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アドバンズ物語第二十九話

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ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語
作者 火車風
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第二十九話 ライナの里帰り 後編


次の日の朝、家の周りは一面銀世界に覆われていた。
昨日の夜は確かに寒かったが、雪が降るとはだれも予測してなかった。
雪の中では、雪合戦をするソウイチ達の姿があった。
寒さは苦手でも、雪が降ると別なのだ。

「おりゃあああああ!!」
ソウイチが全力で雪玉を投げる。それをソウヤがさっとかわす。

「まだまだ甘いね!ぶほっ!!」
よけた途端にヒカルの雪玉が飛んできたのだ。

「そっちもまだまだ甘いね!!」
そう言って雪玉を作っていると、今度はドンペイの雪玉が後ろに命中。

「僕だって負けませんよ~!!」

「それええ!!」

「それそれそれ~!!」

モリゾーやゴロスケもたくさんの雪玉を投げてくる。
みんな大はしゃぎだった。ほかのみんなはその様子を楽しそうに見ていた。

「そう言えば、私たちが出会った次の日も、雪が降ってたわよね~。」
ライナはソウマに言った。
ソウマの薬で、ライナは一晩ですっかり元気になったいた。

「ああ。俺たちも雪合戦やったっけな~。」
懐かしそうに言うソウマ。

「私たちも混ぜてもらう?」

「う~ん、たまにはやってみるか!」

そういうことで二人も雪合戦に参加し、チーム戦をやったり、個人戦をやったりとみんないろいろ楽しんだ。
そして、楽しい時間は流れ昼近くになった。

「みんな~、そろそろお昼にするわよ~。」
ライカがみんなを呼んだ。

「うわ~、いいにおい~。」
みんな遊びまわっておなかぺこぺこだ。

「オレ一番~!!」
ソウイチが真っ先に駆け出した。

「あ~、ずるいぞ~!!」

「抜け駆けさせてたまるか~!!」

ほかのみんなもあわてて後を追った。

「そんなに急がなくてもたくさんあるわよ。」
ライカはおかしそうにくすくす笑っていた。

家の中に入ると、木の実の甘い香りが漂っていた。

「うわ~、おいしそうなにおいだ~・・・。」
みんなうっとり。テーブルの上にはパイやケーキ類がたくさん並んでいた。
昼ごはんというよりはおやつパーティのようだ。

「じゃあ、手を合わせて・・・。」

「いったっだっきま~す!!」
ドンペイの掛け声でみんな食べ始めた。


「うわ~、このパイおいしい~!」

「ほんと、甘くておいしい~!」
モリゾーとゴロスケはパイをパクパク平らげている。
生地はサクサク、中身には木の実ジャムがいっぱい入っていた

「あ、ソウヤ!!それオレが目つけてたクッキーだぞ!!」

「早い者勝ち・・・、ああ!!」

「早い者勝ちでしょ?」

ソウイチ、ソウヤ、ヒカルはクッキー争奪戦の真っ最中。

「もう、少しはお行儀よくしなさいよ!」
早速ライナが注意する。ライカはその様子を見てくすくす笑っていた。

「さて、昨日の宴会のやり直しと行こうじゃないか。モモン酒でもどうだい?」
デンジロウは結構な酒好きのようだ。

「えええ!?今から飲むんですか!?」

「そりゃあそうさ。さあ、ぐぐっと一杯。」

「だからオレ未成年だから酒は・・・、おう・・・。」

とうとうお酒を飲まされてしまったソウマだったが・・・。

「ん?おお!こりゃうまいや!」
どうやら気に入った様子。

「そうだろうそうだろう!さあさあ、もっと飲みなさい。」
気を良くしてさらにお酒を注ぐデンジロウ。

「いや~、すんませんね~、ほんとに。」
そう言いながらぐびぐびとお酒を飲むソウマ。
酒に弱いと言っておきながら、意外といける口なのだろうか?

