著者 パウス
シンオウ地方――ここはほかの地方には出没するポケモンを使った悪の組織「ロケット団」ホウエン地方に出没する「マグマ団」「アクア団」
その魔の手が届いていなく、とても平和な地方だ。・・・いや「だった」と言うべきだろう。
ホウエンの「マグマ・アクア団事件」からおよそ2年。シンオウにある組織が作られた。
その組織の名は「銀河団」。「ロケット団」「マグマ団」「アクア団」と同じポケモンを悪用する組織がついにシンオウにも現れてしまった。
人々はこれをくい止めようとした。
自らの欲のため、世界を支配しようとする組織。
かつての平和を守るため、それを阻止しようとする勇敢なたった数人のトレーナーたち。
二つに分かれた悪と正義。
その二つが真正面からぶつかり合っていた。
そんな中、組織という形を作っていた〝悪″が突然姿を消した。
何故・・・?
そう思う人もいたが、そんな事より、再び平和が戻った事に大いに喜んだ。
しかし人々は気づいていなかった。
その者たちは降伏したのではなく、新たな力を蓄えるための眠りについていたということに・・・。
「・・・なるほど、そういうことか・・・。」
「はい。
恐らく可能かと・・・。」
ある場所のある建物の中、その者たちは行動を開始していた。
再び世界を支配するために。
この部屋には何やらいろいろな器具が散乱しており、常人には全くわけの分からないものばかりだった。
その中央に位置している大きな水槽のようなものの中にたくさんのポケモンが浮かんでいる。
小さなポケモンのコラッタ、ポッポ、ニドラン♂・♀等が目を瞑って無造作に浮かんでいる。
「ならばやってみろ。」
「はい。」
ある器具を作動させる。
「コラッタ心臓停止、ポッポ心臓停止・・・」
同じような言葉が何度も繰り返される。
もはや器具の中にいて生きているのは・・・一匹だけだった。
そのポケモンはイーブイ、心臓は不安定な状態なものの、しっかりと生き残っていた。
「なるほど・・・イーブイか。
たしかにあらゆる環境にも対応できる遺伝子を持つというが・・・。」
「別の実験もやってみますか。」
「・・・・よし、お前に任せる。」
誰もいなくなったその部屋で一匹のポケモンが目を覚ます。
人間の欲のために利用される運命を背負って・・・。
何かあったらどうぞ