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蒼鋼のピカチュウ 2

/蒼鋼のピカチュウ 2
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蒼鋼のピカチュウの続き

マニアックかつジョジョ、ベルセルクな感じ。


―代償、血、生贄、そして鋼鉄(くろがね)―


「あがッ、があッ…ぐわああぁ」
病院に備え付けのパイプベッドの上でピカチュウが呻き、悶えている

「もう三日間あの調子…」
「軍人なのにねぇ」
「片目をやられているから、相当ひどいんでしょう」
「まあ、ね。でも…あっちは……」

「ひいぃぃぃッ…うわッ、ああぁぁあ!」
むかいのパイプベッドの"下で"ピジョンが怯え、震えている

「怯えているわよね…」
「軍人なのにねぇ」
「なんでかしらね?」
「なんでかね…?」

ここの看護婦は優秀で、仕事をサボったりしない、きちんと俺達を観察している。
入院先の医者は優秀で、目に入っていた異物を取り除いてくれた。
義眼もかなり良いものが入ってるらしい。
義眼ってカメラと神経を繋ぐものじゃねーのか…残念。

眼帯は軍隊らしい人達からもらった。
パジャマは軍隊らしい人達がくれた。
入院費は軍隊らしい人達がくれるらしい。

だが、一つ問題がある。
頭を打った。何かが目に刺さった。病院へ運ばれた。注射を打たれた…少し寝て、起きたら頭が痛くて片目が見えない。

今、俺に足らないもの…"記憶"だ。
なぜ、頭を打ったのか。
どうして、片目を失ったのか。
あの軍人達は誰なのか。
"俺は誰?ここはどこ?"な、わけだ
「ああぁ…ぐわあぁぁ」
今ならコダックになれる。

―海軍省、戦闘艦運用課―
「カモネギ課長ー、ちょっとこれ見てくれます?」
なんだ、ゴルダック…アレ?このひと……どこの部署のやつだったかな
そうこう記憶を巡らせるうちに机の上に資料が置かれた。
「これは…練習艦かな?」
「ええ、練習艦の"はず"の艦なんですが違うんです。」
「主缶、重油仕様炉倒煙管ボイラー60気圧
さらに、新型タービンを使用。出力十万馬力」
「普通なら練習艦は石炭焚きの低出力、わざと苦労させて機関要員を鍛える為に
重油は陸上の発電用を使うのだが……」
「ここまで高性能なボイラーを?何故わざわざ…」
「しかもこのボイラー、設置にいささか不透明な所が」
「ふむ、確かに…燃料室からやけに近い」
「さらに資料にはありませんが隔壁に"戸"があるんです。」
「つまり――」
「燃料室は石炭か、木炭用という事に」
「しかし妙だ、改造、修復歴が無い」
「それだけではありません。積載燃料も……」
「B重油かA重油に対応、……ん?精製灯油とナフサの混合燃料…だと……?」
「灯油とナフサ…一体何に」
「艦のサイズも…」

バーン!
ドアが酷い開け方…破壊される。

そこには、ここに居るべきでない存在がいた。

「やあやあ、背広組の"クソ共"。仕事サボってたら殺すからな!」

憲兵、ゴーリキーだ。なぜこんなとこに憲兵が?
「検閲である!速やかに書類を差し出せ」
暇なんだな。

どうせ隠したりしたら"スパイ容疑"でボコ、差し出したらグチャグチャいちゃもんつけて…ボッコボコか
「なにをしているか!早く見せろ!!」
「ただ今、計算してうぼぁ…!」
ケーシー会計監査が殴られ、書類を取られる。
二三枚が飛び散り、そろばんも「ねがいまして…」の状態になってしまった。む!この書類、印鑑が足りないではないか!!」
「そこは今、私…ぐげっ」
「うるさい!たるんどる!!」
……この憲兵、足し算出来るのかしら?
「(どうする?ゴルダック)」
「(そう言われてもカモネギ課長…特高警察でも呼びます?)」
「(状況がカオスになる。やめてくれ)」
「(それじゃあ、軍隊さん)」
「(仕事場を戦場にしたくない)」

