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Galaxy (story61~66)

/Galaxy (story61~66)

著者パウス


~Story61~ ―崩壊する精神― 


「………なぁ……大丈夫だと思うか?」
水を飲みに行くと言い残していったカーネリアの背中を一番最後まで見送っていたリチアは、不安そうに視線をコーラルの方へ滑らせた。
「とりあえずは様子を見るしかないわね……」
メノウという存在は、カーネリアにとって大きいものであった。四年間という長い間、目的も伝えられずに虐待のような特訓を強制されていた俺達は、肉体的なものよりも精神的なダメージのほうが大きい。
一緒に時を過ごしていて分かったのは、特にカーネリアは覚醒が早かったせいもあり、まだ精神的に不安定な状態にあるということだった。それを支えていたのは、きっとメノウという存在だったのだろう。
両想いなのか片想いなのかは定かではないが、それでもメノウを想い続ける、傍にいる、それだけで彼女の心は癒されていた。そんな重要な存在から突然別れを告げられたというのだから、壊れるのも解る気がする。
「コーラルの言う通りだな。……今の俺達には、様子を見ることくらいしか出来ねぇよ。」
俺はリチアの肩をポンッと叩いた。
そう、今のカーネリアに何を言おうがきっと逆効果だろう。励ましたところで、所詮気休めにさえなりはしない。これは彼女自身が乗り越えなくてはならないものなのだ。
――――ちょっと格好つけたような考えだが、それ以外にカーネリアが安定する方法が見つからない。

「………………」
会話が繋がらず、気まずさと不安ばかりが募る。そろそろ朝飯時なので、そこら辺の木の実でも採ってこようかと思った―――その時だった。
突然強烈な光と、雷が落ちたかのような轟音が草木を貫いた。しかも、カーネリアが向かっていった方向から。
「な、何だ!?」
空は曇りだが雷が落ちた様子はなく、だがしかし確実に電撃の際に発する大きな音は聞こえた。それは空からではなく、地上近くからである。
「おいおいおい、何だよ今の!?」
この音には、今まで寝ていたガーネットやジェオード、それにあの寝坊が特技なパールまでもが起きてきた。そして、まだ寝癖がついたままのパールが慌ててコーラルの肩を叩く。
「なぁ、何があったんだ!?」
「…今の音……カーネリアが水を飲みに行くって言って向かっていった方向から聞こえたの………」
既に解っていることだが、コーラルの言葉で改めて今の状況を理解した俺は、胸の中を這いずり回るざわめきを感じずにはいられなかった。
「何か……すっごい嫌な予感がするんだけど………」
ジェオードは目を細め、眉間に皺をよせてその方向を見る。
「とにかくここで止まってても何も分からねぇ、とにかく行ってみようぜ、ご主人!」
よく考えれば、これがカーネリアの仕業と決まったわけではない。電撃を発することが出来る者など、この森にだって数多く存在するだろう。
だがやはり彼女があの状態では、彼女でないとは言い切れない、むしろそっちの可能性の方が高い。俺達はまるで魔物の住む洞窟に突入する勇者のようにかつてない緊張感と不安感を募らせていた。
そして一度ゴクリと唾を飲み込んでから、俺達はようやくカーネリアの向かった方向へ歩を進めた。体に入っていない魂の状態の俺やリチア、コーラル、アメシストが一般の者達に見つからないよう、なるべく静かに、尚且つ急いで。
進む方向を塞ぐ幾重にも重なった草の塊を退け、それからまた草を退けながら歩くこと数分の地点だった。先ほどの音の大きさ、光の強さからさほど遠い地点ではないことは解っていたが、やはりそれは当たっていたらしい。
―――彼女はそこにいた。

