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Taboo Ⅱ 不意打

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Taboo Ⅱ 「不意打」

この小説は、少しばかり戦闘、流血表現がありますのでご注意のほど願います。
*注意点*
ラフィが他人を名前で呼ぶとき、呼び捨てからさん付けに変更いたしましたので、ご確認ください。(TabooⅠ改正済)
例「カルス、聞きたいことが~」→「カルスさん、聞きたいことが~」

それでは本編をどうぞ







夕方、太陽が山に沈みかけている頃・・・

「竜の波動!!」
私は溜め込んでいたエネルギーを、腕を構え、口から放った。
そのエネルギーは青白く光りながら直進し、目の前の岩を砕く。それを見たガブリアス・・・ガイトさんが少しばかり考え、口を開いた。


「・・・腕の構え方だな」

「へ?」

唐突にそういわれ、私は首をかしげる。そしてガイトさんが説明をし始めた。

「ラフィの今の構え方はだな、肘が伸びすぎて無駄な力がこもってるんだ。両手は狙いを定めるだけの物だから、もうちょっと楽な姿勢で放ってみようか」

私の腕を動かしながら、説明を終えたガイトさんは、となりの岩壁に思いっきり爪をたたきつけた。
「岩砕きッ!!」
刹那、大量の岩が上から降り注いでくる。技を放とうとしないガイトさんを見ると、どうやら自分で何とかしてみろって事らしい。

とりあえずあわてずに、冷静に落ちてくる岩を見つめる。



先ほど言われたことを思い出し、肘を少しだけ曲げる。これなら少しは楽だ。

続いて、口の中にエネルギーを溜め込む。これは何回もやっているので、一瞬で終わった。

そのまま溜まったエネルギーを放った。
さっきのような青白いエネルギーではなく、竜胆色に光り輝く炎が吐き出された。

放ったそれは、最初の岩に当たった時点で爆発し、周りの岩も砕いていく。それをみたガイトさんは、嬉しそうに微笑んで、ただ一言「よくやった」と呟いた。



私がカルスさんに拾われて、五日目になっていた。
怪我などは皆の世話があって、四日で完治していた。だから今日から三日間、ガイトさんに鍛えてもらうことにしたのだ。
最初はカルスさんに頼もうとしたけど、作戦やら何やらで忙しいらしく、仕方なくそのままにしておいた。

別に・・・カルスさんの方が良かったとか思ってませんからね、私が命の恩人に対してこんないやらしい感情抱くなんて絶対に無いんですからっ!それに、どうせ好きだとしてもカルスさんがどう思っているかわかんないし・・・


でも・・・この前は可愛かったなぁ・・・・・・

って!!何考えてるのよ私はぁぁぁぁ!!
思わずぶんぶんと首を横に思いっきり振る。と、そこではっと気がついた。


ガイトさんが にやけながらこちらを覗いているのに。



「カルスのことか?」
一発で当てられ、私は顔中が真っ赤に染まるのを感じた。
「ち・・・ちがいますちがいますちがいまっ・・・」
「おーい、カルスー!ラフィがお前のこt「きゃーーーー!!」
ガイトさんの言葉を遮って、私は思わず大声を出してしまう。あぁ・・・今のカルスさんに聞こえてなければいいけど・・・・・・

「・・・何やってんだ?」
少々あきれ気味の声が、背後から聞こえた。どうも聞き覚えのある声に、私はそっと後ろを振り向いた。
「カ・・・カカカカカルスさん!?」
「ん?どうしたラフィ・・・そんな酷く動揺して・・・」
幸い、カルスさんにさっきの会話は聞こえてなかったらしい。
私がほっと胸を撫で下ろそうとした直後。
「あぁ、カルス、実はラフィがお前nぐほぁっ!!」
皆言い終わる前に、私はドラゴンクローでガイトさんの肺の部分を殴った。
いくら私といえど、タイプがタイプなので、息を一時的に詰まらせることはできたようだ。
「・・・馬鹿が」
それを見てカルスさんが小さく吹き出す。それにつられて私も笑った。
「げっほ・・・げほ・・・おいおい、笑うなよ・・・それより、俺らになんか用があったんじゃねぇのか?」
息を整えてガイトさんが問いかける。それにカルスさんはあぁ、と言って話し始めた。
「作戦があらかた整ったから、これから食事ついでに会議を開く。レインはもう着いてるからできるだけ急げよ」
それだけ言うとカルスさんは赤い翼を広げ、小屋のほうへと飛んでいった。

