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禁忌の扉

/禁忌の扉

禁忌の扉 

writer――――カゲフミ

―1―

 外から鳥ポケモンの鳴き声が聞こえてくる。もう朝だという事実が、いやでも耳を通して伝わってきた。
毎日毎日ご苦労なことだ。朝の時間を知るのに時計は必要なさそうな気がする。
ラークは小さくため息をついて目を開く。が、瞼が重い。だめだ。あと少しでいいから睡眠を……。
再び目を閉じた途端、何かが彼の肩を揺さぶる。ベッドが軋むぐらいに揺られてもラークは目を覚まさない。
いや、起きてはいたがここから出たくなかったのだろう。朝の布団の安らぎをもう少し味わっていたかったのだ。
「うわあっ……れ、レイン、やめてくれ! 起きる、起きるから!」
 突然顔に生暖かい感触が襲いかかり、ラークは慌ててベッドから飛び起きる。
彼の隣にはしたり顔でベッドの上に佇むレントラーの姿があった。
このレインと呼ばれたレントラーはラークのパートナーだ。朝に限っては目覚まし時計の役割も兼ねている。
ラークがなかなか目覚めないとき、レインはまず前足で肩を揺すってみる。
たいていの場合はそれで起きるのだが、今日のように起きないときは彼の顔をペロペロと舐めるのだ。
さすがにそれをやられては布団の中に立てこもり続けるわけにはいかない。ラークはしぶしぶ洗面所へ向かうのであった。

「やれやれ……」
 ラークは頬についたレインの唾液を洗い流す。
寝起きの悪い自分をわざわざ起こしてくるのはありがたいが、もう少し他の手段を取ってはくれないだろうか。
まあ、もとはと言えば揺さぶられた時点で起きないのが悪いのだが。
 ラークは木の実の分布を調べる研究グループの一人だった。
毎日決まった範囲の木を調査し、そこにどんな木の実が成っているかを記録していく。
手間や調査の領域を考えると、朝から始めなければ夕方までには終わらない。
レインもそれを理解しているらしく、ラークが朝になっても起きないと今日のように起こしに来るのだ。
時間には極めて正確で、いったいどこに時計を隠し持っているのだろうと思わされるほどだ。
もしもレインが人間だったら、結構世話焼きな女性になりそうな気がした。
こんな研究職をやっていてるラークはいまいち女性とは縁がなかったのだが。
それでも、不思議と寂しさに駆られることはなかった。それはきっとレインがいつもそばにいてくれるおかげだろう。

 洗面所を出ると結構な広さの部屋がある。そこは研究室と寝室と玄関が一つの空間に存在する、傍から見ればなんとも奇妙な部屋だった。
調査を済ませ、疲れて帰ってきたときに玄関から入ってすぐに眠れる、研究室でデータの整頓を終え、今日の仕事をやり遂げた達成感とともに眠れる、などの理由でラークがこの配置にしてあるのだ。
ラークが洗面所から出て来たのを見て、レインが近付いてくる。彼の前に来て座り、顔を見上げた。
「分かってる。すぐに朝食にしような」
 そう言ってラークはキッチンへと向かう。その後を嬉しそうに尻尾を振りながら付いていくレイン。
長年の付き合いからか、なんとなくではあるがラークはレインの言いたいことが分かるのだ。
それはレインからしてもきっと同じことだろう。言葉は喋れないが、ラークの意図は察することができる。
一匹のレントラーと長く付き合ってみて、ポケモンもなかなか興味深いものがあるのだなと、ラークは思うのであった。

―2―

 朝食を済ませラークは調査の準備に取り掛かる。
この辺りの地形が記された地図と記録用のノート。採集するための袋等をリュックに詰め込む。
レインは既に玄関のドアで待っていた。いつでも出発の準備はできているらしい。
早く行きたいというレインからの無言の圧力を感じる。忘れ物はないかてきぱきとチェックを終わらせ、リュックを背負った。
「よし、行こうか」
 レインの待つ玄関まで行き、ドアのノブに手を掛ける。
ノブを掴み、ドア全体を持ち上げるように力を込めながら前に押す。ギイッという軋む音とともにドアは開いた。
この建物はそれほど新しくないためドアの建てつけが悪くなっていて、開くのにコツがいるのだ。
「ああ。そのうち直すよ、そのうち……」
 ラークが苦労してドアを開け閉めするたびいい加減に直そうよ、とでも言いたげな視線を送ってくるレイン。
たしかに少々不便だが多少開きにくいといっても生活する上では困らないし、何よりも直すのが面倒なのでラークはそのままにしていたのだ。

 ところどころに雲が流れていたいたがほぼ快晴と言っていい天気だった。
朝の空気は少々肌寒いが、昼ごろになれば日も照って暖かくなってくるだろう。
ラークの家は街からやや離れたところにぽつんと建っている。近くの街まで徒歩で十分弱と言ったところか。
家の周囲には青々とした木々の茂る林が広がっている。まさに木の実を調査するのには絶好の拠点だった。
現地まで近いということもあってラークはこの周辺の調査を全般的に任されていた。
だがいくら近いとは言ってもこの林の広さはかなりのものがある。
徒歩で移動しながら一本ずつ地道に記録をつけていくのでじっくりと腰を据えて取り組まなければならない。
「今日の場所はここから少し歩いたところだからな」
 レインに声を掛け、ラークは歩きだす。彼女もその後に続く。自分の足で直接その場まで調べに行くのだ。
この調査を始めてしばらく経ったが最初に比べると大分体力がついたような気がする。
研究内容によっては部屋にこもりきりで運動不足に陥りやすいものもあるのだが、この調査はそういった問題も解決してくれている。
 林の木々は密集しているわけではなく、ある程度の間隔があるので草の根をかき分けて進むような必要はない。
いまラークが通っている辺りは既に調査済みだ。この辺りはクラボの実やカゴの実など、ポケモンの状態異常を回復する木の実が多い傾向にある。
分布の結果がまとまればここの林は戦いをメインとするトレーナーに重宝される場となるかもしれない。
強さを求めるトレーナーならば、ポケモンに持たせる道具にこだわるのも当然と言えるからだ。時には研究者顔負けの木の実の知識を持つ者もいる。
もともと木の実を調べるのが好きで研究者となりこの調査をやっているラークではあったが、自分の調査結果が何かの役に立つのなら嬉しい限りだ。
「よし、今日はこの辺りからだ」
 地図を開いて現在地を確認すると、ラークは記録用紙をリュックから取り出す。
調査し終えた範囲の地図には印がつけられている。この地図内の分布をすべて調査するのがラークに与えられた任務だ。
今日もがんばるぞ、というラークの意気込みを受けてレインもがんばろうねと頷いて見せたのだ。

