※官能表現が含まれて降ります。苦手な方は読まないで下さいね。
ある森の中に一つの洞窟がある。そこには、一匹のポケモンが住んでいた。
彼は不器用だが、とても優しかった。しかし、そんな性格を知る者は誰もいなかった。
皆彼を怖がって、交流を持とうとしなかったのだ。
ある日、一人の女の子が道に迷ってたまたまその洞窟に訪れた。
これはそんな偶然から始まった、孤独なリザードンの物語――。
「くっそぉ…」
俺は悔しさを顔に滲ませながら、悪態を吐いた。
「…はぁ。――悲しいぜ」
その場で腰を下ろし、自分でも想像がつくほど暗い表情をしながら、思わず口に出した言葉だった。
今日も声を掛けようとしただけなのに、逃げられてしまった。
雄のくせに情けないとか、それ以前に……悲しすぎる。誰にも構ってもらえないなんて、もうこりごりだ。
確かに俺は怖いかもしれない。…なりたくてこんな見た目になったわけじゃないんだよ。
野生の俺からしたら、進化するのは当たり前なんだ。生きて行くために。
トレーナーに恵まれなかったんだから……俺はこうなるしかなかったんだよ…。
「どうにかならねぇのかよ…」
目から溢れてきた涙を拭き取りながら、そんな独り言をぽつり。
誰も聞いてくれやしない。…何で俺だけ…。
「…今日も行くか」
気晴らしに思いっきり空を飛ぶ。それが俺の日課だった。
ゆっくり立ち上がり、洞窟の入り口へ向かおうとした、まさにその瞬間だった。
「誰かいませんかー?」
「…!」
俺は突然聞こえてきた大声に飛び上がって驚いてしまった。
「いったい何事だ…」
何か事件でも起きたのだろうか。…それにしても、何故ここに…?
そんなことを頭の中で考えながらそこへ向かうと、驚くべき光景を目の当たりにすることになる。
「人間…!」
そう。確かにそこには人間の雌……女が立っていた。
「何故だ? 何故向こうから現れた…?!」
俺は咄嗟に岩の陰に身を隠し、キョロキョロ辺りを見渡しながらこちらに向かってくるそいつを観察した。
自分から行かない限り、近寄ろうとしてくる奴など今まで誰もいなかったのに、今数十メートル前に人間の、しかも女がいるのだ。
期待で胸が高鳴った。…しかし、余計な考えも頭を過ぎった。
どうせ、俺を見たら逃げるに決まっている。…迷ってここに来てしまったのか、もしくは――
「そこに誰かいるの?」
「…!!」
また体が自然と跳ね上がった。…俺はこんな臆病じゃないはずなのに、何故だろう。…恐れているのか。
「頭かくして尻隠さず。…ふふ、おっちょこちょいなんだね」
更に声が近くにやって来た。…すぐそこに人間はいる。
背を向けているから正確な距離はわからないが、気配を感じることができた。
「捕まえたっ!」
「うお゛ぉっ!!」
尻尾を不意にぐっと掴まれ、本日三度目……それは、これまでで一番の跳ねっぷりだったような気がした。
「きゃあっ!」
俺の驚き様が余りにも酷かった所為か、そいつ自身もかなり驚いてしまったようだ。
「な、何だ、どうしてここに、い、いるのがわかった? それに、何だ、お前誰だ…?!」
隠れていた場所から姿を見せて、腰が抜けたように地面に這いつくばっている人間の方を向きながら喋るが、呂律が回らず、あたふたしてしまう。
慣れてなかったこともあって、どう接すればいいのか全くわからなかった。
どうせそのうち逃げるだろう。…そう思えば思うほど、それなら早く行ってくれと願ってしまうのだった。
「ご、ごめん、調子に乗って脅かしちゃって……わ、私はミサ。ここの森で迷っちゃって…」
そんな俺の心情とは裏腹に、やけに落ち着いている人間……ミサは、服を払いながらゆっくりと立ち上がった。
「…どうしたの?」
「……は? あ、いや、何だ、その…」
俺は無意識にもじもじしながら言葉を詰まらせてしまう。…相手は自分を全く恐れる様子など全くない。
予想外の出来事が積み重なって、頭が中が真っ白になってしまっていた。
「君のことかぁ…。東の村から来たんだけど、ものすごい怖いイメージがあったんだ。でも、良かった」
