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You/I 12

/You/I 12

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       「You/I 12」
                  作者かまぼこ

目覚め 

「……?」
 リジェルは目を覚ますと、状況を整理しようと体を起こした。
頭に鋭い痛みが走って、顔をしかめる。
「ぐ……」
 なぜかはわからないが、どうやら自分はしばらくの間、気を失っていたらしい。
リオとミヤコの行いを止めるべく、彼らに攻撃を仕掛けようとしたとき、
突然体が謎の光に包まれ――それから後の記憶がない。いったい何が起きたのだろうか?
 軽い頭痛がするが、体にこれといったダメージはなく、リオ達に反撃を受けたわけではないようだ。
2匹の姿も見当たらず、目の前には大きなクレーターがあるだけだ。
明らかに高威力の技によってできたものだ。彼らがやったのだろうか?
 彼らはどこへ行った――?そう思って周囲を見回すと、
元々は商店だったであろう廃墟のガラス扉に、己の姿が映った。
「……!?」
 リジェルは、驚愕した。その姿はいつも見慣れた、己のものではなかった。
黒かった手足は赤くなり、手の甲や胸にしかなかったトゲがあちこちに増えている。
そして黒い鋼のストライプが、元々はなかった太股や上腕部にも走り、青い尻尾は胴体の白い体毛と
一体化し、更にボリュームが増している。
また、後頭部に4つある波導を感知するための房のうち2つが伸び、大型化している。
「これは……いったい?」
 驚きつつも変貌を遂げた己の体を凝視していると、更にあることに気がついた。
「左目が……治っている!?」
 潰れている筈の左目が、何事もなかったかのようにそこにあった。そこから後頭部の房にかけて
出来ていた傷も、きれいさっぱり消えている。そういえば、いつもより視界が広いように感じる。
いったい何故、このような変化を遂げたのだろうか?
「進化……?」
 いや、ルカリオにこれ以上先の進化系があるという話はきいたことがない。
考えられることといえば――
「まさか…あの石のせいだというのか…?」
 呟いた直後、遠くから轟音が聞こえてきた。
今は細かいことを考えている時間はない。アズサ達が危機にさらされている可能性もある。
そう思って、リジェルは目を閉じ、彼らの波導を感じ取ろうとしてみた。
大型化した後頭部の房が持ち上がる。そして心を澄まし、集中する。
非常にクリアだ。かなり遠くにいるポケモンの存在も、見落とすことなく感じ取れる。
今まで以上に、波導の感知能力が上がっているのがわかる。
 これもあの石の力なのだろうか…と胸中で呟いたとき、知った者達の波導を感知した。
「いた!」
 間違いない。温かみのある、穏やかな感触の波導。アズサだ。
シュナイドやミィカたちも無事なようで、アズサの波導と共に島の裏側から感じ取れる。
その中には彼の知らない波導もいくつかあったが、同時に一際強い悪意の波導も感じ取れた。
殺意と憎しみによってドス黒くなった、氷のように冷たい波導。リオだ。
ミヤコの波導は感じ取ることができなかった。きっとまだこの島のどこかにいるのだろうが、
今は、追い詰められているアズサらを助けなければ。
「リオめ!!」
思い通りになどさせるものか――叫んで、リジェルは駆け出した。

