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絆〜遠い日の約束 二日目 夜

/絆〜遠い日の約束 二日目 夜

作者:COM


「ねえレイ。わたしおなかすいた。」
とレイに向かってキッシュが言う。
「そういえば何も食べてなかったな…何か食べたいものあるか?」
そうキッシュに尋ねると
「そうだ!せっかく竈を買ってきたんだし、ポフィンが食べたい!」
と嬉しそうに言った。
「分かった。それじゃとりあえず竈を設置しないといけないから寝室のベッドの下にある工具箱を取ってきてくれないか?」
とキッシュに言うと
「エッチな物が出てくる。なんてことないわよね?」
と少しからかいながらレイに聞いた。
「バーカ。あるわけないだろ。だいたい中学生じゃないんだからそんなとこに隠すかよ。もっとしっかりとしたとこに隠すさ。」
「あら?てことはあるのかな?」
「無いよ。元々そういう物には興味無いし。」
そんな会話をしながらキッシュは寝室に入っていった。
その間にレイは、竈のおおまかな組み立てをしていた。
そんな時、ふと思い出した…不思議な記憶…
―――みんなはどんな味のポフィンが好き?
「僕は辛いのがいい!」
「私すっぱいの。」
「甘いのがいいな~。」
分かったよ。みんな作るから大人しく待っててね。
みんないつも以上に頑張ってくれたから、今日はより一層がんばらなくちゃ。
よし!絶対に美味しく作るぞ!
―――『これは…懐かしいな…みんなのポフィンを作った時だ…』
前足は動かしたまま、思い出に耽っていた。
『あの頃が…一番幸せだった気がするな…みんなと旅して、時にケンカして、時に笑って…泣いて…』
そんなことを思い出しながら作業をしていると、いつの間にかあらかた組み立てが終わっていた。
『そういえば…なんでみんなと別れたんだ?…くそっそのあたりは思い出せないな…』
ひとまず組み立て終わり、キッシュの工具箱を待っている間、思い出そうと考えていたレイだったが、
『う~ん…思い出せない。というかキッシュ。いくらなんでも遅すぎやしないか?』
そう思い、寝室に入ると、キッシュが工具箱の前で泣いていた。
「うぉわ!!どうしたんだよ!」
「違うの…ただ、ゴミに目が入っただけだから…」
「落ち着け、目にゴミが入った、だ。」
よく見ると、キッシュは何かを握り締めていた。
「キッシュ、何を握ってるんだ?」
レイがそう聞くと
「なんでもないわ…ただの、かわらずの石よ…」
そういって握った前足を開き、中の石を見せた。
「あー!懐かしいなぁ…かわらずの石か…」
レイはその石を見た瞬間に何かを思い出した。
「どうしたの?」
キッシュが尋ねるので、
「キッシュには言ってったっけ?俺は昔…っていうか前世かな?そん時はポケモントレーナーだったんだ。」
レイがそういうと、キッシュは少し興味を持ったようで、涙を拭って話を聞きだした。
「その、前世のポケモントレーナーだった時、俺は手持ちポケモン以外は持たないことにしてたんだ。」
「どういうこと?」
キッシュが尋ねるとそのまま
「俺は絶対にボックスには預けなかった。そしてボックスに預ける代わりに、別れていたんだ。」
「なんで!?なんでいままで一緒だった仲間と別れるの!?」
かなり驚いている様子のキッシュ。
「ボックスで待機するのは寂しいからね。それに新しい出会いも大事にしたかったんだ。だからメンバーを入れ替える時には、必ずかわらずの石を持たせて別れたんだ。」
――その日まで一緒に旅をしたリザードンが僕に言う。
「なんで!なんで急に俺と別れるなんていうんですか!?」
恐らく、もっともな意見だろうね。でも、君はボックスで待っていたい?
「い、いえ…でも…俺の事嫌いになったんですか?…」
ううん、違うよ。
「ならなんで!…」
だから君にその《かわらずの石》を持たせたんだ。
「?…俺はもうリザードンだから進化しませんよ?」
そう…かわらずの石にはポケモンを進化させずにそのままの姿でいさせる効果があるよね?