―3―

 午前中に確認できた木の実は、モモン、チーゴ、クラボの実といった感じだ。
やはりこの周辺には状態異常を回復させる効果のある木の実が集まっているらしい。
昼食とデータの記録がてら訪れたレストランでラークは机に向かってペンを動かしていた。
あの自然広がる林から十分程度歩くだけでこんなにも街が広がっているだなんて、なかなか想像がつかない。
ポケモンセンターやこういった食事の店も多いため、休憩を取るのはもってこいなのだ。
ちなみにこのレストランは入口のドアに引っかからない程度の大きさのポケモンならば同伴が可能である。
はっきりと定まった規則はないが、常識の範囲内でということらしい。
レインは標準的なレントラーの大きさと比べると少し小柄なので、こういった店に入る時には有利なのだ。
ラークと一緒に食事を済ませたレインは、彼の足元でうずくまっている。食後の休憩といったところだろう。
「この範囲は調査終了……っと」
 午前中に調べ終えた範囲の地図に印をつけていく。木の実の種類も覚書程度に記しておく。
ちゃんとしたデータとしてまとめるのは家に帰ってからだが、記憶が新しいうちにメモを取っておくと後々楽になる。
さて、午前中の調査は一通り書き記した。お腹も膨れたことだし、そろそろ午後の調査へ行かなければ。
ラークは机の上に広げていた地図を折りたたんでしまうと腰を上げる。
店を出る気配を察したのだろう。レインも彼に続いて立ちあがった。
会計を済ませ、店の外に出る。それなりの値段でポケモンと一緒に食事と休憩ができるなんて、便利な世の中になったものだ。
普段緑の中で生活しているためか、騒々しい街の雰囲気はどうも生に合わないのだが、たまに訪れるくらいならば街も悪くない。
「それじゃあ、午後も調査をがんばろうか、レイン」
 レインが頷いたのを確認すると、ラークは再び林へ向かっていった。

 太陽の日差しがぽかぽかと暖かかった。晴れの日の午後はぼんやりしていると眠ってしまいそうなほどの陽気に包まれる。
食後の満腹感も手伝って襲ってくる睡魔を振り払いながら、ラークは周辺の木々を確認していく。
ふと、目の前の茂みがガサガサと動いていることに気づく。途端、一匹のポチエナがラークの前に飛び出してきた。
「ウウ……」
 低いうなり声を上げてラークを睨んでいる。小さいながらその威勢はなかなかのもの。
おそらく縄張りか何かだったのだろう。侵入者に対して警告しているようだ。
「…………」
 すると、ラークの後ろにいたレインが前に出てギロリと鋭い眼光で睨みを利かせる。
突き刺すような鋭い視線。金色の瞳がポチエナをしっかりと捉える。
レインに睨まれたポチエナは初めの方こそ抵抗の意思を見せていたが、やがて後ずさりを始めると茂みの中へと去っていったのだ。
 このように自然豊かな場所では野生ポケモンに出くわすこともたびたびある。
周辺にそこまで凶暴なポケモンは生息していないが、生身の人間一人ではちょっと危険だ。
この辺りのポケモンはレインの睨みで十分対処可能である。普段は穏やかなレインだったが、野生ポケモンを前にしたときの眼力にはラークでさえ目を見張るものがあった。
さすが、眼光ポケモンと呼ばれるだけのことはある。調査のときにはレインはラークのボディーガード役も務めているのであった。

―4―

「今日も御苦労さま」
 前を歩くレインの背にラークは声をかける。一歩一歩大地を踏みしめる足取りはどこか誇らしげだった。
自然を調査する上で野生のポケモンと遭遇するのは仕方のないことなのだ。ある程度踏み込んで調べなければ正しい調査結果は得られない。
あまり野生のポケモンに影響を与えるようなことは極力しないように心掛けている。レインも殺意を込めて睨んでいたわけではないだろう、きっと。

 動きやすい暖かな陽気も手伝って、午後の調査はテンポよく進んでいた。
さっきのポチエナを最後にして野生のポケモンは飛び出してこない。
もしかすると、野生のポケモンの間で今林に入ってきた奴には気をつけろと、でも情報が回っているのだろうか。
「……この木はモモンの実、だな」
 未知の調査範囲ではあるが、わずかな距離の移動では植生は対して変わらない。午前中と同系統の木の実をメモに書き連ねてゆく。
ふと、顔を上げたラーク。すると前方の木に記録にはない黄色の実が顔を覗かせていることに気づく。
木の近くまで歩み寄り、目を凝らしてじっくりと眺める。目視でしか確認できなかったがあれはおそらくナナシの実だ。
状態異常を回復する木の実ではあったが、今まで確認されていなかった。新たな木の実の発見となればやはり間近で判別しなければならない。
「レイン、あの木の実だ。頼む」
 ラークが指さした方向に視線を移すとレインは小さく頷いた。目を閉じ姿勢を低くし大きく息を吸い込む。
やがて体の周りにバチバチと火花が漂い始める。筋が見えるほどの雷光となった電撃は彼女の全身を包みこんだ。
刹那、レインの瞳がカッと開かれる。瞬間、一筋の電撃が木の実に向かって飛んでいった。
何かが弾けるような音とほぼ同時に、ゴトリと根元に落下した木の実がそこにあった。
ラークは駆け寄ると木の実を拾い上げる。この模様と大きさからすればやはりナナシの実に間違いはないだろう。
「ナイスだレイン」
 相変わらず命中率は抜群だ。実の付け根に電撃を当て付け根を焦がしてもぎ取る。
少々手荒な方法だったが、一つ確認してしまえば次からは目視で木の実を判別することができる。
そのためには初見の木の実には犠牲になってもらわなければならなかった。
「ナナシの実……か。よし、これでそろったな」
 ラークは小さく呟くと、拾った木の実をリュックに詰め込んだ。
本来木の実の収集は研究グループの目的ではない。レインもそれを知っていたのか、少し不思議そうな面持ちで彼の方を見ている。
「気になるかい? もし上手くいったら、レインにも見せてあげるよ」
 小さく笑みを浮かべてリュックを背負いなおすラーク。取り出したメモに今得た結果を書き込んでいく。
「さて。調査の続きと行こう」
 歩き出したラークの後をレインが付いていく。
一瞬でしかなかったがさっきラークがレインに見せた表情は、普段ののんびりとした彼ではなく探究心に満ちた研究者の顔だったのだ。

―5―
 
 家に帰り夕食を済ませた後、ラークは研究室の机に向かい調査結果を記録していた。
全体的に見て今日の調査は良好だった。天気も良く動きやすい日で、野生ポケモンともあまり出くわさなかった。
日によってはレインが何度も野生ポケモンを退けなければならなくなるときもあるのだが。比較的今日の野生ポケモンは大人しかった。
そして何より新しい実、ナナシの実を確認できたこと。それがラークにとって何よりの収穫だったのだ。
現地でとったメモを正式なデータとして整理されたノートに書き記していく。午後調査した範囲の地図に印を付ける。
そして明日調べるであろう範囲に目星をつけておく。天候や野生のポケモンの出現度合によって調査できる範囲は変わってくるが、一応の目安だ。
「……これでよし」
 ペンを置き、ノートを片づけて地図を畳み机の引き出しの中に入れる。
部屋のベッドの上からは小さな寝息が聞こえる。一日中歩き回って疲れたのだろう。夕食の後すぐにレインは眠りについてしまった。
本来ならばそこはラークの寝場所なのだが、今はレインに貸し切り状態だ。寒い夜などは時々一緒に寝ることもある。レインが隣にいるとぽかぽかと暖かくて寝心地が良かった。
眠ってはいても時折小刻みに揺れる尻尾がなんだか愛らしい。野生ポケモンを睨みつける気迫は凛々しいが、こういった姿のレインを見ていると可愛さを感じずにはいられなかった。
そっと頭を撫でてやりたくなったが、さすがに彼女を起こしてしまうだろう。
 ラークはできるだけ足音を立てないように台所へ向かうと、冷蔵庫を開けた。
中にはクラボ、カゴ、モモン、チーゴ、そして今日採集したナナシの実が並んでいる。
それら五つの実を取り出して洗うと、下ろし機にかけ一つずつごりごりと摩り下ろしていく。
硬いカゴの実とナナシの実は先に下ろし機が壊れるのではないかという危惧があったが、どうにか耐えきってくれたようだ。
実の大きさが違うのでとれた果汁の量に差はあったものの、これで五種類の実の果汁を集めることができた。
後はすべての木の実を等しい分量で混ぜ合わせて、仕上げを加えるだけだ。
計量カップを片手にラークは、絞り取った果汁を量りとりながら一つの大きなカップに混ぜ合わせていく。
五つの味と色が混ざった果汁はなんとも言えない奇妙な色をたたえていた。最後にポケットから取り出した小瓶に入った透明な液体を注ぎ込む。
カップの中の水面が少しだけ波打ち、やがてまた静かになった。
「私の考えが正しければ、これで……」
 今までラークが混ぜ合わせた木の実はすべてポケモンに起こった異常を元の正常な状態に戻す効果のあるものだ。
言い換えればポケモンをある状態から別の状態へと変える効果を持つもの。ラークはそこに目をつけていた。
その効果を混ぜ合わせ、併用したならばポケモンへと姿を変えることができるのではないかと。
最後に入れた透明な液体はレインの唾液だ。ちなみにこれは朝起こされたときにラークの顔についたのを集めたものである。
変身したいと思うポケモンの情報があればそれにならって変化を遂げる。その変化を一番身近にいるレントラーで試してみようというわけだ。

