ポケモン不思議のダンジョン 探検隊アドバンズ物語
作者 火車風
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第七話 選別作業も楽じゃない!? 初めてのみはりばん!
「ふ~、ようやく退屈なのが終わったぜ・・・。」
ソウイチは朝礼が終わると、やれやれといった感じでつぶやいた。
「し~っ!そんなこと言ってたら怒られるよ!」
モリゾーがたしなめた。
「毎度毎度やっとるようなんこそ、結構大事やったりするんやで?」
カメキチも言った。
「ちぇっ!なんだよみんなして!!」
ソウイチはむくれた。
「まあそう怒るなよ。」
ソウマがなだめようとしていると・・・。
「おい!お前たち!!」
大きな声が辺り一面に響き渡った。
声の主はドゴームだった。
「(ったく、いちいち大声出さなくても分かるっての・・・。)」
ソウイチは心の中で舌打ちした。
「で、どうしたの?」
ソウヤが聞いた。
「今日はこっちを手伝ってくれ!!」
すると、ドゴームは穴の方へ歩いていった。
ソウイチたちもそれに続く。
「ディグダ!連れてきたぞ!」
「ありがとうございます。ドゴームさん。」
どうやら用があるのはこのディグダのようだ。
「で、用ってのは?」
ソウイチは少しいらいらしながら言った。
「今日はお前たちには見張り番をやってもらう!」
「見張り番?見張り番って?」
ゴロスケが聞いた。
「すみません。見張り番はいつもボクの仕事なんですが・・・、今日はお父さんに掲示板の更新を言いつけられまして・・・、見張り番の仕事ができないんです。で、誰かボクのかわりに今日一日見張り番をしてほしいと。そういうわけで、よろしくお願いします。では。」
ディグダは一気に言い終えると地面に潜ってどこかへ行ってしまった。
「と、いうわけだ。」
ドゴームは笑顔でいった。
「はあ!?何が、というわけだよ!!全然意味わかんねえよ!!」
ソウイチはしびれが限界に来てとうとう怒った。
「うるさあああああい!!つべこべ言わずに働けえええええい!!!」
ドゴームの大声で瞬殺されてしまった。
「あううう・・・。やりゃあいいんだろ・・・。やりゃあ・・・。」
ソウイチはくらくらしながら渋々承知した。
「じゃあ、オレ達は普通の依頼があるからそっちのほうを片付けてくるぜ。」
ソウマは言った。
「えええ~!?アニキ達だけずりいぞ!!」
ソウイチはむくれた。
自分達が面倒な仕事をやるのに、ソウマ達だけしないのは卑怯だと思ったのだ。
「私たちは前にやってるのよ。ここに入ったばっかりの頃ね。」
ライナはソウイチの怒りを静めるように言った。
「そ、そうなのか・・・?」
「ボクも体験しましたけど、どうやら新入りの人はやるって事が決まってるそうです。」
ドンペイも言った。
「ぬううう・・・。」
ソウイチはうなった。
年下に教えられるのがすこし悔しかったのだろう。
「そういうわけだから、オレ達はそろそろ行くぜ。ちなみに、結構依頼があるから帰るのは二日ぐらい後だな。じゃあな!」
そう言ってソウマ達は依頼を解決しに出かけていった。
残ったのはソウイチ達だけだった。
「そう言うわけだからさっさと持ち場につけ。」
ドゴームが命令した。
「チッ、言われなくても分かってるよ!!」
ソウイチは多少やけになりながら穴の中へ飛び込んだ。
「ちょっと!深さも分からないのいきなり飛び込んだら・・・。」
ソウヤが言い終わらないうちに・・・。
ドスーン!!!
