝るのは母親以外では初めて? そんな初めてを貰えるなんて嬉しいわ」
 でも、ナナにはリーバーの気持ちなどお見通しのようである。何せ、リーバーの顔はわずかに赤らんでいるので、商売人として顔色を伺う経験がたびたびあったナナには、それを見破ることなど造作もない。
 ナナに自分の気持ちを看破されたリーバーは、さらに顔を赤くして顔を伏せる。その様子が非常に可愛らしいので、横目で見ながらナナは微笑んだ。

 リーバー達がベッドルームへ行くと、甘ったるい匂いと、苦い匂いがわずかずつ漂っている。それに蜜と乳の匂いも混ざっているようだ。
「ふあ……これ、何の匂い? いい匂いだね」
「バニラとカカオの匂いよ。バニラはお菓子などに甘い香り付けするためのもの。もう一つのカカオは、泡立てて香辛料を加えて飲むためのものよ*4。二つとも、大人の男女をソノ気にさせる効果があるのよ。貴方が襲うまでもないわ」
「え」
 という間もなく、抱き上げられたリーバーはベッドに投げ出された。
「あの……」
「何かしら、リーバー?」
 意地悪な瞳でナナが尋ねる。
「何、じゃなくてその……」
「嫌なら言ってくれてもいいのよ。私たち、無理やりにでも薬の材料が欲しいわけじゃないから」
「え~と……なんていうか、本当に嫌なら言ってくれでやんす」
 不安そうに顔を引きつらせるリーバーへ、ナナは悪びれる様子のない笑顔で答え、いつの間にか雌のチラーミィ、リーバーは気にも留めていなかったフリージアに変身していたユミルは少々申し訳なさそうに答えた。
「嫌じゃなくて……こういうのはダメなんじゃない?」
「嫌じゃないならいいじゃない。大事なことだから二回言うけれど、嫌だったらいつでも『嫌だ』言ってね。で・も……『やめて』って言っても『ダメ』って言ってもや・め・な・い・か・ら」
「同じく。アッシもその方針で行かせて貰いやす」
 ウフフ、とばかりに誘惑する笑みを浮かべて、ナナがそっとリーバーの耳を食む。同時にユミルに舌を絡められ、二人に押し付けられた刺激を受けて全身に電撃が走ったかのようにリーバーは硬直。眠気で萎れかけていた背中の花もピンと立ち上がってしまった。
「あの、その……」
「嫌かしら?」
「嫌でやんすか?」
 今までになく緊張した心と体を抱えて、リーバーはまともに言葉も出ない。言いあぐねるリーバーを、二人はたたみかけるような言葉で状況を脱出する手段を封殺する。だけれど状況を脱しようと考えている時点でまだ不十分だ。そんな考えも起きないように、とナナはリーバーのわきの下をくすぐり、ユミルは先ほどナナが食んだ耳をもう一度食む。
「ひぅっ!!」
 まだ熱を帯びない性感帯を触れられても快感こそ走らなかったが、さらに体を萎縮させる効果があった。すっかり縮こまって湧き上がる欲求に耐え抜こうとする姿は、まるで蛇に睨まれた蛙のよう。
「嫌じゃないのね?」
 我を取り戻してしまう前に、快感の虜にさせてしまおう。ナナは少々急ぎすぎな気もしたが、股下にあるスリットまで指を這わせる。今まで男にこういうことをされた経験はあっても、女性に対してはまったく免疫がないリーバーは、スリットの中で自身の肉棒が徐々に肥大化するのを感じた。
