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•ストラグル ~荒廃した土地~THE FINAL

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オーブ

初めて書くので、ヘタですがよろしくお願いします…
あと、用語が出てきても、分かんない部分があると思うので解説のとこを参照してください
流血シーンもあるので苦手な方は読まないことをオススメします
アドバイスなど歓迎です

前巻はストラグル ~荒廃した土地~3


キャラなどの解説はストラグル ‘狩り’LOG

コメントはコチラへ・・・ストラグル ‘狩り’の噂



世界は滅びようとしていた…
とある組織がポケモンを悪く扱って、遺伝子を組み替えて強力なポケモン生み出そうとした

しかし実験は失敗して、何もかも暴れ狂う凶悪な怪物、ダークポケモンを生み出してしまった
ダークポケモンになってしまったポケモンは殺す以外直す方法は今の所不明…
しかも、他のポケモンや人を無差別に殺して、捕食をする。
世界はこのままだと滅びると思ったポケモン安全保障局が特殊部隊、~PGS~を設立。

邪悪化したポケモンを無事に‘狩り’、世界を元に戻す日が来るだろうか…




目次 



第十章   ~転生~ 


「おい・・・デンリュウ!」
「ん・・・どうした・・・?」
オレはどうやら眠っていたみたいだ。
あれからどれくらい経った?
ファガの戦艦を襲撃してどれくらい・・・。

「そろそろ時間だぞ。」
「・・・?」
「おいおい忘れたのか?今日はPGSアメリカ支部の襲撃の日だろ?」
「・・・ああ、悪い。」
「しっかりしてくれよ。」
そうか・・・あれから15日経ったのか・・・。
意外と早いものだ。
さて・・・確か夢を見ていたような気が・・・。
とても、とても懐かしい夢を見ていたような・・・。
・・・・・・・オレがまだ何も力を付けていない・・・人の時の夢だったな・・・。



※ ※ ※



<13年前>



「はぁっはぁっ・・・!!」
ちくしょう・・・どうしてこんな時に限って薬が無いんだ・・・!!!
ここから一番近い街は・・・ガスクーガか!!
早く・・・!もっともっと!!!

「待ってろデンリュウ!!あともうちょっとでその毒を治してやる!!」
「う・・・ザック・・・オイラは大丈夫だから・・・。」
「バカ言ってんじゃねぇ!!くっ・・・豪雨とはまさにこのことか・・・だが絶対にオレは止まらん!!」
「ザック・・・」
こんなとこで相棒を死なせない!!
絶対にだ!!!
それにしてもこの雨は酷い・・・。
早く行かないと相棒の体力が無くなる!

「あっ・・・!」
くそっ!どうして吊り橋が無くなっている・・・。
どうしてだっ!この道しか無いのに!!!


>あの時、全身が凍りそうなほど雨が降ってきた。
しかもその時はスピアーに毒針をやられて、相棒のデンリュウがどく状態になってしまった。
しかし、その時のオレは薬をちょうど切らしてしまっていた。
そして近くの街に行こうと相棒を抱えて走った。
だが、道の途中で吊り橋が落ちてしまっていた。
オレは必至に他の道を探したが、どこにも道は無くて結局迷いながら雨宿りできる場所を探した。
そしたら運よく洞窟を発見して、奥には水が流れていた。
そこでオレは運良く助かったと思いながら必死に相棒を看病した。


「デンリュウ・・・!しっかりしろ!」
「うぅ・・・ねぇ、ザック・・・。」
「なんだ?ゆっくりでいいから言ってみろ!」
「オイラ・・・このまま死んじゃうのかな・・・?」
オレはなんてバカなんだ・・・!!
こんなにも相棒が苦しんでるのに!!
なにか・・・なにか手は・・・!!!

