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ご成長は計画的にね

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著者:オレ
警告
 この作品は自慰、逆レイプ、近親相姦が含まれます。苦手な方は事前によく確認しましょう。約束です。












 一匹のポケモンが息を上がらせ、青い風となって木々の間を駆け抜けている。喜び勇むその脳裏には、向かう先で待っている者の姿が浮かんでいる。
「姉貴、俺の進化……喜んでくれるかな?」
 今一番喜んでいるのは、まだ進化したばかりのこのルカリオだろう。
 手に下げた鞄は手提げ紐が引きちぎれんとばかりに悲鳴を上げている。落としたら今日の稼ぎが無に帰しかねないのに、それも気にならなくなるほどにこのルカリオは高揚しているのだ。



 ルカリオは大木の根元まで着くと、そこで軽く息を整える。巨木の幹には枝葉が厚く壁を成し、そこそこの大きさを持つドームがくっついている。そのドームを支える梁と言うべき太い枝からは、昇り降りに便利な蔦が下がっている。
 それはルカリオが夜露をしのぐため、辛うじて習得した「秘密の力」で作った家だ。リオル一匹で作ったとは到底思えないかなりの大きさのドームだが、一匹でないのであれば話は別である。
「姉貴、戻ったよ!」
 ルカリオは嬉々とした声を上げながら、梁の枝に思いっきり飛び上がる。リオルであった今までは、届くとは到底思えないためやろうとすらしなかった。しかし今はそのひと跳びで、なんとか枝をつかんでぶら下がることができた。
「オウル? 声が変だけど、風邪でも引いた?」
 ドームの一角の穴から、一匹のリオルが顔を出す。彼女がオウルと呼んだルカリオの『姉貴』だ。オウルを迎えたいつもの調子は、しかしルカリオに進化したオウルの姿を見るなり終わる。
「見ての通り、別段問題は無いよ」
 体を軽々と枝の上に引き上げ、オウルはそこに腰掛け姉に冗談で返す。問題の方は全くない。だが、姉にとっては重大な変化があった。
「お前、随分早い……進化だな?」
 リオルからルカリオへの進化には、身体的な面だけでなく精神的な面も要求される。弟に自分より早く進化されてしまったということは、姉でありながら追い抜かれてしまったという現実を突き付けている。
 一応言えば姉の齢でも進化は厳しいくらいである。しかし目の前にいる進化した弟を見ては、それは慰めにしかならない。
「早く強くなって姉貴を守れるようになりたかったからね。俺が今こうしていれるのは、姉貴がいてくれたからだから」
 一方のオウルはというと、姉の引きつった表情に全く気付いていなかった。本来ルカリオというのは、波動から相手の感情を読み取る能力がある種族だ。しかし進化直後とあってか、十分に扱えないである。一応姉の様子の変化を感じてはいたが、詳細は理解できていないのだ。
「でも結局、俺がここまで頑張れたのは姉貴のおかげだからね。これじゃあ一生恩は返せないかな?」
 オウルは軽く冗談めかして笑う。それを見て姉はというと、さらに悔しさを募らせてしまった。本当は喜んで、祝い、称えるべきなのだろうが、今の姉は全く逆の方向に進んでしまっていたのである。
「まあ、入れ」
「あ、そうだね」
 姉はひとまず表向きだけは取り繕い、オウルに家に入るように言った。オウルも玄関先でただだべっていても仕方ないと思ったのか、すぐに腰を上げる。



