ポケモン小説wiki
よくあるお話

/よくあるお話

微妙に危ないかもしれませんよ…
よくある下ネタ程度になるかも…


真っ暗な夜の踏切。
『カンカンカン…』
警告音の鳴り響く線路上に僕は居る。
別に死にたいとか思ってる訳じゃない。
言い訳かも知れないけど、辛く悲しい現実から逃げたかった。
遠くに電車を確認すると僕は目を瞑った…
『プァァァァ…』
電車独特のクラクション(?)が聞こえる。
向こうがこっちに気付いたのだろう…
また、ほぼ同時に『ガシャン』と音がした。
いきなり両脇を掴まれ踏切の外へ連れ出された。
電車が去った後の静かな時間…
「離せよ」
暴れはしなかったけど睨みつけて言った。
「もうバカな真似しないって約束出来るなら離してあげる」
「……」
「ねぇ…俺のパートナーにならない?絶対楽しいからさ」
「………前もその言葉に騙された…人間はどうせポケモンを利用しようとしてるだけだ…」
「俺は利用なんかしないよ…」
そう言うと人間は倒れていた自転車を起こし、前カゴに僕を入れた。
「誘拐犯…」
僕―マグマラシが人間を指さす。
そんな事も気にせず、人間は自転車を走らせ始めた。
「誘拐されてると思ったら普通暴れない?」
「……どうせ死ぬつもりだったんだから、今更…」
人間は一軒家の自転車置き場に自転車を止め僕を抱き抱える。
玄関を開け僕はすぐにお風呂へつれていかれた。
「お風呂一人で入れるよね?」
「入れるけど…また、ここで僕が死のうとしたらどうする?」
人間はニコッと答えた。
「君はそんな事しない」
この人間なら…と一瞬思った…
駄目だ、人間は信じてはいけない。
「タオルはここね、終わったらリビング来て」
僕は……なにやってんだか…さっさと死ねば良かったのに…
身体を震わせ水気を飛ばす。
炎タイプだから、タオルなんて要らないのに…
身体の体温をおもいっきり上昇させ完璧に乾かす。
「ふぅ…逃げるかな…」
物音をたてない様に玄関へ向かう。
「もう行くの?」
別に悪い事してる訳じゃないのにドキッとした。
「急いでいるんじゃないなら少しいいかな?」
人間はリビングへ向かう。
仕方ないから人間についていく。
「おいで」
人間がソファーに座り膝の上を叩いている。
膝に乗れって事か?犬じゃないんだから…
僕は人間の隣に行き丸まる。
「可愛く無いなぁ」
ふっと柔らかく頭を撫でられる。
不思議と嫌な感じはしなかった…
「君はいい仔だよ…だから、死んじゃ駄目だ…」
この人間は僕の事を本当に大事にしてくれるのだろうか…
「手当てって…知ってる?」
いきなりなんだ…
「怪我とかを治す事だよね」
「それもあるんだけど…本当の意味は…ココロを癒す事だよ」
心を癒す…
「病は気から、君は心は氷のようだ」
「……」
「前の人と何があったか知らないけれど…」
人間が僕を胸に手を当てる。
別にいやらしい意味じゃ無くて…
「暖かいでしょ?」
「……うん」
人間が手を離す。
「御免……君、女の子なんだね…」
「いいよ…口調がこれだしね…」
なんだか…一緒に居たいと思えてきた。
「寝ようか…」
「うん…」
人間が僕を抱き抱える。
連れていかれたのは人間部屋だった。
ベッドと机と本棚、タンスそれだけだった。
人間は僕の事をベッドに下ろし掛け布団をかける。
「おやすみ…」
そう言って部屋を出て行こうとする。
「あっ……その…マ、マスター…」
なんだかとても恥ずかしい…
「別に君のトレーナーじゃないんだから優でいいよ…何?」
「あの…優…はどこで寝るの?」
「あぁ、ソファーで寝るよ」
「ねぇ…良かったら、一緒に寝てくれる?」
「君が良いならね」
人間がベッドに入って来る。
「おやす…あ…」
僕は優にしがみついて泣いてしまっていた。
何故泣いてしまったのか自分でもわからない…
「もう大丈夫だよ…」
優が優しく背中をさすってくれている。
僕は何の為に生まれて来たんだ?
優と出逢って一緒に暮らすため…
ちょっと行き過ぎた表現かもしれないけれども…
涙を拭って優に更に強くしがみつく。
「優ぅ…」
彼なら僕の氷を溶かしてくれるはずだ。