レジシリーズ 

「……ン?」
 リオは、目の前のアズサ達を見やると、怪訝な声を上げた。
彼らの中に自分の知らない人間とポケモンがいる。何故、アズサ以外の人間が?
どうやってここへ――?
「貴様ら、何者だ? どうやってここへ来た!?」
リオはタクヤを指差し問うと、事態が呑み込めていないタクヤは耳打ちしてアズサに尋ねた。
「なぁ、一体何が起きてるんだ? あのヨノワール、何だ?」
「この騒ぎの元凶ですよ。僕を生贄にして、人間社会に(イクサ)をしかけようとしてるんです…
人間に復讐しようとしてるんですよ」
 それを聞いたタクヤは、眉をひそめた。
ヒノヤコ丸から出てくる前に、救助したグラエナから、海賊達は人間に捨てられた者が
ほとんどである事は聞いていた。おそらくあのヨノワールは、そうした連中の
リーダー的存在なのだろう。ポケモンに優しく接する人間を殺して、多くの人間の目に晒せば、
社会は大きなショックを受けるだろう。見せしめとしてアズサはピッタリの人間というわけだ。
(まさか、そんなことまで考えてるなんてな……そのためにアズサ君を連れ去ったってのか)
 そして、今の状況を見る限りでは、海賊達の中にはそれほど人間を憎んでいない者もいるようで、
アズサに味方しているこのエルレイド達は、そうした者達なのだろう。
(敵ばかり……というわけではないのか)
そう理解して、タクヤは口を開いた。
「…この間、船を襲撃したときに取り残されていたお前らの仲間に、協力してもらったよ。
そのおかげで、この島の存在を知ることができたよ」
「なに……?!」
 タクヤの返答に、リオは耳を疑った。
バカな。捕まっていた連中は、哨戒部隊に抹殺を命じたはずだ。
今頃は皆、生きてはいないはず。彼らを利用してうまく途中まで来れたにしても、
哨戒部隊の攻撃を受けて、無事ではすまないはずだ。
それに、島周辺の上空や海中にも警備のポケモンを多く配置しているのだ。
それらを容易に突破できるはずが――
「リオ様リオ様ーー!!」
 するとそこへ、リオの部下であるグレッグルが、レジシリーズの開けた穴から駆け出てきた。
「大変です!帰還組の抹殺に向かわせた哨戒部隊が、消息を絶ちました!帰島時刻を過ぎても、
誰も戻ってきません!」
「な…」
 その報告に、リオは絶句した。哨戒部隊は決まった時刻に、報告のため島に戻ってくる事になっている。
それが誰一人戻ってこないということは、何かあったとしか考えられない。
「バカな…まさか哨戒部隊が!?」
 全滅――?否、そんなはずはない。
哨戒部隊は島の中でも特に強者揃いの部隊なのだ。簡単にやられるはずがない――
だがその期待は、すぐに裏切られた。
「あんたがボスか?あのグライオンたちなら、今頃仲良く海水浴やってるだろうよ」
アズサの傍にいたドーブル――ジムスが、アズサに持ってきた彼のバッグを渡しつつ言った。
「き、貴様ら…島の警備隊は何をやっているのだ!」
 それを聞いてリオは、グレッグルに向き直り怒鳴りつける。
哨戒部隊のほかにも、島を守る警備・防衛部隊が島の周辺に展開している。戦いの練度は少し劣るが、
その数は哨戒部隊よりも多い。だというのに、こうも易々と敵の侵入を許すとは。
「そ、それが…」
とグレッグルは言い渋った折、遠くから連続して小さな爆発音が響いた。島の表側のほうからだ。
爆発光も、山向こうから僅かに見える。表側で、戦闘が起きているのだ。
「ここまで来るのに、ポケモンレンジャーにも協力してもらった。今は警備の目を
引き付ける囮になって貰ってる」
「ぐ…」
 タクヤの言葉に、リオは体をわななかせ、両手を硬く握り締め呻いた。
外部の人間に、島への侵入を許してしまった。それどころか、野良ポケの天敵であるポケモンレンジャー
までもがこの島にやってきた。レンジャーのポケモンは、人付きの中でもかなり強く育てられている。
そんな連中に大部隊で攻め入られたら、こちらに勝ち目はない。
 このままでは、人間達を恐怖に陥れ、復讐を果たすこの計画は水泡に帰す……人間に、負けてしまう。
「私の部隊を…私の計画を…」
 人間はいつもこうだ、こうも自分達の考えや行動を否定し潰してゆく。
許せん。ここまできて、計画を台無しにされるなど。それも人間達の手によって。
小ざかしい人間共め――!
「許さんぞォォォォ!!!!」
 怒りに燃えて叫びつつ、リオは右腕をすっと上げた。
すると、妙な事が起こった。一瞬、空間がぐにゃりと歪んだのだ。
「!!?」
 アズサは確かめようと首をめぐらせようとしたが、動くことができない。
いや、正確には動かすことはできるのだが、その動きはひどく遅い。
「な…によ? これ!?」
「体が…重い!?」
「う…動けません…! アズサ…さん」
 思うように動くことができず、リエラ達は苦悶の声を上げているのを見て、リオが叫んだ。
「ゆけ、レジシリーズ達!!奴等を皆殺しにしろォ!」
 怒りと共にリオが叫ぶと、レジシリ-ズが動き出し、アズサ達へと接近する。
それもかなりの速さで、こちらに向かってくるのだ。
 そこでアズサは、ようやくこの事態を理解した。
「これは……“トリックルーム”……か!?」
 この技は空間を操作し、素早さの低いポケモンから先に動けるようにするという技だ。
レジシリーズは、元々素早さはそれほど高くなく、むしろかなり低い部類のポケモンであるが、
この“トリックルーム”下においては、足が遅ければ遅いほど早く、逆に早ければ早いほど遅くなる。
今のアズサ達にとって、かなり不利な状況であるといえた。
「う……!?」
 リエラの眼前に、レジアイスが高速で迫り、顔面に冷気エネルギーを集中させる。
“冷凍ビーム”を放つつもりのようだ。
「リエラ……“圧し掛……」
 圧し掛かり攻撃を指示し、跳躍させ多少でも弱点である冷気攻撃から逃れさせようと思ったが、
それすらも間に合わない。
「リエラ!」
「ぅあああ!!」
 叫んだが、遅かった。結果リエラは、“冷凍ビーム”をモロに喰らった。
左半身が冷気によって凍りつき、深いダメージを負うことになった。
「くっそ……!」
 その様子を見て、忌々しげにジムスが吐き捨てる。彼のところにも、レジロックが接近し、
腕を振り上げて“アームハンマー”を喰らわせようとしていた。
もはや“ロックオン”をしている時間はない。岩タイプの弱点を突く“バレットパンチ”を
使用しても良かったが、それでは威力が低すぎて、決定的なダメージは与えられない。
動きを封じる技もあるが、トリックルーム下ではやはり間に合わない。ならば――
 そこでジムスは、いつもの光り輝く冷気の刀身、“零度剣”を尻尾の先から発振させる。
“ロックオン”せずとも、防御くらいには使えるはず――そう思ってのことだった。
これで相手の攻撃を受け止めれば、イヤでも相手に命中することになる。
刹那、ゴッという重い衝撃が、尻尾とそれを保持する右腕を通じて、ジムスに襲い掛かる。
ばじゅるるるる……!という音と共に、レジロックの腕は冷気の刀身に防がれて止まった――
かに見えた。
「!!」
 しかし、防御空しくレジロックの腕は冷気の刀身を透過した。
命中はしたが、まったく効果がない。あのレジロックのレベルは、ジムス以上なのだろう。
しまった! まただ――! そう思う間もなく、レジロックの腕はジムスの体を吹き飛ばした。
「がぁはッ!」
 ドーブルは素早さ以外の能力はさほど高くない。そこへ相性の悪い格闘技を喰らったのだ。
ジムスは数回地面をバウンドしてから沈黙し、戦闘不能となった。
「ジムス!! く……」
 戦闘不能となった2匹をボールに回収しつつ、アズサは戦慄した。
瞬く間に、2匹がやられてしまった。トリックルームの影響で、圧倒的にこちらが不利。
この状況を覆すのは、非常に難しい。
様子を見ていた、シュナイドをはじめとした肯定派の仲間達が、個々に攻撃を加えようと動き出したが、
やはりトリックルームの影響で思うように動けず、レジアイスの放った“吹雪”攻撃によって、
生き残っていた味方のポケモンが何匹か凍りついた。
それに追い討ちをかけるように、レジアイスは“破壊光線”で肯定派のポケモン達をなぎ払った。
その中には、料理を手伝ってくれたマグマラシのフーレや、ラッキーのキッシもいた。
「ぐ!ダメなのか……?ぐわっ!」
 苦痛の表情で、シュナイドが呟いたとき、彼はレジスチルの“ラスターカノン”を受けて弾き飛ばされた。
「……!」
 何匹もの仲間達が次々とレジシリーズによって、一方的に倒されていく。
ミィカや子ポケたちは、その惨状に震え上がるばかりだった。
「く……ララ! ミリィ……」
 タクヤたちも、このトリックルーム下で、なかなか攻撃を繰り出せないでいた。
ララとミリィは、レベルの高さもあって素早さが高めである。そうであるから、この状況下では
最も鈍足になってしまっている。彼女らの足取りは、非常に重たげだ。
「みんな……!」
「他者の事など心配している暇があるのかな!?」
 すると、いつの間にかアズサの傍に迫ったリオが言った。
彼はそういうと、アズサの頭めがけて手を伸ばしてきた。その掌はバリバリと電気を発している。
“雷パンチ”の応用であろう。そのまま、アズサの頭を鷲掴みにして、感電死させるつもりのようだ。
「死・ね」
 リオのその大きな手が、アズサの頭を鷲掴みにしようとしたその時だ。
目の前に、なにやら白い塊が飛び出してきたのだ。アズサに向けて伸ばしたリオの手は、
それによって弾かれる。
「ぬッ!?」
 リオは、声をあげた。よく見ればその物体は、綿の塊だった。
綿の塊が、細長い六角形の盾となって、リオの前に立ちはだかっているのだ。

反撃 

「ルーミ……それは……」
 呆然としつつ、アズサは呟いた。
「アズサ……さん、大丈夫?」
 アズサの身を案じたルーミが、声を出した。
彼女の左手には、大きな綿の盾が装着されていた。
その盾が、リオの攻撃を弾き、アズサを危機から救ったのだ。
「それは……“コットンガード”か!」
 “コットンガード”は、綿を展開することによって、防御力を上げる技だ。
モンメンやチルットなどが覚えることで、よく知られている。
 “硬くなる”や“鉄壁”も、防御力を上昇させる技だが、“コットンガード”は
それらと異なり一気に上昇させることができる。2回ほど使えば、防御力を最大まで上げられる。
「いつの間にそんな技を――」
「……ここに来るまでの間に覚えました。バトルもありましたから」
 アズサの問いに答えつつも、彼女はリオに向けて“10万ボルト”を放つ。
その稲妻はリオの急所とも呼べる単眼に命中する。
「ぐがぁ!?」
 リオは顔をおさえてのけぞり、背中から地面に倒れた。
それと同時に、再び空間がぐにゃりと歪んだかと思うと、急に体が軽くなった。
トリックルームの効果が切れたのだ。


