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グレニンの白い花

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作者:オレ
この作品は自慰(♀)、無理やり(♂→♀)(♀→♂)が含まれます。なお、同性愛は含まれません


「今日は西の方にお渡りなんですってね」
 後宮で一緒にいる女性たちの声が聞こえる。今日も来なかったか、私はそんな溜息を吐く。
「最近の邦芳(くによし)様はお熱の娘がいますからね。私なんて半年もご無沙汰なんですよ?」
 半年なんてまだいい。私なんて後宮に入ってから一年以上、まだただの一度だってさせてもらえていない。
「あの娘は家も上手くとりなしてくれていますしね。まあとりなしてくれたとしても、私のように上手くいかないことも多いですけどね」
 家がとりなしてくれるだけまだ良くて、私などそれさえも無い。父が弱みを握られるなり、私は何を要求されるまもなく差し出された。そのせいで邦芳様はおろか彼女たちからも振り返られない。
「ああっ……!」
 この絶望の日々を忘れる方法は、私にはただ一つしかない。私は部屋の隅で横になったまま声を漏らす。男が聞いたら誘い出される声だと思うけど、ここには邦芳様以外の男は誰も来ない。
「ふあ……!」
 私は自らの秘所に手を伸ばす。青い毛並みはべったりと濡れており、貼り付かれた体の形があらわになっている。太刀の役割で貼り付かせている貝殻は、腿から力が抜けて床に転がっている。今更「無様なフタチマル」と哂われても仕方ない。むしろ哂ってでもいいから私を一人にしないでほしい。
「あふあーーー!」
 たった一度撫でるだけで、私から液がほとばしる。水属性だけに出せる量は多い。干からびて死ねたら幸せだろうとすら思ったことがある。そしてそのたびにもたらされる死ぬほどの苦痛と、思い起こされる家の事情で今生に引き返してきた。



 私の名は玉水輝(たまみずき)。輝く光の雫のような美しさを持ってほしいと、実家の檀家のお坊さんがつけてくれた名前。でもそんな名がついた子供を育てた両親は、何かの弱みがあったらしい。それをつかんだみたいなことをニドキングの邦芳様にほのめかされると、それだけで何一つ脅されないうちに私を差し出した。邦芳様はこの辺でも大地主で、周辺の貴族や武将をも束ねている。処女をいたく好んでいて、後宮には私や沢山の女性を集めている。それはもう、私のように手つかずの女性が沢山出るほどに。

 実家の両親はさらなる脅しに怯えてか、私のことは完全に捨て去っている。私も私で実家への影響をきつく言われていて、どんな小さなお願いもできない。ましてや逃げ出すなんて暴挙に出るわけにもいかず……。
「うあ……! ううーーー!」
 結局願望でしかない相手を空想することがやっとの状態。

 救いは、ありませんか?



「今日は、月が美しい……」
 どれほどの時が流れたか、もうわからなくなりそう。暑さで息苦しい日々が続いて、それでも月に照らされる宵闇の涼しさには癒される。そんな季節感だけが、何とか今を伝えてきている。
「私は名を、玉水輝と言います……」
 廊下の向こうで月見をする女性たちの声は聞こえますが、私は結局何一つ変わらず。欠けることない望月は、私も庭の池も照らす。しかし同じ水であるというのに、なぜか私は輝かない。あって無きものになってしまった私の名に、思いばかりがこみ上げる。
「誰か、誰か私の元へ来てください」
 私の想いは涙と変わり、私の目元から零れ落ちる。そうなった瞬間、まさに私の名のように輝く水の玉となる。どのようなものであっても、私であるうちは輝かないのかと思ってしまう。こんな風に思わされるのなら、もう月など隠れて欲しいもの。
「叶うわけ、ないですよね……」
 そよ風に囁く植木の葉も、一緒に揺れる池の水面も、何一つ答えてくれない。これがいつものことなんだ。言うだけの虚しさを振り払おうと、私は部屋に戻ろうとした。その時……。
「なら、叶えてやろうじゃねえか」
 聞き慣れない、というより聞こえるはずの無い男の声。こんなところでそんな声がするはずがないと思ったところで、何者かが忍び込んでいるということが理解できた。なんとか「曲者」とか「忍者」とかいう言葉が頭によぎった時にはすでに遅し。後ろから殴られた私が床に倒れ込むことに、何一つの抵抗もできなかった。



