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アドバンズ物語第六十二話

/アドバンズ物語第六十二話

ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語
作者 火車風
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第六十二話 ほしのていしの真実! ソウイチ兄弟の過去 前編


「だいぶ深くまで来たな。もう少しだ。どうやらここを抜ければ、森に出られそうだ。」
ソウイチ達がリーフを追いかけているとき、リーフはふういんのいわばを通り抜けようとしていた。
リーフはいったん立ち止まると、辺りを見回してヤミラミ達が追ってきていないか確認した。
どうやらまだ追ってきてはいないようだ。

「ぐずぐずはしていられないな・・・。じきヤミラミたちも追ってくるはずだ。」
リーフは歩き出そうとしたが、はたと立ち止まった。
ソウイチ達の事が気にかかっていたのだ。

「あいつらは無事なんだろうか・・・。ヤミラミたちにつかまってなければいいが・・・。」
だが、リーフはすぐに頭を振ってその考えを打ち消した。

「いや!そんなことよりも、今は自分の使命が最優先だ!犠牲を払ってでも、やり遂げる覚悟だったはずだ!」
そしてリーフは、その場を後にしようとした。
しかし・・・。

「オイ!マテ!」
突然声がした。

「だ、誰だ!!」
リーフは辺りを見回したが、誰の姿もない。

「ワレノナワバリニカッテニハイリ・・・、ネムリヲサマタゲタニモカカワラズ・・・、ソノママタチサロウトイウノカ!」
それでも、どこからともなく声が響いてくる。

「誰だ!?お前は!?」

「ワレヲオコラセタノダ。ソレナリノツグナイハシテモラオウ。」

「どこにいる!?隠れてないで今すぐ出て来い!!」

「・・・ワレガ カクレテルダト?ワレハカクレテナドイナイ。ワレハ・・・、ワレハココニイル!」
突然リーフの背後で声がし、リーフが振り返ると、そこには得体の知れないものが浮かんでいた。

「な、何!?」

「ワレノナハミカルゲ!ワレノナワバリヲオカスモノハユルサン!!」
ミカルゲは猛然とリーフに近づいた。

「ぐわああああああああああああああ!!!」
あたり一面にリーフの絶叫がこだました。


そのころ、ソウイチ達は急ぎに急いで、ようやくふういんのいわばの奥地にたどり着いた。
進んでいくと、みんなはリーフを見つけた。
しかし、どこか様子が変だ。
リーフの周りに何か変なものが取り付いているのだ。

「お、おいどうしたんだよ!?」

「しっかりして!」
ソウイチ達はリーフに近づこうとした。

「く、くるな!!」
しかしリーフは、ソウイチ達をとめた。

「ど、どうして!?」
みんなはまったくわけがわからない。

「気をつけろ!敵がいるぞ!!」

「て、敵!?で、でもどこに!?」
みんなはあわてて周囲を見回したが、どこにも敵の姿は見えなかった。

「お前達の、すぐ隣だ!」

「すぐ・・・、隣・・・?」
みんなが左のほうを見ると、そこには小さな石ころが落ちていた。

「ま、まさか・・・。」
嫌な予感は的中した。
岩が突然、ぶるっと身震いしたのだ。

「おわああああああ!!!」

「わあああああああ!!!」
みんなはびっくりして飛びのいた。
その直後、不気味な笑い声が響き渡った。

「ヒッヒッヒッヒッヒッ!ココニアシヲフミイレルモノハ・・・、スベテユルサン!オマエタチモナ!」

「だ、誰だてめえは!?」
ソウイチは心なしか声が震えていた。
姿は見えないが声だけはするので、お化けを想像してしまっていたのだ。
その証拠に顔は真っ青で、体はがたがた震えていた。
ほかのみんなも少し震えている。

