ギアス
まずはZEROの設定みたいな物をお読み下さると物語が分かりやすくなると思います。
……ここはある国の城の領地、現在隣国と戦闘……いや、戦争中である。
理由は至極簡単、領地の奪い合いである。
そして城内……王の間にて……
「た、大変です!!敵が城内に侵入して来ました!!」
伝令役と思われるテッカニンが慌てた様子で言伝を伝える。
「なんじゃと!?防衛部隊はどうした!!」
「そ、それが…前線部隊は3分の1が壊滅……防衛部隊も約半数が……」
「壊滅したと言うのか……」
王は真っ青な顔をして考え込んだ。
「ううむ……しかたあるまい、王族特務兵をだすのじゃ!!」
王がそう言うと、姫と思われるキュウコンの隣に立っていたルカリオが一歩前に出る。
「では王よ、早くお逃げ下さい、此処もすぐに戦場となります」
「そうか、後は頼んだぞ……、アリア」
「ハイ…」
アリア、と呼ばれたキュウコンは返事をし、ルカリオの側から離れる。
「それでは零(レイ)よ、此処を頼んだぞ…」
「御任せ下さい、終わったらアノ場所に迎えに行きます」
するとアリア姫が零と呼ばれたルカリオに近づく。
「零(ゼロ)……死なないでね……」
「大丈夫ですよ、俺は簡単にやられたりしませんよ、さ、早く脱出を」
ゼロが本棚の本を引くと、王座の後ろに隠し通路が現れた。
「では頼んだぞ」
そう言うと王とアリア姫は、隠し通路の中へ飛び込んで行った……
「さてと……」
ゼロはそばにあった鎧を着込み、槍と剣を持つ。
「さぁ…、どっからでも来い……」
次の瞬間、横の壁が破壊され、兵士が数人入って来た。
「かかって来い、雑魚ども……」
◇
俺は槍を前に突き出して構える。
敵は全員で俺を囲む様にして俺と対峙する、どうやら馬鹿では無いらしい。
「ほう……俺を囲んだか、一対多数は囲むのが定石と言うがな……」
『はあぁーーーっ!!』
敵が剣を振り上げて襲い掛かって来る。
「残念……、俺の武器が槍で無ければな!!」
俺は体の周りで槍を回転させ、敵兵の剣を全て弾く。
「なっ!?」「しまった!!」
「隙有り!!」
俺はナイフを取り出し、鎧の隙間から首元を刺す。
隙間からは血が吹き出し、辺りを血の海にした。
「ひっ、ひぃぃぃぃっっ!!」
仲間の一人が殺された位で、残りの奴等は悲鳴を上げて逃げる。
「逃がすかっ!」
俺は神速で敵の前に回り込み、さっきと同じ手順で全員を殺した。
敵はドサドサと音を立てて崩れ落ち、血の海を広げる。
「ふぃ~、終わったか……ん?」
ふと窓の外を見ると、赤い信号弾が打ち上げられていた。
「あれは……敵軍の撤退信号……良かった、今日も勝ったみたいだな」
すると敵軍の兵士が一瞬にして戦場から消える、おそらくテレポートの類だろう。
「さて、迎えに行かないと……」
俺は一目散に走り出し、ある壁の前で止まり、壁を叩く。
コンコン……
コンコン……
すると声が聞こえてくる。
「(合言葉を言いなさい、『炎の狐の護衛』)」
「冷たい雨……」
ガチャッ……
「ゼロッ!!」
「のわぁっ!?」
壁が内側に開くと、中からアリア姫が飛び出してきて、俺に抱きついた。
「ちょっ…あ、アリア姫、俺、今血まみれですからあまり……」
「あ…そ、そうね……怪我とかは無い?」
「その辺は大丈夫です、姫や王もご無事で何よりです……」
すると王が部屋の奥からやって来る。
「この部屋は頑丈に作ってあるからな、たとえ剣の舞で最大まで攻撃力を高めたガブリアスのギガインパクトでも、この扉は開かんのじゃ」
「では、各自の部屋に戻りましょうか」
「うむ、戦いの疲れを癒すがいい、解散!!」
王がそう言うと、部屋に閉じこもっていた奴らも、各々の部屋に戻っていった。
「では姫、俺達も戻りましょうか」
「ええ、お疲れ様」
俺と姫もその場を後にした……
◇
ガチャ…バタン……
俺は自分の部屋(と言っても姫の隣の部屋だが)に帰って、鎧を持ってシャワーを浴びる。
「ふ~……生き返る……」
俺は一番高く取り付けたシャワーからお湯を出して全身に浴びる。
「鎧の血は……よし、全部落ちたな」
俺は汗を流しながら、鎧に付いた血を洗い落とす。
その後風呂場から出て、全身をタオルで拭く。すると……
コンコン……
「ん?」
コンコンコン……
「誰だ?」
誰かが扉をノックする音がしたので、俺は扉を開ける。
「よっ!!レイ」
「やっほ、レイ」
扉を開けると、同じ王族特務隊の友人、ゴウカザルのエイトとキノガッサのガデッサがいた。
「何だお前らか……何の用だ?」
「最近戦いばっかで大したモン食ってねぇだろ?」
「一緒に食事でもどうかな?」
どうやら二人は俺を夕食に誘いに来たらしい。
「食事か、ちょっと待ってくれ、姫に許可をもらってくる」
俺は隣の部屋の扉をノックする。
コンコン……
「どちら様?」
部屋の中からアリア姫の声が響く。
「ゼロです、友人に食事に誘われたので、許可を貰いに来ました」
「いいでしょう、ただし、なるべく早く戻って来なさい」
「有難う御座います」
俺は姫から許可を貰い、エイトたちの元へ戻る。
「許可を貰ってきた、さあ、行こう」
そう言って歩き出すと、エイトが口を開く。
「あ~あ~、姫の護衛は大変だねぇ~、行動の一つ一つに許可を貰わないといけねぇだなんて……」
「仕方ないよ……でもそれだけ頼りにされてるって事だし、強いもんねレイは、僕達二人がかりで戦っても負けちゃうんだもん……」
「まぁ……な……」
すると食堂に着いたが、俺は二人の愚痴を聞く事になってしまった。
「第一、何でお前だけあの人見知りの姫と仲いいんだよ!!王様とも普通に喋ってるし!!何で人見知りのアリア姫がお前とだけ普通に話してんだよ!!」
「そうだよ、大体僕らが話しかけても、無視されるかほんの少しの反応しかしてくれないんだよ!?」
「そ、そう言われてもな……」
「とにかく!!お前は自分が羨ましい立場にいる事を自覚しr」
ゴスッ!!ポカッ……
「ろっ……」
「そっ……」
俺が困っていると、誰かが後ろからエイトとガデッサを殴りつけ、気絶させた。
「まったく……食堂ではもう少し静かに出来ないのかしら・・・」
俺はエイト達の後ろに目をやる、そこには見慣れた奴がいた。
「助かった……スマンなネイル……」
「いいわよ、幼馴染なんだし、このくらいはね」
こいつは俺がリオルの頃からの幼馴染である、マニューラのネイル。
「しっかし、王族特務のあんたが食堂に来るなんて珍しいわね……」
「まぁな、俺はこいつ等に誘われて来ただけなんだがな」
「ふ~ん、良かったら一緒に食べない?」
「そうだな……よし、料理長!!Aセット一つくれ!!」