「へへっ、目ぇ覚めたか?」
「えっ? えっ?」
 唐突の声に、私はただ慌てふためくばかり。体を動かそうにも、満足にいかない。手首足首に紐のようなものが巻きつけられていて、さらにその紐で胴体まで柱に縛りつけられている。
「女には気ぃ使うからな? 柱じゃ痛いと思ったから、布団を丸めたやつにしておいたぜ?」
 なんだか私の心を読み取ったように、間のいい説明。飴でも舐めているのだろうか、声には甘い果実の香りが混ざって爽やかだ。でもその口調はとても穏健とは言えない。どうにか忍者だろうってのを思い出して、このぐれた忍者を言うなら「ぐれ忍」と言おうかなどとのんきに思ってしまった。
「気を使うのなら、いっそのこと放してください」
 とにかく手足を縛る紐を解いてほしい。両腕両脚を後ろに引っ張られている上、布団とやらの柱で背中を押されている。骨格的にも少し痛いけど、それよりもその……何よりも恥ずかしい。押し出されることで強調される場所が場所だ。
「落ち着いているようで、一刻も早くって感じだな?」
「あなたがそう思わせる位置にしたんでしょう。とにかく、お願いします」
 しかもご丁寧なのが私を縛り付けている位置だ。かなり遠くにあるはずの穴倉の窓からは、しかし折良い角度でまっすぐ月明かりが入ってきている。月明かりに照らされた私のこんな恥ずかしい姿を、しかもぐれ忍にはゆっくり眺められる格好だ。ひとまずは強気過ぎず弱気過ぎず無難な態度でぐれ忍に交渉してみる。
「へっ! 出来ねえ相談だな。こうなったら、大体は分かってるんだろ?」
 まあ、簡単に放してもらえないことは想像できていた。でも「大体は分かっている」って、何をだろう? 声のする方では影がうごめくだけで、ぐれ忍の種族すらわからない。まあ、向こうも下手な手出しはできないと思う。月明かりに照らされた私に手を出すには、向こうの姿も月明かりに晒さなければならない。少しでも顔を見せたら最後、邦芳様にこの蛮行を報告してやろう。影がゆっくり闇から出てきた。さあ、もう少し……。
「え?」
「簡単に姿を晒すかよ?」
 お見通しだった。影は月明かりの中でも影のまま。体を覆う帳を、しかも棒で浮かせた状態で動かしている。私とそこまで体格が違うわけではなさそうだけど、そんな体格差すらわからない装束で迫ってくる。
「そんな! そんな!」
「ま、どっちみち言えると思うなよ? 処女至上主義の邦芳がお前がされたことを知ったら、お前の冷遇には拍車がかかるだろうな?」
 ぐれ忍はなおも影のまま、まっすぐに私の腰に手を触れる。一年以上他者に触られていない私の体は、慣れない感触を全身に響かせる。
「ひあっ!」
「なんだあ? さっきの落ち着いた態度が嘘のようだな?」
 全身が太鼓を鳴らすかのように脈打つ。心で認めないとか体が望むとか、そんなことすらも分からなくなりそう。ぐれ忍の声に混ざる甘い香りも私の大事なところを突き出した姿も、全てが崩壊していきそう。
「さて、もう一歩」
「ひゃああん! ああん! ぃあう!」
 崩壊していきそう。腰から秘所に向かう関節の谷間を、ぐれ忍は遠慮なくさする。二度、三度。
「早いものだな。もう濡らしきって」
「あうぅ……」
 早く、もっと……! ずっと干からびていた場所に慈雨が降り注ぐみたい。このままでは私の意識はおろか大切なものまで破壊されると思ったのに、もうそれが何であるかすら思い出せない。今はただ、体が欲しい。誰かが欲しい。体だけでも構わない。
「なんだあ、その物欲しげな目え? 止めるために落ち着いて説得しようとした割に、ちょっとやられると落ちるか?」
「うぅ……」
 帳は隙間なくぐれ忍を隠しているはずなのに、何故かぐれ忍の目が見えたような気がした。それは見下し軽蔑しきったもののはずなのに、私にはそれすらも嬉しい。軽蔑であっても、その目に私が映っていると思うだけで嬉しい。もう、何も……。
「んじゃ、こっからは要求。この屋敷内にある物をお前に探し出してもらおう」
「ふえ……?」
 ぐれ忍の一言が理解できなくて、私の口からは魂か何かが漏れ出す。早くもっと欲しいのに……ようきゅう、要求? その瞬間、思い出せないまま立ち消えていた何かが一気に蘇る。
「笛とは限らねえな。この屋敷は鍵部屋が多くてだ、調べている間に閉じ込められちゃ洒落にならねえから代わって欲しいわけよ」
「そ、それは……!」
 ぐれ忍の洒落がどうとか言っていられない。処女至上主義の邦芳様が、私がこんなことになっているなんて知ったらどうなる? そういえばぐれ忍がさっき、私への冷遇に拍車がかかるって言っていた気がする。そうなれば私の実家だってどうなるかわからない。ましてやぐれ忍に有無を言わさずやられたとかじゃなく、私が手引きしたことになるかもしれない。そうなったら最悪も過ぎる。
「嫌ならいいぜ。このまま中に出して、縛ったまま後宮の真ん中に開放してやるからよ? やってくれるんならこの場限りの秘密にしてやる」
「ひ、酷い!」
 もう体のこととかわからない。ばらして欲しくなければ、屋敷内で盗みを働けとぐれ忍は言うのだ。ぐれた態度に相応しい卑劣なやり方だ。もしその時に見つかりでもしたら、私だってただでは済まない。だからこそぐれ忍は私を身代わりにするつもりなんだろう。
「見つからなきゃいい話だろ? 俺が警戒しているのは万が一の状況だし、お前ならまだ言い抜けできるだろ?」
「そんなこと言われても……」
 捕まった私がこのことを話したところで、何一つ棒引きにもしてはもらえない。ぐれ忍の種族すら私にはわからないからだ。もう生涯解放されないどん底にいたと思ったのに、そこからさらに落とされることになるなんて!
「嫌かあ? どうなんだあ?」
「ひああんっ!」
 全身が一気に突き上げられたように、痺れる。のけ反りそうになった私の体は、布団の柱が元の姿勢でいるように押さえつける。ぐれ忍が私の股ぐらを素早く撫で上げ、私の思考を破壊してきたんだ。もう卑劣とかいう話じゃない。気持ちいい。
「どうする?」
「……お願いします」
 屈した。私の目元から滴り落ちる涙は、それが悔しさからくるものなのかが分からない。もういっそどこまででも落としてほしい。見つかった時はそれこそ処刑された方が楽かもしれない。ぐれ忍は調べる場所と探し出すもの、引き渡しのために会う手段等順に説明していき……。
「ま、邦芳に報告してその時に罠を張るのもありだろうな。このことを報告できるんならな」
「しません、しませんから!」
 最後にさらに脅しを重ねる。そんな手段は思いつきもしなかったが、確かにやろうと思えば可能かもしれない。やろうと思うことの方が無理な話だけど。そんなことより、早く続きに入ってほしい。私は涙声で懇願する。
「へへ、従順でよろしいってやつだ。ほらよ!」
「ひえええん!」
 股ぐらの筋をそのままなぞられただけで、私は壊れんばかりに声を上げる。悶え狂って暴れ狂いそうな私の体を、布団の柱はがっちりとつなぎ止めて動かさない。紐が食い込む手首は痛いはずなのに、それを感じることができない気持ちよさ。
「壊れちまいそうだな? 使えなくなっちゃお目当てが叶わねえから、さっさと終わらせるぜ?」
「ひう! はあ! あああんぅ!」
 ぐれ忍は何度も私のそこを撫でまわし、指先を入れてゆっくりと開いていく。黙っていてくれるなら、もうすべて忘れていい。行為が着実に終着点に向かっていることは、指先とは違う感触の物がそこに触れたことでわかった。
「へへっ、いくぜ!」
「うん、あああはあっ!」
 私の中に入っていく物の感触。初めてだと引き裂かれるようだとか聞いたことがあるけど、全然そんなことは無い。長いこと誰にも相手にされずにきた心細さも、この快楽をより大きくしていると思う。もっと続けてほしい。もっと壊してほしい。もっと忘れさせてほしい。もっと、もっと、もっと、も……。



「うう……」
 体が軋むように痛い。なのに気持ちはどこか軽い。何がどうしてこうなったんだろう? 私は重いまぶたをゆっくり開いて、体を起こそうと試みる。ものすごく苦しい。
「えっと?」
 周りを見てもまだ記憶の糸は手元まで来ない。割と見慣れたこの場所は、いつからいる場所だっけ? そうだ、邦芳様の後宮の私の部屋だった。いくら冷遇されていると言っても、個室を与えられているだけまだいいかもしれない。
「なんか、いつもと違う?」
 寝る向きを意図して決めていたわけじゃないけど、いつもと反対になったことはない。寝相も悪い方じゃないし、布団も乱れていない。昨日はわざわざ変えたかな? 何かあったような、何か……。
「何かっ!」
 ようやく私は思い出して、股ぐらに目を向ける。ぐれ忍はきちんと拭い落としてくれたみたいだけど、どこか腫れぼったい見た目で一目瞭然だ。夢じゃなかった。
「ど、どうしよう?」
 とりあえず、毛並みを整えてここが見えないようにしよう。孕んじゃってたらどうなるだろう? いや、もうどうしようもないか。どっちにしてもぐれ忍の要求は片づけておかないと。放置したらどんな目に遭うかわからない。約束までは長めに時間はくれたし……。
「いや、会わないで済むんならその方がいいんだ」
 一応準備はするけど、案外他のところで捕まってるかもしれない。期待するなんてもってのほかなんだ。会いたいなんて、絶対思っちゃだめだ!
「うーん……」
 一体どの種族なんだろう? 邦芳様は有力者だから、その屋敷はしっかりと警備されている。当然私のいる後宮も。そこに入ってこれるんなら、それなりの身のこなしがあるやつだよな。姿は全く見えなかったけど、指先はどうも爪のようになっている感触だ。そういう形の物を使うという手もあるけど、多分あれは生の指先だ。
「どんなやつなんだろう?」
 あの手際の良さから、次も私を気絶させてからあそこに連れ込むかもしれない。あの場所がどこかは分からないけど、屋敷からそう遠くはないはずだ。ただ物を渡すだけなら連れ込むことは無いと思うけど、もう一度連れて行って欲しいな。
「って、そんなはずないじゃない!」
 駄目だ、どうしてぐれ忍のことばっかり頭に浮かぶんだ? 私に取り返しのつかないことをした酷い奴だってのに! 散々脅してきた奴だってのに! とにかく、やることをきちんとしないと。