「はい…」
だから、僕が勝手に付けたおまじないみたいなものだけど…
「おまじない…ですか…」
僕の思いは何時までも変わらない。君と離れたって、心は常に傍にある。そんな意味を込めて。
「それで…俺にこのかわらずの石を…」
僕だってまだ君と別れたくない。でも、新たな出会いは大事だから…だから!僕の勝手な意味合いを込めたかわらずの石を渡したんだ。
「すみませんでした…」
ううん。僕も謝らないといけないよ。それに、もしそれが重荷になったらいつでも捨ててね。僕のせいで新しい出会いが出来なくなって欲しくないから…
「……わかりました。」
それでも、僕の思いは変わらないから…またどこかで会えたら…お互いのことを話し合おうね…
「ありがとうございました。そして…さよう…いえ…また、どこかで会いましょう!」
うん!また、どこかで…どこか新しい大地で、もう一度会おう。
――「懐かしいよ、ホントに。そうやってリーリオとは別れたんだ。」
と、思い出しながら楽しそうに話すレイ。
「そんな意味を込めてたんだ…わたし、ちゃんと意味を知ったのは初めて…」
と何かを考えながらキッシュが話した。
「ああ、言っとくが、これは俺が勝手にかわらずの石に込めたジンクスだ。かわらずの石自体にそんな意味合いはないからな。」
そうレイが言うと
「うん、分かってる。」
となぜか笑顔で答えた。
「そういや、思い出した!その工具箱も俺がトレーナーだった時に使ってたやつだ!通りで懐かしい気がするわけだ。
そうやってレイは一人で納得していた。
「そうそう!それでかわらずの石はそれ以降、ずっとみんなに持たせてたから、工具箱に入れて持ち歩いてたんだった。」
「それじゃ、トレーナーだったレイに出会ったポケモンたちは、みんな幸せ者ね。」
と、キッシュが呟いた。
「そういえば、キッシュは信じるんだな、俺がトレーナーだった頃の記憶があるってこと。」
と、不思議そうにキッシュに聞いてみた。
「信じるも何も、レイがトレーナーだったって知ってるから…あっ!」
キッシュはそう言うや否や、口を前足で覆った。
「?…あーレイってあのキッシュが待ってるほうのレイか。へぇ~じゃあトレーナーを待ってるのか。人間が恋人なのか~へぇ~。」
完全にレイの顔がにやけている。
「もう!レイが変なこと言うから!」
キッシュは必死にレイをはたいているが
「ボロを出したのはキッシュだから知らねーよ。」
とキッシュをからかっていた。
「もう!さっさと竈を組み上げなさいよ!」
と少し頬を膨らませながら言うキッシュ。
「はいはい。それじゃちゃっちゃと終わらせますよ。」
そういって竈のところに向かい、素早く組み立てた。
「よし!出来たぞ!」
レイがそう言うと、キッシュが寝室から出てきた。
「わあ~すごーい!ホントにレイは器用ね。」
とキッシュが素直に誉めると
「それほどでもある。」
と答えた。
「そこは否定しなさいよ。ま、可愛いからいいけどね。」
とキッシュはクスクス笑っていた。
「それじゃ、早速焼くか。」
そう言ってレイは戸棚を開けたが、戸棚には一つも木の実がなかった。
『あー…そういえば朝、焦ってコッポたちにたくさん渡したな…参ったな…』
「悪い。木の実がないから、明日焼くよ。」
とキッシュに謝ると
「え~焼くって言ったじゃ~ん。食べた~い~。」
と駄々を捏ねる子供のように頬を膨らませながら言った。
するとレイが少し考えた後
「一応、作れないわけでもないけど…キッシュ、少しの間家で大人しくできる?」
とキッシュに聞いてみた。
「なんで?というよりも女の子をこんな夜中に一人きりにするつもり?」
と少しムッとした感じで聞いた。
「実は木の実があるにはあるんだけど、取りに行くには一度外に出ないといけないから…今は夜だし、外は危ないからその間家で待ってて欲しいだけだよ。」
と事情を説明すると
「え~やだやだ!わたしもレイと一緒に行く~。」
とまたしても駄々を捏ねだした。
レイはキッシュを宥め、なんとか家で待っているように言うことができた。
家を出たレイは一つ伸びをして
