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波乗りトリックルーム

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狸吉作『波乗りNight☆Stage』トリックルーム


※注意書き
・本項の内容は全てフィクションです。本編の内容とは一切関係ありません。多分。



『いるかの曲芸』 

対象=波乗りNight☆Stage・☆01☆~終了時点。

「泳流くんは居るかの曲芸!?」
 小屋の扉を開け、開口一番唐突に言い放った僕の言葉に、小屋の中にいたムチュールやスボミー、それに懐かしの祈理ちゃん*1たちが、一斉にポカンとした顔で振り向いた。
「バカ者!」
 突然、背後から強烈な水撃が叩きつけられる。
「みんながとまどっているではないか!」
 振り返ると、そこにいたのはカラタチ島海洋警備隊長、シャワーズの蓮花さん。その後ろでは彼女の息子、リーフィアの想矢くんが呆れ顔で笑っている。
「これは豪快な波乗りでしたな」
「これくらいやらんと、頭を冷やさんだろうおまえは」
 と、蓮花さんと言い合っていると、小屋にいたポケモンたちの群れの中から、一匹のブイゼルが顔を出した。
「おや? 誰かと思えば、たぬきちさんじゃないですか」
「おう、泳流!」
「僕に何か用ですか?」
「実はな」
 僕に代わって、蓮花さんが前に出る。
「お前に狸吉めの新作小説に、主役として出てもらいたいのだ」
「ええっ!?」
 蓮花さんの言葉に泳流は酷く驚き、続いて思いっきり嫌そうな顔をした。
「僕に巣穴の改修工事をやれというんですか?」
「……いつの生まれだおまえは!」
 やれやれ……『究極超人あ~○*2』などという古いマンガのパロネタがどこからでてきたものか。
「おのれがいいだしたことだバカ者っ!!」
 と、誰よりもノリノリの様子でツッコむ蓮花さんなのだった。*3
「たぬきちさんにはこの夏ずいぶんとお世話になりましたし、ご恩返しをしたいとは思いますが……こんな無理難題をふっかけるなんて……」
 と、顔を覆って嘆く泳流が指差す先にいるのは、工具箱とヘルメットを差し出す想矢。
「坊っ!!」
「いやお養母さん……こういう小説に主演で出ろっていうのも、立派な無理難題だと思うけど?」
「それはまぁ、その通りなのだが」

 ☆

「あんただったか……俺に巣穴の改修工事をやれというのは」
 轟音を上げる瀑布*4を背にして、フローゼルの瀬波はムッツリとした顔で言った。
「俺を……何のポケモンだと思っているんだ?」
「はて?」
 閉じた扇子を口元に、とぼけた調子で僕は答えた。
海豚(いるか)ポケモンとも思えぬ言葉ではないか」
海豚(いるか)ポケモンじゃない!! 海鼬(うみいたち)ポケモンだ!!」

 ★

 その様子を、岩陰から覗き見ているポケモンがいた。ブラッキーの夢会だ。
「あれが今度の小説の主役たちか。狸吉最強のポケモンっていわれているんでしょ? どうして?」
 と、虚空に向かって問いかけると、その空間が揺らめいてカクレオンのアレックスが姿を現した。
「なんでも、次回を見れば、分かる人には分かるそうですよ」

 ☆

「それにしても」
 と、瀬波は巣穴の見取り図と、釘を打ち付けた板を取り出し、呟いた。
「準備が無駄になっちゃったなぁ」
 おいおい。本当に工事する気だったんかい。

『虚栄心の正体』 

対象=波乗りNight☆Stage・☆03☆~終了時点。

 ヘタれたおっさん。
 それはハロバロの『キャニオン・ジャンプ』の優勝騎手であり、パッパの『フレ!フレ!ポケライン』の優勝コンダクターでもある。
 仮にも2つの全国規模の大会で優勝した人間をつかまえて〝ヘタれたおっさん〟呼ばわりはどうかという気もしないでもないが、実際背中に乗せた俺からすればそうだったとしか言いようがない。
 何しろ――
 そんな野郎を優勝させてしまったがために、俺と泳流はそろってとんだ災難に見舞われてしまったからである。
 そう。
 そのヘタれたおっさんの書いた官能小説の主演にさせられる、という災難に、だ!
「言っとくけど、書き終わるまで帰さないからね」
「うう……ひどい……」
「悪徳芸能プロダクションかあんたは!」

『遍歴』 

対象=波乗りNight☆Stage・☆04☆~終了時点。

「まぁ、そんなわけで……僕は処女だったわけですけど」
「モロ見しちゃったよ……もうお婿にいけない……」
「と・に・か・く! こうなった以上、瀬波の経験も教えてもらわなきゃ不公平ですからね!」
「自分から見せた挙句に引っぱたいておいて何を要求するかなこの娘は……」
「そうやってごまかそうとするところを見ると、もしかして言えるほど経験がないとか?」
「おいおい馬鹿にしてくれるなよ。ハロバロのチャンピオンだぞ。モテモテだったに決まっているだろう」
「へぇ~……じゃあ、聞かせてもらいましょうか?」
「最初に付き合ったのはサメハダーさんだったんだが、これが愛撫しただけで手が血塗れになる*5ような雌でね。怖くてとてもじゃないが下半身を近づけられなくって、結局そのまま別れてしまった」
「あらら」
「次のカノジョはギャラドスさんだったんだけど、何かにつけて俺の顔を恐ろしい形相で覗き込んでくる*6ものだから、竦み上がってしまって勃つべきモノが勃たず……」
「おいおい」
「一番最近付き合っていたホエルコちゃんに至っては、夜の遊びに誘うたびに、キャッチボールやかくれんぼで遊ぼうとする*7ような純真無垢な娘でね……」
「つまり結局、付き合った雌は多くても経験は一度もないんですね?」
「……大きなお世話だ!」*8

