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アドバンズ物語第十七話

/アドバンズ物語第十七話

ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語
作者 火車風
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第十七話 いざ遠征へ! えんがんのいわばを攻略せよ!


荷物の準備を整え中央の部屋へ戻ると、ぺラップから遠征についての説明があった。
目指す場所、ベースキャンプの場所、行動するグループなどの説明を受けた。
ソウイチ達はビッパと、ソウマ達はシリウス達とともに海沿いの道を通ることになった。
ギルドを出発し、みんながそれぞれ話に花を咲かせている中、ソウイチとシリウスは連れ立って後ろのほうを歩いていた。

「なあ、シリウス。」
ソウイチはシリウスに声をかけた。

「ん?なんだよ?」

「お前とコンだけでもいけるのに、何でアニキたちと一緒に行くことにしたんだ?」
ソウイチはずっとそのことが気になっていたのだ。

「ああ。ほら、ソウマ達とはまだ話してないからさ。トゲトゲやまから帰ったときはいなかったろ?だから一緒に行こうと思ったのさ。」

「ああ~、そういえばそうだったよな~・・・。となると、今回が初めての顔合わせか。」
ソウイチも納得したようだ。

「そういうこと。それにまだ話してもないしな。」
シリウスはてへへと笑った。

「あれ?そうなのか?その割には、アニキは何にも突っ込まなかったな・・・。」
ソウイチはさらに疑問が増えてしまった。
それほどまでにシリウスとコンは一員の中に溶け込んでいたのだろうか。

「とにかく、いろいろと聞いておきたいこととかもあるしな。ソウマ達のことや、ソウマしか知らないお前達のこととかな。」
シリウスはにやりと笑った。

「いろいろってなんだよ?何か企んでんじゃねえだろうな?」
ソウイチはずずずっとシリウスに詰め寄った。

「さあな~。」
シリウスはすっとぼけると、ソウマ達のいる方へと走っていった。

「あ、こら!逃げんな!!」
ソウイチもあわてて後を追いかけた。
そうこうしているうちに、一行は海の近くまで来ていた。
その先は崖になっており、これ以上は進めなかった。

「どうやら、この中を通っていくしかねえようだな・・・。」
ソウマは大きな岩山を見上げた。

「この先もかなり険しくなりそうでゲスね・・・。」
ビッパはちょっと不安そうだ。

「で、さっきから気になってたんだけど、この石像みたいなのは何だ?」
ソウイチは何かの石像をぽんぽんたたいた。

「ほんとだ。なんだろう、これ・・・。」
ソウヤ達も何なのかさっぱり分からなかった。

「ああ、これはガルーラ像でゲスよ。」
ビッパは言った。

「ガルーラ像?って見たまんまじゃねえかよ!!」
ソウイチはすかさず突っ込みを入れた。

「そ、そういわれても困るでゲスよ・・・。あっしも見るのは初めてなんでゲス・・・。」
ビッパは小さくなった。
見たまんまは見たまんまなのだから仕方がない。

「で、どんな効果があるの?」
ソウヤが聞いた。

「持ち物の整理や、冒険の記録ができるんだ。」

「旅先ではかなり重宝されてるの。」
ソウマとライナは、以前の遠征にも参加していたので経験があるようだった。

「うう・・・。あっしは遠征行くの初めてなんで、緊張してるでゲス・・・。」
ビッパの額からは少し汗が出ていた。

「あはは。それはオイラ達だっておんなじだよ。初心者同士、いっしょにがんばろう!」
モリゾーはビッパを励ました。
そのおかげで、ビッパも多少は落ち着きを取り戻したようだ。

「地図を見ると、ここを抜けて真ん中あたりを進んだほうがよさそうだね。」
ゴロスケが言った。

「そうだね。まずは、この真ん中あたりまで抜けることを目標にしようか。」
ソウヤもうなずいた。

「(ゴロスケもモリゾーも張り切ってるな~・・・。遠征で興奮してるのかも知れねえけど、やっぱりちょっとずつは進歩してんだな~。)」
二人の様子を見て、そんなことを思うソウイチだった。