―6―

 カップを手に抱えたままラークは洗面所へ行く。こぼしてしまわないよう慎重に。
成功したときのことを考えると服を着ていないほうが望ましい。そして鏡のある場所、自分の姿が本当に変わったのかどうかを確認できる。
「…………」
 果汁を一気に飲み干そうと口に近付け、ふとラークは思い留まる。
基本的に人間が口にしても害のない木の実ばかりだが、混ぜ合わせた場合も本当に安全と言えるだろうか。
薬の中にも相性が悪いと副作用を起こすものがある。あくまで自分で考えたもの、無害だと言える保証はどこにもない。
しかし、ポケモンの体というものがどんな感じなのか体験してみたいのもまた事実。
レインは普段どんな風に世界を見、何を感じているのか。それは人間のままでは絶対に分からない。
「……そうだ。まずは試しだ」
 もし毒性があったとしても少量ならば危険もそれだけ少なくなる。少しだけ飲んでみて効果があるかどうかを調べてみることにした。
人差し指を液につけ数滴のしずくを口の中に流し込む。味のほうは期待できないだろうから味覚が反応する前に一気に飲み込んだ。
その直後、胸の奥がじわじわと熱くなってきた。しだいに視界がぼやけてきてまっすぐ立つこともできなくなる。
「……う……ぐあっ!」
 膝が崩れ落ちて倒れそうになりラークは咄嗟に床に両手をついて耐える。もう胸だけでなく体中が燃えるように熱い。
これは薬が失敗したせいで起こる副作用なのか、それともポケモンへと姿を変えることによる体への衝撃なのか。
もしこれが副作用ならば安易な判断で木の実を混ぜるべきではないと、ラークに後悔させるには十分すぎるほどの苦痛だった。
ふいに視界が開けた。感じていた痛みや眩暈もいつの間にか消えていた。気がつくと何やら黒いものが二つ目の前にある。
これは何だろうと思い触ろうとして気が付いた。それは自分自身の手だということに。顔を上げ慌てて鏡を見る。
薄暗い洗面所の鏡に映る黄色と赤の入り混じった瞳。闇に溶け込んでしまいそうな漆黒のたてがみ。見まがうことなきレントラーの姿そのものだった。
変身が成功した喜びを叫ぼうとしたそのとき、一瞬だが鏡にもとの人間の姿が映ったように見えた。
気のせいかと思い再び自分の手を見てみる。見間違いではなかった。レントラーの手と人間の手がぼんやりと幻のように交差している。
おそらく薬を飲んだ量が少なかったせいだろう。もう効果が切れて人間の体に戻ろうとしている。
「……!」
 ポケモンへと変身した時のような衝撃は全くない。気がつくとラークの目の前には裸の人間の姿があった。
いつも見慣れている自分の体だ。中肉中背の、研究員にしては割と健康的な体つきだ。
とにかくこれで元の姿に戻れることは分かった。ポケモンに変身したまま戻れない、という事態は避けられそうだ。
 レインの足音が聞こえた。さっきのラークの声を聞いて目を覚ましたようだ。彼に何かあったのではないかと心配して来てくれたのだろう。
洗面所の鏡の前に裸で立っているラークを前に、目をぱちぱちさせてなんとも不思議そうに彼を見ている。
「……見ててくれ、レイン」
 洗面台に置いていた残りの薬を、ラークは一気に飲み干した。

―7―

 一度体験して覚悟はしていたものの容赦ない衝撃に呻きを洩らさずにはいられなかった。
がっくりと膝をついたラークを見て、レインが慌てて傍に駆け寄る。無理もない、きっと彼女の目にはラークがいきなり苦しみ出したように映っていただろうから。
「だ、大丈夫だ、れ、レイン……」
 どうしていいか分からずにうろたえているレインに、ラークは声を絞り出して言う。
声を出すのに労力を使うようでは到底大丈夫とは思えないが、体を震わせていたラークに起こった変化にレインも気が付いたようだ。
目の前に見慣れない一匹のレントラーがいる。いつの間に現れたんだろう。そして、ラークはどこへ行ってしまったんだろう。
少し後ずさりしてレントラーを見ている彼女の瞳からは、そんなことが伺えた。
「レイン、分かるか? 私だよ。ラークだ」
 ポケモンになったのだからレインと言葉を交わせるのではないか。
何が起きたのか分からず、戸惑っている彼女にラークは思い切って話しかけてみる。
「嘘……信じられない。本当に……ラーク?」
 聞こえた。レインの声。普段聞いている鳴き声ではない。ちゃんとした言葉としての発音。
人間の女性の声と大して変わらない。それはラークがポケモンになっているからそう聞こえるのだろうか。
「ああ。私が調査の最中に集めていた木の実があっただろう。それはポケモンに変身する薬を作るためだったんだ」
「あ、もしかして、あなたが見せてあげるとか言ってた……」
 人間の言葉は喋れなくとも、ラークが言ったことはちゃんと伝わっていたらしい。
まだ準備段階の言葉ではあったがレインが覚えていてくれてちょっとうれしい。
「そう、それだ。そして結果は成功した。見ての通り私はレントラーに変身することができたんだよ」
「まだ夢を見てるみたいだけど……ラーク、なんだよね?」
 相変わらずレントラーのラークと少し距離を置いているレイン。
いきなりポケモンになった、と言われてもすんなり受け入れるのはなかなか難しいだろう。
「私も驚いたけれど、私はラークだよ。なんなら、ラークの自己紹介でもしようか?」
 結構な時間を一緒に過ごしてきている。レインもラークがどんな人間なのかは分かっているだろう。
もし目の前のレントラーがレインのトレーナーであるラークのことを事細かに説明すれば、さすがにレインも信じてくれるだろう。
「ううん。あなたはラークだわ。そうじゃないといきなり現れたレントラーが、どうして私とラークの名前を知ってるか説明がつかないもの」
 なるほど。確かにそうだ。トレーナーしか知らないはずのポケモンのニックネームを知っているというのが何よりの証拠でもあったわけだ。
回りくどい説明なんて必要なかったようだ。しかし、レインの理論に納得してしまったことが研究者としてはちょっとくやしい。
「それにしても、やっぱり驚いたわ。でも……こうやって話せて嬉しいよ、ラーク」
 今までの経験上、ラークの言葉をレインは理解できる。
しかしレインが何か吠えたところで何を言っているのかラークには分からない。
まあ、せいぜい何か伝えたいことがあるのだろうと汲み取るのが関の山だった。
だがラークがポケモンになった今、自由自在にレインと会話をすることができる。
ラークとしても嬉しい気持ちはレインと同じ、あるいはそれ以上のものだったのだ。

