#author("2023-12-02T15:07:05+00:00","","") #include(第十一回帰ってきた変態選手権情報窓,notitle) 甘い香りに包まれて おそらくR-15 特殊性癖ワンクッション:&color(black,black){粘着拘束・飴固め}; ---- 日が傾き辺りを夕焼けに染める頃、森の中を駆ける黒く華奢な姿がひとつ。今日の貢物であろう木の実を抱えて奥の洞穴に駆け込む。 しかし、目的の姿は何処にもいなかった。 「大変だ、ボスがいない!」 それは叫びながら慌ただしく駆け回ると、辺りの仲間たちに呼びかける。 「ボスが何処にもいないんだ! エンニュートのボスがいなくなったら俺たちヤトウモリはいったいどうしたら……」 焦るそれとは裏腹に、巣に居た他の仲間たちは落ち着いた様子で外出支度に家事とそれぞれの仕事に精を出している。 そのうちの1匹が外出支度を一度おいて、それを諭すように事情を話す。 「まぁそんなに焦るな、お前こないだ入って来た新入りだろ? ボスの事なら心配ない、どうせまた『アレ』だろうから」 「……『アレ』?」 「そうだ『アレ』だ。まぁ、説明するより見てもらった方が早い。少し遠出するから外出支度を整えておいてくれ。明け方一緒にボスを迎えに行こう」 「よくわからないんだけど、俺たちがボスに見捨てられたとかじゃあないんだな?」 「そこは安心してくれ。ボスはちゃんと帰ってくる……というか、ちゃんと連れ戻せるから」 「わ、わかった……。じゃあ明け方には動けるようにしておくよ。」 「そうしてくれ、また後で」 ボスがちゃんと帰って来てくれるなら良いんだけど……どうしよう。 それは、帰還と同時にボスから褒美の寵愛を賜るつもりでいたため、溜まる欲望はもちろんおあずけされることになったのだ。当然そのまま出発の時間まで寝れずに悶々とした夜を明かす羽目になる。 ---- 草原を駆けて早数刻。既に日は沈み、辺りは暗く月明かりに照らされるばかり。 標になるのは微かに漂うあまったるい蜜の香り……。匂いを辿り、やがてたどり着いた香りの元には赤く艶めく蜜飴を纏った小柄な竜。 「やっと見つけた! カミッチュ、今日もワタシに付き合ってくれるわね?」 「あぁ、どうも、エンニュートさん。……その、”また”ですか?」 「そう、”また”お願いね。みついりりんごの恩、忘れたとは言わせないわよ」 「そんなこと言って……。あと何回やったら貸しを返したことにできるんですか。しょうがないですね……」 昔、住処のりんごを失って弱っていたカジッチュ達に、みついりりんごを恵んで助けてやったことがあった。それをきっかけにワタシはカミッチュに無茶ぶりをするようになり……つまり、貸し借りとしてはとっくに清算されているようなものだったが。結局、面倒そうにしつつもまんざらでもないカミッチュにとって体のいい口実となっているのだ。 「それじゃあいつものように、思いっきりみずあめボム、お願いね?」 両手を広げて目を閉じ、期待に胸を膨らませる。 「いきますよ……、みずあめボム!」 ぱちゅん! と勢いよくあめが弾ける音と共に、べっとりと下半身にのしかかる柔らかい感触。熱く溶けた飴の熱もほのおタイプのこの身には心地よい暖かさで。 飴蜜はそのままねっとりと両の足に絡みついていく。なだらかに滴り落ちる蜜飴が足をしっかりと包み込んだのを感じてから、ゆっくりと足踏みを始める。もったりと重い蜜飴に抵抗され、ぷちゅっと気泡の弾ける音がして、その重さに耐え切れない足は地面にしっかりと縛り付けられてしまった。 「うふふ、いいわ、もっともっと!」 続けざまのみずあめボムを胸への直撃で浴びる。その勢いに押し倒されそうになるものの、足を粘着していた蜜飴の助けもあり持ちこたえる。胸元からお腹、腰へと蜜飴が舐めるように垂れ落ちて、その身をコーティングしていく。その暖かくて柔らかい、身体を包みこむ感触は全身を同時に余すことなく愛撫されているようで、背筋を快感が走り抜けてゆく。 その刺激に耐えかねて蜜飴をぬぐおうとすると、両手までもが蜜飴に絡めとられ沈み込み、引き抜けないほどに拘束されてしまう。