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夢なのか、いずれ来る訪れなのか…

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夢なのか、いずれくる訪れなのか…


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かつて人間が住んでいたであろう一軒家。
その廃墟に僕らブイズ家族は静かに過ごし、人間が遺した家具なんかを利用して暮していた。

何故利用しなくなった家を壊さないのか不思議でたまらないイーブイの僕"ケイ"は最近、奇妙な声が聴こえる事に不安感を抱いていた。

得体の知れない声は不気味で、初めは一時的だと思っていたものが日を追うごとに次第にはっきりと聴こえてくる…

ブースターである"炎安(しやす)"父さんに話しても、
「気のせいばい、考え過ぎじゃなかか?」
と笑いながら言うだけですぐに話を逸らす。

最後の頼みでエーフィの"紫恵美(しえよ)"ばーちゃんから聞くと、どうやら声に気付いていたようで、
「多分…この声は、じーちゃんの声たい。
ケイは憶えとらんかもしれんばってん、じーちゃんの声たい。 間違いなか。」
との事。

更に詳しく聞くと、僕が三歳の時に病気で亡くなったそうだ。
祖父が生きていた頃は、よく僕にポロックなんかをくれる優しい方だったとか。
幼かったせいか、祖母の言う通り当時の記憶は僕には無い。

そんな僕も今年から十三歳で人間で言う中学生なのだが、やっぱりあの声が怖くて眠れなく、その事を祖母に話したら一緒に寝て貰える事になった。
何故かしらないけど、同じイーブイであり、
僕のかわいい妹の"夢理舞(ゆりま)"も寝に来た。
何故か祖父の遺影が有る和室で

祖母と妹に挟まれて寝る安心からか、気付いた時には僕は…



「…ケイケイ…」

誰かが僕を朧げな声で呼ぶ。
小さくて聴き取れないその声だが確かに聴こえる声に恐怖を感じて僕は、閉じている眼を更に固く瞑る。

ケイ……ケイケイ…」

声が段々と大きくなる声をに誘われたのか僕は目を開き、おぼつかない足で歩み、観音扉の前に座る。
意識は有るのに身体が無意識に動いている不思議な感覚で、これまた不思議と恐怖心は無かった。
恐怖心の代わりに
"助けてあげたい"
の一心が有るのが自分でも判る。

暫くすると、観音扉が音も無くゆっくりと開く。

扉の先は異様なまでに明るく、神々しい雰囲気だった。
そしてやけに広い。
その中にはブラッキーの祖父の姿が。

記憶には無い筈の祖父だが、何故だかそれが"祖父"だと分かった。

「おぉケイ、よぅ来んしゃったな。 もっと側に来るたい、お菓子もあるけぇ。」

そう言ってポロックを差し出す祖父。

その言葉を聞いた瞬間、僕からは一雫の涙が溢れ落ちた。 そして、そのまま祖父の元へと歩み寄る。
理由は分からなくても良かった。

「母さんも来んね、孫と楽しむたい。」
「ばーちゃん!?」

気づくと後ろに祖母が居た。
でも、目が虚ろで何処かおかしい。

暫くポロックを頬張っていると、奥の方が開けて、見慣れない景色が広がった。
そして、その景色はとても美しい。


「…時間たい。 さぁケイ、向こうに俺の家がある。 母さんも行くばい。」

そう言って祖父は、異様な光の向こうへと行こうと、祖母の手を握って歩いて行こうとする。

「…どうしたケイ、早く来るたい。
大丈夫、向こうは愉しかばい?」

僕は行けなかった。 脚が固まって動かない。

「来んとか…じゃあ母さん、行くばい。」

「まって! ばーちゃんを連れてかないで!!」
無意識に祖母の尻尾を掴んでは連れ戻す。

こんな言葉が出たのもまた、無意識だった。

そしたら祖父は祖母の手を放し、何も言わずに淋しげな表情で奥へと消えていった。



そのまま意識が途絶えて…






「…あれ、此処は?」
「起きたかケイ! 大丈夫か?」

聞きなれない父の不安げな声と見慣れない景色に僕は困惑する。

「ケイにーちゃん大丈夫? 何とも無かと?」
声がした方を向くと、妹が今にも泣き出しそうな目で僕を見ていた。

「父さん、此処は…?」
「病室だ。 夜中に夢理舞(ゆりま)が慌てて俺の所に来たから何事かと思ったら、ばっちゃんが血を流して倒れてたんだ。
それで、おまえを起こそうとしたら息が止まってるじゃないか!
じゃけん、急いで病院に搬送した訳だ。」

ぎこちない父の説明と今の状況で僕は少し考えた。

あの神々しい光は、天国の光だったのかもしれない。
多分、あのまま奥に行ってたら二度と戻ってこれなかったのかもしれない。
祖母も、そして僕も…

「ばーちゃんは!?」
「心配無か、今は安泰ばい。」

その言葉でようやく、僕は胸を撫で下ろす。
そこで初めて妹が僕の脚を握っているのに気づく。

「もしかして、ずっと握ってたの?」
「…うん、そうしなきゃケイにーちゃんがどっか行ってしまいそうで…」
「でも、何で足?」
「ウチにも分からん。 ただ手じゃ、ダメそうな気がしたけんね…」
「そっか…」

……もしかしたらじーちゃんは、淋しくて僕と祖母を天国に招き入れようとしたのかもしれない………

ありがとう夢理舞(ゆりま)。 本当にありがとう……





ーあとがきー

て事で、
夢なのか、いずれくる訪れなのか…
でした。

この作品は、私が実際に体験した不思議な夢を小説化した物です。

別にポケモンじゃなくて良くね?
と言う苦情(? は受付ております(笑)

また話にある通り、私が中学生に成り立ての頃に観た夢です。
(夢の後、本当に祖母がよろけてその拍子にガラスを割って怪我したのは焦りましたがΣ(゚д゚lll)

※修正を行い、アナグラム(と言っていいのかな?)を採用しました。(2015/07/13)

最新の5件を表示しています。 コメントページを参照

  • 不思議な体験をなされたのですね。とても不思議で引き込まれる作品です。
    ブラッキーはクールorキザなイメージがありますが、寂しがりやなブラ爺さんが
    何か可愛らしいw

    あと個人的に、ブースターの名前は作者名そのままではなく、少しアナグラム
    したもの(あるいはカタカナにするとか)にすれば、自然に慶様の分身であることを
    表現できるかなと思いました。
    コメント失礼しました。頑張ってください。
    ――かまぼこ 2015-06-26 (金) 21:26:44
  • ↑主人公はブースターではなくイーブイでしたね。申し訳ありませんでした。
    ――かまぼこ 2015-06-26 (金) 21:33:51
  • かまぼこ様。
    返答遅れてしまい、申し訳ございません。
    本当に不思議な夢で、今でも憶えています。
    ブラッキーは、私もクールなイメージがあったので、初めはリーフィアにしようかとおもいましたが、寂しがりなブラッキーも有りかなと思ってリーフィアは没になりました(笑)
    また、私の作者名は、いいアナグラムが思いつかなかったので、訓読みをカタカナにしたシンプルな形になりました。
    因みに、登場ブイズはアナグラムした物を漢字に変換したものです(ブースターは当て字ですが…)
    最後に、コメントありがとうございます。
    ―― 2015-07-13 (月) 22:38:16
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Last-modified: 2015-06-24 (水) 15:21:36
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