「ひっ………た、助けてくれ!もう二度とこんなことはしない!だから…………」
数メートル離れた距離から見ても分かるほど大きく震え、じりじりと後退していくグラエナ、その傍らには何者かが倒れている。
少し遠くから見ているせいもあるだろうが、それは生物の形をした炭のようにも見えた。全身がひどく焼け焦げ、地面に伏せったまま動かない。体の大きさや形で、種族はヘルガーだということは分かった。
死んではいないようだが、瀕死の重傷だというのは明らかである。さっきの光は、このヘルガーに浴びせられたカーネリアの電撃の際に生じたものだろう。
「…女だからってなめてかかるからこうなんのよ。それも解らないカスは、ちょっと痛い目に遭わないと理解出来ないでしょ……?」
グラエナが後退する度に、カーネリアもまた少しずつグラエナに近寄っていく。
何があったのかは分らないが、とにかくこのままではグラエナとヘルガーの命が危ない。
「やめるんだカーネリア!オニキス、カーネリアを止めるぞ!」
こんな残酷な状況を見ていられなかったパールは、怪我がまだ治っていないジェオード達に代わり怪我のないオニキスと共に自らカーネリアに飛びかかった。
「………っ!よせっ!!止めろパール!!」
その時、突然リチアが叫んだ。しかし、パール達がカーネリアに掴みかかるまでの時間があまりに短く、パールはリチアの声に反応出来なかった。
パールがカーネリアの腰辺りに手を触れた瞬間、そこから鋭い音をたてて火花が散り、パールは大きく吹き飛ばされてしまう。それを見たオニキスは、カーネリアとパールを数回交互に見ながら空中に止まった。
大量の落ち葉が舞い、そのなかで何とか立ち上がったパール。しかし、触れた右腕を左手で押さえながら。
もしカーネリアが本気で電気を体に流していたとしたら、恐らくパールの右腕は無事では済まなかっただろう。
パールはゆっくりと左手を離すがまだ上にあげることが出来ず、拳も作れない状態であった。まだしばらくは使い物にならないだろう。
その様子を一瞥いたカーネリアは、これに対して何の反応も見せず、その死神のような冷たい目をもう一度グラエナに向けた。
「……ひぃ!」
蛇に睨まれた蛙のように、グラエナはあまりの恐怖に邪魔されて体が思うように機能しなくなっていた。今にも気絶しそうなくらい体を震わせ、必死に動かす後足は地面を捉えられずに引っ掻くだけ。
カーネリアが一歩ずつ近づく度に、彼女の悪魔の人格はより鮮明になっていった。

そしてついにカーネリアが前足が届く範囲までグラエナに近づいた。
不気味に口の端を吊り上げ、ゆっくりとグラエナに前足を伸ばしていく。さらに焦りに焦るグラエナは、今だに地面を引っ掻き続けた。
その時である。これまで黙って見ていたコーラルが駆けだし、素早くカーネリアに近寄ると、その体の中に飛び込むように入り込んでいった。
「自業自得じゃないの…。その怯えた顔も、そこの死にぞこないも、まとめてぶっ飛ばして……………っ!?」
もう少しでグラエナの肩まで届くカーネリアの前足の動きが、何かにピクンと反応して止まる。その後その前足が触れたのは、グラエナの肩ではなく自分の額であった。
「な、何よ!?」
カーネリアはそのまま下を向き、何かに抵抗するように全身に力を込め、首を横に振る。
「ちょっとやめ……っ!あんたは引っ込んでて………っ!!」
必死にもがくカーネリアだが、その体から魂が入れ替わる際に発せられる光が生じ、彼女を包み込んでいく。
光はカーネリアの声も姿もかき消し、更に強く発光すると、そこから徐々に弱くなり、やがて消えた。
魂が入れ替わり、何が起きたのか全く分からずポカンとするグラエナの前に次に立ったのはコーラルである。
コーラルは殺意も敵意もない穏やかな、しかしどこか悲しげな目でグラエナ達を見下ろしていた。


~Story62~ ―リラックス― 


タンッ、タタンッ、タタンッ――――――
心地のいいリズムに合わせるように俺の体が揺れている。それに俺の意識は夢の中から引き戻された。
温かくて、ほんのりいい匂いがするものの上で、俺は目を覚ました。
「寝坊しすぎだ馬鹿野郎ッ!」
「痛ってぇ!!」
起きるや否や、いきなり頭に拳が落ちてきた。おかげでいい目覚ましになったが、起きてすぐの拳骨は一段と痛い。
「何すんだよジェード!」
「何すんだよじゃねぇ!お前はいったい何時まで寝てるつもりなんだ!朝早くにすぐ出発だって言っただろうが!」
「えっ…?お、おいルベライト、今何時だ?」
「………11時半過ぎだ。」
ルベライトはちらりとジェードの腕時計を見て、相変わらずの冷静な声でそう答える。同時にまた拳骨で殴られたような衝撃を覚えた。
「ま、まじかよ!?」
あわてて俺は空を見上げる。緑に映える葉の隙間に見えた太陽の位置は、ほぼ真上に近かった。
恐る恐るジェードを見ると、今度は軽くではあるがまた頭を叩かれた。
「おい、あまり暴れるな!ただでさえ三人も背中に乗せて走るのは難しいんだ、もっと大人しくしてないと振り落とすぞ!」
どこからか不機嫌な声が聞こえた。それでようやく周りを見渡すことができて、今俺達はスイクンの背中の上に乗っていることに気がついた。不機嫌な声の主はスイクンである。
「……ったく、私は乗り物ではないのだからな。少しは考えろ!」
どうやら俺だけが朝起きられず、仕方がないから俺を寝かせたまま「A・G団」の基地まで移動しているらしい。何度も起こしたそうだが、俺はまったく起きなかったという。
皆の視線が痛い。実際に俺を見ているのはジェードだけなのだが、ルベライトにもスイクンにも氷の如く冷たい目で見られているような気がしてならなかった。
「わ、悪かったよ……」
恥ずかしさと申し訳なさに萎んでいると、ジェードは半分呆れ顔でフッと笑い、俺の頭をポンポンと叩いた。