「困っているようだね・・・。できることはあるかい?」
「・・・!」


>必死に相棒を看病しながらなんとかしようと考えたら、そこに光が現れた。
天の声かと思った。助けてくれると思った。
しかし、現実にはそんなに甘くなかった・・・。


「・・・?何もいない?くそっ・・・あせりすぎて幻覚を見たか・・・。」
「う・・・グハッ!!」
「デンリュウ!!!しっかり!!!」
「血が・・・ハハッ、もうダメなんだよ・・・ザック・・・。」
「うるせぇ!!こんなとこで死んだらブン殴ってやるッッッ!!!!」
「う・・・寒い・・・意識・・・・・・が・・・・う・・・・。」
「・・・相棒?おい・・・目を開けろよ・・・なぁ!!!」



>その時の相棒は安らかに眠った表情をしていた。
オレも心のどこかでもう助からないと思っていた。
そして、死んだと分かったらその場で泣き崩れたよ。
自分はなんて非力なのだろう・・・・・・と。
そう思っていたら、後ろから声が聞こえた。


「かわいそうに・・・。」
「!誰だッ!!」
「あっ、驚かしてゴメン・・・。ボクはジラーチ。願いを叶える者だよ。」
「ジラー・・・チ?」
「ホントにかわいそうに・・・こんな所で死ぬなんて・・・。」
「黙れッッ!!!お前に何が分かる!!」
「うわっ!ゴメン・・・。しかし、デンリュウがまた生きる事はできるよ。」
「!!!なんだと・・・?教えろ!」
「キミがデンリュウとなって生きる。」
「・・・・あ?」


>ホントにその時は何を言っているんだこいつはと思った。
しかし、こいつは死んだ者は甦らせないが、死んだ者、生きている者の魂の形を変え、
再び甦らせることはできるが記憶は失う。
更に生きている者の魂を死んでいる者の体に移せば、身体はその死んだ者だが、魂は生きてたヤツで記憶はそのままのだと言う。
正直言って、こんな話を信じる方がどうかしていると思った。
しかし、その時のオレはどうかしていたんだ・・・。


「その話・・・ホントなのか・・・?」
「うん。キミが望めば・・・・・ね。」
「なら・・・相棒がそのままの姿で歩いてる姿を・・・また望みたい・・・。」
「と言うと?」
「だから・・・たとえオレが相棒の身体に移ってもオレは心のどこかで相棒は生きているんだって事をまた実感できる!!だからオレの魂を相棒の身体に・・・。」
「・・・・・・分かった。ただし条件があるよ。」
「条件?」



>オレは相棒の身体に移ることを願った。しかしそれには条件があった。
次の瞬間ジラーチは光り、ある少年の姿を映した。



「これは・・・?」
「キミとはちょっと違う形で蘇った少年だよ。」
「?こいつをどうするんだ?」
「守ってあげてほしい・・・。ある時が来るまで・・・。」
「守る?どうして?」
「この子は地球の未来のカギを握っているんだ。この子を守ってくれるなら・・・いいよ。」
「・・・分かった。命に代えてもこの子を守ろう。」



※ ※   ※



そしてオレはデンリュウの身体に移り、ファガに会いに行き、相棒の性格をしてファガをずっと守ってきた。
フッ・・・守るものが半殺しにした挙句、左腕をもがすことになるとはな・・・。

「でも、こないだのはやりすぎだったのでは?いくらファガとかいうガキを危険な戦いに巻き込みたくないからって、わざわざ会いに行ってボコボコにして戦わせないようにするなんてさー。」
「う・・・うむ・・・」
やはりやりすぎてしまったか・・・。
でも、もう戦わなくて済むハズだ。
これからPGSアメリカ支部に突入しに行くのも、ファガの代わりに全てを終わらせる為だ。
これまで各PGSの場所を潰し回って分かったことは、ダーク化の元になった成分・・・薬がある場所に行く方法はアメリカ支部から地下に行き、そこで放出している元凶を叩かなければならないという事だ。
そいつを倒せば、ファガが安心して暮らせる地球になる・・・!