 で、やっぱりここに連れてこられた。約束の場所で待っていたら、予想通り後ろから頭を殴られて気絶させられて。そしてこの前と同じように布団の柱に縛り付けられている。今日の飴はこの前とは違う果実の物だ。
「どう? 目的の物、あった?」
「ああ。おかげで全部揃ったぜ。余計なもんも結構あるが、十分だぜ。恩に着るわ」
 ぐれた態度は相変わらず。一日そこらで変わるわけがないか。ぐれ忍は闇の中で、私が用意した風呂敷包みの中身を検めている。物自体はぐれ忍の説明だけじゃわかりづらかったから、やっぱり必要以上に持ってくる結果にはなったか。結構、重かった。
「脅し取っておいて、今更恩に着られても仕方ないだけど?」
「違えねえな。ま、ご褒美の準備はきちんとしているぜ」
 この前との違いは、私が月に照らされてはいないことだ。今も十二分に恥ずかしいけど、照らされていないだけ見えづらいからましかな? ぐれ忍は「ご褒美」って言ったけど、期待しちゃだめだ。どうせこの前と同じことだから、目的はあいつの気持ちよさだけだろう。
「いらない。忍者の子供なんて、孕みたくない」
「ははっ。言われようだな。あんな真似しちゃあ仕方ねえか」
 本当にふざけた奴! 自分がどういうことをしたのかわかってて言っているのか? 私を犯して脅して、したことをわかっていて笑うわけか? でもそれでも、完全に弱みを握られた相手に下手な出方はできない。でも、それでも……全てを抑えることはできそうにない。
「何を笑っているわけ? 忍者なんて所詮道具の分際で、他人様の女を犯して!」
「道具、道具か……」
 ぐれ忍は私の口から漏れ出た怒りを、特に変わる様子も無く口の中で繰り返す。一矢報いられたかなとか思ったけど、すぐに私の置かれた状況に気付いた。怒りに任せて一言返したはいいけど、その後私はどうされるか? まず間違いなく邦芳様にはばらされるだろう。
「その言葉、そっくり返す。実家の親や邦芳にたらい回しにされて、それを信じるでも抗うでもなく甘んじて受ける道具風情が!」
「は? 何を言い出すわけ? 大体私が道具だからって、あんたが道具だってのは変わらないじゃない!」
 ぐれ忍からの反応は、私の予想を大きく裏切った。こんなところを突かれるなんて思わなかったけど、言われてみるとなかなか痛いところを! 忍者なんて主君からの任務だけが全てとか言って、自爆だって平然とする連中じゃない! それに道具呼ばわりされるとか、夢にも思わなかった!
「言っておくが、俺は主君を絶対にしているわけじゃない。そりゃまあ納得いかねえ命令は一度や二度じゃねえが、それでもやることになったら徹底的にやった」
 そう言うと、ぐれ忍はふっと深い息を吐いた。なんだか口調がところどころぎこちなくなってきている。今までのぐれた口調は、ひょっとしたら私に正体を悟らせないための演技だったのかもしれない。それ自体もすごいものだとは思うけど、それが今綻びを見せるなんて……。間違いない。ぐれ忍は今、本気で怒っている。
「いくら納得いかない命令があろうと、僕は従う。僕は今も刻一刻、あの方の元にいることを選び続けているからだ」
 恐怖に絶句する私でもわかるほどに、ぐれ忍の口調が変わった。さっきまで自身のことを「俺」とか言ってたのに、今は「僕」になって。同時にぐれた口調もかなり丁寧なものに変わったけど、かえって今の方が怖い。目が見えるわけでもないけど、ぐれ忍の何がわかるでもないけど。とにかく、怖い。
「下された命や既存の法への不服は、誰もがあることだ。だがそれに反対するのを、従わない理由にしてはいけない」
 間違いなく、彼の言葉の中には恐ろしさを抱かせる何かがある。そしてそれは私だけでなく、彼が自分自身にも向けているような気がする。まるで自分自身に言い聞かせるような。今までの何か、あるいは今回のことについて相当に鬱積したものがあるのか? ここまで話したところで、彼は息を吐く。
「やくざ者なんかそういうのばっかりだし、今の君もそうだ。邦芳殿から食事や個室はしっかり貰うのに、こうして裏切りを働く」
 息を吐いた後は、今度ははっきり矛先を私に向けていた。やっぱり彼自身に向かう物が無いからなのか、さっきよりは禍々しさが無い。言われたことも間違いなく痛いのに、何故だか彼の姿の方が痛々しくて悲しい。
「実家から有無も言わさず入れられたとか思うだろうけど、その前に実家と縁を切って飛び出すという選択だってできたはずだ」
 確かに、あの後何度もそう思った。実家を強引に飛び出して、その場合は邦芳様からの追手がかからないとも言えない。そんな苦境にはなるけど、やるだけやってみる価値はあったかもしれない。ただ一点、親不孝を掛けてしまうという点を除いては。
「親不孝などではない。親孝行となるには、親も子もそれぞれに一個の独立した存在として認め合っている必要がある。今の君は親が邦芳殿に収めた口止め料だ。物と所有者の関係だ」
 またしてもそんな私の心情を読んだように、彼は折良く言葉で突いてきた。私は思ったことが顔に出やすい性質なのかもしれない。そういえば私の両親は揃いも揃ってそんなことを言われていたような気もする。物とか所有者とかは別にして、やっぱり似るのかもしれない。似るのかもしれないけど……。
「だから君は、外から来たであろう僕に実家のことを聞かなかった。かつての所有者のことなどどこ吹く風、まさに道具であろう」
 間違いない。私が下手なことをしたら実家に危害が及ばないかと心配はしていたけど、それは両親に徹底的に言われたからだ。道具は作ったように組んだとおりに動き、作る途中に間違いがあったら間違った方向に動く。両親のことを気にかけなかった私は、両親に組まれた道具そのものだったわけか。
「道具を傷物にするくらいなら僕の良心は痛まなかった、というのは僕の言い訳だけどね。あの無様な姿が見るに堪えないというのは……俺の勝手だがな」
 口調が戻った。言いたいことを言いきって、少し気持ちが落ち着いたのかもしれない。かすかに聞こえてくる呼吸からは、どこか疲れたような印象を受ける。それはこちらも同じで、一編に沢山考えすぎたせいで胸のあたりが重い。なんだか今日はこれで終わりのような気がする。
「あの……」
「なんだ?」
 でもその前に、一つだけ。彼には聞いておかないといけない。
「次、またもう一度だけ会ってくれない? もう少しゆっくり、いろんなことを考えてからにしたい」
「そうか。仕方ない……仕方ねえ奴だ」
 もうあなたの元の口調は知っているから、わざわざ言いなおす必要は無いのに。普段の口調がばれたくらいでは、やっぱり正体にはわずかしか近づけないはずなのに。やっぱり、もっと彼のことを知りたい。体だけじゃなくて、もっといろんなことを教えて欲しい。
「とりあえず、こいつを渡しておく。さっきの風呂敷包みに入れて、枕元に置いておこう」
「これ、何?」
 ぐれ忍は結局帳からは姿を出さなかった。彼は帳越しにお盆を持っていて、そこには竹筒と陶器の瓶が一つずつ置かれている。
「竹筒の方は、火をつけて使う物だ。俺の主君や仲間たちが連絡に使っている物だが、邦芳と戦うために手引きする奴が必要なんだ」
 これは火をつけて使う物なのか。相変わらず縛られたままで手には取れないけど、思わず顔を向けてしげしげと眺めたくなる。その瞬間に言われた言葉で、すぐにそれさえ吹っ飛んで行ったけど。
「邦芳様と、戦うんですか?」
「お前の実家に限らず、弱みを握っては脅す手段を繰り返して力をつけている。もう看過できねえんだ。俺や主君は陰で仲間を集めて、来たるべき時を探っているんだ」
 後宮で暮らす身としては聞き過ごすことができない一言だった。まださっきまでの私が少し残っているせいか、一瞬「なら頑張って潰して」と思いそうになってしまった。私にも後宮に至るまでの選択をし続けた責任があるのだと思い出し、それを反故にするような思考が生まれそうになった自分を呪う。
「お前は確かにここに至らない選択をいくつも逃してきた。だがここでもう一度だけ選ぶ機会をやろう」
「邦芳様に付くか、あなたたちに付くか?」
 選択の機会ではある。でも同時に、どちらかを選択しなければならない。私が選ばなかったところで、彼らならいずれ別な方法で片を付けるかもしれない。でも私自身は、どちらであれ重大な選択をしなければならない状況まで来たわけか。
「もう一つ。これは最悪の選択だけどな。こっちの瓶の方は毒薬だ。どうしてもどっちも選べねえなら、それで堪えられなくなったら……」
「わかった」
 ここに至る選択をしてきた責任と、実際私も知っているほどの邦芳様のやり方。どちらを選ぶのも簡単にはいかないから、この場に全く入らずに立ち去る手段も必要という意味らしい。本当はこの屋敷から脱出できればいいんだけど、この警備の厳しさを考えると無理だろう。そもそもことがここまで至ったんだから、その前の二つから選ばないといけないだろうし。
「随分軽く言ってくれるじゃねえか」
「私にはもう、これを使う選択肢は残されていないから」
「そうか。ま、一応入れておくぜ?」
 私の答えに対して、彼がどう思ったかはわからない。相変わらず帳に身を隠したままで、怒っているか笑っているかすらも分からない。でも、納得した笑顔になってもらえたならいいなと思う。
「と、以上だ」
 渡された物の説明を一通り聞き終えたところで、影が一気にこっちに近寄ってきた。恐らくこのまま後宮に戻すため、私を気絶させるんだろう。私の選択次第では今生の別れになるかもしれない。まだ考えきれているわけではないけど、それでも彼は最初のきっかけを作ってくれた。そんな彼への想いを胸にしまい込み、私はただ目を閉じることにした。