―8―

 研究室をレインと一緒に歩いてみる。
ノートや記録用のメモが並んでいる机、朝起きるのが辛いベッド、普段見慣れた部屋の風景でも今はどことなく違って見えた。
レインが傍にいるのは別に珍しいことでもなんでもないが、今は視点が同じ。
レインがいつもよりも近くに感じる。きっとそれは本質的な部分でラークが彼女に近づいたからだろう。
隣に並んで見るとラークの方がレインより少し大きかった。レントラーの中では若干小柄なレインより少し大きいということは、ラークが変身しているレントラーの姿は標準的な体格なのだろう。
人間のときも平均的な体つきだったから、もしかすると変身するときに元の体格は影響するのかもしれない。
「そうだ、やってみたいことがある。レインも協力してくれないか?」
「協力って……何を?」
「技を使ってみたいんだ」
 もしポケモンの姿になったら、ラークは前々から試してみたいと思っていた。
ポケモンは外見からは想像もつかないような能力や不思議なエネルギーを秘めている。レントラーについて言うならば、やはりその身に宿す電気の力だろう。
ラークも調査のときはたびたび世話になっているが、木の実の茎を焼き切るほどのパワーをどのようにして作り出しているのか。一研究者としては専門外ではあっても興味が湧く内容だった。
おそらくこの時レインはラークの瞳に研究員のときと同じような輝きを感じていただろう。姿は変わっても、やはりラークはラークなのだ。
「いいわ。だけどここじゃまずいんじゃない?」
「分かってる。試すのはもちろん外でだ」
 あいにく室内は自在に技を繰り出せるほど広いスペースはない。
慣れない技のパワーが暴発してしまえば新たな被害を引き起こす可能性もある。
「やってみたいのは……やっぱり電気技?」
「ああ。どんな風に放電しているのか興味がある。仕組みが良く分からないから、指導頼むよ」
「いつもは自然な感じで技を出してるから、上手くアドバイスできるか分からないけど。まあいいわ、やってみましょ」
 レインも多少は興味ありげといった感じだ。もっとも、その矛先はラークのように電気エネルギー云々ではなく、慣れないポケモンの体で彼がどのように技を出すのだろうといったことだったが。

 ドアの前まで来てふとラークとレインは立ち止まる。気が付いたのだろう。
今この室内にはポケモンしかいない、そしてこのドアはポケモンに開くことができるようには作られていないことに。
「……なあレイン。このドアを君だけで開けたことってあったかな?」
「ないわね。私が開けようと頑張ってた時に、レインには無理だよって笑いながら言ってたのはあなたでしょう?」
 そう言えばそんなことを言ったような記憶がある。結構昔のことだったような気がするのだが、案外レインは根に持つタイプなのかも知れない。
ルージュラやバリヤードなど人型のポケモンならばノブを回すなど造作もないことだろうが、四足で歩くポケモンがそれを行うのは至難の技だ。
「それにこのドア、開きにくかったでしょ。たぶんここから外に出るのは無理なんじゃない?」
「そうだった……な。日を追うごとに開きにくくなっていったんだよ。確か」
「早く直したほうがいいって私がいつも見てたのに……」
「……返す言葉もない」
 人間だった時にも開けるのに苦労していたドア。ポケモンである今ノブを回しさらには上に持ち上げるようにしながら押す、だなんてことができるのだろうか。
ドアの修理をおろそかにしていたことがこんなところで裏目に出るとは。ラークにとって全くの予想外の出来事だった。

―9―

 ラークはドアに頭を当て少しだけ前に押してみた。木製のドアがぎしりと小さな悲鳴を上げる。
開きにくいドアだが取り立てて頑丈というわけでもないらしい。このまま力を入れ続ければドアそのものを壊してしまいかねないため、ラークは身を退く。
「ね、無理でしょ?」
「ううむ……このドア以外に外に出られる場所はなさそうだしな……」
 ベッドのそばに大きな窓はあるが、はめ殺しでもともと開かない窓だ。
他に思い当たる窓と言えば台所と風呂場ぐらいだが、どちらも小さく今の体では通り抜けることは不可能だろう。
ドアの鍵はかかっていないのに出られないというもどかしさ。ラークとレインにとってこの空間は密室だった。
「ドアを破れば出られるわよ。この機会に新しくしてみれば?」
 手荒な方法だが効果はある。古くなっているようだし壊せないこともないだろう。
しかしドアを直す手間やら料金やらのことを考えるとどうしても踏みとどまってしまう。
今にもドアに体当たりしていきそうなレインをラークは首を横に振りながら制した。
「いや、まだ出られないと決まったわけじゃない。二人……いや、二匹がかりでならどうにかならないか?」
 ラークはドアの前に立ち、ドアに前足をひっかけて支えにしながら後ろ脚で立ちあがる。
四脚のポケモンだと二本の脚で立ちあがるのも一苦労。なにか支えがなければ無理だ。
「私が両方の前足でノブをどうにか回せないかがんばってみるから、君はノブを下から押し上げてくれないか?」
 ラークの格好に思わず笑ってしまいそうになったレイン。
本気で言っているのだろうかと一瞬思ったが、震える後ろ脚が彼の努力を連想させる。
やはり外に出て技を試してみたいというのは彼の真摯な思いなのだろう。
「……分かったわ」
 ラークにぶつからないようにそっとノブの下に潜り込むと、レインは下側から押し上げる。
多少軋む音はしたものの、ドアが開く気配はない。やはりノブを捻らなければだめか。
ラークは前足でノブを挟み込み、右に回そうと力を込める。しかしもともとレントラーの足の裏は地面を走るためのものであり、ドアを開けるためのものではない。
ふさふさの毛に覆われた前足とノブの金属とは相性が悪く、前足だけがつるりと空滑りしてしまった。
ただでさえ立つのがやっとだったラーク。前足が滑った瞬間体の支えを失い、その結果レインの上に倒れこんでしまったのだ。
「うわっ!」
「きゃ!」
 それぞれの悲鳴とともに、見事なまでに床に倒れこんだ。レインの背中にラークが乗っかるような形で。
お互いの体が触れ合った。その瞬間、なんだか妙な感覚が湧き上がったのをラークは感じていた。
別にレインに触るということは全然珍しいことじゃない。頭を撫でたり、風呂で洗ってやったりしたこともある。
でも何なんだ、この違和感は。今は人間でなくポケモンの体だからだろうか。
「ら、ラーク……重いよ……」
「え、あ……ごめん、レイン」
 レインの声でふっと我に返り、ラークは慌てて立ち上がる。慣れない体で無理はするものではない。
レインだけでは開けられなかったドア。二匹ならば開くのではないかというラークの望みも悉く粉砕された。
建てつけの悪いドア、恐るべし。

