ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語
作者 火車風
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第八話 たきつぼのどうくつの謎! 前編
「起きろおおおおお!!朝だぞおおおおおおお!!!」
いつもの爆音目覚ましでみんなは起きた。
「ううう・・・。だいぶなれてきたけどやっぱりきついね・・・。」
モリゾーはくらくらしながら言った。
「ほんとだね・・・。もう少し音量下げれないのかな~・・・。」
ソウヤも耳をふさいだ状態で言った。
あまりにもうるさいから耳をふさぐ癖がついてしまったのだ。
「そう言えば、ソウイチは?」
ゴロスケは辺りを見回した。
「きっとまだぐ~ぐ~言いながら寝て・・・。」
ソウヤの言葉は途中でとぎれた。
なぜなら、いつもはゆすっても大声でも起きないソウイチがきっちりと目を覚ましていたからだ。
「そ、ソウイチ!?」
みんなびっくりしていた。
「ん・・・。ふわあああ・・・。おはよ~、みんな~。」
ソウイチはとてもすがすがしい顔をしていた。
「どうしたの?今日に限って珍しい・・・。」
ソウヤは不安そうに聞いた。
「なんかさ~、今日はいいことが起きそうな気がしてよ~。」
「よくわかんないよ・・・。」
もちろんみんなにわかるはずもなかった。
「まあいいからいいから!朝礼行こうぜ~。」
ソウイチは軽い足取りで中央の部屋に向かって歩き出した。
「(なんか調子狂うよね~・・・。)」
みんな声には出さないが、同じ事を思っていた。
そして、朝礼の前にペラップが重大なことをみんなに話した。
なんと、北東の方にあるキザキのもりの時が止まってしまったというのだ。
「時が止まったキザキのもりは、風もなく、雲も動かず、葉っぱについた水滴も落ちず、ただその場でたたずむのみ。そう、キザキのもりは、時間そのものが停止してしまったらしいのだ。」
ペラップの話にみんな耳を傾けていた。
「時間が、止まってしまったのか・・・。」
ダグドリオは不安の色を隠せなかった。
「でも、いったいどうしてそんなことになったんでしょうか?ま、まさか・・・。」
「そう、そのまさかだ。キザキのもりの時がなぜ止まったのか。それは、キザキのもりにあるときのはぐるまが、何者かによって盗まれたからだ。」
ペラップは重苦しい口調で言った。
キマワリの予感は当たっていたのだ。
「ええええええ~!?」
みんなはびっくりして飛び上がった。
その後は、みんなはわいわいがやがや自論を展開して収拾がつかなくなっていた。
「なんだよソウイチ!いいことがあるとか言ってて、結局開口一番で悪いニュースを聞いちゃったじゃないか!」
ソウヤはソウイチをにらみつけた。
「やっぱり普段と違うことがあると、悪いことが起きるんだね・・・。」
モリゾーとゴロスケも落胆していた。
「な、なんだよ!!全部オレのせいかよ!!」
せっかくのすがすがしい気分をすべてぶちこわしにされて、ソウイチは頭に来た。
「くっそお!!どこのどいつだ、そんなことしやがったのは!!オレがこの手でぶっ飛ばしてやる!!」
ソウイチの暴走モードのスイッチが入りかけたとき・・・。
「みんな!静かに!!」
ペラップが大声でみんなを鎮めた。
「すでにジバコイル保安官が調査に乗り出している。ときのはぐるまを盗むものがいること自体信じられないのだが、盗まれたからには他のときのはぐるまも危ないかもしれん。不審なものを見つけたら、すぐに知らせてくれと言っていた。だからみんなも、何か気がついたらすぐに知らせてくれ。以上だ。」
話が終わると、みんなはそれぞれの持ち場に戻っていった。
「アニキ達が聞いたら、どんな反応するんだろうな・・・。」
ソウイチは言った。
「たぶんショックを受けるんじゃないかな・・・。こんな事今までになかったことだし・・・。」
モリゾーも浮かない顔だ。
ソウマ達が戻ってくるのは明日の夕方頃。
帰ってくるまでには、どこかでこの話を耳にしているかもしれない。