「私が……私が守ってやらないといけなかった。いけなかったはずなのに……!」
 オウルのカバンを受け取ると、姉は悔しさいっぱいに口の中でつぶやく。彼女がオウルと出会った日から、それはいつも変わらないと思っていた。
 狂暴化した野生の群れに襲われ、住処を追われた彼女。逃げ回る中で家族から持物一つに至るまで次々と失い、身一つでリナという名前以外失ってしまっていた。
 そんな過酷な半月の逃亡生活の後に餓死寸前の弟と再会したとき、彼女は心に決めた。オウルだけはもう二度と失いたくない。リナもその思いで懸命に自身を鍛えてきたはずなのだが……。
『リナおねーちゃん、戦い方教えて』
 そんな姉の修行を兼ねた仕事に向かう姿に何を感じたのか、いつの頃からかオウルも同行するようになっていた。その時はただ教えて欲しいと言われたから教えただけだった。なのに、いつの間にか追い抜かれていた。
「オウル、勝負よ!」
「姉貴?」
 胸中でうごめく何かに駆られて、いつの間にかリナはオウルに拳を構えていた。突然の展開にオウルはわけが分からないまま、しかし姉のいつにない本気の目に気圧されつつあった。
「姉貴、でも進化した俺と特訓したって……」
「いいから勝負よ!」
 鬼気迫る姉の剣幕に、オウルもこれ以上言うことはできなかった。リオルとルカリオでは身体能力は桁が違い、それは鋼タイプの分の不利すらも軽く埋め合わせているほどである。稽古であれば実力が近い者同士でおこなうのがセオリーで、この大差ある組み合わせで行うのは無理がある。
 オウルは疑問符を浮かべながらも、気圧されて仕方なく流されていく。その一方で、リナも胸中のどうしようもない物に戸惑っていた。こんな喧嘩をしてもどうにもならない、勝っても負けても鬱屈としたものが残るだけだと。だが、止められなかった。
「勝負!」
 リナは猛るが早いか、真っ向からオウルに食い掛かった。



