作者:DIRI
「あ~ぁ……ったく、最近は良い雌も全く見かけやしねぇ……。どうなってんのかねぇ、世の中……」
ろくでもないことを呟きながら森の中を歩くのは、グラエナのジークである。
彼は二十歳、成人して少々経った立派な大人である。そんな彼がそんな大人らしからぬ事を呟くのにはそれなりの理由がある。
……単に欲求不満、それである。
無論、それだけではただの欲がたまっている若者であるが、彼は「めんどくさい」の一言で、自分で処理することすらしない、ものぐさと言おうか、彼はそんな面を持っている。
今彼がこの森をウロウロと歩き回っているのは、彼自身がこの森に住んでいるという訳ではなく、先程の彼の呟きの中に含まれていた、“良い雌”とやらを探しに来ているのだ。
だが彼は、見かけによらず……とても真面目な雄だった。
通りすがる人達にはきちんと会釈し、話しかけられればきちんと受け答えをして、その人なつっこさもすぐにみんなが理解するのである。
そんな彼も、俗に言うイケメン、それにギリギリはいるか入らないかで彼が成人する前に、一部の雌達がもめることもあった。
でも今ではそんなことは全くない。みんな彼よりも顔の良い相手なんかと結婚したり、恋人になっていたりするのだ。彼はそんなみんなから言わせれば“余り者”である。
悪タイプとは思えない程のその温厚さで、彼はそう正直に言われたとしても、「運命ってものがあるさ」とケラケラ笑いながら言うだけなのである。
……心は既にイケメンの域を超えているかもしれない。
しかし……そんな彼にだって、欲求不満の高まる波が押し寄せる。
その波は彼の心を少しばかり侵していくのだ。
「良い雌……良い雌……」
うわごとのように、だが誰かが聞き取れるような声ではなく、口の中で言うようにモゴモゴと呟きながら、彼は今日初めて来たこの森を闊歩するのだ。
「イタッ!」
突然、彼の筋肉質な胸に誰かがぶつかる。
上の空気味だったため、もろにぶつかった彼は一瞬息が詰った。
「イテッ……おい、何なんだよ全く……」
彼にぶつかった人物に目をやる。
一瞬息を呑むジーク。そこには、自分の好みのタイプど真ん中にすっぽりと収まった雌がいたのだ。
グレイシア……同じような体躯の獣であり、自分より低身長、何より控えめそうな顔で、とても可愛らしい。
歳は見たところ17、8と言った所か。その辺りもジークのストライクゾーンなのである。
「あ……ご、ごめんなさい! 私のせいですね……」
ぶつかったことをここまで気に病む事はないだろうとジークは思う。なぜなら彼女は俯いているのだ。ある種、罪悪感というのか、それすら湧いてくる。
……彼は舞い上がっている。理想の女性が目の前に現れれば、どんな男であっても上機嫌になると言うものだ。
舞い上がっている彼は、柄にもなく“悪い奴”であることをアピールするかのごとく、「謝らなくて良いから
グレイシア自身も「え?あ、はい……」などと、全く抵抗する素振りもないのである。
「素直な奴だ」
失礼だと、心の中で思いつつも、ジークは引き上げたグレイシアの顔をしげしげと眺めている。
グレイシアは、何をしているのかがわからずにただオドオドするだけだ。
「……わ、私の顔に、何か付いてますか……?」
彼女のそんな一言で、ジークは暴走を始める。いつか彼は、「天然なのは良い」とでも語るだろう。
ジークは今だ悪ぶっている口調で、「いや」とだけ言い、それからはいつものどこか気の抜ける話し方で、彼女に言う。
「一つ……聞いて良いか?」
急に口調が変わったのもあってか、彼女は動揺していた。
ジークがしょうもないことをするんじゃなかったと思ったのは言うまでもあるまい。
動揺したグレイシアも、とりあえず、返事だけはしておいた方が良いと思ったのか、「は、はい……?」と答える。……半疑問である。
「や ら な い か ?」
……正直、彼はこの言葉が言ってみたかっただけである。意味は重々理解してはいるのだが……。大体元々がどんなネタだったのかも知っているために、元ネタとは違うと思わず笑ってしまう。
だが、彼には欲望という波がこれでもかという程打ち寄せているので、半分冗談、もう半分は本気で言っているのだ。だが純情そうなグレイシアにその意味がわかるはずもなく……。
「……え!? えっえ!? 何をですか!?」
……妙なテンパり方である。
その様子を可愛いと思うジークは既に暴走モードに突入している。自ら止まることなどもう考えてすらいないだろう。
