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木箱の中にいる

/木箱の中にいる

 writter クロフクロウ


注意
この小説には官能表現があります。




 やんちゃしていたロコンの頃をよく思い出す。大人の言葉を聞き入れるも、自分の中に沸き立つ好奇心を無視出来ず、自分の体験したことのない世界へ踏み入れるあの感覚。
 そんな子どもの心を思い出すほど長い時が経ったのか。いや、キュウコンとなった今でもまだその事を思い出すだけ胸の内には秘めているのだろう。隣には子どもより遥かに青くさい相方がいるのだから。
「ねぇ、本当にあの中にあるの?」
「あいつの情報ならあの建物の中にあるって間違いないんだけどな」
 死角となる草むらに隠れ、目的となる石垣で出来た建物を前に、いつもの二匹は出番を伺っていた。
「けど、アタシたちがそんな盗賊団のアジトにこっそり潜入するなんて、師匠さんに知られたらどうなるやら……」
「遺跡から大切な石板を盗む輩に遠慮なんてねーよ。最後にゃ、バレなきゃいいんだから」
「いいのかなぁ、そんなので」
 調査士として各地を旅するフローゼルのアルア。行動する時は常に前を向いているのが彼の真骨頂だが、クゥヤはそんなアルアに呆れたため息を吐く。大胆な行動に出るのは嫌いではないが、少々後先のことを放り投げるのが玉に瑕。
 遺跡の調査として同行したのだが、途中で盗賊団に襲撃され貴重な石板が盗られてしまった。跡取りを追ってここにアジトの前に来たのはいい。目の前の見張りのポケモンからどうにか隙を見つけようとしているのだが、なかなか突破口を開けないでいた。
 敵の基地の侵入は初めてではない。何度か忍び込んで情報を得ようとしたこともあるのだが、アルアたちの師匠に目を付けられかなり釘を刺されている。無論、今回はかなり大きな規模の盗賊団となるのだから、知られればただで済むはずがない。
 だが、口で止められても止まらないのが彼らだ。やりたいことが出来なければやれるようにする。誰かに止められて踏み止まるのはつまらないことだからだ。
 西日も落ちてきて、辺りの風景はまた昼間とは違った顔を映し出す。暗闇に紛れ込めればリスクは減少する。とにかく今は好機を伺っていた。
 ……なのだが、ここに来てから今日のアルアは少し何かがおかしい。クゥヤは侵入のチャンスよりも、アルアの様子の方が気になっていた。
「てかアル」
「なんだ」
「いつになく間抜けな顔してどしたの」
「な、なんだよ急に。別に、こんな仕事さっさと終わらせたいだけだよ。無駄話している暇があったらしっかりチャンスを伺え」
「ふーん、そんな集中しているような風には見えなかったけど。言いたいことあるならちゃっちゃと言えばいいのに」
「あ? うるせぇな、なにが言いたいんだおめーはよ!」
 ちょっと気晴らしにからかってやっただけなのに、アルアは牙を剥き出しに怒りをぶつけた。普段なら適当にあしらったり指摘したりするだけなのに、あまりの憑依にクゥヤはたじろぐ。
「そんな怒るようなことじゃないじゃん……。やっぱイラついているでしょアル」
「おめーが余計な事を言うからだろうが!」
 痺れを切らしたのか、アルアは感情のままにクゥヤを怒鳴り付ける。それも辺りに響くようなかなりの声量で。
「おい、誰かそこにいるのか」
 その声に気付いたか、見回りの団員がこちらに向かってくる。見つかったら潜入どころではなくなってしまう。そうなってしまえば色々と取返しの付かないことになってしまう。そんなヘマだけはしたくない。
「ちょっと、どうするのよ! あなたのせいなんだからね!」
「うるせ! だいたいおめーが……って、今はそんな場合じゃねぇ!」
 とにかく身を潜められる場所に隠れなければ、と二匹は無造作に近くの隠れそうな場所に潜む。