 何日も考えた末に私が出した答え。中庭で火をつけた竹筒の残り香が、少し離れた門のところまで漂ってきているような気がする。私は竹筒に火をつけることを選んだ。火をつけられた竹筒は煙の塊を吹き、乾いた破裂音を響かせた。
「そろそろ来る頃……」
 脇の庭石に置いた砂時計で、大体の頃合いを計る。早く来てほしい。刻一刻と過ぎていく間にも、私の胸の中では何とも言い難いそれが暴れ回っている。選んだ先に苦しみがあるのは覚悟していた。覚悟していたけど、それでもやっぱり苦しい。でもどんな選択であれ、なし崩しにする選択でさえ苦しみから逃してくれないんだ。
「辛そうな顔をしていますね」
 来た。聞き慣れたぐれ忍の口調ではないけど、怒った時の口調や声とならば一致する。向こうも向こうで、正体を見せることを選択してきたらしい。私は声のした後ろの方を振り向く。
「少しだけ……少しだけ手を握って?」
「わかりました。あまり時間はありませんが、少しだけ」
 植物としての一面を持つことを連想させる緑の肌で、体の輪郭がくっきりと形作られている。そういえばこのジュプトルは、確かにどこかで見たことがある。私の求めに応じるままに差し出された手を、しかし私は握るのに深いためらいを抱いてしまう。これがもっとずっと前、ここに来る前だったら……。
「うっ……」
「今の今までどれだけ苦しんだかはわかりません。でも、苦しんで選んだ君を……僕たちは無碍にはしません」
 それでもなんとか握った手。あの時私を攻めた爪が、確かにそこにある。彼が言う「僕たち」とは、恐らく彼の主君とかも含まれているのかもしれない。このまま連れて行ってもらえれば、私はそれなりに迎えられるのかもしれない。でも、それは駄目なんだ。
「ありがとう。あなたのこと、忘れません」
「ん?」
 私は目を閉じる。目元から熱い何かが落ちる。言い方に疑問を持った彼の手を、私はきつく握りしめる。彼の言葉に応えるためではなく、彼を逃がさないために!
「間違いありません、邦芳様! 彼です!」
「なにっ!」
 咄嗟に逃げ出そうとする彼の手を、私は必死に握りしめる。無抵抗の気絶状態の私であれば運ぶことができたみたいだけど、今度は私も必死に抵抗する。振り払うために彼も彼で必死に抵抗して、腕が引きちぎられるくらい痛い。でも、駄目なんだ!
「うわっ!」
「ぐっ!」
 そんな一瞬の攻防も終わり、私は彼に振り飛ばされる。放してしまった……悔しさで薄目を開けると、でも甲斐はあった。
「ほう、お主は十六夜(いざよい)のところの敏影(としかげ)ではないか。歓迎しよう」
「くっ……!」
 私を振り払った結果、彼も地面に倒れ込んだみたい。よりにもよって丁度よく表れた邦芳様の足元に。ニドキングの邦芳様の武骨な手に拾い上げられ、彼の首筋や肋骨はいつ握り潰されてもおかしくない状態だ。これではもう放されないだろうし、さらに邦芳様の周りも番兵たちが固めている。万事休したな。
「さて、玉水輝? 約束通りだな?」
「はい。私がその敏影さんの、息の根を止めます」
 私は腿に貼り付かせている貝の太刀を握り、敏影さんに向けて構える。やっとあなたの姿を見ることができた。私がおざなりにしていたことを、考えるきっかけをくれた。忘れられないだけの恩がある。でも、そうして考えた私の答えは……!
「君は……全てを話したのか?」
「はい。この先には私が恐れていた冷遇が待っていると思う。でもここにいることを選び続けてきた、私はその責任を取らなければならない」
 今度は目元からの一滴じゃない。滝のように零れ落ちる涙は、敏影さんの姿を見失わせる。手元は乱れて脚は震えて、邦芳様を間違えて斬りつけてもおかしくないくらいだ。もうどちらであれ、見えない方が幸せだろう。
「そうか。残念だが、その判断は嫌いじゃない」
「そんな風に言う余裕があるんだ」
 瞬きして涙を払い、私は改めて敏影さんを見る。わずかに力んでいた両脚は、真下に力なく投げ出されている。最期の抵抗の意志を捨てたらしい。敏影さんが浮かべる諦観の笑みに、私の方が追い込まれているくらいだ。
「すぐに君もこっちに来る。邦芳殿に脅されていた者たちの弱みは、君が全て回収してくれたからね。僕が殺されたって聞いたら、特に十六夜様たちは本気で殺しに来るだろう」
「大丈夫です。私は最期まで……最期まで戦い続けますから」
 そういうことだったのか、あの時に敏影さんが集めていた物は。私は邦芳様に対して、ますます大きな裏切りを行なったみたいね。もうどの道、私に長い先は無いんだ。
「玉水輝、待て。いいことを聞いたぞ」
「え?」
 憎々しげに笑っていた邦芳様を、私は今まで見ないようにしていた。その瞬間思い出したように声を上げて、私を止めるために敏影さんの体を持ち上げるまでは。
「こいつを人質にすれば、十六夜には弱みを握れる。今殺してはならんな」
「なっ? 邦芳殿、そこまで腐ったか!」
 力なく無抵抗であった敏影さんが目を見開く。こんなこと、予想してなかったんだな。私もここまで卑劣な手に出るなんて、認めたくない。本当なら、腕ずくで止めたい。敏影さんには手合いの邦芳様の悪い毒性の鎧も、私の水流の技なら打ち砕けなくもないと思う。でも、それはできない。
「わかりました。では、敏影様を斬るのはその後にします」
「くっ! 玉水輝、君はそこまでするのか!」
 私は邦芳様の元にい続けた責任を取らなけれなばならない。そのためには、こんな卑劣なやり方も認めなければならない。正直、立っていられないくらい辛い。ここまで激しく脚が震えているのに、どうして倒れないのかが不思議だ。
「はははっ! お前が抱いた奴は大した趣味だな!」
「放せ! 放せ!」
 邦芳様は満足げに、戦利品を掲げるように敏影さんを運んでいく。敏影さんも必死に抵抗してはいるけど、まったく無駄だ。邦芳様は垣根の向こうに消えていき、番兵たちもそれに続く。結局私は、またしても独りになってしまった。
「敏影さん……」
 私を立たせていた物は、それで全てだったらしい。心のどこかで、邦芳様でも他の誰かでも振り向いてくれるとか期待していたのかもしれない。でも、何一つ変わらなかった。これがずっとすべき選択をしてこなかった報い。そう思っても、辛いものは辛い。
「私は……」
 へたり込んだ私は、砂時計を置いた庭石にもたれかかる。時はもう戻ってくれないけど、進み続けてはいる。だけどももう微動だにしない砂時計は、私だけをこの無様な姿のまま永遠に閉じ込めたかのような態度で。
「私はぁっ!」
 体が彼を欲しているのは、渇望していることだけは分かる。私はひとしきり体を震わせる。目元に合わせるように、そこもすっかり濡れていた。
「もっと! 下さい!」
 私の目の前の光景は、あの時の穴倉の中に戻っていた。敏影さんに激しく攻められたそこを、あの時は届くはずの無かった自分の手で攻め立てる。私はいつの間にか、彼の女になっていたんだ。
「止めないで、止めないで!」
 もう、止まらない。だらだらと流れ出す私の求めは、ただ無為に響き渡るだけだった。