「こら!!そこ、何を喋っておるか!」
気づかれた!そしてケーシー…
「……」
しんでる!?
[(勝手に殺さないでくれ、ひんしなだけだ)]
テレパシーが使える内は大丈夫か…テレポートでセンターまで行ける?
[(うん。それ無理)]
じゃあ、SOSでも打っててくれ
[(S世界を
.O大いに盛り上げる
.Sすずみ…)]
ちがう。

[(…ーーー…)]

「そこの書類を渡せ」
「え…これは……」
不透明な練習艦の資料…まだ未配属の艦だから登録や手続きをしないと、本当に"幽霊船"になってしまう…
ケーシーの体の前にはグチャグチャに裂かれた書類が…

不明会計キタコレ\(^o^)/

「早く出さんか!」
もうだめだ、この艦はもう戦場に出れない
ゴーリキーが手を伸ばした瞬間…



「超☆元帥パーンチ(はぁと」
ぐーが飛んできた。ぐーの形をした炎が飛んできた。
「"私の艦"に何か用か?ウジ虫」
炎の主はこのキュウコンか…恐れ入った。憲兵に喧嘩を売る奴が居るとは……
「ウジ虫…だと?…、このクソババア!」
「あン?……」
「…この、憲兵に攻撃するとは…スパイ容疑と公務執行妨害の現行犯で…」
「はぁ?……」
「貴様ぁ…本官を侮辱しているのか!?」
「……」
「なんとか言ったらどうだ!」
「ババアつったな」
「ん?貴様、本官につっかかる気か?」
「スパイ容疑だと?」
「憲兵につっかかるなんて奴はスパイだ」
「侮辱だと?」
「貴様ぁ…舐めやがって」
「ババアったよな」
「 ば ば あ と言ったんだな?」
ゴーリキーが殴りかかろうとして腕を振り上げた瞬間、肩が爆発し燃え上がり指先まで燃え広がる

ドギャーン!!
ゴゴゴゴォー

その炎がまるで竜の様に燃え上がったかと思うと、その竜の様な炎が天井へと吸い込まれ爆散した

ゴオォーーッ!
ズバァーン!
ギャヤン!

「うぎゃああぁぁ!!!」
…ゴーリキーの肩に鬼の顔のような焼け跡がJOJOに浮き上がった。
カッコいいかもしれない。

「"貴様"、つけあがるにも程々にしろ、胸糞悪くなるわ」
「…本官にぃ、本官になにをぉー!」
「まだ憲兵で居るつもりか?私が誰だかわからん時点でお前は絞首刑だ」
あれ?このキュウコンたしか新聞に…誰だったかな…
「あ!あぁ…あああぁぁ……」
ゴーリキーの憲兵が先に思い出した事に憤る。憲兵の冷や汗凄いが俺はまだ思い出せない…。

「ババアと言ったな」
「ひいっ…ひいぃいい」
「スパイ容疑を掛けたな」
「いぃ…」ジャアアァァ
もらした!カーペットが、俺の職場のカーペットがぁ!
「ババアと言ったよな」
「ぁ…」
「私が侮辱だと?貴様に対して?」
ブッ…プリプリブッ

( ^ω^)…
ババアったよな。え?
「ニヤリ…貴様にその肩のやけどの意味がわかるか?」
「あう…あう…ぁぅ」
「ゴースの餌である印さ」
うわっ鬼。…はっ、まさか……
ドサッ……
「ふん、恐怖に耐えきれず心臓が止まったか。弱い癖に虐めなんてしよって、助ける道義も無い。捨て置いてゴースの餌になるのを待つ必要も無いようだ」魂さえ…こときれたようだな……。