「よ~し!ほんならさっさといこで!・・・ん?」
歩き出そうとしたカメキチだったが、急に立ち止まった。

「どうしたんですか?」
ドンペイは気になって聞いた。

「ここ、入り口が二つあるで・・・?」

「ええええええ!?」
確かによくみると、大きな入り口と小さな穴のようなものがあった。

「弱ったでゲスね~・・・。どっちに行くでゲス?」
ビッパはみんなの意見を求めた。

「な~んだ。簡単だよ!」

「行く道は一つしかないね。」
モリゾーとゴロスケは互いにうなずいた。

「大きな入り口!」
と、ゴロスケ。

「小さい穴!」
と、モリゾー。
そして、お互いの意見が違っているのに気付くと、珍しく口論を始めた。

「大きいほうが絶対安全!小さいほうはなんか怪しそうだよ!」

「そんなの分からないじゃないか!小さいほうが出口に通じてることだってあるでしょ!?」
二人とも意見を曲げるつもりはないようだ。

「ぜったいこっち!」

「こっちだよ!」
モリゾーとゴロスケはお互いににらみ合った。

「じゃあソウイチに聞いてみようよ。どっちに行くか決めるのはソウイチだもの。」

「いいよ。はっきりさせようじゃないか!」
二人はソウイチのほうを見ると、どっちに行くのかしつこく聞いた。
あまりにもしつこいで、とうとうソウイチは怒って二人を殴った。

「いたたた・・・。ちょっと、何するの!!」
二人は怒ってソウイチをにらみつけた。

「いつまでもぎゃーぎゃー騒ぐな!!何のためにチームが分かれてると思ってんだよ!!」
ソウイチは言い足りないのか、さらに何か言おうとしたが・・・。

「あ、そうか!半分に分かれればいいのか」

「な~んだ、簡単だったね!」
二人は顔を見合わせると笑い出した。
すると、今度はシリウスの鉄拳が飛んだ。

「いたたた・・・。」

「笑ってる場合じゃねえだろうが!!さっさとしろ!!」
シリウスもかなり頭にきていたようだ。
結局、ちいさなよこあなへは、ソウイチ、モリゾー、ソウヤ、ビッパ、えんがんのいわばへは、ソウマ、ライナ、ドンペイ、シリウス、カメキチ、コン、ゴロスケが行くことになった。
小さいメンバーしか入れないので、横穴組は少人数となってしまった。
ソウヤはゴロスケと分かれるのは心配だったが、ゴロスケが心配ないと言い張ったのでしぶしぶ承知した。
そして、二組に分かれた一行は出口を目指すのであった。