「来たか」
「十六夜様……」
 敏影さんは悔しげに、沈痛の面持ちで現れた主君の名を呟く。現れたリザードは、邦芳様以下私たち全員を一通り見まわす。その中で一瞬、私のところで目線が止まった。荒んだ目の娘だとでも思っているだろうな。もう、構わない。私は全ての思いを胸から押し出す。
「約束通り、独りで現れたな。お主がこうも大それた真似をしようとはな」
「手前がしなかったところで、誰かがいずれ同じことをします。何度も言っているでしょう、脅すというやり方はこういうことだと」
 他にも塀から小石から、あらゆるものに目を配る。恐らく、救出の手段を探っているんだろうな。でも障害になりそうなものはどけられる限りどかしたし、番兵たちは巡回する者と定位置にいる者とに分かれて目を配っている。彼らにとがめられないところまでは味方を連れてきたとは思うけど、もう手を打つことはできない。
「そう言いながら、お主は結局独りで現れたではないか。自らの姿を見て言うのだな」
「わかってほしかったですからね。もう一度考え直してください。手前は脅しではなく、話に参ったのです」
 十六夜さん、正気なのかな? よく見ると、表情とは別に目が落ち着いている。敏影さんは手足を縛られて動くことはできないし、番兵も裏切りそうに無い者たちだけ。相性で言えば私も邦芳様も十六夜さんの弱点を突けるのに、手段があるというのか?
「強がるのはよせ。この状況が見えぬか?」
「あなたの方こそ見るべきです。目を覚ましてください!」
 そう、十六夜さんはもう万事休しているんだ。邦芳様もそれを示すようにほくそ笑んでいる。正直十六夜さんの言っていることの方が賛成できるけど、もうどうしようもないんだ。気が高ぶってしまったらしく、両手に炎をまとわせた十六夜さん。それに対して邦芳様は、敏影さんの首筋に毒牙をあてがって制止を掛ける。
「どうした?」
「くっ!」
 いくら後から手を打つことはしても、今目の前でやられれば気持ちが圧されるだろう。十六夜さんの手の炎が、風になびく音を立てる。少しでも火勢を強めたら、敏影さんの命は無いだろう。数秒、数分。時が流れる。
「これまでか」
「十六夜様!」
 十六夜さんは、おもむろに両手を地面に下ろす。降伏の意として、その炎を潰すのだ。両手を突くというのは無抵抗の降伏、これは後ろ足だけで立って歩く者たち共通の認識だ。敏影さんはそのままに、邦芳様も満足げに口元を吊り上げる。その瞬間、何かが破裂した音が響く。
「なにっ!」
「えっ?」
 一瞬のうちに無数に増えた音とともに、小石と煙が辺りに飛び交うようになる。馬鹿な! 邦芳様のみならず、私や番兵たちも思わず身じろぐ。皆が皆悲鳴を上げ、ままならない視界に右往左往する。
「敏影!」
「切れてます!」
 彼ら以外は。まさか、彼らがここに何か仕掛けたというのか? そう思った瞬間、連絡のために渡された竹筒のことを思い出した。あれと同じものを、ここらの地面にも埋めていたというのか?
「ぐがっ!」
「あなたが僕で脅すなんてことは……」
 視界が少しずつ晴れていく。数が多かったからみんなたじろいだけど、一つ一つは大したことがないくらい弱かった。炎が苦手な敏影さんであっても、それがそこまで大したことは無いと見えるほどに。紐を焼き切れば自分も火傷するのは分かっているだろうに、それを平然と選んだわけか。強い。
「お見通しなんです」
「御免」
 地に伏した邦芳様の首筋に、十六夜さんは爪をあてがう。敏影さんはその背中を守るようにしっかり位置を取っている。あちこちに火傷が見えるけど、気にしている様子はやはり無い。様々な脅しを繰り返した邦芳様なら、敏影さんを捕まえたら脅しに来ることも確かに考えられる。捕まった時に私に言ったのは、実は本当は邦芳様を誘い出す餌だったというのか。
「これすらも、狙い通りだったわけか」
「ええ。一番、僕が一番望んでいた答えでしたよ」
 邦芳様が脅しに使うような場所は限られているから、事前にその全てに罠を張るくらい大したことは無いのだろう。ここまできれいにはめられるとは思わなかった。番兵たちも降伏したり逃げ出したり、破れかぶれの攻撃をした者も即座に返り討ちに遭って。本当に一番いい答えだったらしい。私はどこまでも、裏切りを働くわけか。
「まだ、まだ私がいる!」
「正気ですか? もう、僕たちの勝ちですよ?」
 他の番兵たちが戦意を失くした今、邦芳様を助け出す方法は無い。状況の変化を知れば、待機していた十六夜さん側の者たちが向かってくるだろう。私ができることは、邦芳様の冥土の土産となることだけ。
「私は全てを裏切り続けた! その責任を取らなきゃならないんだ!」
「仕方ない娘だ。敏影、取り押さえよ」
 できれば敏影さんでも十六夜さんでも、土産の端に加えたい。この際だから、多いに越したことは無い。私は太刀を構えて、まっすぐ彼らに踏み込む。
「ぐっ!」
「無駄です!」
 太刀は空を切り、代わりに敏影さんが私の背中を打つ。私は数度地面を転げて、太刀を落とす。
「まだだ!」
 太刀が無いなら水だ! 私は太刀を振るのと同じ要領で腕を振るい、敏影さんに水の弾丸を投げつける。その弾丸を真っ二つに引き裂いた草の刃は、そのまま私の胸に叩き込まれる。
「くっ……!」
 やっぱり、敏影さんは強い。私じゃ殺す必要すらないみたいだ。私の責任はそれでも体を押してはいたけど、もう梃子でも動かなくなっていた。完全に、私の負けか。