突然、急激なブレーキをかけてスイクンが止まった。全身が前へ投げ出されそうなのを必死にこらえたが、結局俺は彼女の背中から落ちてしまう。
「ぐふっ!!」
背中を強打し、とてつもない衝撃が襲った。まるでコントのようなノリでこの痛みはそうとう辛い。
「さて……この辺りだったかジェード?」
「おっと、もうそんな所か…」
誰一人ツッコミを入れてくれなかったのも悲しいが、そんなことを言っている場合じゃないということは、こんな俺でもすぐに解かる。パール達と会ったハクタイの森からずっと東に位置するトバリシティ、その南方向にある214番道路から外れた森の中深く―――そう、こここそ俺達が戦うべき敵、「A・G団」の基地がある場所なのだ。
朝早くから走っていたとはいえ、ハクタイの森から約20時間くらいだろうか、そんな短い時間でここまでこれるとは、さすがは伝説のポケモンだ。堅苦しく、まじめすぎて面白みに欠けるところがあるが、やはり共に戦ってくれると思うと、これほど頼りになる味方はいない。
ジェードは腰のベルトからボールを一つ取り出した。
「これから奴らの基地の中に入る。お前がいることがバレたらヤバいから、窮屈かもしんねぇけど、この中で大人しくしてろよ。」
そのボールの中にいるメノウは、無言で頷く。昨日のような迷いや戸惑いはもうないらしく、その目は涙以外の輝きを取り戻していた。
「…お前らも、いつもと同じように過ごせ。分かったな?」
いつもと変わらない、だがどこかいつもより重みのある声でジェードはそう言う。聞いていると、自然と顔の筋肉が引き締まったような気がした。
「私もそのボールの中に入ったほうがいいだろう。基本的に私は人間は信用しない質だからな、奴らもそれをよく知っているはず。でなければ、私をボールから出すのに許可を必要とさせる意味がないからな。……共に歩いていては怪しまれるだろう?」
「………あぁ、そうだな。」
ジェードはメノウの入ったボールをベルトにしまうと、その隣の空のボールを取り出し、スイクンに向ける。そしてボールから赤く細い光が出ると、スイクンの額に当たり、スイクンはその光と同化してボールの中に吸い込まれていった。
いつも思うのだが、このボールは一体どんな仕組みになっているのだろう。
「さて、行くか。」
スイクンのボールをしまい、俺とルベライトのほうを見て頷くジェード。その表情は既に覚悟を決めていた。
もしばれてしまえば無事では済まない事は明白であり、だからこそ生半可な覚悟ではいけないということを改めて知らされる。
覚悟という言葉は正直あまり好きではないのだが、そんなことは言っていられない。俺もルベライトも、ジェードと同じように頷いた。

「おーい、皆私を忘れてない?」
突然、ジェードがそう言った。驚いてジェードを見上げるが、彼に喋ったような様子はなかった。―――それ以前に、その声は男ではなかった。
「ひどいなぁ、勝手にこんなシリアスなムード作っちゃってさ。入りにくいったらありゃしない。」
この声と共にジェードの頭の上に上がってきたのは、今はサーナイトの進化前――キルリアの姿をしたメタモンのセルロースである。
セルロースはジェードの頭から、俺の頭に飛び移った。
「な、何だぁ!?」
セルロースは俺の頭を何度も押し、そして笑う。
「昨日君が寝てるときに触ってみたんだけどさぁ、君の頭ってさぁ、押すと面白いよねぇ。」
俺の種族キノガッサはきのこポケモンと呼ばれ、その名の通り頭にキノコの笠のようなものが付いているのが特徴。それを押して、セルロースは無邪気に笑うのだ。
「お前この前三十代後半って言ってたよな!?いい大人がくだらねぇことするな!降りろっ!」
「三十代前半ですぅーっ!いいじゃない、それくらい。それとも何?大人は子供みたいにはしゃいじゃいけないっていうの?」
「そういうわけじゃねえけど、とりあえず降りろ!」
何度も怒鳴られて、ようやくセルロースは俺の体から降りた。
降りたセルロースはふぅ、とため息をつき、片腕をグルグルまわしてから前を指差した。
「それじゃあ、行こうか!」
そう言うと、セルロースは軽い足取りで前に向かって歩を進め始める。それはあまりに警戒心がなさ過ぎて、俺が呼びとめようと腕を伸ばした瞬間、ルベライトに止められた。
「セルロースの言いたかったことは、リラックスしろということだ。」
そう言ってルベライトもまた足を進めた。ジェードは俺の頭に一度手を乗せてから動き始めた。
セルロースの言いたかったこと―――自分でもまったく気づいていなかったが、さっきまで俺の心は不安感やら覚悟やらで重くなっていたのが、さっきの彼女の行為でそれらすべてが忘れられた。
そう、そうすることで俺を、いや俺達をリラックスさせたかったのだ。そうしなければいけないほど、俺達の表情は固かったに違いない。
―――すげえな、お前。俺はそう呟いて、口の片端を上げて笑いながらジェード達の後を歩き始めた。


