前回:緑と赤の新たな旅人16
-第17話- 終わり近づく世界
6分後・・・・
まだ暗い空を飛んできて家に着きルアノさんは玄関前に静かに着地した
「頑張れよアナキ」
「ずるいよルアノさんだけ・・・失敗したら怒られるのは僕だけじゃないか・・・・」
僕はしぶしぶルアノさんをボールに戻して静かに家の扉を開けようとしたが扉が閉まっているらしく開かない
ポケットから鍵を取り出して鍵穴に挿し込んで右に回した。カチャという音がして扉が開いた
そっと中に入ると静かだった。僕は靴を脱いで静かに歩いて階段まで行った・・・・
階段を2、3段上った時、何かが上にいる気配がした。僕は壁に張り付きしばらくじっとしていたが気のせいだったらしく時が過ぎていくだけであった・・・
再び階段を上ろうとした時、今度は後ろから何か気配がした気がして振り向くが何も居ない
(落ち着け、緊張しているだけだ・・・)
そう自分に言い聞かせて僕は階段を上った・・・・そして自分の部屋に入った
僕は安心した。母さんは遅くても午前0時頃には寝るのだ・・・・だから1時過ぎに帰ってきたと言えば問題は無いはずだし
皆寝ているようなので僕が今帰った事は知らない
「遅かったわねアナキ」
「!?」
僕が振り返ると目の前にレナが居た
「レナ!?」
「どう?ルアノとはうまくいった・・・・?」
「何の事だ」
「とぼけないでよ・・・ルアノとHな事を出来たかって聞いてるの」
「えっ」
「その顔はしたって顔ね?良かった」
「また何か仕組んだのか」
「ルアノの夕食に薬を混ぜたのよ、貴方と同じ薬をね」
「何でそんな事」
「ルアノが昨日の朝に私にアナキが好きなんだけど、どうすれば良いのかって聞いてきたの。だから夕方にアナキに告白して
夜まで待つ様に言ったの・・・で、お母さんと夕食作ってる時こっそりお母さんの隙をついて薬を混ぜたの・・・後は貴方の知ってる通りよ」
「薬を使う必要は無かったんじゃないか」
「ルアノがね、そういうのを言うのが出来ないって言うから薬を使ったのよ。告白をするのも死にそうな位心臓がドクンドクンしてたって話してくれたわ」
「ルアノさん・・・・」
その後はいつも通り朝食を食べて、食べた後は皆で体を鍛えた
そして、時計が午後12時47分を指した時だった
ドォォォォォォン!!
物凄い音がしたかと思うと数十秒に地震が発生した。地震はそんなに強くなかったが3分間位続いた・・・・
外で体を鍛えていた僕達は家の中に入りリビングに向かった
「皆、大丈夫?」
「大丈夫だよ母さん」
僕はテレビを点けてみた
『番組を中断して、速報をお伝えします』
そこでテレビ画面に煙が立ち込め、溶岩が山頂から流れて始めているテンガン山が映し出された。空一面に不気味な黒雲が浮かんでいた
さっき慌てていたためか気にしていなかったようだ
『今日、午後12時47分テンガン山が噴火しました。避難勧告が発令されましたので周辺の地域にお住まいの方は警察の指示に従いすぐに避難を始めてください』
窓の外を見ると雨が降り始めていた・・・・数十秒経つとかなりの量の雨が降ってきてザーザーという雨の音がした
もしかしたら・・・・ディアルガか、アルセウスの暴走が始まったのかもしれない・・・・・
「ルアノさん、ちょっと良いですか」
「ああ、分かった」
僕とルアノさんは家を出てテンガン山に向けて飛び立った
空は黒く染まり不気味だった・・・・やがてズイタウン上空に着いたテンガン山の火口からは溶岩が噴出していた・・・・
ふと火口の中から何かが出てきて高度を上げ中に浮いた・・・・僕がそのまま見ているとその何かはハクタイシティに向けて移動し始めた
「ルアノさん、あれ・・・・」
「何だろうな・・・・?」
ルアノさんはスピードを上げた。僕とルアノさんが火口上空に着いた時にはその何かはハクタイシティ上空に着いていた。
その時だった!蒼い光がハクタイシティを包み大爆発が起きた!と同時に何かが僕の胸に当たった
「ぐふっ!」
僕はそのままルアノさんの体から落ちた
「アナキ!」
ルアノさんが急降下して僕を助けようとする。しかし、ルアノさんの右腕に何かが当たり小爆発が起きてルアノさんも僕と一緒に落ちていく
地面が近づいてくる・・・僕はパワーチェンジでボスコドラになりルアノさんに向けて腕を伸ばした
「ルアノさん!」
右腕が使えない為ルアノさんは左翼を僕に向けて伸ばした。僕は右手で掴みルアノさんを抱き寄せた
「アナキ!?何を」
「こうするしか無いんです」