「じゃあ私はBセットで、お金、私が出そうか?」
「助けて貰った上に金まで出させる気はねぇよ、俺がおごるさ」
そんな事を話している内に料理が運ばれて来た。
「じゃあ食べましょ」
「そうだな……、しかし、お前と食事にするのって最近無かったな……」
「しかたないわよ、私は一般兵士、貴方は王族特務でアリア姫の護衛でしょ?立場が違いすぎるのよ……」
「立場が違う…か…」
俺は少し溜息をつく。
「どうしたのよ、貴方が溜息つくなんて、何か悩み事?」
俺はその言葉に一瞬ギクッとするが、すぐに誤魔化す。
「い、いや、幼馴染も立場の前でじゃ他人なのかって思うとな……」
「酷い話よね……あ、もう食べ終わった?」
気がつくと俺は料理を全てたいらげていた、どうやら話に夢中で気づかなかったらしい。
「ん?ああ……会計係、いくらだ?」
俺は傍にいたニャースを呼び止めて代金を聞く。
「え~っと、お二人で850円ですニャ」
財布から1000円札を取り出し、150円を受け取った。
「ありがとうございました~」
「んじゃ戻るか」
「ええ、そうしましょ」
俺とネイルはそのまま食堂を後にし、十字路に通りかかった。
「じゃあな、ネイル。俺の部屋こっちだから…」
「あ、そっか……じゃあちょっとこっち来て」
「ん?どうした?」
ネイルに呼び止められ、俺が近づくと、急に頬にキスをしてきた。
チュッ……
「なっ!!?」
「一緒に夕食食べてくれたお返し!!じゃあね~」
そう言ってネイルは立ち去ってしまった。
俺がポカンとしていると、両肩を誰かに掴まれる。
「げっ…エイト、ガデッサ……」
後ろを振りむくと、そこにはニヤニヤ顔のエイトと、心配顔のガデッサがいた。
「見たぞ~レイ、何だ何だ?今の女は誰だい?」
「レイ、今のってもしかして……」
俺は肩を落として溜息をついた。
「はぁ……ちげぇよ、アイツと俺はただの幼馴染だよ。もっとも、向こうは俺の事を意識してるみたいだがな……」
「えっ……今の子って、レイの事が好きなの?」
「ほぼ……な、前から色々と兆候はあったしな……」
いきなり抱きついてきたり、腕を組んできたり、布団の中にいつの間にか入ってたり……入隊前の話だが……
「何でお前OKださねぇんだよ、あんなにイイ女、俺だったらほっとかないね」
「色々あるんだよ、立場上の問題とか、俺の事とか、他にも色々……」
するとエイトは、ネイルが去っていった方向を、哀れみで満ちた目で見た。
「あの子も不憫だねぇ……どうしてこんな男に惚れたんだか……」
「そうだね……ってレイ、時間いいの?」
俺はガデッサに言われて慌てて時計を見る。食事に出てから約一時間が経過していた。
「しまった!!俺は先に戻る!!じゃあな!!」
俺は二人に別れを告げ、神速で姫の部屋に向かった……
・
・
・
・
コンコン……
「どちら様?」
「ゼロです、申しつけを守れずすいませんでした……」
俺が扉の前で頭を下げて謝ると、扉が開いて姫が出てきた。
「一旦中に入りなさい、話はそれから聞きます」
姫に促され、俺は部屋に入り、ベットの上で横たわっているアリア姫の前に立つ。
「では一つ、何故遅れたのですか?」
「友人に少々絡まれて遅れました」
「その友人から逃げる事は出来なかったのですか?」
「両肩を掴まれていましたが、逃げようと思えば逃げる事は出来たと思います」
「…では、何故そうしなかったのですか?」
「後々自分の立場等に支障が出ると判断したためです……」
「そう……」
俺の言い訳を一通り聞くと、アリア姫はこう言った。
「では今日の夜、私の部屋で休みなさい、そうすればこの件は不問にしましょう」
「し、しかしそれは……」
「断るのであれば、痛い思いをしますよ?」
「わ、分かりました……」
俺が姫の罰に反論しようとすると、姫が火炎放射の構えをとったので渋々肯定した。
「し、しかし姫……、俺は何処で寝れば……」
「?私のベットで寝ればいいでしょ?」
「そ、そうですか……では……」
俺は少し遠慮がちに姫の隣に入る。
「じゃあゼロ、お休み……」
「お、お休みなさいませ……」
就寝の挨拶を交わすと、アリア姫が俺の腕に抱きつく。
「ひ、姫!?」
「スーーー……スーーー……」
俺はビックリして姫の方を見るが、すでに姫は寝ていた。
「しかたないか……」
俺は諦めてそのまま寝る事にし、目を閉じる。
そしてあっという間に深い眠りへと堕ちていった……
・
・
・
…………
俺が目を開けると、辺り一面に黒い世界が広がっていた。
「これは……またか……」
この世界は何度も来た事がある。
俺の夢の世界……しかも悪夢の中……
「くっ…またお前らか……来るな……来るなぁ!!」
俺の目に写るのは、今まで殺して来た敵軍の兵士や貴族。
全員血塗れで、目が片方無かったり、首を自分の手に持ったりして俺を責める。
(痛い…痛いよ……何故…何故殺した……お前も……殺ス!!)
これは夢だと分かっている、だが体は恐怖に反応する。
そして死体が動き出し、俺に襲い掛かる。
「止めろ……止めろっ!!止めてくれぇぇぇぇぇぇぇえぇっ!!!」
俺の悲鳴は夢の世界に木霊した……
・
・
・
「うわあああっ!!」
ガバッ!!
俺は悲鳴を上げながら夢の世界から脱出した。
心臓の音はとても速くなっており、体中汗でベタベタになっていた。
「くっ……何で今日に限って……この夢を見るんだよ……っ!!」
俺はベットから降り、洗面台へ向かう。
蛇口を捻って水を出し、頭からかぶる。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……くそっ!!」
俺が洗面台で水を被っていると、不意に横からアリア姫の声がした。
「ゼロ?何をしているの?」
「ッ!!…姫……起こしてしまいましたか……、すいません」
「別に良いですけど、何かあったのですか?」
「い、いえっ!!何でもありません……少し、暑くて起きてしまっただけですので……」
俺は姫からの質問に咄嗟に嘘をつく……が、多分バレているだろう。
「そう……ではゼロ、私の目を見て」
俺は不思議に思いながら、言われたとおりに姫の目を見つめる。
「今からゼロに催眠術をかけるわ、大丈夫、軽めにしておくから、朝までには目覚めるわ」
「すいません……こんな事をしてもらって……」
「いいのよ、私の大切な人だもの、おやすみ……」
「ハ…イ……」
俺の意識はそこで途切れた……
◇
「……ハッ……!!」
俺は目が覚め、辺りを見渡す、すると隣でアリア姫が俺の体に抱きつく様な格好でスヤスヤと寝息を立てていた。
「ひ、姫……起きて下さい……」
「ぅうん……ゼロぉ……」
ドキッ!!