「しかしすまない・・・。オレの都合に皆を付きあわせてしまって・・・。」
「ははっ!何言ってんだよ!仲間の頼みごとなんだ、引き受けない訳にはいかないだろう?それにヘルガーだって気にせずやってくれてるんだからさ!」
「・・・すまない・・・ハッサム。」

最終章   ~終わりの未来 前編~ 



ボク達は今海上の上にいる。
その場所でボク達は二つの決断を迫られていた。

・本部に戻り、事の次第を確認しつつ本部に攻撃

・今ここで付いてくる者を決め、本部に付くものをここで倒す

この二つにボクの他にルード、カイリキー、ノリカがその決断を迫られているのは一目瞭然だった。
ボクの答えは決まっている。
ボクは・・・

「ボクは本部に戻り、全てを終わらせる・・・皆はどう?」
「「「・・・」」」
皆黙り切っていた。
ルードは以前奥さんと娘さんがいた。
しかし、ダーク化したストライクによって惨殺された。
露頭に迷っていたところを助けたのがPGS。
その救い主に逆らうかどうかと聞かれれば当然・・・

「・・・行くぜ。オマエに付いて行こうじゃねぇか!」
ほらね。こういう風に一緒に行くって言っ・・・はい?
今なんて言った?

「やっぱりそうなりますよね。私も付いていきますよ!」
「え、ちょっと待って。二人が反抗したらそれこそ被害が・・・」
「んなことは気にするな!とにかくオレ達が良いって言ったら良いんだよ!」
二人とも・・・何考えてんだか・・・
でも・・・嬉しい。

ビーーーーーービーーーーー!!!!!!!!

「あんだ!?」
「これは・・・警報装置が作動した・・・?」
「一体何が・・・」
敵が来るようなポイントに今はいないし・・・それに軍艦だから敵が攻撃してきても大丈夫なはず・・・なのに―――

「おい!お前ら!この警報は一体・・・!」
「これうるさいですー」
マキシさんとキーアがやってきた
キーア・・・そういえば今までどこに行ってたんだ・・・?

「なぁキーア」
ボクは問い詰める、するとマキシさんが大声で笑い始めた

「ガッハハハハハ!!いやな?オレがメシくいに行こうと食堂に行ったら、こいつ頭打ったせいか意識が吹っ飛んでしまってよー起こすのに大変だったぜ」
「・・・」
「・・・アホ」
「フフッ」
「なぁ・・・っ!」
ボク達が笑うとキーアがトマトみたいに真っ赤になった
プッ・・・・!!
もじもじしてる・・・!

「てかこんなことじゃなくて・・・この警報は・・・?」
「おお!そうだった」
マキシさんが現状の把握を確認しようとその場にいる皆を正気に戻させる。
すると気が付いたルードは急いで操縦室に向かい、ボク達も向かった


※   ※   ※


一方・・・PGSアメリカ本部前

「――――ふう・・・やっと着いたな」
「しかし長く掛かりましたね。この距離だとおよそ320キロの旅路でした」
「まぁ・・・良いだろ。ファガ達は元気だろうか・・・うん?あれは・・・」
「門の前にだれか立っていますね?」
「やぁごきげんよう・・・フウマ、久しいな」
「フッ・・・支部長直々にあいさつか・・・」
「もう私の正体を知っているんだろう?」
「ああ・・・今日はただのあいさつに来た」
「?」
「オレ達は独立組織を作った」
「ホウ?」
「一応アンタには話しておこうと思ってここまで来たんだありがたいと思えよ?」
「フン・・・こざかしいネズミが・・・私の、いや、T4に勝てるとでも?」
「T4・・・Task4か」
「ああ・・・我々PGSのバックにはとてつもなく強大な支配者達がいるとでも言っておこう」
「上等だ。それよりも仲間は今どうしているか聞きたい」
「自分よりも仲間・・・元リーダーだけの事はあるな」
「答えろ」
「フン、まぁいいだろう。アイツらはすでに海のもくずだろう」
「!?」


※   ※   ※


「えっとレーダーにはまだ何も映ってないよ?」
操縦室に着いたボク達は警報――――つまりなにが来ているのかを確認するためにまずレーダーを見た。
しかし、なにも映ってない・・・これは・・・?
警報はただ鳴り続けているだけで音は鳴り止まない。
一体なにが起こっているんだ・・・?
他のレーダーにも何も映ってないとルード達が確認してきたところ、一番反応に敏感なこのレーダーにも映ってないなんて・・・故障・・・?
いや、故障はありえない。さっきキーアがちゃんと確認してきてくれた。
ノリカも操縦に何も異常はないとか色々なチェックをしてくれた。