~Story63~ ―悲しみと沈黙― 


「パール!早く!!」
「ちょ、ちょっと待ってろ!」
パールは一度走ってテントまで戻り、自分のリュックを抱えて戻ってきた。それを瀕死のヘルガーの横でひっくり返し、中身を地面にばらまいた。
その中から「傷薬」と大きく書かれたラベルの貼ってある、霧吹きのような容器を探し当てると、ヘルガーの体の所々に吹きかけた。
「………これじゃあ足りないな……。とにかく、傷の酷いところだけを何とか治療しよう。」
「えぇ……。こっちは任せたわ。」
パールはヘルガーに目を向けたまま頷いた。コーラルは一度ほほ笑むと、グラエナの方へと歩いて行く。こっちでは、クォーツやオレ、ジェオード達がグラエナから事情を聞きだしていた。
どうやらいきなりいろいろなことが起こりすぎて、オレやクォーツに実体がないことにも気付かずに、やたらと素直に話してくれた。
聞けば、グラエナとヘルガーはカーネリアを襲い、自分たちの欲の捌け口にするつもりだったらしい。全く、呆れたものだ。
「…………事情は分かった?」
気がつけば、コーラルはクォーツの横にいた。グラエナの言っていたことをそのまま話すと、彼女はため息を吐いてグラエナの前に立った。それから、彼女は感情のこもっていないような笑顔をうかべた。
「これに懲りたら、もうこんなことは二度としないようにね。」
コーラルのこの言葉とともに、出来る限りの治療を施したヘルガーが、パールに抱きかかえられてグラエナの前まで運ばれてきた。
「彼を連れて、今すぐここから逃げてもらえるかしら?……またいつサンダース……カーネリアが出てくるかわからないからね。」
「………は、はいぃ!!」
結局最後まで、目の前で起こった不思議な現象について触れないまま、グラエナはヘルガーを背中に乗せて走り去って行った。

「ふぅ………」
コーラルは深くため息をつく。
「さて…どうしたものかな……」
オレもつられるように、ため息を吐いた。
グラエナ達のことはもういいとして、問題はカーネリアである。まさか、彼女の精神はここまで不安定だとは思わなかった。
彼女にとって、メノウという存在は大きかったのだろう。まだ出会って、それほど月日が経っているわけではないのに。
「どうする…?なんとかカーネリアに立ち直ってもらわないと……。」
ジェオードは心配そうに、中にいるカーネリアを覗くようにコーラルの体を見た。
「えぇ…。でも、私にカーネリアを立ち直させる自信がないわ…。」
「…………俺もだ。」
パールは座り込んで、顔を伏せた。
「……私の体の中にいるからでしょうか………なんだか、カーネリアさんの悲しみが伝わってくるような感じがします。
とても重たくて、深くて…胸が締め付けられるような………これは時が消してくれるような悲しみなのでしょうか…。
いや、きっと、このままでは永遠に消えないような気がします。例え上辺だけが消えたとしても、深い傷跡が残ると思います……。」
「……あぁ、だから何とかしてやらなきゃならねえんだけどよ………。正直言って、俺もカーネリアと話せる自信がねぇ。なんか……思わず手が出ちまいそうだ。」
「貴様は短気だからな。」
オレがこう言った瞬間、クォーツはすごい形相でこっちを睨みつけてきた。しかしこの重い雰囲気の中、言い返す気にもならなかったらしく、そのまま顔を伏せた。
自分でも、クォーツをからかっている場合ではないことぐらい分かっている。だが、自分の心がこの空気から逃げ出したがっているのか、思わず口に出てしまった。
どうにかしたいが、何もできず、ただこんないい加減な自分に腹が立ってきた。

「………………」
ついに誰も言葉を出さなくなってしまった。いや、正確には出せなくなってしまっていた。
こんな時に何を言えばいいかもわからずに、カーネリアを立ち直せるような言葉が言えるだろうか。いや、きっと言葉が見つからないだろう。
下手をすれば、余計に彼女を傷つけてしまうかもしれない。
こうやって何も話せないまま、何もできないまま、刻々と時間は過ぎて行った―――