―10―

 結局開くことができなかったドアを前に、ラークは大きくため息をつく。
ここから出るのが無理だと分かった今、外に出る手段はもう残されていないと言ってもいいだろう。
せっかくポケモンの姿になったというのにその身体能力を何も試せないのは、なんとももどかしい。
「仕方ない。薬が切れるのを待つしかないか」
「あと、どれくらいポケモンの姿でいられるの?」
「分からない。薬を一滴飲んだだけでは数秒で元の姿に戻った。それなりに量があったから、数時間はこのままだと思う」
 人間の姿に戻れることは確認できている。問題はそれがいつになるかという話。半日か、あるいは一日後という可能性もある。
何にしてもしばらくはこのレントラーの姿で過ごさなければならないだろう。
「ねえ、ラーク」
「ん?」
 レインの呼びかけに振り返り、近くで目と目が合う。
それだけのことだ。それだけのことなのに、妙に胸の鼓動が速くなるのをラークは感じていた。
「レイン、どうかしたか?」
 動揺を悟られまいと口調だけは冷静に取り繕う。もしかしたら声が震えていたかもしれないが。
しかし、当のレインからは何の返事もない。ただじっとラークの顔を見つめている。ずっと目を合わしたままなのがなんだか気恥しくなり、ラークは思わず目を逸らした。
「あ、ごめん……何でもないわ。ちょっと呼んでみただけ」
「ん、そうか」
 何だったというのだろう。ラークが聞き返す間もなくレインはベッドの横まで歩いて行き、そこで蹲った。
ベッドが使えないとき、あるいは使う気がないときに彼女が休憩するいつものポジションだった。
「…………」
 まだこのドキドキした感覚は治まらなかった。今までレインと一緒にいてこんな気持ちになったことはない。
今回が初めてだ。ひょっとするとこれはポケモンの雌に対する興奮なのだろうか。
あの薬は精神的な部分までポケモンと同じつくりに変化させてしまうというのか。
まさかとも思いはしたが、そうでなければこの胸の高鳴りの説明がつかない。
おそらくさっきお互いの体が触れあったことでレントラーの雄としての感覚が呼び起こされてしまったようだ。

 ラークはレインの方を見やる。もう眠ってしまっているのか、穏やかな寝息が聞こえてきた。
今の自分よりも少し小さな体つき。身軽に茂みを飛び越えたり、野生ポケモンの気配を素早く察知したりと、身体能力の割には意外と華奢で柔らかかったような気がする。
もう一度触れれば分かるだろうか。触れてみたい――――。
「……!」
 ラークは我に返ると慌てて考えを振り払った。何を考えている。自分はトレーナー、レインはポケモンだ。
これ以上邪な考えが湧き上がってくる前にさっさと寝てしまおう。朝になれば元の姿に戻っているかもしれない。
レインを起こさないように忍び足でベッドまで近づき、そっと上に乗る。乗ったはいいが布団をどうするかで戸惑ってしまう。
この姿で布団に潜って寝るのはなんとなく違和感があった。今は体毛という立派な毛皮のおかげで全く寒さは感じない。
ラークはベッドの横のレインの格好を参考にしながら蹲る。これがレントラー的には一番落ち着ける眠り方なのだろう。
できるだけレインの方を見ないようにしながらラークは静かに目を閉じた。

―11―

 どれくらい時間が経っただろうか。感覚的にはかなりの時間が流れたように思えたが、今だにラークは寝付けずにいた。
時折聞こえてくるレインの寝息が彼女がすぐ隣にいることを再確認させてしまい、余計に目が冴えてしまうのだ。
このままじっとして薬の効果が切れるのを待つというのも一つの策ではある。
しかし、ほんの一瞬ではあったがラークの中にレインを求める感情が湧き上がってきたのは事実。
今のところはなりを潜めているが、いつまた暴れだすか分かったものではない。どうしたものかとラークは小さくため息をつく。
 ふいに、ベッドが揺れた。ラークが何事かと顔を上げたのとレインがひらりとベッドに飛び乗ったのがほぼ同時だった。
彼女の気配がさらに近くなり、ラークの再び胸の高鳴りが呼び起こされる。
「ど、どうしたんだよ、レイン」
「えっと……なんだか、眠れなくてね」
 そう言ってレインはベッドの上に腰を下ろした。もしかしてしばらくここにいるつもりなのだろうか。
「ねえ、ラーク。その……せっかくポケモンの姿になったんだからさ、他のことも試してみない?」
「他のことって何――――」
 それ以上言葉を紡げない。温かくてやわらかな感触によって、ラークの口は塞がれていた。
何が起こったのか分かるまで少し時間がかかる。レインが身を乗り出して自分にキスをしていたという状況がはっきりと伝わってきたのは、彼女が唇を離して少し荒い息をしているのを見てからだった。
「れ、レイン……な、何を?」
「あ……ら、ラーク、えっとこれはその……」
 レインの慌てぶりを見ると、彼女も気持ちの余裕があったわけではなさそうだ。
先ほどのキスはレインの中でもかなり思い切った行動だったのだろう。
「さっきドアのところで一緒に倒れてから、変なのよ。ラークのことが気になって……頭から離れてくれない」
 ラークの顔を見るのが恥ずかしいのか少し視線を逸らしながらレインは言う。彼女の照れている表情もまた別の魅力を感じてしまう。
どうやら違和感を感じていたのはラークだけではなかったらしい。レインもまた同じようにラークのことを気にしていたようだ。
「私、人間だったときのラークはもちろん……す、好きだったけど、それはトレーナーとしてであって雄として意識したことなんてなかった。だけど今のラークは……」
「私も同じだよ。レインのことは好きだが、それはあくまで頼れるパートナーとしてだ。しかし今は……どうも君のことを雌として意識してしまっているみたいなんだ。どうやらあの薬はこういった感覚までポケモンそのものになってしまうらしい」
 お互いのことが好き。それはラークとレインとの間では暗黙の了解というか、長い付き合いの中で自然と育まれた感情だ。もちろんそれは異性への感情ではなく、気が置けない親友に対するようなものだった。
しかし、身も心も完全にポケモンになってしまった今、体が触れあったことで相手を異性として見る本能が目覚めてしまったようだ。
ラークはレインを雌として、レインはラークを雄として認知してしまっている。普段から共に過ごしどちらもお互いのことはよく理解していたため、惹かれあうの無理はないことだった。
「そっか。ラークもそう感じてたのね。だ、だったらなおさら……試してみたいのよ」
「た、試すって、何を?」
 レインが無理をして色気のある声色を作ろうとしているのが分かる。もちろん使い慣れていないため言葉の流れが不自然だった。
反射的に聞き返したラークだったが、心の奥ではそれが何を意味しているのか感覚的に理解できる。
しかし、その申し出をしてきた相手がレインだということが彼に躊躇いを起こさせていたのだ。