「なぁ・・・」
ルードとマキシさん、キーアがやって来た。
ノリカはボクの前でスロットなどのレバーをチェックしている。

「船の様子がおかしくないか・・・?」
「え?」
「オレ達が会議室からこの操縦室、つまり船の最下層付近から最上階まで相当な距離があったはずだ。」
「うん」
「なのになぜ人がいない」
「・・・え?」
確かに走ってくる途中にはだれもいなかったけど・・・

「皆自分の部屋で寝ているとかは?」
「ありえない」
「なんで?」
「デンリュウの奇襲があったろ?あんなにバカでかい音立ててんのに誰も起きないのはおかしい」
やっと気づいた。いや、気付かされた。
そういえば敵が奇襲してきたのにもかかわらずなんで誰も出撃・・・ボク達以外どうして出なかった?
それに目覚めるまであれほどいたのにもかかわらずボクが目覚めてから誰も他の人を見ていない
・・・どうして・・・?

「そういや、昨日甲板から飛び降り自殺した奴がいたな」
「飛び降り?」
「ん?ああそういや知らなかったか?昨日お前が寝ている間飛び降り自殺したってヤツがいたんだ」
「え?救援はしなかったの?」
「助けに行っても手遅れだとよ。船についてるスクリューでミンチか、たまたま通ったダークポケモンに捕食されて死んだとかで」
なんかひどい話しを目覚めてから連続で聞かされた気分だ・・・
しかし人はいたんだから・・・でも『今日』はいない。
『昨日』はいた。

「神隠し・・・」
「神隠しぃ?バカバカしい」
マキシさんが考えを否定する
まぁそうだよね
人間が神隠しに会うなんて

「でも自殺って見方はありますよ?」
「確かにノリカの考えはありそうだ。集団自殺って形でな。しかし・・・ありえない」
「どうしてですか?」
「個人的な自殺は個人的な理由でやるから分かるが、この事態で意味不明な集団自殺って線は明らかにおかしい、死んだら救われるみたいじゃあるまい。それにノリカも昨日ファガが寝ている間食堂からFAXが来たのを覚えているだろ?」
「・・・!」
たしかに集団自殺は線として考えるのはおかしいかも
ましてや出航時には皆でまた帰ろうと他の人たちも言ってたくらいだ。
それを急に皆で自殺したくなりましたって考えるのはおかしい。
操縦席から脱出ポッドの数が確認できるけど、一つも使われていない。
誰も脱出してない。

「やー」
「?」
「そしたら神隠しの線が合ってるかもしれませんよー。誰も脱出してないし、自殺はありえない、誰も急に居なくなった。」
「でも、食堂のおばちゃんから朝FAXが・・・」
「個人的な自殺と考えればいいんじゃないんですかー。確かにボクも今朝早く食堂に行きましたがおばちゃんはいましたが、ボクがすっころんで気絶して起きた時には誰もいなかったんですし」
それにとキーアが続けた

「ボク以外誰も朝からおばちゃんを見ていないんですよね?ルード先輩とノリカさんはファガさんの看病、マキシさんは普通に食べようと食堂に向かったけどいなかったイコールどういうことでしょ?」
ここで少しまとめよう
まずボクは15日間寝ていた。今日も含めて。
そして14日目の昨日、それまでは皆まだわいわいとニギヤカにだったらしい。
しかし、今日目覚めた瞬間誰もいなくなって行方不明。
唯一FAXを送ったおばちゃんはキーアが今朝朝食に向かったときはまだ元気だった
そして、キーアが気絶して目覚める間消えた
今朝から現在の昼までかなりのタイムラグがある
マキシさんはさっきまで熟睡、ルード達はボクの為に朝食抜きでつきっきりで看病してたらしい。
という訳でおばちゃんはどこに『イッタ』かは分からない。
いや、ひょっとしたら海に・・・?
次に乗船した皆。
かなりの数がいた筈なのにルード達が目覚めてから誰もいないと言ったが、それは朝早かったからという理由だ。
しかしさっきから起床時間は過ぎているのに誰も見ない。
寝坊にしてはおかしい。
少なくとも何十人かは起きるはず。
船員だってオートパイロットにしてたけど昼にいないのはおかしすぎる。
ルード達が他の皆を起こしに行ったみたいだけど誰もいなかったと言う。
そしたら自殺の線が浮かんでくる。
しかし、さっきも言った通りPGSの皆は毎日を生き残るために戦ってる。
その命をこんなトコでお粗末にする連中だっていうのは知ってる。
だからありえない
ということは・・・?