「ああ、お前たち。お前たちはこっちに来なさい。」
ペラップが声をかけた。
「なんだろう・・・。」
ソウヤは首をかしげた。
「変な話じゃないといいけどなあ・・・。」
ゴロスケも浮かない顔だ。
あんな話の後だから、何か悪い話なのかと思うのは当然だろう。
ところが、ペラップの口から出てきたのは思いもよらない言葉だった。
なんと、仕事にだいぶ慣れてきたので、探検隊らしい仕事を頼まれたのだ。
もちろんモリゾーとゴロスケは飛び上がって喜んだ。
「不思議な地図を出してくれ。」
「あいよ。え~と、地図はどこに・・・。」
ソウイチがバッグの中をごそごそやってると・・・。
「もう・・・。これでしょ!」
ソウヤが脇の小さいポケットから地図を取り出した。
「ありゃりゃ、そこにあったのか・・・。」
「いったい普段何してるの・・・。」
みんなあきれかえっていた。
「出てきたんだからいいだろ!で、地図使って何するんだよ?」
ソウイチはぶっきらぼうに言った。
「ここが、トレジャータウンで、今回調査してほしいのはここ。」
そペラップが指さしたのは、滝の絵が描いてあるところだった。
「一見普通の滝に見えるが、この滝には何か秘密があるのではないかという情報が入った。そこでお前たちに、この滝に何があるのか調査してほしいのだ。」
「へえ~、なんかおもしろそうだな。」
「なにがあるんだろう・・・。」
ソウイチもソウヤも、何となく興味をそそられていた。
「よし!では、調査の方はしっかり頼んだぞ!」
すると、モリゾーとゴロスケが突然ぶるぶる震えだした。
「おや?どうした?震えてるのかい?」
ペラップが心配そうに聞いた。
すると、二人の目には涙がたまっていた。
「(ええええええ!?)」
ソウイチとソウヤはびっくりしていた。
泣く原因が分からなかったからだ。
「だ、大丈夫かい!?」
ペラップも慌てた。
「・・・うん、大丈夫。武者震いだよ。オイラ、初めて探検隊の仕事ができるから感動してたんだ・・・。」
「ううう・・・。僕なんかすごくわくわくしてきたよ!!」
モリゾーもゴロスケも、感動の涙を流していただけだった。
「(そこまで感動するのかな・・・?)」
ソウイチもソウヤも疑問に思ったが、二人のあの情熱からして、これは自然なことなのだろうと思った。
「ソウイチ!ソウヤ!がんばろうね!」
二人はソウイチたちの手を取って言った。
「あ、ああ・・・。」
「が、がんばろうね・・・。」
二人は完全にモリゾー達のテンションについて行けてなかった。
そして準備を整え、滝に向かって出発した。
結構な距離を歩いて、ソウイチ達は滝に到着した。
目の前の滝は、現実世界で例えるところのナイアガラの滝と言ったところか。
「ここが何か秘密があるという滝かあ・・・。」
モリゾーは滝を見上げた。
一番上が見えないほど高い位置から水が流れてきているようだ。
みんなただただ滝のすごさに圧倒されていた。
すると、ゴロスケが興味本位で滝に近づいていった。
「おい、気をつけろよ。」
ソウイチが注意したが・・・。
「わわっ!!」
滝にさわってしまい、その勢いで吹っ飛んでしまった。
「わあああ!!」
そしてソウヤに激突、巻き沿いを食ってしまった。
「大丈夫かよゴロスケ・・・。」
ソウイチはあきれた顔で言った。
「いたたたた・・・。」
ゴロスケとソウヤはぶつけたところをさすっていた。
「水の勢いがすごいよ!みんなも滝のそばに立ってごらんよ。」
ゴロスケはみんなに言った。
「どれどれ・・・。」
みんな滝のすぐ近くに寄った。
「うはあ・・・、こりゃすげえなあ・・・。」
「本当・・・。今にも吹っ飛びそうだよ・・・。」
みんな口々に言った。
そして、ソウイチが滝におそるおそるふれると・・・。
「おわああ!!」
みんなを巻き沿いにして吹っ飛んだ。
吹っ飛んだところにはゴロスケもいて、四人とも地面にひっくり返ってしまった。
「ね?すごいよね・・・。」
ゴロスケがぶつけたところをさすりながら言った。
「もしこの滝に打たれたらバラバラになっちゃいそうだよ・・・。こんなに勢いがあるとは思わなかったな~・・・。」