~Story64~ -グレイシアの瞳- 


―――暗い。
アメシストの体の中は、電灯一つない夜の山小屋のような暗さだった。これは、彼女の心情を表しているのだろうか。
それは私も同じこと。きっと、私の心の中に入れるとするのなら、ここよりも更に暗いことだろう。私の心もまた、影のように真っ暗なのだから。
暗闇の中に腰をおろして、下を向いて目をつむる。―――頭の中に浮かんでくるのは、メノウの顔ばかり。
彼の笑った顔、困った顔、驚いた顔―――彼に出会ってから、それほど時間が経っていないのだが、思い出すことはたくさんあった。
メノウと初めて出会ったのは、確かクロガネゲートだった。コーラルとほぼ同時に目が覚めて、気がついたらここ――アメシストの心の中にいて、パール達がジェードにやられそうなところを助けて、それから―――
ここから先、いろいろあったはずだが、思い出せるのはメノウの事だけ。
そういえば、メノウからまだ告白の返事を聞いていなかったような気がする。
―――でも、もういい。メノウが自分の意思で去って行ったというのなら、連れ戻す権利なんて私にはない。
もう十分だ、傷つくのは。メノウのことを忘れてしまえば、パール達や「A・G団」のことも、何もかも考えなければ、もう傷つくこともない。
もういいんだ――もう何もかもどうでもいい。
私は燃え尽きた灰のように真っ白になりながら、そこでずっと座っていた。

――――その時、突然、私の前から光が現れた。
その光は球体のような形から徐々に変化し、長方形の扉を形作る。
その扉は、私が何をしたわけでもないのに、勝手に音もなく開き始めた。
「……………っ!」
その中から出てきたのも、また光だった。しかしその光は初めから何かの形をしていて、まるで生き物のように四本の足があり、その足で私のそばへと近寄ってくる。
やがて後ろの光の扉も消えてなくなった。―――近寄ってきた光も剥げ、姿を現したのは、水色の体毛に覆われ、額の飾りから左右に、まるで水色の太い髪の毛のようなものが垂れ下がっているポケモン。
――そう、イーブイの進化形の一つ、グレイシアであった。
「まだ考えるのを止めるのは、早すぎるんじゃないかな……カーネリア?」
それは、あるようで無かった私の意識を、完全に呼び戻すような言葉だった。
「君がそうやっている間にも、メノウ……っていったっけ?彼はどんどん闇の底に近づいて行ってる…。
それを止められるのは君たちだけだっていうのに、君がそんな状態じゃ何もできないよ。」
「うるさい…っ!あんたに……あんたなんかに、何が分かるっていうのよ!!」
アメシストの心の中からはみ出てしまいそうなほど、大きな声で怒鳴った。
グレイシアの言っていることなど、もう自分でも分かっている。でも、私にはそれを受けとめる気力が、もうなかった。
あの時のメノウの覚悟を決めた目―――それを思い出すだけで、体が動かなくなってしまう。悲しみ?怒り?驚き?―――どれとも違う、不安、恐怖という感情だった。
もし彼を連れ戻したとしても、彼が納得しなかったらどうしよう。それで、私のことを嫌いになってしまったらどうしよう。
不安はすぐに恐怖へと変わる。もしこうなってしまったら―――そんなあいまいで不確かな考えが、私の気力を奪っていた。
だから、すべて忘れてしまえば―――
「すべて忘れてしまえば、もう傷つくことはない……と?」
「………っ!!」
まるで私の考えていることを読んだかのように、グレイシアは少し低くそう言った。
「連れ戻したとしても、相手が納得しなかったらどうしよう……嫌われたらどうしよう……。君は今、そう思っていなかったか?」
「え……?」
またしても、グレイシアは私が思っていたことと全く同じ事を言った。彼には私の心が見えるのではないだろうか?そう思わせるほど、驚きで、不思議であった。
「悲しいね……だからって何もかも忘れるなんて…。
確かに、相手は納得しないかもしれない。だけどね……もしかしたら、連れ戻しにくるのを、心のどこかで待っているかもしれないじゃない。
……帰りたいという気持ちに、素直にさせてくれる機会を待っているかもしれないじゃないか。」
グレイシアは、綺麗な―――同時に悲しげな青みのかかった瞳を、私の視線と向かい合わせた。
その悲しげな瞳は、とても演技とは思えない。さっきから私の思っていることと、同じことを口に出していることからも、あることが想像ついた。
「…もしかして……あなたも、私と同じような目に………?」
私がそう言うと、グレイシアは徐々に視線を下に落として―――小さく、頷いた。


~Story65~ ―純粋な気持ち― 


グレイシアは、大きく息を吸って吐いた。そして私の前に座って、視線だけを下に向ける。しばらく目をつむって、今度は小さく息を吐いた。
「…こう見えても俺にはね、妻がいたんだ。」
顔を下げたまま、グレイシアは前足で自分の額から垂れ下がっている、片方の飾りをそっと撫でる。―――余談だが、このときグレイシアは雄だとハッキリした。
「妻………」
無意識のうちに出た私の言葉に、グレイシアは頷いた。そして、ゆっくり顔を上げて更に続ける。
「とても明るくて、優しくて、綺麗で、……魅力的だった。」
彼の妻に対する褒め方から、とても彼女を愛していたんだろうな、と思えた。
まだ何があったのかは分からないが、よほど悲しい出来事があったのだろう。話をしようとする彼の表情から、悲しみを通り越して苦しさが伝わってくる。
それでも、彼は何があったのかを、詳しく話してくれた――――――