不覚にも俺は、寝言で俺を呼ぶ姫の声に反応してしまった。
心臓の鼓動が速くなっていくのが分かった。
「くっ、しかたがない……そっと…そ~っと……ふぅ……」
俺はこれ以上姫と密着するのは危険だと考え、そっと姫の腕から抜け出した。
「っ……はぁ、姫、起きて下さい、もう朝ですよ」
「ん……ううん…ゼ…ロ……?」
俺がもう一度声をかけると、今度は起きてくれた。
「おはようございます、アリア姫」
「う゛~~……」
こう見えてアリア姫は寝起きが非常に悪い、寝付きは物凄く良いのだがな……
「はい、いつものマトマスープですよ」
俺は姫の部屋の冷蔵庫に作り置きしておいたマトマスープを取り出す。
はっきり言って激辛の部類に値するのだが、辛い物好きの姫には、目覚まし程度の効果しかない。
姫が真っ赤なスープを飲み干すと、トロンとしていた目がはっきりとする。
「お早う、ゼロ」
「お目覚めになりましたか、では俺は朝食を摂ってきますので」
「待って、私も行くわ」
俺が部屋を出て行こうとすると、姫がついてきた。
「分かりました、では行きましょうか」
「ええ」
俺と姫は部屋を出て、5分ぐらい歩いた所にある、王族特務用の食堂に着いた。
「俺はモーニングセットを、姫はどうなされますか?」
「私もモーニングセットでいいわ」
「かしこまりました、モーニングセット2つですね?すぐに御用意します」
そう言ってペルシアンのウェイトレスは厨房に向かった。
それから10分後……
「ご注文の品をお持ちしました、では失礼します」
「さ、食べましょ」
「ええ、食べるとしますか」
俺は軽く姫に返事をして食べ始める。
モーニングセットなのでたいした量は無く、すぐに食べ終えた。
「会計係!!いくらだ」
「えっと…モーニングセット2つで700円ですね」
チャリン……
「700円ちょうど御預かりしました、有難うございました~」
「では姫、戻りましょうか」
「ええ、そうしまs「レイ~!!」
俺の質問に姫が答える途中、昨日も聞いたあいつらの声がした。
「げっ、エイト…ガデッサ……」
「あの方達は?」
「昨夜俺が遅れた理由の友人AとBです……とりあえず姫は先に部屋にお戻りになられてください」
「そう……なるべく早くしてね?」
「わかってます、では…」
俺は姫の隣を離れ、エイトとガデッサの元へ向かう。
「よう、エイト、ガデッサ」
「やあレイ、朝からお勤めご苦労様」
「でも、最近お前元気無いな」
俺はエイトのその言葉に何か不自然さをかんじた。
「そうか?特に体の調子が悪いとかは無いが……(おかしいな……いつものエイトならもっと砕けた言葉で話すはず……)」
「なんて言うかな……お前、今の仕事になってから充実してない様にみえるぞ?」
「充実してない?どういうことだ。俺は今の仕事に満足してるぞ」
別に不満は無いし、最も危険な最前線から離れたので、むしろ王に感謝している。
「い~や!!絶対に違うな!!前のお前の方が生き生きしてたもん!!」
「何だと……?」
俺は今のエイトの言葉に反応する。
「ちょ、ちょっとエイト!!言い過ぎだよ……ご、ごめんねレイ…熱っ!!」
ガデッサがエイトを抑えようとするが、運悪く、弱点とする炎に触れてしまった。
「教えてやろうか!?今のお前は戦いに飢えてるんだよ!!昔のお前の方が生き生きしてたに決まってるさ!!なんたってお前のあだ名は『千人……「止めろ!!」
エイトがある言葉を口にした瞬間、俺は立ち上がってエイトにはっけいを喰らわせていた。
するとエイトは大きく吹っ飛び、壁に激突した。
「はぁ…はぁ…止めろ、その名で俺を呼ぶな……」
俺の昔のあだ名…
『千人殺しの零(レイ)』
他国の兵士からはそう呼ばれていた…。
俺はこのあだ名が大嫌いだった、名前の由来が『零が戦った後には、生き残りは零人(れいにん)だ』と、言われ、それに尾ひれ羽ひれが付き、『千人殺しの零』とまで言われる様になってしまった…
…
「ね、ねぇ……レイ、あれ見て!!」
「ん?」
そこで俺はガデッサに言われてエイトを見る。するとエイトの体から何かが出てきた。ヨマワルだ……
「いてて…作戦は失敗か、まぁいい、時間稼ぎにはなった、アバヨ!!」
「!!待てっ、逃がすかぁ!!」
俺は傍にあった黒槍(普通の槍に悪タイプを付加した物)を手に取り、壁に逃げ込もうとしていたヨマワルに向かって投げ付けた。
投げ付けた槍は音を立てながら進み、ヨマワルが展開した守るを突き抜けて刺さった。
「ギャアアァ!!」
槍が突き刺さったヨマワルは、悲鳴を上げて絶命した。
「これは……敵国の紋章……まさかっ!!」
俺の予感は直ぐに当たった。一匹の伝令テッカニンが食堂に飛び込んで来た。
「大変です!!敵ゴーストタイプの奇襲です!!」
「ちっ……、皆よく聞け!!戦闘員は直ぐに準備をしろ!!非戦闘員は、速やかに逃げろ!!」
俺が指示を出すと、一斉に『了解!!』と、返事が返ってきた。
「伝令、お前は一般兵にこの事を伝えろ、それとガデッサ、どんな手を使ってでもいい、エイトを叩き起こして戦闘に参加させろ」
「分かりました!!」
「うん!エイト!!早く起きて!!」
返事を聞いた俺は、神速で自分の部屋に戻り、適当な武具を取り出した。
「くっ……、鎧を着るヒマはねぇ……姫!!ご無事ですか!!」
取り出した武具を持ったまま、姫の部屋の扉を開く。
「アリア姫?……ん?」
部屋の中を見渡すと、机の上に手紙が置いてあった。
「置手紙?俺へか……?」
中身を読むと、アリア姫の字でこう書かれてあった。
[ゼロへ 私はいつもの場所に逃げておきますので、終わったら直ぐに迎えに来る様に アリア]
俺は腰から下げたポーチに手紙を入れ、戦場へと向かった。
・
・
・
俺が一番最初に向かったのは、ノーマルや格闘タイプばかりで編成された部隊の所だ。
「隊長!!もう無理です!!撤退命令を!!」
「ならん!!最後まで戦え!!」
「しかしっ!!我々の攻撃が当たらないのでは戦えません!!」
中央の司令室から聞こえたのはそんな声だ。
「撤退しろ、カイリキー隊長」
「れ、レイ殿!?何故このような所に!?」
「そんな事より、早く撤退しろ、勇猛と無謀を間違えるな。ここは俺が片付ける」
「くっ……、申し訳……ありませぬ…、退くぞ……」
俺がカイリキーの部隊が全て後退したのを見届けると、敵が一斉に襲いかかってきた。
「死ねぇぇっ!!」
「お前達が死ねバーカ」
俺は剣に悪の波動による属性付加を施し、襲い掛かって来たヨマワル達を神速の速さで切り殺す。
「ハッ……」
「ぎゃっ…」「ぐぇっ…」
俺が剣を振ると、付着した血が地面に飛び散る。
切り殺したヨマワルからは血が流れ出し、辺りは一面血の海となる。
俺は残っている敵兵をにらみつけ、少々ドスの入った声で脅す。
「さあ……、次に死にたいのはどいつだ……?それとも……まだ……殺るか?」
『ひっ、ひぃぃぃぃっっ!!』
すると敵兵はすぐに逃げていった、ザコ相手にはこれで十分だ。
「ふぅ、さて……お次はっと……」
・
・
・
エスパー部隊…
「くっ…押されてますね……」
「ブーピック!!大丈夫か!!」
「レイさん!!」
「ハァッ!!」
俺は黒槍を一蹴させ、周りの敵を一掃する。
「今だブーピック!!押し返せ!!」
「ハイ!!サイコキネシス、一斉発射!!」
ブーピックの掛け声と共にサイコキネシスが発射され、敵を一掃する。
「よし、そのまま押し切れ、ブーピック、後は任せたぞ」
「ハイ!!」
・
・
・
地面(アース)部隊
「ダグトリオ!!状況は!?」
「レイ殿…あまりよろしくは無いですな、奴ら、私達にはヨマワルではなく、ゴースト達をぶつけてきました、おかげで攻撃が当たりませぬ……」
「そうか…、ならお前等は他の部隊の援護に向かえ、ゴーストは俺がやる」
「お頼み申した…皆の者!!行くぞ!!」
ダグトリオ達が移動のために穴を掘って行くが、ゴースト達がそれを追いかけようとしていた。
「させるか!!」
俺はダグトリオ達が掘った穴に向けて悪の波動を放つ。すると別の穴から放出し、その上を通っていたゴースト達に当たった。
「ぐわあぁ!?」「な、なんだぁ!?」
「喰らえっ!!」
奴らが怯んだ隙に、後ろから槍で突き殺す。
「ぎっ……」「うぐっ……」
槍は簡単に相手の心臓を貫き、血がドッと噴き出す。
ぱんっ……パパン……ぱん……
「ふぅ……、む?あれは…敵の撤退信号?今日はやけに早いな……」
カタカタカタカタ……
「ん?」
俺は何かが揺れる音がしたので辺りを見る……が、気配は無い。
「気のせい…か…っ!!」
前を振り向くと、落ちていた剣が俺を目掛けて飛んで来た。まるで意思を持っているかの様に……
「な!?くっ……」
俺は間一髪でそれをかわす、だが、周りの剣が次々と襲い掛かってくる。
襲い掛かる剣をかわし、メタルクローで弾き返して行く。
「はぁ…はぁ…くっ…!!しまった!!」
俺は疲労から足がもつれ、2つ弾き漏らした。
ドスッ!!ザシュッ!!