「さ~て、行きますか。」
と独り言を呟いて出発した。
月明かり照らす林道を、軽い足取りで歩き続ける。
とはいってもそう遠くはない距離だ。
レイが今歩いている道は、いわゆる獣道。
ただ草を踏み固めてできた道だ。が、レイの元々の性格もあり
その木の実の生えている場所までの道筋の獣道は、きっちり整備してある。
家を出てから15分ほど歩いた距離に、その目指している場所があった。
視界が開け、ほぼ同じ間隔で木が並んでいる。周りは鬱蒼とした森の中、この一角だけは綺麗に木の実の木しか生えていなかった。つまり…
「着いた着いた。ここは俺だけが知ってる秘密の花園だからな…今日も綺麗に木の実が実ってるな…」
と呟いた。そう、ここは果樹園。レイがトレーナーだった頃の知恵を生かして作った彼の農園だ。
そして農園に入り、近くに生えているオレンの実を一つ手に取り
「うん。我ながらいい出来だ。」
と呟いた。その言葉が意味するように、本当に色艶もいいオレンの実だ。
「へぇ~こんなところに農園なんて作ってたんだ。」
「ああ、もちろん俺しか知らないし、俺が作れば最高の品質を実現できる…って…。」
そういいながらレイはふと疑問に思う。何故質問に答えているのかと…そして気付いた
「キッシュ!?着いてくるなって言っただろ!!」
とキッシュの存在に気付くなり、大声で怒った。
「べ、別にそんなに怒らなく…ても…」
キッシュの声に少し元気がなくなる
「夜の森は危険だって言っただろ!!もしも何かあったらどうするつもりだったんだ!!」
「だって…だって……」
既にキッシュの目には涙が溜まっている。
それに気付いたのかレイは穏やかな声で
「お前のことが本当に大事だから心配して言ってるんだよ。」
そしてキッシュの頬を自分の頬で擦り、軽くキスをして
「本当に何事も無くてよかったよ…もう絶対にこんなことするなよ?」
と優しく言った。その途端にキッシュは声を上げて泣き出してしまった。
数分後…落ち着いたキッシュにも木の実の収穫を手伝ってもらうことにした。
来てしまったものはしょうがないからである。
「少し残して取るの?」
とキッシュがレイに聞くと
「いや、実は全部取っていいよ。そうしないと次の分の実りが悪くなるんだ。」
と答えた。
「へぇ~…物知りだね。」
「伊達に全国制覇したトレーナーじゃないからな。」
と自慢げに言ったレイ。
ふと、振り返ってレイがある木の実に気付く
『あれは…ヒメリの実か…そういや昔聞いた事があるな…よし…帰って試してみるか…』
そう思ったレイは片っ端からヒメリの実を収穫し、さらにフィラの実も片っ端から収穫した。
そうこうしているうちに、あらかた木の実を取り終えていた。
「ついでだから野菜も取って帰ろう。」
「野菜も栽培してるの?器用ね。」
「オスの一人暮らしを舐めるなよ…ってなんか前も言った記憶があるな…」
持ってきた四ツ足ポケモン用の籠に、取った木の実と野菜を入れて農園を後にした。
当初の予定では、一人で持てる量だけと思っていたが、キッシュもいたので取れるだけ取って、少しだけキッシュに持ってもらうことにした。
帰り道は二人仲良く、他愛のないおしゃべりをしながら帰っていた。が、するとそこへ
「なんだなんだ?お熱いじゃないか。」
「でもいいのかい?こんな夜遅くに森の中でイチャイチャしてて。」
「そんなことしてたら、俺らみたいなのに出会っちゃうよ?」
そう言いながら三匹のポケモンが行く手を阻んだ。
「な?キッシュ、言っただろ?夜はこういう輩が来るからあんまり一人で出歩かないで欲しいんだ。」
「分かったわよ。今回の件でもう懲りたから、そんなに言わないでよ。」
とそんな会話をしながら横を通り過ぎようとした時、
「ちょっと待てぇぇい!!無視すんなコラァァ!!」
と真ん中のグラエナが叫んだ。
「俺達を無視するなんていい度胸じゃねえか。オスの方は八つ裂きにしてやらあ。」
と左のヘルガーが牙を見せつけながら言い、
「メスの方は俺達のお慰み者だなぁ。」
と右にいたレパルダスが舌なめずりをしながら言った。
