作・雪猫 ?
世界観は現在の地球そのままです。
全てが人間仕様です。
登場人物についてはポケモンになってしまった訳だが - 登場人物をご覧ください。
前・ポケモンになってしまった訳だが
09/11/04 7話公開
「やっぱり人が集まってるな」
「予想通りだな。でも……なんで皆こっち見てるんだ?」
駅前に降りて見たのはいいものの、何だか回りの視線が俺達に集中している……。なんだか恥ずかしいぞ。
鳥ポケモンに乗ってやってきたのが珍しかったのかな? そんな事より散策だ。少しでも情報持ち帰えらないと来た意味がないからな。
「やっぱり店は全部閉まってるなぁ……。しかも結構荒らされてるぞ。大学前より酷いな……」
ものの見事に窓やら壁やら扉やらが壊されていてそこら中に瓦礫の山が……。
特にコンビニは酷い。全部無くなってる。
「何時の戦後だよ……」
溜息しか出ないな。仕方は無い……とはいえ、荒らすのは止めて欲しいよ。
というか警察は何をしているんだ? さっさと取り締まらないともっと酷い事になるぞ?
って、警察も何もかもポケモンになってるんだったよな……。
「これじゃあ何も出来ないな。どうするよ?
「どうもこうもなー。兎に角歩いて見るか」
商店街……は最早原型を留めてないな。きっと技か何か使ったんだろうか。
俺はポケモンやった事あるからある程度知識あるが、やった事ない連中はどうなんだろうな。
突然訳の分らない生き物になってしまうって。それで訳も分からず技を発動しちゃったりして。
「なぁ、直哉。技何か出した事ある?」
「どうした急に。俺はまだ空を飛ぶくらいしかしないな。技を使うといってもよく分らん。どうやったら出せるのかも知らんしな」
「だよなー。俺もぜんっぜん分らないよ。翔とか南達はどうやって使ったんだろうな?」
「さぁな。帰ったら聞いてみるか」
「そうする」
それにしても色々な種類のポケモン達がいるな。結構バランスよく変わっていったのかな?
伝説ポケモンになった人はいるのかな……いたら羨ましいな。ルギアとかエンテイ辺りに憧れる……。
あのピンク色の丸っこいのはプリンか。確か歌うと眠ってしまうんだよな……って歌い始めたよ……。周りのポケモンみんな寝ちゃったよ。
あのポッタイシは何をやってるんだ? 手に何か持ってる様だが……あぁ、腕が曲げれなくて困ってるのか。ドンマイだな。
クチート……生でというか三次元で見るとすごい怖いな……あ、アチャモが食われた。と思ったら吐き出された。
なんだあの赤い物体は? ……コイキングか……ずっと跳ねてるぞ。流石にあそこまで来るとご愁傷さまとしか言えないな。
処で、あそこにいる二人組は何だ?
ブースターとブイゼル……ブイゼルはカメラを持ってるな。重そうに。
「さぁ、これはスクープなんだから絶対他の局より早く放送するわよ」
「分かってます。分かってますが……カメラが……」
「ちょっと、しっかりしなさいよ! 貴方カメラマンでしょ?」
「そんな事言われましても……お、重い……」
「兎に角、早く始めるわよ!」
「わわっ、待ってくださいよ~」
何やってるんだか。
――――――――――――――
「くそう、暇だぁ!」
雄介は直哉と一緒にお空の散歩……。
「俺だけ仲間外れですかそうですか」
これだったら、途中で落とされてもいいから雄介達に付いて行けばよかったかなぁ……。
PS3……wii……どれも出来ない……。DSもPSPも出来ない……。
嗚呼、俺の愛しのマグマラシちゃん(6体。倉庫には数百匹)を育てることが出来ないのか……。
死ねる……暇過ぎて死ねる……。
「テレビやってるかな……」
この前自宅で点けたときはどこの局もやってなかったんだよな。
まだそんなに日が経ってないし、まだ放送再開してるところは無いかもな……と思いつつもチャンネル回してる俺がいる。
『情報ライブ・コガネ屋』
って、一局だけやってるぞ?
お、これはコガネさんのニュース番組じゃないか。
『え~、長い間放送が中断してしまい申し訳ありませんでした。突然この様な事になりまして驚いている方もいらっしゃると思います。私も驚きました』
だよな~。俺もこのもふもふ具合に驚きました。もふもふ。
『私もこの様な姿になってしまいましてね~。一応人の形をしているものですから生活に支障は出ていないのですが、他の方はかなり大変な思いをしているのではないでしょうか?』
うん、大変だ。すごい大変。愛しのマグマラシちゃんを育てれなくてすっごく大変。
でも今は自分がマグマラシだからいいかな!