目が覚めると美味しそうな匂いと食器の音がする。
匂いに誘われてリビングへ向かう。
「おはよう〜そこに座って」
言われた通りに椅子に座る。
テーブルには炊き込みご飯と味噌汁、オレンの実があった。
そして、優が隣に座る。
「はい、出来るだけこれ使ってね」
四足歩行のポケモンが使いやすいように改良されたスプーンだった。
「「頂きます」」
とは言ったものの、慣れない事だから30分以上かかってしまった。
それでも、なんとか食べ終えた。
優が片付けを始めようとしてたので、僕も手伝おうと食器を手に取った時…
『パリン…』
やってしまった…
茶色のフローリングに白い破片が飛び散っている。
直ぐに優が来た。
「怪我無い?」
「あ、うん…ごめん……なさい」
優は別に気にしてないよとばかりに僕の頭を撫でる。
「いいか、こう考えるんだ…カオスって知ってるか?
この世の中にあるもの全てはいつか壊れるんだ…
それに、俺の不幸を君が代わりに受けてくれたんだ……わかるだろ…」
僕は頷く…
「だからといって、あんまり壊されると困るからな?」
よし、と呟くと優は割れた食器を片付け始めた。
僕は何か役に立ちたかったけど何もしない方が良いな…
んで………何もやること無い…
あまりに暇なんで部屋に戻って本棚にある一冊の本を取る。
開いて見ると沢山の写真が貼ってあった。
一枚の写真が気になった。
写真には優とエーフィ、イーブイが写っていた。
どこかの公園で撮ったのだろう。
優がイーブイを抱いてベンチに座り、隣にエーフィが座っている。
季節は春だろうか…
皆、楽しそうだ。
「俺が抱いてるのはイルで隣に居るのがカンナ」
片付けが終わったらしく、部屋に戻ってきた。
「いまどこにいるの?」
「さぁ?カンナとは些細なことで、けんかして出ていった」
「じゃあ、イーブイのイルは?」
「カンナについていった」
「ふーん…じゃあ、あれは何?」
僕は机の上にある十冊以上のノートを指差した。
勉強用にしては妙に数が多い。
「あれか…」
一冊のノートを取って僕に見せてくれた。
表紙に名前と種族名が書いてある。
「これには、家に来たポケモンの記録みたいな物だよ
そのポケモンの好きなこと、嫌いなこと、性格、食べ物の好み、分量など色々ね」
「じゃあ…僕のも…」
「あるよ、ほら」
表紙に種族名だけが書いてあった。
「君が寝てる間にね…そう言えば名前、聞いて無かったね…」
「僕、名前無いな」
「ん〜じゃあなんか考える?」
「……じゃあ、ユキで良いや」
名前なんて何でも良い。
とか、言いながら由来もあるんだけどさ…
不審に思うかな…
炎タイプに"ユキ"なんて…
「わかった…」
不審に思わなかったのかな…
まぁ良いや…
アルバムを戻し、ベッドでに乗った。
「マッサージでもしてあげようか?」
「……えっ?」
「マッサージ…」
「……嫌らしいな」
「嫌らしいか?」
優がタンスからタオルを出す。
「なんか、良からぬ事を…」
「ハイハイ、うつ伏せになって」
素直にうつ伏せになるとタオルを掛けられた。
背中をゆっくり揉みほぐす。
「お客さん、凝ってますねぇ…」
冗談混じりの会話が始まる。
「そうなんですよ、最近………」
……数十分後には、からだ全体が楽になった。
これを商売にすればかなり儲かるかと……
その後、散歩や買い物など…クダクダやってるうちに時間は過ぎてしまった。
寝る時、ベッドで、ふと思った。
何だかんだ言って優と居るのは楽しい。
けど、明日、優は学校なんだよなぁ…
学校にポケモンは禁止だし、お留守番だ。
何もやる事がないんだろうな。
まぁ、今日はもう寝るか…