なかなか言えないようなことを言った彼は、妙にテンションが上がっていた。
「なんだろうな、うん。楽しいって、きっと。それっ」
いつもの軽いノリである。しかし行動はいつものそれとは全く違う。
彼はグレイシアを突然押し倒し、その上に馬乗りになっているのだ。いつもの彼なら土下座して謝るのではなかろうか。……まあ、果たしてどう土下座するかは謎だが。
「きゃっ!? ちょっ、な、何を!?」
こんな事をされる訳のわからないグレイシアである。
目の前にいるのが性欲に飢えた
ジークは、その獣ではあったが、性欲に飢えた彼なりに優しさというものはまだ存在している。……果たして彼女はそれが優しさだと思えるのか、それはまたもや謎なのである。
「まぁまぁ……リラックスしな。怖くはないって、多分」
「多分」までも小さく言わず、聞こえるように言ってやるのが飢えた彼なりの優しさである。なにせ彼は今から……彼女を犯そうというのだから……。
怖いかどうかは、結局彼女の感覚でしかわからないのである。
ジークは、緊張をほぐしてやろうと……それに付け加え、彼女をその気にさせてやろうと、グレイシアの頬をペロリと舐めた。
「きゃっ! く、くすぐったいです……」
顔を赤くするグレイシア、それが地雷である。むしろ手榴弾だ、とその赤い頬が狙ったとしか思えないジークは脳内で呟く。
何にせよ、彼はその赤い頬を見て更に行為をエスカレートさせていくのだ。
ジークは、グレイシアの頬に手を添えて囁くように言う。
「そうかよ……なら、濃い事しよう、ってことで、な」
「んん!?」
暴れるグレイシア。当然であろう。
だが、ジークは飢えている。飢えているからそれが不快だった。
顔をしかめつつ……その顔は決して彼女を威嚇するようなものではないが、それなりに不満そうな顔をし、彼女の四肢を、自分の四肢を使って押さえつけた。
「……暴れたらヤれないじゃん。なぁ?」
さすがに彼女も今自分が何をされようとしているのかは理解した。
だが、体格差も、力も、何もかもで劣っている自分では、目の前にいるグラエナを払い除けることなど不可能、それもよくわかっている。
「い、嫌ぁ……」
青ざめた顔でそう言うしかないのである。
先程頬を染めていたのは突然の出来事に驚いたからであり、恥ずかしいからではないのだった。
青ざめた彼女を見て、ジークは罪悪感に駆られる。でももう後戻りなど出来やしない、そう自分に言い訳をし、努めてノリの軽い悪人を貫くのである。それが彼なりの意地、のようなものだった。
「楽しそうな顔しろよ……? な……?」
優しく言って、グレイシアの首にキスをする。
彼女は驚き、ビクリと体を震わせ、何とか抵抗しようとするのである。
「あ……、だ、ダメですぅ! そんな‥事……」
背徳心の湧く彼は、理性を破壊してやることに決めた。……自分の理性を。
彼女は元々関係ない雌。それが、今は自分の独り善がりの行為を強要、もとい、行為の相手にしているのだ。
壊れるなら自分である。それが彼の考えで、彼の性格だ。
「ダメって事ないだろ、今から気持ちよくしてやるよ……」
早急に自らの理性を壊す必要のあるジークは、彼女が少しでも喘いでくれれば壊れることが出来ると自負していた。雌の喘ぎ声は彼のわずかながらの嗜虐心を煽り、慣れない嗜虐心は彼を一瞬で破壊出来るのだ。
彼女の首を、空気を含ませるように舐め始めるジーク。
グレイシアも身体は大人であり、快感を感じる所がある。俗に言う、“性感帯”である。
ジークはまだ成人する前に、ませた友人から「雌って全身性感帯みたいなもんなんだ」と言われたことを覚えている。
事実、これまでに何度か雌の相手をしたことがあったジークは、雌の性的快感を感じる場所を幾つか見つけている。
耳、口、頬、首、胸、腹、背、尻尾……。
試しに弄ってみただけでこんなに感じる場所の多い雌である。中には快感をあまり感じない雌もいた。だが、見つけた性感帯のどこかは必ず雌の快感を感じる場所にヒットするのだ。
首を舐められ、思わず甘い声を出してしまうグレイシア。
しかしまだ、ジークが壊れる嗜虐心を煽る声ではなく、ただ単に彼を興奮させるだけなのである。
「少しは気持ちいい?」
せめて快感を味あわさせてあげなければ、と彼はある意味必死だった。
強姦など、相手の人格を犯す物以外の何ものでもないし、立派な犯罪である。大人でなくても捕まってしまうような、そんな犯罪。