 すかさず、タクヤは手持ちに指示を飛ばす。
「今だ!ララ、レジロックに“マッハパンチ”!ミリィはレジスチルに“インファイト”!」
 指示通り、2匹はそれぞれ敵に肉薄する。
レジロックは防御体制をとったが、ララの特性「テクニシャン」によって強化された拳が、
レジロックの右腕を砕き、右の前腕が地面に音を立てて脱落した。
『ヴ……!』
 ミリィも、素早くレジスチルの懐に入り込むと、高威力の連撃を叩き込んだ。
みるみる、鋼のボディのあちこち歪みができていく。
『ヴュ……』
 レジスチルは顔にあたる部分を点滅させて、その場に膝を突いた。
「あれだけの技を喰らって、まだ落ちないのか……」
 タクヤ達の戦い方を見ていたアズサが呟いた。高威力で効果抜群の技、
それもチャンピオンクラスの実力を持つポケモンに受けたというのに、まだ倒れる様子はない。
大ダメージを負ったようだが、やはり伝説のポケモン。一筋縄ではいかないか。
そう思いながら、アズサは再びリオに目を向けた。
 10万ボルトの直撃を受けたリオは、顔を抑えて体を起こしながら、告げた。
「ぐ…だが、まだケリはついていない!!」
 そういうと、リオはまた腕を上げる。再度“トリックルーム”をするつもりだ。
「再び私が“トリックルーム”をやれば、今度こそ貴様らは終わりだ!」
 まずい。また素早さが逆転すれば、今度こそこちらが危ない。
これ以上敵のペーズで戦わせるわけにはいかない。そう思って、アズサは叫んだ。
「ウィゼ!!“挑発”!」
 その声に、ミィカたちの傍にいたウィゼが素早くアズサの元へ駆け寄り、
リオに向けて指を立てると、再び空間が歪むことはなかった。
「くっ……!?」
 リオがうめく。
 “挑発”は相手を挑発し、攻撃技しか出せないようにする技である。
これを受けたことによって、リオは“トリックルーム”を封じられたのだ。
 先程、ポケギアでマトリとウィゼのステータスをチェックした際に、
アズサは覚えている技も全て把握していた。
「キ・サ・マ……」
「もうトリックルームは使わせないよ…」
 バッグをゴソゴソとまさぐりながら発したアズサのその言葉に、リオは激昂して、
「嘗めるな!まだレジシリーズは残っている!“原始の力”だ!レジスチルは“ラスターカノン”!」
 その言葉に、2体は揃って周辺の岩が浮き上がらせた。そしてそのまま、
アズサ達に向かって岩の雨を降らせようとする。レジスチルは、鋼のエネルギーを収束させ、
ビームとして発射しようとする。
「やらせるか……!ウィゼ!レジロックに“アクアテール”!」
 ウィゼの尻尾が水色に輝いたかと思うと、彼女は高速で縦回転しながらレジロックに突っ込んでいく。
それをモロに受けたレジロックは、バランスを崩してふらついた。
その隙を見逃さずに、タクヤもまた指示を叫ぶ。
「ララ! “種爆弾”!」
 指示を受けて、ララはレジロックに再接近しつつ、頭の笠へと手を伸ばして中をまさぐると、
そこから双葉の芽が出た「種」を取り出した。
 するとララは、種の双葉を口にくわえたかと思うと、そのままぶちりと引き千切る。
びん! と乾いた音がした直後、ララは双葉のなくなった種を、レジロックに向けて無造作に放った。
その種はレジロックの足元まで転がると、大爆発を起こした。
 突然の足元からの爆発に、レジロックはついに音を立てて倒れた。効果は抜群。戦闘不能だ。
その爆風のあおりを受けてレジスチルは体のバランスを崩し、ラスターカノンの発射に失敗する。
「ぐ……“鉄壁”だ!」
 リオはレジスチルに命じる。防御を高めようというのだろう。だが、レジスチルは先程、
ミリィの“インファイト”を受けて、大ダメージを負っている。今から防御を上げても、
耐えられるほどの体力が残っているとは思えなかった。最大まで上昇させればなんとかなるだろうが、
そんな時間は与えない。アズサは叫ぶ。
「マトリ!! “地震”攻撃!」
「任せなさい!」
 応えてから、マトリは勢いよく跳躍すると、その勢いのまま着地すると同時に、
地面に右腕の爪を突き立てた。
 そこから無数の衝撃波が発生して、それは残るレジ2体とリオを目指して地面を走り、
彼らの足元で炸裂した。特に鋼タイプを持つレジスチルには、効果は抜群だった。
『ヴ…ブュ…』
 レジスチルが、地面に沈み沈黙する。
これで残るは1体。氷タイプのレジアイスのみ。
 アズサは、更にボールからポケモンを繰り出した。
彼の手持ちのエース、ドーブルのジムスだ。先程レジロックの攻撃で戦闘不能になったが、
ウィゼに“挑発”を命じてトリックルームを封じた直後に、バッグの中に入っていた
『元気の欠片』を使って復活させたのだ。戦闘可能状態になったが、
十分に回復してはいないし、おそらくレジロックの時と同様、レジアイスには
ジムスの絶対零度は効かないだろう。だが、まだ戦う手段はある。
「頼むぞ!」
 そういうと、ジムスは頷いた。
 マトリは、鋼技である“アイアンヘッド”を覚えている。氷タイプのレジアイスには有効だ。
だが同時に、マトリは地面・ドラゴンの複合タイプで、氷技は大の苦手だ。
いくら有効な技を覚えているとはいえ、レジアイスを相手をするには、少々荷が重い。
だから、まずはレジアイスの動きを封じる必要があった。そしてそのためには、
ジムスの力がどうしても必要だった。
「“キノコの胞子”!」
 言葉と同時に、ジムスが疾る。そしてレジアイスに接近すると、その尻尾を
レジアイスの顔面に叩き付けた。ばふんっ!と緑色の粉があたりに散ったかと思うと、
レジアイスはそのまま動きを止める。眠り状態になったのだ。
 ジムスの4つ目の技、“キノコの胞子”。
これは数ある催眠技の中でも、特に命中率が高く、安定して眠らせられる技だ。
本来ジムスの技構成は、この命中率の高い“キノコの胞子”で相手を眠らせ、
そのスキにロックオンで必中状態にしてから、絶対零度を放つ…という
戦法をとるためのものだ。しかし、ジムス自身は戦闘中は物陰に隠れたり、
相手から逃げ回りながらロックオンする時間を稼ぐ戦い方をしていたために、
これまであまり使う機会がなかったのだ。
「ふっ!」
 掛け声と共に、ジムスは眠ったレジアイスの体を蹴って宙返りし、その場を離脱する。
それを確認してから。
「今だマトリ!レジアイスに“アイアンヘッド”!ウィゼは“アクアテール”!
全力で叩き込むんだ!」
 敵が眠っている今こそチャンスだ。鋼技のアイアンヘッドならば、かなりのダメージになる。
言葉に従い、マトリとウィゼの2匹はレジアイスへと走り、各々攻撃を敢行する。
 マトリが、鋼のエネルギーを纏わせた頭突きを喰らわせると、レジアイスのボディに亀裂が走った。
そこへ更に、ウィゼが“アクアテール”を叩き込む。
『ぎゅびぃ~~~~!』
 ダメージを受けて目を覚ましたレジアイスが耳障りな悲鳴を上げた。だが、まだ落ちない。
「ルーミ! “気合球”!」
 ここでルーミに命ずる。彼女は即座に空いている右手でエネルギー球を作り、放った。
狙い過たず、それはレジアイスの亀裂に命中し、小爆発を起こす。効果は抜群だ。
 そして。
「止めだ! ジムス、“バレットパンチ”ッ!」
 離れた所で待機していたジムスが駆け出し再接近。機銃掃射の音にも近い唸りを上げて、
レジアイスに鋼の拳の連打をお見舞いする。威力は低いとはいえこれも鋼技。効果は抜群だ。
『ヴ……び……』
 体のあちこちに亀裂ができ、ボロボロになったレジアイスはとうとう前のめりに倒れこんだ。

