裏にある交流チャットを利用していない方には何のことかは分からないかと思われますが、『有言実行』ということで、以前読者様に対し放置プレイをしていた寂しがり屋な海の王様の省略された官能シーンをここに書いてみました。2分割して今回の更新で終了しました。
作者……リング
「それで……今、どこに向かっているんだ? 水面に向かっているのはわかるんだが……急ぎ過ぎじゃないかな? ここらでちょっと圧力に慣れさせてくれないか?」
「ふふふ……そうですね。節々も痛くなってきましたし、呼吸も苦しい……ここらで小休止でもしますかね」
アージェはふわりと木の字になって楽な体勢を取る。そしてアサンの方を見もしないで言葉を続ける。
「では、その間何をします? 素数でも数えますか? 眠りますか? それとも……刺激的なことでもいたしましょうか?」
抱きつかれて密着して、再びの誘惑。
――耐えられない……こんなことで万が一にも話し相手を失いたくないのは山々だが……もうだめ。
ああ、耐えられない……
受精などしないように……
ちゃんと気をつければ……
いいよね? 大丈夫だよね?
願わくば… 願わくば… 願わくば 願わくば
密着されたまま数秒。アサンはついに自身の欲求に耐え切れずに抱きついてしまった。
「ふふふ……その気になりましたか? いいですよ、素数を数えるよりもよっぽど刺激的なことを致しましょう。私と貴方の間に子供が出来るのかどうかは『後で試す』とは言ったものの……貴方も研究熱心ですねぇ」
「どうだっていいだろ……それに誘ったのはアージェのほうじゃないか」
「ふふふ……」
アージェは首を鉤状にに曲げて、アサンを抱きしめながら彼の大口に頭ごと突っ込むように口付けをする。アサンは一瞬口を塞がれた事に驚き、息を詰まらせ喉の奥で「ムグゥ」と声を出した。
――これが……アージェの味……?
冷たい海水が口に流れ込むと同時に、それに相対するように暖かい舌の触れ合う部分から伝わる彼女の体温が脳すら溶かしそうになる。開いたまま硬直した顎の間にアージェの舌が進入し、眠ったように固くなっているアサンの舌をもみほぐすように撫ぜる。
アージェの積極的な攻撃により、絶え間なく舌から伝わる熱や触覚刺激で、アサンの舌は徐々に目覚めて活動を開始する。アサンは自身の肉厚な舌をアージェのそれと絡める。
次第に絡めた舌が纏う唾液は海水と混ざりあって散り、そのぬめり気を徐々になくしてざらざらとした舌の感触がより強く直接的に伝わってくる。
ルギアの顎は獲物の器官を締め付けてから窒息させることによって狩りを成功させる*1ことに特化している。そのための滑り止めに申し訳程度に付いた八重歯に触れるときの感触が刺激として心地よい。
「ふふふ……どうですか、今からでも素数を数えてよろしいのですよ?」
「いや、数えないから……」
口を離すと、温度差で水が歪んで見えた。その歪んだ先にある白い顔、緑の虹彩を持つ美しい目、紫の
――うわぁ……ルギアのはこうなっているんだ
アサンはそれを呆然と見つめた。ただ呆然と見つめていた。
「おやおや……やっぱり貴方は素数を数えていた方がよろしいですかね?」
「いや、ちょっと待ってよ。こんな中途半端でやめられないよ」
あまりの不意打ちな発言に、アサンは後々になって思い起こせば恥ずかしくなりそうな本音を漏らす。
「ふふふ……そうはいわれましても、まだ大して触れてもいないのにこんなにして。貴方にはちょっと刺激的過ぎたのかもしれません。素数を数えるのはいいですよ……なんせ落ち着きます」
アージェの視線は局部を捉えていた。アサンの局部は、愛撫もまだなのに興奮と腹や胸が密着した刺激だけですでにスリットから雄が顔を出している。
「じろじろ見るなよ!!」
自身の欲望に比例したものを指摘されたアサンは恥ずかしそうに顔を伏せて見るが、水中なので結局回りこまれてじろじろと見られる。彼の胸鰭は局部を隠したりする事は出来ないため、見られないようにするにはくるくると回るしかないが、どれだけ回っても、アージェはすぐに回り込む。
「ちょ……だからやめてくれってば」
「ふふふ……では素数でもかぞ」
「いや、それもダメ」
「ふふふ……わがままはいけませんねぇ。どちらか二つに一つに致しましょうか」
「う……分かったよ。いくらでも見れば良いだろ」
いつしかアサンは完全に主導権を握られ、アージェに従うことしか出来ない風になっていた。
「おやおや、素数は数えないのですか?」
アージェはイジワルな口調でからかいつつ、小さく笑ってみせる。
「しつこい……」