「ワレノコトカ?ワレノナハ・・・、ミカルゲ。108コノタマシイガガッタイシテ・・・、ウマレタモノダ!!」
突然石の中から不定形のポケモンが現れた。

「気をつけろ!!そいつは強いぞ!!」
リーフはみんなに注意を促した。

「ヒッヒッヒッヒ!カクゴシロッ!」
ミカルゲはどんどんと距離を縮める。

「うわあああ!こっちにくるよ!!」

「ど、どうすればいいの!?」
みんなは始めてみるポケモンにたじたじだった。
すでに戦うということすら忘れている。

「ヒッヒッヒッヒ!ダレニトリツイテヤロウカ・・・?」
ミカルゲはじろじろとみんなを眺め回した。
そして、ソウイチに狙いを定めたようだ。

「マズハ、オマエニトリツイテヤル・・・!」
ソウイチは相変わらずぶるぶると震えていた。
逃げるそぶりはまったくない。
足がすくんで動けないのだろうか。

「そ、ソウイチ!!早く何かしないと取り付かれちゃうよ!!」
モリゾーが呼びかけるが、ソウイチは一向に反応しない。
みんながさらに何か言おうとすると・・・。

「・・・取り付くだと・・・?それは、誰に向かって言ってんだ・・・?」
そういうとソウイチは顔を上げた。
しかしその顔は、激しい怒りに満ちていた。
顔は笑っていたが、すでに眉はぴくぴく動き、腕にはかなり力が入っている。

「ひいっ!!」
みんなはソウイチのあまりの豹変様に後ずさりした。

「ナ、ナンダ!?」
ミカルゲも思わずたじろぐ。

「オレに取り付くなんざ・・・、10億年早いわゴラアアアアアア!!!!」
ソウイチはものすごい火柱を吹き上げた。
そして次の瞬間、かえんほうしゃでミカルゲを黒焦げにした。

「ギャアアアアアア!!!ナ、ナゼダ!?サッキマデオビエテイタノニ、ナゼココマデチカラガダセルンダ!?」
ミカルゲにはソウイチの言動がまったく理解できなかった。

「何で出せるかだ?てめえがお化けじゃねえってわかったからだよ!!お化けみたいなやつでも、ポケモンなら手加減なしで相手できるのさ!!」
なんともむちゃくちゃな理屈だが、ポケモンならお化けのような容姿でもちっとも怖くないということだろう。

「よくも最初は脅かしてくれたな・・・?その落とし前は、きっちりつけさせてもらう!!!」
そう言うとソウイチは、あっという間にミカルゲをほのおで包み込んでしまった。
しかも、バーニングストームではないのにものすごい大きさだ。
一歩間違えればリーフやほかのみんなまで巻き込みかねないほどだ。

「全部燃やし尽くしてやるぜ!!ハハハハハハハハ!!!」
ソウイチはどんどん炎の勢いを強くした。
相当頭にきていたのだろう。
みんなは鬼のようなソウイチをがくがく震えながら見ていた。
リーフでさえも、口をあんぐりとあけてソウイチがミカルゲを攻撃するところを見ていた。

「(な、なんだ・・・!?あの桁違いなほのおは!?いくら怒っているとはいえ、あそこまでの威力があるなんて・・・。)」
リーフは今までこんなヒノアラシを見たことはなかった。
ヒノアラシではなく人間だが、何も知らないリーフにそんなことがわかるはずはない。

「ウググググググ!ウググググ・・・、ウグワァァァァァァァ!」
炎の中で突然ミカルゲが叫び、急に地面が揺れ始めた。

「うわあ!!な、何が起こるの!?」
ゴロスケはゆれに足をとられそうになったがかろうじて踏みとどまっていた。

「ソウイチ!!もういいよ!!これ以上は危険だよ!!」
ソウヤはソウイチにかえんほうしゃをやめさせようとしたが、ソウイチはまだまだやり足りないようでやめようとしない。
仕方がないので、ソウヤは十万ボルトを浴びせてミカルゲから強制的に引き離した。

「ウグワァァァァァァァ!ガアァァァァ!」
ソウイチが離れた瞬間、ミカルゲはまたしても叫び声をあげた。
そして、急に石のようなものに戻ってしまった。

「ヒャ!」
ミカルゲは変な声を上げると、リーフに取り付いていた何かを石に戻し、辺りを見回すと全速力でその場から逃げ出した。
みんなはその様子をただ呆然と見ていた。