ものすごい音がした。
「だから勝手に行動しないでって言ってるのに・・・。」
ソウヤは完全にあきれていた。
他のみんなもあきれているのは目に見えていた。
他のみんなははしご伝いにゆっくりと降りていった。
下につくと、海岸での出来事を再現しているかのように、ソウイチが頭から地面に埋まっていた。
「どうしよう・・・。助けた方がいいのかな・・・?」
モリゾーはおろおろしていた。
「でも、自業自得なんだから自分で出てこさせれば・・・。」
またソウヤが全部言い終わらないうちに・・・。
「もがあああああ!!!もごあああああ!!!!」
地面の下からものすごいうなり声がした。
ソウイチが早く出せといっているようだった。
「やっぱりかわいそうだから出してあげようよ・・・。」
ゴロスケが言った。
「しょうがないな~・・・。」
ソウヤもモリゾーも渋々うなずいた。
そしてみんなでソウイチを地面から引っ張り出した。
「ゲホッ、ゲホッ!!くそっ、土が口ん中まで・・・。ゲホホッ!!!」
ソウイチは思いっきりむせていた。
「だ、大丈夫・・・?」
モリゾーが心配そうに様子をうかがう。
「大丈夫なわけねえだろ!!なんで今日はこんな悲惨な目にあわなきゃいけねえんだよ!!」
ソウイチは完全に頭に来ていた。
「自業自得でしょ・・・。まったく後先かえりみないんだから。」
ソウヤは完璧にあきれ果てていた。
「うっせえ!!とにかく先行くぞ!!」
ソウイチは怒りながら歩き出した。
こんなので仕事ができるのかどうか心配だ。
「うわっ!真っ暗で何も見えないよ・・・。」
あまりの暗さにみんなびっくりした。
「とりあえず手探りでいこう。壁に伝っていけば大丈夫だよ。」
ソウヤが言った。
「それでたどり着かなかったらどうすんだよ?」
ソウイチは不満顔で言った。
まだいらいらがおさまってないようだ。
「一本道だから大丈夫だよ。迷うわけ無いでしょ?」
ソウヤはむっとしていった。
「だから、その途中で障害物とかあったら危ないだろ?」
「あ・・・・・。」
ソウヤは思ってもみなかった盲点を突かれた。
「だろ?だから・・・。」
すると、ソウイチは背中から炎を出した。
「わわわ!!」
みんなびっくりして飛び退いた。
「これで明るいだろ?」
ソウイチはにやっと笑った。
「もう~、びっくりさせないでよ~・・・。」
モリゾーはほっと胸をなで下ろした。
しかし、この暗い中で炎の明かりはありがたかった。
「じゃあ行くか。」
さっきのいらいらはどこへやら、四人は先を目指した。
すると、ようやく格子戸の真下にたどり着いたようだ。
「どうだ~?見えたか~?」
ドゴームの声が遠くから聞こえてきた。
「うん!ついたよ~!」
モリゾーとゴロスケが答えた。
「よし!それでは見張りの穴の上にポケモンが乗るはずだ!そのとき誰の足形かワシに教えてくれ!いいな!!」
「オッケ~!」
「わかった!」
みんな準備を整えた。
「よし!ではいくぞ!!」
ドゴームにどやされることもなく、四人は順調に足型を判別した。
そして日は暮れ、だいぶ来客も減ってきた。
「お待たせしました~。」
そして、ようやくディグダが帰ってきた。
「お~い!お前ら!今日はもう終わりだ~。帰ってきていいぞ~!!」
ドゴームが言った。
「ふう~・・・。やっと終わりだね~。」
ゴロスケが言った。
「とりあえず腹減ったぜ~・・・。」
ソウイチはお腹をぐるぐる鳴らしながら言った。
「まったく食いしん坊なんだから・・・。」
ソウヤはまたあきれていた。
いったい何回あきれた事やら。
穴から出てくると、ドゴームとペラップが待っていた。
「お前たち、ご苦労だったな。」
ペラップがねぎらいの言葉をかけた。
「で、仕事の出来具合だが・・・。」
「ごくり・・・。」
みんな固唾を飲んで言葉を待った。
「結果は・・・、なんと、パーフェクト!!」
「え・・・?パーフェクト・・・?」
モリゾーは言葉を繰り返した。
「すべて間違いはなかった!お前たち、初めてにしてはよくやったぞ!」
ペラップは笑顔で言った。
「やったぜ~!!」
ソウイチは飛び上がって喜んだ。
「報酬もスペシャルバージョン!!特別にいっぱいあげるよ!!」
そしてソウイチたちは、ふっかつのたね、PPマックス、しあわせのたね、500Pをもらった。
「こんなにもらっちゃっていいの?」
ソウヤが遠慮がちに聞いた。
「がんばったご褒美だよ。この調子で明日もがんばるんだよ!」
ペラップは笑顔でいった。
「もちろん!」
みんなは自信満々に答えた。
とりあえず最初の見張り番の仕事は大成功だった。
そして今度は、最初の未知なる場所の探検が始まろうとしていた・・・。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
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