「おいソウマ、そんなに飲んだら・・・。」
カメキチがやめさせようとしたが・・・。

「んあ~?せっかくすすめてもらってるのにわりぃだろうがよお~。」
どこか言葉遣いがおかしい。酔うのはやっぱり早いようだ。

「ったく、どうなっても知らんぞ・・・。」
とうとうカメキチも諦めてしまった。

「ふ~、くったくった~。」
満足そうにおなかをなでるソウイチ。あれだけの量の半分を一人で平らげてしまったのだ。

「よくこの体であの量が入るよね~・・・。」
ソウヤはあきれるのを通り越して感心していた。

「胃袋と体の大きさは比例しないのさ。」
ありそうでなさそうなことを言うソウイチ。

「ヒック・・・。うい~、このうまさはくせになる~、ィック・・・。」
ものすごく酔っているソウマ。
いつものきりっとした姿はどこへやら。

「そうかそうか~。やっぱり相手がいるというのは楽しいもんだ。」
デンジロウはものすごく上機嫌になっていた。

「アニキ、そろそろやめとかねえと後がきついぜ・・・?それに未成年だろ・・・?」
ソウイチが注意するものの・・・。

「んあ~?お前ものみゃあこのうまさがわかるって。イヒヒヒ・・・。」
なぜか妙な方向へ悪酔いしている。
これ以上突っ込むと飲まされかねないので、ソウイチは身を引いた。

「もう、ソウマったら・・・。」
さすがのライナもあきれ顔だ。

「お父さん、いい加減にしないとソウマ君酔いつぶれちゃいますよ。」
ライカがじろりと睨んだ。

「な~に、こんなのまだまだ序の口・・・。」
そう言いつつソウマのほうを見ると、ソウマはすでに大きないびきをかいて寝ていた。
酔いつぶれてしまったのだ。

「う~む、酒に弱いというのは本当だったのか・・・。」
デンジロウは内心しまったと思ったが、もう取り返しのつく状態ではなかった。

「だから言ったでしょ?これじゃあ起きそうもないわね・・・。ライナ、上の部屋にソウマ君寝かせるから手伝ってちょうだい。」

「は~い。二日酔いにならないといいけど・・・。」
ライナは不安そうだ。

「大丈夫よ。いざとなったら二日酔いに効く木の実があるから。ま、明日になってからね。」
二人はソウマの肩を担ぐと、そのまま上の部屋へと運んで行った。

「酔ったソウマもなんかいいな~・・・。」
よくわからないことをひそかに思うヒカルであった。

「あの調子じゃあ、当分帰るのは無理だね・・・。期限までに間に合うかな・・・。」
ゴロスケが言った。

「いまさらそんなこと考えたってしょうがねえよ。今のうちに遊んでおこうぜ!行くぞモリゾー!」
ソウイチはモリゾーを引っ張って外へと行ってしまった。
なんと楽天的なことだろう。

「あ・・・。こういうときは早いんだから・・・、もう・・・。。」
ソウヤはため息をついた。

「じゃあ、出遅れたついでにそり持っていくの手伝ってくれる?」
ヒカルが聞いた。

「そり?」

ヒカルは二人を裏の倉庫へ案内すると、中から大きなそりを引っ張ってきた。

「うわ~、大きいね~!」
ソウヤもゴロスケも驚いていた。

「たくさん乗れるようにって父さんが作ってくれたんだ。今まで使う機会はあんまりなかったけどね。」
ヒカルは恥ずかしそうに言った。

「でも、これならみんなで楽しめるよ。早速持っていこう!」
ゴロスケはとてもわくわくしていた。

「でも、その前にソウイチ達を呼んでこないと・・・。」
ソウヤはうんざりしたように言った。

「あ、そうだね・・・。じゃあそりは置いておいて、まずは二人を探しに行こうか。」
三人はソウイチ達を探しに出かけた。

三人がソウイチ達を探しているとき、二人は森の奥のほうへ来ていた。
昨日の一件でごろつきどもは逃げ出したようだ。

「こっちのほうはいっぱい雪があるな~。かまくら作れるんじゃねえか?」
ソウイチとモリゾーは森の奥のほうへきていた。

「二人じゃさすがに無理だよ・・・。でも、作ってみたいよね。」
モリゾーも興味はあるようだ。

「じゃあさ、ほかのみんなが来たときのために雪あつめておこうぜ!」
ソウイチは作る気満々だ。

「そうだね!じゃあ、オイラはこっちの雪を集めてくるよ。」
モリゾーは左のほうへ集めに行った。

「じゃあ、オレはこっちだな。」
ソウイチは右のほうへ進んだ。

そのころヒカルとソウヤたちは、ソウイチ達を探していた。

「どこにいったのかな~・・・。全然見つからないや・・・。」
ソウヤがため息をついた。
この森、面積がかなり広いのだ。

「とにかく、足跡を見つけよう。それをたどっていけばきっと見つかるよ。」
ヒカルは辺りを見回して二人の足跡を探した。
そして、とうとう二人が別れたところにたどり着いた。