僕は自分の体を地面に向けてルアノさんの体を空側に向けた。技の鉄壁を何回か発動して数秒するとドシン!という音がして背中に激痛が走った
「うっ!」
衝撃は僕が受け止めた為ルアノさんは怪我をしていない様だ
「アナキ!」
ルアノさんが僕の体から降りて心配そうに僕の顔を覗き込んで来る
「大丈夫・・・ルアノさん・・・・」
「何所が大丈夫なんだ!!こんなに背中から血を出して!すぐに回復させてやるからな」
ルアノさんの翼が僕の体を包み込む・・・・すると僕とルアノさんの体が白く光り始める
背中の痛みがだんだん引いていった・・・・・ルアノさんの右腕の傷も治っていった・・・・・
そうとう体力を使う技なのかルアノさんの息遣いが荒い
「大丈夫ですかルアノさん・・・・?」
「ああ、大丈夫だ・・・・」
僕はハクタイシティの方を見た。さっきの何かはもう姿を消していた・・・・
「一体さっきのは何だったんでしょう?」
「分からない・・・でも嫌な胸騒ぎがする・・・・」
「一旦、家に戻りましょうルアノさん」
「そうしよう」
僕はルアノさんに乗って家に向かった・・・・
やがて家に着くと僕はルアノさんをボールに戻し、家に入った
しかし中は静かだった・・・・一階を探し回ったのに皆、姿が見えない・・・・・
もう一度リビングに入る
と、その時何かが僕の上着を掴み物凄い力で僕を引きずっていく
「何だこれ?!」
僕は抵抗しようともがくがどんどん引きずられていく
そしてテレビの上の天井に穴が開いているのが分かった。その時僕はいきなり放り投げられて穴の中に入れられた
「イタタタ・・・・」
僕は頭を擦りながら辺りを見回すとそこには母さんを含めて皆いた。
「ここで何をしてるの?」
「静かに・・・」
レナがそう注意して穴の開いた天井にその部分の天井をはめた。すると天井は元通りになった・・・・
「何が起きてるの?」
僕は小声で聞いてみた
「化け物が来てるの」
その時リビングに入れる扉が開く音がした
天井の取れた部分にわずかな隙間があるのを見つけて僕はそこからリビングを覗いた
するとそこにはリバァナがいた!しかも新種の方だ・・・・・リバァナはリビングをうろついて何かを探しているようだった・・・・
「どうして此処に・・・」
「知らないわ・・・でも2階から入ってきたの。アナキが出かけた後に上から音がして私が慎重に2階に上がっていって貴方の部屋の扉をそぉっと開けて
覗いてみたらリバァナが机の引き出しやベットを物色していたわ・・・・」
「何でそんな事を・・・」
「私が考えたんだけど多分、貴方のペンダントを探しているのよ・・・」
「どうして?」
「引き出しばかり見ているし、さっき前に貴方にプレゼントしたペンダント入れを見た時なんて食いつく様にすぐに開けて中を見て、無いって分かると
ケースを地面に叩きつけていたんですもの・・・・」
ペンダントなら僕のポケットに入っている・・・・・良かったいつも持ち歩いて・・・
「だからこうしてリバァナが居なくなるまで此処で隠れているって訳」
「なるほど」
僕はリバァナの動きを見ながらレナに返事をした。もちろん小声で喋っている・・・・
ふと僕が様子を見ているとリバァナがこちらを見てきた。ばれてはいない様だが目線を動かさない・・・・心臓の鼓動が高鳴っていくのが分かった
リバァナの目と僕の目が合った
「!」
僕は思わず後退りする。・・・そのまま時間が経つが何も起きない・・・・
そっとまた覗いてみた・・・リバァナは同じ場所に立っていたが僕が覗いたと同時に気のせいだと思ったのか視線を逸らした
ばれずに済み僕はほっとした・・・リバァナはそのままリビングを出て行った。数秒経つと玄関から扉が閉まる音がした
「アナキ・・・?」
「ちょっと待っていてくれ見てくる」
僕は天井の一部を開けて下に下りた。
「レナ閉めておいてくれ」
「分かったわ」
レナが天井の一部を閉めたのを確認すると僕は音を立てない様にしてリビングの扉を開けて出た
玄関の方に行くと扉は閉まっていた・・・・一応、家中探したが居なかった・・・僕は自分の部屋から外を見ると玄関の前にリバァナが居た。
そのまま様子を見ているとリバァナの目の前に紫色の穴が出来てその中に入っていった・・・・穴はすぐに消えた・・・・・
僕は玄関から外に出てみた・・・安全を確認するとリビングに戻った
「皆、もう大丈夫だ」
そう声を掛けると皆が天井から出てきた
天井から皆が出てき終わったときだった・・・・
ドゴゴゴゴォン!