「あっ!レーダーに反応!」
「!?正体は?」
「ミサイルです!しかもかなりの大きさ!」
「なんでレーダーに反応しなかった?!」
次の瞬間マキシさんがグアっと言った。
後ろを振り返ると

「キーア?おい!何してんだ!」
キーアが自分の武器である槍をマキシさんに向けていた




最終章   ~終わりの未来 後編~ 



昔の本で見たことある。
三国志という本だ。
今では滅多に読むことが無くなったが、魏、呉、蜀の三大国で出てくる武将達が自分の領土もしくは主、民、名誉・・・などなど自分の成し遂げたい目的を持って敵の国と戦う物語。
その中でも冷酷非道な武将がいる。
その名は呂布(りょふ)。
彼は平気で仲間を裏切り、自分が最強と名乗って数々の武将と戦った。
自分が最強と言っているだけあってその実力は正にトップクラスだったらしい。
そう、1対4という中でも普通に互角の実力を見せた。
今、ボクの目の前にいるキーアはその呂布を感じさせる威圧感があった。

「キーア!何してんだ!」
「すいませんねー、ボクもそろそろ逃げないとダメみたいなんで」
そのあと蹴りでマキシさんを飛ばした後、走って逃げた。
キーア・・・どうして・・・
そうだ。そういえばレーダーにミサイルの反応があったんだ!

「ノリカ、この船以外に狙うターゲットは無い?」
「・・・ありません。物体はこの船だけ・・・周りは海だけです!」
って事はやっぱりこの船に目掛けてか・・・でも

「でもそのまま素通りするかもしれない」
「じゃあなんでキーアは逃げたんだよ」
うっ・・・やっぱりそうなるよな・・・。

「とにかくキーアを追いかけよう。たぶん甲板に向かったと思う」
「とにかく追いかけよう!」
「ぐっ・・・この借りは返す・・・!」
「早く急がないと・・・」


※   ※   ※


「どういう事だ・・・?」
「言った通りだよ・・・ファガ君たちは知らなくていい事を知ってしまったんだよ」
「ファガさんたちをどうするつもりですか!」
「軍艦ごと消えてもらう。彼らには今回『カイオーガの護衛』というミッションで出かけてもらった。まぁ、この大役には第一部隊だけ導入し、消えてもらってもいずれ怪しまれてしまう。だから今回はもう一つの部隊を送らせた。確か第一部隊の諸君と仲良しのマキシ君だったかな?彼の部隊には彼だけを同行させた。なに、部下の諸君には不慮の事故で死んだと伝えればいいさ」
「そんなことは許さない!キサマ・・・部下をなんだと思っている!!」
「なんて思ってるか・・・悪人ならこういう風に言うね。『捨て駒』と思っているよ」
「ッ!!!」
「フウマさん!今日は戦いに来るために来たわけでは無いんですよ!どうか冷静に・・・」
「フン・・・助手のおかげで助かったな。あと一歩でも動いてたら首が飛んでいたぞ」
「・・・ゴーストか・・・姿を消して俺の前に立たせていたのか」
「とにかく彼らはもう死ぬ。私の計画に感付いただけでも優秀だよ」
「ぐっ・・・アイン、行こう」
「ハイ・・・」
「いつでもキミたちの挑戦は受け付けるよ、まぁ・・・返り討ちだがね!」
(ファガ、デンリュウ、キーア、エル、ルード、カイリキー、ピチュー・・・皆・・・生きていてくれ・・・!!)


※    ※    ※


「キーア!!!」
「ありゃまー、追いつかれてしまったー」
ボクたちはキーアが甲板に逃げ込んだと予想して向かった矢先に一人でポツンととてつもない威圧感を出しているキーアがそこにいた。
キーアってこんな風だったっけ・・・?
もうキーアじゃない・・・!
別の誰かだ!