想い 

「バカな……伝説のポケモンが…切り札が」
 レジシリーズ3体を撃破され狼狽するリオに、アズサは語りかけた。
「リオ……やっぱり人間に復讐しようだなんて……良くないよ、こんなの」
「だまれ!!」
 リオが吼えた。
「貴様ら人間に何がわかる! 結局はポケモンを道具としか考えていないくせに!」
その言葉に、アズサは語気を強くした。
「そんなことはないよ! 少なくとも僕は、そんなこと考えちゃいない!」
 それだけは、はっきりと言えた。
「僕はさ……子供のときに失敗して、手持ちポケモンを死なせてしまったことがあった。
それからは、また同じことになるんじゃないかと思うと怖くて、最近までトレーナーに
復帰する気になれなかったんだ。怖くて怖くて仕方なかった」
 俯きながらもアズサは続けた。
「でも……それでも僕は、ポケモンのことを嫌いにはならなかったよ。
なぜなら…こんな愚かな僕を傍で支えてくれたポケモンがいたからだ。
僕の母の手持ちだけど、父のいない僕にとっては父親代わりだった」
 アズサが子供のころからいつも傍にいてくれて、口うるさいが、自分を愛してくれた
親代わりの存在。母、ユキナの手持ちのダイケンキ、ジュウロウ。
 アズサがポケモンを失う失態を犯した後も、彼はできる限りアズサを励まし慰めてくれた。
だから彼は、ポケモンを嫌いになることはなかった。
 彼のおかげで、ポケモンの事を勉強したいと思えたし、トレーナーとして復帰する気にもなった。
立ち直れたのは、ジュウロウがいたからだといってもいい。
「僕は……ずっとポケモンに支えられてきたんだ。だから僕は、ポケモンを道具だなんて
思わない……思えないよ」
 アズサは力強く、リオを見据えた。
「世の中にはいろんな人がいるよ。もちろん、君たちを捨てるようなヤな奴もね。
ポケモンはバトルが全てだと思ってるようなのもいるよ。
でも、基本的に人間社会じゃ、人間とポケモンはお互いに思いやって、支えあっているんだよ。
一緒に仕事をしたり、人の手伝いをしたり……ポケモンがいないと、生活できない人だっているんだ。
人間の側だって、そんなポケモン達を可愛がったり、労ったりして感謝しているよ。
人とポケモンは分かり合える。助け合えるんだよ……だから友達にも、家族にだってなれるんだ」
「それを……それを拒否しているのは、貴様ら人間のほうだろうが!?」
 リオはまた声を大きくした。彼らは人間の善性に触れられなかった。
それは不幸なことである。が、だからこそ今、彼らをそれに触れさせてやる必要がある。
「そんなのは、ごく一部だよ。君は人間の事をもっと知るべきだ。そうすればきっと……」
 人間に希望を持ってもらえる――そう思った。彼らは人間の悪い部分しか知らないだけなのだ。
「僕はこの島に連れてこられて、島のポケモン達のことを知った。君のように、人を憎んでいる
ポケモンがいること。そしてそんな中にも、人を信じようとしてるポケモンがいることも。
だからさ――」
 アズサが、右手をリオへと差し出した。
「みんなでこの島を出て、人と一緒に暮らすんだ。正しい人と互いに助け合って、学んで……
そうしながら、捨てポケモンを増やさない方法を、一緒に考えていけばいい。
君の考えているような暴力的な手段をとったら、それこそ人は聞く耳をもってはくれないよ」
 すると、リオは俯いたまま体を震わせて笑い声を上げた。
「ふふ……ふっふふ……まったく貴様は本当に甘いな!」
 リオは呟くと、差し出したアズサの腕をがっしりと掴んでから体を引き寄せ、
空いているほうの手で、アズサの首を締め上げた
「ぐがっ……!?」
「言ったはずだ!世の中は簡単には動かない…そういう人間に頼った所で、何も変わらないと!
人間社会に思い知らせて、考えを改めさせてやらなければいかんと!!
……動くな!動いたらこいつの首を折るぞ!道をあけろ」
 アズサを掴みながら、取り囲んでいる周りのポケモン達を脅すと案の定、
彼の手持ちや仲良くなったミィカらが声を上げた。
『アズサ!』
「アズサさん!」
「くっ!」
 するとジムスが、リオに向けて尻尾を構えた。いつもの狙撃フォームではなく、
尻尾の先を両手で短く持った、まるで拳銃の射撃姿勢――ウィーバースタイルで、
リオに狙いをつける。
「動くなといったろう!こいつがどうなってもいいのか!?」
「くそ……」
 言われてジムスは仕方なく尻尾を下ろす。
「それでいい……来い!」
 首を握ったまま、アズサを引きずって、レジシリーズがあけた穴に入っていこうとした。
「それにな。我々は別に人間と分かり合おうとは思ってはおらんよ」
 なんだと……? 窒息しかけながら、アズサは思った。
「我々は、人間を跪かせ、支配下に置くことが目的なのだからな。そうした上で、
人間の数をコントロールして、ポケモンの暮らしやすい世界を作り出す!」
「な……に……!?」
 人類支配?いくら人間を憎んでいるといっても、ばかげている。
憎しみのあまり、そんな虚妄まで抱くようになってしまったというのか。
 リオをそのようなポケモンにしてしまったのは人間のエゴだ。
人は、本当に罪深い――アズサは唇を噛んだ。悲しかった。

メガシンカ 

 まずは脱出だ。この港にいた否定派の仲間は制圧されてしまったが、島の表に戻ればまだ仲間はいる。
いまここでアズサを殺せば、自分は肯定派の連中と見知らぬ人間の手持ちに、袋叩きにされるだろう。
まずはこの場を脱出し、残りの仲間と合流して態勢を立て直す。アズサさえ人質にとっておけば、
今はだれも手出しはできない。それに肯定派の連中などいくらでも叩く機会はある。
身を隠す場所だって用意してあるし、今はダメでも、また次がある。
「今はしくじったが……次こそ全てを……」
「そうかな?」
 そのときだ。背後から知った声がした。この声は――
「リジェ……!」
 だがその言葉は、背後から襲ってきた波導で形成された骨の連撃によって、途絶えた。
「この期に及んで見苦しいマネをするな、リオ」
 首を掴んでいた手が緩んで、アズサは開放される。そしてそのまま、リオは仰向けに倒れこんだ。
「リジェル……貴様」
リジェルの姿は、いつもと違っていた。手足が赤くなり、後頭部の房が伸び、身長も僅かに高くなっている。
「リジェル、それって……」
 アズサが呟いた。その姿は、図鑑やビデオで、見たことがあった。
特殊な石と、トレーナーとの絆によっておきる、進化を超えた進化を遂げる現象『メガシンカ』。
それによって変貌を遂げたルカリオ、その名は、『メガルカリオ』。