 丁度目の前に蓋の開いた木の箱が置かれていたので、クゥヤは慌ててその中に飛び込んだ。箱の大きさは小さいが一時的に隠れるには致し方ない。あとは物音を立てないよう、息を止め気配を消す。
 徐々に足音が近くなっている。木の葉を踏む音が真正面から聞こえるほど近くにいる。緊張で胸の鼓動が大きくなるが、すぐには気付いていないようだ。
「あれ、おかしいな……」
 自分たちが先ほどまで留まっていた場所に見回りの団員がいる。少し行動が遅れていたら見つかっていたかもしれない。そう考えると肝が冷える。
 見回りの団員は誰もいないことを確認すると、その場から立ち去って行った。
「なんとか免れたかな……」
「そうね、とりあえずは……。てかさ、アル。なに一緒に入ってるのよ!」
「うるせ! おめーがこっちに入ってくるからだろうが!」
 お互い慌てて近くの木箱に身を潜めたので、二匹同時に同じ木箱に入ってしまった。何も考えず飛び込んだ木箱は、クゥヤだけならまだ余裕があるものの、アルアと入るととてもじゃないが身動きがとれないほど。しかもキュウコン独特の九本の尻尾が、よりスペースを縮こまして余裕を無くしていた。
 それだけならまだしも、クゥヤは並のキュウコンとはかなり体格が大きくそれに伴い尻尾も太く大きい。自分の身体がここまで影響を及ぼすことはあまり意識して無かったが、ここに来て仇となっている。
 だがまだ近くに敵はいる。暴れて物音でも立てたら意味が無い。今はとにかく息を殺し、むず痒い身体を我慢した。
「おい、何そこでぼさっとしているんだ」
「あ、いえ。何か物音がしたので確認を。ですが誰もいなかったので、自分の気のせいかと」
「ふん、ならとりあえずそこの荷物を馬車に乗せておけ。山越え先のアジトに物資を届けるからな」
 はい、と透き通るような返事が箱の中にいてもよく聞こえる。何故盗賊団などに関わっているのかと思うほど気持ちの良い声だ。
「あれ、この荷物こんなに重かったかな……まぁいいや」
 どうやら二匹が隠れた木箱も荷物の一部だったらしく、箱に蓋をされ移動させられている。無論、中に二匹のポケモンが敷き詰められている事に気付かず。
(え、ちょっと、まさかこのまま持って行く気なの……!)
 とにかく何も出来ずにこの場をやり過ごすしかなく、二匹は運ばれる箱の中で身を任せるしかなかった。


◇◇◇◇


「……開かない」
 揺れる馬車で荷物として運ばれるクゥヤとアルア。この狭苦しい木箱の密室から脱出しようにも、中身が落ちないようにしっかりと紐で縛り付けられており、簡単には開かないようになっていた。なら力ずくで箱を壊してやろうと思ったが、狭い空間では思いの他力が入らない。それに妙に頑丈な木で出来ており、力の強いアルアでも全く手応えがなかった。
「どうするのよ。これじゃあ何も出来ないし、このままじゃアタシたち本当に出荷されちゃうわよ」
「出荷っていうか、別の所に運ばれるだけだろ。さっきの話によったら、山越えの先にあるらしいからそんなに時間はかからないだろうし。……けど、流石にこの状況は良くないな」
 息苦しいというわけではないが、自由が利かないというのは妙なストレスを与える。何よりこれだけ密着していれば、お互い暑苦しくて変な気分になってくる。
「じゃあ技とかで壊せない?」
「手も足も動かせない状況で何を繰り出すんだよ。オレはそういう器用な技持ってないし……」
「じゃあ、アタシがピュッてひのこを出すからそれで燃やして……」
「やめろ! オレが丸焼きになるわ! 少しは考えろ!」
 冗談のつもりだったのだが、本気で焦っているアルアのトーン。クゥヤは真面目に説教させられている気分になり少し機嫌を損ねた。
「それくらい我慢しなさいよ。あーあ、これが本当のお荷物ってわけね」
「おま、ふざけたこと言ってんじゃねーよ!」
「うるさいわね、近いんだから大声出さないでよ」
 箱の隙間から僅かな光が漏れているものの、お互いに何も見えない状態だ。だが顔が近いのは感覚で分かる。