キッシュはその三人組をちらっと確認してレイに
「いいよ、レイ。あんなの無視して。」
とそのまま行くことを促したが
「お前ら、今、何つった?」
レイは既に頭にきているようで、既に応戦状態だった。
すると、グラエナが
「なんだ?やる気か?言っとくがこっちは三人だ。容赦する気なんざさらっさらねえぞ?」
と警告する。
「俺の事をとやかく言うのは構わんが、キッシュの事を話題に上げたのが気に食わないんだよ。」
が、こちらも引く気は一切無かった。
それを確認したグラエナが、目配せで両脇の二匹に散るように合図を送り、レイを取り囲んだ。
その間、レイはキッシュを安全なところに誘導して、そこに籠を置いて低く構えた。
「後悔するんだなぁ!その無駄な自信でお前は今から死ぬんだからなぁ!!」
そう言いながら三匹は一斉に飛び掛った。
その直後、凄まじい爆音と共に、夜の森が明るくなるほどの光が空に向かって伸びた。
………
「すみませんでしたぁぁぁ!!」
と真っ黒に焦げた三匹が、地面に頭が埋まりそうなぐらい深く謝っていた。
「まさか、それほどまでにお強いとは露知らず、攻撃を仕掛けたりして申し訳ありませんでした!!」
さらに地面に突っ伏して謝る三匹に
「まあ、いいさ。いい運動にはなったからな。」
と、レイは言ったが、続けてグラエナに近寄り、彼の頭を鷲掴みにして、耳元で
「次、もしもこんなことがあったら…殺すからな。」
そう小声でいいながら徐々に前足に力を加え、グラエナの頭をこれでもかと圧迫してから開放した。
そして、最後に
「失せろ。今すぐに。」
レイがそう言った途端に、三匹は回れ右をして暗い森の中に一瞬で消えていった。
「かっこいー!さすがレイね!」
とキッシュがレイに駆け寄った。
「当ったり前だ。好きなメスの前で格好がつかなかったら無様だからな。」
そう言って、籠をからい直し、家へ向かって帰りだした。
帰りは二人で話しながら帰っていたせいもあって、さほど時間を感じなかった。
「ただいまー!」
とキッシュが元気に言っている。
「はいはい、お帰り。」
それを嗜めるようにレイが返事をした。
「ねえレイ。折角木の実も取ってきたんだし、早速作ってよ!」
とキッシュが待っていましたと言わんばかりに催促してきた。
「う~ん…流石にもう、遅い時間だし、作るんなら明日だな。」
とレイが言うと、
「え~でもおなかすいたよ~。」
と少し不機嫌そうにキッシュが返事をした。
するとレイは少しだけ不敵な笑みを浮かべ、
「大丈夫だよ、さっき取ってきた野菜と残りの食料で、適当に夜食は作るから。そん時に一緒にスペシャルドリンクを出すから、それで勘弁してくれ。」
とレイが言うと、キッシュは一言、分かったと返事をし、テーブルでチョコンと待っていた。
その間にレイはちゃっちゃと料理をし始めた。
残りのお肉や卵を使い、新鮮な野菜と炒めて、即席ではあるがいわゆる卵とじに近い肉野菜炒めを作った。
そのついでに…
『ヒメリとフィラ…この二つの木の実は、普通に食べたら何てことない木の実だが…両方よくすり潰してっと…』
ヒメリとフィラの実をすり潰し、ペースト状になった木の実をリキュールで割ろうとしたが…
『あら?リキュールもないか…しょうがない、ちょっと度数が高いが、ウィスキーで代用するか…』
そんなことを考えながらカクテル用のコップにそのペーストとウィスキーを注ぎ、バーテンダー張りの上手さでシェイクした。
「よーし、キッシュー。出来たぞー。」
レイがそう、リビングで待っているキッシュに先に完成を告げ、料理を持っていった。
「わぁ~…おいしそう!ホントにレイって料理が上手なのね!」
とキッシュが瞳をキラキラと輝かせながらレイに言った。
「どうぞ召し上がれ。ただし、スペシャルドリンクだけは一番最後まで口をつけないこと。いいな?」
レイがそう言うと、
「分かったわ、それじゃ早くいっしょに食べよ!」
とすぐにでも食べたいことが分かるほどの催促をしてきた。
「いただきます。」
と二人揃って言った後、食事を始めたが、予想以上のスピードで食べ終わってしまった。