噂を聞いているならもっと怖がったり、必死で俺から逃げようとしたりするもんだと思うが…。
気が強いのか、好奇心が旺盛なのか……ただ、彼女のような人間は初めてだ。というか、ポケモンを含めても例にないことだ。
怪物扱いされてる俺の前で、何故そんな平気でいられるのだろうか。
「な、何を聞いたのか知らないが……俺は、俺は――」
また言葉を詰まらせてしまい、今度は泣けてきた。…やっと自分のことを理解してくれそうな奴が現れたことに、心底感動したのだ。
今まで耐えてきた孤独感やら苦痛が一気に込み上げてきたというか……ああ、もうどうでもいい。
「辛かったんだね。…こっちにおいで」
言われるがままに、俺は彼女に寄り添って行った。
「……温かい…っ」
そう、俺にとっては彼女の抱擁は温かすぎるほどだった。もう、嬉しくて嬉しくて堪らなかった。
しばらく俺は大声で泣き続けた。…怪物説を広めた連中がこの光景を目の当たりにしたら、いったいどう思うだろうか。
「悪かったな。…こんなに泣いたのはトレーナーに選ばれなかった時以来だ」
「…うん、すっきりした? 服がびしょ濡れになっちゃった」
嫌そうな顔もせず、やけににっこりとした表情をしながら彼女が言う。
今更気づいたが、俺が顔を埋めていたところは彼女の胸だ。……本当に良かったのだろうか。
「す、すまないな…」
「いいのいいの。…悪いけど、昔に何があったのか教えてくれない?」
こいつ、もう少し遠慮ってもんを……まあいい。
「ああ……トレーナーってさ。最初に三匹のポケモンの中から一匹選べって言われるだろ?」
「うんうん」
大袈裟に相槌を打ちながら俺の話を……ちゃんと聞いてるのか…?
「その中に俺もいたんだがな……二人しか来なくてよ。しかも、俺だけが取り残されちまってな…」
「…なるほどねぇ」
感情がしっかり篭っていることを思えば、聞いてくれてるんだろうな、きっと。
話す価値があるな。……遠慮なく続けるか。
「…野生になって今年でもう7年目だな。…今日まで俺は独りで生きてきたってわけだ」
「……ありがとう、話してくれて。――ほんと、寂しかったでしょ」
彼女が俺の頬を優しく摩ってくれながら、悲しそうな表情をして語りかけてくる。
「ああ。…堪らなく寂しかったよ」
それは事実だった。…避ける側はどうとも思ってないんだろうが、避けられる側はものすごく傷つくんだ。
「それならここも…」
「うっ…!」
すると突然彼女は俺の股の辺りに手を伸ばすと、雄である証とも言えるペニスが収納されている入り口を摩ってきた。
当然俺は驚いて、思いっきり体を痙攣させてしまったのだが――
「お、おい、どういうつもりだ…!」
うろたえるのも無理はないだろう。…初めて出会った相手に、しかも女に股間を触られたのだ。
「ふふ……慰めてあげようかなぁ、って」
そう言う彼女は、艶かしい雰囲気をむんむんと醸し出している――ように見えたのは気のせいだと信じたいが…。
「な、何を企んでるんだ、そもそもお前は――っむ?!」
俺は精一杯抗議をするが、まるで説得力がない。だが、何か言わずにはいられなかった。
だから、思いつくことを言おうとしたんだが……これがキスの味なのか。
「……お前…」
「ミサって名前で呼んで」
「は?!」
もう、何が何だか俺にはさっぱり――
「…悪くなかったでしょ? キス」
しかし、彼女の言う通りだ。鼻腔をくすぐる彼女匂い……正直、味はわからなかったが、むしろいい気分だった。
「ディープキスはできなさそうだけど……ほら、溜めるのはよくないんだから」
頬をほんのりピンク色に染める彼女の視線の先には、悔しくも早々勃起してしまった肉茎がその存在を精一杯主張していた。
「ほ、本当に慰めてくれるのか? こんな俺を…」
そうだ。…今まで本当に誰とも関わりのなかった俺が……こんな上手い話があるものなんだろうか。
もしかしたらこいつはまだ何か企んでいるんじゃあ――
「…大丈夫。私を信じて。――私でいいでしょ?」
俺が余計なことを考えていると、それを察したかのように彼女が真剣な面持ちでそんなことを聞いてきた。
