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赤い彼女一節

/赤い彼女一節

なんとか書きました。


レウロシティという大きな街の高校に俺はいつも通っている。そしてバイトのない日の放課後には友達の浩二(こうじ)と2人で残り、話をしている。今日も俺達は残って話をしていた。
「なぁなぁ!レウロホテルのすぐ近くに新しいゲーセンできたの知ってる?」
俺はの浩二の話を聞いてテンションが上がった。高ニでバイトもしている俺達にとってはゲーセンは最高の遊び場だからだ。
「マジで!?ちょ、明日土曜だし行こうぜ!お前も俺もバイトないだろ?」
俺は村井 進一(むらい しんいち)。学校では友達とはしゃいだりして何不自由なく楽しく過ごしている。学校では楽しい日々なんだ。学校では…な……
「う〜ん、でもなぁ…」
浩二が何か悩むような顔をして上を向く。
「なんだよ?」
そんな顔を見れば俺だって明日の楽しみが不安に変わる。だからすぐに聞き返す。
「いやぁ〜さぁ、あそこら辺は別の高校のが近所だろ?だからそいつらの溜まり場になるんじゃねぇかなって…」
「なんだよそんな事か!絡んでくる奴がいたらボコボコにすりゃいいじゃねぇか!」
俺はホッとした。普通の奴はだるがったりするだろうけど俺はそうでもない。喧嘩は今までほとんど勝ってきたし、俺はただムカつく奴はぶっ飛ばせばいいと単純に思ってた。
「あのなぁ進一…4、5人で行くならともかく、俺等2人だけで行くんだろ?あっちは多分結構溜まるだろうし…ちょっとキツくね?」
俺は浩二がその言葉を言い放った後に俺は軽く見下す様に浩二を睨み付けた。
「なんだよ言い出したのお前なのにビビってんのか?」
「べっ…別にビビってはねぇよ!」
必死に言い返すを浩二を見て俺はにっ、と笑う。
「へへっ、なら明日の朝10時にレウロ第二公園に集合な!」
「あ…あぁ。」
俺は時間を決め付けてそそくさと一人で帰って行った。