「姉貴、もういいだろ?」
 オウルはまったく反撃はしなかったが、攻撃をいなしていくうちに勝手に姉の方が消耗しきっていた。しかし、息を切らしてなおリナは戦意をたぎらせていた。
「まだだっ! まだだっ! 喰らえっ!」
 踏み込み拳をうちだそうとしたリナ。だが、戦っている間に足元が覚束なくなるほどになっていたのを気付かなかった。床の滑りの良さも相まって、リナはオウルの手前で足を滑らせる。
「姉貴!」
 思わず手を伸ばしたオウルも、その動きには不意を突かれた。何とかリナの胸元には手を伸ばせたものの、空を切る手には気付かず。その手はまっすぐにオウルの……。
「ひゃぁっ!」
 股の間より少し上へと直撃していた。オウルは進化して低くなった声とは逆行する、高いか弱い悲鳴を上げる。
 陰嚢の直撃時の痛みはオウルもよく知っているが、しかし今はそちらではなかった。直撃を受けたのはその手前に垂れ下がる物で、その付け根付近に当たったため致命打にはならなかった。
 もちろん直撃する物によっては衝撃がそこまで届くため痛打は避けられなかっただろうが、今はわずかに姉の手が当たっただけである。転ばせないために胸に腕を回されたリナは、腕はおろか全身で減速していた。
 だがその付け根付近を強く撫で上げるような接触の瞬間、オウルの体は今まで感じたことが無い衝撃に打たれていた。
「オウル?」
 突然のことに驚いたのはリナも同じだった。偶発的にそこに接触したことはあったが、それでこのようになったことを見たことが無かった。目線の焦点が狂い、足腰から力が抜けつつある。波動の力が無くても分かるほどの変化だ。
「ふーん?」
 よくわからないが、リナは再びその場所に手を伸ばす。その悪さを企てる笑みが大体の答えを物語っているが、しかし恍惚としていたオウルにそれを理解するすべは無かった。
「あぅううっ?」
「効いているみたいだな?」
 脳髄まで破壊しかねないような衝撃。敗者の悲鳴でもここまで情けないものは想像できない。オウルは床に膝を落とし、頭を前に倒そうとする。
「な、なん……?」
 その瞬間、オウルは目の前の物に愕然とさせられる。普段は弾力があり柔らかく、重力に逆らうことなく垂れ下がっているその物体。
 汚物の出口として普段はあまり触れようとしなかったもの。今は異様に膨れ上がって固さを持っている。しかもそれでも足りないとばかりにその場所は力を得ようとし、はち切れんばかりの痛みが走っている。
 一方のリナはそんな情けない物を逃がすまいと、ゆっくり倒れ込んできたオウルの上体を押し返す。その間にも独特の弾力を持つ物体を放すことはなく、マッサージの要領で攻め立てる。
「あね……き! そんなところきたな……あうあぁっ!」
「どうした? 進化したはずなのに情けない姿だな?」
 見る見る内に強さを増していくその物体を、リナはオウルの必死の抵抗と理解した。守りを固めるのであればもっと強烈に攻めると、一気に爪を立てる。
「ぎゃうぅん!」
 一転して尋常ない痛みから、オウルは血の涙を吹き出すような悲鳴を上げる。全身をひとしきり痙攣させ、その後はそこを押さえて悲痛に悶え転げる。リナもこの反撃には吹っ飛ばされた。
「くっ……! 最後のあがきにしては見事だな?」
 しかしリナの方はすぐに起き上がり、再び力を落としていたオウルのそれを握りしめる。もし今の抵抗が攻撃の激しさから思わず出してしまったものなら、少々攻める力を抑えるべきだろう。丸くなって涙を流すオウルの手を払い、その位置に素早く手を突っ込む。
「やんっ! ぃやあんっ! やめっ!」
 今度は強烈な痛みまでは出さないように抑えた。結果オウルは狂っていくばかりで。再び力を持ち始めたそこを、リナは生殺しとばかりに締め上げる。
「お前が私を守るなど、寝言は寝て言え。進化してこれでは、私が進化したらどうなるかな?」
 そして極め付きとばかりの一言。言葉でのさらなる攻めという概念を知る由はまだ無いだろうが、どちらもよくわからない状況でこれだと驚かされる。
「あね……きっ! もれ……!」
「なんだ? まだ仕置きの途中だぞ、身の程知らずが」
 オウルは下半身から、何か異様な存在が迫りはじめたのを感じ始めた。射精などという知識は全くなかったため、それを尿意にしか感じられず。こんな時に迫ってくるなんて、まさに弱り目に祟り目だろうと。
 オウルは最後のプライドをかなぐり捨て、かすれた声で姉に降伏宣言する。本当は先の姉の「寝言は寝て言え」に抵抗したいのだが、迫ってくるものが許してくれない。このまま姉が解放してくれなければ、お漏らしというさらなる恥辱が上乗せされるだけだからである。オウルもまだ子供と言うべき齢だが、お漏らしするほどではない。
「言いたいことがあるならはっきり……うわあっ!」
「やあぁぁぁあっ!」
 しかしかすれた声での懇願で、姉も素早く理解できるわけが無く。声すら奪う衝撃の前では、言葉などなんの力も持たなかった。仮に波動を使いこなせたとしても、この状況で伝えるかはどちらでも同じであろうが。
 オウルが吹き出したそれは、そこを虐げていたリナの顔面を襲撃した。咄嗟のことに反応できず、リナは異臭を放つ白濁駅に染め上げられる。一方のオウルも、絶望感があまりにも大きすぎたために恍惚感との違いがわからずにいる。
「進化したのに、負けた上にお漏らし?」
 性の知識に関してはリナも全く同レベルであったため、放尿を掛けられたとしか理解していない。しかし汚物を掛けてきた相手を非難する言い方の割には、口調は非常に満足げである。むしろそれを敗者の最後の見苦しい抵抗だと思えば、この程度しかできないのかと完全に見下しているようである。
 そしてオウルはと言うと、彼も彼で完全に敗者だった。自身を見下す姉の言葉に何一つ反論できず、頭を投げ出して涙を流すのみ。姉がなぜこのような行動に走ったのか、自分はどうしてここまで無抵抗に負けてしまったのか。答えどころか疑問すら出揃わないまま、オウルはただ泣いた。