 今はお互いに横に寄り添い、少し体を曲げないといけないが楽な姿勢を保っている。だが激しく揺れる馬車の振動で箱は大きく弾み、身体の節々に痛みが生じる。本音を言ったら早くここから出たい。
 だがそれ以上に、クゥヤはアルアの容態が気になっていた。先ほどから感じるアルアの焦燥感。ただ予想外の展開に気持ちが落ち着かなくなっている感じではない。この程度のハプニングは日常茶飯事、決して珍しいことではない。ちょっと自虐的だが。
 クゥヤの胸の内に嫌な予感が過る。もしかしたら、そうなのではないかと。もしそうなら、この状況で相手してやるのかと。
 いや、まさか今は敵の真正面。いくらアルアでもそんなことはしないだろう。そうクゥヤは達観していた――
「アル、聞いてる?」
 アルアはクゥヤの問いかけに無視した。何か意識しないように自分に言い聞かせているような間合い。
「暗いから何も分からないんだからさ、返事くらいはしてよ」
「……なんだよ」
「脱出は出来なくても、これからの事考えてるの? アタシたち、今敵の懐にいるようなものなのよ」
 外の状況はどうなっているのか分からないが、近くには馬車を引く馬のポケモンと先導するポケモンがいるに違いない。おまけにこの木箱が敵のアジトに送られどうなるか分からない。勝手に箱が開くようになるのは淡白な考えだ。仮に敵に見つかった時どう行動するか、緊急事態には色々と策を練らないと痛い目を見る。
「とりあえず、こっから脱出しないとな。今は馬車の上だから、荷物が降ろされる時にチャンスを伺うしかないかな」
「それまでこの状態ね。あとさっきから小刻みに揺れているから、大きな揺れには注意しないと――」
 するとクゥヤの予言なのか、ガクンと馬車が大きく揺れた。何か大きな石でも車輪に引っかかったのか、その衝撃で木箱がひっくり返る。
「大丈夫? アル……」
「まぁな。おめーの尻尾のおかげで特になんとも」
 幸い、クゥヤのボリュームのある尻尾がクッションとなってくれ、強くぶつけたような衝撃は無かった。だが箱がひっくり返った影響で、お互いの体勢が変わった。アルアが箱の底に背を付くようになり、その上でクゥヤが覆いかぶさるようにアルアの上に乗りかかっている。
 要はクゥヤがマウントを取った形になった。クゥヤの大きな体がアルアを覆い、ふわふわした毛がアルアを包み込む。
 突然の状況にクゥヤは言葉に詰まる。普段から悪ふざけで密着したりするが、今は妙な意識がクゥヤの中に渦巻いている。ゼロ距離とも言える近さに、普段意識していないものが沸き立ってくる。
 けど不毛な自尊心がお互いにある以上、そんな甘い空気は彼らにはあまり意味を成さないかもしれない。
「クゥ、おめーさ……」
「なによ」
「またデブになった?」
 いきなりの言葉に、クゥヤは思わずアルアに強烈なキツネパンチをお見舞いしてやった。言葉より先に脚が出てしまったが、まぁそんなことは関係ない。
「ってぇ! ぶつことねーだろ!」
「あなたがぶたれるようなこと言うからでしょ! なんなのよその言葉は!」
 感触的には頬に当たったか。いい感じにジャブが入ったのか、痛そうな声でアルアは訴えた。ざまぁみろ。
「けど前より……その、なんだ、色んな所が柔みを増しているというか……。最近まともに体動かしてないだろ?」
「この状況で言う? ……まぁ最近旅もスローペースだったし、こないだ寄った町での食べ物は美味しかったし……」
 クゥヤ自身もその危機感はあった。元々体重が増えやすい体質なわけで、少しでも怠けるとすぐにふくよかになってしまう。体重が旅に差し響きは無いのだが、事あることにアルアから突っ込まれるため、前よりはそのことに意識していた。
 けど、そのふくよかなクゥヤの腹から尻にかけての重みが、アルアにとってかなり危険な感触となっていたのだ。その事にクゥヤは気付くことになる。
(……あ)