「・・・あ!待てこらあ!!まだ落とし前はついてねえぞ!!」
ソウイチはしつこくミカルゲを追いかけようとした。

「ソウイチ!!もういいったら!!」
みんなは暴れるソウイチを何とか引きとめ、ソウイチも何とか落ち着きを取り戻した。

「だけど・・・、今のはいったいなんだったのかな・・・?」
ソウヤは首をかしげた。

「急に弱気になって、逃げただけだ・・・。」
みんなが声のするほうを見ると、リーフはまだ倒れたままだった。

「リーフ!」
みんなはあわててリーフに駆け寄った。

「おい、大丈夫か・・・?」
ソウイチは心配そうに聞いた。

「ああ・・・、大丈夫だ・・・。」
言葉とは裏腹に、リーフの声は弱弱しかった。

「立てる・・・?」
モリゾーも心配そうだ。

「なんとかな・・・。うう・・・。」
リーフはうめき声をあげてよろよろと立ち上がった。

「しかし・・・、手ごわいやつだった・・・。オレの鼻の穴からもぐりこんで、体をのっとりやがった・・・。」
そのせりふを聞いた瞬間、ソウイチとソウヤは思わず吹き出しそうになった。
鼻の穴からミカルゲにもぐりこまれているリーフを想像してすごくおかしくなってしまったのだ。

「ん?どうかしたのか?」
リーフは不思議そうに聞いた。

「いや・・・、なんでも・・・、ねえ・・・。うぷぷ・・・。」

「うん・・・。な、なんでも、ないよ・・・。うくく・・・。」
二人は大爆笑しそうになるのを必死でこらえている。

「それならいいが・・・。」

「でも、あのミカルゲってやつ、悪いやつだったんだね。」
ゴロスケは言った。

「いや、そうじゃない。おそらくミカルゲは、自分の縄張りが荒らされたんで怒っただけだ。」
リーフはやんわりとゴロスケの言うことを否定した。

「怒ると見境がつかなくなるし、恐ろしいやつだったが・・・、さっきのようにいったん旗色が悪くなると逃げていったように、本当は臆病なポケモンなのだ。」

「そうなんだ・・・。」
みんなはリーフの話にうなずいた。

「オレ、ちょっとやりすぎたかな・・・。」
ソウイチはなんだか、ミカルゲに対して申し訳ない気持ちになった。

「本来はとてもいいポケモンなのに、世界が闇に包まれてるせいで心もゆがむ・・・。未来にはそんなポケモンがほとんどなのだ・・・。」
リーフの口調はどこか悲しげだった。

「そうか~・・・。この世界のせいでいいポケモンも悪くなるのって、なんか悲しいよね・・・。」

「うん・・・。朱に交われば赤くなるってことなのかな・・・。」
ソウヤとゴロスケも悲しそうな表情になった。
リーフはそれを見てとても驚いた。

「お前達!お前達はオレのいうことを信用するのか?」
リーフは二人に聞いた。

「う~ん・・・。全部が全部ってわけじゃないけど・・・。」

「半分・・・、ぐらいかな・・・。正直言うと、まだ信用してるわけじゃ・・・。」
二人はまだ心が揺らいでいるようだ。

「フン!前に言ったはずだ!信用がなければ一緒にいても仕方がない・・・と。」
リーフの目つきは急に鋭くなった。
二人はしまったという顔になり、ソウイチは無言で二人の頭をはたいた。
そしてリーフは、またしても先に行こうとした。

「あ、待ってよ!」
ソウヤとゴロスケはあわてて引き止めた。

「別に全部を全部信じてないわけじゃないよ!正直言うと僕達、もう何がなんだかよくわからないんだ・・・。だから、少しでも情報がほしいんだ。」
ソウヤは言った。。

「それに・・・、リーフのことを確かにまだ疑ってるところもあるけど、でも・・・、リーフの言うことは、全部筋が通ってるような気がするんだ。」
ゴロスケも言った。

「だからお願いだよ!リーフの知ってることを聞かせて!」

「未来のことや、なぜリーフが僕達の世界に来たのかも!」
二人は真剣にリーフに頼んだ。

「オレの言うことが、すべてでたらめだったらどうする?」
リーフは挑発的に聞いた。

「もちろんそこは自分で考えるよ。」

「鵜呑みにしないでちゃんと判断するよ。」
二人は少しむっとしたが、冷静に反論した。
リーフはしばらくみんなを見つめていたが、やがてふっと笑った。

「・・・いいだろう。ついてきな。」
そう言うとリーフは歩き出した。
みんなもその後についていく。
そしてしばらく歩くと、大通りのような場所に出た。
路面のアスファルトはすでに機能しておらず、未舗装の道路そのものだった。

「うひゃ~・・・。でこぼこだぜ・・・。」

「ここまで荒れるなんて・・・。」
みんなはただただ驚くばかりだった。
道端には折れた街灯や、宙に浮かんだ街路樹、住宅のあとのようなものが点在していた。
そして、リーフは高い壁が残っている廃墟後を見つけると、みんなをそこに誘導した。