「がっ……」
弾き漏らした2つのナイフは、俺の左目を斜めに切り裂き、もう一本は肩に刺さった。
「うっ……、くそがっ……」
するとナイフたちは動きをとめ、その場に落ちた。
「ぐっ……がぁぁっ!!」
左肩に刺さったナイフを引き抜き、ヨロヨロと歩く。
「ひ、姫……、今……行きます……」
俺は壁をノックする。
こん…こん…
コンコン……
「(合言葉を言いなさい、『炎の狐の護衛』は?)」
「つ……冷たい…雨…」
ガチャッ
「ゼロッ…!!ゼ…ゼロ…?」
いつもの様にアリア姫が飛び出してくる、が、その顔は一瞬で真っ青になった。
ポタ…ポタ……
肩からは腕を伝って血が流れ落ちる。左目から出た血は、顔を伝い口内に入る。
一瞬意識が飛び、気がつくと地面に倒れていた。
「ゼロッ!?あ、あなた…背中に剣が刺さってるじゃない!!」
「背中に…?そう…か、2つじゃ……なかった……の……か……」
意識が少しずつ薄れて行く……
「ゼロ!!しっかりしてっ!!ゼロ!!」
「いかん!!すぐに医務室へ運べ!!」
「ゼロッ!!ゼロッ……ゼローーーーッ!!!」
最後に姫が俺の名を叫んだ瞬間、意識を失った……
・
・
・
「んっ……」
俺は目が覚め、目を開く。すると目の前には白と黒の世界が映った。
「ここは……?一体……どっちに進めばいいんだ?」
白と黒が織り交ざった様な世界では無く、俺を中心に右が白、左が黒だけで作られた世界……
「白は光……光は聖なる輝き……」
俺はとりあえず色から連想ゲームを始める。
「黒は闇……闇は邪な心……」
俺は頭の中で2つの答えを出し、結果……
「俺が行くべき道は黒だ……天国なんて、そんな高尚な所に行けるほど、俺は綺麗じゃない……」
この道が地獄に繋がっているのは、ほぼ確実だろう。だが、俺はあえてその道を選んだ。
「(そう……、俺はもう綺麗じゃない。すでに……血まみれなんだ……)」
すると後ろから、微かに何か聞こえた。
(だ……レ……そっ……いっちゃ……)
微かにしか聞こえない声、俺は耳を澄ませて聞く。
(だ…だ…レイ…そっちに……くんじゃない……)
これは……エイトの声だ。
(レ…っかりし……生きて…)
こっちは……ガデッサか?
(…ぉ……ぁ………っ……)
「………駄目だ、後一人……聞こえない……」
俺は神経を集中させ、聞こえる声からエイトとガデッサの声を取り除く。
(ゼ………ロ……)
「この…声……、まさか……」
(ゼロ…起きて……貴方……道は……そっちで……無い……)
「まさか……貴女は……」
瞬間、世界が白一色に染まり、見たことのあるシルエットが俺を優しく包んだ。
(ゼロ…、生きて……)
「ア……アリア…姫…」
そして次の瞬間……
◇
「ハッ……!!」
俺は目が覚め、見たことの無いベッドに寝かされていた。
「こ、ここは……?」
俺は辺りをキョロキョロと見回す。するとベッドに突っ伏せる様にして寝ている姫がいた。
横にある鏡を見ると、ナイフで切り裂かれた左目は、大きく傷跡が残っていた。
「左目……、もう使えないか……」
俺は無意識のうちに左目に触れる、すると肩に激痛が走った。
ズキッ……
「うがっ……」
激痛の走った肩を俺は押さえる。今更気付いたが、左肩と背中に包帯が巻かれてあった。
「くっ……、重傷だな……」
俺はふと、寝ている姫を見つめる。
「姫……」
そっと姫の頭を撫でる。よく見ると、頬に涙の乾いた痕があった。
「んっ……ゼロ・・・、死んじゃ……ダメ……」
寝言でそう呟く姫の耳元で、俺は返事を返す。
「大丈夫ですよ姫、俺はまだ……生きてます……」
「んっ…えっ……?」
すると姫がスッと目を開け、ガバッと起きた。
そして辺りをキョロキョロ見回し、俺と目が合った。
「ゼロ……?」
「はい……」
俺はなるべく優しさを込めて返事を返す。
姫は俺をジッと見つめ、ふらつく足で俺に近寄る。
そして、そっと俺に抱きついた。
「ゼロッ……ゼロぉ……うっ…グスッ……」
姫は俺に抱きつくと、涙が堰を切った様に溢れ、嗚咽を上げながら俺の胸で泣き出した。
俺はそっと抱き返し、痛まない程度に左腕で頭に軽く手を添える。
「姫……すいませんでした……」
「バカッ……、バカバカバカバカ!!死んじゃったかと思った……うっ……」
するとその時、部屋のドアが開いた。
ガチャ……
「レイさ~ん、診察のじk……!!」
扉を開けて入ってきたラッキーは俺を見て驚いた。
「み、皆さん!!レ…レイ様が……レイ様がお目覚めになられました!!」
『なんだと!?」
すると廊下から声が聞こえ、色んなポケモンが一斉に入ってきた。
「ネイル…エイト…ガデッサ…カイリキー…ブーピック…ダグトリオ…」
「このバカ……死んじゃったかと思ったじゃない……」
開口一番ネイルが泣きそうな声で文句を言って来た。
「バーカ、俺がしぶといのは知ってるだろう?」
「ったく、無駄に心配かけさせやがっ……あだっ!!」
「もう、そんな言い方無いでしょ!!無事で何よりだよ、レイ」
「別にそう怒らなくてもいいさ、心配かけたのは事実だからな……」
「レイ殿……」
「ん?」
横からカイリキー達に声を掛けられて俺は振り向く。
するとカイリキー立ち3人は、深々と頭を下げてこう言った。
「ありがとうございました!!』
「へっ?」
「貴方が来てくれなかったら、私達の部隊は全滅していたかもしれませんでした」
「御主が来てくれたおかげで我の部隊も被害が少なくてすんだ」
「レイ殿が助けて下さったおかげで、私達は今、生きているのです。」
『本当にありがとうございました!!』
「そっ、そうか……良かったな……」
『ハイ!!では私達はこれで!!』
そう言ってカイリキー達は病室から出て行った。
「じゃあレイ、僕達もそろそろ帰るね」
「んじゃな~」
するとその時、一発の大きな音がし、地面が揺れた。
ドゴォォンッ!!