「ごちそーさま!ねえレイ。それじゃこのスペシャルドリンク飲んでいい?」
と催促するキッシュに、レイはコクンと頷いて答えた。
キッシュはそのスペシャルドリンクも一気に飲み干してしまった。が、その直後、一気に顔が真っ赤になった。
『あちゃ~…一気に飲み干したか…そりゃぶっ倒れるわ…やばいな…てことは俺もさっさと飲み干さないと…』
レイは、自分でもお酒に強いのが分かっていたため、キッシュが飲み干したのを確認すると、自分も一気に飲み干した。
『う~ん…流石に…強いと言っても…これは…堪えるな…』
倒れるまでには至らなかったが、既にレイもフラフラしていた。
すると、キッシュが不意にムクリと起き上がり、
「ンフッ…ンフフフフッ♪レイチャ~ン~…かわい~。」
そんなことを言いながらレイに絡み付いてきた。
酔っ払いの完成である。
「そうかい。ありがとう。でもちょっとベタベタし過ぎだよ、離れようぜ?」
そう言うと
「い~や♪なんならもっとベタベタしてやる~。」
そんなことを言いながら頬にキスをしてきた。
『う~ん…やばいな…キッシュ、酔うと性格が変わるのか…』
少し後悔しながら、時計を見ると、時間は10:45。
『10分経ったな…そろそろ効いてくるかな?』
レイがそんなことを思った次の瞬間、
「ハァ…ハァ…ねぇ…レイ…ちゃん…ちょっと体が火照ってきたみたい…なんだけど…」
とキッシュが息を荒げながら言ってきた。
『よし…効いてきたみたいだな…』
「そうか…それじゃベッドに行こうか…」
そう言い、キッシュを背に乗せ、寝室のベッドに横たわらせた。
だんだんキッシュの息が荒くなり、それに呼応するようにレイも息が荒くなり出した。
『俺も…そろそろ効いてきたな…流石だな…効果は抜群だ…』
レイが作ったスペシャルドリンク、その正体は鈍効性の媚薬だった。
「ハァ…ハァ…可愛いな…キッシュ…ちょっとだけ苛めさせてもらうぞ?」
そう言いながらレイはキッシュの下腹部辺りを優しく撫でた。
「アッ…ンッ…ダメェ…」
媚薬が効いているためもあって、キッシュは撫でられただけで感じていた。
レイがそっとお腹にキスをしたら、その途端に
「ンフンアァァ!!ダメェェ!!」
と淫らな声で叫んでくれた。そこでレイにある考えが浮かぶ。
『お腹を苛めただけでこれなんだ…もしも秘部を苛めたら…一体どれほど感じてくれるんだろう…』
そして、キッシュのお腹に乗せていた前足をそのままゆっくり秘部へと下ろしていった。
「イヤァ…ウン…アァ…それ以上は…」
そしてゆっくりと指を一本だけ、まだ汚れを知らないその美しい秘部へと滑り込ませた。
「イアァァァァン!ダメェェ!!イッ、ウン、ハァハァ…」
まだ滑り込ませただけだった指を、ゆっくりと動かした。
爪で傷つけてしまわないように、少しでも快感を味わってもらうように…
そんな中、キッシュが少しだけ冷静な声で
「お、お願い…処女…処女だけ…は…」
そう、荒い息と共に伝えた。
レイはゆっくりと秘部から指を抜き、そっとキッシュの頭を撫でながら
「大丈夫だよ。ちゃんと約束は守るから。絶対に処女は奪わない。」
そう優しく語りかけた。
それを聞いてホッとしたのか、今度は少し視線を下にずらし、物恋しそうな目で訴えた。
「大丈夫、心配しなくても気持ちよくしてやるから…」
そう言ってもう一度、ゆっくりと秘部に指を入れた。
さっきよりもスムーズに入ったことを確認して、少しだけ早く指を動かした。
「ンッ、アッアッンッ…!ダメ…早すぎる……」
キッシュがそう言ってきたが、そんなことはお構いなしにそのスピードのまま、指をもう少しだけ奥に入れ、さらにギリギリまで指を出した。
そして、そのままゆっくり、ゆっくりスピードを早くしていった。
すると、それに呼応するかのように、聞こえる喘ぎ声が少しずつ、少しずつ甘い声へと変わっていった。
『そろそろ仕上げだな…』
次の瞬間、一気に指を秘部から抜き、まだ快感の余韻で息を荒げているキッシュに
「それじゃ、最後だ。綺麗な蜜で溢れたココを掃除してやるよ。」