 クゥヤの腹の辺りに、硬くて生暖かいモノの感触がぞわぞわと。少し粘液を含んだぬめりが毛に付着し、その時点で理解した。
(なに勃起しているのよ、こんな時に……)
 推測するまでもなく、アルアの愚息だろうとクゥヤは心の中で深いため息を吐いた。暗闇の密閉された空間で表情もどんな目をしているのかも分からないが、アルアの呼吸が少し荒くなっているのはそれとなく感じ取っていた。
 それとは別にアルアから匂う、いつものソレとは違うニオイ。恐らく、いや確実にだがこのゼロ距離の閉ざされた箱の中で、アルアは完全に盛り申している。
 木箱の中に入る前に明らかにアルアの様子は少し違っていた。クゥヤの予感していた事が的中した。沸き立つ盛りに精神が安定していなかったからだ。
 まさかとは思ったが、それがまさかこんな状態、こんな時に盛りを煽ってしまうのは後悔が押し寄せる。一定周期に盛りを迎えるオスはいるが、アルアの場合は不定期に訪れる。原因はよく分かっていない。普通のフローゼルとは少し違う、何か特別な事情があるのは確かなのだが、根本な意味合いはまだ謎のままだ。
 勃起するのは勝手だが、ここでそんな発散させるようなことをしては示しが付かない。そもそも敵の懐で交尾などシャレにならない。
 だが、そんな精神状況で事の突破が出来るとは思わない。盛りに苦しむオスは正直見ていられない。どちらにしろ、この状況下で出来ることは限られている。
(ああもう、しょうがないわね……)
 気は進まないが、覚悟を決め相手をしてやるしかない。今更拒否をする理由などないのだから。
 だが、簡単にはヤらせない。容易に相手をしてやりアルアの思い通りに事が進むことが、クゥヤにとって一番の屈辱なのだから。
「……どしたのアル、さっきから落ち着きがないんじゃない」
「そりゃ、こんな狭苦しいところじゃ暑くてかわなねーだろ。しかもおめーとだし」
 ググ、とアルアの肉棒がせり上がるのを感じる。並のオスならこれくらいが最大なのだろうが、ここから一気に大きく固くなるのがアルアのだ。
「その割には元気じゃない。どうしたの、何か言いたいなら言いなさいよ」
「おめーこそ何か言いたげじゃないかクゥ。声に出さないと伝わらないぜ?」
 お互い退く気が無い。その気にはなっている、ただ一言を発すればそのモードに入るというのにその一歩を踏み出さない。先に踏み出してしまえば楽になるのだが、先に踏み出せば不利になってしまうことをお互いに理解している。
 お互い先にマウントを取りたいのだ。先に主導権を握って屈服させたい。ただ交わるだけでは面白くない。一連の行為の中に勝ち負けがあった方がより盛り上がるのが二匹の考えだった。
 ――のだが、今は木箱に詰め込まれ身動きが取れないうえに視覚が遮られた暗闇。あまり凝ったやり取りは出来ない。
(やば、アルのニオイに釣られてアタシまで火照って来たじゃない……)
 だがそうこうしているうちに、勃起した肉棒から強烈な雄のニオイがクゥヤの理性を蝕んでいた。素直に認めたくはないが、自分もアルアと交わりたい意思がどこかに潜んでいたことに複雑な心境を抱く。
(すごいチンチンおっきくなっているなぁ……。本気でエッチしたいんだ……)
 もう昔のように感じる、あの洞窟の中で初めて交わったあの日。少しアルアを煽ってやったらもうあれよあれよと一線を越えた出来事。その感触、衝撃は鮮明に覚えている。
 まるで丸太のようなアルアの肉棒。一級品の太さと長さを備え持つ巨棒に怖いとか、気持ち良いとか、そんな余計な感情を無しに、アルアとの相性が凄まじく合致して溺れた。だが不思議なことに、一度交わった夜が過ぎ去りし時も、抱く感情が全く変わらなかった。まるで夢の一時だったかのような、もしくは――遥か昔から体験していたかのような懐かしい感覚。
 その後もアルアとは幾度か交わって深めて来た。周期的に訪れる、お互いに盛って苦しい時はなかなかにハードな時もあった。それが今日はかなり波が来ている。今にも弾けそうなアルアの肉棒が体に当たり、クゥヤもすっかりその気になってしまっていた。