両手両足がぎっちりと粘着拘束されあめまみれのまま身動きができなくなってしまい、ただ温もりに満ちた蜜飴の快感に身を任せることしかできない。でも、それが気持ちいい。 ぱちん、ぱちん! 2連続のみずあめボムが両肩の上で弾ける。今まで無事だった肩から背中へと蜜飴が流れ落ち、尻尾の先まで余すことなく包まれていく。全身を重たく粘着拘束していく蜜飴の圧迫感による快楽に打ち震える。もがこうにもねっとりと重たい蜜飴の膜を破ることはできず身をよじって快楽を享受することしかできない。未だ自由を保てているのは首から上だけ、全身はたっぷりの蜜飴に包まれて固められてしまっている。……もし本当に本気で抵抗するのであれば炎を吹いて飴を溶かしてしまえるのやもしれないが、この蜜飴の幸福から逃れようとするような野暮な事はしない。 「このまま……ちょうだい」 最後に、眼前で今までで一番大きなみずあめボムが弾ける。顔から頭まで文字通り全身余すことなく蜜飴に覆われる。舌をストローのように伸ばして吸気口の確保だけすると、どろり、口の隙間から蜜飴が口内に溢れていく。にちゃりとべとついた感触が口いっぱいに広がり、とろけるような甘ったるさが舌に張り付いて取れない。その甘味を味わいながら、赤い蜜飴にフィルターされた視界でネバネバに固められた自分の姿を満足そうに眺める。 ほどなく、キタカミの風に吹かれ蜜飴はがっちりと冷え固まっていく。身をよじりもがくほどの余裕はもうなく、ぴっちりと固められた格好からピクリとも動けず、辛うじて息はできるものの声を出すことすらできない。それでも外界を遮断し全身を包む蜜飴は自分だけの世界に囚われさせてくれる。ふとすればこのまま身動きが取れないままの時間が一生続くかのように思えた。……それでもいいかしら、と思えてしまうほどには、この快感は抗えないものだった。もっとも、愛し子達がきっと来てくれる、という信頼の上での話だが。 「あ、あの……これで満足でしょうか? ……うん、喋れないですよね。うぅん、どうしよう。あの子達、早く来てくれないかな……」 やがてそこには、うっとりとした表情で蠱惑的に蜜飴コーティングされ固められたエンニュートと、困惑したカミッチュの静かな時間が流れていくのだった。 ---- 夜が明ける少し前、それ達はやっとのことで目的地にたどり着く。 「やっと見つけた! ボス!!!」 「ヤトウモリの皆さん!? これは……その」 それ達の目の前には、みずあめボムでがっちりと固められて身動きの取れないエンニュートと、明らかに犯人と思われるカミッチュの姿。 はたから見れば、エンニュートが襲われていると想像するに難くない。 が、幸いだったのは、ヤトウモリ達の飲み込みが早かったことだった。 「事情は大体分かってます。ボスが世話になりました!」 「みんな、ひとまずボスをアジトまで連れ帰るぞ!」 「でも綺麗に固められたボス……艶めかしくてちょっとそそられちゃうかも……」 「やめとけ新入り、あめを落としきってシラフに戻る前のボスに手を出そうもんなら床にすっころがされるぞ!」 「ひ、ひぇ!」 「あっじゃあその、お元気で……」 呆気にとられたカミッチュを置いて、それ達は手際よくエンニュートの飴像を担いで巣へと運んでいく。 ---- 凄い……愛し子達の視線が全部ワタシに集まってる……。ワタシは飴像に固められて身動きも逃げる事すらできないのに、それでも愛し子達はワタシをボスと慕って世話を焼いてくれる。 このワタシの飴像に劣情を抱いている子さえいる……、その欲深い視線が突き刺さってくるのにもがくこともできない……本当にゾクゾクしちゃう。 巣にたどり着くと、暖かい湯浴み場が用意されていて、ワタシを包む飴を揉み溶かすためのマッサージが始まる。熱で再び柔らかさを取り戻しつつある飴越しに感じる愛撫をなすがままに享受するのが最後の楽しみ。徐々に自由を取り戻しつつある我が身の余韻に浸りつつ、一抹の寂しさを覚える。さて、フェチ欲を存分に堪能したところで、興奮した身体はそちらの欲も求めているのもまた確かで。 やがて、全身の飴が取り除かれ、口の自由も帰って来た。 「ワタシの愛し子達。今日もいい子ね。さぁ、おいで」 日が昇っても宴はまだ続く