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小さな絆〜新たな旅立ち 第2歩

/小さな絆〜新たな旅立ち 第2歩

作者:COM


「ごちそうさまでした!」
そう言い、食事を済ませた。
「母さん、今日はどの位ポフィン持っていくの?」
とキズナが聞くと、
「そうね…流石にお父さんが今から作るから、わたしは何個になるか分からないわ。」
そう答え、それに付け加えるようにレイが
「ひとまず、いつも通り5000個だ。残りは作れるだけ作る。」
そう答えた。
「うへぇ…毎回単位がおかしいと思うんだけど…」
「5000個でも足りないんだよ。午前中で売り切れるからな。」
と説明しながら工房のほうに歩いていった。
「キズは木の実を仕分けておくれ、いつも通り母さんの指示に従うんだぞ。」
そう言いながら工房の奥に消えていった。
「ねえ、母さんは父さんのどこが気に入ったの?」
不意な質問で少し驚き気味に、
「えっ?そうね…父さんの気に入ってる所…強くて、優しくて、いつも傍にいて…」
そのままいくつも答えを挙げていた。
「あちゃあ…聞くんじゃなかった…永遠に聞かされそうだ…」
そう言いながらも渋々横で聞いていた。
一時間ほど経ち、大量のポフィンを乗せた荷車の周りにみんな集合していた。
「いつもながらすごい量…それじゃ、持っていくよ?」
「ああ、悪いが父さんは、今日は用事があるから一緒には行けないからな。」
そう言い、そのままどこかへ歩いていってしまった。
「なんだ…またか…ねえ母さん、最近父さんおかしくない?」
そう聞くと、
「最近どこかにいっつも行ってるわね。大変そう。」
そう言うだけで、ニコニコとしている。
「母さん、浮気してるとか、怪しいとかないの?」
「ないわ。父さんも考えてることがあるのよ。さあ、広場に行きましょう。」
そう言い、広場に向かって進みだした。
「……そうか…それじゃまた今度…今度は付き合ってもらうからな。」
「レイ!誰と話してるんだ?」
ブレイズがレイに声をかけると、
「お、おぉ…ブレイズか…誰でもないよ。さ、広場に行こう。」
そう言い、誤魔化した。
「ホントか?メスだったらキッシュに言いつけるからな~。」
わざとらしく言うと
「それだけは絶対に無い。あと、この事は誰にも言わないならお前にも教えるよ。」
「なんだ?やけに真面目に…いいだろう!オスの約束だ。言わないぜ。」
………
「そういうことか…分かった。この命に賭けて守ろう。」
そのことについて会話しながら移動していたため、目的地にも丁度着いた。
「あった。今日はあいつらの十回忌だからな…」
そう言い、籠から花とポフィンを出していた。
「十回忌?墓参りか?」
そう聞くと、
「ああ、あの事件の会った日。森には大なり小なりの遺体が出来てしまったからな…」
「てことは…あの晩の死者への墓参りか?」
「それは後でみんなで行く。ここに眠ってるのは…俺達の命の恩人みたいなもんだ。」
そう言いながら花とポフィンを供え、黙祷をしていた。
「恩人…ねえ…そうか…死んじまってたのか…そいつは一体…」
黙祷を止め、ブレイズのほうを見て、
「グリム、そしてその部下の三人組だ。森の遺体を安置するために回収している際に…四人とも同じ場所で死んでいた。」
そう、少し遠くを見るような目で言った。
「グリム…夜の支配者か…俺がここに来たときは森のボスだった。」
ブレイズが思い出すようにそう言い、
「そして…俺がここに残る理由になった人物だ。」
そう言った。
「そういえば…みんなはどうしてるんだ?お前には会えたが…流石にみんなは俺の事を恨んでるだろうな…」
「いや、皆一週間ほど待っていたかな…しかし、現れる事は無かった…」
「そうか…」
レイがそう言い、少し俯いた時、
「しかし、全員最後まで待った。そこでみんなで決断して各々、別れることにした。恨む者は居なかった…この《かわらずの石》があったからな…」
そう言い、羽で埋まっていたネックレスのようにしていたかわらずの石を見せた。
「持っててくれたのか…そうか…安心したよ…それならみんな無事に暮らしてるな…」
そう言い、そのまま立ち去ろうとしたその時、
「ん?供えたポフィンはどこにいった?」
供えていたはずのポフィンが忽然と消えたことに気が付いた。
「きっとグリムが食ってくれたのさ…お前さんのポフィンは美味いからな。」
