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燃料不足

/燃料不足

燃料補給の後日談的なお話です。前作を読んでいないと分かりづらい場面があるかもしれません。

燃料不足 

writer――――カゲフミ

 目を覚ました私が寝転がったまま外に視線を送ると、深い暗闇が辺りに広がっていた。まだ起きるべき時間ではないらしい。中途半端に目が覚めてしまったようだ。
ごろりと寝返りをうって再び寝直そうとする。ここのところ地面の硬さが肩にや背中に強く伝わるようになってきていた。そろそろ寝床に敷いている草を新しくしなければ。
住処にしている洞窟の地面に直接寝転ぶと硬いし冷たいしで満足に寝付けなかったので、自分なりに工夫して中を整えているのだ。
この時期ならばどこで草を調達すればよいだろうか、あの場所の草は萎れるのが早くていまいちだったな、などと考えながらじっと目を閉じていたがどうも寝付けない。
力を込めてぎゅっと目をつぶり、極力頭の中を空っぽにしようと意識しながらしばらく横になっていたがだめだった。むしろかえって目がさえてしまうようだ。
これは寝床が硬くなってきているせいではないな。私は体を起こすとおそらく寝付けない原因であろう個所へと手を伸ばしてみる。
私の種族、コライドンの体にある黒い部分。胸元の大きな出っ張りと、下腹部から尻尾の内側に掛けて覆うように伸びている黒い鱗。腹部との境目辺りの鱗に触れてみると。
ううむ、やはりか。普段の状態より心なしか、左右に広がっていた。じっくり凝視しないと分からないだろうが、覗き込めば内部の肉色がちゃんと見えてしまうくらいの隙間。
軽く外を出歩くくらいならできなくはない状態だが、今はそういう問題ではない。私の安眠を妨害している原因は私自身にあったのだ。
「……どうしたものか」
 この行き場のない性欲と付き合い出してからは長い。定期的に処理をしてやらないとこんなふうに悶々と股間から主張を始めてきてしまうのだ。
自らの意思で抑えられなくなると厄介なのでそうなる前にメンテナンスは入れているつもりではある。とはいえ、今宵にここまで睡眠を阻害されるとは想定外。
昨日ちゃんと優しく撫でてやったばかりだというのに、それでは物足りないのか。困った奴めが。ええい仕方あるまい、構ってやろうではないか。
私は立ち上がると、寝床から距離を取って再び腰を下ろした。自身の体液で敷いている草を濡らしてしまうと後処理が面倒になる。
以前、思った以上に飛び散って、新しくしたばかりの草を生臭くしてしまったことはずっと忘れていなかった。元気すぎるというのも考えものである。
さて、と。一呼吸置いてから、私は股間のスリットの部分に片手を伸ばしていく。指先を中へ突っ込んでぐにぐにとかき回してやると、嬉しそうに喜んでいるのが分かった。
相手をしてもらえると分かった途端ににゅるりと膨張を始める私の一物。この時ばかりは、コライドンの両手がある程度器用に扱える形をしていてよかったと思う。
スリットから這い出してきた肉棒の扱いには慣れている。何しろ私自身なのだ。力を込めて根元から先端まで動かしつつ、まだ柔らかい箇所は何度か手のひらを使って揉みほぐしていく。
緩急を付けつつ愛撫を行っているうちに、私の雄が万全な状態になるまでそう時間は掛からなかった。撫でる面積が増えた表面を緩く擦り続けていると先端から先走りの汁がとろりと垂れてくる。
少し前まであんなにつつましく収まっていたのというのに、今や見違えるほど。それなりのものを持っているという自負はある。形といい、大きさといい、そこらの雄ポケモンに引けは取らないはずだ。
まあ、準備完了までかなり早い、いわゆる早漏気味であることも事実なのではあるが。処理をするのに時間が掛からないという点では、これもある意味長所か。
染み出してきた先走りの汁を手のひらになじませて滑りを良くしつつ、私は仕上げに取り掛かる。やや強めに肉棒を握りながら、根元から先端へ。
手のひらと指先の動きを往復させていく。毎日のように擦り続けても感度がそれほど落ちないのはありがたい、というべきなのだろうか。
何度目かの手の往復で、私の雄は限界を迎えていた。手を上下させた回数はおそらく、二桁までは行っていなかったはず。肉棒全体がぴくんと震えて、先っぽから白い液体を吐き出す。
「んっ……」
 思わず口元から喘ぎ声が零れてしまうくらいの衝撃と、股間からじんわりと広がってくる快楽が私の体に染みわたっていく。定期的な処理の煩わしさはさておき、この感覚は悪くはない。
頭がくらくらとして体の力が抜けていくような、この心地よさは他では味わえない。何度かぷるぷると震えて、白濁液を外に吐き出した肉棒はある程度落ち着いた様子だった。