突如現れた謎のポケモンに、シュナイドをはじめとする残存の肯定派の仲間達は騒然となった。
「その声……リジェルなの?」
「その姿は……一体?」
 シュナイドとミィカが、口々に尋ねる。
「俺にも良くわからんのだ……突然光に包まれて、しばらくの間の記憶がない……」
 リジェルは答えつつも、周囲を眺めて状況を確認する。
深手を負って戦闘不能になった者や、氷の塊になってしまった者。
そして、死んでしまった者……肯定派の被害は甚大だ。
 だが、そのおかげか子ポケ達と、肝心のアズサはほぼ無傷で、どうにかリオ達の手にかかることは避けられた。
「シュナイド……この状況の中でよく皆を導いてくれたな…無事でよかった、ミィカ」
 そして、ミィカ。リジェルが密かに想いを抱いている彼女が無事だったことで、リジェルは安堵した。
「げほ……リジェル……メガシンカができるのか?」
「メガシンカ……? この変化は、そういう名前なのか?」
 咳き込みながらアズサが言った言葉に怪訝な顔をしたとき、リジェルの体が光に包まれ、
いつもの姿に戻った。
「元に戻った? これはいったい……」
 大きな傷が付いていた左目も、元のままになっている。
そう言う彼の手には、丸く不思議な模様の入った石が握られていた。
(やっぱり、あれは『ルカリオナイト』だ……)
 どうやらリジェルは、メガシンカのことを良く知らないらしい。
「メガシンカは、あくまで一時的なものなんだ。戦いが終われば元に戻るんだよ……」
 そんな彼に向けて、アズサはメガシンカの概要を簡単に説明してやった。
進化を超えた進化といわれ、メガシンカをするには、ポケモンに持たせる、
『メガストーン』と呼ばれる宝石と、トレーナーが持つ『キーストーン』の2つが必要なこと。
そして、トレーナーとポケモンの『絆』が必要であるといわれていること。
メガシンカできるポケモンが他にもいくつも存在すること。
 アズサ自身、メガシンカしたポケモンを生で見るのは初めてだった。
必要なメガストーンとキーストーンは、希少性が高く、なかなか手に入らない。
そのため、メガシンカを行える人間が周りにまったくいなかった。
 そんなレアなものをリジェルが持っているのも驚きだが、それ以上に驚いたのは、
「どうやって一人でメガシンカしたんだ? そのメガストーンは……」
 メガシンカには、トレーナー側の持つキーストーンが必要だ。
ポケモン単独でも可能という話は、聞いたことがない。メガストーンだけ持っていても、
意味はないはずなのだ。いったいどういうことなのだろうか?
「これは……先代のリーダーが死ぬ間際に貰った物だ。何かあれば、これを使えと……。
これまで使い方はわからなかったが……」
「先代のリーダー……」
 おそらく、そのリーダーがメガシンカに必要なキーストーンを持っていたのだろうが、
今はこの世にはいない。それに彼らはポケモンだけの海賊団で、その先代リーダーも
ポケモンのハズだ。ポケモン同士でのメガシンカなど聞いたことがない。
 わからないことばかりだ。
「いや、もしかしたら、波導のせいかもしれない」
 そこへ、タクヤが口を挟んだ。
「波導は、あらゆるものから発せられているというし、何かのテレビで、ルカリオの波導は、
物体にこめられた『意思』みたいなものも読み取れるって聞いたことがある」
「意思――」
 アズサが呟くと、タクヤは続けた。
「犯罪捜査の番組だったかな…遺留品から、その使用者の意思を読み取る…ていう」
 それを聞いて、アズサははっとした。
その先代リーダーは、リジェルに対し、後を継いで皆を導いてほしいという希望を、
抱いていたことだろう。つまり、リジェルのルカリオナイトには、先代リーダーの『想い』が
込められていたということだ。
 それは一つの『絆』だ。
「だから、何かのきっかけで、ルカリオの波導と、想いのこもったメガストーンが共鳴して、
単独でメガシンカできたんじゃないのかな…?」
 キーストーンがない分を、波導で補ったということか。
つまり、波導を使えるルカリオだからこそ出来た事なのだろう。
「先代の『想い』……」
 呟きながら、リジェルは手の中のルカリオナイトを見つめていた目を、リオに移した。
すでにシュナイドら残存の肯定派ポケモンに拘束され、身動きが取れないようにされていた。
「リオ……お前だって、先代からリーダーを任された一匹だろうに……。
お前達はそんな先代の想いを踏みにじって、たくさんの犠牲を出した。
捨てられたポケモン同士、その気持ちはわかるが…それで仲間まで傷つけたとなれば、もう許せんぞ!」
 先代は、(イクサ)など望んではいなかった。あくまで平和的に人間達へ訴えていこうといていた。
だというのに。リオとミヤコは、こうも人間を力で痛めつけようとする。
「ふ……」
「何がおかしい!」
 笑ったリオを、リジェルは怒鳴りつける。するとリオが、単眼を動かし右方向をちらりと見やったのを、
彼は見逃さなかった。
 その目線を追うと、そこには右腕を失ったレジロックが倒れていた。その点字状の顔が点滅している。
 すると、それは起こった。
「きゃッ!!!!?」
 突然、まったく別の方向から、大きな岩塊が飛来し、ミィカを弾き飛ばしたのだ。
『ミィカ!』
 アズサとリジェルが、同時に叫ぶ。
「何だ!?誰が――」
 タクヤもその方向へと目を向ける。すると、倒れたミィカの傍らに、細長い岩塊が、
まるで念力で浮かせたかのように、ふわふわと中に浮かんでいた。その岩には見覚えがあった。
「あれは……レジロックの腕!?」
 先程、ララのマッハパンチを喰らった際に脱落した、レジロックの右腕だった。
よく見れば、あちこちに小さな岩がくっついている。
 すると、レジロック本体が起き上がって近づくと、浮いていた腕は、元通りにレジロックの
本体に装着された。それを見てタクヤは顔を顰めた。
「そうだ……レジロックには、その辺の岩を体にくっつけて、元通りに修復する能力があるんだ……」
「あっ……!」
 アズサも思い出したように声を上げた。
「ククク……そういうことだ人間共」
 リオが告げると、レジロックが倒れているミィカの耳を掴んで持ち上げる。するとその辺に落ちている
細かな石やら岩が宙に浮かびあがり、レジロックの周りを囲むように展開した。
“原始の力”を応用し、岩のバリアを作り上げたのだ。
 そのスキに、リオはシュナイドらの拘束を振りほどいてレジロックに近寄り、
岩のバリアの中へと入ってから告げた。
「フフ……まだ決着は付いていない!レジロックよ、原始の力で奴らを倒せ!」
『ヴヴン』
 その直後、浮かんでいた小石や岩が、雨となって一斉にアズサ達に襲い掛かる。
「うわッ!」「がっ!」「ぐっ!」
 次々にポケモン達に命中し、悲鳴があがる。
ルーミがアズサの前に出て、綿のシールドを前面に突き出して守ってくれたが、
それでも幾つかの石がアズサの体に当たる。
「う……っ!!」
 アズサの額に握り拳くらいの石が命中して、僅かに血が流れた。
「ご主人!」「アズサさん!」『アズサ!』
 アズサの手持ちに加え、マトリとウィゼの2匹も彼に近寄ってその身を案じる。
「アズサさん……血が出てますよ?」
「これ位どってことないさ」
 そういってアズサは血を袖で拭う。今はそんな痛みよりも、人質にとられたミィカのほうが心配だった。
「リオ! 貴様ぁ!」
リジェルが吼えると、リオは哄笑を上げた。
「ハッハッハッ! レジロックの能力を忘れていた貴様らの失策だ!
私は諦めんぞ……!?必ずや人間共に鉄槌を下してくれる!!」
「キサマ……!」
 怒りと共に体が光りだし、リジェルは再度メガシンカを遂げた。
そして、波導よる長大な『骨』を形成する。
「おっといいのか?このままでは貴様の大切な雌が傷モノになってしまうぞ?」
 動揺するリジェルに、リオは構わず続ける。
「ミヤコから聞いているぞ?この雌は、以前は人間と相思相愛だったというではないか」
「!」
「まったく醜いものだ。人とポケモンが種を超えた感情に目覚めるなどと」
「黙れ……」
「そして貴様は密かにこのミィカのことを想――」
「黙れといっている……」
「汚らしい雌だよ。まったく!」
「黙れ!!」
 リジェルは叫ぶと、リオに向かって駆け出した。俺をバカにするのはいい。
だが、ミィカを侮辱することは絶対に許さん――!
「リジェル!待つんだ!」
 アズサが静止しようと叫んだが、その直後、彼の横を、水の塊が通過した。
“アクアジェット”。ウィゼの攻撃だった。そしてそれは、ミィカを捕らえているレジロックにぶつかり、
レジロックはバランスを崩した拍子に、ミィカを手放してしまった。そのスキにウィゼは、
ミィカの手を掴んでレジロックから距離をとろうとした。
「な……! やれ!」
 リオの怒声と共に、レジロックがミィカを連れて後退するウィゼに“原始の力”を叩き込んだ。
ウィゼの背に無数の石が食い込む。
「ウィゼ!」
 アズサが叫ぶ。ミィカに被害はなかったが、ウィゼはそのまま倒れて沈黙する。
「おおおお!」
 リジェルは叫ぶとレジロックに空いている手で“波導弾”を打ち込んだ。
まだ十分に回復できていなかったのか、一撃でダウンする。そしてそのまま、リオに飛び掛る。
「ちっ!!」
 舌打ちしてから、リオは“炎のパンチ”で迎撃する。
「リぃオぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
「リぃジェルぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!」
 互いの名を叫んで、両者は激突する。だが、もともとヨノワールは素早くない。
トリックルームもなしに、メガシンカしたリジェルには勝てるはずもなかった。
 リオは“ボーンラッシュ”を受けて、とうとう地に伏した。

