ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語
作者 火車風
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第六十五話 破滅へのカウントダウン! ソウイチ達の決断!
みんなを起こした後、どこのときのはぐるまを取りに行くか早速会議が始まった。
だが、その会議の間中、ソウイチはずっと不機嫌のまま。
いつもよりかなり早く起こされた挙句、寝起きの悪さでソウマに説教されたしまったのだ。
そのせいでさっきからずっとむすっとしている。
「ソウイチ・・・。いつまで怒ってるのさ?いい加減機嫌を直しなよ。」
ソウヤは堪えかねてソウイチに言った。
「うっせえな!オレは気持ちよく寝てるときに起こされんのが一番頭にくるんだよ!!」
ソウイチはソウヤを怒鳴りつけた。
いったい何個一番頭に来ることがあるのだろうか。
「そこもあいかわらずだな・・・。さて、どこのはぐるまを狙うかだが・・・。」
グラスはため息混じりにつぶやいた。
「とりあえず地図を見てみよう。」
ゴロスケは地図を広げ、みんなもそれを見る。
「地図を見た感じだと、ここから一番近いのはちていのみずうみかな。」
そういって地図を指差すモリゾー。
確かに、ほかの場所よりはかなり近そうだ。
「でも待てよ。確か、そこにはエムリットがいなかったか?事を荒立てないようにするためには、なるべく誰もいない場所がいい。」
ソウマはモリゾーに言った。
未来に消えたはずの五人と、指名手配されているグラスが現れればあっという間に騒ぎになってしまう。
それはなんとしても避けたいのだ。
「なら、キザキのもりはどうだ?ここからは少し遠いが、ときのはぐるまを守る番人はいない。それにここは、オレが最初にときのはぐるまをとった場所だからな。」
グラスは地図を指差した。
ちていのみずうみより三倍は距離がありそうだが、誰もいないのは好都合だ。
みんなもグラスの意見に賛成し、準備を終えると早速出発した。
数時間ほどかけて、みんなはキザキのもりに到着。
しかし、グラスは森の入り口に差し掛かった瞬間、妙な違和感を覚えた。
「(前に来たときと、どこか雰囲気が違うな・・・。気のせいだとは思うが・・・。)」
「お~い!なにぼさっとしてんだ?早く来いよ!」
ソウイチが遠くで叫んだ。
考え事をしていたせいか、いつの間にかみんなは先に進んでいた。
「今行く!」
グラスはその違和感の元が分からなかったが、気のせいだと思うことにし、みんなの後を追いかけた。
キザキのもりは、進化形のポケモンが多く、ソウイチ達のレベルではかなりの苦戦を強いられた。
さらにやっかいなのは、過激なわなが多数設置されていることだった。
じばくスイッチやばくはスイッチなど、致命傷になりかねないものばかりだ。
「っと!ここにもわなかよ・・・。いったい何個仕掛けてあるんだよ・・・。」
ソウイチは部屋に仕掛けられたわなの多さにため息をついた。
引っかかることはなかったが、今いる部屋ではすでに七個もわなが見つかっている。
「慎重に行かないとすぐにひっかかるからな。このエリアは特に用心して・・・。」
グラスがソウイチに注意していると、突然背後から爆発音が。
みんながびっくりして振り向くと、後ろのほうでソウマが黒焦げになっていた。
むせながら口から黒い煙を吐いている。
「そ、ソウマ!!大丈夫!?」
モリゾーはソウマに声をかけた。
「ゲホゲホッ!!だ、大丈夫だ・・・。」
とはいうものの、ソウマは全身真っ黒こげ。
とても大丈夫には見えない。
「いったいどうしたの?いつものアニキらしくないじゃない。」
ソウヤは不思議でたまらない。
いつもミスなどしないソウマが、ソウヤたちでさえ見分けられるわなに引っかかっているのだから。
「実を言うと・・・、オレわなを見分けるのが苦手でさ・・・。探検隊始めたばっかりのころは毎度毎度引っかかってうんざりしてたぜ。」
ソウマは苦笑いしながら言った。
「へえ~・・・。アニキでもそういうことがあるんだ・・・。」
「案外見かけによらないんだね。」