「ユキ〜おきて〜」
僕を現実へ導く声。
取り敢えず起き上がって目を擦る。
「おはよう、ユキ」
「ん…おはよ…」
「朝ごはん出来てるから食べちゃって」
まだ意識の朦朧とするなか、なんとか食べ終わる。
優は忙しそうに食器を片付ける。
僕はまだ椅子に座って居て、テーブルに頭を着けてボーっとしていた。
目の前に木の実の入った籠が置かれる。
「昼にこれ食べてね」
僕は軽く頭を縦に振った。
「じゃあ行って来るね」
その言葉を聞いて、一気に頭が冴える。
「帰ってくるよね?」
咄嗟に出た言葉…
心のどこかに裏切られたくないって気持ちがあるのかも知れない。
「ここは俺ん家だ、帰ってくる」
「うん…」
「じゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃい…」
ガチャリ…とドアが閉まった。
気が付けば閉まった扉をじっと見つめていた…
何やってんだろ…
暇潰しに本棚にある簡単そうな本を引っ張り出す。
ポケモンと人間についてかいてある。
昔、ポケモンと人間は結婚した事もあった。
モンスターボール何て物は昔の人間は嫌ったらしい。
最後にこう書いてあった。
『ポケモンを信頼していればポケモンも応えてくれる』
何、綺麗事言ってるんだ。
人間なんて…
……優は裏切らないよね…
矛盾した気持ちが心を痛める。
本をもとに戻し、ベットに仰向けに寝てみる。
窓から沢山の光が注がれ白い壁がそれをやわらかく跳ね返す。
「ふぅ…」
少し…寝よう…

 

ん……お腹空いたなぁ…
鉛の様に重い体を動かし、リビングに向かう。
しかし、どうも様子がおかしい。
誰かいる…
息を殺し少しづつリビング全体を視界に入れていく。
やがて、視界に入って来たのは紫色の身体――エーフィだ。
僕の頭の中で何かが繋がった。
隣にイーブイも居る。
間違いない…カンナとイルだ。
話し掛けて見ようかな…
でも…初対面だし…
どっちにしろリビング行かないと、何も食べられないし…
よし、何気無く行って、食べて部屋に戻る。
………とは言ったもののやっぱりドキドキする。
一歩、二歩と木の実の入った籠を目指す。
カンナとイルはこちらに気付き振り向く。
時が止まった様に、金縛りに掛かったかの様に動け無くなった。
しかし、カンナの欠伸により再び時が動き出す。
カンナがソファーでくつろぐ。
イルも添い寝をするように寄りそる。
まぁ、特に何も言って来ないので目当ての木の実を頬張る。
お腹も膨れて食休みをして居ると茶色の毛玉が近付いて来た。
「あの…」
澄んだアルトの美声…
持ち主は勿論、イルだ。
どうやら、カンナは寝てしまったらしい。
暇になったのかな?
「何?」
「木の実を一つ分けてくれませんか?」
なんだ…そんな事か…
別に何か期待してた訳じゃないけど…
「良いよ」
籠ごと掴んでイルの手が届く所まで運ぶ。
「ありがとうございます」
イルは一番小さい木の実を取った。
そして、口にくわえ直してて僕の隣の椅子に跳び乗った。
「いただきます」
イルは木の実を食べ始めた。
僕は何となくイルの事を見ていた。
シャリシャリという心地良い音が聞こえてくる。
その小柄な身体のせいか、一口が小さい。
食べ方といい仕草といい……可愛い…
思わず見とれてしまう…
「あの…何か…」
不審に思ったらしい…
そりゃそうだ、じっと見つめていたのだから…
「あ、いや…ごめん…」
暫く、静かな時間が流れる…
「ねぇ、ちょっと良いかな?」
このまま静かなのもあれなんで…
