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盲目の姉

/盲目の姉

こんにちは。いろんな作品に手を出しすぎて結果どれも全く進まないとかいう不可解な事をやっている南十字です。気長に待ってやってください。
さて、今回のテーマは官能表現練習作品と言う事でエロに重点を置いていきたいです。しかし、練習用作品といえども公開するからには全力でやっていきたいです♪
それでははじまりはじまり~。

南十字


!!注意!!
危険な文章力で危険な表現を書いていくことになります。目に毒かもしれないので苦手な方は早めの避難をお勧めします。
危険な表現、放尿、強姦未遂、近親相姦があるかもしれない。(予定)
作者は医学とかさっぱりです。







あなたの心の色は何色ですか?

私は……黒です。



あなたは今、光を感じていますか?

私は……感じる事が出来ません。



あなたは今、しあわせですか?

私は……生意気を言うようですが不幸のどん底にいます。





私は今、決して抜け出す事の出来ない永遠の暗闇の中にいます。


私の人生の全てに絶望して。私の人生の全てを諦め。私の人生に生きがいすら見出す事も出来ずに。

ただただ、泣いていました。

涙がかれるのではないかと思うほど、泣きました。




今日もまた、私は涙を流すのでしょう。そして、これからも………









僕は今、人間の経営している病院とかいう施設の病室の前に立っている。もちろんただ病室の前に立つためにこの真っ白な施設にやってきたわけじゃない。
僕は、お姉ちゃんに会うためにやってきた。一度も会ったことのない、僕の家族に会うために…。
まずはその話を先にした方がよさそうだね…。



僕は物ごころがついた時にはリングマのおじちゃんの事をお父さんと呼んでいた。僕の親は僕を産んでからほどなくして死んでしまったと伝えられた。でもその時の僕はまだ幼稚でリングマのおじちゃんもいたからさびしいと感じる事は無かった。
そして今から大体一週間ぐらい前。僕はリングマのおじちゃんのもとを離れる決意をした。特にやりたいことがあったわけじゃなかったけど一匹の雄のブースターとして生きたかったからそうした。リングマのおじちゃんは僕をひきとめようとはせずにかわりに僕には双子の姉がいた事を伝えた。リングマおじちゃんが苦労してやっとつかんだ姉の居場所を僕に教えてから多すぎるほどのお弁当を持たされ僕はリングマおじちゃんと別れた。

そして気がついたら姉のいる病院に足を運んでいた。そんなわけで今に至るわけ。




とりあえずこの横にスライドして開けるドアの取っ手に触れる事はしないでドアの周りを観察する。ドアの横のあたりに1197号室と金色の文字で書かれたプレートがかかっていた。そんなにたくさん部屋があるものか。と思いつつ病室が個室であることを確認する。
…とりあえずもうそろそろ入ろうかな。と思いつつ取っ手に前足をかけた時に中から物音が聞こえた。……いや、物音じゃない…これは……泣き声?大泣きって感じじゃなさそう。啜り泣きっていうのが正しい表現かな?
とにかく今は入らない方がよさそうだと思いドアにへばりついて耳をドアに押し付ける格好をやめてもと来た道を帰ろうと思うと向こうからタブンネと呼ばれるポケモンが料理を両手で抱えながらこちらに向かって歩いてきていた。
タブンネは僕の存在に気がついたらしく僕に声をかけてきた。
「あれ?もしかしてお見舞いの方?」
「はい」
そう短く答えると僕は1197号室を前足で示して「ここの患者さんのお見舞いで……」と言った。
「へぇ……。それじゃあどうぞ。私も彼女に昼食を食べさせに来たところだったからね」
そう明るく答え病室を開けようとしたのを僕はあわてて止める。
「あのっ……。いま泣いてるみたいなんですけど……」
そう言うとタブンネは少し悲しそうな顔をした後「いつもそうなの……。でも、他のポケモンが来た時には泣きやんでくれるから……」と言い静かに病室のドアを開けた。



病室の中はひどく殺風景だった。この病室に来る途中にほかの病室を横眼で観察しながら来ていたけどこの病室はインテリアとかそんなものに全く興味を持っていないような部屋だった。テレビも置いてないうえに暇つぶしのための本すら置いていないこの病室のベッドに半身を起こしてすすり泣いているリーフィアの姿があった。姉と言っても双子の姉らしいから歳はそんなに離れていなそうだった。むしろ泣いている姿に若干の幼さまで感じてしまうほどだった。
「だれ?」
そう小さくとても細い声がした。
「私だよ、タブンネ。リーフィアちゃん、お昼ごはん運んできたよ」
そうタブンネが明るくこたえる。するとリーフィアは冷たくタブンネに声をかけた。
「うそ、もう一匹いるはずよ」
その声の重さに少し僕は引いてしまった。僕はお見舞いに来たことを伝えようと口を開きかけたところタブンネさんに先を越されてしまった。
「うん、あなたのお見舞いに来てくれた子がいるよ」
「ふん、病室を間違えたんじゃないの?」
タブンネの言葉にリーフィアは再び冷たく言った。タブンネは不安になったのか本当にこの病室であっているのか僕に聞いてきたが僕だって何度も確認してここの来たんだ。それに僕のお姉ちゃんなら絶対持っているものがあるんだ。それを確認してからじゃないと素直に引き下がれるもんか。リングマのおじちゃんは姉の目印は捨ててなければの話だけど進化の輝石と呼ばれる一種のパワーストーン的なものを持っているということだった。リングマおじちゃんがなんでこんなにも姉のことに詳しいのか思えば不可解なような気もするけど今は目の前にいるリーフィアが僕の唯一の家族なのか知る方が先決だ。
僕は隣に立っているタブンネに進化の輝石を見たことない?と聞くとリーフィアの寝ているベッドの隣に置いてある小物入れの中にはいっていた石を取り出して僕に見せた。僕は自分の持っていた石を取り出して二つをよ~く見比べてみた。
うん、ぴったり。僕の親が一つの石を砕いて僕ら二匹に進化の輝石を渡したのか割れている石の一部分がぴったりとはまった。

確信した。このリーフィアは間違いなく僕の姉だ。僕は先ほどからのリーフィアの態度に恐怖に近いものを感じていたのもあって声を震わせながら目の前にいるリーフィアに声をかけた。
「ね……ねぇ!」
「五月蝿い。大声を出すな」
ううっ…。性格がどぎついのかな…?僕のお姉ちゃんは…。でもここでくじけちゃダメだ!
「お姉ちゃん!そn」「ストップ」
「私はお前なんかの姉になった覚えはない。本当に病室を間違えている。帰れ」
僕の言葉を一蹴して帰るように促す。でも僕はあきらめたくなかった。
「……じゃあこれから僕はひとりごとでも言ってるよ」
「五月蝿い、帰れ」
「僕は双子のうちの弟。僕の親は僕を産んでからほどなくして死んだ」
「………………」
ぴくっとリーフィアの耳が揺れた。
「僕らは親が死ぬ前にそれぞれ一つずつ石をもらったはずだ」
「………………」
さらにリーフィアの耳が揺れる。それを確認し僕はさらに言葉をつづけた。
「僕の今持っている石とこの病室にあった石がぴったりt」「ストップ」
うっ……。また言葉を遮られた。何を言われるだろうと身構えていた僕に帰ってきた言葉はやはりまだ冷たいものだった。
「あんたが何を言いたいかはよく分かった。さっさと病室から出て行ってDNE鑑定でもしてこい。それからでないと私はあんたを信じない」
「姉ちゃん、多分それDNA鑑t」「五月蝿い!早く行け!」
少し顔を赤らめたリーフィアに怒鳴られて僕はすごすごと病室から出ていくしかなかった。結局その後律儀にDNA鑑定をしてもらったわけだけど。






僕のお姉ちゃんに会った日の翌日、昨日のDNA鑑定の結果が出たことを病院で聞いた。ちなみに僕はこの病院の近くにあった洞穴を一応住処として使っている。あのリーフィアが僕の本当のお姉ちゃんだったら同じ家族なわけだし一緒にいるのも悪くないよね。
そんなことを考えていると昨日いろいろと助けてもらったタブンネが薄っぺらい紙を片手にこちらへ歩いてきてDNA鑑定の結果を僕に報告してくれた。
「え~っと、ブースターくんとリーフィアちゃんは間違いなく血がつながった姉弟って感じの結果が出てるみたいだよ?」
その言葉を聞いてほっとした。もし人違いだったら凄い気まずい雰囲気の中例のリーフィアに謝っていなければならなかっただろう。でも、これで心おきなくあのリーフィアに「お姉ちゃん」と呼べる。そう思うととてもうれしかった。
「それじゃあ、僕のお姉ちゃんにしっかりあいさつしていきます」
そうタブンネに伝えると朝食を食べさせなければいけないとかいうことで僕と一緒に1197号室へ行くこととなった。

病室へ向かう最中、ふと気になったことがあった。
「そう言えば、僕のお姉ちゃんはどこが悪いんですか?」
よくよく考えると凄い元気だったような気がする。耳も聞こえていたし言葉を発することもできていた。半身を起こせるのだから前足や後ろ足も動くはずだ。……悪いところが見当たらない。唯一悪いところと言えば口ぐらいだろうか。
すると、タブンネが僕の質問に答えた。
「……リーフィアちゃんは重度の先天性緑内障で目が見えないの。だから私がいつもご飯を運んで食べさせてあげているの。
 ………もしかして目が見えていないのに気がつかなかった?」
僕はタブンネの言葉に首を縦に振る。するとタブンネは僕に言い聞かせるような声で言った。
「それじゃあ、今度からはそのことにも気を使ってあげてね」
分かりました。と答えようとしたときにはもうタブンネが僕の目の前のドアを開けているところだった。これから僕が子供だったころに生き別れた姉に会えるのだと思うとなんだか不思議な気持ちがした。僕はタブンネさんに続いて病室にはいった。
「だれ?」
昨日とかはらない声。やっぱりさっきまで泣いていたのか声が震えていた。するとタブンネが昨日と同じ調子で答えた。
「私だよ、タブンネ。リーフィアちゃん、朝ごはん運んできたよ」
「うそ、もう一匹いるはずよ」
今度は僕からリーフィアに声をかけた。
「僕だよ、お姉ちゃん。昨日来たブースターだよ」
「来たな、この自称弟のストーカーめ。よくよく考えれば昨日話していたことなんて調べればすぐわかることだったじゃないか。私をだまそうとしても無駄だから」
えっ!なんで感動の再会のはずなのにストーカー呼ばわりされてるの!?僕は!
僕が何を言っても信じてくれそうにない。僕はタブンネさんに視線で助け船を求めた。
「え~っとね……。ブースターくんにDNA鑑定をしてもらって、その結果ここにいるブースターくんはリーフィアちゃんの本当の弟だよ」
リーフィアは耳をピクリと動かし「それ、……本当なの?」と小さく声を発した。
「うん、ホントホント」
そうタブンネは明るく答えた。僕はリーフィアが半身を起しているベッドのそばまで歩いていきしっかりと目の前にいるリーフィアに挨拶をした。
「12年ぶりだね。久しぶり、お姉ちゃん」
ここで感動の言葉が帰ってくると思いきやお姉ちゃんの小さい口から出てきた言葉は意外なものだった。
「…………バーカ……」
そう言うとシーツの中に丸まって隠れてしまった。これからどうなっていくんだろ……。そんなことを考えながら僕は気恥ずかしげに頭をかいた。