「ここで別れてるね・・・。どっちに行こうか?」
ゴロスケが二人に聞いた。

「じゃあ、僕は右のほうへ行くよ。二人は左のほうをお願い。」
そう言うと、ヒカルは右のほうへ駆け出した。
ソウヤとゴロスケは左のほうへ進んだ。

そのころ、ソウイチは雪集めに精を出していた。

「いっぱいあるな~。これ絶対かまくら作れるぜ。」
ソウイチはうきうきしながら雪をかき集めていた。
すると、突然あたりが暗くなった。

「ん?まだ夜じゃねえよな・・・?」
ふと後ろを振り向くと、そこにはお化けみたいなものがいた。

「は・・・、あああ・・・。」
ソウイチは逃げようとしたが体が反応しなかった。

「遊びましょ~♪」
向こうはそのつもりで言ったかもしれないが、ソウイチはものすごい恐怖感を味わった。
そして、ようやく体が言うことを聞き始めた。

「ぎゃああああああああ!!!助けてくれええええええ!!!」
全速力でその場から逃げ出すソウイチ。
わき目も振らずに走りに走ると、向こうからやってきたヒカルと激しく衝突してしまった。

「いたたた・・・。あ、ソウイチさん!よかった~、見つかって~。」
ヒカルは一安心だったが・・・。

「たたたた助けてくれ!!お化けが追いかけてきてるんだよ!!」
ソウイチは怖さのあまり涙目になっていた。
そう、まだ誰にも言ってないと思うが、ソウイチはお化けが大の苦手なのだ。

「お、お化け・・・?それってどんなお化けですか?」
ヒカルは聞いた。

「ど、どんなって・・・。ってわあああ!!きやがったああ!!」
ソウイチはヒカルの後ろに隠れた。
これではどっちが年上か分かったもんじゃない。

「う、うるせえ!!怖いもんは怖いんだよ!!」

「あの~、誰と話してるんですか・・・?」
ヒカルはすごく不思議そうだった。

「な、なんでもねえよ!ってかきたぞ!」
ソウイチの指差す方向から確かに何かがやってきた。
ソウイチはガクブルだったが、ヒカルは冷静そのもの、というよりもあのお化けを知っているようだった。

「ソウイチさん、あれはお化けじゃなくて、僕の友達のリゲルですよ。」
ヒカルはくすくす笑っていた。

「へ?友達・・・?」
確かに近くまで来てよく見ると、それはムウマだった。

「な~んだ・・・。おどかしやがって・・・。」
ソウイチはほっと胸をなでおろした。

「そっちが勝手に驚いたんでしょ?おおげさね~。」
リゲルはあきれていた。
1歳違いとはいえ、年下にバカにされるほどいやなことはない。

「な、なんだと!?初対面のくせに生意気なんだよ!!」
ソウイチの頭に血管が浮いた。

「なによ!?呪うわよ!!」
いきなりの呪い宣言にソウイチはたじろいだ。
呪われては自分の命にかかわる。

「ちぃ・・・。」
こみ上げる怒りを必死で抑えたソウイチ。
それでもまだ怒っているのは明らかだった。

「だけど、探検隊のリーダーのくせに臆病なのね~。」
リゲルはくすくす笑った。

「んだとお!?」
さすがに怒りを抑えるのも限界だった。

「お~い!ソウイチ~!」

向こうから、モリゾーたちが走ってくるのが見えた。
ソウイチは何とか怒りを飲み込んだ。

「もう~!先に行かないでよね!探すの大変なんだから!」
ソウヤが怒って言った。

「うっせえなあ!!トロトロしてるやつが悪いんだよ!!」
ソウイチは今までの鬱憤をソウヤにぶつけた。
いわゆる八つ当たりだ。

「せっかちなのが悪いんでしょ!?」
逆切れされてソウヤもかなり怒った。

「二人とも落ち着いて!!」
モリゾーとゴロスケが二人を止めに入り、何とか大喧嘩は回避できた。

「あ、そういえばこの子は?」
ゴロスケが聞いた。

「僕の友達のリゲルだよ。え~と、この人たちは・・・。」

「言わなくても大丈夫。全部分かってるから。」
ヒカルが紹介しようとするのをリゲルはとめた。
リゲルには、相手が何者なのかを見抜く能力があり、名前や年齢、役職などが分かるのだ。

「じゃあ、みんなそろったことだし、そりすべりしようか!」

「あ、そうだそうだ。それが終わったらかまくら作らねえか?」
怒りが抜けたのか、ソウイチはみんなに聞いた。

「かまくらか~。いいね!そりすべりが終わったら作ろう!」
さっきの怒りはすっ飛び、ソウヤもこれからの遊びに期待を膨らませていた。

そして、家の倉庫にそりを取りに戻り、斜面のほうまでみんなでそりを押した。
そして、ようやく斜面のてっぺんにたどり着いた。
周りは障害物がなく、思いっきりそりすべりを楽しめる場所だった。