―12―

 レインの意図するところを直接彼女の口から言わせるのは、ラークとしても申し訳ない気持ちがあった。
しかし、自分がそれを口にしてしまえばもう後戻りができなくなるような気がしてならない。
「だ、だから……その、今のラークのせ、生殖的な部分まで本物かどうか、た、試してみたいって言ってるのよ!」
 顔を真っ赤にしながら言い放ったレイン。ここまで言わせる前に気づいてよ、という彼女の恨めしげな視線を感じる。
レインの求めていることを改めて認識し、ラークも頬を赤らめた。
身も蓋もない表現をすれば、このレントラーの体で性交できるのかということだ。
頭ではおおよそ理解していたが直に聞いてみるとやっぱり恥ずかしい。
「い、いや、試すまでもないだろう。この感覚は間違いなく本物だ。おそらく私のものもちゃんと機能するはず……」
「仮定だけで終わらせるのは研究者としての名折れだって、あなたが言ってたことよ」
 そこでその話を持ち出すか。確かに過去にそんなことを言った覚えはあるが。
やっぱりレインは記憶力がいい。もし元の姿に戻ったら、彼女の前では迂闊な発言はしないようにしなければ。
「そ、それとこれとは話が別だ。私はトレーナー、君はポケモン。こんなことが許されるはずが……」
「今はあなたもポケモンよ。同じ種族同士なら、躊躇う必要はないでしょう……?」
 そう言ってレインは身を寄せてくる。ラークの首筋にそっともたれかかるように。
レインの体が再び触れるのを感じる。柔らかな体毛の感触が、雌を思わせる独特の匂いが、ラークの理性をじわじわと溶かしてゆく。
「よ、よせ、レイン。これ以上は……」
 自分が自分を保っていられなくなる。あと少し背中を押されれば、トレーナーという立場もレインがパートナーである事実も捨て去ってしまいそうだ。
極度の緊張と興奮から体の筋肉が強張り、肌を密着させてくるレインから離れることもできない。
「ラーク、わ、私を……私を、抱いて?」
 耳元で優しく囁かれた一言。レインも緊張しているのかその声は多少なりとも震えていた。
それでも、張りつめていたラークの緊張の糸を切るには十分だったようだ。
「……!」
 一瞬、自分の意識が飛んだような感覚に陥る。ほんの数秒前まではレインに身を寄せられて当惑していた。
だが今はどうだ。いつの間にか彼女を押し倒して、愉悦の笑みを浮かべているではないか。
こうなることをある程度予想はしていたレインも、明らかなラークの豹変に驚きを隠せないようだ。
「先に誘ってきたのは……君だ」
 レインを見下ろすラークの瞳は普段の穏やかな彼のものではない。
極上の雌を前にしてギラギラと鋭い眼光を湛えている、紛うことなき雄のものだ。
ラークが誘いに答えてくれたという嬉しさの半面、彼が見せた雄としての迫力に対する恐れのようなものをレインは感じていた。
「……んっ」
 何の躊躇も見せずにラークはレインと唇を重ねる。さっきのような軽い口づけではない。
彼女の口内に舌をぐいぐいと滑り込ませてゆく。レインもそれに応じて自身の舌をラークと絡ませる。
唾液同士が混ざりあいぴちゃぴちゃと音をたて、それと同時に二匹の口元から漏れる息もだんだんと荒くなっていく。
夜はまだ、長引きそうだった。

―13―

 レインの唇や舌の感触を十分に味わったところでラークは唇を離した。少しだけ粘りを帯びた唾液が細い糸を引き、消える。
「試してくれる気になったみたいね」
「ああ。君が言うような仕組みを体感してみるのもなかなか興味深い……なんて建前はなしにしよう。レイン、私は一匹の雄として君を抱いてみたい」
 さっきラークに対して使った言葉だというのに、こうして聞いてみるとレインはなんだかすごく気恥しかった。
もともとそんなことを言うようなイメージのないラークだからこそ、余計に不協和を感じてしまうのかもしれない。
「いいわよ。あなたの体、私で存分に試してみて」
「そうさせてもらうよ」
 ラークは頭をレインの胸元に持っていくと、鼻先で体毛を掻き分けるようにしながら顔を埋めていく。
伝わってくる彼女の匂いがなんとも心地よい。やがて、小さな突起を探り当てるとゆっくりと舌で撫でた。
「ひゃっ!」
 敏感な乳首を舐められレインは思わず声を上げる。彼女が反応を見せたことにラークはニヤリと微笑む。
そして特に遠慮する様子もなく、舌先で転がすようにくりくりと突起を弄った。
強烈ではない、しかし着実に伝わってくる緩やかな甘い刺激にレインは身を震わせる。
「はぁ……ら、ラーク、どうしてここが弱いって分かったの?」
「ん、ああ。君を風呂で洗うとき、この辺りはいつもくすぐったそうにしてたから。もしかしたらと思ってね」
 その読みはどうやら当たりだったらしい。何度も舐められたことによりいい具合に感じているようだ。そろそろ次の場所に行ってみるとするか。
ラークは徐々に体を下にずらして行き、レインの後ろ脚の間にそっと自分の前脚を当てる。
覆い隠す体毛を左右に払うようにしながら、彼女の割れ目を探り当てた。
薄いピンク色のそれは乳首への愛撫による快感からか、表面がほんのりと湿っている。
レインのこんな部分を間近で見るのは初めてだ。人間のときは気にとめたこともなかったが、今は自分の体がこれを求めている。
強い力に引き寄せられるかのように、ラークは舌を這わせていった。
「あ、はあっ、ら、ラーク」
「あ……す、すまない。苦しかったかい?」
 興奮の波に溺れ、慎重さや謙虚さを失いつつあったラーク。
喘ぎの間に聞こえたレインの呼びかけが彼を引きとめてくれたようだ。ラークは舌の動きを止めて、顔を上げる。
レインの表情はどこかぼんやりとしていて瞳にも力がない。だが、別段苦しげというわけではなさそうだった。
「ううん、そうじゃないの。あなたがすごく積極的だったから……びっくりしちゃって」
 躊躇いを見せずにどんどんと突き進んでくる彼の行動に少し戸惑うレイン。これがラークの雄としての本能だというのだろうか。
口調はどちらかと言えば穏やかで、普段のラークだといっても差しさわりがない。ただ、それだけに遠慮のない攻めの姿勢が際立ちレインは少したじろいでしまったのだ。
「少し興奮しすぎていたようだな。……もし、痛かったり苦しかったりしたら、遠慮なく言ってくれていい」
 最初に誘って来たのは確かにレインの方からだが、それを免罪符にして彼女を傷つけてしまっては元も子もない。
ラークは小さく深呼吸して、心を落ち着ける。
「ええ、分かったわ。でもさっきのは良かったから……もっと、してくれる?」
「ああ……いいとも」
 再びラークの舌がレインの秘部に触れる。さっきよりは慎重に舌を動かしていく。
激しさが少ない分、じわじわと体の奥底に染み込んでくるような刺激。時折レインの体が震え、口から荒い息が漏れる。
隅々まで行きわたる余すところのない舌での愛撫に、彼女の割れ目は滲み出た愛液でぐっしょりと濡れていた。
ラークの舌に纏わりついているものが彼の唾液なのかレインの愛液なのか、もう、分からない。