次の日の朝、僕は新しく住むことになったこの洞穴の近くに住むポケモンたち、つまりご近所さんに挨拶をして回っていた。運のいいことにこのあたりに住んでいるポケモンは炎ポケモンばかりだった。共通点があるってことは何かと付き合いやすいような気もする。一番印象に残ったのは僕の洞穴のすぐ横にある僕のよりも一回り大きな洞穴に住んでいるヘルガーさんだったな。僕を見るなりにっこりとほほ笑んで「おっ!これが噂の唯一王ってやつか!」とか言われて体のあっちこっちをべたべた触ってきたポケモン。「王」って言われて悪い気はしないし、いきなりのスキンシップだったけどきっと彼は友好的なんだよね。
そんな彼にいろんなポケモンを紹介してもらっていきなり助けられてしまった。まるで絵にかいたようなポケモンだった。僕らはたった一日で友達になることができた。

そんなご近所巡りで一日の大半を費やして病院を訪れたら「この時間帯はね。お見舞いできないんだよ」と優しく諭され病院を後にした。明日、朝一に病院に行こうかな。なんて考えながら僕は洞穴の中で眠りについた。






昨日の疲れが祟ったらしく僕はいつもより遅く起きた。僕は外に出て太陽の昇り具合を確かめると急いで木の実を口の中に突っ込んで病院へ行った。……あれ?そういえばなんでぼくは急いで病院に行こうとしてるんだ?
まあ、いいや。ご飯を食べた後すぐに走ったからか少し気持ちが悪くなってきた。ここからは少しペースを落として……。

今日は微妙な時間に来たためかお姉ちゃんにご飯を運んでいるタブンネに行き会うことなく1197号室まで行った。今度は別に躊躇することなく病室のドアをあけられた。
……やっぱり泣いているみたいだ。僕も目が見えなくなったら一日中泣いていたのかな…?
………よくわからない。お姉ちゃんの気持ちになることはできないけれどここまで泣くのはなんでなのだろう?
そんなことを考えているとお姉ちゃんが声を発した。
「……だれ?」
前と変わらないいつも通りの声。きれいな声に嗚咽が混じって声全体が震えているのも前と同じ。
「ブースターだよ」
そう短く答える。会いに来て何だけど話のネタが無い。…あぁ…僕は何のためにここに来たんだろ?
「……どうして昨日来なかったんだ?」
おっと意外。お姉ちゃんは僕が昨日ここに来ると思っていたのかな?まあ、家族だから毎日会うのが当たり前……だけど僕のお姉ちゃんからこんな言葉が来るなんてね…。なんか、びっくりしたな…。
「……か、勘違いするなよ!昨日お前が来たらどんな罵詈雑げんを投げかけてやろうか考えていたんだ!
 なんなら今ここで昨日ストックしていた分をお前に……」
「いや、遠慮するよ。あと"罵詈雑言"だよ」
「う、五月蝿い!私の間違いなんか聞いてない!」
「わかったよ。昨日は新しくここに引っ越してきた僕がご近所巡りをしていたわけで来れなかったの」
「……あぁ、そうか……」
なんか急に元気がなくなってる。どうしたのかな?
「どうしたの?」
「いや……疲れた…。…私はもう寝るっ!さっさと帰れこのバカ!」
なっ……!僕はバカじゃない!……たぶん。
言い返そうかと思っているうちにお姉ちゃんはシーツの中にもぐりこんでしまった。
さんざん罵られながらもなぜか悪い気はしなかった。苦笑いを浮かべながら「バイバイ」と言って病室から出た。





次の日は昨日遅かった分いつもより早くに住処を出た。朝ごはんをつまみながら病院へと足を運んだ。
受付の係りのラッキーさんにお見舞いに来たことを伝え道に迷うことなく1197号室の前にたどり着いた。恥ずかしい話、はじめてきたときはさんざん迷子になってハピナスさんを困らせていた。
僕はそんなことを思い出しながら1197号室のドアをスライドさせたときに耳慣れたきれいな声を聞いた。
「いやだ!いやだ!」
……?部屋を間違えたかな?ドアを開けたままちょっと後ろに下がって部屋の番号を確認する。うん、間違いなく1197号室のドアを僕は開けたはずだ。………あれぇ?この部屋にこんな幼稚な発言をするポケモンなんていたっけ?…もしかしたら先にお見舞いに来ていたポケモンでもいたのかなぁ?
そう思い少し勇気を出して中をのぞいてみると………

そこには何か食べ物をほんの少しのせたスプーンを片手に困った顔をしているタブンネさんとベッドの上に半身を起し涙目になりながらタブンネさんのスプーンを拒否しているお姉ちゃんの姿があった。2匹ともこんな騒ぎで僕の存在に気が付いていないのか僕の目の前でお構いなしにこの奇妙なやり取りを続けている。
「ほらぁ、しっかり食べないとガリッガリにやせ細っちゃうよ」
「うぅ……、だからってそんなもの食べさせなくてもいいだろぉ!」
「しょうがないなぁ…。じゃあお野菜の方を食べよっか」
そうタブンネさんがやさし~く言った後かちゃかちゃとわざとらしく食器の触れる音を出した。当然のことのようにまったくのせているものの変わっていないスプーンをかまえたと思ったら急に僕の方に振り向いてあいている方の手を口元に持っていき「静かにしててね」の合図を送ってきた。僕はとりあえずうなずいて2匹のやり取りを黙って見ることにした。
「はいっ、じゃあリーフィアちゃんの大好きなお野菜だよ~。ほら、あ~ん♪」
このタブンネさん、けっこう腹黒?目が見えていないのをいいことにニコニコしながら患者の口の中に嫌いなものを入れてるよ……。
ああっ……。スプーンがお姉ちゃんの口の中に………入っちゃった……。
お姉ちゃんはしばらくもぐもぐした後に嫌いなものだと気がついたのか涙を目に浮かべ口の中にものを入れながらか細い声でタブンネさんに助けを求めた。
「にくぅぅ……。おにくがぁぁ……。ねぇ…口から出していい……?」
「ダーメ♪口の中のものはしっかりと飲み込んでね♪」
リーフィアが涙ながらに訴えるもそれを「ダーメ♪」の一言で一蹴するタブンネさんはちょっと怖かった。さすが口の悪い僕のお姉ちゃんにいつもご飯を食べさせているだけのことはあるね……。
「うぅ……、うっ…えっぐ………」
泣きながら口の中のものを飲み込んでいくお姉ちゃん。僕は何か朝から大発見をしてしまったような気分になった。



それからお姉ちゃんと一緒にいようかと思ったけど僕が朝食のやり取りをのぞいていたのがばれて「今日は乗り気じゃない!いいからさっさと帰れ!ばかぁ!」と顔を真っ赤にしながら怒鳴られて今はヘルガーの住処で一緒に世間話をしている。

「そういえばお前さぁ。親どこに居んの?」
そう不意にヘルガーが僕に聞いてきた。「いないよ」そう短く答えるとヘルガーは申し訳なさそうな顔をして「わりぃ」と短く言った。でもさびしくはない。それだけは分かってほしいな。
「でも、お姉ちゃんもいるし僕を育ててくれたポケモンもまだ生きてるからさびしくはないかな」
「へえ、お前って姉ちゃんいたんだ…。いくつぐらい離れてるんだ?」
「さあ……?数分じゃない?」
「双子か……。いいなぁ。兄弟いねえとさびしいぞ…」
そう言ってしばらく宙を眺めていたヘルガーが急にこちらを向いたかと思うとニヤニヤしながらとんでもないことを聞いてきた。
「で、お前の姉ちゃんはかわいいのかよ?」
「はぁ!?」
とりあえず素っ頓狂な声をあげておく。当たり前だよ。身内がかわいいかどうかなんて普通聞くか…?
でも、ちょっとまじめに考えてみると……もしかしたらかわいいの分類に入るかも…。僕と同じでやけにちっちゃい。雄で小さいのは不便だけど雌で小さいって言うのは一応かわいいの基準の一つじゃないかな…?
僕が一人で考えていてもよくわからない。おまけに顔が赤くなってきているかもしれない。とりあえず病院から預けられているカルテの写真を見せてみた。顔をアップして撮ってあるものと全身が撮られているものの二枚を見せてみると………。え?……鼻血…?
「やべぇ……。かぁいいなぁ……」
ヘルガーはそういうと垂れてきた鼻血を前足でこすって僕の方にすごい剣幕で振り向いた。
「おい!これ無加工か!?」
「うん」
「アイドルの写真じゃないだろうな!?」
「当たり前じゃん」
「これはお前の姉か!?」
「だからそうだって」
「うぐぐぐぐぐぐぐ…………………」
「?」


「お前の姉がこんなにかわいいわけがなぁぁぁい!!!!」






その後ヘルガーは鼻血を垂れ流しながら悶絶した。とりあえず死なないことを祈った後にヘルガーの手に握られている写真を持った。そして、ヘルガーの住処を後にした。大分話し込んでいた為か夕陽の温かさを外に出たときに感じてからやっと今が夕方なのだと実感した。とりあえず今日の夕飯を食べて僕は早くに床に就いた。






次の日の朝は遅くもなく早くもないと言った時間に住処を出てお姉ちゃんのもとへ向かった。その間お姉ちゃんが何で泣いているのか考えていた。
前は答えを見いだせなかった。そんな気持ちでもやもやしてきたから考え始めたんだけど……。やっぱりわからない。でも、普段の強がっているあの姿と泣いているときの姿がどうも合わない。ギャップって言うんだったっけ?それが激しいような気もする。

そんなことを考えていると真っ白な建物が僕の目の前にある事に気がついた。もうついたのか……。もうここに来るのもなれちゃったからな……。そう思ってガラス張りの自動ドアを通って中に入っていった。

受付のところについているアナログ式の時計は9時ぴったりを指していた。この時間にはこの病院のポケモンは朝食を済ませている。っていう事はあのやり取りは見れなかったのか……。ちょっと残念…。
僕はちょっと高い受付の台に前足をかけてお見舞いに来たことを係りのポケモンに言う。ラッキーさんに僕の名前とお見舞いに来た患者さんの名前を言って1197号室へ行くことを伝える。お見舞いに来る日はいつもそうしていたからか特に書類にサインする事もなくラッキーさんに通された。もともとサインは始めてきた時しかしていない。俗にいう顔パスとかいうものでお見舞いに行ける。それにさっきラッキーさんに「もう自由に出入りしていいや」と言われた。そんなに甘くてもいいのだろうか?