「よし。ここがいい。ここならヤミラミたちも見つけにくいだろう。」
みんなはその場に腰を下ろした。

「で、早速教えてくれねえか?何で未来でほしのていしが起こったのかをよ。」
ソウイチはリーフに言った。

「ほしのていしが起きた原因・・・、それは、お前達の住んでいた過去の世界で、ディアルガがつかさどる、じげんのとうが壊れたからだ。」

「ディ、ディアルガ・・・?」
みんなはぽかんとした。
そんな名前は聞いたことがなかったからだ。

「ディアルガはじげんのとうで時を守っていた。しかしじげんのとうが壊れたのをきっかけに、少しずつ時が壊れ始め、ついにはほしのていしを迎えたのだ。」

「・・・ディアルガは、どうなっちゃったの・・・?」
モリゾーは恐る恐るたずねた。

「ディアルガは、時が壊れた影響で暴走した。そして、ほしのていしを向かえた未来世界にいたっては、ほとんど意識もなく、今は暗黒に支配されている・・・。」
みんなは黙りこくっていた。
内容が内容なばかりにどう言葉を発していいのかわからなかったのだ。

「もはやあれをディアルガとは言えないだろう。まったく別の存在・・・、そう・・・、『やみのディアルガ』というべき存在になっているんだ。」

「そ、そうなんだ・・・。」
事態は予想以上に深刻だった。
みんなはまた黙り込んでしまった。

「『やみのディアルガ』は感情を失ったまま、ただ歴史が変わるのを防ごうとはたらく。だからオレはディアルガに狙われているんだ。」

「なるほどな~・・・。」
ソウイチはこくこくうなずいた。

「オレは歴史を変えるため・・・、つまり、ほしのていしを防ぐために、未来からお前達の世界へタイムスリップしたんだからな。」

「えええええええ!?」
みんなはびっくりした。
ほしのていしを防ぐためだということは初耳だったからだ。

「ちょちょちょちょっと待て!じゃあ何か!?お前はほしのていしを起こすために未来から来たんじゃないのか!?」

「だってリーフは、ときのはぐるまを盗んでたでしょ!?」
みんな信じられなかった。
元の世界でほしのていしをもくろんでいるといわれていたリーフが、本当はほしのていしを防ぐためにはぐるまを盗んでいたと聞かされては無理もない。

「冗談じゃない!オレがときのはぐるまを集めていたのは、ほしのていしを防ぐのに必要だったからだ!」
リーフはむっとして怒鳴った。

「あ・・・、ご、ごめんなさい・・・。」
ソウヤはすまなそうに謝った。

「・・・まあいい。じげんのとうにときのはぐるまをおさめれば、壊れかけたじげんのとうも元に戻る。また、ときのはぐるまをとると、確かにその地域は時間が停止するが、それも一時的なもので、じげんのとうにときのはぐるまをおさめさえすれば、壊れかけたじげんのとうも元に戻る。」
リーフはみんなに詳しく説明した。

「ってことは、ヨノワールさんが言ってたことは全部うそなの・・・?」
ゴロスケが聞いた。

「未来で指名手配中の凶悪犯だとか、未来から逃げ延びるために過去の世界へやってきたとかの話は全部でたらめなの・・・?」
ソウヤも聞いた。

「当たり前だ。ヨノワールはこのオレを捕らえるべく、『やみのディアルガ』が未来から送り込んだ刺客だからな。」

「えええええええ!?ヨノワールさんが刺客!?」
ソウヤとゴロスケはすごく驚いた。
ヨノワールが悪者だということは受け入れつつあったが、刺客だということはかなりショックだった。

「そうだ。さっきも言ったように、『やみのディアルガ』は、歴史を変えようとするものがいるとそれを防ごうとはたらく。だから、オレがタイムスリップしたことを知ると、ヨノワールを刺客としてその後を追わせたんだ。」
リーフは淡々と事実を述べた。
これは変えようのない真実だった。

「ヨノワールさんが・・・、そんな・・・。」
ソウヤとゴロスケは首を振って今聞いたことを打ち消そうとしていた。

「お前達には信じられないだろうが、それがまぎれもない事実なんだ。」

「でもぜんぜん信じられないよ!だってあのヨノワールさんだよ!?確かに今はよくわからないけど、でも・・・、僕が尊敬していたヨノワールさんが・・・、そんな・・・。」
ゴロスケはうつむいた。
目にはまた涙が浮かんでいた。