蒼い閃光と爆発音が聞こえてきた
テレビを点けてみると僕は驚いた。
クロガネシティが跡形も無く消え去っていた・・・・
さらに画面が空に向くと何かが浮かんでいるのが分かった画面はどんどんズームしてだんだん姿が分かってきた・・・その正体はディアルガだった!
「とうとうこの時が来たか・・・・」
アイレさんが呟く
「アナキさん行きましょう」
「分かったクレアさん・・・皆、準備は出来てるか?」
そう言うと皆は頷いて返してくれる
ボールに皆を戻して槍を持っていることを確認し外に出た。ボールからルアノさんを出して首に乗った時、母さんが家から出てきた
「アナキ・・・頑張ってね」
「有難う母さん」
「また、その元気な顔を見せてね・・・皆で一緒に帰ってくるのよ・・・」
母さんは戦いに行く僕達を見送ってくれた。ルアノさんは飛び立った・・・・
-2- the men who´s life will disappear off
僕達はクロガネシティ上空に着いた
しかしディアルガの姿は無かった・・・・僕が目を凝らして辺りを見るとテンガン山山頂近くに遺跡があるのが見えた
確か槍の柱と呼ばれる遺跡だ。
僕はある事に気が付いた・・・テンガン山の噴火で出てきている溶岩が遺跡を避けて流れていた・・・その為遺跡の周りは溶岩だらけだった
「ルアノさん」
「分かった」
ルアノさんはテンガン山向けて移動し始めた。・・・・・しばらくすると遺跡に着いた
灼熱の溶岩が大きい遺跡の周りを流れている光景を近くで見るのは何か不思議な気がした
ルアノさんはテンガン山から遺跡に繋がる階段に着地した。僕はルアノさんから飛び降りた
遺跡の周りを溶岩が流れている為、少々暑い・・・・
遺跡は建物の様になっていて地下へと繋がっている・・・・ルアノさんをボールに戻して
僕は遺跡の地下へと続く階段を一人、いや一人と六匹だ。階段を下っていった・・・・・
どれ位階段を下っただろうか・・・・
かなりの時間が経ったようだ・・・腕時計を見るが時計は何故か止まったままだ。階段を下っているとはいえこんなに長いとさすがに疲れてきた
休憩しようと僕が階段に腰を下ろした時だった。
ガタン!という音がして階段が下へ向けて動き始めた
「!」
僕は立ち上がろうとするが階段の動く速さが早く立つとバランスを崩してすぐに倒れてしまう
仕方が無くそのまま座っていた。しばらくするとやっと出口が見えてきた目を凝らして出口の先を見るとその光景に僕は叫び声を上げた
出口の先がシンオウ地方中の空を覆っている黒雲の上なのだ地下に向かったはずなのに出口が黒雲の上なのだ!
僕はすぐにジュプトルになって階段を戻ろうとするが
階段の速度が急に上がり、そのまま僕は空中に放り出された
「うわぁぁぁ!」
黒雲を突き抜けてどんどん落ちて行く・・・・シンオウ地方の地がどんどん迫ってくる
どうやら槍の柱とテンガン山を繋ぐ階段辺りに落ちる様だ・・・・地面にぶつかる直前に僕は死を覚悟し、目を瞑った・・・・・・・・・・・
(・・・?)