「…………冗談……だよね?」
とある場所の、小さな横穴の中にグレイシアはいた。額から汗を垂らし、戸惑いを隠し切れていない様子であった。
グレイシアの前には、彼の妻である女性が立っていた。
「…本気よ。私、もう我慢できないの………、これ以上、平和だったこの場所を、奴らに荒らされるのが!」
彼女の言う「奴ら」とは、その当時、シンオウとは違う地方で猛威を揮っていた集団――「ロケット団」のことである。
世界を征服するという、至極単純で迷惑極まりないことを目的とし、行動していた。そのために、多くの命が犠牲となった。
「ば、馬鹿なことを言わないでくれ! !確かに君は強い、だけど相手にはそれ以上の実力を持った奴がいくらでもいるんだ!!
……彼らが来てくれるまで、ここに隠れていたほうがいい!」
ここでの「彼ら」というのは、当時ロケット団に対抗していた人間とポケモン達のことである。彼らには、ポケモンからも人間からも、大いに期待されていた。
「彼らが来るまで、ここが荒れ地になろうと我慢しろっていうの!?私には奴らを全滅させるような実力はないけど、時間稼ぎくらいにはなるでしょう!?」
「一匹の力なんてたかがしれてる!多少抵抗したところで、奴らから見れば小さいものだ!
…だけど、どれだけ小さくっても、邪魔になる者に奴らは容赦しない!そんな危険なところに、わざわざ君を行かせたりするものか!!」
グレイシアは、彼女の肩をつかんだ。そして、目を覚ませと言わんばかりに前後に揺さぶる。
―――しかし、彼女の瞳には、それでも動じないほどの決意と覚悟の輝きがあった。
「………それでも、何もしないで見てるだけなんて耐えられない!私を止めたいんなら、力ずくで止めてみることね!!」
「…………何だって……!?」
彼女は前足を振りほどいて低く構え、今にも飛びかかりそうな体制で獰猛に唸った。夫でも容赦はしない、と言わんばかりに、闘志をむき出しにして―――
「……分かった…君がそこまで言うのなら、俺も君を命がけで止めるっ!!」
グレイシアもまた、戦意をむき出しに構えた。

―――――長い時が経ち、やがて争う音が止まった。
「……………くっ!!」
グレイシアが仰向けに倒れていて、彼女に上から押さえつけられていた。
お互いに目立った傷は見当たらないが、息を切らしているグレイシアと、そうでない彼女から、勝敗は明らかである。
―――グレイシアの惨敗であった。
「…………………」
彼女の瞳には「ロケット団」と戦うという決意、覚悟の輝きが秘められていた。それをグレイシアの脳に直接訴えるように、彼女は上からジッと目を合わせる。
その瞳から目を逸らすことの出来なかったグレイシアは、もうどうして止めればいいのか分からなくなってしまった。―――正確には、もう彼女を止めるという意思さえも溶かされてしまった。
しばらくして、彼女はグレイシアを放して立ちあがり、彼に背を向けて外の方に向いた。そしてそのまま前を見たまま、彼女はこう言う。
「………大丈夫、私は死なない。ここが安全になったら、絶対に帰ってくる。……………そしたら…」
―――彼女は最後に後ろを振り向いて、満面の笑みを見せた。
「三匹で一緒に……幸せに暮らそうね!」
「………三匹…?」
グレイシアは体を起して、後ろを見た。奥の方の、大きな岩の陰のところに、何かがチラリと姿をのぞかせていた。
「……………っっ!!」
――――それは二匹の愛の結晶、新たな命の宿る大きな卵が、草を集めて作られたクッションの上に、丁寧に置かれていた。
次にグレイシアが後ろを振り向いた時には、もう既に彼女の姿は消えていた――――――