 性別が違うだけでこうまで違うのか――なんて胡乱な頭で考える余裕があったのはそこまでで。
「嫌じゃないなら、続けさせてもらうわ」
 リーバーは前足を浮かされ、ベッドの上に座らされる。なされるがままのリーバーの視線の先には、30度ほどの角度をつけた膝立ちで雌の割れ目をさらけ出すユミル。ユミルが行うチラーミィへの変身は、その種の知り合いと深い親交があるだけに堂に入ったもので、嫌でもリーバーの目に入るそれはまさしく処女のそれといえる桜色。
 そんなものばかり凝視しているからナナやユミルが触れているわけでもないのに、気がつけば彼の肉棒はきっちりと自己主張をする。
「わわぁ……見ないでぇ」
 羞恥心から紡ぎだされるそんな言葉も、シドに犯されている時と比べれば弱々しいもの。本心ではもっと見てくれとねだっているようにすら思える心の迷いが見て取れる。
「やーだ」
 四肢の構造上、手も足も大切な所を隠すのには向いていない。四肢を床に触れさせている状態ならば隠せようが、座らされた状態では四つん這いに戻ることもかなわない。強引に戻ろうとしても、二人掛かりで抑えられてはまず腕を離させることを考えなくてはいけないけれど、攻撃したくなるほどの嫌悪感はもち得ない。
 シドに犯されている時は恐怖で抵抗できなくて、それはもう酷く泣きたい気分にさせられた。だがしかし、女性にこうして見られることは案外悪くないかもと、異性に対しては寛容なリーバーの性的思考が抵抗心を妨げる。
「さて、どこが気持ちいいかしら?」
「うぅ……」
 あんなに触れられるのが嫌だった肉棒も、乱暴に握って無理やり快感を引き起こすのではなく、柔らかい手のひらで卵を握るような手つきで触れられては激しく拒むことなど出来ない。
 身をよじって逃げようとして、体は意思に反して腰を突き出す。
「嫌がっている割には体は素直じゃない。嫌がるのは私をその気にさせるためのフリかしら?」
「そんなこといわれてもぉ……」
「嫌なら嫌と、はっきり言わなければダメでやんすよ。言っていないから、ガンガンやっちゃって大丈夫でやんすね。照れることは無いでやんす……男の子はみんなエッチで丁度いいくらいでやんすから。もっとエッチになっても問題ないでやんすよ?」
 耳に息が触れる距離からのユミルのささやき。生暖かく甘ったるい香りのする吐息に快感を呼び起こされ、リーバーの体はゾクゾクと震え上がった。
 ナナもユミルも攻めるときは容赦ない。親しく仲の良い相手からもてあそばれる快感を知らない幼いフシギソウには本気で嫌がるなんて出来ることではない。好奇心と本能だけが先走って、心のどこかにあった貞操観念は置き忘れ。
 ロイに言われた『性病には気をつけろ』なんて言葉だって、最早どこまで意味を成すことやら。肉棒をやんわり包み込んだナナは、じれったいほどにゆっくりと扱きあげるだけ。本能は、腰を前後に動かしてしまえば気持ちよくなれるぞと教えてくれるが、座らされた体はその行為を許してくれない。