「わっ!!」「のわっ!?」「キャッ……」「ぐあっ……」
地面が揺れた瞬間、エイトとガデッサは尻餅をつき、アリア姫は俺の方に倒れ、それを受け止めた俺の肩に激痛が走った。
「な、何があったんだ……」
「た、大変です!!」
すると一匹のラッキーが病室に飛び込んで来た。
「て、敵軍が……敵軍が総攻撃を開始しました!!」
『なんだってぇ!?』
それを聞いた俺達は一斉に驚いた。
「くっ…だったら、エイト、ガデッサ、頼みがある、俺の代わりに姫を護衛してくれ……、俺も後から行…ぐっ……」
「無茶ですレイ様!!その身体で戦うなど!!」
「何考えてんだこのバカ!!お前は重傷なんだぞ!!怪我人は大人しくしてろ!!」
「私が命令します、レイ、貴方は今回戦闘してはいけません」
「くっ……姫の……命令ならば……」
俺は渋々ベッドに身を倒す。
「ではレイ様を安全な場所まで運びます、こちらに……」
俺はベッドからストレッチャーに体をずらす。するともう一匹ラッキーがやってくる。
「では……」
「エイト、ガデッサ、頼んだぞ……」
「まかせて!!」
「ではアリア姫、こちらへ……」
「…………」
姫は何も言わずにエイト達に着いていった。
「ではレイ様を運びます、くれぐれも慎重に」
「分かってるわ、さぁ、早く行きましょ」
2匹のラッキーの会話が終わると、俺を乗せたストレッチャーは動き出した……
◇
ガタガタガタガタ………
俺を乗せたストレッチャーは、城内の廊下を進んでいた。
「あっ……」
すると順調に進んでいた前のラッキーが声を上げた。
「嘘……これって……」
「どうした?何が……」
俺は体を起こして前方を見る、すると行く手が瓦礫で塞がっていた。
「これじゃあ前に進め無いわ……」
「どうしたら……」
「…………!!」
辺りを見渡すと、丁度俺の部屋の前だった。
ならばやる事は一つ……
「ラッキー、鎮痛剤あるか?」
「?ハイ…一応。あっ、傷が痛みますか?」
「ああ、そんな所だ」
俺がそう言うと、ラッキーはポケットから薬を取り出した。
その瞬間、俺は飛び起き、ラッキーの手から薬を奪い、2匹にはっけいを叩き込む。
「うっ……」「はっ……」
「スマンな、自分の体が重傷なのは分かっているつもりだ。だが、こんな事で大人しく寝ている訳にもいかんのでな」
「だ……駄目ですレイ様…、その…お身体では……」
「止めても無駄だ、俺は行く……」
地面に倒れている2匹を放置し、俺は部屋に入る。
「ふぅ、たしかここに……」
俺はクローゼットに入れておいた鎧を着込む。
「それと…滅多に使わんが……」
俺はもう一つ、ほぼ使った事の無い兜をかぶった。
「おっと、総力戦ならコイツも持って行くか……」
タンスの扉に貼ってあるソイツを剥がして、体毛の中に隠した。
「剣、槍、杖、円月輪、斧、弓、鎌、ナイフ×2……」
俺は持てる武器全てを装備する。
「よし、行くとしますか……」
そして俺は戦場へと向かった……
・
・
・
その後、俺は色んな場所に向かった。
色んな戦場を渡り、其処にいる兵士達を助けた。(兜を被っているので正体はばれない)
そして俺は、最後に向かう場所があった、そこは……
王の間……
キンッ……キンッ……ザッ……
「うっ……エイトッ…もう無理っ……」
「駄目だっ……諦めては…、だがっ……戦力が違い過ぎるッ……」
俺が王の間に着いた時、エイトとガデッサは2人で30人強は居そうな兵士達を相手にしていた。
「ねぇエイト……何人ぐらい倒した?」
「200……ぐらいか?お前は……どうだ?」
「170ぐらい……?でもっ…全然減らないよ……」
「くっ…奴等……次から次へとテレポートで送って来やが……」
「エイト!!後ろ、後ろ!!」
ガデッサとの話で気が散っていたのか、エイトは背後の敵に気付かなかった。
「なっ!?しまっ……」
「死になぁ!!」
その時、敵兵の振り下ろした剣は、鈍い音と共に何かに弾かれた。
「えっ?」
「なっ!?ぶっふぅっ!!?」
俺は剣が弾かれ、一瞬無防備になった敵兵に、容赦無くはっけいを叩き込む。
はっけいを喰らった敵は思いっきり吹っ飛び、さっき剣を弾いた何か…もとい、俺の投げつけた斧に激突して死んだ。
「お、お前……誰だ?」
「…………」
俺は黙って死体から斧を引き抜く。
そして振り向きざまに矢を2本放つ。放った矢はガデッサの顔横スレスレを通って敵兵を射殺す。
「わっ!?あ、危ないなぁ……」
「…………」
俺はキョロキョロと辺りを見渡す。
すると、玉座の後ろの隠し通路が開きっぱなしだった。
俺はとっさに本棚の本を押し込む。幸い敵にはバレていないようだ。
俺は声色を変えて2人に話し掛ける。
「私が切り込みます、2人は援護を……」
「……!?分かった……」
「あ……うん……」
俺はまず円月輪を投げ、怯んだ敵兵を剣で切り殺す。
円月輪が手元に戻って来、俺が後ろに飛び退くと、エイトとガデッサが火炎放射とタネマシンガンで攻撃する。
『ギャアアッ!!』
「………ハァッ!!」
俺は空中高くジャンプし、上から何本も矢を放つ。
俺が放った矢は雨の如く敵に襲い掛かる。
「うぁっ……」「ぐひゃっ……」
矢は次々と敵に当たり、テレポートして来た奴等もすぐに射殺す。が……
「うっ……」
俺の左肩に痛みが走り、弓を取り落としてしまった。
「しまった!!ぐぁっ……」
地面に着地した振動が傷に響いた。
「隙有りぃ!!」
一瞬の隙に敵兵が斬りかかるが……
「させっかよ!!」
エイトが炎のマッハパンチで片付けた。
「オイ、そろそろ正体を現せ、謎の助っ人さん?」
「何っ……」
俺は痛みを堪えながら返事をする。
「ねぇ、もう分かってるんだよ?レイ……」
「……!!」
俺は驚いた、声を変え、姿を一片も見せていないのに、正体がバレた事に。
「何故……、分かった……?」
俺は観念して2人に聞いた。
「簡単な話だ、声も姿も分からないが、戦闘スタイルが同じだからな」
「常日頃、君と毎日戦ってる僕達が、君の戦闘スタイルを見間違える訳無いでしょ?」
成る程な、そう言われれば確かに……
「それに、それだけの量の武器を一度に操る事が出来るのは、ウェポンマスターと呼ばれるお前以外に居ないだろう?」
「……ウェポンマスターと呼ばれているかどうかは知らないが、確かに…戦闘スタイルは変えて無かったな……」
俺達が話していると、最後の1人と思われる敵兵が襲ってきた。
「何ゴチャゴチャと話てんだぁぁぁっ!!!」
『うるさい!!』
俺達3人は声を揃え、はっけい、炎のパンチ、メガトンパンチをその敵兵に叩き込んだ。
「がっ…がべっ…ぼっ……」
俺達の攻撃を一身に喰らった敵兵は、血を吐きながら吹っ飛んで倒れた。
『はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……ふぃ~~……』
俺達はお互いにもたれかかりながらその場に座り込んだ。
「はぁ…疲れた……」
「もう……無理だっての……」
「つ……疲れたね~~……」
『ハハハハハ……』
その場で3人で笑った、すると……
「ぐあっ!!」
いきなりエイトが後ろに吹っ飛び、壁に叩きつけられる。
「エイト!?うわぁっ!?」
エイトにガデッサが駆け寄ると、ガデッサも壁に叩きつけられた。
「エイト!!ガデッサ!?ッ!!」
俺は2人に駆け寄ろうとしたが、すぐに王座の後ろに隠れた。ガデッサの二の舞を踏まない様に。
すると案の定、さっきまで俺の居た位置に何かの力場が発生し、地面に大きな円形のヒビが入る。