( ( ( (;゚д゚) ) )ガクガクブルブル「あ、あなたまさか、あなたはキュウコン元帥では?」
「ああ、いかにも陸軍を束ね全ての部隊の指揮を執り、同時に全ての兵士の上官であり、又皆と同じく鳳凰陛下の身許を守り司る
キュウコン大将である。あーセリフなげぇ」
「やっぱり、どS鬼畜だったんだ……」
「うん。なにか?」
「いえ…あ、先程"私の艦"と言ってましたよね」
「元帥なるもの鋼鉄(くろがね)を全て頭の中に入れなければならん。そして"それ"は全て私の声で動く。乗るのが旗艦であっても動かすのは"艦隊"だからな。」
先程取られそうになった練習艦の資料を差し出す。あんたは陸軍だろうが
「なら…これについて、なにかご存知では?」
「おお!!これは、まさに私の艦だな。高かったんだー、完成してたとは」
謎が謎を呼ぶ…あんたは陸軍だろ
値段知ってるってどんだけー
「練習艦に異常に高い機動、修理改造記録無しなのに最新式機関……少々怪しい艦だと…」
ふむふむ、と資料に目を通していく。多分俺の話は無視だな
「登録と配属は?もう済んだか?」
「いいえ、まだです」
「よかった、この艦今どこに?」
「……? クチバの仮設ドッグの中です。一番東の三番ドッグに」
「なるほど、とりあえず一つだけ。
"この艦は練習艦だが未登録である"ということにしといてくれ。」
「ああ…わかりました。そうします」


数日の臨時休暇を明けたオフィスは意外なものになっていた。
憲兵が漏らしたカーペットは質のいい新品に…憲兵の倒れていた所に菊の花瓶があるのは冗談だと思いたい。
あ、花が落ちた。


それで…、あの練習艦の資料だが。
なぜか私の元にある。登録無し、未配属、そして公試中に暴走し行方、所在地不明。
……暴走ってんのは、"彼女"が関わってるに違いない。
一体、何に使われるのか。せめて艦名だけでも知りたかった――。

以下電波が入ります
―片目、炎、エロス―
カチッ
大口を開けて〜〜歯を鳴らし噛みつくようなジェスチャーをする。
「ひいぃぃい」
すると、目の前のチキンが(ピジョットだが羽をむしってしまって丸裸になっている。原因はストレスだとか)震え上がる。
ピンクの食用肉を見るのは飽きた。
羽をむしるからって嘴にボールをはめられ、ベルトで固定され、脚をロープで吊られ全身に羽が生える白い液薬でベトベトになっている。

なぜか見てると心が満たされるような?


突然ドアが開き、ピンクがビクつく
「失礼します」コンコン
「キュウコンだからコンコンって訳じゃなくてノックの音なんだってばよ」
パタムとドアを閉めると、キュウコンが突然窓、双方のベットのカーテンを閉じた
俺のベットに前脚を掛けて俺の顔を覗き込む

「頭を…打ったな?」
「…なぜわかった?」
半ば呆れたような笑むと、覗き込むのを止め話し出す
「二回目、だからさ。頭をうってあなたがただのピカチュウになるのが」
「二回目?」
「一度目は私が、まだロコンだったころ…」っ…なんだ?目が回る
「そのときはね――」――「ロン、おまえってもてるよな」
――「もてたって、良いこと無いよ」
「私は、あなたと」
――「なんで?」
――「ピカチュウ以外、好きじゃないから」

―――「私、あな以外…あいせな

あなたと、あなたと、あなたと

なんで? なんで? なんで?

好きじゃないから、好きじゃないから、好きじゃないから


二回目、二回目、二回目

―アイ、突然は闇への招待―
大好きなポケモンが居る。
それはきれいなポケモンで家事が上手。
こちらは「守りたい」と思い
あちらは「一緒にいたい」と思う

引き裂くのは簡単。片方に"敵"がダメージを与えるだけ。
もし殺せば…語り継がれる愛になる。映画の一割はそんな愛だが、双方にダメージがあれば、なぜか双方かゆくもなく、その愛の深さは深く、清く。


ならば、片側殺せばいい。
深みに嵌った所で転かせば、転がり落ち……残りは砕け散る

死なせばいい。死は簡単に周りをかき乱す。

陸軍エリート勲章百八の狐
海軍の駆逐艦長、撃沈15隻10万トンのネズミ

逢えるはずだった。

海と陸の境。港に狐は来た
……………
…………
………
……

私はね。あの日、ずっと待ってた

あなたの帰りを、急に消えたあなたを

少佐になったばかりのあなたを、まだ中尉の私が

あなたを探すため、機密に触れる階級まで登りつめた

やっとあなたを見つけた。やっとあなたを掴めた。やっとあなたが帰ってきた

「お帰りなさい。」


―あなたと……合体できない―


……。

………ロコン。

………いまはキュウコンか、

………何年かかった?