「………それから彼女は、二度と帰ってくることはなかった……。」
「……………」
何も言葉が出てこなかった。その時どれだけグレイシアが辛かったのか、苦しかったのか、悲しかったのか、私にはよくわかる。
私によくわかるということは、彼にも今の私の苦しさがよくわかるということだ。
「ハハハッ…子どもを育てるのは大変だったよ。俺は男だから母乳なんて出ないから、それに似た成分の木の実を探し回ったりね……。」
グレイシアは、話すのも辛いはずなのに、苦笑とはいえ笑って見せた。
「でも俺は、まだ救われていたほうだよ。彼女が残していってくれた子もいたしね。
だけど、子がいたからこそ行ってしまった彼女を追うことも、帰ってこなかった彼女を探すこともできなかった……。
それにやっぱり俺にとって彼女の存在は大きくてね、心にポッカリ空いた穴がふさがることはなかったよ。
だから君と同じように、何度も忘れようとした。忘れてしまえば、もう苦しい思いはしないと思ってね。」
ふぅっと一息吐いて、彼は自分の額を押さえながら更に続ける。
「だけど忘れようとすればするほど、逆に苦しかった…。彼女との幸せな思い出を消してしまおうとすると、涙があふれて止まらなかった……。」
やっぱり彼も、一度は私と同じことを考えてしまったのだ。しかし結局できなかった、出来るわけなかったのだ、愛した者のことを忘れるなんて―――
「……私、自分が恥ずかしい。
自分のことなんて、誰にもわからないと勝手に思い込んでた…。私は誰よりも不幸だなんて、馬鹿なことを考えてた。
……私と同じ思いをしたひとや、もっと辛い思いをしてるひとなんて、この世の中にいくらでもいるのに……。」
私はとんでもない甘ったれ屋だ。落ち込んでいたさっきまでの自分を思い出すと、恥ずかしさを通り越して笑えてくる。
「恥ずかしかることないさ。だってそれは、君にとって大きな出来事だったんだから、そう思ってしまっても仕方は無い。
大切なのは、これからどうすればいいのかをきちんと考えられるかどうかだよ。」
グレイシアは優しくて、温かなほほ笑みを見せる。
「君が後悔しないような道を選べばいい。俺みたいに、心に穴が空いたままにして欲しくない。
……さぁ、君はこれからどうする?どうすれば後悔しないのか、自分で考えるんだ………」
「……私は…………」
私は、ゆっくり目を閉じた。―――相変わらず脳裏に浮かぶのは、メノウの姿ばかり。
それがきっと、私の進むべき道。会いたいと思う、純粋な心に従えば後悔などしない。―――もう考えるまでもなかった。今の私の中に、選択肢など存在しない。
たった一つの、私の望む道―――――
「私は……メノウに会いたい!メノウに会って、また一緒に笑い合いたい!!」
この想いが、たとえ片想いだったとしても構わない。平和になって、笑い合えるような環境の中で、どんな関係であれメノウとずっと関わり合っていたい。
純粋で、私の中で一番輝いている気持ちだった。
グレイシアはその答えを聞くと、ニコリと笑って頷いてくれた。私もまた、つられるように自然と頬が緩んで――――気がついた時には、私も笑顔になっていた。


~Story66~ ―想いが一つに― 


「今更そんな弱気でどうすんだよ!」
「弱気になってるんじゃない!もっと戦略を練って行動した方がいいって言ってるんだ!」
互いに喉を鳴らして威嚇し合いながら、激しく口論を繰り返すクォーツとリチア。その横には、オロオロと慌てるアメシストがいた。
「あ、あの……」
「戦略を練ろうが何しようが、もっと力をつけなきゃ意味ねえんだよ!相手の実力はお前もよく知ってんだろ!?」
「ただ単に力だけつけたって、闘える相手じゃないだろ!相手は単体じゃない、組織なんだぞ!?
統率された組織に真正面からぶつかる阿呆はただの自殺願望者だ!!」
「もうやめなさいよ二匹とも!今はそんなことで争ってる場合じゃないでしょう!?」
そこにあの大人しいコーラルまで入り込んで、更にアワアワとうろたえるアメシスト。止めたくても、怖くて何も言いだせないのだった。
だが実際、アメシストにもクォーツ達が苛立つ理由は痛いほど解かっていた。あの明るいカーネリアがあそこまで不安定になっていることが、他の者に影響を及ぼさないはずがない。
特に同じ肉体を通して繋がっている融合体には、その影響が顕著に表れているのかもしれない。

「あ、あの……みなさん、一旦落ち着きましょう?…ね?」
息を荒げるクォーツとリチアは、チラリとアメシストを一瞥し、小さく舌打ちをしてから何も言わず座り込んだ。
それから口論が続かなくなると、コーラルもゆっくりと座る。その時、アメシストの後ろに何かがいることを、彼女の目がとらえた。
「え……?あっ………カ、カーネリア?」
「えっ?」とクォーツとリチアも同じ方向を向く。最後にアメシストが、ゆっくりと自分の後ろに振り向いた。
―――そこには、申し訳なさそうな顔をしながら、前足で頬をポリポリと掻くカーネリアが立っていた。
「あー…………あのぉ……」
暫く何か考える素振りを見せると、彼女は勢いよく頭を下げた。
「ご、ごめん!!…なさい!!」
彼女が魂の状態でなければ、アメシストに頭がぶつかって大変なことになっていた、というくらい激しく頭を下げたカーネリアを、唖然と見つめる融合体とパール達。
「私のせいで、みんなに迷惑かけた…。みんなだって悲しいのにあんな事言って、私だけ馬鹿みたいに自分の殻に閉じこもってた。
…ホントに、ごめんなさい!」
カーネリアは更に深く頭を下げた。
「私、やっぱりメノウに会いたい!メノウとまた一緒にいたい!だから……メノウを連れ戻したい!!」
ずっと心の中で霧に隠れていた、彼女の素直な気持ちがようやく声となった。彼女の気迫が、覚悟が、そしてメノウを想う気持ちが、前以上にビシビシと伝わってくる。
もう迷ったりなんかしない、カーネリアは最後にそう付け足した。
そこに、ようやくコーラルが立ちあがって歩み寄っていく。そして、カーネリアの肩にポンッ、と前足を乗せた。
「謝らなくたっていいのよ。誰よりも強くメノウを引きとめようとした分、一番ショックが大きいのは当然だわ。
あなたがメノウに特別な感情を抱いてることは、もう皆知ってる。だから、あなたが壊れそうになるくらい落ち込むことくらい分かってる。…誰も怒ったりなんかしないわ。」
そう言って、コーラルはまるで母親のようにほほ笑んだ。それに釣られるように、カーネリアもほほ笑み返す。
うっすらと涙を瞳に溜めながら。