「だとさ、いこうぜラフィ」
「あ、はい」
先に地を蹴ったガイトさんに続いて、私も地を蹴り、羽ばたいた。






食事があらかた終わって、カルスは作戦について説明をした。
詳しいことは良く分からないけど、とりあえず旅の内容としては、町を転々として、情報を集めながら敵を討つということらしい。
「と、言うわけで、俺たちは三日後にこの町を出て、ある男に会うことにする」
「ある男?」
カルス以外が首をかしげた。
「あぁ、そこに俺の知り合いがいてな、手紙でこの旅に一緒に行くよう連絡を取っておいたんだ」
「へぇ・・・名前は?」
ヴァンの問いにカルスがすこし考えて口を開いた。
「名前か?たしかフィトムだったはずだ」
「フィトムさん・・・か・・・」
いったいどんな人だろうか、と、私は旅の期待に心を膨らませながら、同時にこの旅で絶対に足を引っ張らない、と覚悟を決めた。
(後三日・・・後三日で・・・私は強くなって見せる・・・!)

ところで、その人がいるのはどこだろう、と聞くと、カルスさんが説明をした。
「そいつがいる町はフェークタウン。かなり目立たない町だが、情報だけは大量にあるらしい」
「フェークタウン・・・というと、あの『片目の狩人』がいるって噂の?」
レインが唐突に口を開く。それを聞いてカルスが顔をしかめて言った。
「さぁな、そういう噂はあまり聞かないが・・・」
「?・・・そうなの?」
カルスの言葉に、レインは不思議そうに首をかしげた
そしてしばしの沈黙。そしてカルスが口を開く。
「んー・・・まぁいいや、じゃあ今日も遅いし、ひとまず食事を取って寝よう」
とりあえず『片目の狩人』のことは頭の片隅に置いとくとして、私たちはそれぞれ寝床に戻ることになった。
ちなみにいつもガイトさんとレインさん、ヴァンさんとカルスさんと私に別れて寝ることにしている。
カルスさん曰く、襲撃されても対応できるように。らしい。

そしてそれぞれ挨拶を交わして寝床に着く。カルスさんがライトを消し、「おやすみー」といった。

直後

強烈な爆発音とともに、小屋が爆発した。













「う・・・ぅ・・・」
俺が目を覚ましたのは、月の光で怪しく照らされている雪原だった。
何があったのか、まったく分からない俺は必死に頭を回転させる。
気絶間際に見たあの爆発は、おそらく「大爆発」や「自爆」の技だろう。
寝込みを襲ったところを見て、ラフィの言っていた団体が計画に気づいたんだろう。
・・・・・・ラフィは?
ここではっとし、周りを見渡す。そこにはラフィとヴァンの姿がしっかりとあった。
「ぐ・・・ぅ?」
ヴァンが最初に目を覚ます。それから周りを見渡し、状況を瞬時に理解した。
「なるほど・・・『奴ら』か」
「さすがというか何というか・・・お前こういう状況だけは慣れてるよな」
あまりのヴァンの平静さに、俺は自分でも褒めているのかあきれているのか分からない言い方になった。
「だな、それよりラフィが・・・」
ヴァンが顎でラフィを示す。それに対して俺は頷き、周りの雪を溶かしていった。
「あ・・・ここは・・・」
しばらくしてラフィが目を覚ました。俺は今の状況をしっかりと説明する。
それを聞いたラフィは、とある異変に気づいた。
「あの・・・ガイトさんたちは?」
「おっと、それについてはお前ら何も知らなくていいぜ!!」
ラフィがカルスに問いかけようとした瞬間、頭上から聞きなれない声がする。とっさに俺は二人を翼で包み、バックステップを踏んだ。さっきまで俺が居た場所に巨体が落下する。
とてつもない地響きとともに、落下してきたのはユキノオーだった。
「・・・新手か?」
ヴァンが俺に問いかける。それに対して俺は「だろうな」と呟いた。
「ガイト・・・って言ったか?そいつなら俺たちの部下が今頃袋叩きにしているだろうよ!いいからそいつを渡しな!!」
俺はかすかな笑を顔に浮かべた。
「・・・どうだろうな」
「何・・・だと!?まぁいい、さっさとそいつを渡せ!」