そんなことを考えていると1197号室の前にいた。どうも僕は何かを考えていると無意識に体が動いてしまっているみたいだな……。僕は苦笑いしながら1197号室のドアを開けた。
「…………」
僕は1197号室の異変に気がついた。いつもは泣いているお姉ちゃんが泣いていないで宙を眺めていた。って本人は何も眺めてはいないだろうけど…。
「ブースターか?」
えっ?「ブースターか?」そうお姉ちゃんは確かに声を発した。僕の姿が見えていないのにどうして?
「そうだけど………。どうしてわかったの?」
「お前が動く時の毛のこすれる音が独特的だったからな」
そう言って少しだけ誇らしげな顔をしているように見えた。
「へえ……。耳が良いんだ。すごいじゃん」
「ほめたって何もやらないからな」
そう意地悪く答えているお姉ちゃんの表情はちょっと和らいでいる風にも見えた。ずっとしかめっ面だったお姉ちゃんが今目の前で少しだけ他の表情を見せてくれた。それがたまらなく嬉しかった。お姉ちゃんの違う一面が知れたような気がして。
すると、お姉ちゃんが壁に取り付けられているナースコールを押した。
「どうかしたの?」
少し心配になって聞いた。するとお姉ちゃんは再び無表情に戻って淡々と答えた。
「タブンネさんがお前が来たらこれを押して伝えろと言っていた」
何のためのナースコールなのだろう?緊急時以外は普通押さないものだと思うんだけど…。ここの病院はいろんな所が抜けているような気がする。まあ、それがフレンドリーな空気を作り出している一番の理由だと思うけど。
するとタブンネさんが小走りでこちらに向かってきているのかテンポの速い足音がこちらに近づいてきた。ガラッと病室のドアを少しだけあけると僕に手招きをした。廊下に出ろってことなのかな?僕は首をかしげながら廊下に出た。
「どうかしたんですか?」
そう聞いてみるとタブンネは申し訳なさそな顔をして僕の質問に答えた。
「うん……、しばらくの間、リーフィアちゃんの面倒を見てくれないかな?」
えっ?お姉ちゃんの面倒を僕が見る?僕は少しあわてた。なんで僕が?タブンネさんはそんな僕の様子を見て更に付け足した。
「都会の方から『周りの環境が良いから』って結構な数の患者さんが送られてきて人手不足なの……。医師は一人も送ってこなくって…。
 それにリーフィアちゃんは私たちが『治療』してるんじゃなくて『介護』しているの、だからリーフィアちゃんに人手を割く訳には行かないの……だからお願い………」
と本当に困ったような顔をしていった。この病院がだいぶ窮地に立たされているのがタブンネさんの顔からうかがえた。でも、お姉ちゃんの面倒をみるって?僕は介護の勉強なんかしたことないし……。
僕が浮かない顔をしながらうなずいているのを見て「引き受けてくれる?」と僕の顔を覗き込んだ。
「もちろん引き受けたいですけど………」
僕の言葉を聞いてさっきよりは表情の明るくなったタブンネさんが「やった!」と言って軽くジャンプした。でも、介護の仕方が分からない。自信もない。それだけは伝えなくちゃ……。と思っていたらタブンネさんが先に口を開いた。
「よし♪それじゃあさっそく何をするかを教えるよ」
……また先を越された。タブンネさんには先を越されっぱなしだな……。なんて思って僕は苦笑いを浮かべながら「はい」と明るく答えた。







「…………以上で説明終わり♪何か質問は?」
「……ないです」

……すごい分かりやすい説明だった。要するに普通にお見舞いのような気持ちで来て何かお姉ちゃんが困っていたら助けてあげる。後お昼ご飯を食べさせてほしいとのことだった。僕が来る時間としてはお昼前に来て夕方までには帰ってくれてかまわないみたい。
つまり、『介護』っていうほどの事は僕に任されていない。…そりゃあそうか。あまり僕に大変なことを任せられる訳もないか。ナットク。

ただ急だった。今日から任せたいとのことだった。それにお姉ちゃんの世話をする以上お見舞いに毎日来ることになる。ヘルガーと世間話する時間が大幅に減ることにもなる。でも、断る気も無かったし引き受けることにした。

「それじゃあ、任せたよ~。困ったことがあったらナースコールを押してね♪
 と言っても忙しくて行けないかもしれないけどね…」

そういってさっさと向こうへ行ってしまった。やっぱり忙しそうだ。ここは少しでも僕がこの病院の役に立たなくちゃだな…。そう思い張り切って病室のドアを開けた。
「五月蝿い」
しまった……、張り切りすぎた。お姉ちゃんは怪訝そうな顔をして不機嫌そうな声を出した。相変わらず表情のない顔で僕に声をかけた。
「それで……何かあったのか?」
「うん!今度から僕が日中はお世話することになったから! よろしく!」
「なっ……!」
「だから、困ったことがあったら何でも言ってね♪」
一瞬お姉ちゃんが訳が分からないって顔をした後落ち着いて口を開いた。
「そうか…、今私の病室に騒がしい奴がいるから出ていってほしいのだが?」
「むう……、僕は出ていきたくても出ていくわけにはいかないの!」
「じゃあ私の部屋で騒ぐな」
「うっ……分かったよ……」
僕はしょぼくれて午前中を過ごした。お姉ちゃんとは何ひとつ言葉を交わしていない。半身起こしてじっと宙を眺めているお姉ちゃんの近くを僕はうろうろしているだけで午前中を終えてしまった。


…3…2…1……カチッ…
時計の長針が50で止まった。

よし!11:50ジャスト!やっと僕に仕事が来たよ!僕はさっと立ってお姉ちゃんに元気よく声をかけた。
「それじゃあ、お昼ご飯持ってくるからね!」
「………あぁ…」
そう言って前足をひらひらと振っていた。今度はドアを張り切りすぎて開けないように気をつけながら開けてお昼ご飯を貰いにスキップして廊下を通って行った。



「お姉ちゃ~ん、お昼ご飯持って来たよ~」
そう声をかけてベッドに備え付けられている台のようなところにお昼ご飯を置いた。改めて姉ちゃんのお昼ご飯を見ると……特に人間が食べているものと変わり映えしてない。どこかレストランのキッズメニューとして出してもよさそう。違うところと言えば食事の量かな?やけに少ない。特に太りそうな脂っこいものはあまり入ってない。あぁ……、毎日こんなご飯じゃあ僕は生きていけそうもないかもしれない。大好物のお肉も少ないし……。
そんなことをご飯を眺めて考えているとお姉ちゃんが眉間にしわを寄せていらついた口調で僕に声をかけた。
「なぁ、私の目の前に食事を置いといて一向に食べさせようとしないのは何の嫌がらせだ?」
「えっ……、あぁ…ごめん」
「まったく……」
「それじゃあ……、ほら……あ、あーん…」
スプーンに少しだけ食べ物を乗っけてちょっとためらいながらそう言った。お姉ちゃんは目をつぶって小さな口を開いた。その口の中にスプーンを入れる。小さい子のお守をしているような感覚がしたような気がする。「よくたべまちたね~」って言うセリフが似合いそうな光景。そんなこと言ったらなんて罵られるかわかったものじゃあないから言わないけど。
よし、次に肉あたりを食べさせた方が良いかな…。嫌いなものを早めに食べたほうが精神的に後々楽だって聞いた事があるし。そう思いお姉ちゃんの口の大きさに合わせて渡された小さめのスプーンにありったけの肉を乗せてさっきと変わらないような口調で声を………
「そう言えばブースター。その……お昼ご飯に…肉があるか?」
声をかけようと思っていたらお姉ちゃんから痛い質問をされた。このタイミングでその質問はやめておいてよ……。とりあえず正直に答える。タブンネさんみたいな高等技術を経験の浅い僕が出来るわけがない。
「あるけど………」
「やっぱり……。なぁブースター?その……私の代わりに食べないか?」
「えぇっ!?」
それはさすがにまずいだろうと思った。お昼ご飯を取りに行った時タブンネさんには「嫌いなものでも無慈悲に口の中に入れてね♪」と笑顔で言われた。
「流石にそれはだめだよ。しっかり食べなきゃ……」
「ヤダ!……頼む…イヤ……。お願い!私の代わりに食べてよぉ!」
うっ……。こういう時ばかり涙目になるなんてズルイ!なんて思っていた僕にいつぞやのやり取りが思い出される。あの時のお姉ちゃん、だいぶまいっていた感じもするし……。あんなこと僕にできるのか…?お姉ちゃんを悲しませていいのかな?
二つの意志が僕の中で激突する。……そして僕はとうとうお姉ちゃんの方をとったようだ。
「うん、じゃあお肉は僕が食べるから、それでいい?」
「やった♪」
あっ、お姉ちゃんが笑った。満面の笑みで、屈託のない笑顔で、少女のように。お姉ちゃんのこんな顔を見たかった。
それから僕はお姉ちゃんに食べさせるはずだったお肉をひょいと口の中に入れた。残りの野菜やら穀物をお姉ちゃんは嬉しそうに食べていた。







それから一週間、特に変わった事もなくお姉ちゃんと一緒にいた。……でも、とうとう事件が起きた。当たり前に起こるはずの事だから事件って呼ぶのはいかがなものだと思うけど……それでも僕にとっては大事件だった。それはお姉ちゃんにとっても同じ事だったのかもしれない。





僕は今日もお姉ちゃんのお昼ご飯のお肉を分けてもらって家から持ってきた木の実をほおばりうとうとしていた食後の小休止中、お姉ちゃんは相変わらず半身起こして宙を眺めていたけれど急にもじもじし始めた。
「お姉ちゃん…?どうしたの?」
「い、いや……。どうもしてない……。気にするな」

?明らかに普段と違う様子に戸惑いを覚えながらもこれ以上追及しても仕方がないと悟り僕は暇つぶしに持ってきた本に再び目を落とした。
しばらく本の世界に入り込んでいたけど……シーツのこすれる音がどうにも気になる……。いつもならその場にいないかのような静寂を保っていたお姉ちゃんが妙にそわそわしている…。お姉ちゃんの方へ視線を向けると後ろ脚をシーツの中で動かしているからシーツの音がしてるみたいだけど……お姉ちゃんは貧乏ゆすりとかもしないのに……。
「ねえ……ホントに大丈夫…?」
「う、…うん…。………大丈夫…」

大丈夫そうには見えないけど……。しばらくお姉ちゃんを眺めていると不意にお姉ちゃんが後ろの壁についているナースコールを押した。
「お姉ちゃん?どうかしたの?」
「いや………、大丈夫…」