『さて、街の現状を伝えようと思いまして駅前の方に当番組のリポーターを派遣しているんですよ。
『は~い、こちら現場の綾瀬です。只今中心部、駅前の方に来ています』
『そちらはどのような状況でしょうか?』
『そうですね、御覧のように荒らされています。特にコンビニエンスストアは酷いですね。商品、特に食料品を中心に盗まれているようです』
う~ん、やっぱり駅前もこっちとそんなに変わらないのか。
て言うかこっちより酷いな……。殆ど瓦礫の山だろ……。
『ちょっとこちらの方にお聞きしてみましょうか。すみません~ん、よろしいですか?』
うわ、雄介が映ってるよ……。
――――――――――――――
おいおいおいおい、こっちに来ないでくれよ。
テレビとか恥ずかしくって出たくない……。
「こんにちは。あなたはええと……何ていうポケモンですか?」
この人はきっとポケモンを知らない部類の人間だったんだろうな。
まぁ、テレビ局なんて忙しすぎてゲームなんかやる暇無さそうなイメージあるしね。
「あ、俺はブラッキーです」
「そちらの方は鳥になってますね」
「俺はピジョンだ」
「そうですか。あ、そうそう、因みに私は何て言うかご存じです?
「あなたはブースターですね。炎タイプですよ」
そしてもふもふです。個人的にブースターは好きなのだが……流石に見ず知らずの人にもふりに行くのは失礼だよな。
知り合いにブースターになった奴居ればいいなぁ……。そしたらもふもふ……。
「あのー? よろしいですか?」
「え? あ、はい!」
いけないいけない、変なこと考えてしまった。
「突然ポケモンになってしまった訳ですが、今のお気持ちはどうですか?」
「ええと、少し戸惑ってます」
「戸惑っている……と言いますと?」
「この姿ではまともに生活出来ませんからね……家を出るのもやっとです。こうして駅前に来るのにも友人がいないと出来ませんからね」
「そういえばこちらの……ピジョンの方に乗って来られてましたね。お住まいは遠いんですか?」
ここで話題変えますか。あまり突っ込んで欲しくないな……。早く解放されたい……。
「大学の方から……」
「結構遠いのにわざわざ来たんですね~」
「わざわざ」は余計だ。来て悪いかこんちくしょう。
「今のこの現状をどう思いますか?」
「どうもこうも酷いの一言でしょう。見れば分ると思いますが。きっとどこかの
「きゃあっ!」
爆発音の様な音が聴こえた……と思ったら、このブースターの後ろをはかいこうせんが横切って行ったような気がするけど……気のせいであって欲しい……。
てか、店が丸々一軒吹き飛んでるんですが。
そして直哉は何所いった。……あいつ、いつの間に俺を置いて逃げたな。薄情者め。
「わわっ! 一体何が起こったのでしょうか!?」
いや、リポートしてる場合じゃ無いでしょう。いくら仕事でも。崩れてきそうだし逃げようよ。
それに、カメラマンのブイゼルさんはさっきの爆風とカメラの重さに耐えきれなくて倒れてますよ?
にしても、一体誰だよこんな事したやつ。ろくな奴じゃなさそうだな。
ん?奥から誰か来たぞ?
……バンギラスですか。
何で俺を睨んでるの……。
「おい……そこのお前……何ジロジロ見てるんだ……」
そんな事言われても、目の前ではかいこうせん撃たれたら誰だって見ると思います。
……バンギラスってやっぱりでかいなぁ……今俺がブラッキーになってるというのもあるんだろうが、それでもでかい。
俺なんか簡単に踏みつぶされそうだな。それこそ漫画みたくぺしゃんこに。
「ふん……お前のようなガキには用はない……さっさと失せろ」
「ガ……ガキ……」
俺こう見えても
確かにお前から見れば俺はガキに見えるかもしれないが……なんかムカツクな……。
「誰彼構わず物を破壊しているお前の方が、精神的に十分ガキだぞ」
「なん……だと……」
あーあ、俺なんで喧嘩吹っ掛けちゃったんだろ……。
向こうから何もしてこないんだし、さっさと帰れば良かったのにな……。
変にプライド(?)が高いってのも考え物なのだろうか。
「おーっと、何やら喧嘩が始まろうとしています。しかし、この体格差ではブラッキー君の方が不利のようですが、どうやって戦うのでしょうか! そしてあのとても大きいポケモンは一体!? このまま中継を続けたいとおもいますっ!」
まだ居たんですか
巻き込まれるかもしれないから早く逃げればいいのに。
これもリポーター魂ってやつですか? 命とどっちが大事なんだろうか。
後、このポケモンはバンギラスって言う……
「何余所見してるんだよっ!」
……んですよ……って
ちょ! 急に爪を振り下ろしてくるなよ!
避けれたから良かったけど、もう少しで直撃だったよ?
「おまっ、急に何しやがるんだ!」
「ボケっとしてるお前が悪い」
何だよその理論。
「お前みたいな小さい奴は捻り潰してやる……」
くそっ、こっちも何かしなければやられる……。でも技の出し方が分らない……。
もどかしい! 使えるってのは分かってるのに出せないなんて。
なんかこう、くしゃみをしようとしたら欠伸が出た位にイラつく。
「
あれは、『つばさでうつ』? あいつも技を使えるようになったのか?