……でも彼は、これが終わったら行くべき場所に行こうかとも思っているのだった。彼が自分は犯罪を犯している、と言う自覚がキッチリとあり、真面目な性格であるから、そんな考えも自然と湧くのだ。
「あ……嫌……全然……気持ちよく‥なんか……」
湧くのはただの罪悪感。押し潰されるのは時間の問題だな、と彼は思う。
快感を与えることもまた、強姦をされる側にとっては苦なのである。
……彼はそれに気付いていない。
「え~……じゃあ気持ちよくしてやらないとな……」
顔をしかめるグレイシアに少し困った顔をしてから、ジークは少し笑い、手早く終わらせてしまえばいいと言う結論にたどり着いた。
「こことかどう?」
グラエナの黒い毛に覆われた手が触れているのは、グレイシアの青い体毛が薄くなっている……彼女の秘部ある。
グレイシアは驚きの表情を浮かべ、その瞬間から、ジークは彼女の秘部をゆっくりと撫で始める。
「ひぁっ! そ、そこはらめですぅ!!」
呂律の回らない彼女に、更に興奮するジーク。
彼の手は、秘部から溢れてくる液で濡れ始めていた。
彼女の必死に抵抗する顔を見て、ジークはクスクスと笑う。
「あ、やっぱり気持ちいいんだ」
そこでジークは、軽いSに目覚めた。
あくまでも、軽い、だが。
「ほら、たくさん弄ってやるからな」
クスクスと笑う彼は、わざと彼女の秘部を音が立つように弄り回した。
グチュグチュと、卑猥な音が、彼よりも先に彼女を壊していく。
「い、嫌っ……やめて……で、出ちゃう……っ」
顔を真っ赤にし、快感に耐えるグレイシア。それはそれで嗜虐心の湧く光景だが、グチュグチュという水音が、嗜虐心よりも先にジークに興奮を与えていた。故に、彼にはまだ理性が残っているのだ。
……もうちょっと、いじめて良いかな……。
理性は残っているだけで、活動は微弱なのだが……。
「ハハッ、身体は正直だよ……。ほら、こんなにヌルヌル」
彼女の愛液が絡みついた手を、彼女の頬になすりつける。
ペチャリと音を立てて、彼女の頬には、彼女自身の液がぬるりとした跡を残す。
「嫌っ!」
反射的に彼女は顔を背けて逃げる。
ジークは困った顔をしながら、そっと彼女に顔を近づける。
「まぁまぁ……」
無理矢理こちらを向かせ、グレイシアの唇を奪うジーク。
グレイシアには逃れる力がないのだ。
更に彼は、無理矢理彼女の口をこじ開けて、自らの舌を侵入させる。
グレイシアは、このまま氷でも吐いてやろうかと思った。でもそれは、彼女の脳内で自動的に却下されるのだった。……彼女もまた、理性が壊れかけているのだ。
「んうぅっ!?」
グレイシアは体をビクッと反り返らせた。
自分の唇を奪っているグラエナが、さらに下の口の中に指を入れてきたのだ。
それにはさすがに、無理だとわかっていても必死で抵抗する。だが案の定、それは無駄なあがきなのだ。
ジークはグレイシアの口の中を犯し、差し入れた指をゆっくりと動かしていた。
彼女は抵抗することをやめ……理性が完全に破壊された。
「は‥うっ……」
口を犯される最中にわずかに空いた隙間から、呼気を吐きだしたグレイシアの目は虚ろだった。理性が破壊され、ただ本能の、性欲の塊と化した彼女である。
彼女は抵抗をやめた、そればかりか、自ら舌を絡め始めたのだ。ジークもそれには驚くばかりである。
彼女の秘部からは水たまりでも出来るのではないかと言う程に愛液があふれ出してきている。
ジークは舌ばかり疲れるのと、現在の体勢がなかなか辛いのとで、彼女の秘部に入っている指を入るだけ奥に差し込んだ。
……本当に愛液で水たまりが出来ている。そう思ったのはジークがグレイシアから口を離して、彼女を押し倒している地面を見てからである。
「……興奮してきた……」
愛液の振りまく臭気から、グレイシアの赤い顔から、彼女の荒い呼吸から、それらに刺激され、ジークのモノは、はち切れんばかりに大きく膨らんでいた。
それを目の前にちらつかされたグレイシアは、物欲しそうにジークのモノを見つめる。
視姦か? と思う程に、ジークはその視線が気恥ずかしかった。
それを紛らわすため、
「待ちきれない……。いきなり本番で行くぞ……」
壊れている彼女なら、自分に奉仕してくれるかもしれない。そう思っていたが、既に彼のモノは、先走りでヌルヌルとし、他の何よりも雌の身体を求めているのだ。
「いきなりは……そんな……」
冷静になったのか、彼女の理性が若干戻ってきている。