「僕が見つけた場所なんだ。ここなら思いっきり楽しめるよ!」
ヒカルは自慢げに言った。

「こりゃあ大迫力だぜ!早速乗ろうぜ!」

みんなは順番にそりに乗った。
舵は、そりに何回も乗っているヒカルが担当することになった。

「あんまりくっつかないでよね。」
リゲルはソウイチをにらんだ。

「わかってるよ!」
ソウイチも思いっきり睨み返した。
この二人は仲良くはなれそうもない。

「じゃあ、行くよ!」
ヒカルがそりを押すと、そりは勢いよく斜面を滑り出した。

「わああああ!!早い~!!」

「ひゃっほ~!!いけいけ~!!」
モリゾーとゴロスケは少しびびっていたが、ソウイチとソウヤ、リゲルとヒカルはすごく楽しそうだった。
そして、あっという間に下まで滑り降りてしまった。

「そりってとても早いんだね~・・・。」
初体験のモリゾーとゴロスケはまだ心臓がどきどきしていた。

「よ~し!もう一回滑ろうぜ!」

「やろうやろう!」
他の4人はかなり楽しんだようだ。
それから何十回もすべると、モリゾーとゴロスケもだいぶ慣れてきた。

そして、さすがに何十回もやると飽きてきたので、さっきの場所でかまくらを作ることにした。

「とりあえず雪はしっかり固めないとな。崩れてきたら大変だしな。」
ソウイチは以前作り方を見たことがあるらしく、作業は手馴れたものだった。
みんなへの指示の出し方も適切で、かまくらはあっという間に完成した。

「うわ~!おっきいね~!」
みんなかまくらの実物は初めて見るので大興奮だった。

「じゃあ、中に入ってみようぜ。」
みんなはソウイチの後に続いてぞろぞろと中に入った。

「うわ~、中って意外にあったかいんだね~。」
モリゾーとゴロスケは感嘆の声を漏らした。

「それに大きいから、たくさん入っても大丈夫だね。」
ソウヤも感心していた。

「へへっ。オレだってやるときはやるんだぜ?」
ソウイチは鼻高々だった。

「あ、そうだ!家からクッキーとか持ってきたんだ。みんなで食べよう!」
ヒカルは袋を広げ、クッキーなどを並べた。
ちょうどみんなおなかもへっていたので、おやつを食べることにした。
体を動かした後のおやつはとてもおいしかった。
いろいろな話をしながらおやつを食べていると、あっという間に日が傾いてきた。

「あ、私そろそろ帰らないと。今日はとっても楽しかった!またね!」

「うん、またね~!」

リゲルはみんなにさよならを言うと、森の奥へ帰っていった。

「じゃあ、僕たちも暗くならないうちにそろそろ帰ろうか。」

「そうだね。あんまり遅くなるとみんな心配するだろうし。」
みんなはもと来た道を引き返し、家へ帰り始めた。
家では、ライカがすでに晩御飯の準備をしていた。

「おかえりなさい~。今晩御飯作ってるからもう少し待っててね。」
台所からはいい匂いが漂ってきた。

「うは~、またまたうまそうなにおいだ~・・・。」
ソウイチはよだれがたれそうになった。

「姉ちゃん、ソウマの様子はどう?」

「さっき二日酔いに利く薬を飲んだから、たぶん明日には元気になると思うわ。」

「よかった~・・・。もう、お父さんも限度ってものを考えなよ!」
ヒカルはデンジロウを横目でにらんだ。

「いや~、すまんすまん。無理やり飲ませないほうがよかったよ。」
デンジロウは苦笑いした。
結構反省しているようだ。

「普通未成年には飲ませないよね・・・。」

「だな・・・。飲むのも飲ませるのも法律違反だよな。」
ソウイチとソウヤは周りに聞こえないように言った。

それからしばらくして、テーブルにはいろいろな種類の料理が並んだ。
みんなは舌鼓を打ちながら料理を楽しみ、いろいろな話に花を咲かせていた。
これこそ、一家団欒ということであろう。

晩御飯が終わっても話はなかなか絶えず、あっという間に寝る時間になってしまった。
ソウイチ達はまだ起きていたかったが、明日には帰らなくてはならないので、しぶしぶ寝床についた。
それでも、興奮してなかなか眠ることができないのであった。