 捕まった邦芳様や他の番兵たちと一緒に、私は縛られたまま牢に並べられている。賞罰のための相談が進んでいるらしく、時折番兵たちが連れて行かれている。結局戻された者はいない。処刑されたかな?
「玉水輝、君の番だ」
 今度は敏影さんが現れた。今までの番兵たちは他の者に連れて行かれて、敏影さんが入ってくるのは初めてだ。敏影さんは私を抱きかかえて、軽々と運び出す。
「あの選択は、君にとっては一番苦しいものだったと思う。それをあえて選んだ君の覚悟を、僕と十六夜様は反故にはしない」
「どういう意味?」
 確か邦芳様を倒した後、敏影さんは「一番望んでいた答え」と言った。確かに狙い澄ました通りに綺麗に事が進んだ。でも邦芳様を倒すことが目的なら、私に何を選んでほしいとかあるのかな? それとも、他に?
「君は騙されたと思っているだろうね。今まで邦芳殿の機嫌を取ることに怯え続けていた君のままなら、まずできないだろうって思っていた」
 確かにそっちの方が正しい。たとえ竹筒に火をつけたとしても、そのまま敏影さんと一緒に邦芳様を倒しにかかる方が自然だ。結局それじゃあ駄目だって思ったけど、誰かに言われるままだった今までとは違う。自分でどうすべきかを選んでいる。
「でも、君は選んだ。ただ屋敷の隅っこで独りで怯えている、それが変わってくれることは正直嬉しかった」
 まさに、私が自分を選ぶようになったことを喜んでくれている。敏影さんは自分のことのように、自分のこと以上に喜んでいる。冷徹な忍者だと思っていたのに、こんな子供のような無垢さを見せるなんて。なんだか、可愛い。
「十六夜様は鋭いからね。僕の話を聞いたのを思い出しながら目を見たら、その瞬間には同じ答えにたどり着いていたみたいだ。あとは十六夜様の口から直接聞いてくれ」
 そんな話を聞かされている間に、障子扉の前で敏影さんが足を止めていた。敏影さんは一言声を掛け、障子を開ける。同時に、その場に集まっていた主となっているらしい方々の目線が集中する。私は縛られたままで……気まずい。
「玉水輝。汝は邦芳と共に我らを欺いて、敏影を捕えて我らを脅した。間違いないな?」
「はい」
 十六夜さんの正面に、他の方々のど真ん中に下ろされた。本当に気まずい。でも場が場だから、話にはしっかり答えないといけない。十六夜さんの言い方だと、なんか気持ちに引っかかる物がある気がする。でも事実は間違いないから、逃げてはいけない。
「本来であれば処刑すべきであるが、邦芳の後宮に入る前後の一連を若干酌量する。奴隷として三年間、敏影の住居での労役を命じる。その間、一歩たりとて外出はならぬ」
「えっと?」
 なんだか中途半端だ。敏影さんの話でも流石に無罪放免とはいかない気がしていたけど、三年とはいえ奴隷って結構重いような? 重労働か性搾取か、敏影さんだからいいと割り切れるものではなさそうだ。
「わからぬか?」
「え? いえ。わかりました」
 とはいえ、周りの方々がなんだか不穏な空気を一瞬で放ち始めた。この状況では流石に下手なことは言えない。でも私の返事を聞いて、十六夜さんは少し安堵した表情を浮かべた。
「うむ。敏影、連れて行け」
「はっ!」
 どうにも腑に落ちない流れだ。聞こうにも聞くわけにはいかない状況だし、そんな風に考えている間にまた敏影さんに抱きかかえられていた。いいや、とりあえず敏影さんに聞こう。
「どういうこと?」
「いろいろと総合的に判断した結果なんだ。十六夜様の配下は僕だけじゃないから、君を無条件では許せない」
 他の方もいるのは、確かに嫌というほどわかった。十六夜さんはあんな空間にずっといるみたいだから、それは頭が下がる。それにもう今更覚悟していたから、奴隷くらいは仕方ないとか思うべきだとも思うけど。
「でも君がそれだけ苦悩した末の行動だってのは、すごくよく理解してくれた。奴隷という名目にすれば、僕の扱いはそれなりでも許される理由になるからね」
 そういうことか。一応処罰という形になるから、敏影さんがそれなりに扱っていると思われてはいけない。でも外出を禁止すれば、処罰の様子は外からは見えない。この処罰であれば考慮できるってこと、ようやく分かった。
「僕も十六夜様も、君の覚悟は反故にしない。思っていた形とは違うと思うけど、それでも君は自分で考えたことで運命を変えることができた」
 これは、さっきも言ったことだ。そういえば邦芳様の屋敷に入ってきた時から、同じことを言っていた気がする。私は敏影さんの望む答えを出していたから……そうでなくても竹筒で合図をして迎えた私の表情。あの時点で、きちんとした意味を持った話だったんだな。
「君は勝ったんだ、君自身の運命にね」
 これも聞いた。あの時は「僕たちの勝ちだ」の「僕たち」には、私は含まれていないと思った。でも本当は私も含んでいたんだ。敏影さんたちは、私にも勝ってほしかったんだ!