 盛ったオスにこれでもか、と体を密着させ性欲を煽っていたのだ。もうすっかりアルアも出来上がっている。
(もういきなりヤっちゃうしかないよね。あれもこれも、全部アルが悪いんだから)
 全ての原因をアルアに押し付け、自分は何も悪くない。そう責任転載して罪悪感を押し殺した。心の中では言い聞かせるも、自分の体に嘘は吐けない。股座からツーッと汁が垂れているのがふっくらとした後脚に伝わる。融通の効かない体になってしまったことを、今は少し恨んだ。
 腹部と後ろ脚の部分にアルアの肉棒が当たっているので、少し体制を頭の方向にずらせばいい具合にハマるかもしれない、そう思いクゥヤは体を揺らす。
「なにしてんだよ」
「おんなじ体制でいちゃ、体が痛くなるから仕方ないじゃない」
「おいおい、こっちは全く動けないんだから下手にもぞもぞ動くなよ」
「うるさいわね、こっちはぎゅうぎゅう詰めで体が痛いんだから我慢しなさいよ」
「それはおめーがデカい体しているからだろうが」
「なに、それってどういう意味よ」
「そのまんまの意味だよ」
 肉棒の先端がクゥヤの秘所にぴったりと付いた。このまま少し腰を落とせば肉棒は鞘に収まる範囲に入っている。先端だけでもうヒクヒクと感じているのが分かる。クゥヤもすっかりその気になっていた。
「素直に言ったらどう? いつまでもそんなひねくれた口でいたらいつか痛い目みるよ」
 おめーが言うな――反論と同時にズドンッ、一気に腰を落としてやった――
「うるせぇ、デブが」
「――ひゃあっ!?」
 とやりたかったが、落とす前に落とされた。いや、突き上げられてと言うべきか。あまりにいきなりのことだったため、クゥヤは腹の底から甲高い声を上げて喘いだ。
 先端から中腹くらいしか挿入していないにも関わらず、すでに秘所はみずびたしになっている。暗いところで目が見えないのが吉か凶と出たか。恐らくあられもない顔をしているが、見られなくて済んだ。
「おいなにしてんだ。敵に見つかったらどうするんだ、変な声出すなよ」
 アルアの意地悪な声が耳に響く。狙っていた。暗闇で状況が分からない事を逆手にクゥヤをハメた。好機到来と言わんばかりに、アルアはクゥヤの尻を両手で掴み、ゆっくりと腰を動かしている。
(ああっ、くそっ、してやられたわ……!)
 体が動かないというのはでっちあげだった。クゥヤの気が緩んだ瞬間に喰ってやろうとしたアルアに軍配が上がった。巨物が独りでに挿入されたことよりも、駆け引きに負けた事の方が悔しかった。
 膣がはち切れんばかりと吸い付く、アルアの肉棒。平均的な同種族のオスとは比較にならないほど巨大な肉棒は何度交わっても衝撃を覚える。太く、長い肉棒をすっかり覚えてしまったクゥヤでも、一度交わるとそう簡単に平常心は保てない。
「ア、アル……! ぐっ、ああんっ……!」
 ジュプッ、ジュプッ、と厭らしい音をたてながら、クゥヤの膣を犯していく。声を殺してなんとか耐えているものの、それも時間の問題だろう。
(ああ、おっきい……アルのチンチンやっぱり凄い……)
 巨木なだけでなく、絶妙な腰の突き具合がより快楽を増す。ひとつ突く度に身体中の奥から衝撃が走るような快感。この衝撃がクゥヤにとって最も狂わす味のひとつ。しっかり尻で固定され、押しつぶすように手を固定されていることがより締め付けを増す。ふっくらとした尻がギュッと肉棒を締め付ける感覚、嗚呼アルアとヤっているのだなとハッキリ分かる瞬間だ。
 だがこのままアルアに堕とされるのだけは勘弁願う。クゥヤも快楽に浸りかける自分を押し殺し、理性を掻き寄せる。
「……ちょっと、アル……」
「なんだ……」
 ようやく目が慣れてきて、アルアの影がうっすらと見える。思ったより顔が近く、いい具合に目と目が合いそうだった。