………8年?ごめんな。そんなに遊んでたのか。



両手をキュウコンの頬にやる。こんどはこっちが顔を覗き込む番だ
「…ごめんな」
「まさか…思い出したのか?」
「十年と二年前から」
「「愛してるー」」
「八年過ぎたころから、もっと好きになぁーた」

―契約、滞納分は一括で―
「さぁて、記憶が戻ったらする事があるだろう?」
「ん?万歳か?」
「違うのぉー、ほらもっとアレな////」
「そうか!ナースコールだな」

ナースコールの延長されたボタンに目をやった瞬間。気温が変わった。

彼女の目が怪しく光り、尻尾が九本全て揺らめく

「わかって、そういう気分なの」
あつい。けど…なんだ?体の中が
「……」
「まさか、…あなたまだ童貞?」
「……うん。あのころは"こういう事"知らなかったし」
「そっか、私がもらってもいい?」
「もちろん、けど…ここで?」
「じゃあ、特別な所があるんだけど」
前足の爪に鍵を引っ掛け上手に回してみせる

「特別な…場所?」

―鋼鉄(くろがね)は、時を待ちて―
ひっそりとした漁村
日付が変わる頃、二匹のポケモンがそこにいた
「こんなローカルな所?確かに星はきれいだけど」
ピカチュウが問い、モーターボートのもやいを解きながらキュウコンが答える
「もっとローカルな場所。さ、乗って」
キーをひねりいくつか操作をする
こーん、こーん、キャアッツツツ ぶぼぼぼ…とエンジンが目を覚ます。
「こーん」はキツネだからではないんだってばよ

「海の上で…やるの?」
「半分正解ね。ただ、この小さいボートじゃ揺れるでしょ?」
「全然"凪"だけど」
「目つぶっててー。プレントがあるから」
「いいけど…よそ見運転はしないでな」
ボートが暖気を終え走り出す

真っ暗。闇の中を照らす月さえ瞼が拒む…

もしかしたら病院のベッドの上で見る景色は…こうだったのかもしれない。
「もーいーよー。目開けてみて」

目をゆっり開ける。真っ暗?いや"真っ黒"だった
夜空を仰ぎ、"それ"をよく見る。

「艦(ふね)だ…駆逐艦か?」
「公式資料には練習駆逐艦の表記だが、機関は蒸気ガスタービン兼用式出力不明
砲は一門だけ、自動装填の速射砲でレーダーリンク、高精度光学射撃が可能
魚雷は61センチ酸素魚雷二射線、酸素充填と装填が自動になっている

対空装備は…手に入らんかった。
レーダーは一応小さいのが付いてる。」

「……まさか」
「うん。これあげる」
キュウコンは登舷台にボートをくくり、ラッタルを登る

「早く来たら?」
正直ピカチュウは「キュウコンにはかなわない」そう感じた

艦橋の上、対空の見張りと信号と電子装備の為のスペースに二匹は来ていた
「良い艦だな」
「でしょう?あなたの為に改造したの」
「俺の…為?」
キュウコンが装甲板の手すりに前足をかけて遠くを見る
「あなたにはこの艦で戦ってもらう。どの艦隊にも配属されず、僚艦も居ないけど…」
「単艦で?駆逐艦が?無理言うな!戦場を何だと思ってやがる!!」
ピカチュウは声を荒げ、抗議する
「危険なのはわかってる。けど、現状はかなり複雑なの
船乗り達は皆、異常な士気の高さを誇っている。ただ…それ故に指示に従ってくれない」
ピカチュウは落ち着くためか小さくため息をついた
「海軍魂を貫いた特攻精神と異常な鳳凰嵩拝か」
「ええ、それと艦隊での規律を守るために単艦での行動が不可能。だから――」
「迅速な行動をでき、司令部の指令を直接聞ける戦闘艦か」
「ええ、私とのホットライン(専用常設回線)もあるわ」
「この艦の乗員は?」
「悪いけど、私は用意できない。あなたが声をかけて
……あ、一匹(ひとり)なら用意出来るわ。航空支援担当が」
「航空支援…ねぇ」
「白兵でも使える優秀なポケモンよ?」