 敏影さんの住居は、正直そこまで大きくなかった。いや、邦芳様の屋敷の感覚で言うのがおかしいか。建物で囲む中庭がある時点で、結構大きいんだよね?
「今夜は少し、涼しいかな?」
 私は中庭から見える月を見上げる。敏影さんと出会った日は、欠けることの無い綺麗な満月だった。あれから何日も経って、だいぶ欠けている。それでもこの小さな庭の草木を眺めるくらいの明るさはあるが。
「大丈夫ですか? 欲しい物があれば、ある程度は用意します」
「大丈夫……です。私は奴隷なんですから、そこまで気を遣わなくてもいいですよ」
 そう、私は奴隷だ。敏影さん、じゃなくて敏影様だ。あなたは私のご主人様なんだ。もっとご主人様という態度でいてほしい。そう、あの時のように。
「とはいえ、いきなり連れてこられた君には……」
「じゃあ、一つだけ」
 正直言うと、私はなるべく真っ新の状態で生き始めたいんだ。そうでなくても屋敷の隅っこでただ怯え続けるだけで、色んな情けない面も持つようになったと思う。だから気を遣うどころか厳しくしてほしいくらいなのに。奴隷に気を遣うとか、敏影様も案外情けない部分があるな。
「なに?」
「口調です。もっとご主人様と呼ぶにふさわしい口調でいてください。それこそ、この前のように」
 一瞬明るくなった敏影様の表情は、徐々にしおれはじめる。駄目だ、可愛い。この可愛さに、なんだか吹き出しそうだ。
「こ、この前のって! あれ、君に正体をつかませない演技だからね?」
「でも、やっぱりあんな風にしてほしいです。敏影様は私を助けに来たぐれ忍……ぐれた忍者なんですから」
 しおれるどころか、どんどん引きつっていってる。演技で言えば捕まった時も上手かったとは思うけど、ぐれ忍の方はよっぽどの無茶だったのかな? なんだか、初めて敏影様が後悔の色を見せ始めている。
「い、いくらなんでも……」
「私は奴隷なんですから。言葉とこれで思いっきり捌け口にすればいいじゃないですか」
 私はおもむろに敏影様の内股に手を伸ばす。私に言われたことがよっぽど衝撃的だったみたいで、体が硬直していて反応が遅れている。内股から上のあたりまでを、まずはゆっくりとさすってみる。
「ひっ! あっ!」
「立場逆転じゃないですか。敏影様、奴隷にいいようにされちゃ駄目じゃないですか」
 さっき「言葉とこれで捌け口に」と言ったけど、明らかに敏影様がされる側になっている。敏影様の腿から力が抜けていって、その場に尻を突いて座り込む。
「それじゃあ、楽しんでください」
「ひっ!」
 なんだか情けない声が聞こえた気がするけど、気にしない。月明かりに照らされる敏影様は、毛の無い肌のため体の線がくっきりとしている。なんて言うか、扇情的だ。足腰の代わりに力が入りはじめたその根元に左手を添え、まずは裏側を先端に向けて一度撫でてみる。
「ぁぁぁあっ!」
 なんか、すごい声。大声では全然ないけど、何とも形容できない怨霊のような。しばらくはこれでいこうか。もう一度右手を根元に当てて、先端に向かってゆっくりとなぞる。二回目、三回目。どんどんと声が大きくなっていって、手足の震え方も信じられないくらい激しい。はい、四回……。
「あああぁぁぁあっ!」
「うわっ!」
 敏影様のそれは、先端から大暴発した。私はかわす間もなく、顔から胸から腕から大量に掛けられる。ちょっと、この前と比べて早すぎるよね? 仰向けになったまま息を荒げる敏影様は何を言えるわけでもなく。
「結構、ご無沙汰だった?」
 一瞬体を震わせて、目を見開く。図星らしい。そういえば捕まった後は何日もこういうことをする好機は無かったから、仕方ないだろうな。よし、じゃあたっぷり堪能させてあげよう。
「じゃあ、もう一回!」
「ひいいいぃぃぃっ!」
 今度は一気に容赦ないくらいに撫でまわす。まるで駄々っ子のように足をばたつかせて。悲鳴が先程よりも激しくて、これはもうすぐにでも結果が見えそうだ。
「ひぃ……あぐあああっ!」
「わっ!」
 またしても私は全身に浴びた。一通り出し切ると、敏影様のそれはぐったりと横たわる。
「まだまだ……っていきたいけど」
 流石に失神寸前で白目をむいている敏影様に、さらなる行為を求めるのはまずいかな? 仕方ないから少し休ませよう……なんて、どちらが奴隷だかわからなくなる。不意打ちだったり攻められたりするとどうも弱いのかな? でも、これならこれでいいか。
「へえ、こんな感じだったっけか?」
 敏影さんが吐き出した物が、私の全身に点々と染みを作っている。この前襲われた時はよく見れないでいたけど、私たちの出すのとは明らかに違う。当たり前って言えばそうだけど。転々と散らされている状態のそれは、液っていうよりも白い花びらのような感じだ。月明かりに照らされているせいか、敏影様が草の種族のせいか。今までは水のように輝くことはできなかった私だけど、花を咲かす水になることならできるような気がする。



 敏影様のような方、私は見たことはなかった。単に私は世間知らずなだけだったのかもしれない。でも、これからもっと知っていけばいい。この出会いが、私の全てを変えてくれたんだから。



 まず最初に、2日にわたる遅刻申し訳ありませんでした。
 ネタもある程度うまくつながりだして「間に合うかな?」とも思っていたのですが、夏バテや体調不良で病院通いを続けるうちに日付が過ぎてしまいました。
 体調自体はエントリーの段階でもかなり悪かったのですが、それでも思いついた瞬間にはもう「行くしかない」と衝動的になっていました。気持ちのコントロールをしっかりしなければいけないとようやく気づきました。

 今回もタイトル詐欺になりました。ニンフィアが話題になっている状況だけにこのタイトルで「グレイシア×ニンフィアの百合」を連想させたかったのです。どこかでグレイシア×ニンフィアの百合イラストを拾ったのもあって、触発された部分もありそうです。
 そんな折に○○×ニンフィアでにんにん頭の中で回っていたら、この「ニン」が「忍者」の「忍」に聞こえ始めました。下忍だの抜け忍だのという単語が妙に組み合わさったおかげでタイトル詐欺の完成でした。タイトル詐欺好き過ぎですね、自分。

 そして「忍者」という設定を出すからには「お兄ちゃんだけど~」と同じ和風の世界観でいきたくなりました。だいぶポケナガに影響を受けている模様。一方でオレさんからの乖離を狙って一人称や過去作のキャラは排除したわけですが……これはキャラの命名則でわかりそうです。
 しかし命名則にしたがってキャラの名前を付けようと思ったら、リザードやニドキングには大苦戦でした。1文字取るだけではなくて合うようにしようとか無駄に条件付けしすぎた、典型的な自滅じゃないですか。ていうか結局また馬鹿親ネームになってしまっています。直前でも変更したくらいだったのですが、これは後日変更すると思います。

 とにかく、作品を目標通りにしっかり完成させるのは大変だと痛感しました。最後にもういくつか書きたいものがあったんですが、これは改稿後になりそうです。
 あと細かい反省点としては、もう少し小道具をうまく生かしたかったかなと。タイトルの「白い花」の方は、最後に強引に汁でごまかしましたが、よく考えたら最初の飴の香りで白い花を連想させればよかったですよね。

 今回の無得票の結果は、しっかり受け止めていきます。


他にもご指摘等あれば、お願いします。

お名前:
  • 大会お疲れ様でした。
    読んでてものすごい既視感があったので必死に誰か考えてみたんですが、分からなかったです。あなただったんですねw
    リングさんの言うとおり、説明不足や描写不足が(僕もできないけど)見られます。せめて、自慰シーン以外の2回の官能シーンを分かりやすくしたらいいと思います。
    ただ、オレさんのイメージの、異常に堅苦しい感じからわずかにずれてきて、僕としては、堅い雰囲気の中の無邪気な言い回しは新鮮でした。
    これからも頑張ってください。
    ――カナヘビ 2013-09-15 (日) 03:17:59
  • >リングさん
    毎度毎度の指摘にもかかわらず、なかなか上手くまとまった作品を書けていませんね。
    作品自体はむしろ過去の自分に向けている部分が大きいと、昨日から今に至るまでに気付きました。逆にそんな過去の自分に縛られ過ぎているような気もしてきた上で、今の自分自身ですらどこか完全にわかりきれていない部分もあるような感じがしてきました。