「あぁっ!!」
 そうして前方にばかり気を配っていると、不意打ち気味な背中の愛撫に対応できない。まだ硬く閉じられた蕾の花弁を、これまた綺麗なピンク色の舌で撫でられる。加えて、数多のポケモンの中でも格別な手触りの良さを誇る体毛を押し付けられて、思わず上がる甘い嬌声。
 初めて攻められた場所でも感じてしまうのは、チラーミィに変身したユミルのメロメロボディの力か、それとも絶妙な力加減を与えるテクニシャンの力か。
「よし、その調子でやんす」
「その調子その調子。どんどん気持ちよくなるのよ」
 背中をじわじわ支配していく快感に負けて、徐々に体は海老反(えびぞ)っていく。容赦の無い快感から逃れようと、リーバーは首を振り体を捻って抵抗する。
「こっちも無視しちゃいけないわ」
 が、今度は背中にばかり集中しているせいで、ナナの不意打ちがクリーンヒットする。
「うあぁぁ!! ……ふぇ?」
 突然に握る力を強められて、まだ射精にはいたらずとも肉棒がビクンと跳ね上がった。すぐにでも防波堤が破壊されそうな快感をナナに与えられて、しかしてナナは射精を許さない。一回の不意打ちだけして、そこから先は手を離し、鼓動に合わせて揺れさせるに任せる。
「じゃ、ユミルお願いね」
 射精してからでは、蕾の感触も鈍ってしまう。今回、快感を与えることが目的ではなく蕾から匂い成分を抽出することが目的なのだからまずは蕾から処理しなければならない。
「かしこまり、ナナ」
 『お願いね』の一言と長いまつげを揺らすウインクで、ユミルはそろそろなんだと理解して、最後に蕾一舐めするとアゲハントへと姿を変えた。
 行為に入る前は硬く閉じられていたそこも、二人掛かりによる愛撫の波状攻撃が程よく解していた。わずかに隙間が開いてヒクつかせる未発達な花弁を細長い口器が押し広げ、貫いた。
「はあぁぁぁぁっ!!」
 思わず咆哮を上げるほどの快感。驚愕よりも羞恥よりも先に本能が快感に身を任せろと命じたようで、絶対に離さないぞとばかりに蕾が口器を咥え込む。お世辞にも強い締め付けとはいえないため、ユミルが匂い成分を吸い取る作業に支障は無い。
 方向を上げるほどの快感に飲まれたリーバーは精根尽き果て、荒い息をつく。その傍らでユミルはアゲハントの口に含んだ香り成分をビンの中に封入していた。
「蜜腺の刺激……お尻のほうにある前立腺よりも強いのかしらね? ここまで激しく感じられると……まぁ、いいか」
 ぐったりしたリーバーを眺めながら、ナナはこともなげにそんなことを言っていた。
「リーダー、すごい投げやりでやんすすね」
「あら、変身を解いたってことは、瓶への封入は終わったのね? 首尾のほうはどうかしら、ユミル? すごくいい香りがするけれど」
「ばっちりでやんすよナナ。フシギソウの処女蜜は思わず飲み込みたくなってしまうくらいいい香りでやんしたが、きちんと全部ビンに入れたでやんす……ちょっともったいない気分」
「よし、それは明日ジャネットに渡してあげるとして……まずはリーバー君をどうにかしなきゃ……」
「体ならアッシが拭いておくでやんすから、リーダーは手を洗ってきたらどうでやんすか? 射精はさせなかったとはいえ、色々匂いも付いているでやんしょ?」
「そうね。じゃあ、後始末をお願いするわ」
 ナナは部屋を出て行こうとして、一度だけリーバーを振り返る。
「あ、リーバー君。こんなのでよかったらフシギバナに進化してからも、いつでもお相手してあげるわよ」
「リーダー……」
 呆れたユミルは思わず普段の呼び名でナナを呼ぶ。
 「勘弁して」とリーバーが漏らした声は、ナナには聞こえなかった。