そうブレイズがレイに言うと
「馬っ鹿じゃないの?死人が食べるわけ無いでしょ?」
そんな声がどこからか聞こえた。
「誰だ!死者を愚弄しおってからに!今すぐ出て来い!」
声を荒げて声の主を探すブレイズ
「君か…そのポフィンはグリムに供えたものだったんだが…」
そして、レイは木の上にいた一匹のアブソルを見つけてそう言った。
「じゃあ別に文句無いでしょ。私の父親の墓の物なんだから。」
そう言い。ポフィンの最後の一欠けを口に放り込んでいた。
「お前か!今すぐ降りて来んかい!」
完全にブレイズは怒っているためレイが落ち着かせ、
「父親ってことは…君はグリムの娘か?」
そう聞くと、
「そうだよ。クレアだ。あんたがレイだね。私と勝負しな!」
そう言いながら木から降りて、身構えた。
「悪いがそいつは無理だ。どう見ても君は今、万全じゃない。」
そのクレアと名乗ったアブソルは、毛並みが悪く、艶も消え失せていた。
「ちょっと待て!お前さん、クレアと言ったか?何故レイに勝負を申し込むんだ?」
ブレイズがそう聞くと、
「理由は無いよ。私はただ父さんの果たせなかった森の完全なる平和の夢を叶えたいだけだ。」
「どういうことだ?もう十分平和だろ?」
レイがそう聞くと、
「父さんは絶対に誰も傷つけさせないために、力で平和を作ろうとしたでけさ。それをこの鳥がぶち壊して、あんたが死に追いやった!」
そう言い、切りかかってきた。
が、それを躱し、横からレイが押しただけで力なく倒れた。
「力が生む平和は恐怖しかない。いずれは脆く崩れ去るものさ。」
「なら…どうしろと!結局父さんは死んだ!森のポケモンもたくさん死んだ!それで平和なのか!」
クレアがそう叫んだ。
「忘れないことさ。死んでいった人達、その過ち、そして…残された者…母親は居るだろう?帰るんだ。」
嗜めるようにレイがそういうと、
「母さんは…クシナは死んだよ…とっくの昔に…私に帰る場所は無い!」
そう言いもう一度飛び掛るが、ひらりと躱し、前足で軽く押さえつけた。
「クシナ…クシナ?もしかしてキュウコンかい?」
レイがそう聞くと、
「そうだよ…!くそっ!足をどかせ!」
そう言いもがいていた。
「クレアが母親になってたのか!懐かしいな…」
そう言いながら足をどかしていた。
「なんだ?その言い草だと、あんた母さんを知ってるのか?」
そう聞いてきた。
「ああ、クシナは俺がトレーナーで旅をしていた時のパートナーだ。」
「あははははは!何を言い出すのかと思ったら…あんたはレントラーだろ?人間じゃない。」
切り捨てるようにそう言い放つクレアに対し、
「信じないかもしれないが、俺は前世の記憶がある。そしてその時、クシナは俺のパートナーの内の一匹だったんだ。」
「確かにあんたの名前と母さんが言ってたトレーナーの名前は同じだ。だがそれだけで信用は出来ない。」
そう言い切るクレア、
「そうだな…美しい毛並み、綺麗な紅の瞳、そしてどんな時も優しく、おしとやかであまりバトルは得意じゃない方だったな…」
そう言うと、
「!!…あんた…ホントに母さんを知ってるのか…なあ、私は強くなりたい。少なからず父さんに認められるくらいには…母さんの話じゃあんたは優秀なトレーナーだったそうだから…お願いだ!私に戦い方を教えてくれ!」
頭を深く下げ、そう言った。
「そうだな…教えてやってもいいが…一つだけ条件がある。」
クレアのほうを見てそう言うと、
「なんだ?別にどんな条件でも構わないよ。」
「そうか、じゃあ家で暮らすことだ。」
きっぱりと言った。
「はあ?何で私がそんなことを!…」
「さっきも言った通り、君は健康状態が悪い。だから家に来て、しっかり食事を取って、しっかり休むことだ。」
そう言い放った。
………
「父さん…遅いなあ…人には遅れるな!とか言っといて…」
「まあまあ…そのうち来るわよ。」
と広場で待ちぼうけて居る二人の元に、
「よお!悪い悪い。遅れた。」
そう言い、レイとブレイズがやって来た。
「遅いよ!父さん僕には遅れるなって言ってたくせに!」
「悪かったって。そうだな…それじゃ約束破ったから、一つだけ言う事聞くよ。」
と謝りながら言った。
「やった!それじゃ久し振りに午後からは一緒に広場を回ろうよ!」
満面の笑みを浮かべ、そう言った。
「分かった。約束だ。」
「ねえ…そのあなたの後ろに必死にしがみついてるその子は…誰?」
とキッシュが聞いた。