「アタシなんだか暑くなってきちゃった……アルのひんやりした体で冷まさせて……」
「お、おい待てよ……今オレも火照ってるんだ……あんまり意味は無いぜ………」
「何もしないよりマシよ……」
 ここに来てくだらない意地が言葉を防ぐ。クゥヤの膣はもう我慢の限界を越えあられもないことになっている。それはアルアも分かっているだろう。
 まだまだ始まったばかりなのに、この空間がより興奮を高める。木箱という超密室にて、お互いの息とニオイがあっという間に充満し、ムンムンと胸の内から欲が滾る。アルアと交じるだけでなく、場所と空間だけで何倍にも膨れ上がることに、クゥヤの興奮は更に欲情する。
 ギュッと脚を使って全身で抱き締める。アルアの言った通り、お互いに興奮しているのかあまり冷たいとは感じない。けどそれは別にどうでもいい。
(んふ、気持ちいい……アルのニオイ凄いエッチ……。ああ、こんなすっごいエッチなニオイ初めて……)
 絶対に口には出せない。けどそう自分が感じてしまっている。淫行に出たくて仕方なくなっている。いい具合に引き締まったアルアの身体、何もかも遮断した空間でひたすらに求める感覚が凄まじく欲情を掻き立てる。まるで外とは違う空間に閉じ込められたかのような、何者の邪魔も入らない特別な時間。
 息つく間もお互いの火照った息を交換し合っているかのよう。何をしようともあらゆるものが搔き立つ。異常な空間に全てがどうでもよくなってくる。
「んっ……はぁ……はぁ……」
 絶え間なく腰を振るアルアも興奮が勝ってきたのか、小さな喘ぎ声を上げる。口上では躍起になっているも、溜まりに溜まった性欲を発散させるとなると自然に溢れてくるものなのか。
 それはクゥヤも似たような状態だった。
「んぅっ……あっ……そこだめ……」
「……どう、した……クゥ……? やけに情けない声出してるが?」
 あくまで平常な状態を貫くスタイルなのか。決して交尾の事に関して言及するつもりは無い。アルアがその気なら、クゥヤも引くわけにはいかなかった。
「別に……アルこそさっきから声が変だけど……?」
「そうか……? まぁ、あついからな……声出さないようにしているだけだ……」
「そう……」
 お互いに無駄な張り合いだと分かりきっているが、ここまで来たらやめられなくなっている。愚かで滑稽なやり取りだが、そのやり取りこそ肉感的な潤滑油となるのは彼ら独特の間合いなのだ。
(ゆっくり腰を動かしてるとすっごい濡れる……アルのチンポの形がはっきり分かる……)
 まだ根元まで入っていないにも関わらず、この気持ち良さは言葉では言えない。満たすために欲張っているわけではなく、ゆっくりと味わうように。程よい上下運動が堪らなくなっていた。
(気持ちいいよぉ……アルのチンチンでいっぱい犯されてる……!)
 気持ちの続く限り、この良さを味わっていたい。何度も、何度も。
「ちょっと、足が痛いな……」
「えっ……? あっ……? あああっ!?」
 両手でクゥヤの尻を強く掴み、アルアは自身の腰を一気に突き上げる。半分までしか入ってなかった肉棒が一番太い、根元の膨らみまで膣内に収まり腹の奥までつんざす。腹はボコッと小さく膨らみ、自らを犯している巨物の形がはっきりと分かる。同時にクゥヤの膣からは多量の潮が吹き出した。
(あ、あ、奥に……根元まで挿入って、イ、イっちゃった……こんな深くまで挿入れられるの久しぶり……あははっ……)
 全ての感覚が一か所に集中している。暗闇の中、余計な事を一切考えず行う行為に二匹は酔い痴れていた。どんなに口で争っても、根本的な部分は分かりきっている。言葉だけでなく、目で、心で、身体で。
 アルアはこれで完全にスイッチが入ったのか、慣れない体勢にも関わらず強く腰を突き上げる。意外にも身体の柔らかさがあるアルアにとっては満更でもないことだろう。
(あっ、あっ、奥でキュンキュンしてる……精子欲しいんだ……エッチで熱いのが欲しいんだ……っ!)