    正直こういう風に列挙してもらえるというのはわかりやすくて助かります。たとえば「こういう部分もあるので」と言われても、見返しても「こういうことなのかな?」としか理解できなくて。展開が早いとかもよく言われて、なんとなくそんな感じもしてはいるんですが……具体的にどこがどうなって早いのかは未だにつかめていなくて。わからないからには、まずは指摘されたところから直していくことにします。

    >シュガーさん
    名前への苦戦で種族を変えればいいという、その発想が全くありませんでした。キャラ的になんとなく合いそう・組み合わせたいみたいな風にして種族を決めた結果で、まさにオナニーでした。
    自分はかなり思い込みが激しい方らしく、落ち着いて状況を俯瞰的に見れないことにようやく気付いてきたところです。改稿するにしても場当たり的にならないよう、今度は気を付けます。
    ――オレ 2013-09-09 (月) 20:11:48
  • えっと…リング様が過度のダメだしをしているので私は控えめにコメントさせて頂きます。
    まず…官能シーンは自慰しかないのはどうかと。せめてキスとかフ○ラ位あっても良いのでは…。今後の2匹が進展するのを勝手に想像するしかないですが(
    作品全体を見ると、リング様の指摘した通り展開が早い、設定不足が見られます。
    最後、この小説にポケモンらしさが全くと言っていいほど見られないと思います。あとがきの「リザードやニドキングには大苦戦でした」とある割にトカゲに炎を撃ったり毒針を浴びせることもせず…。名前に苦戦するようなら種族を変えれば良かったのではと思ってしまうので少しは特徴を出してください。
    ――シュガー ? 2013-09-09 (月) 07:56:26
  • なんというか、箱入り娘の寝取られものとしても、強姦されていたら気持ちよくなってしまった的なものとしても、対立する者との禁断の関係ものとしても、すべてにおいて中途半端な気がしてなりません。
    一つ一つの要素に書き込みがあまく、上手くいけばすべての要素を絡めた良作になる可能性も秘めているというのに、描写不足や説明不足、展開の急ぎすぎ、状況を伝えるのが下手という事が多くすべてにおいて中途半端な印象を受けました。

    それに加えて、SEKKYOU要素まで含んだ酷い作品だと思います。
    具体例としては……

    >「言っておくが、俺は主君を絶対にしているわけじゃない。そりゃまあ納得いかねえ命令は一度や二度じゃねえが、それでもやることになったら徹底的にやった」
    貴方は主君絶対じゃないか。トカゲ様は一文の間に矛盾するダブルスタンダードなお方ですね。
    >「下された命や既存の法への不服は、誰もがあることだ。だがそれに反対するのを、従わない理由にしてはいけない」
    従ってます。主人公は今までずっと従ってましたよ。というか、トカゲさん。納得いかない命令に反対しないなら、それは道具でしょう。言っていることが矛盾しています。やはりダブルスタンダードな方ですね。『お前はだめだが自分はいい!』ですか。依存体質の女性にとっては素敵な男性かもしれませんね。

    >「やくざ者なんかそういうのばっかりだし、今の君もそうだ。邦芳殿から食事や個室はしっかり貰うのに、こうして裏切りを働く」
    裏切らせているお前が言うな。金などをちらつかせて裏切らせたならともかく、弱みを握っておいて裏切ったならそれはお前が悪い。というか、自由がないなら主人公はクニヨシに何も与えてもらえていないのと一緒。トカゲ様は自身の非を鑑みないお方なのですね。
    というか『そういうのばっかり』どういうのだか全くわかりません。理解できる主人公は超人だと思います。

    >「だから君は、外から来たであろう僕に実家のことを聞かなかった。かつての所有者のことなどどこ吹く風、まさに道具であろう」
    外から来たからに人間だからと言って、主人の敵である忍に『話y他紙の実家どんな感じになってます?』と、聞く馬鹿がどこにいのるか。トカゲ様は逆の立場ならそれを尋ねる無邪気なお方なのですね。

     また、読者への説明不足の例として
    >「笛とは限らねえな。この屋敷は鍵部屋が多くてだ、調べている間に閉じ込められちゃ洒落にならねえから代わって欲しいわけよ」
     そんな部屋をどうやって主人公が探索できるというのか。屋敷の中でなら女性をそこまで自由にさせてくれるとはクニヨシ様は随分とお優しい方ですね。

    >何日も考えた末に私が出した答え。中庭で火をつけた竹筒の残り香が、少し離れた門のところまで漂ってきているような気がする。私は竹筒に火をつけることを選んだ。火をつけられた竹筒は煙の塊を吹き、乾いた破裂音を響かせた。
     で? その破裂音があると無いとじゃ、攻め込むにあたって何が違ったのか? あの破裂音のおかげで、攻め込むときに何がどう有利になったのか? 説明が全くないうえに、トカゲは普通に内部まで侵入できる実力があるんだから、自分でそれを好きな時、好きな場所で爆発させればいい。なぜそうしなかったのか理解に苦しみます。
     そもそも、主人公をさらえるだけの実力があるならクニヨシを寝込みを襲えばいいのではないか。トカゲさんは随分と正々堂々とした忍びですね。

     また、大群で攻めてくればいいのにトカゲたった一人で来るとかも理解不能です。たった一人で来て捕まったふりをするのと大群で攻めるのとを比べて、何か有利になったのか全く分かりません。そもそも、忍を捕らえてクニヨシは何をしたかったのか。トカゲがもし捕まった際に自殺するために毒薬を持っているような奴なのに、自殺する覚悟もない忠誠心もないような奴だとみくびっていたようですね。そりゃ負けますわ。
     しかも、火薬の入った竹筒及びその設置にさえ気づけない番人を雇っていたとは、随分としっかりした厳しい警備(笑)だと思います。メタルギアソリッドのプレイのし過ぎなんじゃ。種族によって得手不得手はあろうと、誰かが気づくでしょう。夜目の効く種族、音に敏感な種族、波導を感知する種族、透視能力を持つ種族、未来予知する種族、ポケモンならより取り見取りですのに。
     『処女ばっかりに目が行ってそっちに気が回らない奴に弱みを握られる』とは周辺の貴族や武将も焼きが回ったものです。あらゆる設定が一つの描写で台無しになるとてもいい例だと思います。

    >紐を焼き切れば自分も火傷するのは分かっているだろうに
    どうやって焼き切ったのか不明。

    >「ぐがっ!」
    誰が何をどうしてこんな声を上げたのか
    >地に付した
    誰が何をどうやったらそうなったのか



    要するに、描写が作者の脳内だけで完結している作品なんでしょうね……もっと読者に伝える努力をしないと、どんなにいいセリフを言ったつもりになっても心には響きませんよ。それでは作者のオナニー小説となってしまいますし、そこで変態性を競っても意味がないでしょう。
    ――リング 2013-09-08 (日) 22:57:32

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Last-modified: 2013-09-08 (日) 00:00:00
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