「どういう事なのか話してもらおうかな」
「この通りですよ」
キーアが一瞬で消えた。
いや、ルードの前に立っていた。
いつのまにかに。
気配ナシに。

「先輩」
「ッ!」
キーアは一言を言った瞬間ルードに蹴りを入れた。
巨漢であるルードをただの蹴りで吹っ飛ばした。
左腕に当たった時鈍い音が聞こえた。
バキリッという、まるで骨が砕けたかのような音が辺り一面に響いた。
吹っ飛ばされ、やっと止まったルードを悶絶をしながらジタバタと腕を押さえながら暴れていた。

「ルードさん!!」
「邪魔ですー」
「あうっ!」
ルードに近寄ろうとしたノリカがキーアによって投げ飛ばされ、壁にぶつかりそのまま沈んだ。
クソッ・・・キーア、どうしてこんな・・・!

「どうしてこんなことするんだよ!キーア!」
「・・・」
「答えろ!」
「ボクは戦争孤児だったんです」
キーアが語り出した。
・・・え?そんなの聞いたことも・・・

「ボクは元々は日本の生まれだったんですー。昔の資料で読んだことありませんかー?第二次世界大戦の中でボクは生まれたんですー。」
「第二次世界大戦って・・・オイ!嘘つくんじゃねえよ!」
「嘘ではありませんよ?ただ、ボクは過去から来た人と言えばいいだけです。」
「過去から・・・?」
キーアは何を言っているんだ・・・?
過去から来た・・・?
そんな馬鹿な話しがあるか!

「そんな話しを信じると思っているのか?!オレ様信じない!青いネコ型ロボットじゃあるまい!」
「「・・・」」
マキシさん・・・話しが違う方向に進んでるよ・・・。
しかし、キーアの口調が変わってる・・・本性を出したのか・・・全て偽りのままボク達の前にいたのか?

「続けますね?ボクは第二次世界大戦の中、色々な物を見てきた。人間がポケモンを使って人を残虐したり、使えない仲間はすぐに捨て、処分したり、人間の女性やメスのポケモンを自分の性欲処理のために物として扱う所をボクは見てきた。無論自分の親だって誰なのか分からない。気付いたら周りが燃え咲かる戦場に一人で立っていたからだ!それを当時4歳だったボクは少なからず苦しんでる人やポケモンを見てて辛かった!人やポケモンは悲鳴をあげながら殺されて、強奪され、悲しみや苦しみの連鎖が続き心が殺されそうだったその時だ、光が見えたんだ」
「光?」
「そう・・・光。二つの光がボクの目の前に現れたんです。」
キーアが説明してる間にマキシさんは横で戦闘態勢のまま話しを聞いている。
ルードも無事の右腕でカイリキーの入っているモンスターボールを投げて、出した。
治療するために投げたのは分かるが、向こうは相当苦しいみたいだ。
早く病院に連れて行った方が良いな・・・。
光・・・キーアはそう言うと空を見て、溜息を、長い溜息を空に吐いた。

「その光は二つあって、光はやがて姿を現しました。妖精さんが助けに来てくれたのかと思ったらポケモンでした。幻のポケモン、セレビィとジラーチでした。」
セレビィと・・・ジラーチ・・・

「セレビィが過去からこの現代に連れて行ってくれましたが、さらに酷いことになっているときはもう絶望しました。将来どうしたらいいのか分からずに、この食うか食われるかの世界でどう生き延びたらいいのか考えていました。暫く日が経ち、食糧なども食べないままボクは途方に暮れていましたが、ちょうどあの場所に着いたのです。」
「あの場所?」
「ファガ先輩もよく知っている場所です。・・・トレドリア修道院。」
「!?ボクが昔お世話になったあの場所・・・アインやピチューと出会ったあの・・・」
「ボクはそこでセイラさん・・・アナタもよくお世話になった人と出会い、ボクの事を息子同然に育ててくれました。よくファガ先輩のこともよく聞かされました。あの子はとても元気でどんな事にも負けない子だって」
確かに、セイラさんはピジョットがダーク化して親の元から逃げたボクをかくまい、世話してくれた大切な恩人だ。・・・ボクが16歳の時に旅立ってからどうしてたか分からなかったけど、この間アインと出会って聞いてみたら亡くなってる事を聞いた時は正直ショックだったけど。