「何ですか?」
「イル君は何でカンナに着いて行ったの?」
「え〜と…マスターに聞いたんですか?」
質問返し…聞いちゃいけなかったのかな。
「ちょっとね…」
「僕、弱いから…カンナ姉さんに守ってもらうために…」
「優と一緒に居れば良かったんじゃないの?」
「迷惑掛けられ無いし…」
「私なら迷惑掛かっても良いって事?」
突然、カンナが割って入る。
てか、起きてたのか…
「いや、そんな事じゃあ…」
「まぁ、いいけど…」
「あ、そう言えばあなたのお名前は…」
イルが思い出したように聞く。
「ユキです」
「ユキさんですか、よろしくお願いします」
イルが深々と頭を下げる。
「こちらこそ」
つられて僕も頭を下げる。
「じゃ、紹介終わったし、私ここで寝るから部屋でも行っててよ」
またねるのか…
「ユキさん行きましょう」
イルが急かすように背中を押す。
「わかった、行こ…」
「カンナ姉さん怒ると怖いんですよ」
さて、殺風景な部屋に戻って来たわけなんだか…
う〜ん…気分転換に近くの森でも行ってみるかな。
「イル君…僕ちょっと散歩に行って来るね…」
その言葉を放った瞬間イルの顔が曇った。
「あの…僕も一緒に連れていって貰えませんか?」
明らかにオドオドして不自然だ。
「きっとつまらないよ?良いの?」
「大丈夫です、邪魔はしませんから…お願いします…」
どうしても行きたいらしい…少し意地悪してみよ…
「えーと…どうしようかな…」
少し考えるふりをしてこう放った。
「一人で留守番しててくれるかな?」
「うぐぅ………」
イルの目がだいぶ潤んでいる。
流石に可哀想だ。
「………わかった、一緒に行こう…」
外は寒く、炎タイプの僕でも少し辛い。
体温上げればいい事なのだけど、そうはいかないイルが心配だ。
「寒くない?」
「大丈夫です……へくちゅ」
………大丈夫じゃないな…
「背中乗って良いよ」
「えっ…でも…」
「乗らないなら連れて行かないよ?」
「はぃ…」
ちょっと強引だったかも…
「暖かい…でも、重くないですか?」
「大丈夫…」
特に話す事も無いので無言で歩き続ける。
「着いた…」
大きな切り株にイルを下ろし、隣に座る。
とくに良い景色が見られるとかでは無い。
川岸にあるただの切り株だ。
「………あのさ…」
何と無く開いた口から漏れる一言。
「何ですか?」
「…いいや、何でも無い…」
「そうですか…」
空を見上げれば灰色の雲がゆっくり動いている。
ふと、冷たい物が鼻先に当たる。
「あ…ユキさん、雨が…」
「帰ろうか…」
しかし、雨はいきなり襲ってき来た。
ザァァァァ…
ヤバい…雨宿り出来る場所無いかな…
近くの木の下で雨宿り出来る雨では無かった。
来たときと同じようにイルを背中に乗せ、ハァハァと息を切らせながら走った。
運が良いのか悪いのか、都合良く洞穴を見つけた。
「あそこで雨宿りしよう」
洞穴に駆け込み取り敢えずひと安心。
「ずいぶん濡れちゃいましたね」
「そう…だね…」
周りに落ちている木の枝を拾い集め火を着ける。
これで寒さは和らぐ。
洞穴は意外と広い。
「雨…酷くなって来ましたね…」
雨の弾ける音が虚しく洞穴にこだまする。
んっ?雨音に混じって草木の揺れる音が…
同時にイルが僕にピタリとくっついた。
「あの…」
「わかってる…」
息をするのを忘れて外を睨む。
視界に飛び込んで来たのは、鋭い爪、キバ、まさに戦う為に生まれた様なボーマンダだった。
「おい、お前ら…」
「すいません、直ぐ出ていきます」
戦ってかなう相手じゃない。