『つばさでうつ』で足元をすくったお陰でバンギラスは後ろに倒れたか。
……痛そうだがまぁ仕方ないな。
てか、直哉……今までどこ行ってたんだよ……。
「お前どこに居たんだよ」
「すまんすまん、テレビに映るの嫌だったと言うか面倒だったから、お前を置いてこっそり逃げた」
「……普通はっきりとそう言う事言うか……?」
「悪かったって」
「まぁ良いけど……それよりお前、技使えるのか?」
「あー、なんかヤバそうな雰囲気だったから助太刀に入ろうと思ってな。そしたらなんか技使えた」
「随分と曖昧な……」
もっとこう、具体的に教えて欲しいなぁ……。
「何俺を無視して話してるんだぁ? 随分と余裕だな!」
「ちょ……やめろっ!」
何だか一瞬技が出せそうな気がした。
こいつが爪を振りかざしてきた瞬間、防衛本能みたいな何かが働いた様な……。
……今なら技を出せそうな気がする――――――
「直哉……何だか技を出せそうな気がするんだ……。それまでアイツの気を引いててくれないか?」
「分かった。なるべく早くしてくれよ」
「努力する」
直哉が『つつく』やら『つばさでうつ』やらでバンギラスの視線を逸らしてくれる。
今しかない。集中するんだ……。
頭の中に浮かんでくる技のイメージを描くんだ。
――――― 出せる
どこからか溢れ出てくる力を口元に集中させ、力を一点に集めると紫色の球体が現れた。
気が付かれないように、そして外さない様に慎重に狙いを定める。
「直哉! 離れろ!」
いけっ! ……『シャドーボール』!
口元から放たれたシャドーボールは、一直線にバンギラスに向かって飛んでいった。
そしてそれはバンギラスの顔に直撃した。
うわぁ……痛そうだ……。
「ギィヤァァァァァァァァァアァァッァァ!!」
慟哭が辺りに響き渡る。断末魔の叫びって言うのかな? ……多分違う。
余りの声の大きさに視線が一気に集中してるな。
お前らこっち見んな。なんだか俺が悪いみたいじゃないか。
全部こいつが悪い。俺は正当防衛しただけだ。
「ううぅっ……ぐすっ……痛いよ~」
え?
急に弱々しくなったけど如何したんだ?
子供っぽくなったけど……まさか……。
「お、おい、何かさっきまでと全然雰囲気違うけど……もしかしてまだ子供か?」
「うん……まだ中学二年……」
「え……まだ中学生……?」
「そうだよ。何だかこの体になった途端に、自分が強くなった様な気がしてさ。何にでも勝てるような気がしてそこら中壊しまわった」
「なんだよそれ……」
精神的にガキな大人かと思ったら心も体も元少年ですか。
あー、これは所謂厨二病ってやつ? 邪気眼がどうとかの。
と言うか、バンギラスの声でこういう喋り方させると気が抜けるな……。
「あ、一応俺は大学生だ。こんな体だけどな」
「俺も俺も。見た目は分らんがこいつと同じ大学~」
「え? そうなんですか? ごめんなさい……」
一応悪い奴では無さそうだな。
年上だと分かった途端これだもの。
「ご覧になったでしょうか! このブラッキーが見事巨大なポケモンを倒してしまいました! そして、実はこのポケモンはまだ中学生だったようです! 見た目では全然分りませんね!」
お前はもう帰れ。
――――――――――――――
『以上、現場からのリポートでした』
『恐ろしいですね……皆さんも技には十分ご注意ください! 決して他人に向けて使ってはいけませんよ? 使ってもいいのは夫婦喧嘩くらいですかね』
「おー、雄介も技使えるようになったのか。シャドーボールかっこいいな」
それにしてもあのバンギラスが中学生って……ひどいオチだな。
今時の中学生ってあんなものなのかな。多分違うと思うけど。
そう言えば……腹減った……。もう夕方じゃないか。
ずっとテレビ見てて気が付かなかったぜ。
「誰でもいいから帰ってきてくれ……もふもふだけじゃお腹は膨れない……」
『それでは次のコーナーです。キレイハナお姉さんの天気予報~』
『はーい、皆さんこんにちはっ! 今日は雲一つない快晴でしたね! 明日の空模様は―――――――』
「戻ったわよ」
「お、お邪魔……します……」
「おじゃましまーす。ご飯作りに来たよー」
これで勝る!
もう腹へって死にそうだから、何でもいいから早く作ってくれ!
「今日のご飯は焼きソバだー! 翔、また火お願いね」
……そうでした。ガス出ないんでした。
仕方ないか。ご飯のためにもうひと踏ん張りだー。
ところで雄介と直哉はいつ帰ってくるんだ?
次回
要望にあったポケモン出演予定
タイトルは未定
※雄介以外が一斉に喋っている部分は基本的に上から翔、直哉、南、千春、綾の順番です。
できるだけ分かりやすくするつもりですが、分かりにくかったらすみませんm(_ _)m
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