「ふふふ……」
アージェは水を掻いて腹を見せ合う、対面するような姿勢になり再びアサンの体を抱く。
軽く持ち上げるように翼を上へ動かしアサンの体の顎と胸の境目。つまりは白と青の境目辺りから舌の先端でくすぐるように舐める。
徐々に下の方へと下がっていく舌に反応し、アサンの体内では快感が暴れだして体をよじるように動かし始める。アージェの舌が胸と腹の境目。つまり青と白の境目に到達すると、アサンは一気に体を硬直させた。
――来る……
これからくる快感が今までと比類無きモノというのを本能的に理解した体の反射行動だ。そして、アサンは本能的にそれを待っていた。そこからさらに舌は局部へと近づき、やがて雄に指しかかろうと言う時にアージェは口を離す。
「ふふふ……さて、一時中断して素数でも数えましょうか。2・3・5・7・11・13・17」
「ちょ……勘弁してよ。俺はもう限界……」
アージェはアサンの体を軽く押して、アサンと目をあわせられる位置まで顔を離した。
「限界? 何の事だかよく分かりませんね……要領を得ないことを言っていないで貴方も一緒に数えませんか? 万が一にも楽しいと言うことが無きにしも非ずですよ。
19・23・29・31・37・41……」
悪戯な笑みを浮かべて素数を数える様は小悪魔だった。アージェがこうやって、からかい焦らすのを楽しんでいる事は疑いようも無い。
――性悪な……
「ね、ねぇほら。頼むからさぁ」
アサンはアージェが見上げる必要がある位置まで一掻きして移動する。舌で体を撫ぜられることで呼び起こされ、散々焦らされることで肥大化した雄を見せ付けるような位置とも言える。
彼自身の脈動に合わせてぴくぴくと震える様を見て、アージェは舌なめずりをする
「ふふふ……これは素数の数えがいがありますねぇ。43・47・53・59……そうだ、素数を数えないのでしたら、その間に私のほうを先に満足させてもらえませんかね? その頃には私も素数の在庫が尽きていると思いますので……」
――こ・の・お・ん・な……
アサンは胸鰭を用いて、ある程度後ろに泳いでからアージェの下半身を見やる。
「やれっていうのかよ……」
――彼女の割れ目をどうにかしろと言う意味か……
今まで生きてきて、こういうことのやり方など全く考えたこともなかった。だが、この生殺しの状態は嫌だと心の底から……いや、体が頭に叫んでいる。
「59・61・67・71・73・79・83……ふふふ、どうしました?」
アージェはこの調子で自分の反応を楽しんでいるみたいだし、これはもうやるしかないと、意を決した。
「やれば良いんだろ?」
――やってやろうじゃないか
アサンはアージェの首の真ん中辺りを胸鰭で抱き、尾びれを伸ばしてアージェの割れ目に差し込む。ひらひらとした四つ股に割れている薄いヒレは自在に曲がり固さを変えたり力に強弱を付けられる。おわん上に曲げたヒレの中腹でアージェの割れ目を撫で上げると、素数を数えるアージェの声に甘いものが混じり始める。
「103・107ん…109…113……127んんっ……131……137……139……149……」
数字を言う口に余計な言葉が混ざり始め、数字と数字の間が徐々に長くなる。後者の方は思い出すのに時間が掛かっているだけともいえるが、前者の方は確実に自分の影響だと思うと、アサンは無意識に割れ目を弄る尾ひれに感覚を集中し始める。
撫でる度に、その局部に力を込めて硬直するのが分かる。その様子妙に可愛らしく、もっと善がる姿を見たい衝動に駆られたアサンは次第に擦りあげる速度を速めていく。
「にひゃく…ゥッ…にじゅう…なな…… ウゥン……にひゃくにじゅう……きゅう」
アージェは次第に言葉に詰まり始めて、口が閉じなくなってきた。尻尾が次第に丸まって、彼女がアサンを抱く翼も比例するように強くなっている。
――すごい……暖かい
その様子に終止符が訪れる。アサンが突然苦しくなるほどに抱きしめられ、口に思いっきりアージェに舌を突っ込まれる。突然の行動に驚く間もなく、アージェの下半身には変化がおきていた。彼女の下半身の筋肉が、規則的に強い収縮を繰り返している。これが達した……ということだろう。
彼女の強烈な抱擁という戒めが解かれ、少しだけ胸鰭を前に突き出し背中側に泳いで、彼女の局部を見る。うっすらと白く色づいた粘液が海水に漏れて、僅かな水の流れにあわせてゆらりと揺れている。
アージェはだらりと五肢を投げ出し、木の字になりながら海を漂うに任せていた。その表情は恍惚としていて実に幸せそうだ。
――満足した……よな?