「ちっ、エスパーか!!どこに居やがる……」
俺は目を閉じて波動を広げる。
そして入り口の扉の影に誰かが隠れているのを見つけた。
「そこか!!逃がさない!!」
俺は隠れている奴に向けて波動弾を放つ。
だが、波動弾は着弾する事無く、俺に向かって跳ね返って来た。
「なっ!?」
俺は咄嗟にもう1つ波動弾を作り、跳ね返って来た波動弾にぶつけて相殺させる。
「くっ……」
相殺によって起こった爆風が治まると、中央にフーディンが立っていた。
「ふむ、ミラーコートで跳ね返した波動弾を相殺させたか……良い反応だ……」
「誰だ、お前は……」
「私か?私の名はアヘッド、キサマから見たら敵大将だな」
「ほう……自ら大将と名のるか、よほど腕に自身があると見た……」
「そう言うキサマは『千人殺しの零』とお見受けする、が……死んでもらおう!!」
「けっ、望む所だ!!」
俺はまず斧と円月輪をアヘッドに向けて投げつける、が、サイコキネシスによってはじかれてしまった。
弾かれた斧と円月輪は、壁と天上に突き刺さった。
「ちっ、やっぱりか……ならば!!」
俺は目を閉じたまま剣を持ち、アヘッドに突撃する。
「はあああっ!!」
「バカめ!!血迷ったか!!」
アヘッドは俺にサイコキネシスを俺に向けて放つ、だが、俺はそれを避けた。
「なにっ!?サイコキネシスが避けられるはずっ……」
「確かに、念力の力場なんて普通は見えねぇがな……」
俺は一気に神速で加速する。
「波動なら一目瞭然だ!!」
俺は思いっきり剣を振る。すると、決して深くは無いが、浅くも無い傷を負わせた。
俺はもう一度剣を振るが、アヘッドはサイコキネシスで剣を操り、俺の攻撃を凌ぐ。
「はっ、せい!!」
「ふっ、くぅっ!!」
ガッ……ギギギッ……
アヘッドが俺の剣を受け止め、鍔迫り合いとなる。
「くっ……はああっ!!」
「ふん、隙だらけだな!!」
「何っ!?なっ……!!」
すると壁と天井に刺さっていた斧と円月輪が、俺を目掛けて飛んできた。
「くっ……この前と同じ……まさか!!」
「その通り!!あの剣を操っていたのは私さ!!今度はトドメを指してやる!!迷わず逝けぇ!!」
すると周りに落ちていた剣が一斉に俺に襲い掛かる。
「くっ、ふっざけんなぁっ!!」
俺は集中力を高め、襲い掛かってくる剣を、一本ずつ折って行く。
そして全ての剣を折り、斧と円月輪も取り返した。
「ほう……ここまでやるとはな、だが、キサマは私には勝てん」
「やってみなければ!!」
俺は剣を構え直し、もう一度突撃する。
「フン、馬鹿者が……火炎放射!!」
アヘッドは前に構えた2本のスプーンから火炎放射を繰り出してきた。
「ちぃ!!水の波動!!」
「遅い!!10万ボルト!!」
「危ない!!」
俺が火炎放射を水の波動で打ち消すと、10万ボルトが飛んできた…・・・が、後ろからの火炎放射とタネマシンガンによって消された。
「何だと……?」
俺が後ろを向くと、ボロボロの状態で立ち上がっているガデッサとエイトがいた。
「エイト、ガデッサ、無事か!?」
「へっ……この状態が無事に見える様であれば、お前は医者に目を見てもらえ……」
「生憎、僕もエイトも立ってるのがやっとなんだけど……援護くらいなら…任せて……」
「そうか、だが無理はしないでくれ、いくぞアヘッド!!」
後ろから火炎放射とタネマシンガンの援護を受け、俺は再びアヘッドに挑む。
「ぐっ……死に底ないがチョロチョロと……図に乗るなぁ!!」
アヘッドはそう言い放ち、サイコキネシスで2人を壁に叩き付けた。
「ぐっ…そっ……」
「う、動けない……」
「一生其処に貼り付けにされるがいい!!はぁ!!」
するとさっき俺が折っていった剣が、エイト達の首元に刺さる。
「なっ…これは……」
「どうだ?下手に動けば、首が胴体から離れるぞ?」
「くっ……卑怯者め……」
「卑怯で結構!!戦争に卑怯も何もあるかぁ!!」
アヘッドが10万ボルトを放ち、俺は兜を電撃に向けて投げつける事でそれを防いだ。が…
「だから遅いと……」
「!?」
気がつくと目の前にアヘッドがいた。
「言っておるだろうがぁ!!」
「しまっ……」
その瞬間、俺はサイコキネシスで吹っ飛ばされた。
「ぐああああぁぁっ!!(しまった……肩の傷がっ……)」
しかも今の攻撃で鎧はメチャクチャになり、吹っ飛んだ衝撃で肩の傷が開いてしまった。
「ぐっ……もう使い物にならんか……」
俺は鎧の腰元にあるボタンを押す、するとピッという音と共に鎧がパージされる。
これで手元に武器は無くなった。
「フハハハハハ!!これで終わりだ!!」
「くっ……突貫する!!」
俺は最後の手段を使うため、神速で突貫する。
「愚か者め!!エスパータイプの私に、ルカリオであるキサマが勝てると思っているの……か……」
ザッ………
「勝てるなんて思っちゃいないさ……」
グラリ……アヘッドの体が傾き…
「だが、大切な人が俺を信じて待ってくれている……」
ガクッと、膝が折れ、
「だから俺は、この身が朽ち果てようとも」
グフッと、血を吐き……
「負ける訳にはいかないし、死ぬ気もない」
ドサッ……アヘッドが地面に倒れた。
アヘッドは血を吐き、うつぶせに倒れていた。
「き…キサマ……何を……した……」
途切れながら俺に質問をするアヘッド。
「さすがに気がつかねぇか」
俺はすでに虫の息のアヘッドからある物を抜く。
ピッ……
「見えるか?太さ一ミリにも満たない超極細の針だ。これには毒がぬってあってな、俺特製の調合毒だ、もうじきお前は死ぬ」
「わ、私は……ここで……終わるワケにはっ……」
フォンッ……
するとアヘッドはテレポートで逃げた。
「逃げたか……だが、逃がすつもりは無いぜ……」
俺は本棚の本を一冊取り出し、開いた。
その中には画面があり、スイッチを入れると画面が浮かび上がった。
「どうした、レイ」
「王、どうやら総大将を取り逃がしてしまったようです」
「そやつは何所に?」
「役1キロ……波動で見える範囲内にいます。そして……『神殺しの槍』の使用許可を……」
「!!そうか……」
王は暫く考えた後、こう言った。
「レイ、ドグマを降りて槍を使え……」
「ハイ、ありがとうございます。それと……」
「どうした?何かあるのか?」
「姫は……そちらにいますか?」
「アリアか?居るぞ、呼ぶか?」
「お願いします……」
「分かった、アリア、ちょっとこっちに来なさい」
すると画面に映る王の横に、アリア姫の姿がチラリと見えた。
『何ですかお父様?』
「ゼロが呼んでおるぞ、何かあるのだろう、出てやれ」
『ゼロが?変ですね……』
するとディスプレイにアリア姫が映る。
「アリアです、父に言われて代わりました」
「姫……」
俺は暗い表情で姫を呼んだ。
「申し訳ありません……また、命令違反です……」
「そうですか…では、その事はまた後で……今は、自分のするべき事をして、そして……」
姫は一呼吸置き、優しく微笑んでこう言った。
「必ず、私の下に生きて帰って来なさい。これは何よりも優先させなさい……」
俺は手を額に当て、敬礼する。
「了解!!」
「じゃあ、通信を終わるわ、頑張って!!」
俺は本を閉じて元の場所に戻す。
「さてと……」
俺はまた別の本に手をかけて引く。
するといつも俺が座っている椅子が回り、別の椅子になった。
そしてその椅子に座ると、足元が開き、エスカレーターの様に下っていく。
たどり着いた先には……
・
・
・
???