「そして・・・」
次の瞬間ボクは自分の耳を疑った



「セイラさんはボクが殺しました」



ボクは自分の耳を疑った。亡くなった原因は誰かに殺された。
そして、その殺人者はボクの目の前に、仲間だった人物がいる。
ボクはそれを聞いた瞬間気が付いたらキーアに攻撃しにいった。
もちろん武器はダメージを与えられないので自分の腕で殴りにかかった。
というより、身体がそうさせたらしい。
しかし、キーアはボクの殴りをかわすと、右腕でボクを掴んだまま渾身の力で床に叩きつけた。
身体全体に鋭い痛みが伝わってきた。
痛い。
意識はハッキリしていた。
普通なら気絶か悶絶しているだろうが、衝撃の事実を聞かされたら誰だってリミッター外すだろ?いや、外されるだろ?
そのせいか、痛みはあったがキーアをにらみつけていた。
絶対に逃がさないために。
鷹のように絶対に逃がさないために。
マキシさんが叫びながらこっちに向かってきた。
恐らくボクを助けるためだろう。
キーアは左腕でモンスターボールを出した。
エルを呼ぶのだろう。
勢いよくボールを宙に投げると光に包まれエルが登場した。
・・・いや、エルはエルでもいつものエルでは無かった。
目つきが変わっていた。
明らかに。まるで憎悪と怒りの塊を全身に包んでいるかものような感じだった。
マキシさんは一旦ストップして、自分のポケモンを呼び出した。
ニョロボンだ。マキシさんの相棒ニョロボンが出てきた。
マキシさんはニョロボンにみずでっぽうを命令したが、エルはかわすどころか、リーフブレードで華麗に切った。
切った後、構えた状態で高速でニョロボンに近づき切った。
あれだと戦闘不能だろう。
重症だ。
マキシさんはニョロボンを戻そうとボールを出すが、エルに相当重いボディーブローをくらった。
違う、あれはエルじゃない。
そしてボクを捕まえているこのキーアもキーアじゃないっ・・・!

「もう終わりですか・・・ファガ先輩・・・いや、ファガさん。話しはまだ終わっていませんよ?」
キーアはボクを掴んだまま話し始めた。

「セイラさんを殺したボクは他の人にボクが殺したという痕跡などを全て消し、静かに自分の部屋に戻りました。幸い個室だったのでルームシェアなどの人が起きることを想定してどう対処するかなんて考える必要は無かったからです。そして翌日セイラさんは自殺という形で多くの人から悲しまれました。ボクはセイラさんをわざと殺したわけではありませんよ?むしろ感謝していたぐらいです。」
「じゃあ・・・・なん・・・で・・・殺した・・・!」
「彼女は苦しんでいたんです。修道院とはいえ経費が必要です。しかもこのご時世。全て一人で悩んでいたんです。だから、ボクは考えた。救ってあげようと。苦しみから解放しようと・・・ね?」
「そん・・・な」
セイラさんとは修道院に居た頃、よく一緒に遊んでくれた。おもちゃやぬいぐるみで遊んでくれた。30代くらいでまだ元気だった彼女はボクに不安を作らせないで頑張っていたって言うのか・・・!
・・・悔しい・・・!
何も力になってあげられなかったのが・・・ボクの・・・力が未熟だったから・・・!

「その後、ボクは旅に出ました。各地色々なところを。その途中でエルと出会いました。彼も同志です。この世界を変えたいと。色々な友人を目の前でダークポケモンに殺されて・・・彼の精神はボロボロに近かったようで」
「・・・エル」
「・・・」
エルを呼んだが、反応はない。
本当のようだ。