みんなはソウマの告白にたいそう驚いた。
今までの依頼でも、ソウマがわなに引っかかった記憶がない。
「じゃあ、何で今まではわなに引っかからなかったんだ?」
ソウイチはソウマに聞いた。
「カメキチだよ。あいつ、仕掛けられてるわながどの辺りにあるかをぴたりと当てるんだ。そのおかげで、オレ達はわなを回避できてたんだ。」
仲間になったときから、カメキチにはわなを見分ける能力があり、それにソウマ達は助けられていたのだ。
わなの見分け方も教えてもらい、自分である程度は回避できるようになったものの、それでもソウマはわなを見分けるのが苦手だった。
理由は分からないが、どうしても見分けがつかない。それがどうにも悔しいのだ。
わなに関しては、ソウマがカメキチにかなわないものでもある。
「そうか~・・・。カメキチってほんとすごいね。」
モリゾーとゴロスケはいまさらながら感心した。
「ああ。今思うと、あいつの能力のありがたさが分かるぜ。」
ソウマもカメキチを思い浮かべて言った。
「わなについては、オレ達ができる限り見分けるから心配するな。」
グラスはソウマに言った。
その言葉を聞いて、ソウマも幾分か安心したようだ。
だがその直後、ソウマは半身をのけぞらせるようにして硬直した。
「ぐぎぎぎぎ・・・!!」
「あ、アニキ!!」
「どうした!ソウマ!!」
みんなはソウマの容態の変化にびっくり。
グラスは辺りを見回し、すぐにその原因がユンゲラーのサイコキネシスだと分かった。
「何をしている!やめろ!!」
グラスはすぐさまリーフブレードで切りかかったが、ユンゲラーに到達する直前で自分もサイコキネシスで動きを封じられてしまった。
ユンゲラーはソウマの動きを片手で操っていたので、もう一人なら余裕があったのだ。
「おろかな。エスパータイプの私に勝てると思っているのか?」
ユンゲラーはグラスをソウマのほうへふっ飛ばし、二人は激しく衝突して木に叩きつけられた。
「と、父さん!」
「アニキ!」
みんなは二人のもとに駆け寄った。
かろうじて気を失ってはいないが、サイコキネシスのパワーはかなりのものだ。
「野郎!やりやがったな!!」
「落ち着いてソウイチ!今向かっていっても二人みたいになるだけだよ!」
ソウヤはソウイチの腕を引っ張って止めた。
「その通りだ・・・。闇雲に向かって行ってはだめだ・・・。ちゃんと、作戦を立てろ・・・。」
うめきながらもしっかりとソウイチに伝えようとするグラス。
「(そうだ・・・。リーダーのオレがこんなんでどうするんだ・・・。冷静になれ・・・。しっかり考えるんだ。)」
ソウイチはグラスの言葉を聞いて怒りを抑え、どうユンゲラーを倒すか考えた。
そして、ある作戦を実行してみることに。
多少強引ではあるが、確実に倒せる方法はこれしかないとソウイチはみんなに訴える。
みんなは少し考えたが、ソウイチを信じてやってみようということになった。
「行くぞ!みんな!」
「おう!」
ソウイチの掛け声で、グラスとモリゾーがユンゲラーに突っ込んでいった。
同時に攻撃して相手の出方をうかがうつもりなのだ。
「無駄というのが分からぬか!」
ユンゲラーは再びサイコキネシスで二人の動きを封じた。
「ぐぐぐぐ・・・。」
二人はなおも前に進もうとするが、力はほぼ互角でいっこうに動かない。
「これで終わりだ!」
ユンゲラーは二人を高く持ち上げ、投げつける準備を始めた。
だが、二人を投げようとした瞬間、背後からものすごい衝撃が襲う。
ソウイチがたいあたりでユンゲラーに突っ込んだのだ。
「いつまでも調子乗ってんじゃねえよ!」
「それはどうかな?」
ユンゲラーは焦ることなくソウイチのほうを向く。
すると、今度はユンゲラーの目が光り、ソウイチの体が宙に浮いた。
「二人が限度だと思ったら大間違いだ!油断したな!」
ユンゲラーはにやりと笑った。
だが、やられているはずのソウイチは余裕の顔をしている。
「どうした?なぜそんな顔をしている?」
ユンゲラーは不思議そうだ。
「油断してるのはお前のほうだよ!今だ!ゴロスケ、ソウヤ!」
ソウイチは力いっぱい叫んだ。
すると、岩陰からハイドロポンプが発射され、ユンゲラーに向かって一直線に進む。