―14―

「ラーク、もう十分よ……。よかったわ」
 少し名残惜しい気もしたが、ラークは顔を離した。彼女の愛液は予想以上に多く、股ぐらの毛はじっとりと湿っている。
ラークの鼻先から口元にかけても濡れた後が残っていた。もっともその中には彼自身の涎も含まれていたのかもしれないが。
「じゃあ今度は私の番ね」
 レインはのそりと起き上がると、ラークの傍らまでゆっくりと近づいていく。
瞬間、くるりと視界が反転した。上下に揺れるベッドの振動がおさまるにつれてだんだんと状況の理解に至る。
隙を突いてレインがラークを押し倒していたのだ。さっきとは体制が逆転し、ラークがレインを見上げるような形になる。
「誘っておきながらやられてばかりじゃつまらないから、ね」
 艶っぽく微笑むレイン。自分よりやや小柄で触った感じも華奢だったあの体のどこにこんな力があるのだろうか。
まだラークがポケモンの体に慣れていなかったというのもあるだろうが、まるで手の甲を返すようにあっさりと倒されてしまった。
外見が小柄だといってもポケモンに秘められた力というものは侮れない。
「これでしっかり感じられれば、感覚も本物だということが分かるな」
「ええ、じゃあ早速……」
 レインはラークの股ぐらに視線を移す。そこには紛うことなき雄の象徴が存在感を誇示している。
先ほどのレインへの愛撫によりラークのそれはそそり立っていた。その迫力にレインはゴクリと唾を飲み込む。
「雄なら乳首よりもこっちの方が感じるでしょう?」
 そっと口を近づけ、舌の先を当てる。ぴくんと肉棒が揺れ、同時にラークの体もわずかに震えた。
どうやら性的な刺激はしっかりと伝わっているらしい。もっと強い刺激ならばいったいどうなるのだろうか。
生々しい雄を前に最初は控えめな出だしだったが、ラークの明らかな反応がレインの好奇心を掻きたてていた。
「あ……うあっ」
 完全に咥えこんだレインの舌が、ラークの雄に絡みついた。ゆっくりと撫でるように根元から先端まで舌が滑っていく。
肉棒を通して伝わってくる刺激、そして快感。はあはあと荒い息が口元からこぼれ落ちていく。
ペニスからくる刺激を体が求めている。体の奥でふつふつ熱いものが疼いているのが分かる。
これは自慰をしているときの感覚、いやそれ以上のものだ。自分の手ではない他者にしてもらうという興奮。
ある程度仮定として考えてはいたが、今ははっきりと確信できた。この性的な感覚は、本物だと。
「……?」
 突然、刺激が消えた。ちょうど気持ちよくなってきたところで中断され、ラークは思わず顔を上げる。
「ふふ、もっとしてほしかった?」
「え……いや、それは」
 正直なところもっと舐め続けていてほしかった。快感は確かにあったが満足と呼べるほどではない。
だがここで欲望に任せて頷いてしまうと、いたずらっぽく笑うレインに敗北を認めてしまうようで悔しい。
「このまま続けてたらラークは達しちゃうでしょ?」
「おそらくな。ついさっき感じた感覚は……間違いない」
「もし……出すなら、さ」
 レインはごろりと仰向けになって誘うような視線を送ってくる。後ろ脚の間には、染み出した愛液でほんのりと光る割れ目が。
彼女はそれ以上何も言わなかったが、求めていることが何なのか理解するのはそれほど難しいことではなかった。

―15―

 艶めかしい輝きを放つ彼女の秘部。ラークにおいでおいでと手招きをしているかのようだった。
目の前にある甘い誘惑に吸い寄せられるかのように、おぼつかない足取りでラークはレインの上に跨る。
彼女の欲求が何なのか。もう分からない振りをしたりはしない。ラークも本能のままにレインを求めていたのだから。
「……来て、ラーク」
「分かった。ゆっくり……行くからな」
 少しだけ息を整えた後、ラークは腰を沈めていく。肉棒の先端が彼女の割れ目に触れた。
互いの体を鈍い刺激が駆け抜ける。ラークもレインも一瞬表情を引きつらせたが、すぐに気を取り直し無言で頷き合う。
まだ大丈夫、もっと奥まで。言葉に出さずともお互いにそれを渇望している。
「……ぐっ!」
「ああっ!」
 ラークの肉棒がレインの割れ目をこじ開けた。まだ半分も入っていなかったが、舌で舐めるとのは比べ物にならない強い刺激に思わず声を上げてしまう。
お互いへの愛撫により滑りが良く、彼女の秘部はあっさりとラークの雄を飲み込んでくれた。
しかし、入りやすいからと行ってそこからの刺激が緩いというわけでは全くなかった。
レインの肉壁はラークの肉棒を容赦なくギチギチと締め付けくる。後ろ脚が震えそうになるのを堪えながら、ラークは今の姿勢を何とか保っていた。
「だ、大丈夫、か……レイン?」
「え、ええ。あなたの方こそ……大丈夫?」
 明らかに余裕がなさそうなのはラークの方だったが、ここでレインの方を気遣うのは相手を思いやってか。あるいは雄としての意地か。
半分以上は後者だったのかもしれない。だからこそ、レインの呼びかけに苦しい表情を滲ませながらも縦に首を振ったのだ。
「よし、じゃあもっと奥に……うあっ!」
 気持ちではまだまだ行けるつもりだった。だがどうやら体のほうはそうではなかったらしい。
限界を迎えたラークの後ろ脚は立っていることもままならず、力が抜けがっくりと膝をついてしまう。
崩れ落ちた勢いで半分ほど入った状態の肉棒は、ずるりと一気にレインの中まで入り込む。
もちろんこんな事態は予想だにしなかったこと。これからくる刺激に耐えよう、という意気込みをする前への不意打ちだ。
「うああぁっ!」
「ひゃぁああっ!」
 大きな悲鳴の二重奏。ラークの肉棒はレインの深い部分を貫き、レインの割れ目も雄の先端から根元まできっちりと撫で上げ、そして締め上げる。
肉棒がぴくんと一瞬震えたかと思うと、その直後ラークはレインの中に精を放っていた。留まるところを知らないそれは接合部からも染み出す。
それと同時にレインの下半身も呼応するかのように、秘部から透明な液体を噴き出す。愛液は精液と混じり、濁った色合いを作り出した。
「う……あ……」
 射精後の強烈な快感とともに、支えを失ったラークの体はレインの上にばたりと倒れこんだ。
その反動で彼の肉棒は割れ目から外へすべり出る。もちろんその感触は伝わってきたが、今はそれに反応している余裕などなかったのだ。
ラークもレインも肩で息をせずにはいられない。お互いの胸が大きく上下しているのが伝わってくる。
しばらくの間、快感に身を震わせる二匹の喘ぎ声だけが部屋に響き渡っていた。

 心臓の鼓動はまだ幾分駆け足だったが、何度も深呼吸するうちに大分落ち着きを取り戻してきた。
足が震えて立ち上がることもままならない状態からは、どうにか抜け出すことができたらしい。
「ら、ラーク……いきなりなんだから」
「すまない……足が言うことを聞かなくなって……」
 ラークはゆっくりと体を起こし、レインの隣に仰向けになるようにして寝転がった。天井を見上げると、再び大きく息をつく。
ある程度体を動かせるようになったが、まだ快感の余韻が抜けきらない。下半身に漂うふわふわとした感覚に、自然と表情も緩んでくる。
「あなたの体は本物、だったわね」
「ああ、すごく……良かったよ。ありがとう、レイン」
 振り向き、レインと目が合う。彼女もどこかうっとりとした表情をしていた。
そんな互いの顔を見つめあって微笑むラークとレイン。
「お礼を言うのは私の方、付き合ってくれてありがとね」
「いや……私にも試してみたいという好奇心はあったからな。ここはお互い様だな」
 はっきりと分かったことは、あの薬は外見から内面まで完璧にポケモンに変身できる薬だということ。
技を試すという目的は果たせず、その代りにとんでもないことを試してみる羽目になってしまったが、レインとここまで近づくことができたのだ。
そこはあの立てつけの悪いドアに感謝しなくてはいけないのかもしれない。
「ラーク……大好きだよ」
 いきなり何を言いだすのかと少し驚いたラークだが、同じポケモンの姿である今しか交わすことのできない言葉なのだ。
照れ隠しでない、ちゃんと面と向かって気持ちを伝え合っておくのも悪くない。
「私も君のことが好きだよ、レイン」
 それを聞いたレインはにっこりと微笑むと、ラークに身を寄せてくる。ラークも彼女の肩をそっと抱き寄せた。
こうやって身を寄せ合っていると何とも言えない温かさがある。それは体温か、それとも誰かがすぐ傍にいるという心の温もりなのか。
心地よい暖かさに身を委ねるうちに、やがて二匹は深い眠りへと落ちていった。