「畜生……姉貴め!」
 それから数日。姉はそれからオウルに対して特に何を言うでもなく、数日前のことを誰かに言った様子も無く。しかし時々自分に向ける目線から、明らかな嘲笑を間違いなく感じ取っている。
「あんなことするなんて、今でも信じられないぜ!」
 その時の行為が今も頭にこびりついてやまず、衝撃的な感覚に頭を支配されて止まらず。あの感覚は本来雄なら求めてやまない物であるのだが、それを知らない以上ただの屈辱としか考えられない。
「下っ腹が疼いてやまない。なんとか仕返ししてやらないと!」
 当然自慰という物も知らないため、あの日の射精は今のところ生まれてから最初で最後なのである。数日もしていたためいい加減溜まってきているのだが、下腹部の感覚がどういう物なのかは全く理解できない。ただストレスが湧き上がっているとしか思ってないのだ。
「しっかし、仕返しって言ってもどうしたもんか」
 曲がりなりにもあの時点で「汚物」で汚してやっていたため、仕返しもどの程度にすべきか悩まれる。力技で打ちのめすのも本気でやれば簡単だろうが、なかなか思い切れない。
 進化によって力を持った肉体で、進化前の家族を虐めるなどもってのほか。そんな風に残ってしまっている理性の存在が、さらにさらに彼を苦しめる。
「ああもう! 畜生!」
 オウルはわけも分からずに絶叫する。下っ腹でうごめく何かを抑える方法が無いものかと。
 太い枯れ枝が転がっているのを見ると、八つ当たりとばかりに拾って近くの岩に叩きつける。枝葉半分ほどのところで乾いた音を盛大に立てて折れ、オウルにまっすぐ跳ね返ってくる。しかしそこまで墜ちてないとばかりに、オウルは無駄なくそれをかわす。そして破片はオウルの首筋をかすめていき……。
「オウル、危ないでしょう?」
「あ、ミルティさん! すみません!」
 オウルの後ろにいつの間にか現れていた、フローゼルの女性に襲い掛かっていた。ミルティと呼ばれたこのフローゼルも流石なものらしく、結構な威力を持って飛んできたこの破片をきれいにキャッチしていた。
 ミルティはキャッチした破片を転がすと、両脇に下げたバッグのベルトを引く。特に大きくずれたわけでもないのだが、癖のようである。左右の肩から胸元で交差させるようにベルトを下げ、二つのバッグを反対のそれぞれの脇腹に下げる。こんな装備で大丈夫か、これだけ動けるのは詐欺だと感心する者は多い。
「なんだか騒がしいと思ったけど、オウルだったのね? 何があったの?」
「いえ、別になんてことは……」
 流石に姉とのあんな一件は言えるわけないので、適当にお茶を濁して答える。ミルティはそんなオウルの表情をしばし覗き込む。体調が悪いとかではなさそうだと、とりあえず一安心する。
「ん……そういえば」
 と同時に、ある結論にも到達した。詳細まで想像できなかったとしても、進化による体の急変がストレスになっているのではないのは想像に難くない。特にリオルからルカリオへの進化は、性的な急変を伴うためなおさらである。
 ミルティは軽く手招きをして、オウルの脇に近づく。よくわからないと言わんばかりのオウルの表情に、ミルティは短い手を鼻先で立てて答える。あまり大声では話せないことなんだろうと、オウルはそっと近づく。
「なんですか?」
「ひょっとして、おちんちんが大きくなったとか?」
 オウルは目を見開き、その場から一気に後ずさる。姉とのやり取りの最中、確かにそんな風になっていたのを思い出したからだ。後ろを見ずに慌てて下がったため、オウルは後頭部を立ち木に強かに打ち付ける。
「ごっ!」
「だ、大丈夫? いきなり驚かせたのは悪かったけどね」
 視界が星々で明滅し、慌てて声を掛けてくるミルティの様子が認識できない。このくらいの驚きようは予想していたのだが、場所が悪かったとミルティは自戒する。
「体が成長できた証なんだよ、それ。最初は恥ずかしいけど、大事なことだから」
「どういうことですか?」
 いくら大事だと言われたところで、汚物を出す場所のことをあまり聞きたくはなかった。しかし姉に再び襲われた時のことを考えると、そうは言えないだろう。そう思ったところで、逆に姉に何か仕返しをする手段があるかもしれないと思った。
「リオルからルカリオになると、その進化の間に体が大きく変わるのは分かるよね? 赤ちゃん作る能力なんかもそうだけどね」
「あか……! それが、どういう関係があるんですか?」
 そんな姉への仕返しという願望は、ミルティの口から出たとんでもない単語にかき消された。一応リオルでは子供は作れないが、ルカリオなら子供を作れるというのはオウルも知ってはいた。しかしおちんちん……汚物の出口と赤ん坊、その両者の間に関係があるのだろうか? 関係が無いということを願ってやまないというのに。
「赤ちゃんの元の片方はね、お父さんの体の中で作られるの。それをお母さんの体に入れて、その中でお母さんの方の元と合わさる。そしてお母さんの体の中とか卵の中とかで育って、赤ちゃんになって生まれてくる」
「そのお父さんの赤ちゃんの元って、まさかおちんちんから出るわけじゃないですよね?」
 流石にいきなりまともに話すのはまずいと思い、ミルティは外側からゆっくり話そうとする。場合によっては何度か繰り返して慣れてから本当のところを教えたいと。しかし思った以上にオウルは勘が良いらしく、あっさりと核心を突かれてしまった。