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お名前:
  • 返信遅れて申し訳ありません

    >>名無しさん
    今の所、直接的な続編というのは考えてないですね。
    申し訳ありません

    >>アルファさん
    お久し振りです。
    リクエスト、お口にあったかどうかは分かりませんが、ひとまず報告だけ。
    名無しさんと同じく続編はないですね…すみません。



    今は暇がほとんどないので無理ですが、ゆくゆくは書き直しついでに続きでも書きたいかなぁと…。
    今の連載分すらほとんど書いていないので…目処は全く立っていません。
    ――COM 2013-05-11 (土) 14:52:45
  • キズナとアレンがどうなるのか気になりますね。

    最後に催促するようで申し訳ありませんが、
    続きを期待しています!!!
    ―― 2013-05-07 (火) 21:47:59
  • 催促するようで申し訳ないのですが
    続きってありますか??
    あるのなら激しく期待(#・∀・♭)
    ――アルファ ? 2012-07-14 (土) 05:28:42
  • 勝手ながらコメント欄を作成させていただきました。

    キズナの物語ですか、非常に楽しみですね。コッポとパッチも成長していて、面白いです!
    彼がトレーナーとどう出会っていくのか…楽しみにしています、頑張ってください!

    …ひとつ提案なのですが、外伝とはいえ、初めて閲覧する方は解らないと思いますので、キッシュ、レイ、キズナの種族名も載せてみては?
    ―― 2011-11-13 (日) 21:56:24
  • コメント欄作成ありがとうございます。
    実は今、一斉にコメント欄がないと面倒くさいことに気付き作っている最中でした。
    そうですね…確かに種族名を入れたほうがいいかもしれませんね。
    ありがとうございます
    ――COM ? 2011-12-07 (水) 00:04:50
  • 何度もくどく言うのは嫌いなのですが、何度も指摘され、今後も同じ指摘がこないよう一応報告程度にさせていただきます。
    コメントページが上がるのはわかりますが、作品ページが上がっているのは修正されたからでしょうか?
    作品の修正などのみで更新する場合は大幅な変更がなければなるべく更新履歴に載せない方がいいです。作者さんの自由ではありますが、一度意見が出ている以上は少しばかり考えられた方がよろしいかと。
    ―― 2011-12-07 (水) 00:45:24
  • 申し訳有りません。
    あまりこういう操作に慣れていないので履歴に乗せないようにすることを
    忘れていました。
    今後はこういう事が無いように気を付けていきます。
    ――COM ? 2011-12-07 (水) 16:34:28
  • あ、いや…そんな謝るようなことではありませんよ、そこまで気にしなくて大丈夫ですよ。
    作品の投稿は作者さんの自由ですから、「絶対あげるな」なんて言える方はいませんし、寧ろ読ませて頂いている身として縛り付けるだなんてもってのほか。

    COMさんの作品はどれも素晴らしくてぼくも毎度読ませていただいておりますが、「そんな事は気にせず作品を読めばいいのに」と思っていますし。
    しかし気になって言う人はいますので、知っておいて損はないと思われます。そんな思いでのお節介ですので、全体的な判断はCOMさん自身にお任せします。
    最後になりますが、これからも頑張って下さい、応援しております!
    ――[[2011-12-07 (水) 00:45:24]] 2011-12-07 (水) 18:01:42
  • すみません…最近涙脆いもんで。
    リアルに泣きました(´;ω;`)アリガトウ…
    ちょっとばかり他の小説を書きますのでこちらは更新が遅れますが、
    近々上げたい作品がありますので…
    頑張ります!(`・ω・´)
    ――COM ? 2011-12-08 (木) 21:40:44
  • イイハナシダナー。にしても大胆だなぁクレアちゃん。まさかの展開に驚きました。また新しい作品を書いてくれると嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。 -- 暇人 ?

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Last-modified: 2011-11-16 (水) 00:00:00
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