そしてしばらくしてタブンネさんが……来なかった。かれこれナースコールを押してから20分経つ。お姉ちゃんは焦りながらぶつぶつと独り言を言った。
「もお……!…なんで来ないの……!?」
「あぁ……忙しいから呼び出しても来れないかもって言ってたよ」
「えっ………」
僕の答えにお姉ちゃんの表情が凍りついた。でも僕がいるんだから僕を頼ってほしいんだけどな……。
「だからお姉ちゃん。…どうかしたの?」
「う、うぅ……、その……あの…」
何か言おうとしてるみたいだけどはにかんでいて何を言おうとしているのか分からない…。それじゃあ僕だって困ってしまう。「大丈夫だから……。ほら…」と何が大丈夫なのか見当もつかないけどそう言った。
「うう……その…おしっこしたい……」


えっ……。予想をしていなかった言葉が僕の耳に飛び込んできた。でも……介護をするにあたっては当然の事かな…?そりゃあ生き物なんだから仕方がないことだけど…。

…でも!目の前にいるのは僕と歳の変わらない異性…。双子だけど。それのおしっこに付き合うだなんて……あれ?でも病室を連れ出すのは許してもらえてないからトイレに連れていけないし仮にトイレに連れて行ってもお姉ちゃん一人じゃあ無理がある……。
「う、うん……。いつもはどうしてるの…?」
「タブンネさんがなんかの容器にさせてそれを夜取りに来てる」
つまり今までは僕が来る前か来た後だけしてたってわけかな……。なんかおかしいな?僕が来てから一週間ずっと僕が来ていた時間に尿意を催さないだなんて……。
まあ、そんなことを考えていても仕方がない。とりあえずお姉ちゃんの言っていた容器を探さないと……。病室の中を見回してみると……目立つ所に置いてあった。プラスチック製で桶みたいな形をしている。その桶の周りに大きいラベルで「小便入れ」と貼ってあるから間違いないだろう。その桶のすぐ横に白いタオルも一緒に置いてあった。
僕はその二つを手にとってお姉ちゃんの寝ているベッドに歩み寄った。





さて……こういうハプニングは手際よくちゃちゃっと終わらせるのが得策だね。僕はお姉ちゃんのかけていた薄いシーツをばっと勢いよくめくるとお姉ちゃんは前足を後ろ足の付け根に挟み込みながらもじもじしていた。そんな格好見せないでよ……。ドキドキしてきちゃうし……。

「とりあえずお姉ちゃん、後ろ足開いてくれないかな?」
お姉ちゃんは僕の言葉に顔を赤くしながらもゆっくりと頷いて後ろ足を恐る恐る開いた。そこにはきれいなピンク色の割れ目が………いかんいかん。邪な心は捨ててこの仕事に臨まねば…。

「は、はやくしてよぉ……」
かなりの時間我慢していたのもあってもう限界が近いのかもしれない。そう思いあわてて次の作業に移る。お姉ちゃんの後ろ足の間に桶をおいてどのようにあれが飛んできても受け止められるように自分で持って調整した。……よし、これでスタンバイ完了!
「お姉ちゃん、いいよ」
「んっ…………」

やっぱり我慢していただけあって僕が言い終わる前にものすごい勢いで出た。あぁ……桶の底に勢いをつけて当てるからそれが跳ね返って僕の前足がしっとりしてる……。なるべくお姉ちゃんのあれは見まいと視線を宙に泳がせていたが、やがて水音がしなくなった。僕はお姉ちゃんの方へと視線を戻すとお姉ちゃんはぶるっとからだをふるわせて口を開いた。
「もう終わった……」
「うん、分かった」
そう言って桶の中身をこぼさないように元あった場所へとかたずける。さて……最後の仕上げがまだ残ってるな……。そう自分に言い聞かせ深く深呼吸をした後白いタオルを片手にお姉ちゃんに声をかけた。
「それじゃあ……拭くから…じっとしててね…?」
「う……うん…。やさしく……してよ…?」
「わかったよ」
僕は再び白いタオルをかまえると足を大きく開いていながらもぴったりと閉じているお姉ちゃんの割れ目に白いタオルを這わせた。ぴくっとお姉ちゃんが白いタオルを動かすたびに反応している。これは早く終わらせないと僕の精神力が持たないかもしれない。自分の姉相手に発情するだなんて何とも情けない話だけど……。
……でも、つい最近までお互い姉弟であることを知らなかったからか、今こんな状況でも今目の前にいるのがお姉ちゃんだと思えていない。自己暗示の為に今までお姉ちゃんお姉ちゃんと呼んでいたけれどやはりまだ本当の姉だと僕の心が受け入れるまでには時間がかかりそうだな…。

「ちょっと……、もういいよぉ……」
僕はお姉ちゃんの声で現実へと戻された。考え事をしながら手を動かしていたのもあってずっとタオルで拭き続けていたみたい…。本人もやめるように言っているみたいだしタオルをそっと割れ目から離す。ふと、割れ目を見てみると少し湿っている…。艶やかなその割れ目を見ていると………
………いかんいかん。見入ってしまった。これ以上見ていたら気が変になりそうだし、とりあえずタオルをかたづけよう。お姉ちゃんのベッドから飛び降りてタオルを元の場所にたたんで置きお姉ちゃんのもとへ再び駆け寄った。そしてシーツを元の様にかけなおして……はい、終わり。
これでだいぶスッキリしたはず……。お姉ちゃんを見てみると顔を真っ赤にしながらぽつりと何かつぶやいた。

「…………バカ……」
「?」
「ばかばかばかばかばかばかばかばかばかぁぁあ!!」
「ぅえ!?」
「ブースターのえっち!!」
「えっ……そんな…」

いきなり理不尽(?)なばか&えっち発言に驚いて必死に弁解しようとしたけど……それから口をきいてもらえずに夕方まで過ごした。
帰る時、いつも通りお姉ちゃんに「ばいばい」って声をかけた。どうせ返してはくれないだろうと思って病室のドアを開けようと思ったら後ろの方から消えるような声で何か聞こえた。
「………じゃあね……」
「………うん、また明日」
お姉ちゃんの返事に驚きながらも僕はお姉ちゃんに別れを告げて病室を出た。









次の日。僕はいつも通りの時間に洞穴を出ていつも通りの時間に病院に着いた。いつも通りお昼ご飯のときお姉ちゃんに野菜を食べさせて僕が残った肉を口の中に放り込んだ瞬間、いつも通りではない事が起きた。


ガラッと病室のドアが開きタブンネさんが病室の中に入ってきた。そして、タブンネさんはニコニコしながら病室の中を見渡して最後に僕と目を合わせて不思議そうな顔をして僕に声をかけた。
「ブースター君、何食べてるの?」
相変わらずニコニコした顔を崩すことなく僕にそう声をかけてきた。……できる事なら嘘をつきたかった。タブンネさんに見られてから忘れかけていたタブンネさんとの約束を思い出すなんて……。
嘘を言いたいと自己防衛本能が僕の頭にはたらきかけてはきたものの僕は正直に答えた。僕の口の中に何が入っているのかを。

僕の消えそうな声を聞いてタブンネさんの顔から笑顔が消えた。それからだんだん目つきが鋭くなっていくのを感じ、僕はうつむいてその視線攻撃から耐えるしかなかった。頭に痛い視線を感じながらタブンネさんの声が聞こえてきた。

「どうして?  ちゃんと食べさせるって約束だったでしょう?」
「………はい…」
いつもの口調からは考えることが出来ない今の口調に僕は恐怖に近いものを感じて消えそうな声で答える。怒っているのは確かなのにまるで感情がないかのように話す姿によけいにおびえ僕の目にはすでに涙がたまっていた。

それからずっとお小言を聞かされた。お小言っていうのは失礼だけど……。でも、僕が一方的に悪い。タブンネさんが怒っているのもタブンネさんが今までみてきたお姉ちゃんが心配だからだし……。

タブンネさんが怒りだしてから30分ぐらいだろうか。僕はすでに泣き出していた。僕の嗚咽を聞きながらもタブンネさんは僕に介護を任された者としての指導を続ける。



「ま……まって!」

不意に横からそう声が聞こえた。顔を上げてみるとお姉ちゃんが怯えているからか、目に涙を浮かべ震えながら言葉を続けた。
「わ……私が食べるようにブースターに言ったの……。断れないのは……大体分かっていたから……。
 だ…だから、悪いのは私なの。……お願い、もうブースターは許してあげて……」
「…………」

タブンネさんはしばらく黙っているとそっと口を開いた。
「ブースター君?」
「………はい…」
「今度からはちゃんとお肉も食べさせること。いい?」
「……はい」
「よし♪」

そう言うとタブンネさんはお姉ちゃんの病室からさっさと出て行ってしまった。ほっ、とお姉ちゃんはため息をついて僕に静かに声をかけた。

「ごめん……」
「え?」
思わず聞き返してしまった。なんでお姉ちゃんが謝っているのだろう? むしろ謝らなければいけないのは僕の方なのに……。
「私のせいで……お前が……」
「いや、非は僕にあるんだから……。
 でも……ありがと……。おかげで助かった……のかな」
「…………」

僕が素直にお礼を言うと顔を赤くしてシーツの中にかくれてしまった。相変わらずのしぐさにどきんとする。最近ずっとこんな調子だ…。お姉ちゃんはお姉ちゃんなんだから……気を確かに持ってよ……。僕…。

それから日が沈み始めて外から窓を通して紅の光が射し込んできた。……もうそろそろ帰る時間だな。そう思って読みかけていた本にしおりをはさみお姉ちゃんに「ばいばい」と言った。お昼のあの一件からずっとシーツの中に隠れていて僕の言葉に反応しなかったからそっとベッドに近寄ってシーツをめくるとくるりと丸まって静かに寝息を立てているお姉ちゃんがいた。起こしちゃ悪いな。もう行こう。
そう思ってそっとシーツをかけなおして病室を出た。





病院の真っ白な廊下を歩いている時、僕は体に違和感を感じた。妙に顔が火照っているし息がいつもよりほんの少しだけ荒い。おまけに心臓の音が今までよりも大きく感じる。どうしてしまったのだろう……。風邪でも引いたのかな?
僕はそんなことを考えながら診療時間ぎりぎりだったけど一応お医者さんに診てもらうことにした。ささっと受付を済ませて診療室に入った。






「はい、異状なしっ♪」
そう明るくハピナスさんに声をかけられて僕は診察室から出た。熱ぐらいはあるだろうと思ったけど5回計って5回とも平熱なら問題ないだろうし風邪のような症状も出ていないと言う事だった。他にも結構くまなく診察されたけど病状らしい病状が出ていないから帰されてしまった。