「リーバー君……ロイの言った通りきちんと乗り越えているみたいね。強い子だわ」
「テオナナカトル。無駄になっちゃいやしたね」
 ナナ達の所属する団体の名であり、服用する薬の名前でもあるテオナナカトルとは『神のキノコ』と言う意味だ。リーバーの心の傷をえぐることになるとも考え、数年分の精神治療を一晩でやり終えてしまうとすらいわれているこのキノコを使うことも考えたのだがどうやらその必要もなかったようだ。
「このじゃじゃ馬……フリージンガメンがロイを仲間にしろと言ってきたけれど、ロイ……案外、良い逸材かもしれないわね」
 ナナは自身の首にかかった琥珀の首飾りを見て微笑んだ。
「そうでやんすね。ロイさんがリーバー君を立ち直らせたんだとしたら……そりゃ、すごいことでやんすし」
「うふっ。ロイってば酒場の件や大司教の件も含めて、持ちつ持たれるやるのが楽しくなってきたわ」
 世話焼き上手なロイの手腕に改めて感心した所で、ナナは嬉しそうな笑いを見せる。リーバーを通してロイの良さを知ったナナはふふっとほくそ笑んだ。

 ◇

 リーバーの目覚めは存外にさわやかな物であった。行為の直前に精の付く料理を食べたとて、行為に際して積極的になれるほどの即効性はないのだが、明日の朝の目覚めには影響したようで。不思議と体に湧きあがる気力や、力がこもる四肢の感触は今までに感じた事が無い程だ。それが、セックスによって与えられた活力なのか、それとも料理によって与えられた活力なのか――実際の所は後者であるのだが、未熟なリーバーはいまいち理解する術を持ち得なかった。
 目覚めてみるとベッドルームにはすでに自分以外に誰もおらず、慌てて居間に躍り出るとそこには例の二人が居た。安心したのやら恥ずかしいのやら、複雑な気分がこみ上げる。すでに朝食の用意をしているようで、しかもその様子が楽しそうだからとても話しかけづらい。
「おはよう……」
 何とも控えめなリーバーの挨拶。声の大きさはやっと聞こえる程度。目線をまともに合わせることもなく、気まずさだけは一人前に強かった。
(昨日は酔っていたからなぁ……)
 どうやら、今の挨拶は小さ過ぎて聞こえなかったようだ。
「おはよう」
 昨日の事が夢だったら良いのにと、溜め息をついてもう一度リーバーは挨拶をする。
「あら、おはよう。体の調子はどうかしら? 昨日は元気が出るお料理たくさん食べてもらったけれど……効果は出てる?」
「……体の調子はすこぶるいいけれど」
「けれど、何かしら? そんなに連続して背中の香り成分は取れないから、昨日の続きをやりたいのならば後一週間は待ってもらわなきゃ。処女蜜よりも品質は落ちるけれど、フシギソウであるうちは非常に質のいい蜜が取れるからね」
「勘弁して……」
「あら、昨日も同じ事言ってやんしたね。ナナ、やっぱり子どもには刺激がきついんでやんすかね……無茶でやんすよぉ」
「そうね~……お子様だし。でも、フシギバナになっちゃったらそれはそれであの純度の高い香りは得られないし……ふふ、残念ね」
 自分を置いて進んでいく会話によって込み上げる強烈な恥ずかしさと若干の悔しさ。ロイに子供扱いされるのはいいけれど、こいつらに言われるのは我慢できない。
「子供じゃない!! 子供扱いしないでよ」
「じゃあ、一週間後またこの家に来て同じことをやりましょう。大人ならそれくらいできるからね……うふ、歓迎するわ」
「あ、いや……それは勘弁して」
「あら、大人の男に二言は無いのに……子供扱いされたくないといいながらも、やっぱりお子様ね。なら、仕方ないわね……お子様だもんね」
「また、来ます……」
 どうやらリーバーはまきびしを踏んでしまったらしく、腕組みをしながら見下ろすナナによって言いくるめられてしまった。そのやり取りを笑いを噛み殺すようにユミルが見ている。
「ナナってば相変わらずでやんすねぇ」
「いいじゃない」
 未だに笑い続けるユミルとほくそ笑むナナ。リーバーだけが、その顔に笑みを保ってはいなかった。

 ◇

 最近のロイは仕事の休憩中にナナと話すのが日課となっている。この休憩時間と言うのも大抵は数分くらいしかないのだが、立ちっぱなしの仕事が続いた後に足を落ち着けることが出来るのは貴重な時間だから、出来れば心まで休ませたいものだ。
 休み時間を重複させるわけにもいかないため、リーバーとは話せない以上、ナナとの会話で心まで休まるのは嬉しく、この日もまた設けた休憩時間中にナナとの話に興じていた。
「と、言うわけなのよ」
 ほのかにフシギバナの花弁を彷彿とさせる匂いをかもし出しつつ、ナナは昨夜の顛末をかいつまんで話し終えた。
「案の定薬の材料の採集か……リーバーは抵抗しなかったのか?」
「もちろん。貴方が思うほど、私達は鬼畜じゃないわ。それに、出来れば貴方にも嫌われたくないしね……楽しんでもらったわ。」
「うん……まぁ、そうだろうな。男に犯された時は物凄く泣きわめいていたし俺に甘えてきたけれど、あんたからはされても大丈夫みたいだ。ま、女に犯された事なんて恥ずかしくって話せないのかも知れんがね。だが、お前のやっている事はあまり褒められる事じゃない……子供を弄ぶのは程ほどにしておいてくれ」
「心得ているわ……というか、本当は昨日の内に薬を採集するつもりじゃなかったし」
 ロイが不思議そうな顔をしてナナを見る。
「貴方が、リーバーの心の傷をよく癒してくれたからよ。貴方が支えてくれたからこそ、あの子はセックスに寛容になれた節があるわ。貴方は面倒見が良いのね」
「そ、そうかな? 俺は弟が出来たみたいで可愛かったから……大切にしただけなんだが」
「そういう打算のない愛が、人のささくれ立った心を癒すのよ。そして、リーバーが私のことを本気で嫌がったら、薬の材料の採集なんて出来なかった……だから、私達はまず心の傷を癒すことから始めようと思って……その必要もないから早いうちに採集してしまったわけだけれど」
「それ……俺は褒められているってことで良いの?」
「もちろん。貴方は、慕われる才能があるわ」
 それにね、とナナはブリっ子のようなポーズをとって笑う。