『うみうそのなく頃に』 

対象=波乗りNight☆Stage・☆05☆~終了時点。
 
「いよいよ次回は本番&最終回! 気合入れていきますよ~♪」
「ちょっと待って狸吉さん」
「何ですか泳流くん? 今更怖気づいたとか言わないでくださいね。もう君の貝柱はまな板の上のコイキングですよ」
「狸吉さんって、ラブシーンにはポケモンの技や特性を活用したり、ポケモンのモデルになった動物の習性を使ったりする方ですよね?」
「はい。『デコボコ山道の眠れぬ一夜』でハッサムに雄を食べさせたり、パラセクトに胞子をぶちまけさせたりね。それが何か?」
「Wikipediaのシーオッターのページに、こんな記述があったんですけど」

・雄は交尾の際、体制を維持するために雌の鼻をかむ。たいていはすぐに直る軽症で済むが、まれに傷が悪化し、食料を食べられなくなることなどで、命を落としてしまうものも存在する。

「嫌ですよ僕。破瓜の痛みなら覚悟の上ですけど、顔はやめてくださいよ。僕アイドルなんですから」
「……そのアイドルである俺の顔をさんざんポカスカ叩いておいてそれを言うか? お前」
「う……じゃ、じゃあ、瀬波は僕の鼻を噛み潰したいって思ってるっていうんですか?」
「いや、そういう訳では……」
「ねぇ、ところでさ」
「どうしたんです想矢くん」
「〝シーオッター〟って何? 僕、聞いた事がないんだけど」
「……別名〝ハンティングタイガー〟。この異名や上記の行動から分かるとおり、非常に凶暴な動物です」
「えええぇっ!? ブイゼルやフローゼルって、そんな怖い動物がモデルだったの!?」
「こらこらおっさん。いくらシーオッターの和名が〝海獺(うみうそ)〟だからって嘘はやめろ」
「海獺もあんまり一般的な名前ではありませんけどね。一般的なのはアイヌ語名。〝ハンティングタイガー〟もアイヌ語名に漢字を当てた*9のを無理やり英訳したものでしょうし」
「さぁて、ブイゼル系、もしくはシーオッターらしいエロネタとは何なのか? 次回のお楽しみです。ニヤニヤ」
「強引に締めてごまかしたな……」

『栄光の瞬間』 

対象=波乗りNight☆Stage・☆06☆~ラブシーン終了時点。

 流れ星のように一直線に水面へと向かう俺を、渓谷の左右に設けられたスタンドに総立ちになった観客たちの声援が迎える。
 その時、観客たちの中で一輪の紅い花が揺れるのが、俺の視界の端に止まった。
 振り向けば、それを俺に向けて翳していたのは、幼いブイゼルの雌の子だった。
 スタンドで背伸びしながら可憐な花を一所懸命に振って見せる何とも愛らしい仕草に、俺の背中の上に乗った、チコリータの巨大着ぐるみをまとった中年オヤジ*10が手を伸ばし――
「ぎゃあああああっ!?」
 次の瞬間、俺はその男を振り落として水面に叩き込んでいた。
「ぷはっ! 何するんですか突然!?」
「『何するんですか』じゃない! 俺の射精イメージに勝手に割り込むな!」
「少しは空気を読みなさい、このお邪魔虫!」
「うう……酷い……本当は僕こそ間違いなくこの場面にいた筈なのに……」


泳流「か、勘違いしないでくださいね。本編とは関係ありませんから……」(汗)

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お名前:

*1 祈理ちゃんは『くろいまなざし』に登場したププリン。ちなみにこの小屋の中のポケモンたちは、全員『フレ!フレ!ポケライン』の進化前組の駒たちである。
*2 コミックス3巻収録『最強のクラブの巻』より
*3 蓮花さんの言い回しは、まるっきり鳥○センパイそのものであるwww
*4 この滝は『キャニオン・ジャンプ』の飛距離チャレンジコース『ドラゴンフォール』。
*5 特性〝鮫肌〟
*6 特性〝威嚇〟
*7 特性〝鈍感〟
*8 裏話:泳流の前任者として、シャチをモデルとしたキャラを出そうという構想があったのだが、まとまらなかったため候補全員をトリックルーム化した。伝説ポケを遊園地のプールに入れるのは無茶なのでカイオーガは検討していない。
*9 猟虎。
*10 狸吉。夏休み大作戦2008当時はチコリータの気ぐるみを愛用していた。現在はもっぱらジグザグマの着ぐるみを使用。

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Last-modified: 2010-04-04 (日) 00:00:00
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