ボーマンダの横を通り抜けようとする。
「おっと、罪を償って貰わないとな」
「うっ…」
うめき声と同時にボーマンダが呟く。
「このチビがどうなっても良いのか?」
イルが大きな足に押さえ付けられている。
「イル…」
「オレンの実を15個持ってこい」
「この森ではオレンの実は貴重でなかなか…」
「夕日が落ちるまで待ってやる……遅れた時は…わかるな?」
「うっ…ぅぅ」
「わかった…」
僕は雨の降りしきる森へ飛び出した。
しかし、何かが頭に引っ掛かる。
…何だ……何かが変だ。
オレンの実15個…夕日…
ボーマンダは何を企んでいる…?
オレンの実15個何て少なすぎる。
夕日が落ちるまでってこの雨じゃ、夕日が落ちてもわからないじゃないか…
とりあえず、一旦家に帰ろう。
寒い…冷たい…
段々足が動かなくなってくる…
家に着きテーブルに置いてある篭を見る。
足りない…
キッチンに入って見る。
ビニール袋に木の実が入ってる。
足りるか足りないか微妙だけど持って行こう。
僕はビニール袋をくわえて走り出した。

 

急いで洞穴に戻った。
「イルは…」
木の実を蓄えた袋が落ちる。
「あぁ…うまかったぞ、デザートはオレンの実だ」
「このっ…」
後先考えず、ボーマンダに突っ込んだ。
火炎放射を放とうとするが、簡単に押さえ付けられてしまった。
「死にたいか?」
たった少しの時間一緒に居ただけなのに…
親友を失ったような…
怒りが…
「許さない…」
「自分の立場がわかってんのか?」
「くっ…」
「お前に聞きたい事がある」
押さえ付けられている強さが弱くなり、ボーマンダの足元から抜け出す。
直ぐに戦闘体勢になる。
「何?」
「あのチビの事どう思ってた?」
「あんたに関係無いでしょ」
「何とも思わなかったのか?あの可愛いげのある喋り方とか礼儀正しい所とか…」
少しは思ったけど…
あれ…ちょっと待って…
「何であんたがイルの事知ってるの?」
「やべっ…」
ボーマンダが漏らした言葉を逃しはしなかった。
「どう言う事…」
「いや…その…なぁ…」
「何を企んでるの!?」
いつの間にか立場が逆転した。
「え〜と…あれ?」
「イルはどこ!?」
ズイと踏み出すとボーマンダは怯む。
「イル?あぁ…っと」
「………」
黙って睨みを効かす。
「……はぁ…負けたよ…出て来て…」
ボーマンダの影から小さな毛玉が出てきた。
「ユキさん…」
ふぅーとため息をつく。
イルの無事を確認してほっとした。
「さてと…そこのボーマンダに説明して貰おうかな?」
「うっ…え〜と……ゴメンナサイ…」
「あんまり責めないであげて下さい。彼も悪気があったわけじゃ無いみたいですし…」
どうやら、イルはボーマンダ側についたらしい。
「悪気が無いと言っても行き過ぎてるって気付かなかった?」
「悪かったよ…ちょっとからかいたくなっただけなんだよ」
「ユキさん、許してあげましょうよ」
「……わかったよ…じゃあ…帰る?」
「せめて、雨がやむまでお世話になりましょうよ」
……あぁ、すっかり忘れてた…
「俺の方は構わないよ」
「…そのつもりだよ」
ボーマンダはそうかと苦笑いを見せる。
地面に座り込み持ってきた木の実を一口…
「ユキさん一つ良いですか?」
「あ、うん、いいよ」
「俺も…」
何も答えずボーマンダを睨む。
「……やっぱりいいや…」
僕ってそんなに怖いかな…
それとも、こいつが気弱なだけか?
ボーマンダに向かって木の実を投げる。
ボーマンダは口でキャッチして一気に食べ干す。
沈黙。
まぁ、別に話す事なんて無いから良いか…
「ボーマンダさんって優しいですね」
イルが突然言い出す。
「ん?俺なんか…した?」
「だって、ユキさんが行った後、僕に優しく気遣ってくれたじゃないですか…『押さえつけてゴメン、痛く無かった?』って」
「あぁ…そんな事言ったな…」
他愛も無い雑談に区切りが付いた所で帰る事にした。
雨もおさまっている。

 

「二人とも…何をしてたの?」
まるで三者面談の様に緊張し空気が重い…
リビングの床に座っている僕らとソファーに座っている優。
「え、と…あの…」
「話したく無いなら良いけど…あんまり心配させないでよ?」
「「ごめんなさい…」」
はぁ…
なんか落ち込むなぁ…
それほど怒られた訳じゃないのに…
「後、なんでイルとユキが一緒に居たのかも聞きたいんだけど…」
「あぁ、それは…」
「秘密ですよね?」
…秘密なのか?
イルにとって都合が悪いのか?
「秘密、か…イルは一人で来たの?」
「え?カンナ姉さんは?」
「居ないけど…」
「……またか…」
優が苦笑い。
「…よろしくお願いします…」
話が噛み合ってない。
「それ、どういう事?」
「姉さんに置いていかれちゃいました…だから、これからよろしくお願いします」
「ここでは良くある事だからよろしくね、ユキ」
こうして、家族が一人増えた。


………とても、気になる事を聞いた。
…暗い廊下…
「…もうすぐ、か…」

「…ごめんね…本当は知らせては行けないとおもったんだけど…」

「気にするな…いつかこうなるんだ…早いか…遅いかの違いだけだ」

「じゃあ…また来るよ…」

「あぁ…わりぃな…」

誰と何を話して居たか良くわからないが、何か深刻な話なのは確かだ。
水を飲もうとしていたんだけど、そんな事も忘れてベッドに入って考えて居たらいつの間にか寝てしまった。


よくあるお話-その2
亀です。
何かございましたらどうぞ


トップページ   編集 凍結 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2010-02-14 (日) 00:00:00
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.