体の感覚がまだある・・・・僕はそっと目を開けてみた
「!?」
僕の体は白く輝き光を放つ階段の上に浮いていた・・・・
やがて光は徐々に弱まり僕は階段に着地した。着地したと同時にパワーチェンジが勝手に解けた・・・僕は遺跡の方へ歩いていくと気が付いた
遺跡の周りは溶岩だらけだっだはずなのに・・・辺り一面見渡す限り雪だらけだった・・・・
僕はルアノさんをボールから出して首に乗り空へと飛んだ。シンオウ地方は真っ白だった・・・・シンオウ地方中に雪が積もっていた・・・
そして他の事にも気が付いた。シンオウ地方中の街や建物が全て廃墟と化していた・・・・
と、その時リッシ湖の上で巨大な何かが浮いているのが分かった。僕が目を凝らして見るとその正体はディアルガだった!
ディアルガは口にエネルギーを集めてテンガン山上空にいる僕とルアノさんに向けて蒼く光る光線を発射した。光線は物凄いスピードで迫ってくる
「ルアノさん!」
ルアノさんも気が付きギリギリで攻撃を避けられた。ディアルガはもう一度エネルギーを口に集め始めた。ルアノさんはディアルガに向けて飛び始めた
ディアルガは口から沢山の白く光るエネルギー弾を発射し始める。ルアノさんはギリギリでエネルギー弾を避けながらディアルガに近づいていく
そしてルアノさんはディアルガの近くで急上昇する。ディアルガは撃ち落そうとエネルギー弾を連射をする
「アナキ今だ!」
僕はルアノさんの首から飛び降りボスコドラになり落ちながらも槍を構える
ディアルガは僕を狙って攻撃をしてくるがギリギリで体を逸らして僕は攻撃を避ける
「喰らえ!」
僕は槍を投げた。黒い槍はディアルガに向けてエネルギー弾や光線を蹴散らして突き進む
ディアルガは槍を破壊しようと時の咆哮を発動する。槍に攻撃は直撃して大爆発が起こるがそのまま槍は突き進む
そして間に合わないと判断したディアルガは逃げ様ともしない・・・・だがその時ディアルガの体が紫色に光ったかとおもうと紫色のバリアがディアルガを包み込んだ
槍はバリアに当たった。槍はバリアを突き破ろうと尚も進み続ける・・・槍が当たっている所からバリアにひびが入り始めた
そして槍はバリアを突き破りディアルガ向けて進んだ!しかしディアルガの姿が消えた!
槍はそのまま進みリッシ湖の底に刺さった。
槍が刺さった場所から半径25M位の湖底は土が15M程削り取られていた
僕はパワーチェンジをしてジュプトルになった。ルアノさんが水面ギリギリで僕の体を首でキャッチした
ディアルガは何処に行ったか僕は辺りを見まわした時だった急にディアルガがルアノさんの後ろに現れて至近距離からエネルギー弾を連射してきた!
エネルギー弾は僕とルアノさんに直撃して衝撃でルアノさんは森に突っ込んで木を数本折って止まった。
「ルアノさん!」
僕は首から降りてルアノさんの顔を覗いた。ルアノさんはどうやら気を失ってしまったらしい
ルアノさんをボールに戻して僕は空を見上げた。ディアルガが光線を僕に発射してきた!すぐに僕は攻撃を避けて森の中に入った
僕を見失ったディアルガは僕の姿を探している。その様子を僕は茂みの中から覗く・・・・
やがてディアルガの目が蒼く光ったかと思うと僕が隠れている所に向けて破壊光線を発射してきた
とっさに攻撃を避けた。するとまたディアルガの姿が消えた・・・僕は周りを見渡す・・・・
するといきなり僕の足元が爆発した!僕の体は中に浮き、そのまま木に叩きつけられた
僕が立ち上がろうとするとディアルガが目の前に出現し、ドラゴンクローを発動する。ギリギリで攻撃をかわすと今度は時の咆哮を発動してきた!
すぐにボスコドラになり、まもるを発動する
ディアルガの攻撃は僕に当たったがまもるを発動していたので無傷で済んだ爆発で煙が辺りに立ち込める・・・
煙に紛れて僕はディアルガの背後にまわりドラゴンクローを決めた
そしてすぐに地震を発動した。まともに喰らったディアルガは大ダメージを喰らった様だ
僕がもう一度技を決めようとした時だった。突如テンガン山の頂上が白く光った!