結局家までたどり着いたわけだけど……。何なんだかねぇ…。すっきりしないっていう感じ……。
「よぉ、ブースター!おひさ!」
「あっ……ヘルガー……」
そう目の前にいる大親友の名前を口にした。最近、会わない日が続いていて確かにお久しぶりだね…。
「どうしたんだ?何か悩み事でもあんのか?」
「えっ……」
確かに悩み事はあるけど……。どうしてわかったんだろう?たま~にヘルガーは勘が鋭いんだよなぁ……。
「なんか浮かない顔してたからさ~。それより、うちにこいよ」
「……うん」
どうやら僕は思っていることがすぐ顔に出るらしい。こんなことで見抜かれるなんてね。まあ、隠す気も無かったしヘルガーに相談してみるのもありかもね。


相変わらずヘルガーの洞穴は広い。子どもの時からこの洞穴に住んでいたらしくそのころから洞穴を少しずつ広げていってこの広さにまでなったそうだ。僕は洞穴にいること自体少ないから広げる必要はなさそうだけど。
「それで?なにか悩みごとでもあんのか?」
「………うん…」
単刀直入に聞いてきたヘルガーに対して僕は頷いて僕の今の状態を話した。

「ふ~む………」
そうヘルガーがうなった後にニヤニヤしながらとんでもないことを口走った。
「恋してますね~。ブースター君」
「えぇっ!?」
とりあえず素っ頓狂な声を上げる僕を置いてきぼりにして言葉を続ける。
「だから恋だって。で、相手は誰よ?」
「そ、そんなこと聞かれても……」
「そうか……。恋してるって気が付いていないから俺にきいたのか……」
そう言うとヘルガーが一人で考え始めた。僕が恋をしているだって?この症状は恋をしていると現れるものなの……?もう何でもいいから帰りたい。体毛に隠れていて見えなかったとしても今の僕の顔は顔が真っ赤になっているに違いない。今までこんな話、した事無かったし……。

「そうだ、お前が一番接している雌ってだれよ?」
「………お姉ちゃん……?」
「ふぅむ、それは置いといて……。他に話す雌は?」
「いない」
「じゃあ、アネキで決定だな」
「へぇ………。ってそれはそれでヤバくない?」
「そうか?俺は別にいいと思うけど?」
さらりととんでもないこと口走らないでよ……。いいわけないじゃん。
ヘルガーの発言に呆れを抱きつつもさらに続けたヘルガーの言葉に耳を傾けた。
「だってさ、好きになっちまったらしょうがないじゃん。これから自分の気持ちを押し殺し続けるのか?
 それなら、好きになったやつをしっかり愛し続ける方がかっこいいと俺は思うけど?」
「…………」


それから世間話をいつものようにヘルガーとして帰った。でも、世間話の内容なんて覚えていなかった。僕の頭の中はお姉ちゃんの事でいっぱいだった。お姉ちゃんの事を考えていると自然に顔が熱くなってくる。もしかしたら……本当に恋をしちゃったのかもしれない……。そう思って床の上で寝ようとするもヘルガーの言葉とお姉ちゃんの顔が頭の中で交差しているこの状況で寝るなどと言う事は出来ずにただぼんやりと宙を眺めていた……。






……結局寝ることが出来ずに空が白んでいくのを確認して僕はため息をつきながら朝ごはんを取りに行く。まだ病院に行くには早すぎる時間だし今のうちに底をつきそうな食料を確保しておこうと考えた。ホントは何もやることがないからだけど…。

木の実のなる木によじ登って木の上で適当に木の実を集めてふろしきと呼ばれる人間の使う布の上にのせる。そして後は木の実を傷つけないようにふろしきを結んでそれを頭の上にのせる。後は木から静かに下りるだけ。ヘルガーあたりは大きいポケモンだから木に登る必要はないみたいだけど…、僕は小さいためいちいち木に登らなきゃいけないから苦労が多い。

さて……だいぶ空も明るくなってきたことだし洞穴に木の実を置いてそろそろ病院に向かおうかな…。







……こまったなぁ…。

今、僕は1197号室の前で立ち往生している。ドアの取っ手に前足をかけようとすると昨日のヘルガーの声が頭に響いてきて急にドアを開けるのが恥ずかしくなってしまう。でも、ドアを開けないことには僕の一日は始まらないわけだし……。


「あっ、ブースター君おはよう。あれから体の調子はどう?」
後ろから急に声をかけられてびっくりした。後ろを振り向いてみるとそこには昨日僕を診察してくれたハピナスさんがニコニコしながらそこに立っていた。
「からだの方はもう平気です」
そう言って余計な心配をかけないようにした。実際、昨日と今の状況は変わっていない。でも、一つだけ違うのはなんでこんな状況になったのか憶測だけど大体分かっていること。………でも、ホントにこれが恋なのかな?
「そう、ならよかった♪  それじゃ、今日もよろしくね♪」
そう明るく言うと向こうへ行ってしまった。やっぱりまだこの病院は忙しそうだ……。もうしばらく僕がお姉ちゃんの介護をする事になりそうだな…。

とにかく、やると決めた事は最後までやるっ。今日も張り切って……とまでいけるか自信は無いけど、最低限の仕事はきっちりこなそう。そのために勇気を出してドアを…開けよう。

ガラッと音を立てて病室のドアを開ける。病室の中はいつもと変わっていない。当たり前だけど。…でも、僕の心境はいつも通りでは無かった。何でこんなにもドキドキしてしまうのだろう?

「おはよ……」
お姉ちゃんは最近、眠そうな声で僕に挨拶をしてくれるようになった。でも、口を開こうにも言葉が出ない。「おはよう」たったそれだけを言うのにも今の僕は異常に緊張してしまっていた。
「おはよう」
消えそうな声でそう返す。それからさっさといつも座っている窓辺に置かれているいすの上に座って昨日読みかけていた本のしおりを抜き取って続きを黙々と読み始めた。いつもなら午前中はお姉ちゃんと何かお話している時間なのに今の僕にはそれが出来なかった。ふとお姉ちゃんの方を見てみると半身起こしていつもと違う雰囲気の僕に戸惑っているのか不思議そうな顔をしていた。そんなお姉ちゃんを確認しつつも僕は再び本に目を落とした。

静寂の中に僕が本のページをめくる紙のこすれる音だけが聞こえていた。その気味の悪いぐらい静かな病室の雰囲気を崩したのはお姉ちゃんの声だった。
「なぁ……。ブースター?そこにいるのか……?」
震えている声。泣いていた時の声とは違って何かに怯えているような声に僕は本を閉じてお姉ちゃんの方を向いた。
「いるならいると言ってくれ……。お前はちゃんと私のそばにいるのか……?」
そう呟くとお姉ちゃんの頬に一滴の涙がながれ、一筋の直線を描いてシーツの上へ吸い込まれていった。
「…………」
僕は何も言えなかった。僕はここにいる。それを伝えたかった。
気がついたら僕は本を椅子の上に置いてお姉ちゃんのもとへに駆け寄りベッドの上に飛び乗ってお姉ちゃんの唇を……
「んっ……!」
……自分の唇と重ね合わせた…。
……? 僕は何をやってるの?すぐに慌ててお姉ちゃんの唇から自分の唇を離す。お姉ちゃんは驚いた表情を見せていたけどじきに表情を和らげて静かに微笑むと小さな声で僕に声をかけた。
「……ありがと…」




その一言で充分だった。

僕の中で何かが音を立てて崩れた。それが理性という壁か、常識という砦か、そんなことはどうでもよかった。僕は乱暴にお姉ちゃんを押し倒していた。まるで体が僕自身のものじゃないかのように勝手に動きお姉ちゃんの体の自由を奪う。
そして再びお姉ちゃんの唇に自分の唇を重ねる。しかし、今度はそれだけでは終わらせずお姉ちゃんの口内に自分の舌を侵入させた。悲しい事に雄はこういうところで快感を得るのか満足感が今の僕を支配していた。

しかし、僕の快感はそう長くは続かなかった。


ふと、お姉ちゃんの顔を見たときに僕の本能が急に動きを止めた。

お姉ちゃんは………




泣いていた。


とても悲しく、辛そうな顔をしていた。

僕は静かに唇を離した…。

「ごめんっ……」

そう短く言うとベッドから飛び降りて逃げるようにして病室から出た。
もうお姉ちゃんと顔を合わせることが出来ない。あんなことをしてしまったのだから……。


僕は自分の行動を悔やんだ。
そして、泣きながら走った。泣きながら走って僕は自分の洞穴まで来ると入り口を岩で閉じて洞穴の中で泣き続けた………。







あれから一週間がたった…。僕はずっと洞穴の中で泣き続けていた。朝起きて、泣きながらご飯を食べて、泣きながらお姉ちゃんの事考えて、泣きながら毛づくろいをして……そして泣き疲れて寝ちゃう。そんな生活の繰り返しだった。外からヘルガーの心配そうな声が毎日聞こえてきた。でも、それに僕は一回も返事をしないで泣き続けていた…。
だけど、一週間泣き続けた朝。僕の涙はようやく止まってくれた。いつもなら朝起きるとともに僕の心を罪悪感やら寂寥感がいっぺんに染め上げてしまって涙があふれ出ていた。でも、今日の朝は少し違った。何故か自分でもよくわからないけど涙が止まった。もしかしたら、一生のうちに流す涙を流しきっちゃったのかな? なんて考えながら洞穴の入口に置いた岩をどけた。
久しぶりに外の新鮮な空気を思い切り吸った。そして湖のほとりで体を洗って再び洞穴の中に戻ろうとした時、僕は聞きなれた声を聞いた。
「よお!おはよ」
その声を聞いて一瞬びくっと体が反応した。声のした方を向いてみるとそこに一匹のヘルガーが今までと変わらない調子で「おはよ」と言った。僕は消えそうな声で「おはよ」と言った。そう言えばずっと声も出していなかったんだっけ?そんなことを考えながらいつもと変わらない態度でいてくれた友人に感謝してしばらくヘルガーと洞穴の中で話し込んだ。


だいぶ日が昇ってふいにヘルガーが僕の方を向いて言った。
「さあ、そろそろ行かないとまずいんじゃないの?」
いつも世間話に夢中になってしまう僕にかけている耳慣れたフレーズ。でもその言葉は晴れ晴れとし始めたた僕の心を一気にどんよりとさせた。そうだ……行かなきゃいけないんだ。そう自分にい聞かせてヘルガーに悟られない様になるべくいつもの調子で「うんっ」って答えて僕は重い足を引きずりながらお姉ちゃんのいる病院に行った。



病院についてから僕は泥棒みたいに誰にも気がつかれない様に1197号室を目指した。急に自分の勝手でお姉ちゃんの介護をすっぽかしていたことを思えばタブンネさんにだけは絶対見つかりたくはなかった。途中何度も遠まわりをして何度もトイレの中に逃げ込んでやり過ごしながら何とか1197号室の前にたどりついたときにドアの向こうから聞こえてきた物音。

……違う。物音じゃない。これは……泣き声?僕はそっと病室のドアを開けた。いつもお姉ちゃんが半身起こして僕と無表情ながらも話をいてくれていたベッドの上には………

大声で泣きじゃくっているお姉ちゃんの姿があった。
大粒の涙がすでにシーツに大きなしみを作っていた。僕が病院に初めて来たときとは比べ物にならないぐらい大きな声で泣き叫んでいた。