救出 

 メガシンカが解けると、彼はそのまま地面に膝を突いて、息を切らした。
「くそ……」
 はき捨てる。まったく忌々しい。あんなヤツに秘密を暴露されるとは……
「り……リジェル」
 背後から、声がかかった。密かに想い続けていたミィカの声。
「み……ミィカ……あの……これはだな……そのな………」
 しどろもどろになって、リジェルは何か言おうとしたが、うまく言葉が出てこなかった。
「あの……ありがとう。助けてくれて……リジェル!」
そういうと、ミィカは彼にすがって泣き崩れた。何度も怖い思いをして、ようやく落ち着くことが出来て、
一気に感情が飽和したのだ。
「ミィカ……その、すまなかったな。何度も怖い思いをさせてしまって…」
 しっかりとミィカの体を受け止めて、抱きしめてやった。拒絶されるかもしれないと思ったが、
その予想は外れた。
 暖かく心の安らぐ彼女のぬくもりに、リジェルは心が落ち着いた。
(この暖かさが、子ポケたち懐かせ、前のトレーナーと愛を育んだのだな)
 そしてそれは、人とポケモンの関係によいものをもたらすだろうと、そう思えた。
「いいえ……私のほうこそ、何も出来なくて……人質にされちゃって……ダメね。
でも、とても格好良かったわよ。さっきの姿も」
「そ……そうか?」
 そう言われて、リジェルは少し顔を赤くした。


「ウィゼ! しっかりしろ。今回復を……」
「う……」
 原始の力を喰らったウィゼは、思った以上に傷が深かった。背中からの出血が止まらない。
そのせいか意識が混濁しているウィゼの傍で、アズサは声をかけ続けながらも、
バッグから元気の欠片を取り出して、ウィゼに飲ませる。これがあれば死にはしない。
だが、薬の効果が出るまで間に合うかどうか。
「う…アズサ…」
「喋るな。じっとしてるんだ」
「あ…あたし…誰も傷ついてほしくない……ミィカにも……あなたにも……」
 ウィゼは構わず続けた。
「こんな怖がりでドジばかり踏んでるあたしだけど…もう何も失いたくない……だから……」
「え……?」
 その時、突然ウィゼの体が輝き始めた。進化が始まったのだ。
「進化……このタイミングで?」
 見る見るうちにウィぜの体は変貌を遂げる。体は一回り大きくなり、首周りの浮き袋が、
腰へと伸びる。頭はよりシャープになり、肘のヒレはより大きくなった。
ブイゼルからフローゼルへと進化を遂げたウィゼは、立ち上がるなり、
「あの、アズサ……あたし、あなたに付いて行ってもいい、かな……」
「え?」
「その……さっきあたしたちを使って戦ったあなたの姿が、そ、そ、その……格好良くて、
そそその……それに、あたし怖がりでドジばっかするけど、アズサに指示されてると、何だか怖くないの。
ドジることもなかったし……だから、その……あなたの力になりたいなーって……」
 どもりながらも、ウィゼは顔を赤くして体をもじもじとさせる。
 アズサは考える。もともと水タイプのポケモンは欲しかったし、
なるべく、彼女の希望には応じたい。しかし彼女はこの島のポケモン。
勝手に出て行かせるのはマズイだろう。
「いいじゃない?行きなさいよ。ウィゼちゃん。リジェルも、アズサも、いいでしょう?」
 ミィカが両者に問うた。
「あ、ああ……本人が強く望むのなら、島から出て行くのを認めるが……」
 リジェルは答える。それに、ミィカの頼みなら断りづらいという理由もあった。
 リーダーのリジェルがそういうのであれば、アズサも断る理由などない。
「僕も……来たいのなら、いいよ? でも、バトルとかするけど……いいの?」
「いいわ。アズサの指示なら、怖くない。あなたのためなら、戦える」
 顔を赤くしつつ目を輝かせ答えるウィゼをみて、手持ちのリエラとルーミが顔を顰めた。
新たなライバルの登場に、ムッとしてるのだ。
「あーら。そういうことなら、アタシも行ってもいいでしょ?リジェル?」
 そういったのは、ガバイトのマトリだ。今度は、ミィカがムッとする。
「ふぅん……でも。あなたがアズサの足を引っ張らないか心配ね」
「それは心配無用よ。ガブリアスに進化すればパワーもあがるって言うし、
アズサだってアタシを必要とするはずだわ。さっきのバトルで、そう思えたもの」
 その言葉に、リエラとルーミがさらにムッとした。
なおも言い争いを続けるミィカとマトリ。
 その様子を見て、タクヤは微笑みながら、センザキ達から手渡されていた
信号弾のピストルを、上空に向けて放った。