そう言い、おもむろにキッシュの秘部に顔を近づけ、少しだけ秘部に舌を入れた。
「ハァンッ!!ダメ…アッ…!フッ…ンッ!」
するととても可愛らしい声で喘いでくれた。
秘部から溢れる蜜は、よく甘いと喩えられるが、それは好きな相手ゆえ。
レイもまたその甘く、潤おしい秘部を徹底的に舐め、さらに奥まで下を滑り込ませた。
キッシュもそれに応えようと、必死に蜜を送り出しているように思えた。
そして秘部を舐め続けているうちに、あるものに気が付いた。
少しだけ硬くなったソコを舐めると、キッシュが腰を反らすほどの快感を与えられる場所があることに。
『そうか…ココを舐められると、気持ちいいんだな…それじゃ、徹底的に苛めないとな…』
レイはその硬くなったソコ、一点だけを集中的に苛めた。
舌全体を使ったり、舌先だけを使って丁寧に責めたり、ソコを乳を飲む赤ん坊のように吸い上げたり…
すると、全てのことを行うたびに大きく腰を反らし、いつもよりさらに甘い声で感じていることをキッシュが伝えた。
「ンッ…ハッ…!クッ…!!らめぇ…イクぅぅ!!」
その言葉と共にキッシュは大きく体を反らし、レイの顔にこれでもかと言うほどの蜜を浴びせた。
キッシュが逝ったことを確認すると、自分の顔についた蜜を丁寧に舐め取り、
「ハァ…ハァ…キッシュ…コレはお礼だと思っててくれよ…大好きだ…」
媚薬が効いているため、キッシュの可愛らしい声で何度も秘部に自分のモノを入れたくなっていたが、そこは約束していたのでグッと我慢した。
『それじゃ…俺は向こうの部屋で自分で処理するか…』
そう思い、ゆっくりとベットから離れた…はずだった。
急に後ろから抱きつかれたため、そのまま後ろに向かって倒れる羽目になった。
「うわっ!どうしたんだよ急…」
そこまで言いかけてレイは口をふさがれた。
最初は手だと思っていたが目を開いてよく見ると、なんとキッシュからキスをしているではないか。
『キ、キッシュ!?な、なにうぉ!?』
そして考える暇も与えずに、レイの口の中にキッシュが滑り込んできた。
あまりの出来事にレイは現状が把握できないでいたが、自分の中に入り込んできたキッシュが自分を求めてウネウネと動いているのだけは分かった。
レイにとっては初めての行為、自分の中のキッシュに自分を絡みつかせた。
最初はぎこちなかったものの、お互い少しずつなれてきて、いつの間にかお互いがお互いを確認しあうほどのゆとりが持てた。
長い、本当に長い間続いたそれはようやく終わり、荒い息と共に透明な橋が架かった。
「ハァ…ハァ…どうしたんだよ…急にこんなこと…するなんて…」
レイがようやく喋りだすと、キッシュはれいをそのまま仰向けに寝させ、上に跨るような形にしてから
「ハァ…ハァ…ハァ…ずるいのよ…自分だけいい思いして…レイだけ自分でシようなんて…」
そんなことを言いながらキッシュは少しずつ下がり、おもむろにレイのモノに優しく、しかしガッチリと掴みかかった。
「今度は…あなたの番よ?覚悟してね…」
そう言うが早いか否か、自分の体に一気に電流が走り抜けた。
「ちょ…アッ…ダメだ…って…」
最初は慣れなかったためか、あまりスピードは出なかったが、次第に自分のモノを掴んだ腕のスピードが速くなり、最初は小さな電流程度だった刺激が、一気に雷に打たれたほどの衝撃に変わった。
「ウッ…グッ…!アアッ…!!キッ…シュ…!いいよ…俺のは…汚い…から…ハアッ…!」
そう言うとキッシュは手を動かすのを止め、震え上がりそうなほど妖艶な顔で
「へぇ…ディープキスも知らないくせに、あなたのモノは汚いの?それじゃあ…さっきのあなたと同じ様に《綺麗に》してあげないとね…」
そう言い放ち、既に先走りで僅かに光沢の現れたレイのモノを…
頬張った。
「フゥンアアアァァァ!?駄…!?何…をぉぉ!!」
予想外の行為に、完全に油断していたレイの体を喩えようのないほどの刺激が突き抜ける。
あまりにも心地良く、止め処無く続くその快感の波に、何度も本性という獣が暴れだしそうになった。が、そこはオスの約束。破るわけにはいかなかった。