「!」
気が付くと目の前にアルセウスが立っていた・・・・
アルセウスの体に付いている輪が黄色から赤色に変わりアルセウスは火炎放射を繰り出してきた!
とっさにジュプトルに戻り地面を蹴り空中にジャンプして攻撃を避けた。しかし、いつの間にか後ろに回ったディアルガが僕の背中に破壊光線を放った
避けきれず僕は背中に攻撃を喰らい爆風で体が飛ばされて地面に叩きつけられた
背中が少し痛いが僕は立ち上がったが立ち上がった途端ディアルガがに突進されて僕の体がまた中に浮く・・・
さらにアルセウスは体から紅い光を放ちながら突進してくる!
すぐにボスコドラになってまもるを発動したが大爆発が起きて僕の体はヨスガシティの跡地まで飛ばされた。
飛ばされた距離からしてまともに喰らっていたらすでに死んでいただろう・・・
地面に叩きつけられたがすぐに僕は立ち上がった
案の定アルセウスとディアルガの攻撃がすぐ迫ってきた。ジュプトルに戻り攻撃を避けたが突然現れたディアルガにメタルクローを決められて地面に叩きつけられた
立ち上がろうとするが体に力が入らない・・・・
ディアルガは時の咆哮を放ちアルセウスは雷を発動した時だった。
僕の周りにバリアが発生した!アルセウスとディアルガの攻撃を跳ね返し、時の咆哮が跳ね返ってアルセウスに当たった
アルセウスは叫び声を上げて煙に包まれた。僕が顔を上げるとレナとルアノさんとクレアさんがバリアを張っていた。
イレスが草結びでディアルガの動きを止めてアイレさんが冷凍ビーム、シアが吹雪を発動してディアルガにダメージを与える
「皆!」
「アナキさんボールから勝手に出てきてしまって申し訳御座いません、でも緊急事態でしたので」
「大丈夫です・・・クレアさん・・・・」
「今、傷を治してあげますから」
クレアさんはそう言って僕の右手に触れた。僕とクレアさんの体が七色に光って僕の体に付いていた傷や怪我が治った
「有難うクレアさん」
お礼を言い僕は立ち上がった。
「死ぬなよアナキ」
「ルアノさんこそ」
ルアノさんと短い会話をして僕はアルセウス、皆はディアルガに向かって行った
アルセウスの輪が薄い水色になり冷凍ビームを発射してきた。攻撃を僕は避けながらアルセウスに接近した
近づきながら僕はペンダントを取り出して右腕に近づける。腕が白く光輝きペンダントが腕に入った・・・尚も腕は白く輝き続ける
アルセウスは攻撃を連続で仕掛けてくるが僕はギリギリで全て避けて地を蹴りジャンプした。
僕の白く輝く腕からは蒼く光る長刀が出てくる。反対に左腕も白く輝き紅色の長刀が出てくる
「クロスプロミネンス!」
僕はアルセウスの腹に右腕の長刀で斬りつけさらに左腕の長刀で同じ場所を斬る。アルセウスの腹に×の形に焦げ後がついたかと思うと斬った所が大爆発した
すぐにアルセウスの頭を蹴って僕はまた中に浮き、離れたところに着地した。アルセウスは叫び声を上げて爆煙の中にへと姿を消した・・・・
ふと、レナ達の方を見るとレナがイレスの草結びで動けなくなったディアルガに技を決めるところだった。
「メテオパンチ!」
レナは蒼く光る拳でディアルガの顔を右手で殴り、そして左手で胸辺りを殴った。そうとう威力が強いらしくイレスの草結びが解けてディアルガの体が中に浮き
地面に叩きつけられる・・・・倒れて動かなくなったディアルガの体が透き通っていく・・・やがてディアルガは消えた
「やったわアナキ!」
「よくやったぞ皆!」
僕はアルセウスの方を見るがまだ爆煙が立ち込めている為、倒したのかまだよく分からない・・・・
その時だった。煙の中で二つの赤色の光が見えたかと思うと僕の体が動かなくなった!
(しまった・・・・!)
すると急に煙が消えてアルセウスの上に白く輝く槍が20本浮いているのが見えた!
そして槍は全て僕に向かって物凄い速さで一斉に発射された!
