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漆黒の満月 九話

/漆黒の満月 九話

written by cotton

漆黒の満月 九,

「わぁ…綺麗…」
「…フフッ。良かった。喜んでもらえたみたいで」
二匹は丘の木の元へ向かう。
空には、満天の星。漆黒の夜空に映える満月。その月は、イーブイに出会った夜のように、木々を、二匹を照らす。
あの「戦い」からは十日以上が経っていた。
「兄ちゃん」
「なんだ?」
「ボク…勝ったよ。やっと、御主人に認めてもらえたよ」
やっと見れた。その笑顔ー

ー兄…ちゃん。
ー…!イーブイ…!
ー…ボク…勝った…よ。見てて…くれた…?
ーああ…!…凄かった。…。
ー…兄…ちゃん。…泣い…てる…?
ー…ああ。…嬉しいんだ。お前の声が聞けて…!

「兄ちゃん?」
「…嬉しい。…嬉しい…!その声を聞けて。お前の笑顔をもう一度見れて…!」
「…?んわッ!?」
イーブイを抱きしめる。涙が、彼の肩に落ちる。イーブイは戸惑っていたが、笑って、抱きしめてきた。
「…兄ちゃん。」
ーその時。

「…イーブイ?」
彼の体が眩しく光る。月の光がイーブイを照らしている。これが「月の祝福」なのか…。
「兄ちゃん。」
「…イーブイ。…いや、ー」
彼の体は、夜空をそのまま写したように黒い。彼の耳には、光の帯が環を作っている。そしてー
「ーブラッキー。」
額は輝いている。夜空に輝く、満月の如く。

ーこいつの願い、ブラッキーになりたいって願いを叶えろ。1日だけ、時間をやるからー
それが、ロンの頼みだった。

「…行くのか」
「…ああ」
まだ朝早く、街の入り口のゲートは霧に包まれている。森からは鳥ポケモンたちの歌声が聞こえてくる。
「…お前はどうだ?来る気はないか?」
「…俺は、人間は嫌いって言っただろ。行かねえよ、お前となんか」
「え…!?兄…ちゃん…」
ブラッキーは、嫌そうな顔をする。
「そんな…!行こうよ!一緒に…」
「ブラッキー」
厳しい目で彼を見る。
「確かに、お前と一緒にいたい。でもー」
ゆっくり微笑んで、彼に言った。
「ーお前には、主人がいる。お前が選んだ、最高の主人。…なあ、ロン?」
「…うるせーよ」
ブラッキーが微笑む。…進化しても、その笑顔の温かさは変わらない。

辺りを包む霧は、だんだんと晴れてきた。ロンは街を後にした。黒い影は、ずっとそれを見ていた。

ーありがとう。兄ちゃん。

後書、三日月の詩へ。

気になった点などあれば。


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Last-modified: 2010-09-12 (日) 00:00:00
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