「おや……どこまで素数を数えましたっけ? ……忘れてしまいましたね。
ふふふ……では一時中断していた刺激的なことでも……再会致しましょうか?」
アージェは泳がずに、サイコキネシスでアサンを抱き寄せる。ここから先は……
抱きついた矢先、アージェは再びアサンの体を舐めはじめる。今度はゆっくりとではなく、速いペースで舐めまわし、やがて雄を咥えられる場所まで到達する。
「ふふふ……では堪能させてもらいましょうか」
くわえ込んだ口の中は、冷水に晒されてまともな感覚を失いかけていたモノには暖かすぎる。一瞬暑いとすら思えてしまったその感覚は、暖かい口内に含まれ徐々にその温度をアージェの口と同化させて行く。
徐々にこみ上げる快感に
緩急をつけながらの上下運動や、舌にかける力に強弱をかけて摩擦と揉みほぐす動きで、アサンの快感に熱を帯びさせる。熱を帯びた快感にアサンは本能が命じる動きを反射的に行い、実際の生殖の時に行うよう、軽く前方に泳ぐ。
アサンに抱きついていたアージェは、きちんと付いていけるが一瞬のどの奥にまで入りかけて嗚咽を漏らすが、アサンにはそのときの奥まで入り込む感覚が強い刺激だった。アサンの雄がドクンと脈打ち、一瞬その大きさと硬さを増す。
アージェはそれを攻め時と見たか、アサンの雄を一気に吸いあげる。舌と上あごで強烈にアサンの雄を締め付けつつ、舌を前後に滑らした。アサンはその不意打ちには対応するすべなく頤をそらした。
強烈な刺激に耐えかねたアサンの雄は自身の欲望の塊を吐き出す。その直前にアージェは顔を離し、自身が与えた刺激によって流させた粘液を満足そうに眺める。
「ハァ……ハァ……」
アサンは息切れして、快感の余韻に浸る。
「ふふふ……どうでしたか? ご満足いただけたでしょうか?」
吐き出された粘液を見ていた視線を、アサンのほうへ戻し、アージェは笑う。
「ふあぁ……いや、それはもう……かなり」
疲れを吐き出すようなため息とともに、アサンは言う。
「ふふふ……ふふふふふふ……それはいけませんねぇ」
アージェが先ほどまでとは違う笑い声を上げて、アサンをぞっとさせる。
「まだ素数を数えさせるわけには行きませんよ」
「いや、素数を数えるつもりは元から無い」
「そうですか……」
アージェが再びアサンを抱きしめに掛かる。もう一度引っ手繰るように口同士を寄せて濃厚なキスをするとアサンのヒレに自身の尻尾を絡ませる。
「では素数を数えることよりも、さっきの行為よりも……より刺激的で目くるめくような場所へとご招待いたしましょう……と思ったのですけど、満足してしまいましたか。そうですか……」
アージェはそこで口と尻尾を離す。
「いや、続きがあるならやってもらおうかなぁ……って」
「ふふふ……どちらにせよ『関係ありませんね』の一言で手篭めにしようと思っておりましたが……」
「おいっ……」
「貴方もその気になってくれているならば都合がいいですね」
アージェはクスリと笑い、抱きつきあう体の位置を下へとスライドさせる。
「では、失礼させていただきます」
粘液が海水の中で白い糸状に揺らめくほど彼女の内部は愛液で溢れている。そのぬめりを帯びたアージェの中に自分の雄が入り込む感覚。それを想像すると、アサンの劣情は最高潮に掻き立てられる。
「……っ」
予想だにしない感覚に、アサンは声にならない声を上げる。まだ女を知らないアサンの雄は、初めての内部に戸惑いながらもまだ幾許かの余剰があった自身の体積を増してゆく。今までにかなりの経験があるような言動をしていたが、戸惑うアサンの挙動に比べれば酷く落ち着いた様子だ。
――流石に……攻められていても素数を数えていられるだけある……
「ふふふ……おやおや、興奮いたしましたか? それは光栄ですね。では、仕上げに入りましょう」
「うっ……」
アージェが今迄で一番強くアサンを抱きしめ、そして前方へ泳ぐように水を掻く。続けて、アサンが前方に泳ぐように水を掻く。
地に足付かない水中での行為はこのようにしてゆっくりとゆっくりとした往復運動によって行われる。地上で行う二人三脚にも似たこの行為。一方があせってしまっても上手くいかないために息が合うことが重要だ。
アサンが前へ、アージェが前へ、その単純な繰り返し。それでも単純な行為は淫らさを伴っている。徐々に荒いでいく息遣いは決してただの運動だけによるものでは無い。お互いの心の昂りを表しているに他ならない。