……もう四の五の言っていられない。
「問答無用! せーのっ……!」
欲に駆られた彼は、もしかしたら彼女は初体験かもしれないと言う事も考えず、配慮も無しに一気に奥までモノを差し込んだ。
「んあぁぁぁ!!」
彼女の悲鳴が耳の横で発せられ、耳鳴りがする。
だが、何かにぶつかったような感触もしなかったし、彼女も涙を出してはいるものの、痛がっているような素振りは見せない。
それを確認したジークは、腰を振り始めた。
「はっ、はっ、はっ、はっ……」
まるで……いや、まさにだろう。獣のように息を荒げ、腰を振り続ける。
彼のモノがグレイシアの秘部の奥まで突かれるたび、グレイシアは喘ぎ、叫んだ。
「わ、私の‥身体が……汚されていくぅぅ!!」
それは悲鳴なのか快感の中での喘ぎなのかすらよくわからない。
だがジークは彼女のそんな言葉を思いきり聞き流していた。
「良いぞ……思った通り‥上玉だった……。この締め付け‥癖になりそうだ……」
その言葉と共に、腰が振られる速度はどんどんと速くなっていく。
彼はモノに与えられるそのきつい締め付けで、優しさなど忘れ去っているのだ。
突如、グレイシアはジークに抱きつく。
「もっと……もっと欲しいです……。あ、あなたのを‥私の中に出してっ!!」
驚愕、だろうか。ジークはその言葉に動揺した。
……今は、強姦しているのだ。グレイシアは強姦されている側であり、自分は加害者、彼女は被害者であるはずなのだ。
それが、今「あなたの精液を私の中に出して下さい」である。驚かないはずがない。
しかし、理性の壊れた彼は、それをいつまでも悩むようなことではないと受け取り、にやりと笑った。
「おやおや……そんなに淫乱だとは思わなかったな……。出してやるから、待ってな……」
そこからは荒い息と、彼女の喘ぎ声、ジークの腰が動くたびに鳴るグチュリという音しか聞こえない。
「あっ!あっ!あっ!!」
彼女の喘ぎ声が、壊れた理性を更に細かく粉砕していく。
今のこの二人はただの欲の塊。お互いの身体を求めるだけ存在と化していた。
「ほら……イくぞ……!」
限界の訪れで舞い戻ってくる彼の優しさである。ここで再度、彼女にそれで本当に良いか確かめる。
だが彼女の方はと言うと、理性など欠片も残っておらず、喘ぐばかりである。
……無駄な事したな、と彼は思う。
「んっ! ぁ、はぁぁ……っ!」
彼は欲望を彼女の中に放出した。
ドクンドクンとグレイシアの中に自らの精液が流れ込んでいくのを感じる……。
「い、イくっ! イっちゃうぅぅっ!!」
……彼は若干萎えた。彼女はまだ絶頂に達していないらしい。
情けない事ながら、早漏と言う程でもないが、ジークは果てるのが早いのだ。
しかし、かなり長い間溜め込んでいた欲望は収まることを知らない。
「イけよ……俺、大分溜め込んでたから……まだ出るぞ……」
残念なことに、ジークの声は虫の息だった。本人もがっくり来ている。
だが射精しているだけのその快感で、グレイシアは悲鳴を上げていた。
「あっ! ぁっ! な、中に精液が入ってくるよぉ!! イくぅ! イくぅぅぅ!!」
モノと彼女の秘部の隙間から愛液が吹き出る。
ようやくか、とでも言いたげに、ジークはぐったりと彼女の上に伸びた。ぐったりしているのは彼女も同様である。
お互いに息を荒げ、絶頂の余韻に浸っていた。
成人したとはいえ、まだ若く、それなりに運動神経のあるジークは、グレイシアよりも早く呼吸を整え終えて、理性が早く再構築されるようにグレイシアに対して質問した。
「……あのさ……名前なんて言うの?」
「あ……私はコユキ……です……」
「コユキ……。俺はジークだ」
まだ呼吸の荒いグレイシア……もとい、コユキは深く息を吸いながら答えた。
続いて、ジークは理性が戻るに連れて、一番気にしていたことを質問する。
「……コユキ……お前、俺のこと嫌いだろ?強姦とかしたし……」
彼女は火照った顔を更に赤くして、しばらく言葉を考えているようだった。
……こうやって加害者と被害者が話す事ってそうそうないことだな、彼はそう思う。
「……いえ……私も途中から積極的になってしまいましたし……」
それはそうだが、嫌いであるはずだろう。この娘も優しいんだな、そう思うジークである。
だが、「それに……」、と彼女の言葉は続いた。
「実は私も最近、欲求不満だったもので……つい……」
きょとんとするほかない。
こんな可愛らしい彼女が欲求不満であんな事を自分から……?