―老兵死なず、ただ消えるのみ―
「もう、軍隊には使われないつもりだったんだがな」
「…航空支援と白兵の両刀、優秀な――」
「俺は優秀でも何でもない」

あっさり断られた。話が違う。
「老兵死なずただ消えるのみ。もう俺は老兵(ロートル)だ…他を当たってくれ」
「……」
「もう嫌なんだ。ひとりっきりで戦って、ひとりで敵を全滅させて、ひとりで帰るのは」
「ひとりってのもいいぞ?」
「あんたまさか…
やっぱりお前はライチュウ大佐の孫か、大佐もひとりが好きだったからなぁ…」
「じいちゃんの…その話、聞かせてくれないか?」
「ああ、いいだろう」
ファイルを渡される、内容を読みながら途中記述されていない情報を教えてくれた

――ライチュウ大佐の最後だ。孫のあんたにゃきついかもしれないが我慢しろ。

夜間航行中に飛行ドラゴン混成航空勢力に急襲さる
大型巡洋鑑『雷帝』は夜から朝へかけての健闘虚しく、対空兵器の脆弱故大破炎上

――当時対空兵裝は十万ボルト要員による目視射撃だったんだ。
飛行タイプは皆鳥ポケモン、鳥目だから対空監視は昼のみで十分だったんだが…ラゴンタイプは盲点だった
それ以降、レーダーの取り付けと冷凍ビームが普及したんだ。で、

艦長を残し乗組員のほとんどは脱出するが救難艇も空襲されほぼ殲滅なり

翌日、軍神フリーザー率いる飛行一個大隊により報復戦闘(定かではないが、虐殺だったという報告あり)が行われた
敵殲滅、しかし敵大将消息不明。公式資料である
同日、救難間に合わず雷帝撃沈

――あんたの爺さん、艦と一緒に沈んだよ。
先走った皆が白旗の元で死んで、出遅れた大佐が艦と心中しちまった。
「出遅れたのか?」
――さあな。
「……?」

夕刻に救難隊到着。多数の木片や油などの残骸を発見。

ストライク一兵卒(オレ)を発見、重油にてかなりの衰弱。数時間後心停止。死亡を確認
「なっ…?」
同日夜、捜索打ち切り。全員戦死とする。
翌日、ストライク一兵は葬儀直前に"生還"す。責任者はこれを"二階級特進の上、軍務復帰せず"と決定。

――まぁ、まとめると俺は対空迎撃で出て落とされた。気づいたら重油の海でひとりぼっちだった
嫌なんだ。最後までひとりぼっちは、帰る艦が無いのは

ページの最後に勲章が貼り付けられている。リボンの裏に掠れていて読めないが何か書いてある
ファイルを閉じ、問う
「准尉……これは?」
「"死ぬな"大佐の遺言がリボンに刻んである。勲章は少佐に譲ります。俺は受け取る権利が無い…
ただ、このリボンはオレの生きる意味なので渡せません」
「"死ぬな"…か」
「俺はあの時確かに死んだんです。記録でも"死んだ"と」
「……。ならば、もう死ぬな。
親爺と一緒にさせる気は無い。
あんたには索敵と、哨戒と、簡単な輸送しかさせない。
戦闘が終わるまで帰って来るな」
「じゃあ、約束して下さい」
「なんだ?」

「俺は"着陸"なんて大嫌いです。陸なんて俺には似合いません。

オレの帰る場所は、いつでも艦(ふね)の上なんですから……」

「もし…艦が海の底なら?」
「今回はついて行きますよ。地獄のはてまで」

(なぁ…ライチュウ大佐よ。逝くときはあんたの孫と一緒に逝くわ…)
「だから死ぬなと言っとるだろう?」

「死ぬ…とは言っておりません。大…少佐殿」
(大佐……そこに居るのか?)


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Last-modified: 2009-12-12 (土) 00:00:00
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