その周りを十万ボルトがコーティングしており、さらに威力は高まっている。
ユンゲラーは三人のサイコキネシスを解除し、すぐさまハイドロポンプをそらす態勢に入った。
だが、それですでに三人分の力を使ってしまっており、ほかのことに対処する余裕はない。
「アニキ!仕上げは頼むぜ!」
「まかせろ!」
すると、今度はソウマが背後からかえんぐるまで突っ込んできた。
「な、なんだと!?くそお!」
これにはユンゲラーもあわて、どちらを先に対処するか考えていたが、考えているうちにソウマはユンゲラーに到達。
強烈な一撃をお見舞いし、ユンゲラーは前方に吹っ飛んだ。
その前方からは電気をまとったハイドロポンプが直撃し、ユンゲラーはそのまま木におもいっきりたたきつけられ戦闘不能。
ソウイチの作戦は見事に功を制したのだった。
「やったあ!」
モリゾーは思わずガッツポーズ。
「何とか倒せたな・・・。」
ソウマもほっと一安心だ。
「どうだ?オレの作戦も役に立つだろ?」
ソウイチは自慢げに言った。
「ま、たまにはね。」
「おい!たまにはってどういうことだよ!」
ソウイチはソウヤの言い方にカチンときた。
言葉通りの意味ではあるのだが。
「こらこら、けんかはあとだ。とにかく先へ進むぞ。」
グラスは先頭を切って歩き出した。
ソウイチはまだ何か言いたそうだったが、結局何も言わずに後に続く。
そしてみんなはとうとう森の奥へと到達したが、何かがおかしい。あまりにも静か過ぎるのだ。
「妙だな・・・。生き物の気配がしない・・・。」
ソウマはつぶやいた。
「それに、自分達以外の音も聞こえないよ・・・。」
モリゾーも不安そうだ。
グラスに何か意見を求めようとしたが、モリゾーはグラスの表情からただならぬものを感じた。
遠くを見つめたまま唖然としているのだ。
「と、父さん・・・?どうしたの?」
モリゾーは恐る恐るたずねた。
「時が・・・、止まっている・・・。」
「ええええええええ!?」
みんなは飛び上がった。
しかしよく見てみると、葉っぱからこぼれ落ちた水滴、宙を舞う木の葉、川の流れなどがすべて止まっている。
まるで接着剤で固めたかのように、その場にずっと存在していた。
「でも、それならおかしいよ。あの時、ユクシー達はときのはぐるまをもとに戻すって言ってたのに・・・。」
ソウヤは記憶を探ってユクシー達の言っていたことを思い出した。
それからするとあまりにも不可解だ。
「もしかしたら、ここにはまだ戻しに来てないのかも。」
ゴロスケが言った。
ほかの場所から回っているとしたら、その可能性は十分にある。
「とにかく行ってみよう。こっちだ!」
グラスはみんなを先導してときのはぐるまのある場所まで連れて行った。
そこで待っていたのは、不思議な光を放っている物体だった。
「こ、これって・・・。」
「間違いない。ときのはぐるまだ。」
グラスは断言した。間違いなく、ときのはぐるまは元の場所に収まっていたのだ。
「でも・・・、ここの時間は止まったままだよ?ときのはぐるまがあるのに、なんで・・・。」
「う~ん・・・。」
モリゾーの問いにみんなは考え込んでしまった。
ただグラスだけが、深刻そうな表情を浮かべている。
すると、突然グラスはときのはぐるまを取った。
「お、おい!取って大丈夫か!?」
ソウイチはあわてたが、グラスは平然としている。
「すでにここの時は止まっている。いまさら取ってもかわりはないし、それに、もっと気になることがある・・・。」
グラスは再び深刻そうな表情になった。
「気になること?」
「ああ。とにかく、今はここを引き上げよう。それと、モリゾー、ゴロスケ。二人に頼みがある。」
グラスは突然二人に言った。
「え?何?」
「あそこに戻る前に、トレジャータウンで情報を仕入れてきてほしい。そこで、今この世界で何が起こっているのかを探ってほしいんだ。」
確かに、このままではあまりにも情報が足りない。
自分達が未来に行っている間に何が起こっていたのか、さっぱりわからないからだ。
「うん。わかった。」
二人は快く引き受けた。
「くれぐれも見つからないようにな。」