「いやだといったら?」
ヴァンが呟いた。その声が聞こえたのかどうか、定かではないが、ユキノオーが構えて言う。
「力ずくで奪うのみ!冷凍ビーム!」
その直後、ユキノオーが手に冷気を集め、それをラフィに放った。
「竜の波動!」
ラフィは口に溜まったエネルギーを放ち、ビームを相殺する。強くなっていることに俺は関心を覚えた。
まぁそんなことも考えてられないのだが・・・ラフィが相殺したことによって、ユキノオーに隙ができた。この隙を使って俺は懐に飛び込み、アイアンテールで殴りあげた。
それを見たヴァンが、落ちてくるタイミングを計り、シザークロスで切りつけた。
「ぐあぁ!!」
ユキノオーから鮮血が吹き出し、地面の雪を白から赤に染めていった。
「くっそ・・・!」
なおも飛び掛るユキノオーを軽く避け、俺は背後を取る。そしてエネルギーを手に集中させ、振り下ろした。
「ドラゴンクロー!!」
ユキノオーは衝撃で吹っ飛び、木を粉砕して止まった。
「・・・死んだ・・・か」
背中と口から血を流しているユキノオーは、しばらくして動かなくなった。
「あぁ・・・そうだな」
俺はため息混じりに最後にそういって、地図を見た。
「大丈夫ですか?カルスさん・・・」
心配そうにラフィが覗き込む。それを俺は首を振って答えた。
「あぁ、大丈夫だ。それより冷凍ビームを相殺できたのはすごいぞ、よくできたな」
真面目にアレには驚いてたので、思わず頭を撫でようと手を伸ばす。が、途中で引っ込めた。
よくよく考えると訳有で住まわせてもらっているヤツに頭を撫でられることなど不快なんじゃないのだろうか?
俺は別に好きでもないやつに撫でられるのは不愉快だ。多分ラフィも同じ考えだろう。
ところで何故手を伸ばしたのだろうか?


・・・それについては、アレだ。
相手が雌であるからってこともあるだろうが・・・
少しだけ顔が赤くなるのが分かる。だが、ラフィは別に助けてもらった恩があるとはいえ、そういうことは思ってもいないだろう。
ふぅ・・・と、口からため息が漏れた。






敵との遭遇から数分、私たちは雪原をさまよっていた。
カルスさんの炎で暖かいからあまり苦ではなかったが、さすがに体力を消費しすぎるのは危険だろう。
ところで、炎のせいか知らないけど・・・カルスさんの顔が若干赤みがかっているのが見えた。
だが、別に私のことではないだろう。拾った人に恋愛感情抱く人がどこにいるんだか・・・
・・・って!また私は何をぉぉぉぉ!!
・・・とりあえず落ち着こう。ガイトさんのような冷やかす人がいない事もあって顔が赤くなることは無かったから一安心。カルスさんには感づかれてほしくない。
どうせ・・・





「お、あれって・・・」
ヴァンさんの声ではっと我に返る
ヴァンさんの目線をたどると、そこには山の向こうに光り輝く塔が見える。地図に載っているものと合わせて、灯台で間違いないと思う。
と、いうことは私たちは今・・・


町の前の森の入り口にいた。





あとがき
カルスとラフィが少しだけ進展しました。というかガイトは自重しろ。
例の『奴ら』によって二分割されてしまったカルスたち。次回はガイトたち目線で進みます。
ちなみに感想、誤字脱字報告お願いしまーす


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Last-modified: 2010-12-02 (木) 00:00:00
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