僕は急いで病室に入ろうとした。でも、それはできなかった。急に尻尾を何者かにつかまれて僕の体は前へ動いてくれなかった。なんだよ。こんなときに……。そう思って僕が後ろを向いた時……今日一番会いたくなかった人物に出会ってしまった……。


僕はびっくりして叫んでしまいそうになった。しかし目の前にいるタブンネさんに口を押さえられて耳元で小さく「病院の中で騒いじゃだ~めっ」と諭されて正直怖かった。
タブンネさんはそっと僕の口から手を離すと静かに病室のドアを閉めた。そして僕の方を向いて静かに口を開いた。
「ブースター君が来てくれなくなった日からずっとあの調子でね……。私が病室に入ってきても何をしてもずっと泣き続けているの……」
「…………」
「ブースター君なら……なんとかできる…?」
そう訊かれ僕は思わず首を縦に振っていた。本当になんとかできるかどうか。そんな確信はどこにもなかった。ただ、僕の心の中で「なんとかしたい」と叫んでいた。タブンネさんは僕が頷いたのを確認すると静かに病室のドアを開けて僕に笑顔を見せてさっと廊下の向こうへ行ってしまった。



そして僕は病室の中へ足を踏み入れた。タブンネさんの前であんなに元気よく首を縦に振っておきながらすでに僕は不安で押しつぶされそうになっていた。お姉ちゃんが何で泣いているのか。心当たりがあまりにも鮮明に分かり切っていてなんて声をかければいいのか分からなかった。
それでも僕はお姉ちゃんの寝ているベッドに歩み寄った。僕は自分の毛のこすれる音を感じながらお姉ちゃんのベッドの前で立ち止まった。
「ブー……ス…ター………か?」
嗚咽が混じりながらも僕の名前を呼んだ。僕は驚いた。まさかこの状況で自分の毛の音を聞きとれるなんて。そう思っていお姉ちゃんを見ているとお姉ちゃんが再び口を開いた。
「ブー……スター…、私……わたし………」
僕は必死に聞き取ろうとした。しかし、次の瞬間お姉ちゃんは大声で叫んだ。
「さびしかったよぉ!!」

そしてお姉ちゃんは泣き崩れた。






僕の目の前でお姉ちゃんはまだ泣きじゃくっていた。僕はというと……あっけにとられていた。あんなことをしてしまって、どんなふうに罵られるだろうと覚悟しながら聞いた言葉が「さびしかった」……。お姉ちゃんが僕が来なくなった日から泣き始めた事を考えると…僕がいなくてさびしかったってこと?

「……ごめん…」
これしか僕の言うべき言葉が見つからなかった。他に何を言えばいいのだろうか。そんなことを落ち着いて考えられるような状況でもなかったのは確かだった。僕はお姉ちゃんに抱きついた。もう泣いてほしくはなかったんだけど……。一週間前もこうして失敗したのを思い出してあわてて離れようとしたけど……離れることはできなかった。
僕が離れようとする前にお姉ちゃんが手探りで僕の首に腕をまわしていた。えっ……、つまりこれって…お姉ちゃんに抱き付かれてるってこと…?
そう改めて思うと顔が熱くなってきた。離しかけていた手で再びお姉ちゃんの体に触れた。ベッドの上で僕の体がお姉ちゃんに密着して全身でお姉ちゃんを感じていられた。それはお姉ちゃんも同じだったのか安心した声が聞こえた。

「あったかいな……。お前はちゃんとここにいてくれているんだな……」
「………うん」
そう答えるとお姉ちゃんは抱きつく力をもっと強くした。離れたくない。僕もその思いは同じだった。お姉ちゃんに応えるかのように僕は抱き締める力を強くした。しばらく無言のまま抱き合った。聞こえたのはお姉ちゃんの嗚咽と僕らの息遣いだけ。そんな中お姉ちゃんは静かに口を開いた。

「どうして急にいなくなったんだ……。どうして私を一人にしたんだ…」
「………ごめん…」
「もうどこにも……いかないでくれ……」
そう耳元でささやかれた。嬉しかった。お姉ちゃんに必要とされていることが、お姉ちゃんに嫌われなかったという安心感が、僕の喜びになってこみ上げてきた。
それから時がたつのを忘れてずっと抱きあっていた。お姉ちゃんもすっかり泣きやんでいるのを確認してそっと、僕から手を離した。お姉ちゃんも慌てて手を離した。その時の慌てようがかわいくって僕は微笑んだ。お姉ちゃんと一緒にしばらくベッドの上に乗っているとふいにお姉ちゃんが顔を赤くしながら僕に訊いてきた。

「なぁ、お前にとって……私はどういう存在なんだ?」
えっ……。お姉ちゃんからの質問に僕は驚いてしまった。なによりも、なんて答えてあげたらいいのか分からない。
お姉ちゃんって答えるのが一番正確だと思うけど…そんなもので僕らの関係の全てを語れなかった。
僕の大好きな仔……って、そんなこと度胸なしの僕に言えるわけないじゃん。僕のばかばか!
しばらく考えて僕はお姉ちゃんにこう答えた。
「僕にとって一番大切な存在だよ」
別に下心ありで答えたわけじゃないんだけど……お姉ちゃんはボンッて言う効果音が似合いそうな勢いで顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。慌てて言い直そうかと口を開きかけたところでお姉ちゃんに先を越されてしまった。
私も……
小さな声だったから僕はお姉ちゃんの言葉に耳を傾けた。しばらく間をおいてからお姉ちゃんは一呼吸置いて静かで小さく、でもはっきりとした声で言葉を続けた。

「……お前の事が好きだよ…」


そう言われて僕は思わずベッドから転げ落ちた。ガツンッという嫌な音とともに僕の視界が反転する。ずきずきする頭を押さえながら再びベッドの上に乗る。
「おい、大丈夫か?何があった?」
そう心配そうな声で訊かれて「ベッドの上から落ちただけ」と答えた。お姉ちゃんは笑って僕に言い返した。
「動揺しすぎだ」
未だに夢心地のようだった僕にちょうどいいくらいの刺激だったと思うけど。そんなことを考えながら痛む頭を前足でさすった。そしてお姉ちゃんに訊き返した。
「ねぇ、僕の事が……好きなの?」
そう訊くと再び顔を赤らめながら答えた。
「な、何度も訊くなっ!……恥ずかしい。」
「それって……。恋人としてっていう風にとらえていいの?」
そう訊くと静かにこくんっと頷いた。

僕は嬉しかった。この喜びをどう表現していいのか分からないぐらいに。頭の中にいろんな感情が交差する。ある種混乱しているのに近い状況に陥っていたのかもしれない。ヘルガーに後押しされながらも決して実らない恋だと思っていた。でも、ここに実った。お姉ちゃんも僕の事を好きでいてくれた。
そんなことを考えながらぽけーっと宙を眺めているとお姉ちゃんが僕に声をかけた。
「なぁ……、私からはお前にする事が出来ないんだ……」
現実に戻された僕に聞こえてきたお姉ちゃんの言葉。でも、何を意味しているのかつかめずに首を傾げているとお姉ちゃんが言葉を続けた。

「キス……してほしい………」






その言葉を聞いて僕は迷った。キス……僕もしたかった。僕ももっとお姉ちゃんと愛し合いたかった。でも、キスをしようとお姉ちゃんに唇を近付けると蘇ってくる1週間前のあの出来事。泣いていたお姉ちゃんの顔を思い出してキスをするのが怖くなってきた。また僕が僕じゃなくなっちゃうのかもしれない。そんなことを考えながらそっと、震えた声でお姉ちゃんに訊いた。
「ねぇ……僕なんかでいいの?」
お姉ちゃんは静かにうなずいてから答えた。
「あぁ、前は少し怖かったが……今は大丈夫だ。さぁ……頼む…」

その言葉を聞いて考えるよりも先にお姉ちゃんの唇に僕の唇を重ねていた。前の時とは違ってそっと、やさしくお姉ちゃんとキスをした。それからずっとそうしていた。長いキスを終えようと僕から唇を離そうとした時、お姉ちゃんの舌が僕の口内にやさしく入ってきた。僕からもお姉ちゃんの舌に僕の舌を絡ませた。僕の口内で二つの舌が絡み合ってはお互いの唾液を混ぜ合わせた。
ぷはぁ、とためていた息を吐き出してお姉ちゃんが僕の唇から離れる。二人の間に唾液の橋がかかり、シーツの上へと吸い込まれていった。まさかお姉ちゃんから舌を入れてくるとは思わなかった…。随分大胆な所もあるのかな?なんて思っているとお姉ちゃんがさらに僕に大胆な事を小さな声で言ってきた。


「………ブースター。その……あの………お前を触らせてくれないか……?…べ、別に、ただ感じていたいだけだ……」
「うん……いいよ…」
そう答えるとお姉ちゃんは手探りでベッドの上の僕を探し始めた。前足を宙にばたつかせて僕を必死に見つけようとしていた。そんなお姉ちゃんの前足をそっと握って僕の首周りの毛に触れさせた。お姉ちゃんはその感触を確かめながら僕の体にもたれてきた。正確に言うと体を預けてきたの方が正しいと思うけど……。ここまで近くにお姉ちゃんを感じると若干……というかかなり緊張する。緊張っていうのもなんか変だな。どっちかっていうとドキドキしてる。そんな感じ。
変に僕が強張っているのをお姉ちゃんは知るはずもなく僕のおなかの毛に頬をこすりつけて安堵のため息を漏らしていた。それから手探りのためかそれとも故意にかはよくわからなかったけど僕の体をぺたぺた触ってきては始終笑顔を見せていた。




しばらくは別に平気だった。触られていても何ら問題もなかったんだけど……大好きな異性にこんなに体が密着してて反応しない雄がいるだろうか。少なくとも僕は反応してしまった。徐々に自分のモノが大きくなっていくのを感じながらも幸せそうにしているお姉ちゃんを引き離すのはためらわれた。
どうしようか。そんなことを考えているうちに自分のモノに違和感を感じた。ぎょっとして下を見てみるとお姉ちゃんが不思議そうな顔をして……というか興味津々だと言うオーラを出しながら僕のモノを両前足で握っていた。