グラスは二人に念を押した。
「もちろんわかってるよ。この世界では、オイラ達は未来に行ったことになってるんだからさ。」
二人はしっかりとうなずいた。
「よし。頼んだぞ。」
そしてみんなはキザキのもりを後にした。
交差点の近くで、モリゾーとゴロスケはみんなとわかれ情報を集めに行った。
みんなはその間、サメハダいわで待機することに。
それから数時間して、ようやく二人は戻ってきた。
「どうだった?」
ソウヤは二人に聞いた。
「カフェや店の周辺で情報を集めてきたけど、かなり大変なことになってるよ・・・。」
モリゾーとゴロスケは浮かない顔だ。
「大変なことってどういうことだ?」
ソウイチは二人に聞いた。
「オイラ達が未来に行ったあと、ユクシー達はときのはぐるまをもとの場所に戻したらしいんだ。それでみんな、また元に戻るって喜んでたらしいけど・・・。」
モリゾーはそこで口をつぐんだ。
「けど、なんだ?」
グラスは聞いた。
「戻したんだけど、それでもときが止まったままなんだ・・・。それどころか、ときが止まる場所がどんどん増えていってるみたいで、みんなうろたえてたよ・・・。父さん、何かわかる?」
モリゾーはいいにくそうに続きを話し、グラスに意見を求めた。
グラスはしばらく考え込み、一つの結論を導き出した。
「ときが止まる場所が増えている・・・。その理由はただ一つ、じげんのとうが壊れ始めているからだ。」
「じげんのとう?なんだそりゃ?」
ソウマは聞き覚えがなかったのでグラスに聞いた。
「あれ?アニキも知ってるんじゃないの?」
ソウヤは不思議そうにソウマを見る。
記憶が戻ったのに、そんな大事なことを知らないのはおかしいと思ったのだ。
「いや、オレが過去に行く前には、そんな話は聞かなかった・・・。過去の世界に、何か手がかりがあるかもしれないと思って行ったからな・・・。」
どうやら、じげんのとうのことが分かったのは、ソウマが出発した後だったようだ。
その後で記憶を失ってしまったのだから知るはずもない。
「そうだ。お前が過去へ旅立って数年後に分かったことだからな。無理もない。」
グラスは仕方ないという風に言った。
「じかんをつかさどるじげんのとうが壊れ始めることによって、各地のときが破壊され、世界がほしのていしに向かって急速に進んでいる・・・。このままでは、あの未来同様、この世界が暗黒になるのも時間の問題だ。」
「えええ!?そんな!!早く何とかしないと!!」
みんなはグラスの説明を聞いてあわてた。
せっかくここまできたのに、ほしのていしを迎えてしまってはまったく意味がない。
「ときの破壊を止める方法はひとつしかない。ときのはぐるまを集め、ディアルガのいるじげんのとうにときのはぐるまをおさめることだ。」
「だったら早くやろうぜ!もたもたしてたら取り返しがつかなくなるぞ!」
ソウイチはグラスの話を聞くなり立ち上がり、部屋を飛び出そうとした。
「待て!最後まで話を聞け!」
グラスはソウイチの背中に向かって叫び、ソウイチはしぶしぶ戻ってきた。
「おさめるのはいいが問題がある。じげんのとうはまぼろしのだいちという場所にあるのだが、その名のとおり、どこにあるのかまったく見当がつかない・・・。」
「何だよ~・・・。それじゃあ雲をつかむような話じゃねえか!この時間がねえってときに!」
ソウイチはグラスに怒鳴った。
「落ち着け。八つ当たりしてもしょうがねえだろ。」
ソウマはソウイチをたしなめた。
「とにかく、ここは手分けしたほうがいい。オレがときのはぐるまを集める間、お前達はまぼろしのだいちを探してくれ。」
グラスは立ち上がり、部屋を出ようとする。
「ちょっと待った。それならオレも一緒に行く。一人で行って何かあっても困るからな。」
ソウマはグラスを引きとめ、自分もいっしょに行くと言い出した。
「いいのか?ソウイチ達といっしょにいなくて。」
「心配するな。こいつらならきっと大丈夫だ。」
グラスにそういうと、ソウマは四人を見回した。
「もちろん!僕達に任せてよ!」
「ちゃんと見つけておくからさ!」
ゴロスケとソウイチは自信たっぷりに言った。
ソウヤとモリゾーも心配するなという顔をしている。
