忙しい人のためのイーブイズ!
第01回 -はろうぃん-
10月31日はハロウィンです。 ハロウィンと言えば、「トリック・オア・トリート」。子供達が家を巡り、この台詞を宣言すると、大人達は用意していたお菓子を配る習慣があります。 もともとこの行いは……
「そうそう、お菓子用意しとかなくちゃね。」
エーフィは読んでいた本に栞を挟むと、部屋の隅に置いてある箱を開いた。
中にはきれいにラッピングされた色とりどりのグミ。ハロウィンで配るために手に入れておいたものだ。
「おねーちゃーん!」
と、部屋の扉の向こうから子供の声。
「あら、さっそく来たわね。」
エーフィは念力で扉を開けた。
「とりっくおあとりーと!おかしくれなきゃいたずらしちゃうぞ!」
声の正体はイーブイ。エーフィの弟だ。
「はいはい。じゃあ白いグミでいいかな?」
「やったー!」
イーブイはグミを受け取ると、うれしそうに飛び跳ねた。
「ところでイーブイ、"お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞ!"はちょっと違うって知ってた?」
「んー……どういうこと?」
エーフィの言葉に、イーブイは不思議そうに首を傾げた。
「"トリック・オア・トリート"って、もともとは英語の言葉なの。英語は音のリズムを大切にする言語で、その最もたる文化が詩などにおける頭韻、脚韻なのよ。」
「うーん……よくわからないよ。」
「ちょっと難しかったかな?」
エーフィは念力を使ってイーブイを胸元に抱き、話を続けた。
「分かりやすく例にすると、"トリック・オア・トリート"は英語の"trick"と"treat"で最初の発音が同じなの。」
「あ!じゃあバオッキー、ヤナッキー、ヒャッキーもそうなの?」
「似たようなかんじね。で、これをもとに訳すなら、"お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞ!"じゃなくて、本当は"お菓子くれなきゃ犯しちゃうぞ!"が正しいのよ。」
「さすがおねーちゃん!ものしりー!」
エーフィの説明にイーブイはぽんぽんとにくきゅう拍手。
「ありがとう。じゃあ他のお兄ちゃんお姉ちゃんからもお菓子もらっておいで。」
「うん!じゃあもらってくる!ありがとうおねーちゃん!」
イーブイはそう言うと、籠をくわえて走っていった。
「……しかしよくそんなとんでもない嘘をすらすら言えるもんだな。」
突然の低い雄声は部屋の隅から。
「あら居たの?ブラッキー。」
エーフィが振り返ると、ブラッキーはエーフィに歩み寄った。
「ところで、俺が"トリック・オア・トリート!"って言ったら何かもらえるのかな?」
「そうねぇ」
エーフィの回答は一瞬だった。
「私はお菓子をあげずにブラッキーに犯されたいなっ♪」
「やっぱりか」
イーブイの運命やいかに?!(続きません。)
セピアがチーン!
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