ソウヤもすこし怖じ気づいていた。
「いったいどこから調べればいいんだろう・・・。」
モリゾーは頭を抱えていた。
そのとき・・・。
「(う・・・、うぐお・・・。これは、前にもあったあのめまいか・・・?)」
そして、目の前に映像が映し出された。
それは、一匹のポケモンが滝の中に突っ込んでいくところだった。
そしてその先はなんと、洞窟に通じていた。
「(また、また何か見えた・・・。今のはいったい・・・。)」
ソウイチが呆然としていると・・・。
「ん?どうしたのソウイチ?」
モリゾーが心配そうに声をかけた。
「あ、いや、実はさあ・・・。」
ソウイチはさっきのことをみんなに話した。
「えええ!?さっきまた夢のようなものを見て、今度は一匹のポケモンが滝に突っ込んで行ったって!?」
「しかもこの滝の裏が洞窟になってるって!?」
みんな飛び上がらんばかりに驚いた。
「う~ん・・・。でもなあ・・・。滝の勢いはこんなにもすごいし、もし滝の裏側になんにもなかってただの壁だったら・・・。」
「僕たちそんなところに突っ込んでいったら、そこでぺしゃんこだよ?」
モリゾーもゴロスケも不安そうだ。
「今更不安がったってしょうがねえだろ・・・?」
ソウイチはため息をついた。
「じゃあ、ソウイチはどう思うの?やっぱりこの裏側に洞くつがあると思う?」
ソウヤが聞いてきた。
「ああ、オレはあるって信じるぜ。それに、やってみなけりゃわかんねえしよ。」
ソウイチは自信満々だった。
「その自信が心配なんだけどな~・・・。」
ソウヤはあからさまに不安そうな顔をした。
「どういう意味だよ!」
ソウイチが突っかかろうとしたとき・・・。
「オイラは、ソウイチのこと信じる!ソウイチを信じるよ。」
そういったモリゾーの顔には、迷いはなかった。
「モリゾー・・・。」
「僕も信じるよ!」
ゴロスケも言った。
「ゴロスケ・・・。」
「ま、ものは試しか・・・。一か八かだものね。」
ソウヤも納得したようだ。
「よっしゃあ!じゃあ、突入体制に入るか!」
そう言うとソウイチは数歩後ろに下がった。
みんなもそれに習って同じ位置まで下がった。
「ううう・・・。でもやっぱりちょっと怖いな・・・。」
モリゾーとゴロスケはぶるぶる震えていた。
「今更びびってもしょうがねえよ。腹くくるときはくくらねえと。」
「とにかく、こうなったらがんばっていくしかないよ。行くなら、思いっきり行かなきゃ!」
ソウイチとソウヤがモリゾー達に言った。
「うん・・・。怖がっちゃダメだ・・・!怖がって中途半端にあそこにぶつかったら、どのみち大けがをしてしまう・・・!」
「行くなら思いっきり行かないと・・・。勇気を、勇気をふりしぼるんだ・・・!!」
モリゾーとゴロスケは自分に言い聞かせるように言った。
「じゃあ、行くぜ!1・・・。」
「2・・・。」
「3・・・!!」
「おりゃああああああ!!」
みんな一斉に滝へ突っ込んでいった。
ドスン!!
みんなは一斉に着地した。
ソウイチは失敗してそのまま転がり、岩にぶつかってしまった。
「いててて・・・。なんでこんなところに岩があるんだよ!」
ソウイチはいらっとした。
「こ、これは・・・。」
みんなは息を呑んだ。
ソウイチの言ったとおり、滝の裏側には洞窟への入り口があったのだ。
「やったあ!!やっぱりソウイチは正しかったんだ!!」
モリゾーとゴロスケは無邪気に喜んでいる。
「へへっ。だから言ったろ?オレの言うことに間違いはねえのさ。」
ソウイチは自慢げに言った。
「(よく言うよ・・・。)」
思ってはいたものの、口には出さないソウヤだった。
「行こう、ソウイチ、ソウヤ!洞くつの奥まで探検だ!」
モリゾーとゴロスケは奥に向かってかけだした。
「あ、待ってよ~!」
「先に行くなったら!!」
ソウイチとソウヤもあわてて後を追いかけた。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
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