 その場で立ち尽くすミルティと、地面に両足を投げ出したままのオウル。お互いに気まずい沈黙が続く。しかし徐々にオウルの顔が絶望に染まり始めたのを見て、ミルティも意を決する。
「あは……は。オウルにもリナにもこんな話を聞かせるのはまだ早いけど、でも体ができちゃったオウルには聞かせないといけないからね」
「そんな……!」
 ひとしきり絶望とばかりに宙を仰いだ後、ミルティはまさに戦場に向かう戦士のような意を決した表情になる。核心を突いた話は子供にすべきかどうか以前に、ミルティ自身が恥ずかしいのである。いつもは肝が据わった態度ではあるが、その辺は女の子らしい。
「でもお母さんの中で出たのが赤ちゃんの元なのかおしっこなのか、わからないですよね?」
「おちんちんは単にホースとしてのお仕事だけじゃないの。今がお母さんの中だって感じるセンサーみたいなお仕事もしているんだ」
 そんな戦士を前に、オウルはまさに斃される絶望の敵兵と言うべきか。ミルティのここまでの話で、これ以上聞く覚悟などとっくに立ち消えしていた。しかし「聞かせないといけない」と言われたことで、ミルティも逃がさずに聞かせてくるだろうと思っている。オウルはもう、逃げられない。
「固くなったおちんちんを撫でれば、ものすごく気持ちよくなるの。それが『今おちんちんがお母さんの中にありますよ』ってサインなの」
「気持ち……いいんですか?」
 恐らくはリナに撫でられた時のような、力が抜ける感覚のことを言っているのだろう。あれはあまりにも刺激が強すぎて、とても気持ちいいとは思えない。
「うん。二度と感じたくないような痛さだったら、赤ちゃん作りたくなくなるからね。それを感じ続けると出てくるのが、精子っていう赤ちゃんの元なの」
「あ……そうなんですか」
 一瞬「あれが?」と言いそうになったが、なんとか堪えた。もし言っていたら、もう出たということがばれる。そこから姉との一件まで明るみに出されたらどうなるのだと、必死に踏みとどまっている。
「それで、いつもは出るまでは体の中に溜まっているんだけどね。いつまでもいっぱいにしておくと我慢できなくなるの」
「我慢できなくなって、どうなるんですか?」
 その「我慢できなくなる」という言い回しから、今の疼くような感覚のことなのだろうかと予想する。これについては実際、先程も苦しくて声を上げたほどである。どうすれば解放されるか、切実に教えてもらいたいものだ。
「寝ているときに精子を漏らしたり、最悪近くにいる女の子を襲って体の中に出したり。だからその前に抜き出しておかないといけないんだけど」
「確かに、それは嫌です」
 その我慢しすぎた後の危険は、オウルが想像するよりも恐ろしいものだった。今でこそそうは思えなくなる部分もあったが、ずっと「守れるようになりたい」と思ってきた姉を襲いたくはない。
「だからオナニーっていうことをするの。おちんちんを撫で続けて、女の子のいないところで精子を出して。オウルもリナに襲い掛かっちゃいけないからね、ちゃんとオナニーして吐き出そうね?」
「わ……わかりました」
 だからといってもそのためにやることがこれでは、やはり情けなさからは逃れられないようである。
「ふぅ……本当に恥ずかしかったけど、とりあえずこれだけ教えておけば大丈夫だから。それじゃあね」
「は、はい……」
 よく見るとミルティは頬や頭の毛を逆立てており、感情を高ぶらせているのが分かる。それがどういう感情であるかは説明するまでもない。ミルティがそのままダッシュで逃げるように去って行ったのも、理由は説明するまでもない。
 それにしても、オウルはよく考えると危なかったのではないかと恐怖を感じた。この行為が雌側に気持ちがいいものであるかは言ってなかったが、恐らく気持ちがいいのではないかと予想できる。赤ちゃんを作りたくなくなるから。
 もしこの話の勢いで、ミルティがオウルに襲い掛かっていたらどうなったか。オウルは重苦しい息を吐く。
「……本当に危なかった」
 下がった目線が股の間に向かった瞬間、自らの幸運に感謝することになる。今の話の間にすっかり出来上がっていた、オウルのそのもの。ここではいつ誰に見られるともしれないし、家に戻ってオナニーを試してみよう。オウルは目線の有無に気を配りながら、足早に家へと向かっていた。