……いや、人を見かけで判断するな、とは幼い頃の先生の言葉である。その通りなのだろう。
だが、彼は苦笑しながらこう呟いた。
「類は友を‥ねぇ……」
コユキはクスッと笑う。
「その様子だと、ジークさんも溜め込んでたみたいですね」
「あぁ……彼女もいないし、自分で処理すんのも面倒だったからさぁ……」
恥ずかしそうに頬を掻きながら言うジークである。
今更ながら、何を白状しているんだ、と彼は思った。
「私も先週、彼氏と別れたばかりで……」
「……彼氏いたんだ……」
そこでジークは、未だにコユキと繋がりっぱなしだと言うことに気が付いた。
慌ててモノを抜き、コユキから離れる。
「あ……まだ抜いてなかったのですね……」
……天然は良い。
「フフッ……私も堕ちたかな……こんなにいやらしい身体になって……」
コユキはジークの精液と、自身の愛液でドロドロの秘部を触る。
フォローかはわからないが、自分の醜態を口に出しておこうと思う。
「いやぁ、俺もコユキ襲っただけで起つとは思わなかった」
苦笑しながらコユキの反応を見る。
だが彼女はジークの想像を超えたことをやっていた。
……自らの秘部に指を入れて自慰しているのだ。
「フフ……本当にジークさんもいやらしいです……」
「いや、コユキには負ける」
即答である。コユキは首を傾げた。
そして、今更のように自分が秘部に指を入れて自慰をしていることに気付いたらしい。まさか無意識とは誰も思うまい。
「あれ……? 私ったら何を……ジークさんの前で……恥ずかしい……」
そんなことを言いつつ、彼女の動かす指はどんどん卑猥に動いていく。
「恥ずかしいならやめたら……って言っても、無理なんだろうなぁ……」
そんな淫らなことをしているコユキに、また欲情している自分がいることをジークは認めていた。もはや舌なめずりする程に、久方ぶりに味わった性欲の虜になっていたのだ。
コユキの整った呼吸がまた荒くなり始める……。
「はぁ……はぁ……ジークさん……見てて下さい……私がイくとこ……っ」
「凝視してやる」と言ってしまう自分がいる。ジークは禁欲とか言うのを捨てた。
クチュクチュと音を立てるコユキの秘部。ジークは息を荒げるコユキの顔と、愛液の溢れ出てくる秘部を交互に眺めていた。
そして……
「ん‥あ……じ、ジークさん……っ、イく……イきます‥ぅ……っ。ああぁぁぁ!!」
彼女は秘部から愛液をまき散らした。
恍惚とした表情でそれを眺めているジークは、自身が興奮していることを再度確認したのだった。
しばらくぐったりとしている彼女を見て、また襲いたくなる欲望を抑えるのにはとてつもない労力が必要だった。
「……えへへ……ジークさんの前でイっちゃった」
恥ずかしそうに、楽しそうに笑うコユキである。
ジークは率直な感想を返した。
「ああ、見物だった……。人の自慰見るのって興奮するんだ……。知ってた?」
自慰ではないが、また大きくなっているモノをそわそわと弄りながら、コユキが何と言うかを待つ。
コユキはジークがモノを弄っているのを知ってか知らずか、クスクスと笑いながら答える。
「ええ、雄の自慰を見てても、どんどん大きくなっていくのがすごく興奮します」
今の言葉で彼女の昔の彼氏がどんなことをしていたのかは知ることが出来る。
「元カレで体験済みか……」
小さく笑いながらジークは呟く。
コユキは少し赤くなりながら、元カレのことを話し始める。
「は、はい……彼、サンダースだったんですけど……すごくエッチで、いつも私に身体を求めてましたので……」
「確かに癖になる身体してるもんなぁ、コユキは」
からかい気味に、楽しげにそう言うジーク。
繰り返すが、ジークはコユキを無理矢理犯したのだ。それがこんなに仲良く話をしているのだから、不思議である。
少し笑った後に、ジークはほんの少しだけ真面目な表情をしてコユキに聞いた。
「……それが嫌で別れたの?」
コユキが困った笑みを浮かべ、少しだけ俯く。
「まぁ……。実は彼……他の雌達にも交尾をしていまして……。それで、その事を知った私は彼に失望して別れたのです……」