「……あ、ああ」
こんなの、断れるはずがない。…というか、絶対断りたくない。思わず笑顔がこぼれてしまったが……厭らしく見えてしまっただろうか。
「そうこなくっちゃ。…楽しませてあげる」
ありがたいことに、彼女はそんなことお構いなしで着ている服を脱ぎ始めた。
徐々に露になって行く彼女の裸体に――そんな光景に、俺は息を呑まずにはいられなかった。
「……綺麗だ…」
しばらくして全裸になった彼女を見て思わず口に出た言葉は、当然本心だ。
恐ろしく美人に見える。…実際に顔も体も……彼女は全て整っていた。完璧すぎると思うほどに。
俺が汚してしまって良いのだろうか、と再三感じる。…しかし、ここで逃すわけには行かない。
彼女から誘ってきたんだ。こんなチャンスはもう二度とないだろう。
「すまん、俺はどうすればいいんだ…?」
しかし、何から始めればいいのか全く見当がつかなかった。――傷つけてしまったらどうしようかという不安もあった。
だから、用意に手を出すことができず、歯痒い気持ちで一杯だった。…自慰さえもほとんどしたことがない俺にできることなど、ないに等しいだろう。
情けない話だが……手取り足取り教えてもらうしかなかったのだ。
「…あれ、意外だなぁ。……そうだねぇ…」
「仰向けになってくれない? お腹の上に乗らせてよ」
「お、おし、了解した」
俺は頼まれるがままに仰向けに――無防備な状態になった。
「…よっと」
すると、言葉通り彼女が腹の上に乗った。…というか、跨った。
それだけで俺はどうにかなりそうで……しかも、俺のモノを興味深そうにまじまじ眺めるもんだから、ものすごく恥ずかしい。
俺には彼女の背中しか見えないのが残念だが――それでも今、十分そそられる状況だった。
「えろいなぁ」
「…っ」
そんな言葉に反撃する間もなく、いきなり舌でそこを舐められて、背筋に電撃が走ったような感覚に襲われた。
そのままの姿勢ではやりにくかったのか、彼女はずりずりと姿勢を落として行くと、ついには俺にへばりつくような体勢になって。
俺の目の前には豊満な尻が……厭らしい穴と実の四分の一ほどが視界に入ってきた。
「わっ…!」
我慢できず、爪で肉を刺してしまわないように気をつけながら、腰の辺りを掴んで浮かせ、そこに潜り込むように彼女の秘部へ顔を埋め始めた。
「ん、んふぅ、ちゅっ、んむ…」
俺の愛撫が激しさを増し始めると、彼女も負けじとモノを咥えて上下し始めた。
ヌメヌメした熱い口内でモノをなぶられ続ける感覚は、まさに最高の快楽だった。
「んはっ……ちょ、ちょっと降ろして…」
それからしばらくして、とうとう今の体勢を保てなくなったのか、彼女が音を上げたように頼んできた。
「あ? ああ…」
俺は秘部から顔を離し、一旦彼女をゆっくり腹の上に降ろした。
そこは唾やら愛液やらでべとべとになっていたが、彼女も全く気にしていないようだった。
「…一つになろっか。――私を抱いて」
彼女は腹の上でゆっくり向きを変え、俺のほうを向いた。
それを確認した後俺は、頼まれるままに彼女を抱くべく、両わきを持って素早く近くの壁にもたれ掛かり、それを支えにして体を起こす。
そして自らの尻尾を持ってきて彼女をそこに座らせ、向かい合う形に。
「痛くないの…?」
彼女が心配そうに聞いてくれる。…なんて優しいんだろう。
「ああ。…痛いのは確かなんだが……これくらい何ともないさ」
笑顔で言いながら不器用に彼女の頭を撫でてみた。すると笑顔になってくれて、俺はものすごく幸せな気分になった。
「…それで……本当に俺なんかでいいんだよな?」
「うん。…君じゃなきゃだめ」
「――よし。…これから少し辛いだろうけど、頑張って我慢するんだぞ?」
いくら性の知識がないと言えども、それくらいのことなら――まだリザードの時に聞いたことがあった。
その頃はまだ友達がいて楽しかったんだが……ああ、今はそんなこと、どうでもいいな。
俺は彼女を強く抱きしめながら、ゆっくりと自分のモノを彼女の膣に収め始めた。