特殊部隊 

 信号弾を射出してから程なくして、シミズ達を乗せたヒノヤコ丸が、入り江にやってきた。
その船体はよりボロボロになっていて、動くのが精一杯な状況だった。
彼らの手持ちも、甲板で疲弊しぐったりとしていた。
「どうだぁ……120匹落してやったぜぇ……」
 ファイアローのフラップが息切れしつつ掠れ声で言うと、ヌメルゴンのメララが、
「ハァハァ……水中の敵まで相手しようと海に突っ込むアホウがどこにいるのよ。
炎タイプのクセに」
「本当に……お前は戦闘バカすぎる……」
 ガラガラのクロスも、メララに続いて言った。
「本当にキツかったりむ……死ぬかとおもったりむ……」
 ペロリームのぷっちも、歪んだ手摺に寄りかかって呟いた。
残りのブリガロンとオンバーンも、同じような状態だった。
 その間アズサは、戦闘で負傷したポケモン達を手持ちの薬全てを使い、肯定派も否定派も関係なく
治療し、回復させた。中には間に合わず死んでしまったものもいたが、それでも、少しでも死んでいく者を
助けたかった。
 その後、アズサはレンジャーの二人に事情を話した。
捨てられたポケモンの集まりであること、その中にも、人を信じるポケモンがいること。
そして一部の者が人間に復讐を企て、島での騒ぎはこれが原因であること。
「この島のポケモンは…海賊達はそうしたポケモン達なんです。どうか許してやってくれませんか」
 アズサが頭を下げると、シミズとセンザキは渋い顔をしつつも納得してくれた。
「ううむ。でも、人間に害を与えていることは間違いないんだ。それなりの罰は受けてもらわねばな」
「その肯定派だけなら、見逃してあげることはできるけれど……そんな危ない考えをするそのヨノワールは、
見過ごせないわね」
「殺処分は勘弁してあげてください。彼らは人間の悪い部分しか知らないだけなんです」
 アズサは、肯定派に拘束されている否定派達に目を向けながら言った。
できるなら、どうにか彼らを更生させて、正しい人と道を歩ませてやって欲しい。
そう思って、アズサは声を大きくした。
 その様子を見て、リジェルは拘束されているリオに向け言った。
「…お前も本当は人間に認めてもらいたかった……そうだろう?」
 本当は、彼もそうなはずなのだ。本当に人間に失望していれば、彼らのことなど気にもしない。
憎んではいるが、本心では人間に認めてほしかったのだ。今のリオからは、憎しみの波導は少なくなっていた。
やはり心のどこかに少しだけ、人間に希望を抱いていたのかもしれない。
「……」
 リオは何も言わなかった
「わかったわ。私達のほうから上に掛け合ってみる。ポケモンレンジャーは、
駆除するばかりが仕事じゃないからね」
 ポケモンレンジャーはポケモン駆除の仕事をやっている。そのために、
害ポケを駆除する団体だと誤解されることもたまにある。事実ではあるのだが、
それは本業ではない。彼らの本業は、困りごとを解決することなのだ。
そこには人もポケモンも区別はない。
 シミズは端末を操作して、レンジャー本部に連絡を入れる。ヒノヤコ丸は損傷が激しく、
自力でアサギシティまで戻れないために迎えを呼んだ。もちろん、島のポケモン達には
攻撃しないことを付け加えて。
「これで、一件落着ね。タクヤ君もお疲れ様。危ない目にあわせて済まなかったわ」
そういうと、シミズは空を見上げる。すでに明るくなりかけて、朝日が昇りつつあった。
と――
「何かしら……?」
 北のほうの空に、小さく黒いものが目に入った。遠くて形は良くわからないが、航空機のようである。
それはみるみるこの島に近づいてきて、次第にその形がはっきりとわかるようになる。
「あれは……ポケモンレンジャーの飛行艇だわ……?」
 おかしい、とシミズは思う。数秒前に連絡を入れたばかりなのに、もう迎えが来るとは?
 4つのプロペラを持つその機体は、だんだんと高度を下げて、アズサたちの近くの海面に着水する。
すると後部のハッチが開いて数人のレンジャー隊員と、明らかにデスクワーク派と見える丸々と太った
スーツ姿の禿頭の男を乗せた数隻のゴムボートがこちらに向かってくる。
 そのレンジャー隊員達の服装は、一般隊員の赤い服と異なり、青みがかったものになっている。
そしてその胸には、アーボックをモチーフにしたと思われる、毒々しい紫のマーク。
「あれはもしかして『ファングズ』……?」
「なんです……?」
呟くセンザキに、タクヤが尋ねた。彼らは明らかに、シミズやセンザキといった。
通常のレンジャー隊員とは雰囲気が違っていた。
「凶悪事件や暴動鎮圧の為の特殊部隊さ。色々と裏の仕事をしているって噂だ。
俺も見るのは初めてだが…あのスーツの人は、レンジャーユニオン、
カントー・ジョウト支部の偉いさんだ……こんな所にどうして……」
「裏の仕事……」
タクヤが呟いたとき、ゴムボートから降りてきた太目の男が、言葉を発した。
「ご苦労だったねセンザキ君、シミズ君」
すると、シミズがその男に尋ねた。
「キリゼ議長……いったいどういうことなのです?それも特殊部隊まで引き連れて……」
「すまんね……実は君たちの動きは、こちらでトレースしておったのだよ。
人間に害をなす海賊どもを、一日も早く殲滅するためにね」
「殲滅……?」
 シミズが眉をひそめる。そんな彼女を気にすることもなくキリゼと呼ばれた男は、
さっと前方に手を出すと、青服の隊員たちは、横一列に広がって、
各々ポケモンを繰り出す。バンギラスやボスゴドラ、リザードンにリングマ、ユキノオー等々、
様々な種類のポケモンを繰り出した。その彼らも同様に横一列に並ぶと、集まっているアズサや
ポケモン達のほうを向く。
「……え?」
 ミィカがそんな声を出したと同時に、彼女の腹を破壊光線が貫通した。
一瞬のことだった。腹にぽっかりと穴が開き、そのまま彼女は崩れ落ちた。
『ミィカ!!!!』
 アズサが、リジェルが、ウィゼとマトリが、彼女と仲が良かったポケモン達が一斉に叫んだ。
破壊光線に続いて、レンジャーのポケモン達が、否定派、肯定派問わず一斉に襲い掛かり、
あちこちから悲鳴が上がった。
「こ……こいつら……ぐぁッがッ!」
 ヨノワールのリオも例外ではなく、彼はレパルダスの“シャドークロー”やワルビアルの
“噛み砕く”攻撃を受けて、その身を引き裂かれた。
「くそ……人間め……やはり……」
 その言葉は続かぬまま、彼は技の集中砲火の中に飲み込まれ、消えていった。
子ポケたちは、身を寄せ合って震え上がり、それを守ろうと残りの肯定派や、マトリとウィゼ、
そしてタクヤとその手持ちたちが盾となる。
「や……やめてください!!」
 シミズが叫ぶ、しかし、彼らは攻撃を止めはしない。
「何故だね。シミズ君」
 キリゼが不思議そうに尋ねる。
「彼らは人間社会に害をもたらす存在なのだよ?
彼らの存在は、人間にとって脅威でしかない。そういう輩は排除せねばならん」
 キリゼはニヤついた笑みを浮かべて、告げた。
「そんな……」
 たった今、攻撃をしないよう連絡を入れたばかりなのに……。
彼らの行為を止めたかったが、上のやり方には逆らえない。
シミズもセンザキも顔を顰める。彼らの手持ちも、苦い表情で殲滅の光景を見つめていた。