ここには、歴代の王族特務の猛者達が使った武器や防具、他にも一部の特殊な者達しか使えない武器等がある倉庫……
この中でも代表的なのがこれ、『ロンギヌスの槍』だ……
あの神……イエス・キリストの磔刑に使用された槍であり、槍の先端部分からは、神の血が滴り落ちる。
だが……、この槍を使用した者は、程なくして悲惨な死を迎えると言われている。
二股で血色の槍……
俺は自分の身長の2倍以上もある槍を持ち、王の間へ戻る。
「奴は…動いてないな……麻痺毒が効いたか?」
そして俺はテラスに出て、体を捻り槍を構える。
「はぁ……はぁ……はぁ……くっ!!」
俺は捻った体を元に戻した反動で……
「いっ……けぇぇぇっ!!」
一直線に投げた。
槍は重力に逆らって真っ直ぐ進む。そして……
『(ガッ!?な、バカ……な……)』
波動でアヘッドの心を読んだ。
『(私が?……私が……私……が……)』
……アヘッド 絶命・・・
「勝った……?勝ったのか…?…勝った!!」
総大将アヘッドの死亡はすぐさま広がり、敵軍の前線に大混乱が起こった。
そして俺はテラスから一喝する。
「今だ!!敵の総大将は討ち取った!!もはや敵は統率を無くした烏合の衆!!一気に畳み掛けろ!!」
『ワァッーーーーーーー!!!!』
俺はそう言った後、すぐにある部隊の元へ向かう。
・
・
・
悪部隊
「……ネイル!!ネイルはいるか!!」
俺はアイツの名を呼ぶ。
「レイ!?どうしてここに!?」
「さっさと勝ち戦を終える為だ!!久しぶりに共同戦線を張るぞ!!」
「分かったわ!!でもその前に……皆!!下がって!!」
ネイルの一声で周りの部下が一斉に身を引いた。
「よし、行くぞ!!ネイル!!」
「オッケー!!氷のつぶて!!」
まずはネイルが通常よりも多量の氷のつぶてを発射する。
「ハッ……水の波動!!」
それに俺が空中から水の波動を放ち、氷のつぶてを分散させる。
この攻撃で、3分の1ぐらいが逃げ出す。
「残った奴らを片付けるぞ!!」
「分かったわ!!」
俺達は敵集団のド真ん中に立つ、そして……
「メタルクロー!!」「シャドークロー!!」
2人でそれぞれ反時計周りに敵を倒して行く。
そして外周までたどり着き、同時にジャンプする。
「トドメを刺すぞ!!」
「しくじらないでね!!」
『悪の波動!!』
2人同時に悪の波動を決める。
「ついでだ!!こいつも食らってけ!!」
俺は両手の間に特大の波動弾を作り、敵に向けて放つ。
「波動は我に有り!!」
チュド---ンッ!!
特大の波動弾が着弾した所からは爆発が起こった。
「ふぅ……」
俺は地面に着地し、ふぅ、と一息ついた。
周りにもう敵は居なかった。
「お疲れ様、レイ」
「おう、お疲れ。俺は先に戻るぜ」
「ええ、じゃあね~」
10分後……
コンコン……
コンコン……
「(合言葉を言いなさい、『炎の狐の護衛』は?)」
「冷たい雨……」
ガチャ……
「ッ!!…って、姫?」
いつもの様に扉が開いた瞬間にアリア姫が飛び掛って来ると思い、身構えていた俺は、いつまで経ってもこない衝撃に、少々拍子抜けした。
「バカ……無理しちゃって……」
姫は一通り俺の体を眺めると、そっと抱きついて来た。
実際、誰から見ても俺の体はボロボロだった。
「スイマセン……ご心配…掛けてしまって……うっ」
そう言った途端に全身から力が抜け、目の前が真っ暗になった。
「ゼロ!!しっかりして!!どうしたの!?」
「いかん!!医務室と医療班の準備をさせろ!!」
「(『槍を使った者は死ぬ』か……、俺も……死ぬのか……?)」
◇
「うっ……ううん……むっ…ぐっ……」
「ゼロッ……ゼロ!!」
「はっ!!」
俺は誰かに呼ばれる声で目が覚めた。
まだよく動かない体で周りを見ると、隣にアリア姫がおり、俺はベッドに寝かされている状態だった。
「ありあ……ひめ……?」
「!!ぜろっ!!」
「うおっ!?」
俺が声を掛けると、いきなり姫に抱きつかれた。
「えっ……、ひ、姫?ココって……?」
「アリアの部屋じゃよ」
「えっ?」
すると、俺に抱きついた姫の後ろから、王が現れた。
「王……何故……、俺がココに?」
「うむ。御主が倒れた後、急いで医務室に運んだのは良いんだが、何時まで経っても起きる気配が無くてな……、治療の終わった者に何時までもベッドを使う訳にもいかず、アリアの頼みもあってこの部屋に御主を移動させたのじゃ」
「そう……ですか……ちなみに、どの位寝てたんですか?」
「一週間じゃ」
「一週間!?」
そんなに寝てたのか……
「それと、御主の左にある木の実等は見舞い品だ、エイト達が置いていった物だが、腐らん内に食べてしまえ」
「ははは……、そうします……」
俺はそう返事をして苦笑いを浮かべた。…すでに一部変な臭いがしたからだ。
「では私は仕事に戻る、何か聞きたいことはあるか?」
「いえ、何も」
「それではな……」
キィィ……バタン……
「フゥ……」
王が部屋を出たのを確認して、溜息を吐いた。
「姫、そろそろ離れて下さい……」
「………ヤダ…」
「しかし…、もし誰かに見られたら誤解を招く可能性が……」
「じゃあ命令違反の罰……私に抱かれてなさい、これなら誰も文句言わないわ……」
「ううっ……分かりました……」
俺が反論出来なくなって大人しくすると、姫は背中に手を回し、右肩に顔を置いた。
「ひ、姫!?か、顔が……近いですっ……」
俺は急に近づいた姫に対して緊張し、顔を赤くしてしまう。
「顔が……何?」
「いえ……ですから顔が……」
顔が近いです……とは言えなかった、否、言わせて貰えなかった。
俺の口を、アリア姫が自らの唇で塞いでいたからだ。
「んっ……」
「んんっ!?むぅ!!んっ……」
俺はいつの間にか姫に覆い被され、身動き一つ出来ない状態だった。
暫くそのままキスを続けていると、ようやく姫の方から離してくれた。
「姫……いったい……何を……」
「ハァ…ハァ……ハァ……」
俺が姫に尋ねると、弁解もせずに一言だけ呟いた……
「好き………」
「!!」