「わかった。ただし、まぼろしのだいちがこの世界にあることはわかっているが、手がかりはまったくない。誰にも発見されてないことを考えると、かなり遠くにある可能性もある。海の向こうに渡る手段も考えたほうがよさそうだな。」
グラスは四人に言った。
「海の向こうか~・・・。」
四人は海という言葉を聞いて考え込んだ。
「じゃあみんな、手がかりが少なくてすまないが、頼んだぞ。」
グラスはソウマを連れて、ときのはぐるまを集めに行ってしまった。
「さ~て、ああ自信たっぷりに言ったものの、どうすりゃいいんだろうな・・・。」
ソウイチは難しい顔をした。
「とりあえずは、海を渡る手段でも考えようか・・・。」
「そうだね。そのほうがいいかも。」
悩んでも仕方ないので、みんなは海岸へ行って海を渡る方法を考えてみることにした。
だが、海岸に来ても逆に悩むばかりだった。
「モーターボートでもあれば楽に行けそうなんだけどな~・・・。」
ソウイチはつぶやいた。
「この世界にそんなものがあるわけないでしょ・・・。せいぜい木の船を作るぐらいだよ。」
すかさず突っ込みを入れるソウヤ。
モリゾーやゴロスケでさえ電子ロックを知らなかったのだから、ここのポケモンがモーターボートを知るはずもない。
「泳いではとてもいける距離じゃなさそうだしな~・・・。ほんとどうしよう・・・。」
モリゾーが言うと、みんなは深くため息をついた。
誰も何も言わず、ずっと水面を見つめている。
どれくらいそうしていただろうか、不意にソウイチが立ち上がった。
「悩んでてもしょうがねえ。行くぞ、みんな。」
ソウイチはそういってすたすたと歩き出した。
「ちょ、ちょっとソウイチ!どこに行くの!?」
「決まってんだろ?ギルドに行くんだよ。ギルドに行って起こったことを全部話すんだ。」
「ええええええ!?」
みんなはソウイチの発言に驚いた。
あれだけ避けていた場所に今から行こうというのだ。驚くのも無理はない。
「ちょ、ちょっと待ってよ!オイラたちは消えたことになってるんだよ!?」
「そうだよ!それに、おじさんやソウマの記憶のことをどうやって説明するのさ!?二人はこの場にいないし、僕たちの言うことなんか・・・。」
モリゾーとゴロスケは早速ソウイチに反論。
だが、ソウイチはそんな意見を聞き入れる気はさらさらない。
「信じてくれねえってか?んなもん言わなきゃわかんねえよ。ショック受けるかもしれねえけど、それが真実だろ?」
ソウイチはみんなの目を見て言った。
「それは・・・、そうだけど・・・。」
「だったら話そうぜ。オレ達だけじゃこの問題を解決するのは不可能だ。こういうときこそみんなの力が必要なんじゃねえのか?」
「みんなの・・・、力・・・。」
「そうだ。今は迷ってるときじゃねえ。こうしてる間にも、地球はほしのていしに向かって進んでる。それをとめるためには、絶対にみんなの協力がいる。違うか?」
確かにソウイチの言うことは最もだった。
ぐずぐずしていたら、あっという間にほしのていしを迎えてしまう。
みんなはソウイチの言うことをかみしめていた。
心の中では、まだどうすべきか結論が出ないでいる。
「誰も信じてくれなくても、ほんとのことを受け入れられなくても、これはちゃんと話さなきゃいけねえ。それが、オレ達の今やるべきことだ。」
その言葉にみんなははっとなった。
そして、ようやくギルドへ行く決心がついたのだ。
「わかった。確かにソウイチの言うとおりだよ。僕達だけじゃできないんなら、みんなの力をあわせればいい。」
ソウヤは深くうなずいた。
「みんな驚くかもしれないけど、きっと信じてくれるよね!」
「行こう!ギルドへ!」
モリゾーとゴロスケも賛成のようだ。
「よし!そうとなったら早速行こうぜ!」
みんなはソウイチの言葉を合図にその場を駆け出し、プクリンのギルドへ向かった。
自分達の見てきたものを、真実を伝えるために。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
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