「それに、リーバー君の意志以上に大切なこと。本番はしていないの……貴方の時もそうだったでしょう?」
 ロイは、初対面の日にされた記憶を呼び起こす。テオナナカトルの力によって曖昧な意識の中であったが、確かにロイはナナの秘貝に触れた覚えがない。
「確かにほっとしたが……考えればそれはそれで残念だな」
 記憶をたどって確かにそうだと納得したロイはおどけて笑う。
「だがまぁ、性病には気を使っているようでいいことだな。でも、どちらにせよリーバーは俺の大切な弟だ。あまり変な道に引き込まないでくれ」
「変な道? 大丈夫。次は自分から『来る』って言ってくれたのよ」
「それ、大丈夫って言わないから……変な道に十分片足浸かっているじゃないか? いや、奴が幸せならそれでいいって言ってやるべきなのかなぁ?」
「大丈夫だって、あの子も正常な男の子っていう意味では。貴方の知らないうちにリーバー君は大人の階段登っているみたい。貴方も登り遅れないように注意しなくっちゃね」
「大人の階段とか、生まれた時から婚約者がいたから考えた事もなかったなぁ……。男は妻が嫌がろうとも強引に持ち込み、女は夫から持ちかけられたら、相手がゴキブリでもそれに応じろって言う世界だから」
 ロイは自嘲気味に笑う。
「でも、庶民は愛し合って伴侶を決めるんだったな」

「ふふ、そうよ。愛し合う必要があるの……精神的な意味でも、肉体的な意味でも。それをしないで伴侶を決められる貴族は、浮気が日常茶飯事だとすら聞いたわ」
「そうだね、親父の友人もみんなしていたよ。親父も誘われた事があるんだって。……伴侶に恋を出来ない分、浮気に恋を求めるんだろうね」
「そうね、恋って素敵だもの。素敵な恋をしたいならば……惚れ薬、貴方になら安くしておくわ」
「いらねぇよ」
 ロイは口を尖らせた。

「あら、そう。恋は自分の力で勝ち取るだなんて……純粋な子ね」
 ぶっきら棒なロイの答を楽しそうにナナは受け入れ、ロイの頭を面白がって撫でる。
「それはそうとさ、リーバーを弄んだ結果どんな薬を作りだしたんだ?」
「まだ完成していないけれどね……この薬の名前は『原初の牝牛のアルセウス(アウズンブラ)の母乳』。ミルタンクの母乳に含まれる子供を安心させる香りを抽出した物と、貴方にテオナナカトルを食べさせた時の汗をごく少量と、それとフシギソウの香り成分とを合わせると、他人の警戒心を極限まで引き下げる力を持つの……世界の始まりからいたという生物の母乳もきっとこんな匂いだったのでしょうね。いい香りよ。
 母親に抱かれている赤ん坊のよう名安心感を得ることが出来、匂いになれていない人は子供のように甘えたい気分になるわ……と、言っても貴方の場合は母親に抱かれるんじゃなくって咥えられているような気分かしら? 貴方の母親もイーブイなんでしょう?」
「ん……まぁね。まだ元気にしているかな? ま、どっちでもいいけれど……でもさ、いない家族の話はやめよう。お前だって、どうせ家族についてはロクな事を話せないんだろう?
 お互い、辛い過去は突っつきあいは無しの方向でいこうぜ」
「痛い所を突くわねま、肯定だけはしておくわ」
 ナナは相変わらず笑顔のまま葡萄酒を口にした。確かに表情は笑顔のままであったが、ロイの目には少々影を落としたように見えたのは、きっと間違いではないはずだ。
「おやまぁ、勘で言ったが本当だったとはな」
「なに、騙したの……悔しいわね」
 ナナはぶすっとして口の形を歪めて見せた。珍しい表情をしたナナに、ロイは微笑んだ

