SOSIA.チラ裏的作品その二
※注意
この作品には意味不・版権ネタ(パロ)・キャラ崩壊が含まれます。
そんなのヤダって人は"戻る"でバック願います。
◇簡易キャラ紹介◇
○ハリー:フーディン
探偵。
○ペロミア:リーフィア
喫茶店『ウェルトジェレンク』のウェイトレス。
○ライア:エーフィ
絶世の美少女。
「ストーカーですか。この国だと何だか穏やかに聞こえちゃいますね」
「うむ。だがある意味で強姦の類より悪質だ。被害者に纏わりつく粘着質の恐怖……まあ、それも今日で終わる。犯人の素性はほぼ掴めた。あとは今晩、被害者の家に現れるのを待って捕縛するのみだ。ペロミア君も気をつけたまえよ」
「ええ……お客さんの中にもそういう
無法国家ランナベールでしがない探偵業を営むフーディンの
これまた常の通り、そのポケモンはやってきた。まあ、この国の兵士であるその仔は私と違いオフの日しか来ないが。
ウェイトレスのリーフィア、ペロミアが来店した客に頭を下げ、案内する――動作が、何か違った。
「えと、あの……シオンさん……ですよね?」
「いえ……
小柄なエーフィは自己紹介すると優雅な所作でお辞儀をして、にっこりと微笑んだ。
まだ随分若い。少女と言ってもいいだろう。
「あの……私、名乗りましたっけ?」
ペロミアが戸惑い気味に聞き返した。接客に慣れているさすがのペロミアも、シオン……いや、そのライアというエーフィの少女への対応に困っているようだった。
「あら、ごめんなさい……わたし、その、読心術が得意なもので、無意識のうちについ……」
似すぎている。シオンというエーフィは何の間違いか、もともと
「お、お席にご案内いたしますね……」
「あ、わたしここで恋人と待ち合わせを……あ、ハリーさーん!」
ライアは前足を上げてくいくいと振ってきた。何だというのだ。知らんぞ私は。ライアというエーフィの少女など……
「は、ハリーさんの彼女!?」
「待てい、私は――」
ライアは体をわずかにくねらせながら、一本の線の上を歩くようにしてハリーの座っているカウンター席まで近づいてきた。
「わたしに待てだなんて……長い間待たせちゃったのはわたしのほうでしょう?」
そして、上目遣いで覗き込まれた。近づかれたせいか危険な香りは強度を増し、泣いていないのに潤んだような琥珀色の瞳にそういう視線を注がれると年甲斐もなくどきりとする。
「ハリーさんったらこんな仔が好みだったんですね。シオンさんと仲が良いのもそのせいなんですか?」
「違う! 私は何も――」
「あらあら。ハリーさんったら照れちゃって……わたし達、こんなに仲が良いんですよー」
座っている姿勢だったライアが上半身を浮かせ、両の前足でハリーの腕に抱きついてきた。見た目どおり滑らかな肌触りで、柔らかくて温かくて……まずい。悩殺される。否。精神を確り持つんだ。高い精神力はフーディンの特性だ。高すぎる記憶力ゆえに嫌な記憶を忘れることができないから、如何なる悲惨な過去を抱えることになろうと生きてゆけるように発達した超強力な精神力が――
「君! 離れたまえ! 牡牝同権が主張され始めた陽州では法改正されて相手が
――あるはずなのだが、途中から何を言っているのか自分でもわからなくなり、遂には絶対に触れるべきでない禁忌に触れてしまった。
「これ、ですか……?」
ライアはハリーの腕から離れると、首を少し傾けて華の笑顔を見せた。
「ふふ。似合いますか? ジルベールの職人さんに作らせたオーダーメイドなんです」
やはりそうか。薄々感づいていた――薄々どころか、最初から確信していたが、相手が自白して知らない振りをできなくなったとき、どう反応すればよいのやら皆目見当が付かず、誤魔化していた。ペロミアも同じだったに違いない。
が、もう無理だ。この気まずすぎる雰囲気はフーディンの精神力を以てしても耐えられん。
「何をしているんだね君は……」
ハリーは嘆息しながらコーヒーを一口含み、ライアから目を逸らした。直視していると脳が誤作動を連発して
「と申しますと……」
なんたる図太さか、ライアはまだとぼける姿勢を貫くつもりらしい。
「シオンさんですよね?」
ペロミアもわかってはいるだろうが、やはり本人の口から聞いて確認したいという衝動は抑えきれないようだ。
「シオンさんじゃありませんライア=ラヴ=ノイズですっ」
「ヅラ的に否定*1しても無駄だよシオン君。
ライア――シオンはハリーの指摘を受け、つまらなさそうに口を尖らせた。そういう所作も可憐で、また脳が誤作動しそうになる。イカンイカン。
「ちぇーっ……せっかく孔雀さんに協力してもらってキレイになったのに。ね、どうですかハリーさん? 今の僕」
「いつぞやのレアチーズケーキ詐欺*2の時よりたちが悪いな。私ならその容姿だけで
「はあ。こんな感じですか?」
シオンは前足を軸に逆立ちの姿勢でくるりとターンすると、ハリーに別名をキューピッドと呼ばれるラブカスの水鉄砲*3をタネマシンガン並みの速射性で撃ちまくってきた。
「百万ディルの笑顔っ♪」
――その後のことは覚えていない。フーディンである私の記憶に空白が生じたのは進化して二十余年、初めてのことだった。
気づいたら喫茶店の奥で寝かされていて、店主のミルタンク、トモヨに「アンタもそこいらのオッサンに変わりはなかったようだね」と意味深な言葉を告げられた。
これが忘れるということだったのだと、ケーシィの頃に失った感覚をそれこそ何十年ぶりに味わうことができた。
無論、もう二度と体験したくはないがね。
~Fin~
避難所の避難所にて
時にシオン君。 あの探偵の前で女の子の振り+化粧してみてくれ! 探偵がどうなるか観察してみたい……
とのリクがありましたので書いてみました。
普段はシリアスな話なんでこういうの書いてる時は作者自身も気が楽で、楽しかったです。
何かあればコメントいただけると嬉しいです。
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