「……酷い話だ」
ジークは顔をしかめた。
真面目な彼の理性が、そのコユキの元カレに怒りを感じさせていた。
「浮気って奴ね……。俺ならそんな事しないけどなぁ、性欲を制御出来ないってのは問題だよ。話聞いたらそいつ溜め込んでる訳でもなさそうだったのに、意味わかんない事する奴だ」
「……本当に、彼は何であんな事をしたのでしょうかね……」
今の言葉も、よくよく考えてみれば、強姦を働いたジークが言っては何の説得力のない言葉である。
彼女には、その事もよくわかっていたし、説得力のないこの言葉も、ジークの真実だと理解出来ているのであったが。
「でも……彼と別れてから、一つだけわかったことがあるのです」
ジークは首を傾げた。
その様子を見て、コユキはとても話しづらそうに、恥ずかしそうにしてた。
「……私……彼のせいですごくエッチな身体になってしまって……。それで、やっぱり、誰かとヤらないと気がすまないみたいなんです……」
ジークは口をポカンと開けた。
この可愛らしい雌は一体何を口走っているんだ。
「ジークさん……」
「……あぁ~……言いたいことは大体分かった」
ジークはコユキの肩に手を置いた。
コユキは満面の笑みで彼に言う。
「じゃあ、あなたから言って下さいな」
「……本日二度目の……」
ジークはここで一度言葉を句切り、息を吸ってから……
「や ら な い か ?」
その言葉を口にした。
その言葉と同時に、彼は唇を奪われ、コユキと舌を絡め合っていた。お互いに同意の上……強姦でなく和姦である。ジークとコユキは、お互いの舌を絡め、相手の口の中を舐め回していた。
その時間は数分にも満たない。だが、彼等はその濃厚な時間を数十分は経ったのでは無かろうかと感じる程、我を忘れてお互いを求めていた。
コユキの息が続かず、彼等は口を離した。興奮したことで粘り気の出た唾液が、口を離してもしばらくの間ジークとコユキを繋げていた。
先に口を開いたのは、ジークである。
「実はキスとかあんまりしたことないんだよね……」
恥ずかしそうに彼はポリポリと頭を掻いた。
コユキは小さく笑う。
「交尾もさ……何回かしたことなくて……。だから欲求不満だったんだろうけど……」
顔を赤くするジークに、コユキは、可愛らしい人だな、と思った。
それを思うのと、コユキがジークを押し倒すのはほぼ同時だった。
「ぁわっ」
「ウフフ……。ジークさん、今度は私が攻めて良いですか?」
ジークはその言葉に、思わず苦笑してしまうのだった。
そしてからかい気味に、……少し期待して、彼は言った。
「好きにしてよ、エッチな身体のコユキさん?」
「もぅ」
コユキはからかわれたその事に、嫌な顔を一瞬だけしたものの、そんなことを言ったお返しだ、と言わんばかりに、ジークのモノを舐めた。
「ひぅ……っ!」
ジークの身体はビクリと跳ね上がった。
彼にとっては、舐められることは体験したことのない感覚なのだ。
「舐められるのは……初めてですか……?」
コユキはモノの先端部分をくすぐるように舐めながらジークに聞く。ジークがコユキの顔を見れば、コユキの舐め回している自分のものもみることになって、余計に彼が興奮してしまうのだが。
「の、ノーマルなプレイしか……っ、したこと‥ないんだ……っく……」
「そうなのですかぁ?」
感じたことのない快感に耐える彼のモノは、既に先走りが出ていた。
だがそれはすぐに、コユキの舌が舐め取り、彼女の唾液と混ざって、ジークを刺激していくのだ。
「ぁっ! ちょっ、ちょっとまっ……こ、コユキ! 情けないんだけど俺もう限界……っ」
意地悪く笑うその顔は、グレイシアなんかよりブラッキーとかのほうが似合っていたんでは無かろうか。……やはり彼女に似合うのはグレイシアである。
ペチャペチャと音を立てながら、彼女はジークのモノの先端を舐め続ける。
「どうぞ……私にぶっかけちゃって下さい」
その言葉にまた動揺するジーク。コユキに彼は動揺されっぱなしなのである。
彼は歯を食いしばり、快感を堪えていた。