 会話が止まって話題も無くなると、ナナは頼まれもしないのに語り始める。
「この薬はね。そうやって落ち着かせる効果を楽しむ事……例えば、貴方が赤ちゃんみたいに甘えてみたくなったら、この薬を服用させていくらでも甘えさせてあげるわ」
「赤ちゃんプレイは遠慮しておく。年下……に、見えるだけかもしれないけれど、年下に甘えるほど俺は落ちぶれちゃいないから。俺は18だから……ね。15の小娘に見える今のナナじゃあ」
 甘えたい気分になるというその薬の効果に少しばかり心惹かれながらも、それを感じさせないようにロイはやんわり断った。その裏では、ナナが実は大人の女性なんじゃないかと淡い期待を描いている。無論、そうでもなければテオナナカトルのリーダーとやらになれない気もするが。
「あら、ざ・ん・ね・ん。私の実年齢はあなたよりも遥かに上なのになぁ……」
 と、思っていたらどうやらそれは本当だったらしい。ロイは心の中で『よっしゃぁぁぁぁぁ!!』と叫んでいた。
「貴方のように年下に甘えたくないとか言っている、そういう人こそたまには甘えさせてあげたいのに。まぁいいわ。この薬の他の用途は、そうやって警戒心を薄れさせたところで、上手いお話を持ちかけるためのものよ。例えば……今回の依頼人の宝石店とか。この使い方をする場合は、この薬を鯨油と混ぜ、蝋燭であぶって揮発させればいいの。最初は店員さんにまで効果があるけれど。ずっとこの匂いを嗅いで慣れてしまえば効かなくなるから、それまでの辛抱ね。
 他にも、この匂いを嗅いだ者を怒らせないような効果もあるわ……貴方にも一回使ったことがあるの」
「……お前に逆強姦された時の匂いはあれか」
「そうよ」
 苦虫をかみつぶしたような表情のロイを見ても、ナナの笑顔は歪みない。

「それに加えて、赤ちゃんのように甘えさせて商品を買わせる宝石店か……なんて店だ。全く、盗み聞きしていた宝石店からの依頼がそんな内容だったとわな」
「あら、盗み聞きをしていたの? 趣味が悪い事」
 ミロカロスが水を飲むように酒を飲めるこの女に酔いが回ってきたわけでもあるまい。だというのに、酒に酔ったような妖艶な顔をしてナナはロイに顔を寄せる。
「趣味が悪くて結構」
 その顔をロイは、やんわりと前脚を上げて振り払った。
「俺の店の経営に関わるかもしれない事だ。俺にはこの店を守る使命があるものでね……ま、健全な商売のようでよかったよ」
 ナナの顔は美しいと思ったのが第一印象で、最初こそ心臓が高鳴ったものだ。だが、慣れ切ってしまったロイは改めて言い寄られることにはもう殆ど何も感じないようである。
「そうね、私がテオナナカトルを守るように、貴方もこのお店を守るのね。さて、これで昨日のことについてのお話は終わり。私達と一緒のお仕事もがんばりましょう」
「分かったよ。サイリル大司教を失脚させるんだったな……頑張らせてもらうよ」
 ふぅ、とロイは軽くため息をついた。
「そんじゃ、俺はそろそろ仕事に戻るよ。ナナも休憩が終わったら客の前で踊ってくれ。みんな心待ちにしている」
「かしこまり」
 ナナは元気良く答えてグラスに注がれた葡萄酒を飲み干す。ロイが去った後でまたグラスに注ぎ始めたことなどもちろん秘密にして。

***

『まさかリーバーの奴にまで毒牙に掛けるとは。本番はしていないとのことだが、それ以上の事をやっていたようだから、どうにもコメントがし辛かったな。……とにかくまぁ、なんだ。リーバーは嫌いな相手との強引な性交は本気で嫌がるが、ある程度気を許した相手とならば応じる性質(タチ)のようだ。少しMの気でもあるのだろうか?
 そんなことはともかく、ナナの実年齢が俺よりはるかに上と言うのが朗報だ。流石に40以上ともなるときついが。30代前半ならベストだな。……しかし、ゾロアークの髪をまとめる珠は幻影を見せる効果があるとは聞くが、それに常に年齢を偽るまでの力があるとは驚きだったな。

 しっかし、俺に打算のない愛があるとか、慕われる才能があるとか、歯の浮くようなセリフをバンバンいいやがって……ナナの奴。照れるだろうに』
テオナナカトルの構成員、ロイの手記より。神権歴2年、1月23日

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何かありましたらこちらにどうぞ

お名前:
  • やっと全部読み終わった・・・
    作品が凄く長いのに読み手に飽きさせない書き方を出来るのが凄いと思います!!
    ロイ・・・真っ白になればよかったのn(殴
    ―― 2014-10-18 (土) 22:55:13
  • >狼さん
    読破お疲れ様です! 他の作品も見て行ってくださいね。