「?    ブースター。これはなんだ?」
お姉ちゃんの純粋な声によけいに回答に困ってしまった。ダイレクトにモノだと伝えるべきか、それとも適当にごまかすべきか。僕が悩んでいるうちにお姉ちゃんが好奇心に負けたのか僕のモノの触診を始めた。両前足を急がしそうに上へ下へと動かして僕のモノを触っていく。肝心の僕はと言うと……声を出さない様にこらえるので精いっぱいだった。
「ふぅむ?  長さは…結構長いな…。結構太いし……。においは……ぅえっ…。下の方は……おっ、柔らかいものが…………っ!!」
やっとお姉ちゃんが触っていたものに察しがついたのか急いで両前足を僕のモノから離す。まったく……気がつくのが遅すぎるよ。おかげでしっかりたっちゃったよ…。どうしてくれるんだこれ……。そんなことを考えながら僕のモノを見つめていると前の方から慌てた口調のお姉ちゃんの声が聞こえた。
「ご、ごごごごごごめんっ! ……まさかそんなものを掴んでいただなんて思わなくってだな……」
必死に下手な弁解を顔を赤くしながら続けるお姉ちゃんを見ていてほんのちょっと、からかいたくなってきてしまった。僕は意地悪くお姉ちゃんに向けて言った。
「別にそれはかまわないんだけど……。収まりがつきそうにないんだよね………これ」
僕の言葉を聞いて耳まで赤くしてお姉ちゃんはぼそぼそっと答えた。
「うぅっ………しょうがないなぁ………」
そう言ってお姉ちゃんはとんでもない行動に出た。

なんと再び僕のモノを握ったのだった…。




驚いている僕をよそに再び僕の物を握ったお姉ちゃんは小さな両前足を上下に動かし始めた。ずっと病院にいたのだから多分こういうことは初めてであろうその手つきはどことなくぎこちなかった。……でも、どこでこんな技を身に付けたんだろう?それとも雌の本能なのかな……?
そんなことを考えているうちにお姉ちゃんの前足の動きで射精感を促されていく。こらえなきゃダメ。そう自分に言い聞かせるもののお姉ちゃんの前足の動きは早くなる一方で直に僕は限界を感じてきてしまった。はやく己の欲望を開放したいと脈打つモノをお姉ちゃんはとどめと言わんばかりに強く握って扱いた。その瞬間、僕は耐え切れずついに果ててしまった。
「う、うわぁぁぁ!」
「へ?   ………きゃっ……!」

だいぶ一人で処理するのをご無沙汰していたのもあってかなりの量の白濁色の液体がモノの先端からあふれ出る。当然、僕に密着しながら扱いていたお姉ちゃんは予告なしに出した僕の精液をもろにかぶってしまった。困惑しきった顔で白濁色の粘着質ある液体にまみれているお姉ちゃんを見ていて………

僕はお姉ちゃんを押し倒した。


でも、今度は傷つけたりしないように、自分の気持ちで突っ走らないように、お姉ちゃんの顔に自分の顔を近づけてお互いの息遣いを直接肌に感じながらそっと訊いた。
「ねぇ……。こんなことになってから言うのもあれだけど…、お姉ちゃんはえっちな弟って……きらい?」
「………ううん…。お前の事が大好きだよ……。」

そう言って顔を赤らめるお姉ちゃんを見て僕はお姉ちゃんの唇に僕の唇を重ね舌を入れた。お姉ちゃんにとっては僕の行動の全てが不意打ちに思うのか驚いた表情を見せる。でも、驚きながらも僕の舌にはしっかりとお姉ちゃんの舌が絡みついていた。

直に唇を離して僕はお姉ちゃんの体に触れる。無駄に肉のついていないすらっとした体形で僕よりもさらに一回り小さかった。僕はそんなお姉ちゃんの体の胸の部分の毛をかき分け始めた。弟の僕よりも体の発達が遅いのかそれとも失礼な言葉だけどもとからない方なのか胸のあるはずの位置はほんの少しだけ膨らんでいるだけだった。

「ご、ごめん……。胸……あった方が嬉しいよね………」
そう言って悲しそうな顔をするお姉ちゃんに僕は明るく答えた。
「ううん、全然僕は気にしないよ。だって僕のお姉ちゃんのだもんっ」
そう言って僕は毛をかき分けて露わになった薄い桃色を帯びている突起にしゃぶりついた。そのまままるで乳児のように吸い付きお姉ちゃんの乳首を攻め続けた。
「ひうっ……!や、やぁぁ……っ」
僕はお姉ちゃんの喘ぎ声を聞きながらお姉ちゃんの反応を楽しんでいた。僕が乳首を吸ったり舌で転がしたりする度にお姉ちゃんは体を仰け反らせながら感じてくれた。正直言って初めてだったから上手くいくか不安だったけどこの調子でお姉ちゃんを気持ちよくしてあげなきゃね。そんなことを考えながら僕は乳首を攻め続けながらお姉ちゃんの後ろ足の間に前足を這わせ始めた。

「ひゃんっ!……そ、そこはぁ………」
さっきからの行為ですっかり濡れてしまった様子で這わせただけの前足に湿り気を感じる。僕は乳首を攻めるのをやめてお姉ちゃんの秘所の方へと視線を移した。お姉ちゃんの秘所は可愛らしい桃色を帯びぴったりと閉じられていた。僕は両前足を使ってそんなお姉ちゃんの秘所を広げた。お姉ちゃんの体がびくっと震える。広げられてる事に気がついたのか僕にはにかみながら声をかけた。
「お、…おい……。そんなところ広げるなぁ……」
「え?  ……いい眺めだよ。お姉ちゃん」
「ば、ばかぁ!そんなところじろじろ見るなぁっ!」
そう言って後ろ足をバタバタ動かして必死に抵抗し始めた。本気で抵抗している訳じゃあなさそうだったけどとりあえずお姉ちゃんの秘所から前足を離した。お姉ちゃんが抵抗するのをやめたのを確認して僕はお姉ちゃんの秘所に舌を這わせ始めた。ぴったりと閉じられている秘所の中にほんの少しだけ舌を入れて上下に動かす。舌先にお姉ちゃんの愛液の味を感じる。甘酸っぱいその味は妙に僕の感情を昂らせてくれるものだった。





病室の中ではぴちゃぴちゃという水音とお姉ちゃんの喘ぎ声、そして僕の荒い息遣いだけが響いていた。その病室の中には今僕とお姉ちゃんしかいない。そう思うだけで何だか変な気分になってくる。
僕は舌先だけでお姉ちゃんの味を感じることに物足りなさを感じたのかさらに深く舌をもぐりこませる。そして、先ほどからの上下運動に出し入れも加えてさらにお姉ちゃんの秘所を責めた。
「ひあぁっ……!やぁぁんっ……!! も、もぉ……だめぇぇぇえ!!」

そうお姉ちゃんが叫んだかと思うと僕が舌を入れていた割れ目から勢いよく愛液が噴き出した。お姉ちゃんは体全体を痙攣させながらぐったりとベッドに横たわった。流石にやりすぎたかなと思ってお姉ちゃんの乱れ過ぎた呼吸が整うのを顔に付いた愛液を舐めとりながら待った。


しばらくしてお姉ちゃんもだいぶ落ち着いてきたことだし僕はお姉ちゃんの秘所にそっと前足の指を這わせた。何の予告もない僕の行動に再び敏感に反応する。さっきイったばかりだし最初は優しく秘所を撫でる程度の動きをする。撫でるだけで感じてくれてるお姉ちゃんを見ていて僕は更に秘所を撫でる動きを早くした。既に撫でると言うか擦るに近かったけどね…。でも、決して乱暴にしようとは思わなかった。ある程度で愛撫を終わらせ濡れているお姉ちゃんの秘所に指を入れた。びくんっ、と大きくお姉ちゃんが体を反応させるのを確認すると僕はお姉ちゃんの膣内を指で広げていった。
「あっ……!あふぅ………」
目をぎゅっと瞑り必死に快楽にのまれないようにしているお姉ちゃんを僕は激しく指で責め始めた。
膣内の愛液が僕の指の運動で外に出る時の卑猥な水音。我慢できずに感じるがままに喘ぐお姉ちゃんの声。僕にとっては心地いい音だった。お姉ちゃんにとってもそうだったのかな…?
しばらく指の運動を続けていた僕はお姉ちゃんの息が苦しそうなのに気がついた。もしかして無理をさせちゃったかも。そんな考えが頭をよぎり膣内で指の動きを止めお姉ちゃんに慌てて声をかけた。
「お姉ちゃん。大丈夫……?」
「ふぁぁ………。激しすぎるよぉ……」
そう呂律の回っていない譫言の様に言って乱れた呼吸を整え始めた。そんなお姉ちゃんの様子を確認して辺りを見渡す。ぐしゃぐしゃになったシーツに精液と愛液と唾液と汗が染み込んでいた。これを片付けるのはどうせ僕なんだろうな……。などと考えながらお姉ちゃんの方を振り返った。さっきと変わらない仰向けの姿勢のままのお姉ちゃんに僕は優しく覆いかぶさった。そのまま顔を近づけて短めのキスを交わすと僕はそっとお姉ちゃんに声をかけた。
「ねぇ……。いれても……いい?」
そう訊くと顔を真っ赤にしながらお姉ちゃんは横を向いて消えそうな小さな声で、でもはっきりと僕には聞こえる声で答えた。
「うん……。……お前のを………」
そこまで言うと口を開きかけながらも言おうとはしなかった。「は、はやくしろ……」そう言ったっきり目を瞑り前足でシーツを握りしめた。

「それじゃあ……いくよ…?」
そうお姉ちゃんに声をかけると前足で自分のモノを握ってお姉ちゃんの秘所に宛がった。そして静かに腰を沈めた。
「んっ……んぅぅ………」
シーツを握る足の力をさらに強くしたのかお姉ちゃんの体に力が入る。よく見ると小刻みに体が震えていた。僕はすでにモノをお姉ちゃんの膣内に収めていたけど心配になってお姉ちゃんに声をかけた。
「辛い?大丈夫?」
「うん……。大丈夫だよ………。   嬉しくって震えてるんだよ……。ほら、涙まで出てきちゃったじゃん………っ」
そう目に涙をためながら僕に言うお姉ちゃんを見て僕は優しくお姉ちゃんを抱きしめた。お姉ちゃんの言葉を聞いた時、ただただ嬉しかった。もう離れたりなんかしたくない。そう思いお姉ちゃんに「動かすよ?」と訊いた。お姉ちゃんが静かにうなずいたのを見て僕はお姉ちゃんに抱きつきながら腰を動かし始めた。