「僕も信じられないよ・・・。あれだけかっこいいヨノワールさんが、本当は悪人・・・?うそだ・・・。そんなのうそだよ・・・。」
ソウヤも現実から目を背けていた。
そむけざるを得なかったのだ。

「確かに信じられねえかもしれねえけど、今までに起こったことを思い出したら全部筋が通るじゃねえか。現実逃避したって、何も問題は解決しねえよ。」
ソウイチは厳しい口調で二人に告げた。
その現実は、重く深く二人にのしかかった。

「(でも、二人は心のどこかではわかってる・・・。わかっているからこそ受け入れたくないんだ・・・。)」
モリゾーは二人の様子を見てすごくいたたまれない気持ちになった。
すると、二人は急に立ち上がり、元来た道を引き返し始めた。

「待て!どこへ行く!?」
リーフは二人に怒鳴った。

「どこって、決まってるじゃない。ヨノワールさんに会いに行くんだよ。」

「リーフが言ったことが本当かどうか確かめてくる。」
ソウヤとゴロスケは無表情なままで言った。

「ば、バカかお前らは!!またつかまるだけだろうが!!」
ソウイチはとうとう二人の気がふれてしまったのかと思った。

「そのとおりだ!お前達がかなう相手じゃない!」
リーフも二人を引き止めた。

「じゃあどうすればいいの!?僕達は一体どうすればいいのさ!?」
二人は急に怒って二人に怒鳴った。
もう思いがこらえきれなくなってきたのだろう。

「どうすればいいだと!?さっき言ったことを忘れたのか!?自分で判断すると!何を信じていいかわからないからこそ、鵜呑みにせず、自分で考えると言っただろうが!」
リーフは二人をしかりつけた。
二人は痛いところをつかれて黙り込んだ。

「苦しいときだからこそ、気持ちを強く持つんだ。後は自分達で考えて行動するんだ。」

「リーフは・・・、どうするの・・・?」
ゴロスケは聞いた。

「オレはまた、ほしのていしを食い止めるために過去へいく。そしてそのために、セレビィを探す。」
リーフはみんなに言った。

「せ、セレビィ・・・?」
これもまたみんなには心当たりがなかった。

「そうだ。オレについてきてもいいし、ついてこなくてもいい。お前達はお前達で自分の道を決めろ。じゃあな。」
リーフはそういうと、一人先へと進んでいった。
四人はその場にぽつんと取り残されていた。

「バカ野郎!!お前らいい加減にしろよ!!いつまであいつが善人だって思い込んでんだよ!!さっさと目を覚ませ!!」
ソウイチは思いっきり二人に怒鳴った。

「ううう・・・。だって・・・、だって・・・。」
二人はまた泣き出しそうになった。

「何を信じていいのかわかんない気持ちはわかるけど、今は過去の世界に戻ることが第一でしょ!?」
モリゾーは二人の肩をつかみ、しっかりと目と目を合わせていった。

「過去に・・・、戻る・・・?」

「そうだよ!この暗黒の未来世界では星が停止してる。これは紛れもない事実だよ。そしてこれは自分達の世界で起こったことでもある。それを食い止めるためには、絶対に自分達の世界に戻らなくちゃいけないんだ!」
モリゾーは熱をこめて二人に言って聞かせた。
二人は黙ってモリゾーの話を聞いていた。

「モリゾーの言うとおりだ。このままごちゃごちゃやっててもつかまるのがおちだ。今は過去に帰ることが最優先だ。」
ソウイチも二人に言った。
二人はしばらく考えていたが、やがて顔を上げた。

「わかった・・・。確かに二人の言うとおりだよね・・・。こんなときだからこそ気をしっかり持たなくちゃいけないのに・・・。」
ソウヤは二人に言った。

「行こう!リーフの後を追いかけよう!絶対、絶対もとの世界に帰ろう!自分達の世界へ!」
ゴロスケは力強く言った。

「その調子だぜ!」

「もちろんだよ!」

「絶対帰ろうね!」
みんなはゴロスケの手にそれぞれの手を重ね合わせた。
そうすることで、困難に立ち向かっていく勇気が出てくるような気がしたのだ。
みんなは急いでリーフの後を追いかけることにした。 


アドバンズ物語第六十三話



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Last-modified: 2011-05-13 (金) 00:00:00
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