「さて……」
 オウルはオナニーをする場所として、まず便所に向かう。そして立小便をする要領でホースの先端を便器に向ける。水ポケモンたちが供給してくれる生活用水をこのように使うなど忍びないが、疼くものを何とかしたいという誘惑には勝てなかった。
「とにかく、始めよう」
 話を聞いてから今までの間に結構な時間はあったのだが、未だにオウルのそれは落ち着くことは無かった。よっぽど溜まっているのだろうかと、オウルは片手で適当につまんでみる。
「うっ……!」
 軽くさすっただけだが、あどけないオウルには刺激が強すぎるらしい。一度目でそれなのだから、二度三度と重ねる間にどんどん息が上がっていたのは言うまでもない。いつの間にか握りしめるようになり、さらにもう片手を添えて。姉にやられた時と比べたら刺激が弱い気もするが、それでもせり上がってくるものは間違いなかった。
「ほら、手伝うぞ?」
「へっ?」
 突如後ろから上がった声に、しかしオウルの反応は追いつかなかった。その瞬間にもう一本の手がオウルのそこに入り込み、狙い澄ましたように締め上げる。
「うぅあっ!」
「いいぞ、情けない声! 私の前でだけならいくらでも醜態をさらしていいぞ」
 一気に足腰から力が抜け、ゆっくり床に尻餅をつくオウル。そのまま仰向けに倒れた目の前に現れたのは、いつものリオルではなかった。
「あね……しん、か?」
「言葉になってないぞ。まあ、まだ喋れたともいえるか」
 昨日受けた依頼に挑むと言って、朝方出て行ったリナ。戻るのは早くても夕方だろうと言っていたのに、まだ昼下がり。まさか自身の進化の時の近さを知り、嘘を言って出て行ったのか?
「これでお前は永遠に私に勝てなくなったな。しっかり体に教え込んでやる」
「そ……いやっ! ひゃあああっ!」
 片手で根元付近をさすり、もう片方で先端を握って回す。オウルは声から精液から、一瞬で体内の物を吐き出す。
「随分早いお漏らしだな。だが、終わると思うな?」
 もはやオウルには姉がどう動いているかすら認識できない。吹き上がり落ちてきた精液を浴びた手を放したのも感じられなかった。もちろん、不穏も甚だしい言葉も理解できるはずもなく。
「朝出て行ってすぐに進化できたわけだが、今まで戻ってこなかったのは波動を使う練習をしていたためだ」
「ふぇ?」
 今生きている思考回路を総動員しても、姉の言葉も満足に理解できない。気の抜けた声を上げるオウルの顔に妙な愛おしさを感じながら、リナは練習の時の要領で手先に気持ちをほとばしらせる。
「あぁあああっ! つあああぁっ!」
「どうした? お仕置きはまだまだ続くぞ?」
 オウルのそれは姉の波動に包まれ、手でやられた時とはまた違う衝撃を浴びせる。波動を感じる能力に長けるルカリオであるため、むしろ頭頂耳の先から足先尻尾の先でまで感じ取ってしまう。射精は一度のみならず、その場に残っていた波動でさらにもう一度達してしまう。
「もう三度目か。またおむつに逆戻りか?」
 言いながら、リナ自身もどうにも息が上がって止まらない自分に気付いていた。前回ことを起こした時はこんなことは無かったというのに。おかしいと思った瞬間、リナはさらにもう一つおかしいことに気が付いた。
「……なんだって私もつられちゃったなんて! お前、何かしたか?」
 オウルの痴態を前に、リナ自身も本能的に股を濡らしてしまっていた。しかしリナはそれも同じく、ただのお漏らしであると認識してしまい。彼女もまた齢不相応に成長してしまい、急な体の変化に知識と心がついてきていないのである。
「まあいい。ならば次はここで締め上げてやろう」
 意識を失いかけ、勢いも落ち始めていたオウルのそれ。しかし大きさは丁度いいからと、リナはもう一度とそこをつかむ。
「ひえっ? 姉貴、それはぁあああっ!」
「何と言おうと許さん! かくごぉおおおっ!」
 言いながらオウルの体をやりやすい位置にずらすと、リナは自らの秘所にオウルの先端をあてがい。先端が触れてからは、リナ自身も強烈な刺激に絶叫し始める。
「ぜんぶのみこんでやったぞ。つぎは、こうでもしてやる!」
「あねきっ! あか……ちゃっ! できちゃっ!」
 何も知らずに腰を少し浮かし、すぐにまた沈める。沈めては浮かし、浮かしては沈め。この繰り返しで、リナはオウルを激しく攻め上げる。ミルティに聞いた赤ちゃんができる話をしようと思ったが、既に無理難題となっていた。
「ひゃあぁあああっ!」
「くあああっ!」
 オウルが吐き出した物の強烈な熱に、リナも思わず絶叫する。やってしまった、姉の中に自分の赤ちゃんの元を流し込んでしまったと自責に苛まれ。
「一生……一生、オウルは私の物だ。私が守るから、大人しく……守られろ」
 まずは自分の身を心配すべきだと気付いた。成長を急ぎ過ぎた結果がこれだというのであれば、代償としてはあまりに大きすぎる。身の丈に合わない成長というのもある種の罪なのではないかと痛感し、オウルは全ての意識を贖罪として捧げていた。