お互い初めての行為。緊張しながらも僕はぎこちない腰遣いでモノの出し入れを始めた。腰を動かすたびに聞こえる粘着質のある水音が昂る僕の気持ちをさらに昂らせてくれた。モノを動かすたびに仰け反ろうとするお姉ちゃんの体を抱きしめながら僕はお姉ちゃんの膣内を突き続けた。
「ふぁっ…!  ひゃぁぁんっ!!」
モノを動かすたびに病室に響くお姉ちゃんの喘ぎ声。その声をもっと聞きたいだなんて思っちゃうのはいけないことかな……?でも僕はもっとお姉ちゃんに愛と快楽を求めて膣内を責め続けた。徐々に上げていくモノを出し入れするスピード。初めての僕には耐えきれるはずもない快楽だった。
「はぁ……っ。はぁ……っ。そ、そろそろいくよ……?」
そうお姉ちゃんに息も絶え絶え声をかけるとお姉ちゃんは何を思ったのか僕に抱きついてきた。そして僕の耳元に顔を近づけると「お願い……なかで…」と、僕にささやきお姉ちゃんが自分から腰を動かし始めた。
予期せず快感に僕は完全に呑まれてしまい止めるはずの腰も止まらなくなっていた。僕は最初の時よりもずっと早くモノでお姉ちゃんの膣内を突き続けていた。
「あぅっ…!  あぁぁぁああぁあぁぁあああ!!!」
「ふぁぁっ!  ひゃぁぁああぁあぁあぁんっ!!!」
僕達は病室の中だと言う事もすっかり忘れて叫んだ。僕はお姉ちゃんの中にたっぷりと精液を注ぎ込んだ。お姉ちゃんは体をびくびくとふるわせながら僕から手を離してぐったりと湿っぽいベッドの上に倒れ込んだ。
僕はモノをお姉ちゃんの膣内から引き抜いた。ぬぽっという音とともにドロドロとした精液がお姉ちゃんの膣内を逆流してきていた。お姉ちゃんはしばらく仰向けで寝ていたけど時期にうつ伏せになるとそっと一言つぶやいた。

「もっとぉ………」


まだやるのか。そう内心呆れつつも喜んでいる僕が心の中にいた。




僕に催促しておきながらも当のお姉ちゃんは今だうつ伏せのままでいる。完全に昂った感情が限界を超えていた僕に賢者達の様な時間は訪れることなく、もっと愛しあいたいという気持ちになっていた。このまま待っているのもなんか気まずいし、待っていられる気がしない。僕の動きが捉えられないお姉ちゃんには悪いけど僕は不意打ちを仕掛けることに決めた。
僕はうつ伏せになっているお姉ちゃんの腰をそっと持ち上げる。お姉ちゃんに気がつかれない様に覆いかぶさってお姉ちゃんを見下ろす。お姉ちゃんが不思議そうな顔をしていたがお姉ちゃんに突っ込まれる前に僕がお姉ちゃんに突っ込むことしにた。
「なあ、ブースター。どうし………っあぁぁああぁあ!!!」
いきなりの挿入にあられもない声を出すお姉ちゃん。僕はというと、後ろから入れるのがこんなに気持ちのいいものだとは知らずに気を緩めると口から声が漏れてしまいそうだった。
「ちょっ……ぶーすたぁ!  まだ……まだだめだよぉぉ!!」
そうだらしなく口を開けて僕に止まるように言うけれどお姉ちゃんの顔はまんざらでもない様子で僕のモノを受け入れていた。一回目の行為のおかげでお姉ちゃんの膣内をよりスムーズに突く事が出来た。……一回目よりも水音が激しくなっちゃったけどね…。

やっとこさ雄になれた僕。こうなったらとことんお姉ちゃんを喜ばせてあげないとねっ。そんなことを考えながらお姉ちゃんの膣内を突く動きを大きなものにへと変える。膣内をぎりぎり出ない所まで抜いてすぐにモノを全てお姉ちゃんの中へと入れる。結構ハードな動きだったけど刺激は十分伝わっているようだった。
「ふぁぁ!!  やぁぁ! おくに……おくにあたってるよぉぉ!!」
一回目の行為よりも奥にモノが入る分僕への刺激も相当大きくなった。そして一回目の交尾では感じることのできなかったお姉ちゃんの中の一番奥。その部分に僕のモノの先端が触れるたび、お姉ちゃんは可愛い喘ぎ声とともに体を大きくふるわせる。
雄としてのプライドを守りたかったのか限界が近い事を悟った僕はモノの出し入れを早くしながらお姉ちゃんにそっと後ろから抱きついて乳首をつまみながら首筋に舌を這わせる。

「あぁぁぁああぁあんっ!!   もお我慢できないぃぃ!!!」
そう叫ぶとお姉ちゃんの体がびくびくと痙攣し始めた。痙攣するのと同時に膣内に深く突きさしたままの肉棒を締め上げる。射精を促されるお姉ちゃんの膣内の動きのおかげで僕は再びお姉ちゃんの中へと僕の子種を注ぎ込んだ。
「うっっ……。うぁぁああぁぁあ!!!」

結合部から子宮に入りきらずに肉棒と膣の間を通ってきた精液があふれ出る。お姉ちゃんのモノと精液が入っているであろう下腹部はぽっこりと膨らんでいた。その部分をお姉ちゃんは静かにさすると今にも消えそうな声でそっ呟いた。
「おなかが………いっぱいだよぉ…。   ………しあわ……せ……」
そこまで言うとお姉ちゃんは静かな寝息を立て始めた。僕も強い睡魔に襲われる。最後に部屋(というかベッドの上)を見て、湿っぽくなったあらゆる物を片付けないと………。

そんなことを思いながらも僕は繋がったままお姉ちゃんの隣に寝転がり重たくなったまぶたを閉じた……。



僕が目が覚めた頃、既に日は沈みかかっていた。窓の向こう側から紅い光が差し込んでくるのをまぶしさを我慢しながら見た。隣ではまだお姉ちゃんが幸せそうな寝息を立てていた。
そんなお姉ちゃんの姿を確認して安心していると僕はハッと思いだした。そう言えばシーツとかの後片付けしなきゃ……。そう思って起き上ろうかとした僕の上には新しい真っ白なシーツがかけられていた。あれ?汚れていたはずのシーツははそのままにして寝ちゃったような気がするんだけど…。そんなことを思いながらきょろきょろとあたりを見渡していると音もたたないで病室のドアが開いた。
病室のドアの向こう側から顔を半分だけ出して手招きしているタブンネさんがそこにいた。何かと思ってお姉ちゃんを起こさないようにベッドから僕は静かに下りた。お姉ちゃんは疲れたのかちょっと揺すったぐらいじゃあ起きなかったけどね。僕がタブンネさんのいる廊下に足音を立てない様に駆け寄るとタブンネさんは今までみた事もないくらい嬉しそうな微笑みを顔に浮かべながら僕の頭を撫でた。
「ありがと。ブースター君。
 あなたのおかげでリーフィアちゃんももうさびしい思いをする事もないんじゃないかな♪」
そう言われるとさすがに照れるよ…。それに僕はただお姉ちゃんが好きになっちゃっただけだし…。救われたのはむしろ僕の方かもしれないぐらいだったしね。  そんなことを考えているとタブンネさんは顔を赤くしながら僕の耳元で囁いた。。
「シーツは取り替えておいたし、病室の周りには人もポケモンも寄せ付けなかったから安心して……ね♪」
そう言われて体毛では隠せないぐらいに顔が赤くなったような気がした。ぼんっ、て言う効果音が似合いそうな勢いで僕は赤面した。それは……感謝したいけど、なんか恥ずかしいな…。行為の最中ずっと近くにいたってことは……お姉ちゃんには黙っておこう。
そんなことを考えながらいると今日はもう帰った方がいいね、と言われた。流石に病院に迷惑かけるのも気が引ける。お姉ちゃんが起きるまで待っていたかったけどそこをぐっとこらえて病院を後にした。





次の日、僕は朝一で洞穴を出た。木の実を口の中に放り込みながら病院を目指した。
もう歩きなれてしまった道。木の実を咥えながら通るのもこれで何度目だろう。そんなことを考えながら一歩一歩をしっかりと歩んでいく。

いつもと変わらない病院の受け付け。いつも通りそこを通って1197号室を目指す。受け付けから大分離れた所にあるお姉ちゃんの病室。そっと病室のドアを開く。音は少なからず出ちゃうけど「五月蝿い」って言われない様に静かにドアを開けた。


「お姉ちゃ~ん。  おはよっ」
「………ブースターか。 …おはよ」
お姉ちゃんの隣には珍しい事にタブンネが立っていた。朝食を食べさせた後だったようだけど。そんなタブンネにも軽い挨拶を交わした後いつもの窓際の椅子に座ろうかと思ったとき。

「タブンネさん……。 私…退院したい……」
「「えっ…」」
タブンネさんの声と僕の声がハモる。急にお姉ちゃんは何を言い出すのか。怪訝そうな顔をする僕と悲しそうな顔をするタブンネさんはお姉ちゃんの言葉を聞いた。
「だって……。私がここにいるのは、一人じゃ生きていけないからでしょ……?
 ………でも、今は私もう、ひとりじゃないよ……」
そこまでいうと間をおいてはっきりと言葉を続けた。
「私と一緒にいてくれる?  ブースター……」
タブンネさんがこちらを見る。一瞬病室の空気が張り詰めたようにも感じた。……でも、僕の答えは決まっている。僕の想いを伝えよう。
「うんっ……。  こちらこそよろしくねっ…」
そう言うとベッドの上にいるお姉ちゃんに抱きついた。
「ちょっ…。タブンネさんいるんだよ……?」
そう耳元で文句を言いながらも僕の方に前足をまわしているぐらいだから嫌なわけじゃなさそうだね。


それから病室の整理をしてお姉ちゃんの持ち物(と言っても石だけだったけど…)を小袋に入れて、今、お姉ちゃんを背負って僕の洞穴を目指して前よりも足取り軽く、でも一歩一歩で地を踏みしめて僕は歩いていた。
そよ風が気持ちい。背中に感じるお姉ちゃんのぬくもりが温かい。心も晴れ晴れとしている。こんなにいい気分になったのは生まれて初めてかもしれない。
そんなことを考えながら始終笑顔を絶やさないお姉ちゃんの顔を見て僕もつられて笑うのだった。







もう一度、この質問をあなたへと………



あなたの心の色は何色ですか?

私は……何と言ったらいいのでしょう。あえて言うならば……ブースターの色ですね…。



あなたは今、光を感じていますか?

私は……残念ながら目では感じる事が出来ません…。でも、私の心はしっかりと彼に照らされています。



あなたは今、しあわせですか?

私は……生意気を言うようですが幸福の頂点にいます。





私は今、決して抜け出したくないしあわせの中に生きています。


私のこれからに希望を持たせて。私の人生の全てを塗り替えて。私の人生に生きがいを見出したブースター。

それが嬉しくって、嬉しくって…、私はただただ、笑っていました。

一生分の笑顔を振りまいたのではないかと思うほど、笑いました。




今日もまた、私は笑うでしょう。そして、これからも………



最愛の弟、最愛の恋人、   ブースターと一緒に……。





6666枚の物語に次ぐ練習作品です。
僕だって立派に官能小説を書きたいのです。


終わり方はあっさりと。
手抜きと間違われるほどあっさりとね。
でも決して手は抜いてないよ♪

感想、指摘、アドバイス、誤字脱字の報告などがありましたらお気軽にコメントしちゃってください。
(コメント=南十字の生命力)




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Last-modified: 2013-08-13 (火) 00:00:00
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