「それにしても、あんな状態からよく自分の力で立ち直れたな。」
そう言ったのは、パールの頭の上に止まっていたガーネットである。
「うん…、ホント、精神が崩壊したって言われても仕方ないほど落ち込んでたからね。」
ジェオードは苦い笑みを浮かべた。
「あっ…いや、自分一匹の力で立ち直れたわけじゃないんだ……」
カーネリアはキョロキョロと辺りを見回す。そして眉間にしわを寄せると、アメシストの肩を軽く叩いた。
「ねぇ、私が出てくる前に、誰かあんたの中から出てこなかった?」
「…へ?いや、出てきてませんけど……」
―――次の瞬間、アメシストの胸の辺りから、半透明な水色の足が突き出てきた。
「ひゃあぁぁぁぁっっ!!」
ひっくり返りそうな程大きな悲鳴を上げるアメシスト。他の者は、むしろその悲鳴に驚くくらいだった。
その足は暫くじたばたともがくような動きをすると、地面を足でとらえて、そのまま全身がまるで脱皮でもするかのようにゆっくりと這い出てきた。
「ご、ごめんよ、驚かせるつもりはなかったんだ。初めてなもんだからよく分からなくて……」
瞳をうるうるとさせるアメシストに、頭を下げる水色のポケモン。カーネリアは彼の背中を叩いて笑った。
「私が立ち直れたのは、彼のおかげ。…ね?」
「ん?あぁ、いや、俺じゃないよ。…俺はただきっかけをつくっただけ。実際に立ち直ったのは…カーネリア、君だよ。」
そう言ってほほ笑み返す水色のポケモン―――グレイシア。突如現れた彼に、他の者はポカンとするしかなかった。
「あ、あのカーネリア?そのひとはどなた?…いや、私達と同じ融合体だってことは分かるけど……」
「………そういやぁ、私も名前とか聞いてなかった気がする……。」
「あれ?言ってなかったっけ?」
カーネリアはコクッと頷いた。
「せっかくだから、ここで自己紹介してくれません?」
皆の視線が一気にグレイシアに集まった。グレイシアは少し戸惑いながらも、小さく咳払いをして口を開いた。
「まず名前だね…、俺の名前はアルミナ。種族はグレイシア……見ればわかるか。あと性別は雄……これも言わなくてもわかるよね」
どうやらグレイシア―――アルミナはひと前に立つのに慣れてないのかひと見知りをするのか、言う必要のない事を言っては、アハハと笑ってごまかす。
それが逆に微笑ましくて、コーラルやカーネリアはクスクスと笑っていた。
「あとは何を言えば………」
「あ、じゃあ歳とか教えてくれません?」
「ん?歳かい?えーっと…………」
アルミナは空を仰ぎながら、小さな声でぶつぶつと何か数字を数え始めた。自分の歳を覚えていないらしい。
まぁ、見た目でなんとなくわかるか。とコーラルはアルミナに見えないように笑った。
カーネリアと並んで見ると、それほど歳が離れているようには見えなかった。おそらくカーネリアと同じ19歳、もしくはそれより少し上くらいだろう、皆そう思っていた。
「……ん、えっと、34歳だね。」
―――皆の予想は、かすりもしていなかった。アルミナ以外の全員が目を丸くする。
「さ、さんじゅうよんさい!?嘘つけ!!」
「えっ、何!?俺ってそんな老けて見える!?」
「いやいやいや、逆だ逆!!どう見たってカーネリアと同じくらいにしか見えん!!」
クォーツとリチアが特にがっついた。何度も隣にいるカーネリアとアルミナを見比べては、そのたびに驚くようなしぐさを見せる。
「そ、そうかい?それは嬉しいねぇ。」
反対に、アルミナは照れくさそうに頬を掻きながら笑っていた。





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Last-modified: 2010-10-03 (日) 00:00:00
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