[[ライフライン]] -これは何を表しているのか、と、ずっと引っかかっている描写があるんです。 アシュリーさんをシャワールームに押し込んだ後の、所持品を確認しているシーンで、さらっとピルケースを認識してますけれど、私の中でのイズムさんのキャラクター像として、それを認識できるということが直感的にピンと来ないのです。 ピル、というか、ケースに入った薬を目で見て、それが何の薬であるか、そのケースに入っている薬が何なのか、を、持ち主からの説明を受ける前に判別するのって、知識がないとできないことだとは思いますけれど、男性であり、少なからず物語開始時点では無性愛者と自認していたイズムさんが、同種の薬の実物を見て学ぶ機会があったとは思いにくいんですよね。薬学などを修めていたという線はなさそうに思いますし、女性の恋人なりがかつて飲んでいた、という線はありませんし、自分で飲むわけもないでしょうし。子供時代辺りで友人辺りから学んだのかな、と思う傍ら、なんというか、作中では名有り以外の他者と会話する描写もあまりないところから、生い立ちなどの描写されていない過去は思うより孤立していたのではないか、とか、少なからずいくらでも話のできる友人がたくさんいたかのような人物像には思えないですし、そういう学びの線も薄そうなんですよね。兄弟でしょうか。家庭環境だとかは何一つ描写されなかった気はしますが、姉や妹から学んだ形なのかな、などとは思っています。あるいは単に、この世界ではピルは教養の中でもっと広く認識されていて、薬そのものも手軽に手に入ったりするのかもしれませんけれど。ピルのシートって(この世界の人間の作りや周期に製品の形などが我々のそれと同じなら)大抵21錠か偽薬入り28錠で特徴的ですし、その知識があれば漠然とした判別は簡単だと思いますしね。 ……ので、つまり、分からなかったこととして恥ずかしながらお聞きしたいのですけれど、イズムさんがピルケースを認識できたのはどういった伏線だったのでしょうか? それはそれ、と置いといて所持品絡みで別の話をするんですが、突入後の被服をボロ布としてポケットコンピュータとピルを砕いて、それでなお生きてるアシュリーさんの姿が最高にかっこいいですよね。何がって、武器になり得て真っ先に破壊されるであろう折り畳みナイフが描写されてないんですよ。どういうことって、他の所持品と同じようにポケットに入り続けていたわけではなくて、恐らく手に握っていたんですよ。ジョン・ダンさんに投棄させられたか、キトさんに向けることができず自ら投棄したのか、あるいは戦闘終了まで握り続けていたのかは定かではなくとも、どうあっても最高にかっこよくないですか。装備品の破壊と、何が壊れて何が無事なのかという描写を分けられるのがやっぱり人間という道具に頼る種族の強みですよねー。 シャワールームに押し込んだ際に所持品を確認したのは、あるいはここに使う伏線として必要だったのかな、とも思います。思ってます。いや、はい、どうなのでしょう。 -- &epoch{1610975774,comment_date}; -これ自分も紛らわしいなーと思っていたんですが、携帯用の薬を入れる平らなケースの名称が「ピルケース」なんですよ。 イズムさんは月経を止めるピルは存在しか知らず見てもわからないので病院で本人から聞く場面が必要でした。(シームレスにその次の場面に繋げたかったのでこの場面がすごい邪魔(←ごめんねアシュリー)で背景と同じ文字色にしようかとも思った……) 折り畳みナイフは特に書いていませんでしたが小さなものなのでニャースの爪は防げないし下手すりゃ怪我させるので戦力外でした( アシュリーの一番の「武器」がキトだったのでまぢ大ピンチでした( 椅子とか壊れた木製家具とか使って戦っていました( 特に書いていませんがポケットの多いツナギなのでナイフは無事な箇所に入っていたのか服が破れた際に落ちてそのへんに転がっているのか、どちらにしろ登場人物の意識の外にあるので今のところ不明です。 何気にこう、官能部門に出したのでやむなしなのですが、誰もアシュリーに言及してくれないので なあっ彼女ええやろ!? なあ!? と独りで吼えていたところです、誠にありがとうございます!!! シャワーを浴びさせたのはまぢで臭かったからで、洗濯する時はちゃんとポケットの中の物を出していますよくらいの意味でした。後々伏線として使えて助かりました( どっちかというと、この場面は裸の人間女性ただしアシュリーに対するイズムの反応が主眼でした。 道具に頼る種族としての人間って視点は自分もツボなので、その読み方に感服しました。なるほどー! 重ね重ね、アシュリーに言及してくださってありがとうございます!!! -- [[天波 八次浪]] &epoch{1610986970,comment_date}; -ピルケースって薬入れ以上ではなかったんですか、マジですか。マジだった。浅学でした。いえ、ありがとうございます。 あんまり話を連ねるような場でもないと思いますけれど、とりあえずこの一点だけ。確かに返答いただきました! -- &epoch{1611006318,comment_date}; -お美事。お美事でございます! 人間とポケモンの性交渉というタブーを真正面から扱い、圧倒的な説得力をもって世界観とシナリオに仕上げた超名作でした。ポケモンというファンタジーのジャンルを土台に、これほどまでリアリティのある異種族ロマンスが読めるなんて…… 読者としてはイズムとヘリオスの幸せを願いながら読んでいたのですが、エキセントリックなアシュリー、邪気がなく素直ゆえに残酷なヘルガー、あらゆる仕草がもうれつに愛らしいキトとウェイン、信条に誠実であろうとするギリーなど、とても魅力的なキャラが次々に登場するので、「いいから早くバシャーモ出さんかい」という不快感がまったくありませんでした。 中でも特筆すべきがアシュリーでした。こういった作品においてしばしば贅肉になりがちな「人間の女性」というキャラクターなのですが、イズムの最大の理解者であるアシュリーは最初から最後まですさまじく好印象でした。マイノリティの理解者というポジション特有のわざとらしさもなく、自然体でイズムを思いやるアシュリーは、この作品のMVPです。彼女がいなければヘルガーへの未練は断たれず、ヘリオスとの出会いはなく、ジョン・ダンは裁かれませんでした。人間の男とオスのポケモンの恋愛を描く作品に置いて、人間の女性を掛け値なしに魅力的なキャラクターとして誕生させる……そのお点前に、素直に驚嘆です。 さまざまなエピソードを経てヘリオスとの再開シーンにたどり着けば、もうそのヘリオスのかっこいいこと! 私は盛り場での駆け引きの時点でこのキャラクターに惚れさせられましたが、序の口序の口。読めば読むほど、はいはいイケメンイケメン、エッチエッチ。これと毎日いっしょに同じ屋根の下で過ごしててなびかなかったって、ギリーマジ? 自制心の擬人化かな? 色気をふんだんにぶつけてくるヘリオスを読むとき、私は常に「いやあかんわこれ、どうしようもないやん」と思っていました。イズム羨ましっっっと素で思いました。 どの場面、どの要素を取ってもバランス良く、かつとてつもないハイクオリティ、ならばハッピーエンドであろうがなかろうが、なにを読まされてもかまわないという完全な信頼を置いて読ませてもらえました。イズムが逮捕されるのがオチかと思われたものの、大団円。満足感は青天井です。 とってもドキドキする楽しい時間であり、字を読むことの喜びに満ちた素晴らしい小説体験でした。「ライフライン」を書いてくださったことに、山盛りの感謝を。ありがとうございます! -- [[仁王立ちクララ]] &epoch{1645667394,comment_date};