『「アナキ!!」』
『アナキさん!!』
「アナキ様!!」
僕は覚悟をして目を瞑った・・・・・・
・・・・? おかしい・・・感覚がある・・・・
僕はそっと目を開けてみた・・・・
「!」
僕はその瞬間視界に入った光景に体中に衝撃が走った・・・・
クレアさんが僕の前に立ち、僕の身代わりになったのだ・・・・・・
クレアさんの体には8本の槍が刺さり12本が地面に刺さっていた。辺りの地面の雪は所々クレアさんの血で赤く染まっていた
「クレアさん!」
「・・・アナキ・・・・後は・・・頼みましたよ・・・・・?」
「クレアさん・・・母さんに皆、一緒に帰るって・・・一緒に帰るって約束したじゃないですか・・・・・」
「ごめんなさい・・・・守れそうに・・・無いわ・・・・・」
クレアさんは最後に少し笑顔を僕にみせてゆっくり目を瞑った・・・・
「クレアさん・・・・そんな・・・」
僕の腕を通してクレアさんの体がだんだん冷たくなっていくのが分かった・・・・
自然に涙が出てきて僕の頬を伝う・・・・
「よくも・・・・・」
拳に自然に力が入る・・・・僕は立ち上がった。心の奥底から怒りが沸いてくるのが分かった
また右腕と左腕から蒼と紅の長刀が出てくる。アルセウスは身の危険を感じているのか後退りする・・・・
「フリャ--!」
僕がクロスプロミネンスを決めようとするがアルセウスはとっさに黒と紫が混ざった強力なバリアを張った
「くっ!」
残っている体力と怒りを全てぶつけるがバリアは破れず僕は後退した
アルセウスは今だとばかりに自分の体の上にさっきクレアさんを殺した20本の槍を出現させた
槍が飛んでくるがアルセウスの目が光ってまた、動けなくなった
と、その時・・・僕の心の奥で新たな力が目覚めた。
(・・・なるほど。この技を使えば世界は救われる・・・・か・・・・)
『アナキ!』
「来るんじゃないレナ、ルアノさん!・・・もう誰も死なせないッ!!」
僕の体が透き通った緑色に輝き始める。世界が救われるならこれで良い・・・・僕の目の前に緑色の小さな円状の鉄が二つ現れる
僕は両手をそれに向けて手を開く・・・・円の中が緑色に光り始める・・・・
「皆、今まで有難う・・・・レナ、母さんによろしく伝えといてな・・・・・・」
「アナキ・・・?何を言っているの・・・・ねぇ冗談だよね・・・・?」
レナが涙目になる。
「心配ないさ・・・僕はきっと皆の近くにいつもいるよ・・・・」
そして槍が来た瞬間、僕は叫んだ
「
両方の円状の輪から緑色の光線が放たれて槍を蹴散らし、アルセウスに向けてすごいスピードで進む
アルセウスの目の前に一つの大きな白い輪が現れ、白い色の光線が放たれる
僕の光線とアルセウスの光線がぶつかる。徐々にアルセウスの攻撃が僕に迫ってくる
「負けられないんだよ!」
強くそう思うと僕の二つの輪が大きくなりアルセウスの攻撃を突き破った!