それから数時間、穴のほうから声が聞こえてきた。

「いや~、結構道具とかいっぱいあったよな~。」

「それに、かなり楽にすすめたよね。」

「この調子でいければ早くつきそうでゲスね。」
そして穴を出ると、そこは元の場所だった。

「あれ・・・?ここってもしかして・・・。」

「も、元の場所じゃねえかよ!!」
みんなびっくりだった。
どうやら、ゴロスケの言っていたほうが正しい道だったのだ。

「どういうことだモリゾー!こっちが出口に通じてるんじゃなかったのか!?」
ソウイチはモリゾーを厳しく問い詰めた。

「どうやら違ったみたい・・・。で、でも、道具とかいっぱいあったし・・・。」

「バカ!道具なんかより早くキャンプにつくほうが大事だろうが!!」
ソウイチは腹立ち紛れにモリゾーの頭を殴った。
無駄骨とわかれば怒らずにはいられないのだろう。

「いった~・・・。」
モリゾーはよほど痛かったのか、頭をおさえてうずくまった。

「やりすぎだよソウイチ!そんなに時間は経ってないだろうから、今からでも間に合うよ!」

「チッ・・・。じゃあさっさと行くぞ!」
ソウイチはかっかしながら歩き出した。
みんなの間には重苦しい雰囲気が漂っていた。


その頃ソウマ達は、出口を目指して歩いていた。
なぜか、今まで敵ポケモンと一度も遭遇していないのだった。
シリウスやコンは、ソウマ達からいろいろな話を聞いた。
ライナと出会ったこと、カメキチのこと、ドンペイのこと、ソウイチたちと再会したこと、今までの出来事や、ソウマやライナしか知らないことなども聞いた。
逆にシリウスは、人間の時、ソウイチとすごしたことや、向こうでの救助活動の話などをした。
その話には、ゴロスケが初めて聞くような話もあった。
今は内容を細かく書くことはしないが、その後の話で出てくるかもしれない。

ある部屋にはいると、ちょうど敵が二匹ほどいた。
どちらもみずタイプで、ライナとシリウスのでんき技を使えば簡単に行けるはずだったが、地面が水で濡れており、でんき技を使うとみんな感電してしまう可能性があったのだ。
おまけに、じめんタイプの混ざったトリトドンも出てきてしまい、さらにやっかいなことになってしまった。

「くっそお!このままかみなりでけりつけてえのに!!」
シリウスは歯がゆかった。
ここで足止めを食いたくなかったのだ。

「アホ!さっきも言うたやろ!!こんなところででんき技使ったら敵だけやのうてこっちまで感電してしまうやろが!!」
カメキチが怒鳴った。
その間にも敵の攻撃を避けている。

「それにじめんタイプを持ち合わせてるやつもいる!とにかく今はでんき技なしで倒すしかねえ!」
ソウマはスピードスターを連射し、敵全部にすばやくダメージを与えていた。
しかし、その分PPの消費も早く、決して有利とは言えなかった。
ドンペイやライナも、メタルクローやでんこうせっかで援護したが、それだけではやはり力不足が目立った。

「ソウマさん!危ない!!」
コンが叫んだ。
背後からトリトドンが攻撃を仕掛けたのだが、ソウマは動く気配がない。

「アホ!よけろ!!」
カメキチが援護に行こうとしたが、もう間に合わなかった。

「くらえええええ!!!」
トリトドンは全速力で体当たりをしてきた。

フッ。

突然ソウマの体が消えた。
トリトドンは止まることができずそのまま突っ込んだ。
すると、ソウマはトリトドンの体をつかむと、そのままの勢いで壁に向かって投げたのだ。

「ごふう!!」
トリトドンは壁にたたきつけられ戦闘不能になった。

「い、今のは・・・?」
ライナはいったい何が起こったのか分からなかった。

「背負い投げだよ。中学の頃に柔道をやってたからこういうのは得意なのさ。」
そしてソウマは敵に向かってダッシュすると、そのままの勢いでどんどん敵を投げ飛ばした。
壁にたたきつけられた勢いとソウマの投げた勢いで、敵はすべて戦闘不能になってしまった。

「す、すごい・・・。」
みんなソウマの意外な特技にびっくりしていた。

「どうだ?技を使わなくったって勝てるのさ。」
ソウマはにっと笑った。

そしてソウイチ達はというと、ソウマ達に追いつくために必死で走っていた。
しかし、その後ろからは敵ポケモンが大勢追いかけてきていた。
なぜこんなにも数がふくれあがってしまったかというと、倒すよりも追いつくことを優先にしたため、数が減らずにどんどん増えてしまったのだ。

「ちいい!!なんでこんなに増えてんだよ!!」
背後の大群を見ながらソウイチは言った。

「こうなったら十万ボルトで一気に・・・。」

「だめだよ!地面がぬれてるからみんな感電しちゃうよ!!」
技を使おうとするソウヤをモリゾーが止めた。

「じゃあどうするんでゲスか!?このまま出口まで連れて行くんでゲスか!?」
ビッパはもうあわてふためいていた。

「落ち着け!!わめかれたら対策が思いつかねえだろうが!!」
ソウイチはみんなに怒鳴った。
ソウイチはソウイチなりに対策を考えようとしていて、ある考えを思いついた。

