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銀色狐の千年唄

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-銀色狐の千年唄-

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ーおくりびやまー

そう呼ばれている此処は、常に深い霧に覆われて、生を終えたポケモン達が眠る安らぎ処。

その入り口で私は、静かに其の訪れを待つ。

「…来たわね。」

ヨノワールに連れられて向かって来る一魂の半透明な存在を見ながら、私はその仔の生前の姿に想いを馳せる。
生前の姿亡きポケモンというと、ヨノワールにされるがままに浮遊して居る。

「………」

私に魂が行き渡ったのを見ると、無言のまま、静かにヨノワールは消えて行った。
次の迷える魂を捜しにいったのだろう、これもまた、いつもの事。

「こっちよ、ついて来なさい。」

状況が飲み込めないまま誘導に従って憑いてくる魂は、どこか楽しそう。

「…さてと、目的地に着くまで此処と私の話をするね。
特別な力を持っているこの山は、寿命を終えたり諸事で亡くなったりしたポケモン達が自然にこの山へと集まってくるの。
でもね、自分が死んだ事も分からずに彷徨い続けているポケモンもいて、
そんな私は此処で、ヨノワールが連れてきた魂を安らかな眠りに導く事を生業としているの。 悪霊になられたら困るから。」

聞いているのか分からない霊魂は、再びグルグルと私の周りを廻る。
どうやら、戯けているようだ。

「楽しい? それとも、私が銀色のキュウコンなのが珍しいの?」

魂は二度頷く様な仕草を見せると、再び私の周りを回りだす。
きっと、どちらもね。

…うん、そんなやりとりをしているうちに着いたみたい。
そして魂は、辺りをぐるりと一周した後、一つの墓石で留まる。
よく見ると墓石には"ソラト"の名が刻まれている。 まさか…ね。

「…それが君のお墓だよ。 まぁ、生前の記憶など程んど無いだろうけどね。
そんな君に鎮魂歌(レクイエム)を聴かせてあげる。
…今までの全てを忘れて、安らかに眠りなさい。」

そして私は、声のトーンを上げて"銀色狐の千年唄"を謳う。
私の"今"と、千年の慰めも込めて…





生きたる証よ 煌めいて

永遠に眠りて 来る日を

刻は今か昔か 幻か

未来を憂いて 輪廻しな…




私が謳い終わるとその魂は、生前の姿を現して、空色の瞳を静かに、安らかな笑顔で少し寂しそうに二対の珠へと吸い込まれて行った。
やはり、貴方様でしたか…



・・・・・



暫く無感情に、深い霧の空を見上げる。

「…これは貴方の采配なの? ポケモンマスター。」

いつの間にか私の隣に居た人間、ポケモンに愛されし者と笑みを交わす。
もちろん、私だって彼が大好きよ。

「おや、誰の魂かを見なかったのですね。」

「これから休もうとするのに、私が先送りで伝えるなんて、野暮よ…。」

「いつになく寂しげに答えますね。
それに、この諸行は彼の願いですからね、いた仕方ありません。」

そう言うと彼は、哀しげに笑う私の頭を撫で、言葉を続ける。

「暫くしたら彼らを助けに行きますよ。
"悲しき絆"は、魅せて貰いましたからね。」

「…相変わらず優しいのね。 そんな貴方に嫉妬しちゃうわ。」

「ふふ、褒め言葉として受け取りますよ。 …おや? 霧が晴れましたね。」

夜空を見上げる彼につられて、私も見上げる。

「綺麗ね、貴方みたい…」

遮りがなくなった空には、星々でデコレーションされて、三日月にライトアップされている。

明日もハレルヤ!

〜Fin〜




ーあとがきー

これにて銀色狐の千年唄の完結です。

この小説は、私の想いも沢山込められています(笑)
なので、skyを登場させました。

唄の部分は、
子守唄【ねんねんころりよおころりよ】
を参照にして下さい。

この小説を読んで頂き、感謝です。
最後に、

弱さを魅せて、強さを誇示せよ!!


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Last-modified: 2015-07-24 (金) 21:24:15
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