「お、雄として耐え……」
そこまで言った辺りで、ジークは自分のモノがビクビクと動いているのを感じた。
「無理だ……っ、ぁあぁぁっ!!」
「んっ……熱い……」
雄のプライドというものは既にコユキから壊されてしまっているのであった。
ジークの放出した精液は、コユキの顔を白く染め上げていた。
……なかなか見られる光景ではあるまい。
だがジークは、彼女からイかされたことと、彼女が自分の精液にまみれてベトベトになっていることからか、顔をしかめた。
「フフッ、悔しいですか?」
彼女は顔に付いている精液をペロペロと舐めながら挑発するようにジークに言う。
ジークは素直に自分の思っていることを言うことにした。
「それもあるし……そんなベトベトの顔にキス出来るか……不安だ」
コユキは一瞬呆けたが、すぐにクスッと笑った。
彼はまた自分にキスする気なのだと、ある種、嬉しかったのかもしれない。
「大丈夫ですよ。ジークさんの……おいしいです……」
「……嬉しいのか良く分かんない」
それが彼の素直な意見である。
そもそも普通に愛撫して、本番の交尾をし、終わりという流れしか今までやってこなかったジークであるから当然と言えば当然でもあった。
その点、彼女は様々な行為をした経験があるため、どちらかと言えばリードを取る側である。
コユキは顔に付いていた精液をあらかた舐め終えると、ジークに微笑みかけた。
「では……そろそろ挿れて下さいな」
楽しそうに言う彼女は小悪魔かと思う。
コユキは四つん這いになると、ジークに向かって腰を突き出した。
「えぇ……休む暇くれよ……全く……」
そう言う割に、彼女の腰に手を置いてモノを起たせている彼は雄として何だか負けている気がした。
「今度は私から攻めるって言ったはずですよ」
そう言って、コユキは少し休憩を入れているジークのモノを、自ら腰を動かして挿し込んだ。
それが起爆剤だったのか、ジークは一気に奥までモノを挿し込む。
コユキはまた、悲鳴に近い喘ぎ声を上げた。
「ジークさんのが入ってくるよぉっ!」
……解説は要らない、感触でわかるだろ、そう思うが絶対に口には出さないジークである。
ゆっくりとジークは腰を振り始めた。
「やばいな……コユキ、マジで良い……」
「ジークさんのも‥とても良いです……。い、一杯……出して下さい……」
よくも喘ぐ中で会話が出来るものだと、今更ながら感心する。
だが、今コユキが言った言葉に対しては、少しばかり焦らす手段がある。
「残念だけど、まだ出さない。どこかの誰かが休む暇くれないからさ」
「もぅ……意地悪ですぅ……」
「まぁまぁ……出してやるから、さ。もうちょっと、コユキを堪能してから……」
ジークの腰を振る速度が徐々に上がっていく。
コユキはそれに比例して喘ぎ声を大きくする。今更ながら、人目の少ない場所でよかった。
「あぁっ……良いです……もっと私に快感を下さい……っ!」
「ホント淫乱だなぁ、コユキってば。……そう言うの、好きだよ」
彼女の喘ぐ声が聞きたい、彼女に快感を味あわせてあげたい。それだけでもジークの行動理由になりえた。
ジークは更に腰を激しく前後に動かした。腰を突き出すたび、コユキの腰とぶつかる音がする。
卑猥な水音、それは彼等の脳内を壊していった。
「んぁっ! あっ、ぁっ、ぁ! 激しぃっ……すごく気持ちいいですよぉぉ!!」
彼女は快感のあまり涙と涎を垂らして、ジークの身体を求めていた。
コユキが快感を感じて喘ぐたび、彼女の秘部はきつくジークのモノを締め付けていく。だから彼はそろそろ限界が近いのだった。
「……そろそろ……出すぞ……?」
「はいっ!! 一杯……子宮の中に出して下さいぃ!!」
……それはまずいだろ。
だがその言葉は壊れた理性が受け取る前にどこかに行ってしまうのだった。
「オッケー……腹が膨れるまで出してやるよ……」
卑猥な水音の間隔が詰る。今はジークの出せるトップスピードで腰が動かされていた。
コユキはもう完全に壊れてしまった。ただの快楽に溺れる肉の塊である。