 ギュブッ、と膣内で肉と肉が交じり合う刺激が絶え間ない快楽を醸し出す。キュウコンの中でも体格の大きいクゥヤですら、アルアの一物は凌駕する。だがそれがクゥヤにとっては最も刺激的な瞬間。断じて巨根が好きになったのではなく、アルアのモノが身体にマッチしただけ。そう願いたいものだ。
(でもゆっくり動かしているから、なかなか射精しないのかな……。けどこんだけいっぱい時間かけてエッチしたら……量も凄いのかな……)
 根元まで深く動かしながらも、やはりいつもの体勢ではないからか。激しい動きが行えない。ちょっともどかしくもなってくるが、贅沢は言えない。
「あついな……クゥ……」
「そうね……アタシですら……ちょっとボーっとしてきた……」
「だな……」
 お互いに発する息と汗で木箱の中は蒸し風呂状態になってきた。頭の思考が熱で麻痺し、細かい事が考えられなくなってくる。
 こうなってくると、もう何が起きるか分からない。アルアの中に潜む、有りのままの性欲が牙を向いて来る。その発端として、力の限り腰を動かした。
(んっ! んっ! 激しくなってきた……! 出すんだ……アルのチンチン、ビュッビュッしちゃうんだ……!!)
 メスを孕ますオスの目。光が無くともはっきり分かる。余計な感情を剃り落とし、今のアルアは種付けにひたすら没頭する淫獣だ。
(んふふっ、気持ち良さそうな顔してる……アタシも……気持ち良いよ……アル……っ!)
 それは自分もそうかと、僅かに残る理性にて改める。淫乱な自分はいったいどうアルアに映っているのか。クゥヤ自身でも理解しきれない感情、ひたすらに肉欲を求める自分は本当に自分なのかと。
 今はただ、この空間で精一杯アルアを感じていたかった。
(きて、アル……! いっぱいいっぱい出して……っ!)
 ギュッと強く抱き締め合い、アルアは思い切り腰を打ち付けた。クゥヤの最奥に自らの精を流し込むかの如く、強く、雄大に。
「ーーっ!!」
 腹の底にとてつもなく熱い波が押し寄せてくる。その波は静まることなく、何度も何度も。
ドプドプ溢れる精は一瞬のうちにして一杯になり、腹が膨れる。収まり切れない白濁の液は、結合部から溢れ出てお互いの股座を汚す。
(で……でてる……す、すごすぎる……アルの……!)
 大きさも並みで無ければ、出る量も相当なモノだった。膣内の袋を満たすも、未だ溢れる粘り気のある液が脚を伝って落ちるのが分かる。元はと言えばアルアが盛って求めてしまったのだから、それは溜まっていたのだろう。
 幾度と続く長い射精がようやく終えた頃にはもうお互いの思考は何もかも止まっていた。あれほど意地を張っていた口を開く元気も無く、ただお互いの性器が擦り合うだけ。
 ズボンッ、と縮こまる肉棒が引き抜かれ、一通り波が収まった。栓が抜かれ収まり切れない精液がドロドロと滝のように溢れ落ちていく。こんな凄まじい量の射精は初めてだ。
 お互いに息を切らし、何とか薄れかかった理性を取り戻そうとしている。
「……何見てんのよ」
「……可愛くねーやつ」
 最後まで素直になれなかったが、これが二匹の関係なのだから仕方がない。そう思ってなんだかんだやってきたのだから。


◇◇◇◇


「……おーい、この箱だったか?」
「どれか忘れちまったから、適当に開けていけ」
 ハッと我に返ると、何やら外が騒がしい。馬車での揺れはとうに治まり、ゴソゴソと荷を解く音が聞こえる。どうやらお互いに満たしている間に、木箱は目的地に運ばれて来たらしい。
「ヤ、ヤバッ、どうするのよ」
「ぐぐっ、こうなったら……!」
 二匹が入っている木箱の紐が解かれ、木箱の蓋が開かれる。久しく思える光が差し込むと同時に、二匹は行動に出た。
「な、なんだお前たち――うわっ!」
 木箱を開けたポケモンにアルアはタックルをかまし、強引に脱出した。
「うおお! 今だあ!」
 息つく暇もなく、アルアとクゥヤは全速力でその場から走り去った。突然のことに、団員のポケモンたちは対応出来ず呆気にくれていた。
「いってぇ……なんだったんだ今の……ってうわああっ! なんだこりゃ!」
 残された木箱の中は、金色の毛と小さな水たまり、そして大量の白濁の液で見るも無残な中となっていた。




 山から下った森の中、木陰に身を隠し、息を整える二匹。追っ手などは来ていないものの、突然の出来事に心の準備も行っていなかったので無我夢中で走り切っていた。
「危なかった……強引だったが何とか巻いたな……」