    >2014-03-27 (木) 16:27:23の名無しさん
    気合を入れて書いた長編ですので、ものすごく長くなってしまいましたね。それを苦にならないくらい楽しんでいただけたようで何よりです。
    ――リング 2014-03-28 (金) 00:43:56
  • 長編かぁ面白いだろうなと思い読むことを決意したのち読み更けること既に3日目…読み終えて50万字もあったのかと後書きを見て知る私 面白いと苦にならず得した気分です(眼は痛いのですが)まさかの番外編もあり喜びましたよ この年になっても\(^∀^)/ワーイ と
    番外編にて  ナナの期待どうりロイ…真っ白にならなかったですねw
    ―― 2014-03-27 (木) 16:27:23
  • テオナナカトル 読破しました
    ↓のコメント(?)から今までかかってしまいました。 やっぱり私は読むの遅いです。(悲
    ―― ? 2013-05-25 (土) 01:53:17
  • テオナナカトル これは強敵です
    張り切って読むぞー(燃
    しばらくここから離れることが出来ないです
    ―― ? 2013-05-21 (火) 21:14:12
  • >Mr余計な一言さん
    見逃していて、ものすごく変身が遅れてしまってすみません……今日直しました。ご指摘ありがとうございます

    >2012-11-19 (月) 20:19:00の名無しさん
    こんなところにも誤字が……たびたびすみません。お世話になります
    ――リング 2012-11-27 (火) 22:54:11
  • 今更めいた誤字報告です。

    「神龍の顎には、一枚だけ他の鱗とは違う方向。逆の向きに生えている鱗があると言われているの。その鱗が逆鱗……逆鱗に触れられると、龍は怒り狂うと言われているわ。それゆえ、我を忘れて攻撃する龍の技を逆鱗と称されるようになったの。

    技を逆鱗と称される
    は間違いで、正しくは
    技が逆鱗と称される
    技を逆鱗と称する
    のどちらかです。
    ―― 2012-11-19 (月) 20:19:00
  • 番外編で、誤字がありました。

    最後のシーンで
    [ナナの神の中にいるロリエの方を見て]
    になっております。

    失礼致しました。
    ――Mr余計な一言 ? 2012-03-17 (土) 21:46:28
  • >イカサマさん
    あんな言葉遊びで衝撃を受けてもらわれると、どうにも反応に困ってしまいます><
    今はこの作品が自分の中で一番だと思っていますが、いつかこれを超える作品を作られるように頑張りますね!
    ――リング 2012-03-16 (金) 22:46:09
  • 全体を通してみてBeeキャンセルの衝撃が忘れられませんでした!
    すばらしい作品をありがとうございます!
    ――イカサマ ? 2012-03-11 (日) 22:15:45
  • >チャボさん
    まずは、誤字の報告ありがとうございます。直させていただきました。
    そうですねぇ……作者としては主人公とヒロインに人気があって欲しいところなのですが、リムファクシの謎の人気に嫉妬せざるを得ません。
    今年中にテオナナカトルのお話をもう一度上げられるかどうかはわかりませんが、また皆さんの目に触れられるように頑張りたいと思います。
    コメントありがとうございました。

    >2012-01-09 (月) 02:14:10の名無しさん
    来年のことを言うと鬼が笑い……はい、どう見ても私の方が先に来年のことを言いましたすみません。
    見ての通りのスピードで執筆しておりますが、やはり更新量にも限界があるため、来年になってしまうことは避けられないと思います。それでも、待ってくれる人がいる限り、頑張らせてもらいますとも!!
    コメントありがとうございました。
    ――リング 2012-01-15 (日) 19:05:39
  • ふぅ…リム君最高ぉーっス…
    来年も期待しております!(早
    ―― 2012-01-09 (月) 02:14:10

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*2 悪い魔女と言う意味。神龍信仰の腐敗が進む前は『魔女』と言えば一般的によい魔女を意味する『白魔女』を連想していたが、この当時は黒魔女を連想していた。現在では、『魔女』と言う言葉のイメージは良くも悪くもない中性的なイメージを連想させる
*3 ここでは銀のことを指す。体積で言えば銀よりかなり大量に得られるとはいえ、どれほどの高級品であったかは伺えるであろう
*4 現在ではチョコレートやココアの材料として一般的だが、昔のチョコレートは苦くて辛い飲み物である

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Last-modified: 2011-07-30 (土) 00:00:00
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