─帰り道 家の前─

「あ〜あ、新しいゲーセンか…一体どんな感じだろ…」
俺はそう独り言を言いながら家のドアを開けた。
「ただいま。」
家に入りドアを閉めた途端に上から騒がしくダッダッダッダッ…と何かが走ってくる音が近付いてくる。
大体検討はついていた。俺はふぅ〜っと、深い溜め息をついて物音が聞こえてくる方向に歩いて行った。
そして二階の階段からダダダダダダッと素早い物音と共に何かが現れ、俺の前に立ちはだかった。
「お帰り進一!待ちくたびれたぞ〜!!」
親父だ。親父はポケモンの研究に日々明け暮れている。自分の部屋を
『ラボだラボだ!』
と言い張るが、ただの散らかった部屋にしか見えない。正直言って端から見りゃポケモンオタクにしか見えない。俺も母さんも既にあきれていた。
「ただいま。」
俺は前に立ちはだかった親父をスルーして階段の隣にある自分の部屋のドアノブに手をかけた。
「待ってくれ進一!頼みがあるんだ聞いてくれ!」
親父は急に後ろから俺の肩を掴んでくる。
「んだよ親父っ!親父の頼みってのはろくなのがねぇんだよ!!」
俺は咄嗟に親父の手を振り払うが親父も負けじと俺の手を引っ張ってくる。
「そんな事言わずに聞いてくれよぁぉ…今回のはほんとに凄いんだよぉぉぉ……!」
「いっつも同じ事言ってるだろうがぁぁぁ…!」
親父が俺に頼み事をする時はいつも引っ張り合いになってしまう。
「頼む!今回はな仕事だからさ!いやむしろ楽も!!」
そんな事を言っていつも親父は俺を説得しようとする。でも、こんな下手な説得に応じるかってんだ。
「何が楽しいだゴルアァァ!辛いことしかなかったわボケエェェ!!」
大声張り上げながらずっと必死に引っ張り合っているので次第に俺も親父もスタミナがきれてくる。
「いっ…いい加減諦めたらどうだ…」
「そっ…そっちこそ諦めやがれクソ親父…」
そう言い放った途端、急に親父が俺の手をはなした。思い切り引っ張り合ってた中、急に手をはなされた俺はバンッと音をたてて壁に打ち付けられた。
「いってぇ〜…急にはなすなよ親父…」
俺は背中を抑えながら立ち上がる。
「はなせと言ったのはお前だぞ進一…いや、そんな事はどうでもいい……どうしてもお前が私の頼みを聞いてくれないと言うのなら…」
親父は胸ポケットから黄色の拳銃の様な物を取り出し俺に向ける。
「親父…あんた自分の息子に何を向けているのか分かってんのか…」
俺は若干後退りして壁にぶつかる。
「私の研究には進一の協力が必要なんだ!お前はまだ話さえ聞いてくれてないじゃないか!もう一度考え直してくれ!」
そう言いながら親父はゆっくり近付いてくる。
「親父のほぼ失敗の研究の為に俺の青春はかなり無駄になってんだよ…それに親父の話は一度聞くと頼みを引き受けるまで束縛するじゃねぇかこのワンパターン野郎!!」
俺は拳を振り上げ親父に殴りかかる。
しかしバチンッという電撃音と共に俺の身体に凄まじい痺れが走り、拳が親父に届く前に俺はそのままひざまずいてしまう。
「あ、撃っちゃった。ごめんごめん。」
親父は全く反省の顔色なく再び胸ポケットに黄色い拳銃をしまった。
ちなみにこの拳銃は親父が電気ポケモンの原理を研究して発明したショックガンだ。割と凄い発明だが、危険だからと世間には公表していない。
「…撃っちゃったじゃねぇよこのクソ親父があぁぁ……」
俺はそのまま痺れに耐えきれず、倒れ込み、親父にかつがれて親父の部屋の椅子に座らされた。
「…で、頼みってなんだよ…」
身体の痺れがひいたところで俺は重い口を開く。
「よくぞ聞いてくれた!いやぁ実はな、アルレ水島は知ってるな?」
俺はアルレ水島という言葉を聞いて全身に鳥肌がたった。
「ま…まさか親父…俺にアルレ水島に行けとは言わないよな…?」
「お?察しが良いな。実は明日アルレ水島に生息するラティ…」
「ふっざけんな!明日は浩二と一緒にゲーセンに行く約束してんだ!!ただでさえ船で行くような遠い所なのに明日なんて絶対無理だ!!」
俺はガンッと大きな音をたてて椅子から立ち上がり、部屋を出て行こうとする。
「待て進一!お前は前にアルレ水島に行ってみたいって言ってたじゃないか!とても楽しい所だぞ!!」
出て行こうとする俺の腕を引っ張って親父は俺を必死に説得する。
「前って…行きたいって言ったのは10年も前のガキの時だろうが!16歳の今となっては観光より友達との遊びなんだよ!それに調査とかなら純粋に楽しめねぇじゃねぇか!!第一自分で行けばいいじゃねぇか!」
俺はゲーセンという名の天国を絶対に奪われてたまるかというその一心で親父の手を振りほどこうとする。
「私は他の研究で忙しいんだ!お前しかいないんだよ!!」
親父も負けじ俺の腕を両手で掴み、引っ張ってくる。
「本気で研究をしたいと思うのなら無理してでも自分1人で頑張るってのが研究者ってもんだろ!!親父は人に頼りすぎなんだよ!少しは自分で苦労してみろ!!」
俺は親父を怒鳴りつけ、そのまま思い切り手を振りほどき、部屋を出て行こうとした。
「分かった…この研究に協力してくれたら今後一切お前を私の研究に協力してくれとは言わない。」
親父の口から信じられない言葉が発せられた。何かふっ切れた様な口調だ。
「…え……?」
俺は親父のその言葉を聞いて思わずドアを開いていた手が止まった。
「興味のある大体のポケモンの研究は終わっている。そして最後に私が研究するのが長年の夢だったポケモンのラティアスとラティオスのレポートを書いてきてほしい。」
久々に見る親父の真剣な表情に、俺は握っていたドアノブをはなす。
「長年の夢だったポケモンの研究ならそれこそ自分で行くべきなんじゃないのか?」
俺はもっともな事を言ったつもりだったが、親父は首を横に振った。
「長年の夢のポケモンだからこそお前にそのポケモンを見てきてほしい。そして私に見た事全てを伝えてほしいんだ。」
俺は親父の言葉を聞いて思わず吹き笑いしてしまった。
「へっ、何かっこつけてんだか…でもラティアスラティオスは少ない目撃証言が出ているだけだろ。ほんとにいるかどうかなんて…第一いたとしても俺が出会えるとは限らねぇだろ。」
「いる!そしてお前なら出会える!!何故ならお前は私の息子だからな!!」
親父の言葉に俺は呆れて笑うしかなかった。
「ったく…どんな根拠でそんな事が言えんだか…分かったよ、明日アルレ水島に行く。」
「あ…ありがとう進一!やっぱりお前は私の子だ!!」
そう叫んで親父は俺に抱きついてきた。
「どぅわッ!?気持ちわりぃから抱きつくな!」
俺は親父を反射的に振りほどく。
「…てかさ、何で親父はラティアスラティオスを研究するのが夢だったんだ?」
俺は再びドアノブを握りながら親父に問い掛ける。
「あ…ああ、またいつか話してやるさ。」
「何だよそれ。」
俺は部屋を出ると階段をおりて階段の横に置いてあるカバンを拾って自分の部屋に入った。
そしてカバンの中からインターカムを取り出し、耳にかけ、スイッチを押した。
このインカムは親父の最高傑作と言っても言い程の発明だ。
ポケモンの鳴き声を人間の言葉に変換し、身に付けている人間の言葉はポケモンに通じるようになる。
これはショックガンと違って世界中で大ヒットした驚愕の発明品だ。
「出てこいラキ。」
俺はモンスターボールを空中に投げる。ボンッという音と同時に中からポケモンが現れる。♂のブラッキーのラキ。俺の相棒だ。
「んあ〜、やっぱボールん中は窮屈だわ。」
ラキは気持ち良さそうに伸びをする。
「あのさラキ、明日アルレ水島に行くことになったからよろしく。」
俺は浩二にゲーセンに行けなくなった事を伝える為にメールをうちながら言う。
「また?でも進一と冒険するのは楽しいからいいや!」
ラキはそう言って部屋中を走り回っている。
「冒険じゃないんだけどな…とりあえず明日はいつも通り8時起きになるからな。」
「うん、分かった。」
そして走り回っているラキをよそ目に俺はベッドに倒れ込み、飯まで少し眠りについた。


赤い彼女二節へ続きます。


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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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