傍から見れば相対的な前後運動だが、水を掻く際に揺れる腰や、微妙に力が入る内部、それら全ての躍動が見えないところで、しかし確実にお互いの快感を助長する。
先に弱音を吐いたのは、予想を裏切ることなくアサンである。
「う、もう……」
そういってアージェを抱きしめるヒレの力を緩める。
「何か言いましたか?」
逆にアージェはサイコキネシスを駆使してまでそれを止めに掛かる。
「もっと近くで言ってくれないと分かりませんねぇ……」
すでに臨界点を越えた自身の理性を抑えるすべはなく。強引に離すことがアサンにとって死後の手段だった……のだが、アージェが頑なにアサンの体を離さず、結合を強要する。初体験ゆえの骨抜きされた脆弱な理性は、中に入り込んだままの静止の命令が肉欲の果てようとする欲求に勝る事はなかった。
「ふぇぇ……」
なさけない声を上げながら、アサンは力なくヒレを水の流れに任せる。意識の大半を余韻に回し、霞が掛かったような虚ろな目を浮かべながら、アサンは心の端でふと思う。
――ああ、もう……このまま寝たい
「おや、もうちょっと頑張ってください」
しかし、アージェはだらりと力を抜いたアサンに構うことなく、サイコキネシスと翼の力で強引に前後運動をさせる。先ほど出した白色の粘液が隙間から漏れ出した。
「や、もう無理……」
無理やりでありながら悲しいことに、新しい刺激によってきっちりとアサンは反応してしまう。
「ふふふ……では、素数でも数えていてください」
「出来るわけな……うあぁぁ……」
にっこりと満面の笑顔をアサンに向けて、アージェは四の五の言う口を封じる。
「ふふふ……では、九九を唱えてみるなどどうでしょう?」
「1×1=1……って何を言わせ」
声だけは酷く落ち着いているアージェも締め付けは次第に強くなり、痙攣も小刻みになっていくのをアサンは感じていた。そして、快感もそれに比例して増していくことにより、肉欲が休息よりも尊い物となり始める。
いつしかアサンはヒレの動きを再開させ、アージェに動かされるまでもなく動いていた。
「おや……私もサイコキネシスばかりでなく自分の事に集中したくなっていた頃でした……ちょうどいいですね」
アージェは不意に体から力を抜いて先ほどまでとは逆にアサンに身を任せた。突然ずっしりと感じる彼女の体に戸惑いつつもアサンはそれに応えた。つまり、強く抱きしめて小刻みに泳いだ。
これまでに一番大きかったのであろうその刺激に、アージェは嬌声を上げる。口を閉じて鼻からくぐもった声を上げる様にアサンはひと時の優越感を感じ、刺激を止めなかった。
「んあぁ……」
甘い囁きとともに、アージェの絶頂が訪れた。コレまで以上に、中は強い収縮を繰り返していたので、それに乗じるようにアサンも自身への刺激を続け、三回目の絶頂に達する。
「ふふふ……どうでした? 素数を数えるよりも刺激的でしたでしょうか?」
息切れとともにアージェが言う。
「も、もちろんだよ……はぁ」
精根尽き果て疲労困憊した体に鞭を打ってアサンは答えるとそのまま、水を一掻きしてアージェと距離をとって滑り落ちるように眠ってしまった。
「ふふふ……」
・
・
――はぁ……結局やってしまった。欲望に簡単に負けてしまうとは情けない……でも想像以上だった。今まで見てきた友達が行為に夢中になるのもわかる。
アサンはそんなことを思うと、自分が今まで無駄にして来た時間を、ちょっと後悔したくなる。
「ふふふ。先ほどは満足していただけましたか? 楽しむモノも楽しみ、正真正銘の小休止もして……私の体はもう大丈夫ですが貴方はどうですか?」
「ああ、頭痛とかそう言うのはバッチリ治ったよ」
「ふふふ……では、また上を目指しましょう」
後悔したくなるけどやめた。これからはいつだってアージェと一緒にいられる……はずだよね?
願わくば… 願わくば… 願わくば 願わくば
え~と……ね。うん、色々と……水中とか海中とか、他にも液体の中とか塩水の中とかそう行った色んな条件*2が執筆者を苦しめましたよ。
そりゃもう大変でしたしm表現がおかしいところもあると思いますが、最後まで付き合いよろしくお願いします。
感想などあればお願いします。
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