俺はその言葉に驚愕し、もう一度聞いた。
「姫……?今……何と……?」
「私……ゼロの事が……好き……貴方は……?」
「…………」
間違いない…俺は今、姫から好きと言われた。しかも、貴方は?と、言った。
つまり、俺の気持ちも聞いてきた……
「えっ……と…お、俺は……」
俺は答えを返そうとするが、そこで言葉が途切れる。
別に答えに迷っているワケではない、答えは心の中で決まっている。だが……
「俺も……姫の事が好きです。しかし、王族特務と言えど俺は一兵士……立場が……違いすぎます……」
俺がそう答えると、姫はもう一度キスをして来た。
「んっ……」
「ふむっ……!?」
しかもさっきと違い、舌を入れて来た。その行動に、俺の下半身はビックリしてしまう。
「んぅ……ふむぁ……はっ……」
ピチャピチャと水音が部屋に響き、暫くして姫がキスを止める。
「ねぇ……ゼロ……」
「…………」
「ゼロは……立場が違うってだけで、自分の思いを捨てられるの?」
「それは……」
「私はね、そんなの絶対に無理。自分の思いを捨てるなんて、そんな馬鹿げた事絶対に嫌よ」
「…………」
「それにね……」
姫がそっと俺の頬に手を添える。
「恋とか愛にはね、立場なんて関係無いの……」
「!!」
「相手を愛する事、他人に恋をする事、それはとっても素晴らしい事よ……」
「素晴らしい……こと……」
「そう、そこに立場は関係無くて、雄と雌、たった一つのシンプルな関係で出来てるの」
「…………」
姫は一度言葉を切り、息を深く吸った。
「だからも一度だけ言うわ、私は『零(ゼロ)』が好き。最強の兵士でも、私の護衛を勤める貴方でも無い、たった一人の雄のルカリオである貴方が……ゼロが好き……だから、もし私の気持ちに答えてくれるなら……私の事、アリアって呼んで……」
「…………」
俺は言われた事を頭の中で整理し、答えを出す。
そして、意を決してその名を呼んだ。
「……アリア……」
「……ゼロ……」
アリアはニッコリと微笑む。
「好き…だ、アリア……」
「私は……愛してるわ……」
◇
今度は俺の方からアリアにキスをする。
そしてゆっくりと上体を起こし、アリアを押し倒す。
「んっ……」
胸元を弄り、小さな豆を摘んだ。
俺はそのまま豆を弄ろうとしたが……
「あ、ま、待って!!」
「ん?」
いきなりアリアに待ってと言われた。
「どうした?もしかして……嫌だったのか?」
「いっ、いや、そうじゃなくて!!その……」
「?」
アリアは顔を真っ赤にしてあたふたとしている。
やがて落ち着いたのか、まだ幾分赤さが残った顔でこう言った。
「わ、私もゼロのためにしたいなぁって……」
ああ、成る程……やられるだけじゃ嫌ってやつ?
「そ、そうじゃなくて!!その……今までゼロに色々して貰って来たから、今日ぐらいは私からも何かしてあげようかなって思って……ダメ……かしら?」
そう質問するアリアに対し俺は一言。
「だ~め」
「えっ、何d・・・きゃうっ!?」
俺はそっと伸ばしておいた手で秘所をなぞる。
「そんな事、俺が好きでやってるんですから気にしなくて良いんですよ、それに……」
「あっ……」
秘所を擦っていた指を中に2本入れると、指の間に白い糸が橋を作った。
「もう、限界でしょう?」
少しだけ『ゼロ』の俺に戻り、優しく確認する。(こんな事をイチイチ確認させる辺りすでに優しく無いと思うが)
「……(こくん)」
アリアは無言で頷き、少しだけ股を開いた。
俺はそこに体を滑り込ませ、秘所にモノをあてがう。
「あっ……」
先端が少し触れただけで、アリアはピクッと反応した。
「肩の力抜いて……、息をゆっくり吐いて……」
「ふぅぅっ……」
アリアが息を吐くのに合わせて、俺はモノを秘所に入れていく。
ピタッ……
「あっ……」
半分程入れた所で動きを止め、アリアに確認をとる。
「いくぞ?少し、痛いかもしれないが……」
破瓜の痛みがどれ程の物かは雄の俺が分かるはず無いが、心配はしておかないとな。
腰を進め、モノで膜を破った時、アリアがくぐもった声を発した。
「い゛ぃっ……」
「大丈夫か?」
暫くの間フルフルと体を震わせていた彼女だが、少し間をおいて「ええ、もう平気よ……」と言った。
「じゃあ…動くぞ?」
「きて…、もっと貴方を感じさせて……」
俺は少しずつ腰を前後に動かして行く。
いったん入り口ギリギリまで引き、一気に最奥までまた進める。
「あぅぅ……んああっ!!」
そうした動きをゆっくりと続ける内に、どんどん動きが早くなっていった。
「ふぅっ…はっ…はっ…はっ…」
「あぁっ!!あっ、あっ、はぅっ……」
時間が経つ毎に行為は激しくなって行き、体勢も正常位から危常位、騎常位から対面座位へとなった。
「あっ、あっ……ゼロッ……」
「んっ?な、何だ……?」
「わたしっ……も……限界……」
すると、アリアが限界を訴えてきた。
「うっ……じゃ、じゃあ外にっ……」
残った理性を総動員し、俺がモノを外に出そうとすると、アリアの長い9本の尻尾が俺に巻きついた。
「あ、アリア……?」
「いやぁ……なかにっ……中に頂戴っ……」
「わ、分かった……」
俺はアリアの願いを聞き入れ、引いたモノをもう一度深くねじ込む。
そしてモノが最奥に当たった瞬間、アリアが絶頂を迎え、俺も素直に欲望を吐き出した。
「はっ、あああぅぅぅあぁっっ!!!」
「があああぁぁぁっ!!」
俺のモノから出た精液は、アリアの膣内を暴れまわった。
「うっく……はぁ……はぁ……」
俺はアリアの横に倒れ、2人顔を合わせてこう言った。
「ゼロ……」
「アリア……」
『愛してる……』
------
・
・
・
戦乱の世の末……
2匹のポケモンが、立場を超えて結ばれた
その者達の愛、誰も邪魔をする事出来ず
その者達の愛、消える事無し
その者達は子を儲け
その者達一生を共に過ごすであろう……
これはどこかの国であった……
炎の狐と冷たい雨のお話し……
執筆完了!!なげ~……(ーー;)
最新の10件を表示しています。 コメントページを参照