―16―

 外から鳥ポケモンの鳴き声が聞こえてくる。もう朝だという事実が、いやでも耳を通して伝わってきた。
本当に毎日毎日ご苦労なことだ。朝の時間を知るのに時計は必要ない。
ラークは小さくため息をついて目を開く。いつもと変わらない部屋の天井が見えた。
しかし、妙に寒い。今日はいきなり気温が下がったのだろうか。いや、それにしてもこんな寒さは今まで感じたことがない。
自分の大きなくしゃみと共にラークは目を覚まし、同時に自分が裸のまま眠っていたことに気が付いた。
どうして服を着ないまま寝たりしたんだろう。寝ぼけていたのか。だが寝ぼけていたにしても服を着なければ寒さで目が覚めてしまうはず。
ふいに柔らかい毛の感触がした。見ると、レインがこちらに身を寄せるようにして眠っている。
そして、彼女の体とベッドから漂ってくる独特の匂いがラークの記憶の糸を徐々に手繰り寄せてきた。
「…………」
 そうか。ポケモンになる薬を飲んで、自分は昨日レインと――――。
手を額に当て、俯くラーク。昨日の行動を思い出すと恥ずかしさで全身を掻き毟りたい衝動に駆られる。
いくらポケモンになっていたからとは言っても、パートナーと一緒に寝てしまうだなんて。
興奮した勢いでとんでもないことをしてしまったのではないか。ラークの胸の奥からじわじわと罪悪感と背徳感が湧き上がってくる。

 どうやらレインが目を覚ましたようだ。むっくりと起き上がり、ラークの方を見つめる。
表情は涼しげないつもの彼女だったが、昨日の出来事を覚えていないはずはない。心の中ではあの行為をどう受け止めているのだろうか。
「れ、レイン、その。昨日のことなんだが……」
 彼女を見ていてももうおかしな感情は抱かなかった。そこはちゃんと人間に戻れたらしい。
しかし、それとは別に彼女との間に気まずさのようなものを感じてしまう。何か言わねばならない。だが、言葉が出てこなかった。
これから先、いったいどんな顔をしてレインと向き合えばいいのだろうか。
うろたえるラークにレインはそっと近づくと、ぺろりと頬を舐める。そして小さな笑みを見せた。
まるで、気にしなくていいよ、とでも言うかのように。もう彼女の言葉は分からなかったが、ラークはそう受け取れたのだ。
「レイン……」
 こうして彼女がいつも通り、普通に接してくれることが何よりもありがたい。
ポケモンになっていたときには忘れていたが、やはりラークはレインと親友のような関係でいたかったのだ。
「……ありがとう」
 ラークは彼女の頭を優しく撫でる。温かさのこもった手触り。
ポケモンになっていたときとはもちろん感覚は違っていたが、人間に戻ってもやはり彼女に傍にいてほしい。
レインは金色の瞳でじっとラークの顔を見つめていたが、やがて彼に答えるかのように小さな鳴き声を上げた。
その声にどんな意味合いが含まれていたのかは量りかねたが、どこか嬉しそうな彼女の様子から前向きな言葉として受け取っても間違いはなさそうだ。

 レインが今までと同じ態度でいてくれたことに、ほっと胸をなで下ろすラーク。そこに入り込んで来たのは、ベッドのシーツ、そしてレイン自身からも伝わってくる匂い。
そういえば、あの後そのまま眠ってしまったのか。元に戻った自分の体にはそういった痕跡は残っていなかったが、彼女はあの後のままなのだ。
「風呂、入ろうか」
 こくんと頷くとレインはひらりとベッドの上から飛び降りる。彼女自身も体を洗いたいと思っていたのだろう。
もともと風呂が好きなことも手伝って、そのまま早足で風呂場へと向かっていった。
ラークも立ち上がり、レインに続こうとするがふと立ち止まり振り返る。そうだ、ベッドのシーツも洗わなければ。
この残った匂いは昨日この上で抱き合っていた自分とレインをありありと想像させてしまう。
昨日の記憶を匂いとともに洗い流すことはできないだろうけれど。今は心の奥にそっとしまっておきたい。
そんな想いに耽っていると、風呂場からレインの催促の声が。おっといけない、彼女を待たせたままだった。
「レイン、今行くよ!」
 慌てて彼女に返事をするとベッドからシーツを引きはがして脇に抱え、ラークは風呂場へと向かったのだ。

   END



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最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • パールの殿堂入りメンバーは、ゴウカザル、ムクホーク、レントラー、フローゼル、パルキアだったと思います。
    レインを可愛いと言ってくださってありがとうございます。-- カゲフミ 2009-03-24 (火) 19:48:01
  • 無いと分かっていても続編が気になりますね。 -- 2009-06-19 (金) 16:32:42
  • 実際にあったらいいなと思ってしまったw
    1回はなってみたいと誰でも思いますよね? -- リュウト ? 2009-06-25 (木) 21:24:43
  • 名無しさん>
    申し訳ないですけど続編は今のところ考えておりませんのでご了承をば。
    リュウトさん>
    そうですねえ。ポケモンになる薬があったらどうなるだろう、と思って書き始めたのもありました。
    心から信頼し合っているパートナーとポケモンだったらこうなっちゃうんじゃないかなあ、と。
    レスありがとうございました。 -- カゲフミ 2009-06-26 (金) 18:53:01
  • 終盤の不意打ち(事故?)は意外な展開でしたね。こんなエロ描写は初めて読みました。
    リュウトさんと同じく、私も変身願望があるのでこの手の話はかなり好きです。
    蛇足かもしれませんけど、あの後レインが妊娠してそうな気が…ラークどうするんだろ。
    ――might ? 2010-01-06 (水) 02:44:29
  • 慣れないポケモンの体でしたから、ああいう事故もあるんじゃないでしょうかw
    ポケモンになれる薬の設定は無理やり考えた部分があるので、今見ると適当感が……。
    もしできちゃってたら、彼なりに責任とるんじゃないでしょうか、きっと。
    レスありがとうございました。
    ――カゲフミ 2010-01-06 (水) 16:32:33
  • 俺得www ごちそうさまでした。
    ――アルファ ? 2012-07-26 (木) 22:06:34
  • 楽しんでいただけたのならば幸いですw
    ――カゲフミ 2012-07-28 (土) 21:47:14
  • とてもいい話でした
    ラークさんがレインへの呼び方(?)が物語の前半は『レイン』と言っているが後半は『彼女』となっていると思うのは私だけでしょうか
    ―― ? 2013-05-14 (火) 11:10:50
  • 前半はパートナーのポケモンとして、後半は異性として認識していますからね。
    女性として意識した結果「レイン」ではなく「彼女」としてみることが多くなったのかもしれません。
    ――カゲフミ 2013-05-26 (日) 17:10:50
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