アルセウスは叫び声を上げると僕の攻撃に飲み込まれて消滅した・・・・・・
「ようやく・・・・やった」
僕の体に力が入らなくなった。僕はそのまま膝をつき倒れる
『アナキ!!』
皆が僕のところに来た。レナが僕を抱き起こす・・・・・皆は僕の顔を覗き込んでくる
「ねぇ、アナキせっかくやったのに・・・・逝かないで」
「すまないな・・・・皆」
僕は体中が痛いが笑って見せた。何だか今まで本当に幸せだったと僕は思う
「皆と過ごせた毎日が・・・本当に・・・本当に・・・楽しかったよ・・・・」
そこで皆は涙を流し始める。
「泣くなよ・・・・こっちまで悲しくなるじゃないか・・・・・」
「だって・・・・アナキ様・・・・」
「言っただろ・・・いつも何処かできっと見守っているって・・・・さ、涙なんて拭いてさ・・・・・」
「アナキ、本当に今まで有難う・・・・」
「ルアノさん・・・ごめん・・・君と仲が良かったクレアさんが僕のせいで死んでしまって・・・・・」
「謝る必要は無いよアナキ・・・・皆、覚悟して戦っていたんだから・・・・・」
僕はそれを聞いて少し安心した。だんだん瞼が重くなってきた・・・
技を使った時に残った鉄の輪を僕は持った。
「皆、今日までの楽しい毎日を有難う・・・・この輪を見てたまに僕の事を思い出してくれると、嬉しいよ・・・・皆の事愛してるよ・・・・・」
「私達もよアナキ・・・・」
そこで僕の重い瞼は閉まった・・・・
本当に毎日が楽しかった・・・・
僕の頭の中に今までの記憶が蘇ってくる
小さかった頃にラティアスとラティオス会い、ペンダントと卵を手に入れた日・・・・
そして卵からラティアスが生まれてレナと名づけた日・・・・
イーブイと会いイレスと名づけて仲間にした日・・・・
初めてパワーチェンジを発動した日・・・・
イレスがリーフィアに進化した日・・・・
レナとイレスに襲われた日・・・・
ルアノさんとクレアさんと初めて会った日・・・・
キッサキシティに行く途中、道に迷いシアに初めて会い道案内してもらった日・・・・
アイレさんと初めて会った日・・・・
今までの記憶が全て振り返り終わると僕の世界は終わった・・・・・
生物には必ず寿命がある・・・だがその寿命は決して長くない・・・・
その時間をどう使うかはそれぞれの自由だが・・・・僕は世界の為に自分の命を散らした・・・・
でも、僕は後悔してない・・・・何故って?僕の存在はきっと世界の皆の絶望や死への悲しみを無くす為の存在だと僕は考えている・・・・
幸せの裏には悲しみが隠れている・・・・僕はその悲しみで良いと思う。他の皆が幸せになるなら僕の命は無くても良いと思える・・・・
・・・・それに僕は独りじゃない。レナ達がいる・・・レナ達は僕に語りかける様にあの時渡した輪に向かって喋ってくれる
その声は不思議な事に僕の耳に届く・・・それが僕の独りへの支えになっている・・・・・
「なるほど・・・・アナキはそれで寂しくないのか・・・・?」
「ええ、お嬢様」
「その呼び方はよしてくれと言っているであろう」
「とか言って嬉しそうじゃないですか・・・?」
「な!?べ、別にそんな事思ってないんだからな!」
つくづく思うがお嬢様は嘘をつくのが下手だと思う・・・・そこが良いところでもあるんですがね、それに独りが極端に嫌いでいる様で・・・・
僕はティーカップに入った残りの温かい紅茶を飲む
「さてと、お嬢様そろそろお仕事の時間ですよ・・・・」
僕とお嬢様はお互いに背中を合わせて話していたが僕は立ち上がった。
「わ、分かった・・・もうそんな時間か・・・・・」
お嬢様は少し残っていた紅茶を飲んだ。僕が手を差し出す・・・お嬢様は少し顔を赤らめながらも僕の手を握る・・・そしてお嬢様を立たせてあげた
今日もお嬢様は仕事に取り掛かった・・・僕はお嬢様のお手伝いをした・・・・・
最近、僕は
執事というか助手というかそんな仕事を任された。最近といっても、もう3週間位経っているが・・・・僕が死んだ日からは4週間といった所だ・・・
今でも毎週日曜日にはお嬢様の許可を貰ってレナ達に会いに行っている・・・・
「おい、アナキ?手が止まっているがどうかしたか・・・・?まさか、具合が悪いとか」
お嬢様が心配そうな顔をする
「大丈夫ですお嬢様。ちょっと考え事をしていただけですから」
僕はまた仕事を続けた・・・・ちなみにクレアさんは僕がお嬢様に頼み復活させてくれた
え?何故僕も復活させて貰わない?それはですね、僕のせいでクレアさんが一度殺さr・・・おっと失礼。死んでしまったのでその責任を取ろうと
自主的に蘇る事は断ったんです。
まぁ、此処での生活も不自由はしてませんし楽しいですし僕は此処に居るつもりです
それにお嬢様の恋心を裏切るわけにはいきませんしね!どうやらお嬢様は僕のことが好きでおっしゃる様で・・・・
「なぁ・・・アナキ」
「何ですか御譲様?」
「今日の仕事が終わったら、シンオウ地方に出て空の散歩でもしないか?」
「ええ、喜んで」
・・・・おっと、そろそろお時間です。では、これで・・・・さようならです。
緑と赤の新たな旅人完結・・・・・
コメント何かあればどうぞ