命の火 

「ミィカ……しっかりしろ!ミィカ!!」
 リジェルが声をかける。ミィカの体から波導が急速に消えていくのが感じられた。
「くそ!元気の欠片は……」
 アズサは大急ぎでバッグをまさぐる。しかし、先程負傷者を復活させるために、
全て使い切ってしまった。それはタクヤも、シミズもセンザキも同様だった。
彼女を助ける手段はない。
「リジェ……アズ……わたし……」
 ミィカは、震える手を二人に向けて伸ばし、微笑んだ。
「あなた……たち…スキよ…」
 そういってから、彼女の手から力が抜けて……その目は、二度と開くことはなかった。
「く…おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 リジェルが叫んだ。どうしようもない怒りを、悲しみを、ポケモンレンジャー達に
ぶつけようと波導弾を乱射する。
「リジェル!!」
 アズサが叫んだが、遅かった。彼は攻撃の渦中に突っ込んでいき、やがて見えなくなった。
「そんな……こんなのって……」
 どうしようもない現実を前に、アズサは膝を突いて俯き、泣いた。

ミヤコ 

 その頃、島の表側――崩れかかった食糧倉庫の横で、キュウコン――ミヤコは呟いた。
メガシンカしたリジェルに受けたダメージを回復するために、一部の仲間達と今まで身を潜めていた。
「計算外だわ……リジェルにあんな力があるなんて……」
 仲間に体を支えられながら、ミヤコは呟いた。
 島の裏側に偵察に向かわせた部下の報告では、リオ達は制圧され、ポケモンレンジャーによって
島の防衛隊はほとんどが倒されてしまったらしい。
「でも、まぁいいわ……」
 ミヤコはニヤリと微笑んだ。
アズサを生贄にしたこの計画は失敗したが。こういう場合を想定して、すでに段取りはつけてある。
 ミヤコは仲間数匹と共に、岩場まで来ると、声を出した。
「いるんでしょう……? 出てきて頂戴」
 そういうと、岩の陰から、一つの影が現れる。
人間の女だ。黒いスーツに、赤い髪が目立つ若い女だった。
その傍らには、無数の触手を持ち、催眠術を得意とするという、逆転ポケモン『カラマネロ』
の姿があった。
「その様子じゃ、手ひどくやられたようね」
 軽く嘆息してから赤髪の女は告げた。
「ええ……でも、あなた達はもう次の手段を考えているのでしょう?」
「そうよ……You・I計画は、次の段階に進むことになるわ」
 それを聞いたミヤコは、再び微笑んだ。
まだ次がある。彼らがいる限り、人間への復讐は、まだ続けられる――。
「ふふふ……ですが、残念ながらアナタの出番はもうありませんよ」
 突然、傍らのカラマネロが口を開いた。
「それは……どういう意味かしら?」
「そのままの意味ですよ。あなたはもう用済みです。それに、わが主人曰く、
復讐だけが目的の者には、この計画には参加させられないのだそうです」
 ミヤコは顔を顰める。出番がもうない?自分は、人間達に復讐できるから、
彼らの計画に従ったというのに。島の仲間たちに気付かれないよう、密かに、
この連中と接触し情報を共有していたというのに。
「切り捨てるつもり……!? ここまで協力してやったのに!?」
「残念ながら、そうせよとの命令です。悪いとは思いますが……」
「!!?」
 カラマネロがそういったとき、岩の上から無数の何かが飛来し、ミヤコの仲間たちを
次々と襲った。倒れた彼らの体には、何かが突き刺さっていた。
それは、水を高圧で圧縮し成型した、手裏剣だった
「水……手裏剣!?」
 それが飛んできた方向を見やると、岩の上に一匹のポケモンが立っているのが見えた。
スマートな人型で、首周りにピンク色の長いマフラーのような者が巻かれているその姿は、
まるで『ニンジャ』を髣髴とさせた。
「そういうわけだ。それに貴様は我々のことを知りすぎている……我が主の望みのために、
消えてもらいたいな?」
 ニンジャのポケモン――『ゲッコウガ』はそういうと目にも留まらぬ速さで、
無数の水手裏剣をミヤコに向かって投擲する。それは狙いを外すことなく、
ミヤコの頭や首筋に、深々と突き刺さり、体力も十分に回復していなかったミヤコは
あっというまに絶命し、地面に倒れた。
「あんたみたいな輩はね……本当に邪魔なのよ」
 呟いて、赤髪の女は軽く跳躍して宙返りすると、その姿は人間のものから、
人型の黒いポケモンへと変貌した。
 本来の姿となったゾロアーク――カレンは、ミヤコの亡骸を見つめた。
「あんたみたいなポケモンを出さないためにも、あたしたちの計画は必要なのよ」
「Y・Kもイッシュから伝説のポケモンを連れてきたという…我々も次の任務にかかるぞ」
 岩の上にいたゲッコウガが降りてきて、カレンに告げた。
「そうね……用も済んだし、戻りましょう」
 そういうと、3匹のポケモン達はどこかへと姿を消した。
                                   ―――続く――


やっと現在の章が終了しました。長かった…これまでは捨てられたポケモンの側の視点で話を
進めてきましたが、次回以降は残りのジム巡りをしつつ、今度は人間の側の視点で物語を
展開してみようかと思っています。チャットで多くのアドバイスをして頂いた作者の皆様、
本当にありがとうございました。
また、今まで放置気味だったラティ兄弟や3犬達にも触れていく予定です。

指摘やアドバイス、感想などをいただけると嬉しいです。↓

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  • 助けてくれた人に試すような行為をし、寝不足疲れを与えるのがセレビィの恩返しなのかね……?伏線は回収されたものの結局何がしたかったんだよ……ジムスにもやっと春がきたんですね!よかった。するとあのリーフィアが6体目の可能性もあるのかな?やっぱパーティにイーブイ系一匹はいて欲しいものだと思いますから。 --
  • 助けてくれた人に試すような行為をし、寝不足疲れを与えるのがセレビィの恩返しなのかね……?伏線は回収されたものの結局何がしたかったんだよ……ジムスにもやっと春がきたんですね!よかった。するとあのリーフィアが6体目の可能性もあるのかな?やっぱパーティにイーブイ系一匹はいて欲しいものだと思いますから。 --
  •  セレビィは幻のポケモンなため色んな人間に狙われるので人間を信じられないため、
    仰るとおり主人公を試しただけで、その過程でガブリアスに関することが「偶然」判明したため、
    最後にああ言った……というわけなのです。
     ジムス君にもやっと恋の相手が出来ましたが、6匹目は果たしてどうなるのか……?
     コメントありがとうございました。これからも頑張ります。 -- かまぼこ
  • リエラアアアアアアアアアアどうしても死なないといけなかったんですか……なんかめちゃくちゃで先が読めない。なにがなんだか…… -- ?
  • 御三家キャラは重要で本来退場すべきキャラではないのですが、それだけ大事な者を
    失うという展開を入れることでインパクトを持たせつつ、この展開が後の展開に繋がる
    重要な出来事になるよう退場となりました。先が見えない展開になってしまいましたが、
    よかったらこの先も見てくれると嬉しいです。コメントありがとうございました。 -- かまぼこ
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Last-modified: 2014-08-06 (水) 19:40:40
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