 今回は思いっきりはっちゃけてみました。短編大会の方では重いテーマにしてしまったとはいえ、その反動というわけではありませんが。

 タマゴグループが未発見のリオルが、ルカリオに進化したら即タマゴを作れる。この設定に重大な危険を見出したのがそのまま今回の作品につながりました。進化するなり慣れない生殖器官の感覚に苦しむルカリオを書いてみたくなりました。
 ついでに波動攻めというのも書いてみたかったのもあります。お互いの連絡を取り合うためには波動に敏感にならないといけない、だから効果抜群の鋼タイプになった。それを逆用して波動で攻めれば、触らないでもイかせられるんじゃないかと思ったわけです。ただ、別のイき方も頭の中にはあるわけですがね。
 それにしてもゾロアが未発見でないあたりは少々いやらしい気がします。おかげでゾロルカにすることができませんでした。それはそれでいいぞもっとやれというわけです。

 ちなみにフローゼルのミルティは握るその得物の名はのブイゼルが大人になったという設定です。しかしバクフーンをどうするかが未定というのはいい加減ですかね。まあ作品には影響はないと思いつつ。
 少し前の「大丈夫だ、問題ない」としっこくハウスの詐欺鎧の二つをつなげたネタにできたのも楽しかったです。はっちゃけるのも書いててかなり楽しいですね。

 以下はコメントへの返信です。今回は一人二票のおかげか、かなり得票できたのが嬉しいです。



>まさか・・・あなたですか? (2013/04/01(月) 01:22)
 自分でしょうか? 騙せたか自分の色が見えるようになったのか、どっちもありですね。

>ベイビィのリオルから進化して性に目覚めていく姉弟の描写に萌えました。 (2013/04/06(土) 23:57)
 よく言われる性戯の心ですね。ベイビィからの進化となる中で一番おいしいのが個人的にはやはりルカリオでした。

>近親モノは好きですねw姉は実は知っててやってるような気がしたww (2013/04/07(日) 23:20)

 投票してくださった残るお二方や、投票しないまでも読んで下さった皆さん、今回もありがとうございました。


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Last-modified: 2013-04-18 (木) 00:00:00
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