しかし、そんなレイの心情とは裏腹に、なおも続くキッシュの責め。
先っちょの方だけを重点的に舐め上げたり、舌でモノを絡め取るように包み込んだり、命までも吸い出されそうなほどの勢いで吸い上げたり…
「キッ…キッシュ…!!駄目だ…!出る…早く…どいて…くれっ…!!」
必死にキッシュにお願いするが、一切その行為を止める気配が無い。
そんなことをしているうちに、丁度へその下辺りからどんどん心地良い痺れが体を包み込んでいき、
『も…もう…げ…限…界…でる…!!』
キッシュが一気に吸い上げると同時に、全てキッシュの中にぶちまけてしまった。
「ウグッ…!!ガアアァァ!!…ハァ!!…ハァ…ハァ…!」
一度切った麻袋から稲籾が、流れ落ちるのが止まらないように、レイのモノから吐き出された白濁もどんどんキッシュの中へと溢れ出していった。
そしてキッシュの口からブシュッ、ブピュッと音を立てて溢れ出した。
キッシュも勿体無いと言わんばかりにその白濁を飲み込み始めた。
少し経って、白濁も出し終わり、ようやく息が元に戻り始めた時に、ようやくキッシュはモノから口を外してくれた。
「やっぱり…さっきの会話でも言ってたけど、自分であんまり処理しないのね…こんなにいっぱい溜めてるなんて…可愛い…」
そう言っておもむろに、まだヒクヒクしているレイのモノにそっとキスをした。
「ねえ…知ってる?わたしが本当に好きな味…」
なおも妖艶な顔で質問を続けるキッシュに、力なく首を横に振って答えた。
「じゃあ教えてあげる…わたしはこういう濃厚で苦~い味が好きなの…もちろん…まだくれるわよね?…」
そう、より一層、妖しさを増した顔でレイに言った。
『そういえば…キッシュって無邪気な一面もあるけど、どこか大人しい一面もあったな…』
と、なぜか妙に納得してしまった。
「い…いいぜ…俺が…先に勝負を仕掛けたんだ…もちろん…キッシュにも…付き合ってもらうからな…?」
必死にキッシュに答えると、
「もちろんいいわよ…それじゃ、まずはわたしからね…」
そう言ってもう一度、レイのモノを咥えた。………


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お名前:
  • コメントありがとうございます。
    稚拙な文ですが、楽しんでいただけたのなら嬉しい限りです。 -- COM 2023-05-12 (金) 14:23:03
  • >>名無しさん
    返信遅れました
    何度も読んで頂けて幸いです。
    ――COM 2013-05-28 (火) 23:14:58
  • 10回読みました。凄く面白かったです!
    ―― 2013-05-25 (土) 13:16:04
  • >>ピカチュウ大好き人間さん
    わざわざこんな作品まで目を通していただけるとは…
    実はこれが私の処女作なんです。
    なんで構文がめちゃくちゃなんですよ…お恥ずかしい話。
    ――COM 2013-04-10 (水) 19:54:20
  • 質問で~す!
    これの何処が黒歴史何ですか?
    ――ピカチュウ大好き人間 2013-04-09 (火) 21:15:14
  • 感動しました。
    ――せいさん ? 2012-04-22 (日) 14:55:18
  • コメントページを作成しました。
    ――COM ? 2011-12-06 (火) 23:52:35
  • 私はこれを読みながら、誰かの考えを読んでいるような気がした。 驚くべきことに、私は謎めいたものではあるが、毎秒読むのが大好きだった。 まるであなたの人生の詩を読んでいるような気分でした。 --

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Last-modified: 2011-11-09 (水) 00:00:00
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