洞窟の地面が点々と湿っている。いつも体験しているからよく分かるが、それなりの量だった。だが今の私は後始末が面倒だ、ということを認識するまでに至っていない。
闇夜の静かな洞窟の中、そっと目を閉じて絞り出された快感を貪ろうとしがみついている。そう、しがみついてはいたのだが、どうも。どこかで物足りなさが。
早い分、連射が可能なのは私の強みだと勝手に認識している。やや強引にでも二回戦を消化しておけば、次まで持つ時間が長くなるという利点もあるのだ。
精を吐き出した直後でややぐったりとしていた肉棒に私は再び手を宛がった。連戦に持ち込んでも文句の一つも吐かないのはお前の素晴らしいところ。
以前よりも強く感じるようになった、この致した直後の不完全燃焼的な感覚。思い当たる節は一つしかないのだ。浮かぶのは、あの人間と。隣にいたフライゴン。
確か、名前はフラウと言っていたか。私にとっては人間よりも、やはり同族の異性であるフライゴンの存在の方が色濃く残っていた。
きっと私のことなど、あの人間と同じ、研究対象としか認識していなかったのだろうけれど。それでも、ぎゅっと身を寄せられたときに感じた柔らかさ、におい。
敏感な胸の突起を弄られたときの爪の感触。そして、直接扱かれたときの衝撃。それらは私の中へ強く爪痕を残していた。それはもう、強く、強く。
「んぁっ」
 空いていたもう片方の手で私は胸の出っ張り部分からいくつかせり出している、尖ったとげを摘む。フラウの細い爪のような繊細な動きは出来ずとも、近いものはあった。
爪の先でかりかりとくすぐるように弄り回しながら、再びむくむくと大きくなってきた雄への刺激を開始させる。直後の二回目だというのに、昂るのが早い。
とげと肉棒を同時に擦るのに夢中になっていて、あまり見る余裕がなかったのだが。おそらく最初と同じくらいの勢いの先走りが手のひらを湿らせていったような気がする。
目を閉じるだけで隣にフラウがいるような想像力は残念ながら持ち合わせていなかった。それでも、そのときの記憶を必死で手繰り寄せながら私は敏感な個所を擦り続け、そして――――。
「あっ……んっ」
 再び、私は住処の地面の上をぴちゃぴちゃと濡らしてしまっていた。一発目よりも若干劣るくらいだが、落ちた時の水音が出てしまうくらいの量はあった。
何よりも、伝わってきた快楽の波が二度目の方が遥かに大きい。薄暗い中でも目の前がぐらりと揺らぐのが分かって、何も考えられなくなる。
強い快感か、それとも連続で及んだ疲労感からか。そのまま仰向けに寝転がり、虚ろな瞳で洞窟の天井を見上げていた。しばらくの間、呼吸を整えている私の息遣いだけが洞窟の中に響き渡っていた。
やはり、やはりだ。あの日以来、フラウを想像しながらでないとどうも欲求不満気味になってしまう。いつものやり方で致せなくはないのだが、味気なく感じてしまうのだ。
迂闊に人間や人間のポケモンと関わるものではないな。伝説のポケモンとはいっても、雄は雄だ。異性の感触をちらつかされると簡単に心を乱されてしまう。
ことに、性的な快楽に対して貪欲な私の性質ならばなおさらのこと。あの人間、それを見越してあのフライゴンを準備していたのだとしたら。大したものだ。
幸い、今のところは妄想だけで収まりがついてはいる。ただ、段々と気持ちがエスカレートしていうくち、再びあの施設へ足を運んでしまいそうな自分が恐ろしかった。
私がまた顔をだしたとしても、あの人間は底の見えない笑顔で歓迎してくれそうな気配はあったが。それではあの人間の思惑通りに事が運んでいるように思えて私としては面白くない。
それに、今度は最後の一滴まで余すところなく搾り取られそうで近づき難い。私は燃料提供の装置ではない。そう簡単に私の精液を採取できると考えてもらっては困るのだ。
ひとまず、今日のところはちゃんと収まりがついてはくれた。また、残滓に釣られてあの人間が来たら嫌なので、出したものにしっかりと土を被せてから、私は再び眠りについたのである。

 おしまい


・あとがき
今日が七月二十一日なので前回のお話の後日談としてもう勢いで書きました。二時間くらいで書けてしまいました。勢いってすごい。

【原稿用紙(20×20行)】10(枚)
【総文字数】3504(字)
【行数】53(行)
【台詞:地の文】0:99(%)|30:3474(字)
【漢字:かな:カナ:他】36:64:1:-2(%)|1281:2257:69:-103(字)


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Last-modified: 2022-07-21 (木) 19:41:06
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