そして翌朝、ソウマも元気になり、朝ごはんを食べるとみんなは帰り支度を始めた。
ライカとデンジロウはもう少しゆっくりしていってほしかったが、日数に限りがあるので、それはできなかった。

「いろいろお世話になりました。」
ソウマはデンジロウたちに礼を言った。

「いやいや。こちらこそ楽しかったよ。ライナも久々に帰ってきてくれて本当に嬉しかった。帰り道は十分気をつけるんだぞ。」

「探検隊の仕事も大事だけど、たまには帰ってきてね。」
デンジロウとライカは笑顔だったが、どことなくさびしそうだった。

「ええ。きっとまた来るわ。お父さんとお母さんも、元気でね。」
ライナは二人と抱き合った。
やっぱり別れるのは誰だって寂しいものだ。

「ヒカル、お父さんとお母さんのこと、しっかり頼んだわよ。」
ライナはヒカルの頭をぽんぽん叩いた。

「わかってるよ!僕がしっかり父さんと母さんの面倒見るよ!」
ヒカルは自信たっぷりに言った。

「本当に頼もしくなったな。これなら探検隊でも十分通用するぜ。」
ソウマはまんざらでもない言い方をした。

「ほ、ほんと?照れるな~・・・。」
ヒカルは顔を赤くして頭をかいた。
みんなその様子がおかしかったのか、声を出して笑った。

「それじゃあ、帰ろうか。」
みんなが帰ろうとすると・・・。

「あ、ちょっと待って!」
ヒカルがみんなを引き止めた。

「ん?どうした?」

「今度、そっちのほうに遊びに行っちゃだめ?」
ヒカルはおずおずと尋ねた。

「遊びに?」

「うん。今回はソウマたちが来てくれたから、今度は僕たちが遊びに行きたいんだ。ねえ、いいでしょ?」
ヒカルはすがるような目でソウマに訴えた。

「オレ達は別にいいけど、そういうことはお前の父さんや母さんに聞いてみないとな。」

「ねえ、父さん、母さん。いいでしょ?お願い!」
ヒカルは必死で二人にお願いした。

「ヒカル!二人を困らせちゃだめでしょ?」
ライナが注意したが、ヒカルは引き下がらなかった。

「しょうがないな。時間がいつ取れるかは分からないが、時間ができたときはお邪魔させてもらうことにしよう。」

「そうね。だけど、その間はちゃ~んとお手伝いとかするのよ?」
二人はヒカルに念を押した。

「うん!ありがとう~!!」
ヒカルは嬉しくって二人に抱きついた。

「よかったな、ヒカル。俺達も待ってるからな。」
ソウマはヒカルの頭をなでながら言った。

「きっと行くよ!きっとね!」
ヒカルは満面の笑みを浮かべていた。

「じゃあ、また今度会おうぜ!」

「さよなら。とっても楽しかった!」

「またそりすべりしような!」
みんなは口々に別れの挨拶をすると、ライナの家を後にした。
ヒカルたちは、みんなが見えなくなるまで手を振り続けた。

帰りは行きより道を知っているためそれほど時間はかからず、予定より早くギルドにつくことができた。
ぺラップに嫌味を言われることもなかったので、みんなは楽しい気分で里帰りを終えることができた。
そして、いよいよ物語は、大きく動こうとしていた。 


アドバンズ物語第三十話



ここまで読んでくださってありがとうございました。
誤字脱字の報告、感想、アドバイスなどもお待ちしてます。

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  • ライカ…懐かしい。ポケダンで主人公をピカチュウにして、つけていた名前です。小さなところで笑ってしまいました。

    やっぱりわくわくしますね〜o(^∇^)o
    ――スペード ? 2011-04-18 (月) 01:05:33
  • 乾燥ありがとうございます。
    おお!それは偶然ですね。名前を考えているとほかの人が考えていたものと一緒の時がありますので、そういう時はちょっとおもしろいですよね。
    いよいよ次回から、少しずつ物語の核心へと迫っていきます。
    どうぞお楽しみに。
    ――火車風 2011-04-18 (月) 11:02:46
  • リゲルが出たあたり、名前がヒカルではなく、シリウスになっています。よけいなお世話だったらすいません。
    ―― 2011-04-21 (木) 00:16:06
  • おおう・・・。これは失礼しました。さっそく修正をしておきます。
    ご指摘の方ありがとうございました。
    ――火車風 2011-04-22 (金) 18:07:27
お名前:

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Last-modified: 2011-04-17 (日) 00:00:00
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