「そして二人で旅をしているところでまだ無事だった街に着き、どこかに泊まろうと探していました。なかなか見つからず、路上で寝ようかと思っていた時でした。支部長がボクの前に居たんです。そして彼はこう言いました。一緒にこの世界を変えようと。変えて良い世の中にしようと!ボクはこの人に付いて行けたらきっとすばらしい世界が見れると思いました。無論少し疑いましたが、本部に行くと皆楽しそうな顔で仕事していました。ここはこの人が作りだしたんだって。そこでボクはこの人に付いて行くと決めたのです。」
「・・・それでボクの部隊に入って来たのか・・・」
「無論、すぐには入りませんでした。だから、特別な訓練を受けて・・・」
「そのような戦闘力を得たってか・・・」
ルードが言った。
腕にギプスをはめてもらっているところだった。
ノリカも苦しそうだが、ゆっくり起き上がった。
ボクは身動きも取れない状態で話しを聞いている。
脱出しようにも、強力な力で抑えつけられているからだ。

「キーア・・・オレは周りからお前と親子コンビって言われていたが、別にオレは気にしなかった・・・。いや、むしろそのほうが良かった。ホントの息子みたいに思っていた。
今度オレの家族になってくれないかと、娘と妻を殺されて一人ぼっちになったオレのたった一人の家族になってくれと頼むつもりだったのにな・・・!」
「それは残念ですね。ボクはアナタが嫌いです。」
「・・・くっ」
「さて、おしゃべりはこの辺にしときましょう。ファガさん、これだけは言っておきます。」
キーアはボクに何かを伝える前に投げ捨てた。
幸い強く投げられなかったのでそんなに痛くなかった。
ボクは何とか立ち上がって話を聞こうとしたその時だった。
何かが見えた。
ミサイルだ。
角度的にこっちに向かってくるのが分かった。
キーアはそれにおかまいなしに話しを続けた。

「実はこの船には幻覚を見せる機械をとりつけてました。」
「なに・・・?」
「ボクはアナタたちがニセのカイオーガと話してる時に幻覚装置を取り付けてました。このスイッチ一つで幻覚作用を起こせます。」
キーアはポケットからリモコン式のスイッチを出した。
あれで幻覚を・・・?

「一部には本物の人間を入れました。昨日自殺した船員です。ボクが船を取り付ける前に居た人たちは任務とは別行動の人が演技をしていただけです。そして皆さんが乗った後とっさにスイッチを入れて、幻覚を作動。ご飯とかはあらかじめ用意されてたものを食べてもらってました。」
だから他の人たちも急に居なくなったのか・・・。
キーアはそのまま甲板の先端部分に移動し始めた。
エルも一緒に。

「待てっ・・・キーア・・・話しはまだ・・・!」
「ルードさん、いままでお世話になりました。たしかにアナタの事は嫌いでしたが・・・楽しかったですよ」
ルードはすごくくやしそうに下を向いた。
カイリキーも黙ってるしかなかった。
ボクだっていろいろ複雑だ。
こんなことって・・・。

「もうミサイルが来ますね・・・。ボクはそろそろ退散します。」
「バカな!どうやって!」
「下に脱出ポッドがあります。無論レーダーに探知されないようにジャミングをかけてました。」
「そんな・・・!」
「そしてファガさん、最後に一つ」
「・・・?」
キーアは目を瞑って10秒、10秒経ったら目を開け、ボクにこういって海に飛び降りた。


「セイラさんはあなたの本当のお母さんです」


・・・え?
セイラさんが・・・お母さん・・・?

「ファガー!来るぞー!!!!」
「きゃあああああああ!!!!」
「くそぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」
「うっ・・・・・ぐぅ・・・っ!!」










そんな・・・・・・・・・・・・バカ・・・・・・・・・・・・・な








※    ※    ※


~15年後~
あの日、第一部隊のメンバーはミサイルの攻撃を受け、行方不明に
表にはデンリュウ達の軍艦が撃ったミサイルで死んだと報告。
しかし、裏では行方不明。
理由は他の場所でファガらしき人物を見たからだ。
そして・・・
「ゼファー!もう行くよー!」
「ん、それじゃ父さん、母さん。行って来るね」
「もう遅刻だよ!早く早く!」
「待ってよミシェット!もう行くから!」













15年の時を経て第一部隊の、ファガ達の意志を受け継ぐ者が現る










新章に続く

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Last-modified: 2012-11-04 (日) 00:00:00
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