「お前ら!死ぬ気でジャンプしろ!!」
ソウイチはみんなの方を振り返っていった。

「えええ!?なんでさ!?」
モリゾーはソウイチの気が変になったのではないかと思った。

「いいから飛べ!!ソウヤはその間に十万ボルトで敵を倒せ!!」

「わかった!何とかやってみる!」
ソウヤは急ブレーキをかけてその場に立ち止まった。

「今だ!!飛べっ!!」
ソウイチのかけ声でソウヤ以外はジャンプした。
それと同時に、ソウヤもフルパワーで十万ボルトを放った。
十万ボルトはぬれた地面を伝い、敵の元へ一直線に駆け抜けた。
敵の集団はスピードが乗りすぎて回避できず、みんな電撃の餌食となった。

「(早く・・・!早く!!)」
ソウヤは必死で電撃を放った。
ソウイチたちが宙を飛んでいられる時間もそう長くはない。

そして、ソウイチたちが地面に着く寸前、なんとか敵は倒れた。
それを確認すると、ソウヤは技を止めた。しかし・・・。

「ほべばばばばばば!!!」
ビッパは踏み切りが弱かったため、みんなより先に着地して電撃を受けてしまった。
幸い、時間がものすごく短かったためダメージはそこまで多くはなかった。
ソウヤはそれを見て、すぐさまビッパの元へと駆け寄った。

「ビッパ!大丈夫!?」

「だ、大丈夫でゲスよ・・・。これくらい・・・。」

「ごめんね・・・。僕がもう少し早く倒せていれば・・・。」
ソウヤは済まなさそうに謝った。

「いいでゲスよ。ソウヤのおかげであの大群を倒すことができたんでゲスから。ありがとうでゲス。」
ビッパはあまり気にしていないようで、ソウヤは少し気持ちが軽くなった。
オレンを食べるとビッパはすっかり回復し、一行はまた出口をひたすら目指し始めた。
そして、ひたすら歩き続けると、ようやく明かりが見えてきた。
えんがんのいわばを抜けることができたのだ。

「よっしゃ~!!抜けたぜ~!!」
ソウイチはうれしそうに叫んだ。

「やっと抜けたでゲスね~・・・。」

「疲れた~・・・。」
元気がまだあるソウイチに対し、他の三人はすっかりくたびれていた。

「お~い!ソウイチ~、ソウヤ~!!」
声のする方を見ると、そこにはすでにソウマ達がいた。
四人がくるのをずっと待っていたのだ。

「おせえよお前ら!!もう少し早く来いよな!」
シリウスはいらいらしながら言った。

「仕方ねえだろうが!!どんだけ大量の敵に追いかけられてたと思ってんだよ!!」
ソウイチはシリウスに向かって怒鳴った。
簡単に言われてもらっては困るのだ。

「おいおい、いきなりけんかすんなよ。どうせ今日はここで夜を明かして明日の朝出発するんだ。かりかりしてもしかたないさ。」
ソウマは二人をなだめた。
確かに、空はすっかり暗くなっていた。

「とりあえず今いるのがこの辺だから、明日はこの山を越えていくことになりそうだな。気を引き締めねえとな・・・。」
地図を見たソウイチは、自分自身に気合いを入れた。
すると、お腹がぐぐ~っとなった。
あまりに大きな音だったので、みんな大笑いした。
ソウイチは真っ赤になっていたが、他のみんなのお腹もつられてぐ~っとなった。
またまたみんな大笑い、一気に場の空気が和やかになった。

「よ~し、じゃあ飯にしようぜ!」
ソウマはバッグから食料を取り出して、晩ご飯の準備を始めた。

「さんせ~い!!」
みんなは晩ご飯ができるのを楽しみに待っているのであった。


アドバンズ物語第十八話



ここまで読んでくださってありがとうございました。
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Last-modified: 2010-11-28 (日) 00:00:00
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