「ホント、アルの力技はこういう時に頼りになるわ……」
 森の木々からの月明かりがとても心地よい。暗闇に閉じこもっていた闇とは全く違う清々しさが新鮮だった。
「てかクゥ……」
「何?」
 まだ息の上がっているアルアだが、直ちに確認したいのか詰め寄ってくる。
「なんだ、その尻尾……めちゃくちゃ走りづらそうだったよな」
 九本の尻尾にうち一本を、自身の股座に括り付けている。不自然な姿に違和感があったのだろう。
「ああ、これちゃんと尻尾で栓してたから……あっ……」
 尻尾を引き抜くと、ドプッと精が溢れ出してくる。先ほどのまぐわりでたっぷりと種付けされた膣内だ。ロクにしてなかったらあられもないことになっていた。
「ああ……あれだけ出したから……てか、アル……?」
「わりぃ、実は治まってねぇんだわ……もう一回抱かせてくれ」
 そう言うと、股座からムクムクと肉棒が肥大していく。出したばかりにも関わらずクゥヤの溢れた精液を見るだけで再び勃起するとは、相当な性欲の持ち主。
「もう! 節操のないんだから!」
 いや、それは自分も一緒かな、とクゥヤは薄らに口角を吊り上げた。




後書き

 いったいこいつらはどこでなにをヤっているんですかね、ムカつきますね(^ω^)

 今回のお話は雨宿りを書いてくださった、ひぜん氏との話の中で、『アルアとクゥヤが木箱の中でエッチするのってよくないですか?』と私が口を滑らせてしまったのが発端で。狭い空間の中でイチャイチャにまぐりあうのって非常に浸ると思います(真面目顔
 ひぜん氏にて書いてくださった雨宿りがあまりにもエッチすぎたので、私もこの二匹でエッチなのが書いてみたくなりました。エッチな関係にするつもりは無かったのですが、何故かエッチな関係になってしまいました。なにやっているんですかね。
 連載しているお話の方では一切エッチな描写は入れるつもりは無いので、こういう番外編みたいなお話ではとことんふざけていこうかと思います。……いや、やっぱり真面目なお話も書きます。

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  • どうしてこうも私は大事な作品にすぐ反応できないのだろうかと後悔、そして準100%アルクゥワールドで久々の休日の午前が見事に染まりました(?
    さりげなく貴重なクゥヤ視点は、身を重ねあう場では初めてでしょうか。アルア視点で、感じつつも素直な言葉を口にしないクゥの頭の中がこんなにも可愛いとは、アルのモノからナニにまですっかり虜になっちゃってまぁ…。
    勘の鋭いところは流石、慰めてあげようとする健気さと器の大きさ、それを許せるだけのふたりの関係がいつ見ても尊い。濃厚なフェロモンに導かれる様にしてお互いに発情のピークを密室で迎えるエロさが存分に描かれていて、まさにあの時お話した際に思い浮かべた構図そのもの、それ以上に楽しませていただきました。理性が溶け切ったクゥヤの思う一言一言がとても素直で可愛くて(2回目)、ちんちんビュッビュッしちゃうんだとかもう雄を求めることしか考えられない頭から出てきた幼い表現がずるくて可愛い(3回目)と思います。クゥヤ視点でありながら、アルアの視点も見てきたせいかおかげか、場面場面でアルアから見たクゥヤの堕ちていくまでの様子、だらしない表情がアルアの言葉遣いのままに別の物語となってこれも勝手に楽しめそうで、いや実際楽しめましたね。相も変わらずアルア視点では素直な反応を見せないクゥヤが、実はこんなにトロトロになってアルアを求めてるんだと分かるともう尊い以外の何物でもないです。激しさ抑えめなまぐわいに物足りなさを覚えているようですが、鍋でじっくりコトコト煮込んであげるような濃厚さがまたいい味を出していて私は好きですよ!、ゆっくり腰を振られながら、自ら脚で挟み密着させてくるとことかも大好きですし、最初から最後までピークでした。ようやく三分の一くらい語れた気がしますが流石にコメントにこれ以上残すのはくどいので続きはWebで -- ひぜん
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Last-modified: 2019-05-02 (木) 21:51:47
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