勢いよく落としてしまわないように気をつけながら、本当にゆっくり……彼女の腕に力がこもったことで、苦痛に耐えていることが伺えた。
「あ゛…あぁ…」
「…もうすぐだ、頑張れよ」
俺ができるだけ優しい口調で言いながら、モノをどんどん突き進めて行く。
「っはぁ……入ったぞ」
「…うん」
力なく答える彼女を、俺は今まで以上に強く抱きしめた。
「……動いていいよ」
しばらく無言の状態が続いた後、どうにか落ち着いた様子の彼女が言った。
「無理するなよ?」
俺の言葉に彼女が無言で頷くのを確認してから、両わきを持って彼女を持ち上げ、できるだけゆっくり降ろした。
ぬちゃり、という音が俺の興奮を更に高める。…モノを締め付けてくる彼女の肉壁が、思わず体が震えてくるほど心地良かった。
「…もっと激しく、突いていいよ…っ」
遠慮してしばらくゆっくり刺激を与え続けていたのだが、そんな彼女の言葉で俺に火がついたような気がした。
「おうっ」
俺はそう軽く返事をした後、徐々に上下運動のスピードを速めて行った。
肉と肉がぶつかり合う音――そして、両者の性器から溢れ続ける厭らしい液体によって奏でられる音――。
「あ、あ、ああっ、んあぁ」
そして彼女の可愛らしい喘ぎ声。……その全てが俺には本当に心地良かった。
自分が彼女を支配している。優しさも忘れて半ば本能的に動いているような気がした。
「お、おっ、おお…」
口から垂れるよだれなど……情けないような自らの喘ぎ声など――。
「出る、出るぞ…!」
「私も、私もぉっ……ふぁあっ…!」
絶頂を迎えそうになった今では、もうどうでもよくなっていた。
「お゛、ぁああぁあぁぁっっ…!」
「んあぁあああぁっっ…!!」
そしてほぼ同時――若干俺のほうが早かったが、二人とも大きく体を震わせて達した。
強く抱きしめ合い、必死に肩で息をし合っている光景は……幸せだとしか思えない。
「湖があって良かったね」
「ああ、そうだな。――しかし、ここら辺の風景はほんとに懐かしいぜ」
体を交わらせた後、俺達はある町に向かっていた。
そこは、俺が野生に返された場所から二町離れた場所にあって――ほぼ七年ぶりだというのに、景色は昔のままだった。
懐かしさに熱いものが込み上げてきたが、ここは雄としての威厳を保つために、また泣きそうになるのをぐっと堪えた。
「…意外と近くにいたんだな。……もしかしてお前も、トレーナーを目指してたのか?」
無事目的地に到着し、手を引かれて彼女の家に連れて行かれた。
中に入り、彼女の部屋に招かれた。無意識に辺りを見渡すと、ポケモンに関する本がたくさん置いてあることに気づいたのだ。
「うん。――でもね、勉強のほうが大事だって、親に反対されちゃってね」
「それで…?」
「――うん。…その日貰えるはずだったポケモン、貰えなくて」
彼女がものすごく悲しい表情をするから、それ釣られて俺も表情が暗くなってしまう。
夢を奪われることは辛いことだ。…彼女の気持ちは痛いほどわかる。
「…後で調べに行ったら、ヒトカゲでね。――ものすごい落ち込んだよ。…そこの研究員の人は、もう野性に返しちゃったって言うし」
「…………」
「ちゃんと名前まで決めてたのに…」
涙声になりながら彼女が言う。下を向いていたのだが、重そうに顔を持ち上げると、俺をじっと見据えてきた。
「レイス…」
「…ああ」
「――できることなら何でもする。私にできることなら…。…今までほんとにごめん」
彼女は俺にすがりついてきながらそう言った後、大声で泣き始めた。
「…このまま一生離れないでくれれば、それでいい。――俺はもう独りじゃないんだろ?」
「……うん」
俺は彼女と一緒にベッドに倒れこみ、まだ泣き止まない彼女を強く抱擁した。
今までの空白を埋めるかのように、彼達は再び体を交わらせ始めた。
それは決して絶えることない――孤独な炎が手に入れた、愛。もう一つの炎だった。
おわり。
遠慮なく批評頂けると嬉しいです。
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