「くぁぁ!! あぁぁぁ!!」
「んやぁぁぁ!!」
ジークの三度目の射精で、彼の精液はコユキの子宮までたっぷりと流し込まれていく。
……さすがに溜めすぎたかな、とはこの行為が終わってすぐ彼が思ったことである。
しかし、この行為はまだ終わらないのだ。
「まだ……出し足りないっ……!」
射精を終えた彼は、再び腰を振り始める。
コユキの秘部からは愛液と精液の混じった液体が、腰を振るたびに溢れ出てくるのだった。
「わ、私もっ!! もっとジークさんが欲しい!!」
さすがに疲れてきたのか、腰の動きは先程のトップスピードには及ばない。
しかし、コユキも腰を振り始め、感じる快感はさっきのそれとは比較できないほどだ。
「くっ……ぅぁっ! あぁぁぁ!!」
彼はまたコユキの中に精を放った。コユキは快感のあまり声が出ていない。
お互いに、精液の流れ込むその感触を最後にその場にぐったりと倒れ込んだ。
「はぁ……はぁ……これ以上は……無理……」
「……赤ちゃん……出来ちゃう……」
性欲がすうっと引いていって、恐ろしい程に冷静になっているジークの頭で色んな議論が起る。その間数秒。
とりあえず出てきた言葉をそのまま口に出した。
「……えぇ……それ困るけど……俺責任取れるか分かんないし……」
今でも議論は頭の中で続けられているのだ。
コユキは息を切らしながらクスクスと笑った。
「それじゃあ……ジークさん……」
「あ、あ……?」
彼女が突然抱きついてきたので、脳内会議は一気におじゃんになった。
「私と……付き合ってくれませんか……?」
会議の意味がなかったな、彼はそう思ったという。
彼は優しくコユキの頬にキスをした。
「……何だか……責任取ってやれそうな気がしてきたよ……コユキ」
「フフッ、好きです……ジークさん……」
身体の相性がよかったからか、などと考えもしたが、溶けかけている脳ではそんな深いことを考えてられない。
ただ思ったことを言う、彼はコユキとはそんな間柄で良いんだと直感する。
「俺も……好きだよ、コユキ。……なんか……運命かなぁ」
「そうですね……最初はあなたが私を強姦してたのに」
「でも今はお互い好き合ってんだから、不思議なもんだよ、な」
運命というのはそこそこ信じがたい出来事と結びついているものらしい。
「本当に……不思議ですよね……運命かな……」
果たしてそれを運命と受け止めるか……それとも、偶然であったと受け止めるか。それはみんなの自由だ。
「運命なら、どこまでも一緒……な?」
でも運命と思えば、きっと幸せになれるんだって、そう思えないかな?
「はい……ずっと……」
……それもみんなが好きに考えることだろう。
「……それじゃ……これから先も、ずっと一緒に……」
でも彼等が惹かれあったのは、運命だと思う。ジークとコユキには、それを確認するための言葉がある。
「や ら な い か ?」
エピローグ
ねえ……
ZZZzzzz……
……起きてよぉ
……なんだよ……寝てるの見てわかんないかな?
ごめんなさい……でも、今日どこかに遊びに連れて行ってくれるって約束だよ!
あぁ……そうだったなぁ~……コユキ、代わりに連れて行ってくれない?
何言ってるんですか! あなたの約束でしょう?
……分かったよ……コユキも一緒に行こう?
ジークさん……なんで私を巻き込もうと……
ママも行こうよ! パパと一緒だったらママも楽しいでしょ?
……まあ、ね
じゃ、一家楽しく、ピクニックでも や ら な い か ?
あとがき
えっと、今回は会話が多いなと思っています。
何やら書いている最中ボーッとしていたので、練り込めているか分かりません。
これも書く前には色々と練っていましたが、どうやら私の文才では表現出来ないようです。誠悲しい次第であります。
半分程、ノリで書いたとも言える小説なので、読み飛ばして頂いても結構ですが、出来ればコメントや指摘をいただけると嬉しいです。
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